拡張性モジュール機能を備えた複式ヒーター制御システムのヒーター制御方法
【課題】オペレーターの広範な要求に合わせて簡便、整然、および効率的に構成できるより柔軟なヒーター制御システムのヒーター制御方法を提供する。
【解決手段】ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、およびDC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、ヒーターに隣接配置された温度センサーの感知温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし前記感知温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む。
【解決手段】ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、およびDC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、ヒーターに隣接配置された温度センサーの感知温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし前記感知温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターのための電源システムおよび制御システム、例えば真空システム、処理システム、配送システム、輸送システム、および他のシステムにおいて、パイプおよび他構成要素を加熱するために用いる複数のヒーターに電気を供給および制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界において、様々な気体、液体、または固体物質をある点から別の点に導く、または移動させるのに用いられる多くの真空システム、処理システム、配送システム、輸送システム、および他システムには、パイプおよび/またはパイプ内の物質を特定温度範囲に維持するために加熱しなければならない、様々な長さ、サイズ、および形状のパイプが含まれている。これら目的または他の目的のためにパイプを加熱するパイプヒーターは、当業者に周知であり、パイプの周囲に巻かれた単純な抵抗線やテープから、参照によってここに組み入れられる特許文献1(Hauschultz et al.)が記載するような、より洗練された断熱パイプヒーター、ならびに市販されている多くのヒーター製品まで様々ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,714,738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パイプを加熱する様々な用途向けのパイプヒーターの開発に合わせて、ヒーターからの熱出力をパイプ全長にわたって制御するため、ならびにそのようなヒーターの運転を監視および制御するための、より良いパイプヒーター制御システムも必要となった。そのようなヒーター制御システムには、同様に参照によってここに組み入れられる米国特許第6,894,254号(Hauschultz)に記載されるような、多くの種類および構成が存在する。しかしながら、そのようなヒーター監視および制御システムにもやはり未解決の問題が存在する。
【0005】
例えば高温に設置した場合、パイプヒーターが作り出す熱がパイプヒーター上に直接備え付けた熱コントローラの構成要素に伝わり、それによって、そのようなコントローラの構成要素の温度を、それらを損傷または破壊する恐れのある、あるいは制御システム内の理論回路またはメモリー内のデータを改ざん、または破壊する恐れのあるレベルまで上昇させる可能性がある。幾つかの電力制御システムは、システムのヒーター構成要素と配線で接続されており、それらを迅速に交換するのを難しくしている。また、大部分の産業用パイプヒーターには温度が最高温度閾値に達すると、原因を問わずに、作業員の安全のため、資本設備への損害を防止するため、そして安全監督機関の認証を得るためにパイプヒーターへの電源を切る上限温度ヒューズまたは温度作動スイッチが装備されている。この機能は、様々な温度限界装置を用いて提供されるが、この用途に関して完全に満足できるものはない。
【0006】
例えば、標準的な市販の温度スイッチはそれらの設定ポイントの許容範囲が広いこと、および接触機構により不正確、且つ信頼性に欠けるものであり、腐食し、さらに悪い場合は近接部に自己融着して全体を動作不能にし、ヒーターの熱散逸をおこし、ヒーター要素が燃え尽きるか、火事に至る場合もある。これらの問題は、温度スイッチをヒーターおよびパイプの実温度に正確に反応させる必要がるために、それらをヒーター内部または上に配置された時には更に悪化するが、これはヒーターの高温が主たる原因となり、温度スイッチを劣化させるからである。それでも温度スイッチは、温度スイッチがヒーターまたはパイプの実際の温度に反応できなくなるために、ヒーターから離して、または遠くに配置することはできない。
【0007】
