説明

拡張カード、障害診断処理方法、情報処理装置及び障害診断処理プログラム

【課題】ホストと、複数のレーンからなるインタフェースを介して、ホストとの間でデータの送受信を行うアドインカードとを含むコンピュータシステムにおいて、障害診断機能を持たないホストでも、信頼性の高いシステムの構築を可能にする。
【解決手段】アドインカード2は、複数のレーンからなるPCI Expressのインタフェースを介して、マザーボード1との間でデータの送受信を行う送受信部3を有し、該送受信部3は、電源投入時に各レーンの自己診断を実施し、自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーンからなるPCI Expressなどのインタフェースを有し、該インタフェースを介してホストに接続されるアドインカード(拡張カード)及びそれを用いた障害診断処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置に求められる性能は飛躍的に伸びている。例えば、コンピュータシステムにおいては、そのCPU性能が急成長するに伴い、処理すべき演算量やデータ転送量が飛躍的に増えてきているため、これに対応するための性能アップが求められている。
コンピュータシステムの形態としては、例えば、パーソナルコンピュータのように、ホストであるマザーボードに一又は複数の拡張スロットを備え、この拡張スロットに所謂アドインカードと呼ばれる拡張カードを差し込むことにより、アドインカードの機能を容易に付加し得る形態が広く普及している。
【0003】
アドインカードのインタフェースとしては、パラレルバスであるPCI規格が広く用いられてきたが、CPU性能の急成長とともにパラレルバスの帯域も不足するようになり、現在では、高速シリアルバスであるPCI Expressが普及している。
PCI Expressは、PCIバスの高速化を目指して策定されたシリアルインターフェース規格であり、具体的には1レーン当たり2.5GHz、最大64レーンを束ねて使用することで最大160Gbpsの伝送帯域を実現する大容量かつ高速なバス規格である。
【0004】
図4は、PCI Expressインタフェースを有する一般的なアドインカードの送受信部を示す回路図である。
この図に示すアドインカードは、複数(例えば、X4)のレーンからなるPCI Expressインタフェースを有しており、データ転送回路201は、各レーンに設けられる送受信バッファ202〜205を介して、ホスト(例えば、マザーボード)との間でデータの送受信を行う。
【0005】
具体的に説明すると、データ転送回路201は、信号線を介して送受信バッファ202〜205の出力バッファ206にデータを送出し、出力バッファ206は、受け取ったデータを信号線を介してホストに送出する。
また、ホストからアドインカードに送出されたデータは、信号線を介して送受信バッファ202〜205の入力バッファ207に入力され、入力バッファ207は、受け取ったデータを信号線を介してデータ転送回路201に送出する。
【0006】
また、PCI Expressインタフェースを有するアドインカードは、ホストにレーン数を認識させるためのレーン数認識回路を備えている。
例えば、図4に示すアドインカードのレーン数認識回路208は、レーン数認識用入力端子であるPRSNT0#と、レーン数認識用出力端子であるPRSNT1#(X4)とを直結して構成されており、PRSNT1#(X4)からの信号出力にもとづいて、このアドインカードのレーン数が「4」であることがホスト側で認識される。
【0007】
また、PCI Expressの使用レーン数は、データ転送量などに応じて、ホスト側で任意に切り換えることが可能である(例えば、特許文献1、2参照)。
例えば、特許文献1には、PCI Express規格である高速シリアルバスのレーン数を、そのデータ転送経路が扱う画像データサイズに応じて設定する旨の記載がある。
また、アドインカードを搭載可能なホストのなかには、搭載されたアドインカードの障害診断機能を備えるものがある(例えば、特許文献3〜5参照)。
このような障害診断機能を用いて、PCI Expressインタフェースを有するアドインカードの障害を診断するようにすれば、障害が発生したレーンを切り離し、レーン数を減らした状態で運用を継続できるという利点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2005−210653号公報
【特許文献2】特開2007−062076号公報
【特許文献3】特開2001−034544号公報
【特許文献4】特開2006−201881号公報
【特許文献5】特開2008−210114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、アドインカードの障害診断にもとづくレーン数の切り換えは、障害診断機能を有するホストにおいてのみ実現可能であり、障害診断機能を持たないホストにおいては、アドインカードに障害が発生しても、障害が発生したレーンを切り離すことなく運用が継続されてしまう、