温度ヒューズはこれよりは信頼できるものであり、且つ市販されてもいるが、一度失効する、即ち「飛ぶ」または「切れる」と、それらはリセットできない。温度ヒューズは、パイプヒーター構造の中に、典型的にはそれらが確実に熱源近くで熱に曝されるようにするために加熱要素近くに埋め込まれているため、ヒーター構成要素および材料を破壊して、取り外さなければ温度ヒューズにアクセスすることはできない。それ故に、温度ヒューズが飛ぶか、または切れるとヒーターは完全に機能しなくなり、交換しなければならない。また温度ヒューズは時間と共に経年劣化し、曝される温度が高いほど早く経年劣化する。このような経年劣化によってヒューズはしばしば、より低い温度で切れるようになり、パイプヒーターの正常動作範囲内で突然切れ、それ以外は良好なパイプヒーターを使用できなくする。また、市販の温度ヒューズは嵩高で、パイプヒーター内への設置が難しい。
【0008】
幾つかの状況は、パイプの温度、即ちパイプヒーターの温度を、温度上限を超えさせ、ヒーターを暴走または制御不能にする。例えば、高温の気体または反応性化学物質をパイプシステム内に通して、該パイプシステムより上流にある処理チャンバーをパージまたは清浄化することは珍しくないが、これがパイプの温度、即ちパイプヒーターの温度を、温度上限値より高くし、それによって温度ヒューズが切られ、電力回路が遮断されてヒーターが機能しなくなることがある。温度ヒューズが切れた時にリセットまたは交換ができなければ、良好なヒーターでも、パイプヒーター自体とは無関係な日常的な維持管理作業やその他の事象によって無用になる。
【0009】
また、広範囲のパイプ構成、用途、および使用者の要求に応じるためには、接続および制御構成の両方に多くの選択肢および融通性が必要となる。各パイプの設置は難しく、多くのオペレーターは、その特別な要求に応えるために特別注文のパイプヒーターおよび制御システムを必要としているが、特別注文のパイプヒーターシステムの設計および製造は高価であり、時間がかかり、大部分の用途に適用できないことが多い。例えば、あるオペレーター達は加熱パイプシステムの中のそれぞれのヒーターに制御システムを欲するが、別のオペレーターは、ヒーターそれぞれ個別に制御する経費を回避することを選び、それに代わって単一のコントローラを用いて個別ヒーターを複数含むゾーン全体を運転する方策を採用する。このような「ゾーニング」または「シングルポイント」制御ヒーターシステムは、複雑な配線を必要とすることが多く、それが混乱を招いて誤配線の確率を高めるか、または面倒な作業に対応して誤配線を防止するために特別注文のヒーターを設計および作製することが必要になることもあり、これがコストを増大させ、システムを複雑にする。
【0010】
別の例では、あるオペレーターは、運転状態の情報を見る事ができ、遠隔地から運転パラメータを修正できるようにヒーターコントローラとの遠隔通信およびヒーターシステム遠隔制御能を必要とするが、別のオペレーターは、そのような運転状態情報を目で見て、システム内のヒーター毎に局所的に運転パラメータを修正する能力を欲する。更に別のオペレーターは、各ヒーターについて基本の、事前にプログラムされた制御を必要とする。もちろん、単一ポイント制御だけで、一群のヒーターについてこれら機能の任意の組み合わせ、または全てを欲するオペレーターもいる。
【0011】
パイプヒーターの工業的および商業的な使用に関するこれらおよび他の要求から、オペレーターの広範な要求に合わせて簡便、整然、および効率的に構成できる、より柔軟なパイプヒーター制御システムおよび配線構成要素が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のヒーター制御方法は、AC電力回路を介してAC電力から電力供給を受けるヒーターに上限温度安全停止を提供する制御方法であって、ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、およびDC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、且つ(i)ヒーターが発生する熱を検知するのに十分な近さでヒーターに隣接して配置されている温度センサーが感知した温度を、事前設定上限温度パラメータと比較し、(ii)温度センサーが感知した温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、且つ(iii)上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし温度センサーが感知した温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む。
【0013】
添付の図面は、本明細書の中に組み込まれ、その一部を構成しており、本明細書の説明を支持するために示す幾つかの例示的態様および/または構成要素を描いているが、どのような形でも請求の範囲を制限しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、オペレーターの広範な要求に合わせて簡便、整然、および効率的に構成できる、より柔軟なパイプヒーター制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】複式ヒーター制御システムにおける個別ヒーターコントローラの配置例を示す等角図である。
【図2】図1に描かれた個別ヒーターコントローラ配置に利用される主要構成要素の幾つかを示す等角図である。
【図3】図2の主要構成要素の等角図であるが、接続構成要素を描くために別の視点から見ている。
【図4】組み立てられた状態の、図1の単位ヒーターコントローラ配置の等角図である。