このため、システムの信頼性が著しく低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、ホスト側における障害診断機能の有無にかかわらず、アドインカード側の自己診断結果にもとづいて、レーン数の切り換えを行うことにより、障害診断機能を持たないホストでも、信頼性の高いシステムを構築することができるアドインカード及び障害診断処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明の拡張カードは、複数のレーンからなるインタフェースを介して、ホストとの間でデータの送受信を行う送受信部を有し、該送受信部は、電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段と、前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段と、を備える構成としてある。
【0012】
また、本発明の障害診断処理方法は、ホストと、複数のレーンからなるインタフェースを介して、前記ホストとの間でデータの送受信を行う拡張カードと、を含むコンピュータシステムの障害診断処理方法であって、前記拡張カードが、電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施し、前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換える方法としてある。
【0013】
また、本発明の情報処理装置は、ホストとなるマザーボードと、前記マザーボードの拡張スロットに接続される拡張カードと、を備え、前記拡張カードが、複数のレーンからなるインタフェースを介して、ホストとの間でデータの送受信を行う送受信部を有し、該送受信部は、電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段と、前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段と、を備える構成としてある。
【0014】
さらに、本発明の障害診断処理プログラムは、複数のレーンからなるインタフェースを介してホストと接続され、前記ホストとの間でデータの送受信を行う拡張カードを構成するコンピュータを、電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段、前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段、として機能させるプログラムにより構成してある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ホスト側における障害診断機能の有無にかかわらず、拡張カード(アドインカード)側の自己診断結果にもとづいて、レーン数の切り換えを行うことにより、障害診断機能を持たないホストでも、信頼性の高いシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る拡張カードを備えた情報処理装置(コンピュータシステム)の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、本実施形態に係る情報処理装置(コンピュータシステム)は、ホストであるマザーボード1を備えた情報処理装置からなり、マザーボード1の拡張スロットを介して、拡張カードであるアドインカード2が接続されるようになっている。
【0017】
アドインカード2は、ホストとなるマザーボード1と拡張スロットを介して接続される拡張カードであり、マザーボード1を含むコンピュータシステムの各部と接続を行う配線パターンや通信制御のためのIC等(図示せず)を備えて構成され、IC等への電源供給がマザーボード1の拡張スロットを介して行われる。
ここで、本実施形態のアドインカード2のインタフェースは、PCI Expressに準拠している。
PCI Expressは、PCIバスの高速化を目指して策定されたシリアルインターフェース規格であり、具体的には1レーン当たり2.5GHz、最大64レーンを束ねて使用することで最大160Gbpsの伝送帯域を実現する大容量かつ高速なバス規格であり、様々なアプリケーションに適合できる柔軟性と高速シリアル伝送を使った大容量伝送を可能とするもので、ネットワークカード、グラフィックスカード等の拡張ボードに利用されている。
本実施形態では、アドインカード2のインタフェースとして、PCI Express規格に準拠したインタフェースを採用することにより、このような高速バス規格であるPCI Express規格の拡張カードに対応できるようになっている。
【0018】
そして、具体的には、本実施形態のアドインカード2は、複数のレーンからなるインタフェースを介して、マザーボード1との間でデータの送受信を行う送受信部3を有し、該送受信部3は、電源投入時に各レーンの自己診断を実施する自己診断手段と、自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段とを備えている。
【0019】
このように構成される本実施形態のアドインカード2により、後述するように、マザーボード1側における障害診断機能の有無にかかわらず、アドインカード2側の自己診断結果にもとづいて、レーン数の切り換えを行うようになっている。
これにより、障害診断機能を持たないマザーボード1でも、信頼性の高いシステムを構築することが可能となる。
【0020】
また、上記のレーン数切り換え手段は、自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすことが好ましい。