【図5】一点ヒーターコントローラが用いられて、マスターヒーターおよび一つもしくは複数のスレーブヒーターを具備する連結体またはゾーンを制御する複式ヒーター制御システムの例示的配置を示す等角図である。
【図6】マスターヒーターとスレーブヒーターの組み合わせのための一点制御システムに利用される、主要構成要素の幾つかを示す等角図である。
【図7】接続構成要素を描くために別の角度から見た図6の主要構成要素の等角図。
【図8】図5の組立てた状態のマスターおよびスレーブヒーター配置のための一点コントローラの等角図。
【図9】個別ヒーター制御配置または複式ヒーターコントロールシステムのマスターおよびスレーブヒーター配置を制御する一点制御と一緒に使用するために、パイプ上に取り付けられたパイプヒーターの打面図である。
【図10】T型の電源ケーブル区分の等角図である。
【図11】T型電源ケーブル区分の概略回路図である。
【図12】直線型の終端電源ケーブル区分の等角図である。
【図13】図12の直線型の終端電源ケーブル区分の概略回路図である。
【図14】スレーブアダプターケーブル例の等角図である。
【図15】図14のスレーブアダプターケーブルの概略回路図である。
【図16】T型スレーブ制御電力ケーブル区分の等角図である。
【図17】図16のT型スレーブ制御電力ケーブルの概略回路図である。
【図18】直線型の終端スレーブ制御電力ケーブル区分の等角図である。
【図19】図18の直線型終端スレーブ制御電力ケーブル区分例の概略回路図である。
【図20】ヒーターコントローラへ追加機能を提供する制御強化拡張モジュールをベースモジュールに取り付けた、基本のヒーターコントローラを例示する等角図である。
【図21】ヒーターコントローラの基本モジュールに取り付け準備状態にある制御強化拡張モジュールと、基本ヒーターコントローラの等角図である。
【図22】拡張モジュール接触パッドおよび光透過性ボス構成要素の例を描くために、別の角度から見た制御強化拡張モジュールの等角図であり、これらの機構について、よく分かるように拡大してある。
【図23】ヒーターコントローラベースモジュールに取り付け準備状態の代用ダストカバーと、基本ヒーターコントローラの等角図である。
【図24】モジュール装着装置を描くために別の角度から見た、ヒーターコントローラベースモジュールの等角図である。
【図25】図24に似ているが、装着装置はヒーターコントローラと接続する準備状態にあるヒーターコントローラベースモジュールの等角図である。
【図26】取付けに関わる構成要素を描くために別の角度から描いている図24および図25の装着装置を例示する等角図である。
【図27】複数の個別ヒーターコントローラがAC電源、および、例えば遠隔監視テーションに置かれた警報/アラームシグナル回路に接続された状態の概略回路図である。
【図28】スレーブアダプターケーブル、T型スレーブヒーターケーブル、および終端スレーブ制御電力ケーブルを介してT型電源ケーブルおよび複数のパイプヒーターに接続する、ヒーターコントローラベースユニットおよび制御強化拡張モジュールの、一点制御配置を例にした概略回路図である。
【図29】図28に類似しているが、コントローラは終端電源ケーブル区分に接続する概略回路図である。
【図30】図1〜4に描いたような単一パイプヒーターまたは複数の局所制御配置についても実施可能な、多制御強化拡張モジュール、T型電源ケーブル、およびパイプヒーター構成要素がヒーターコントローラベースユニットに直接接続するヒーターコントローラベースユニットの概略回路図である。
【図31】図30に類似の概略回路図であるが、個々のヒーター制御の配置を描くために、高電圧および低電圧回路が終端制御電力ケーブルによってコントローラに直接接続されており、図中のヒーターは、唯一のヒーターであるか、または一連の、複数の個別に制御されるヒーターの一つとして制御される最後のヒーターである。
【図32】ヒーターコントローラのロジック例を描いた理論流れ図である。
【図33】図30に類似しているが、PTCサーミスタ温度センサーを備えた上限制御回路例を描いた個別ヒーター制御配置の概略回路図である。
【図34】図33に類似の、PTCサーミスタ温度センサーを備えた別の上限制御回路例概略回路図である。
【図35】スレーブアダプター接続箱の等角図である。
【図36】別の角度から見た図35のスレーブアダプター接続箱の等角図である。
【図37】図35および36のスレーブアダプター接続箱の概略回路図である。
【図38】図28に類似の概略回路図であるが、図28に描かれたスレーブアダプターケーブルに代わって図35〜37のスレーブアダプター接続箱が描かれている。
【図39】電源接続箱例の等角図である。
【図40】別の角度から見た図39の電源接続箱例の等角図である。
【図41】図39および40の電源接続箱の概略回路図である。
【図42】図39および40の複数の電源接続箱にデイジーチェーン接続されている複数のヒーターコントローラの等角図である。
【図43】複数の幹線出口コネクタを備えた、別の電源接続箱の例を示す等角図。
【図44】別の角度から見た電源接続箱の等角図である。
【図45】図43および44の電源接続箱の概略回路図である。
【図46】弾性バネバイアスタブを具備したコネクタ保持機構を例示するために、コントローラの入口コネクタに刺し込む前の状態の、T型電源ケーブルの分岐出口コネクタを備えたコントローラベースモジュールおよび拡張モジュールの等角図である。
【図47】分岐出口コネクタがコントローラ入口コネクタに刺し込まれた状態の、分岐出口コネクタおよびコントローラ入口コネクタ用のラッチおよび弾性バネバイアスタブの断面図である。
【図48】弾性バネバイアスタブのバイアス力に抗してラッチレバーが回転し、ラッチレバーが開放された状態にある、図47に類似の断面図である。
【図49】固定バイアス力を提供するための板バネが描かれている図47に類似の断面図である。
【図50】固定バイアス力を提供するためのコイル圧縮バネが描かれている図47に類似の断面図である。
【図51】固定バイアス力を提供するための弾性圧縮材が描かれている図47に類似の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および5に一般的に描く複式ヒーター制御システム10は、例示の構成要素によって容易化される可撓性の拡張可能なモジュール方式に基づいており、様々な構成要素およびシステムの構成要素の組み合わせを組み合わせ、様々な方法で接続することができ、ヒーター監視および制御構成の要望に応えることができる。システム10は、二つの基本構成−例えば図1に描かれる個別の局部ヒーター制御構成12、および、例えば図5に描かれる、ゾーンまたは連結構成14内にある複数のヒーター向けの一点制御配置に関係して最も良く記載される。これら基本ヒーター制御システム構成12、14の多の組み合わせおよび変形は、以下の実施例の態様および構成要素の記載を読むことにより当業者に明らかになるように、システム10の主要構成要素から選択された一部または全てを用いて作ることができる。
【0017】
複式ヒーター制御システム10は、他種のヒーターにも同様に用いることができるが、図1および5に描かれるように、主にパイプヒーター16向けに設計されている。それ故に本記載は便宜上、複式パイプヒーターに関連して進めるが、それは他の種類のヒーターにも同様に当てはまることを了解するものとする。
【0018】
個別の局所ヒーター制御構成12について図1を参照すると、複数のパイプヒーター16が示されている。それらは、典型的には、以下により詳細に記載されるように、パイプ(図1〜4には示していないが、図9に例示されている)の上に取り付けるように配置および配列される。この態様では、各ヒーター16に個別にコントローラ20がある。それ故に、図1〜4に描かれているように、各コントローラ20は、各ヒーター16に直接接続し、ヒーター16内のヒーター要素32(図9)に高電圧ACライン(電源)電力を送り、且つ制御すると同時に、コントローラ20が接続する各ヒーターの中の温度センサー50、52(図9)からの温度情報を引き出す。こうして各コントローラ20は、それが接続している個別ヒーター16の中の温度センサー50、52に反応して、以下により詳細に説明するように、コントローラ20の設定に従って高電圧電力をオン・オフする。それ故に、コントローラ20によりヒーター16に送られた高電圧AC電力は、時に、本明細書では「制御AC電力」と呼ぶが、一方、コントローラが受け取るAC電源からの高電圧AC電力は、本明細書では「電源AC電力」、「AC電源電力」、または単に「電源電力」と呼ぶことがある。これに関係しては、用語「高電圧」は、30ボルトより高い電圧を意味する。例えば、典型的なヒーターは、通常110〜120ボルト、220〜240ボルト、440〜480ボルト、または具体的に設置されたヒーターの生産要求を満たすのに十分な電力を提供する他の全ての電圧により電力供給を受けることが多い。ACは、交流電流を意味し、電流は50ヘルツ、60ヘルツ、またはヒーター内の加熱要素に電力を送るのに用いられるその他任意の電流周波数でよい。
【0019】
個別の局所ヒーター制御構成12に含まれる複数のコントローラ20は、高電圧AC電源13(図27)にデイジーチェーン接続されており、それは、その中に電源AC電力をコントローラ20に供給するための高電圧電力ライン、および任意の目的に用いることができ、以下より詳細に説明する低電圧温度範囲警報シグナルが通る低電圧シグナルラインの両方が収められているT型電源/シグナルケーブル26を使って、遠隔監視および/またはコントローラ(図27)に結合できる。本記載での用語「低電圧」は、一般的には、30ボルトを超えない任意の電圧を意味する。また、図1および4に示すように、任意の数の追加ヒーター16およびコントローラ20のアッセンブリは、追加のT−型電源電力/シグナルケーブル26を使って一つにデイジーチェーン接続することができ、直線型電源/シグナルケーブル(図1〜4には示されていないが、以下に記載する)を使って、デイジーチェーンの最後のコントローラ20に接続することができる。
【0020】
また個別に制御されるヒーター16およびスレーブヒーター16'の任意の組み合わせも適応できる。例えば、図5〜8に示すように、追加の個別制御ヒーター16および/またはスレーブヒーター16'の追加の一点制御ゾーンを、T型の電源電力ケーブル26に接続することができる。
【0021】
例示の態様および実施を更に詳しく記載する上で、例示のヒーター内の、しかしこれらに限定されない、ヒーター要素および温度センサーを参照することは役に立ち、理解の助けとなる。一般的には、これらシステムが制御できるヒーターには、多くの種類、材料、および構造が存在する。それ故に、本発明は、特定のどのヒーターまたはヒーター構造にも限定されない。しかしながら、説明を簡単にするために、図9の断面図に、パイプPに装備した、パイプヒーター30の例を示す。このパイプヒーター16は、共に参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,714,738号および第6,894,254号に記載されているパイプヒーターに多くの類似点を有しているが、いくつか異なるまたは追加の機能もあり、これらについても以下に説明する。