このようにすることで、レーン数を切り換えた後も、障害があるレーンの運用が継続される不都合を回避し、信頼性をさらに高めることができる。
また、アドインカード2の送受信部3は、切り換えられた有効レーン数をマザーボード1に認識させるレーン数認識手段を備えることが好ましい。
このようにすることで、マザーボード1側では、アドインカード2における障害の有無にかかわらず、有効なレーン数を認識し、通常通りの処理でアドインカード2の運用を継続することが可能となる。
【0021】
以下、本実施形態に係るアドインカードにより障害診断処理の手順について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るアドインカードにおける障害診断処理手順を示すフローチャートである。
この図に示すように、本実施形態のアドインカード2は、まず、システム起動後に、電源投入直後であるか否かを判断する(S1)。
そして、この判断結果がYESである場合には、各レーンの自己診断を実施する(S2:自己診断手段)。
自己診断の実施後、障害のあるレーンが存在するか否かを判断し(S3)、まず、この判断結果がYESである場合は、自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らす(S4:レーン数切り換え手段)。
その後、切り換えられた有効レーン数をマザーボード1に認識させる処理を行い(S5:レーン数認識手段)、一連の障害診断処理が終了する。
【0022】
つぎに、以上のような本実施形態に係るアドインカード2の詳細について、図3を参照しつつ説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るアドインカードの送信部を示す回路図である。
この図に示すように、本実施形態のアドインカード2は、複数のレーンからなるPCI Expressインタフェースを介して、マザーボード3との間でデータの送受信を行う送受信部3を有し、該送受信部3は、データ転送回路4、自己診断制御回路5、自己診断回路6、複数の送受信バッファ7〜10及びレーン数認識回路11を備えて構成されている。
【0023】
データ転送回路4は、複数のレーンを介してマザーボード1との間でデータの送受信を行う回路である。
具体的には、データ転送回路4は、図3に示すように、信号線101〜104を介して、PCI Expressの送信データを送受信バッファ7〜10に送出し、信号線105〜108を介して、送受信バッファ7〜10からPCI Expressの送信データを受ける。
【0024】
自己診断制御回路5は、電源投入時の自己診断動作を制御する回路である。
具体的には、自己診断制御回路5は、図3に示すように、信号線109〜112を介して、自己診断用のデータを自己診断回路6及び送受信バッファ7〜10に送出するとともに、信号線113、114を介して、自己診断中であることを示す信号を自己診断回路6及び送受信バッファ7〜10に送出する。
さらに、自己診断制御回路5は、信号線115、116を介して、折り返し制御信号を送受信バッファ7〜10に送出する。
【0025】
自己診断回路6は、自己診断時にデータの一致を確認し、その結果をデータ転送回路4に通知する回路である。
具体的には、自己診断回路6は、図3に示すように、信号線109〜112を介して自己診断制御回路5から送出された自己診断用データと、信号線105〜108を介して送受信バッファ7〜10から出力された自己診断時の折り返し信号を比較し、その結果を、信号線117を介してデータ転送回路4に送出するとともに、信号線118、119を介してレーン数認識回路11のレーン数制御用FET12、13に制御信号を送出する。
【0026】
送受信バッファ7〜10は、PCI Expressの各レーンに対応するデータの送受信を行うバッファである。
具体的には、送受信バッファ7〜10は、図3に示すように、信号線115、116を介して自己診断制御回路5から送出された自己診断時の折り返し制御信号を受け取る。また、信号線114を介して自己診断制御回路5から送出される信号にしたがって、信号線101〜104を介してデータ転送回路4から送出される通常データと、信号線109〜112を介して自己診断制御回路5から送出される自己診断用データとを切り換えて受信する。
そして、自己診断用データの受信状態では、信号線105〜108を介して、受信した自己診断用データをデータ転送回路4及び自己診断回路6に送出する。
さらに、通常動作時は、PCI Expressの各レーン信号を、信号線120〜123を介してマザーボード1へ送出し、信号線124〜127を介してマザーボード1から受信する。
【0027】
レーン数認識回路11は、マザーボード1にレーン数を認識させるための回路である。
具体的には、レーン数認識回路11は、図3に示すように、レーン数認識用入力端子であるPRSNT0#と、レーン数認識用出力端子であるPRSNT1#(X1)、PRSNT1#(X4)とを電気的に接続することで構成される。
これにより、例えば、PRSNT0#をPRSNT1#(X4)に接続し、PRSNT1#(X4)からの信号を出力すると、アドインカード2のレーン数が「4」であるとマザーボード1側で認識される。
【0028】
本実施形態のレーン数認識回路11は、図3に示すように、レーン数制御用FET12、13を備える。