【0022】
簡単に説明すると、図9のパイプヒーター16の例は、高密度シリコンゴムヒーターマット30を、その中に抵抗ワイヤーまたは他の抵抗性の発熱材料が埋め込まれる加熱要素32と一緒に具備する。加熱要素32は、その中を、通常は、110〜120ボルト、220〜240ボルトといった標準の高電圧レベル、または具体的な用途に必要な熱を発生させるのに十分な電力を提供する他の電圧レベルで電流が流れると熱を発生する。ヒーターマット30は、低密度、独立気泡シリコンゴムフォームまたは任意の他の好適絶縁材料から成る断熱ヒータージャケット36で覆われている。ストラップ38を備えた締め付け固定具36(図1〜8)を準備して、ヒーター16をパイプPまたは加熱対象となる他の構成要素上の所定位置に固定することができる。
【0023】
ヒーター16は、高電圧電力ライン42、44を加熱要素32からのリード線46、48と接続する空所40を有する。二つの、熱電対、サーミスタ、または他の好適な温度感知装置のような温度センサー50、52は、ヒーターマット30の、またはその近くの温度を検出できるようにヒーターマット30近くのフォーム絶縁材34の中に埋め込まれる。以下により詳しく記載するように、温度センサーの一つ、例えば温度センサー52からのシグナルは、コントローラ20によって通常運転または工程ヒーターの制御機能に用いられ、もう一方の温度センサー、例えば温度センサー50からのシグナルは、コントローラ20によって、温度上限の制御に用いられる。一つの温度センサーをこれら機能の両方に用いることもできるが、二つの温度センサーに冗長性、特にコントローラ内の工程温度センサーおよび/または工程制御回路がヒーター制御できず、ヒーターが暴走状態になった時に、ヒーターの電源を切る高温制限機能に対し冗長性を提供することはより望ましい。幾つかの安全性認証機関は、安全性証明にこのような冗長性を必要とする。
【0024】
第一(「上限」)温度センサー50向けの低電圧ワイヤー54、56、および第二(「工程」)温度センサー向けの低電圧ワイヤー58、60は、空所40の中および可撓性コード62の中を通り、ケーブルコネクタ、例えばMolex(登録商標)コネクタに送られる。ブーツ66は、可撓性コード62をパイプヒーター16に固定し、空所40を覆う。ヒーターコード62は、任意の所望長でよい。いくつかの態様では、コード62は、コントローラ20(図1〜8)およびコネクタ64をヒーター16から十分離して設置し、コントローラ20への熱損傷を、特に高温適用時に回避できる長さである。当然、図1〜8に示すように、コントローラ20は、コネクタ64を通してパイプヒーター16に、個別ヒーターコントローラ構成14については図1〜4に描かれているように直接、または以下により詳細に記載するように、スレーブアダプター22およびスレーブヒーターケーブル24(図5)および184(図18)を介して接続される。
【0025】
複式ヒーター制御システムの個々の構成要素部分の構造の説明に進む前に、ここで図1および9と併せて図27を参照すると、そこにはシステムの電気構成要素および機能の幾つかが概観されており、以下に記載する他の構成要素および機能の理解に役立つ。そこで、図1および9を参考に参照すると図27から分かるように、複数のコントローラ20を個別に、第一ではあるが排他的ではなく各ヒーター16に接続して、所望する特定の温度範囲内でヒーター16を運転し続けるようにするために、制御されたAC電力をヒーター16に送ることができる。
【0026】
デイジーチェーン接続した一連のケーブル区分25、26、108は、デイジーチェーン形式に一つに接続し、コントローラ20にAC電源電力を送る電源電力中継線を形つくる。コントローラ20は、次にAC電力をオン・オフして、ヒーター16が所望温度を維持するために熱を発生させる必要があるときに制御されたAC電力ヒーター16に送る。コントローラ20は、トライアックのようなソリッドステートスイッチでよい工程動力スイッチ装置302をメカニカルリレー306と共に使用してAC電力をオン・オフしてアーク放電および熱発生を最小限に留めるか、または他の任意の制御可能なスイッチと共に使用して、制御されたAC電力を発生させることができる。制御AC電力の増減を調節するために、バリアック変圧器のような可変式電源コントローラを使うこともできるが、それら装置はスイッチ装置に比べるとはるかに大型で、嵩高で、効果である。ヒーター16内の第二(工程)温度センサー52からの温度シグナルフィードバックを利用する温度工程動力スイッチ装置302を、以下に詳細に記載する。
【0027】
第一(上限)温度センサー50がヒーター16の温度が異常なレベルまで上昇したことを感知した時に、ヒーター16へのAC電力を遮断するための高温制限スイッチ(上限スイッチとも呼ばれる)300も備えられる。このような異常な温度レベルは、工程動力スイッチ302、工程温度センサー52、または工程制御回路296(図28)の故障によるか、あるいは何らかの外的原因、パイプの高温でのパージもしくは洗浄サイクル、またはその他の原因によるものであろう。温度センサー50からの温度フィードバックまたは入力上限スイッチ300の制御は、一度AC電力が切られると、オペレーターの介入があるまでその状態に保つラッチング機能を含めて、以下に詳しく記載される。