レーン数制御用FET12、13は、PCI Expressのレーン数を切り換えるために、レーン数認識用端子(PRSNT Pin)の結線を制御するFETであり、自己診断回路6から信号線118、119を介して送出される制御信号にしたがって、各FET12、13を開け閉めすることにより、PRSNT0#(信号線128)を、PRSNT1#(X1)(信号線129)又はPRSNT1#(X4)(信号線130)と結線させる。
【0029】
つぎに、上述した送受信バッファ7〜10について、送受信バッファ7を例にとって、その内部構成について、図3を参照して詳細に説明する。
なお、他の送受信バッファ8〜10の内部構成は、以下に示す送受信バッファ7の内部構成と同様となっている。
送受信バッファ7は、図3に示すように、送信データ選択回路14、出力バッファ15、入力バッファ16、送信データ折り返し用FET17、18及び受信データ折り返し用FET19、20を備えて構成されている。
【0030】
送信データ選択回路14は、通常の送信データと、自己診断用データを切り換える回路である。
具体的には、送信データ選択回路14は、図3に示すように、信号線114を介して自己診断制御回路5から示される自己診断情報にしたがって、信号線101を介してデータ転送回路4から送出される通常データと、信号線112を介して自己診断制御回路5から送出される自己診断用データを切り換えて入力し、信号線131を介して出力バッファ15に送出する。
【0031】
出力バッファ15は、内部信号をPCI Expressの規格に合わせて送出するバッファである。
具体的には、出力バッファ15は、図3に示すように、信号線131を介して送信データ選択回路14から送信された通常データ又は自己診断用データを受け取り、信号線132を介して送信データ折り返し用FET17、18に送出する。
【0032】
入力バッファ16は、外部のPCI Expressの規格信号を内部信号に置き換えるバッファである。
具体的には、入力バッファ16は、図3に示すように、信号線133を介して受信データ折り返し用FET19、20から送出される通常データ又は自己診断用データを受け取り、信号線105を介してデータ転送回路4及び自己診断回路6に送出する。
【0033】
送信データ折り返し用FET17、18は、データの出力を制御するFETである。
具体的には、送信データ折り返し用FET17、18は、図3に示すように、信号線115、116を介して自己診断制御回路5から出力される制御信号にしたがって、通常転送時は、FET17のみを開けることにより、信号線132を介して出力バッファ15から送出される転送データを、信号線120を介してマザーボード1に出力する。
そして、自己診断時は、FET18のみを開けることにより、信号線132を介して出力バッファ15から出力される自己診断用データを、信号線134を介して受信データ折り返し用FET20に送出する。
【0034】
受信データ折り返し用FET19、20は、データの入力を制御するFETである。
具体的には、受信データ折り返し用FET19、20は、図3に示すように、信号線115、116を介して自己診断制御回路5から出力される制御信号にしたがって、通常転送時は、FET19のみを開けることにより、信号線124を介して、マザーボード1から受け取った転送データを信号線133に送出する。
一方、自己診断時は、FET20のみ開けることにより、送信データ折り返し用FET18から信号線134を介して出力された自己診断用データを、信号線133を介して入力バッファ16に送出する。
【0035】
つぎに、以上のような構成からなる本実施形態に係るアドインカード2の通常転送時の動作と自己診断時の動作について、図3を参照しつつ説明する。
まず、通常転送の送信時は、データ転送回路4から信号線101〜104を介して出力される送信データが送信データ選択回路14により選択され、出力バッファ15を介して信号線132に出力される。
このとき、自己診断制御回路5は、信号線115、116を介して、FET17をオープン、FET18をクローズに制御しているので、送信データは、そのまま信号線120〜123を介してマザーボード1に出力される。
【0036】
また、通常転送の受信時は、マザーボード1から出力されたデータが信号線124〜127を介して送受信バッファ7〜10に入力される。
このとき、自己診断制御回路5は、信号線115、116を介して、FET19をオープン、FET20をクローズに制御しているので、受信データは、入力バッファ16介してデータ転送回路4に送出される。
【0037】
これに対して、自己診断時は、信号線109〜112を介して、自己診断制御回路5から自己診断用データが送出される。
このとき、自己診断制御回路5は、信号線114を介して、送信データ選択回路14を自己診断側に切り換え制御するとともに、信号線115、116を介して、FET17をクローズ、FET18をオープン、FET19をクローズ、FET20をオープンに制御しているので、自己診断用データは、出力バッファ15及び信号線132、134、133を介して、入力バッファ16に入力される。
入力バッファ16は、入力された自己診断用データを、信号線105〜108を介して自己診断回路6に送出する。
【0038】
自己診断回路6は、自己診断制御回路5から信号線113を介して自己診断中であることが示されるので、信号線109〜112を介して自己診断制御回路5から受け取った自己診断用データの元データと、信号線105〜108を介して送受信バッファ7〜10から受け取った自己診断用データの折り返しデータとを比較し、これによって、各レーンの送受信バッファ7〜10が正常に動作している否かを判断する。
その結果、正常に動作していない送受信バッファ7〜10が存在する場合は、信号線117を介してその情報をデータ転送回路4に送信し、また、信号線118、119を介してFET12、13を制御することにより、PRSNT0#とPRSNT1#(X4)の結線状態を、PRSNT0#とPRSNT1#(X1)の結線状態に切り換える。
これにより、マザーボード1側からは、レーン数が1(X1)のアドインカードが搭載されているように見え、また、データ転送回路4は、1レーンのみを使ってデータを転送するように制御が変更されるので、マザーボード1は、アドインカード2における障害の有無にかかわらず、有効なレーン数を認識し、通常通りの処理でアドインカード2の運用を継続することができる。
【0039】
以上のように構成された本実施形態のアドインカード2によれば、複数のレーンからなるインタフェースを介して、マザーボード1との間でデータの送受信を行う送受信部3を有し、該送受信部3は、電源投入時に各レーンの自己診断を実施し、自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるので、マザーボード1側における障害診断機能の有無にかかわらず、アドインカード2側の自己診断結果にもとづいて、レーン数の切り換えを行うことができる。
その結果、障害診断機能を持たないマザーボード1でも、信頼性の高いシステムを構築することが可能となる。
【0040】
また、送受信部3は、自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすので、レーン数を切り換えた後も、障害があるレーンの運用が継続される不都合を回避し、信頼性をさらに高めることができる。
また、送受信部3は、切り換えられた有効レーン数をマザーボード1に認識させるので、マザーボード1側では、アドインカード2における障害の有無にかかわらず、有効なレーン数を認識し、通常通りの処理でアドインカード2の運用を継続することができる。
【0041】
また、送受信部3は、各レーンに設けられる送受信バッファ7〜10と、各送受信バッファ7〜10を介して、マザーボード1との間でデータの送受信を行うデータ転送回路4と、電源投入時に実施される自己診断の動作を制御する自己診断制御回路5と、自己診断時に各レーンの障害を検出する自己診断回路6とを備え、自己診断制御回路5は、電源投入時に、自己診断用データと、自己診断中であることを示す信号を、各送受信バッファ7〜10及び自己診断回路6に送出し、各送受信バッファ7〜10は、自己診断中であることを示す信号の入力に応じて、自己診断用データの折り返しを行い、折り返した自己診断用データを自己診断回路6に送出し、自己診断回路6は、自己診断制御回路5から送出された自己診断用データと、各送受信バッファ7〜10から送出された自己診断用データとの一致を判断し、その結果をデータ転送回路4に通知するようになっている。
これにより、各レーンの障害を正確に検出し、障害が発生したレーンを確実に切り離すことができる。
【0042】
また、送受信部3は、複数のレーン数認識用端子を有し、いずれのレーン数認識用端子から信号を出力するかにもとづいて、マザーボード1にレーン数を認識させるレーン数認識回路11を備え、自己診断回路6は、自己診断の結果にもとづいて、信号を出力するレーン数認識用端子を切り換えるので、簡単な回路構成で有効レーン数をマザーボード1に認識させることができる。
そして、アドインカード2のインタフェースは、PCI Express規格に準拠することにより、広く普及しているPCI Express規格のアドインカードにおいて、本発明の実施が可能となる。
【0043】
以上、本発明に係る拡張カード及び障害診断処理方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る拡張カード及び障害診断処理方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態に係る拡張カード(アドオンカード)は、ネットワークカードやグラフィックスカード等の各種拡張ボードにより構成することができ、ホスト(マザーボード)側の拡張スロットに挿入して実行可能な拡張カードであれば、その機能・用途・構成等は特に限定されない。
また、レーン数の切り換えが可能なインタフェースであれば、PCI Express以外のインタフェースにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、複数のレーンからなるインタフェースを有し、該インタフェースを介してホストに接続されるアドインカードに適用でき、特に、PCI Express規格に準拠したインタフェースを有するアドインカードに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアドインカードの診断処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るアドインカードの送信部を示す回路図である。
【図4】PCI Expressインタフェースを有する一般的なアドインカードの送受信部を示す回路図である。
【符号の説明】
【0046】
1 マザーボード
2 アドインカード
3 マザーボード
3 送受信部
4 データ転送回路
5 自己診断制御回路
6 自己診断回路
7 送受信バッファ