【0028】
デイジーチェーンで接続された一連のコントローラ20のどれか一つが、それが制御しているヒーター16が所望する、または必要とされる運転温度範囲を超えるか、または低い温度であることを検出すると、遠隔監視ステーションで警報/アラームを発する、警報/アラーム機能も具備する。例えば、パイプP(図9)を化学的工程、輸送、または他の加工活動について一定の温度範囲内に維持する必要があるならば、この警報/アラーム機能17は遠隔地の監視ステーションに居るオペレーターに、いずれか一つのコントローラ20がその温度範囲外のヒーター16温度を検出したことを知らせることができ、且つ/または、当業者が了解するように、装置のインターロック19にシグナルを発して、ヒーター16が、全て製造温度が所望範囲内に入るまで、運転を妨げるか、装置の電源を落とすことができる。様々な構成要素および機能、例えばDC電源21、導通検出器31、シグナル回路23、および警報/アラーム17は、一カ所に置いても、または数カ所に置くこともでき、従って本記述での用語「遠隔監視ステーション」の使用はただ便宜上のものであり、記載の構成要素または機能を限定せず、一カ所または任意の単一構成もしくは集合体に集めて描かれる。
【0029】
この警報/アラーム機能(温度範囲シグナルとも呼ばれることがある)を実行するために、遠隔監視ステーション15の低電圧DC電源21は、デージーチェーンケーブル区分25、26、108を介して全てのコントローラ26に達する一対の伝導体27、29を具備するシグナル回路23に低電圧DC電位を提供する。低電圧は、一般的に30ボルトを超えないと見なされ、用語は、本明細書ではそのように用いられる。それ故に30ボルトを超えるものは全て高電圧である。伝導体の一つ、例えば伝導体29は、各コントローラ20を通り伸び、そこでリレースイッチ310の対向側の終端に直列接続される。それ故に、どのコントローラ20の、直列接続されたどのリレースイッチでも回路を開くことができ、即ちシグナル回路23内に電流がながれないようにできる。逆に、シグナル回路23を閉じるためには、全てのコントローラ20の全てのリレースイッチを閉じなければならない。本明細書で使用する用語「リレースイッチ」は、コントロールシグナルを入力してスイッチを開くおよび/または閉じることができる、即ちスイッチを介して電流を遮断および/または流すことができる、あらゆるスイッチ、機械式、またはソリッドステートを意味する。
【0030】
遠隔監視ステーション15に関連する導通検出器31は、シグナル回路23が開いているか閉じているか検出する。いずれかのリレースイッチ310が開かれるか、またはデージーケーブル25、26、108の接続が切断されるか、または遮断されることにより起こることがある、グナル回路の開放が検出されると、導通検出器31は、警報/アラーム17および/または装置インターロック19、あるいはオペレーターが望む任意のその他装置または機能に送るシグナルを生成する。換言すると、本明細書を読むことで当業者に明らかになるように、導通検出器31からのシグナルを用いて、警報/アラーム17を始動できるか、またはそれを用いて使用中の装置を停止することができる。この機能を実行できる様々な導通検出器、例えば電流検出回路、電圧検出回路等は容易に入手でき、当業者に周知であるか、または当業者は容易に組み立てることができることから、この機構を理解するための更なる説明は必要ない。便宜上、シグナル回路23は、シグナルは装置のインターロックおよび他の目的にも用いることができるが、「警報/アラームシグナル回路」または「温度範囲シグナル回路」と呼ぶが、これらに限定されない。
【0031】
各コントローラ20のリレースイッチ310は、コントローラ20内の工程制御回路(図28)により開閉が制御され、前記制御回路は工程温度センサー52からの温度情報を用いて、そのコントローラ20に接続するヒーター16で感知された温度が所望の運転範囲内にあるか決定する。そうでない場合、それはリレースイッチ310を開くシグナルを出力し、これがシグナル回路23を開放する。開放シグナル回路23は、導通検出器31により検出され、検出器は警報/アラームシグナルを生成する。リレースイッチ310は、当業者に周知なように、機械式リレーでもソリッドステートリレーでもよい。
【0032】
コントローラ20を、遠隔監視ステーションにあるAC電源13および温度警報/アラーム回路23に電気的に接続するためのデイジーチェーン接続構成要素は、図1〜4および27に示すように、T型電源/シグナルケーブル区分26(「T型電源電力/シグナルケーブル」または「T型電源電力ケーブル」または略して「T型電源ケーブル」)を少なくとも一カ所、および直線終端型直線電源電力/シグナルケーブル区分108(「直線型電力/シグナル終端ケーブル」または「直線型終端電源電力ケーブル」または略して「終端電源ケーブル」)を少なくとも一カ所を具備する。T型電源ケーブル26は、デイジーチェーン接続シリーズの中の第1中間コントローラ20をAC電源13、および警報/アラームシグナル回路と接続するのに用いられる。終端電源ケーブル108は、デイジーチェーン接続シリーズの最後のコントローラ20を、図1〜4および27に示すように、T型電源ケーブルを介してAC電源13および警報/アラームシグナル回路に接続するのに用いられる。第1T型電源ケーブル26は、それが十分近くにある場合には直接接続でき、または図27に示すように、必要な長さの、自由選択的な直線型電源電力/シグナル延長ケーブル(「電源電力/シグナル延長ケーブル」または略して「電源延長ケーブル」)25を使って、図27に概略的に示すように、第1T型電源ケーブル26を監視ステーション15に接続することができる。