11 レーン数認識回路
14 送信データ選択回路
15 出力バッファ
16 入力バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーンからなるインタフェースを介して、ホストとの間でデータの送受信を行う送受信部を有し、
該送受信部は、
電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段と、
前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段と、を備えることを特徴とする拡張カード。
【請求項2】
前記レーン数切り換え手段は、
前記自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすことを特徴とする請求項1記載の拡張カード。
【請求項3】
前記送受信部は、
切り換えられた有効レーン数を前記ホストに認識させるレーン数認識手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の拡張カード。
【請求項4】
前記送受信部は、
前記各レーンに設けられる送受信バッファと、
前記各送受信バッファを介して、前記ホストとの間でデータの送受信を行うデータ転送回路と、
電源投入時に実施される自己診断の動作を制御する自己診断制御回路と、
自己診断時に前記各レーンの障害を検出する自己診断回路と、を備え、
前記自己診断制御回路は、
電源投入時に、自己診断用データと、自己診断中であることを示す信号を、前記各送受信バッファ及び前記自己診断回路に送出し、
前記各送受信バッファは、
自己診断中であることを示す信号の入力に応じて、自己診断用データの折り返しを行い、折り返した自己診断用データを前記自己診断回路に送出し、
前記自己診断回路は、
前記自己診断制御回路から送出された自己診断用データと、前記各送受信バッファから送出された自己診断用データとの一致を判断し、その結果を前記データ転送回路に通知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の拡張カード。
【請求項5】
前記送受信部は、
複数のレーン数認識用端子を有し、いずれのレーン数認識用端子から信号を出力するかにもとづいて、前記ホストにレーン数を認識させるレーン数認識回路を備え、
前記自己診断回路は、
自己診断の結果にもとづいて、信号を出力するレーン数認識用端子を切り換えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の拡張カード。
【請求項6】
前記インタフェースが、PCI Express規格に準拠することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の拡張カード。
【請求項7】
ホストと、
複数のレーンからなるインタフェースを介して、前記ホストとの間でデータの送受信を行う拡張カードと、を含むコンピュータシステムの障害診断処理方法であって、
前記拡張カードが、
電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施し、
前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えることを特徴とする障害診断処理方法。
【請求項8】
前記拡張カードが、
前記自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすことを特徴とする請求項7記載の障害診断処理方法。
【請求項9】
ホストとなるマザーボードと、
前記マザーボードの拡張スロットに接続される拡張カードと、を備え、
前記拡張カードが、
複数のレーンからなるインタフェースを介して、ホストとの間でデータの送受信を行う送受信部を有し、
該送受信部は、
電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段と、
前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記レーン数切り換え手段は、
前記自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすことを特徴とする請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数のレーンからなるインタフェースを介してホストと接続され、前記ホストとの間でデータの送受信を行う拡張カードを構成するコンピュータを、
電源投入時に前記各レーンの自己診断を実施する自己診断手段、
前記自己診断の結果にもとづいて、有効レーン数を切り換えるレーン数切り換え手段、として機能させることを特徴とする障害診断処理プログラム。
【請求項12】
前記レーン数切り換え手段は、
前記自己診断で障害が検出されたレーンを切り離すことにより、有効レーン数を減らすことを特徴とする請求項11記載の障害診断処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−122762(P2010−122762A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293763(P2008−293763)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】