【0033】
AC電源電力を、デイジーチェーン接続した一連のコントローラ20に提供する機能、およびコントローラ20のそれぞれのリレースイッチ310を通して警報/アラームシグナル回路23を上記したように経路指定する機能を実施するには、T型電源ケーブルおよび直線型電源ケーブル108(および必要時には自由選択的な電源延長ケーブル25)を、これらの電気的機能を提供するだけでなく、整然とした外観を提供するように組立てられ、構成される。該構造及び構成は、AC電力電源および警報/アラームシグナル回路23を所望する数のコントローラ20と、ほとんど間違えようなく接続できるようにする。図27に示すように各終端電源ケーブル108はまっすぐに進み、一組の高電圧ワイヤー114、116(「AC電力ワイヤー」または略して「電力ワイヤー」)および一組の低電圧ワイヤー118、120(略して「シグナルワイヤー」)が入口コネクタ110から終端電源ケーブル108を通り出口コネクタ112まで途中まっすぐに伸びる。
【0034】
一本のケーブルからの四つのワイヤーを、もう一方のケーブルの四つのワイヤーに接続できれば、どのようなタイプのコネクタも用いることができる。Molex(登録商標)コネクタは、四組、六組、またはそれ以上の組の高電圧および低電圧ワイヤーのペアを、もう一方の構成要素上にある対応するコネクタと一方向でのみ嵌合し、その結果不適切な接続はできないような構成で利用できることから有用である。またオスおおびメスピンは共に被覆されており、間違ってそれを短絡することもない。本明細書では、便宜上、これに限定されないが、用語「入口」は、AC電源電力を受けるコネクタ端またはケーブル端を指すのに用い、用語「出口」は、AC電源電力を送り出すコネクタ端またはケーブル端を指すのに用いられ、これらコネクタ端またはケーブル端が低電圧シグナルを受け取り、且つ/または送り出すかは問わない。
【0035】
直線型終端電源ケーブル108の場合、入口コネクタ110は、AC電源電力ワイヤー114、116用の少なくとも二本の電力ピン、およびシグナル回路ワイヤー118、120用の少なくとも二本のシグナル回路ピンを有し、且つT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と嵌合するように構成されている。遠隔監視ステーション15の出口コネクタ35は、デイジーチェーンの構成要素25、26、108に電源電力を送り、且つシグナル回路23をこれらの構成要素と接続するが、これもT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と同じに構成される。それ故に、終端電源ケーブル108の入口コネクタ110は、ヒーターシステム内に一つだけコントローラ20が存在する状況で監視ステーションの出口コネクタ35に刺し込むことがけができる。
【0036】
以下詳細に論じるように、終端電源ケーブル108は、シグナル回路23は閉じることができるように、デイジーチェーン接続列の中の最後のコントローラ20、またはコンロローラが一つだけの場合には唯一のコントローラ20を遠隔監視ステーション15に接続するのに用いなければならない。終端がT型電源ケーブル26で終わるデイジーチェーンは、全てのコントローラ20内のリレースイッチ310が全て閉じていてもいなくとも、シグナル回路23を開いたままにし、これによりシグナル回路23は上記の意図する目的に関して動作不能になるだろう。
【0037】
終端電源ケーブル108の出口コネクタ112もまた電源電力ワイヤー114、116用の少なくとも二本の電力ピン、およびシグナル回路ワイヤー118、120用の少なくとも二本のピンを必要とし、それはコントローラ20の入口コネクタ140と嵌合するように構成されている。コントローラ20の入口コネクタ120は、それぞれT型電源ケーブル26および終端電源コネクタ108の入口コネクタ82、110とは異なる構成を有しており、従って終端電源ケーブル108の出口コネクタ112も、T型電源ケーブルの幹線コネクタ86と異なっていなければならず、且つ遠隔監視ステーション15にある出口コネクタ35とも異なっていなければならない。このコントローラ20の入口コネクタ140の構成を変えるのは、コントローラ毎に一つのAC電源電力ケーブル区分を順序正しく使用させるためのものであり、使用者にとって使い易くするためである。もちろん望ましい場合には、コントローラ20の入口コネクタ140は、入口コネクタ82、110と同じ構成でもよい。
【0038】
T型電源ケーブル26は、上記したように、第1コントローラおよび任意の中間コントローラ20を、遠隔監視ステーション15にある電源電力回路33およびシグナル回路23に接続するのに用いられる。各T型電源ケーブル26は、入口コネクタ82と幹線出口コネクタ86の間に伸びる幹線区分83、および前記幹線区分83から分岐出口コネクタ78まで伸びる分岐区分85を有する。図29に最もよく見られるように、幹線電力ワイヤーは、入口幹線セグメント70の電力ワイヤー86、88および出口幹線セグメント72の電力ワイヤー90、92から成り、幹線入口コネクタ82と幹線出口コネクタ86の間を途切れずに伸びている。分岐電力ワイヤー89、91は、幹線電力ワイヤー87、88および分岐コネクタ78と、電気的に並列接続されており、従ってコントローラ20が分岐区分85に接続されると、コントローラ20の電力伝導体290、292を含む電力回路は、別のデイジーチェーンに接続された幹線電力ワイヤー87、88およびコントローラ20の電力伝導体290、292を含む電力回路と電気的に並列接続する。図10、11に示すT型電源ケーブル26では、分岐ワイヤーはコネクタ78それ自体の中では非常に短いジャンパーであり、あるいはそれらは、ワイヤー87、88とワイヤー90、92とをピン2、1で、またはそれらの近くで結線することによって排除することもでき、これらは全て当業者が了解するものと均等である。
【0039】
入口幹線区分70および出口幹線区分72内のシグナルワイヤー98、102は一つに接続され、分岐セグメント85および分岐出口コネクタ78を電気的に迂回して、T型電源ケーブル26の幹線83を通り、入口コネクタ82から出口コネクタ86まで電気的に連続的に伸びる。しかしながら、T型電源ケーブル26内のシグナルワイヤペアの別のシグナルワイヤー100、104は、幹線区分83を迂回して、分岐区分85を通り、分岐出口コネクタ78内にある、それぞれ別々のピンまで伸びる。それゆえに、分岐出口コネクタ78をコントローラ20に接続すると、シグナル回路23はコントローラ20内のリレースイッチ310を通り、直列的に伸びる。この様式で複数のコントローラ20をデイジーチェーン接続した場合、全てのコントローラ20の全てのリレースイッチ310は伸びたシグナル回路23の中を直列接続されるために、上記説明したとおり、シグナル回路23を閉鎖するには、全てのコントローラ20内にある全てのリレースイッチ310を閉じなければならない。分岐出口コネクタ72は、コントローラ20の入口コネクタ140と嵌合するように構成されており、幹線出口86は入口コネクタ82と嵌合するように構成されており、任意の数のT型電源ケーブル26を一つにデイジーチェーン接続して、上記に説明したように、シグナル回路23の連続性を維持しながら、電源電力を任意の数のコントローラ20に送ることができる。
【0040】
これも上記したとおり、図27に示す延長電源ケーブル25は、デイジーチェーン構成要素26、108を、遠隔監視ステーション15の電源電力33およびシグナル回路23に接続するのに必要などのような長さでも提供できる。電力ワイヤーのペア93、95、およびシグナルワイヤーのペア97、99は、遠隔監視ステーション15の出口コネクタ35と嵌合するように構成されている入口コネクタ101から、T型電源ケーブル26の入口コネクタ82および終端電源ケーブル108の入口コネクタ110と嵌合するように構成されている出口コネクタ103まで電気的に連続して伸びている。
【0041】
次に、主に図10を、図1〜9と併せて参照すると、T型電源ケーブル26は、バンド74によって一つにまとめられて、整然としたT型のコイル状の電源電力ケーブル区分26を形つくる二つのコイル状の幹線ケーブルセグメント70、72を具備できるが、絶対に具備しなければならないわけではない。幹線ケーブルセグメント70、72は共に、共通の分岐ケーブルコネクタ78で終わるそれぞれの端部74、76を有する。入口幹線ケーブルセグメント70のもう一端80は、入口ケーブルコネクタ82で終わり、出口幹線ケーブルセグメント72のもう一端84は、出口幹線コネクタ86で終わる。上記論じたように、任意の好適なケーブルコネクタ、例えばMolex(登録商標)コネクタを用いることができる。
【0042】
図11は、T型電源ケーブル26の概略回路図である。各幹線セグメント70、72は、電源電力をコントローラにおくるために、少なくとも二本の電力ワイヤー、例えば幹線セグメント70に電力ワイヤー86、88を、幹線セグメント72に電力ワイヤー90、92を収容する。入口幹線ケーブルセグメント70内の電力ワイヤー86、88は、幹線入口コネクタ82のピン1、4および共通分岐出口コネクタ78のピン1、4で終わる。出口幹線ケーブルセグメント72の電力ワイヤー90、92は、幹線出口コネクタ86のピン1、4、および共通分岐出口コネクタ78のピン5、6で終わる。電源、例えばAC電力供給装置13(図27)からの電源電力は、通常は幹線出口コネクタ82を介して入口幹線セグメント70に接続され、且つ両幹線セグメント70、72は共通分岐出口コネクタ78(図1〜8を参照)を介してコントローラ20に接続されており、従って電源電力は共通コネクタ78のピン1、2を介してコントローラ20に供給される。しかしながら、上記説明した幹線出口コネクタ86にデイジーチェーン接続できる他のコントローラ20およびパイプヒーター用の幹線出口コネクタ86のピン1、4に電源電力を供給するために、迂回接続94、96を備え、電力ワイヤー86、88を出口幹線ケーブルセグメント72の電力ワイヤー90、92に接続する。
【0043】
入口幹線セグメント70内の低電圧シグナルワイヤーの一つ、例えばワイヤー98は、出口幹線セグメント72内の対応するシグナルワイヤー102に直接接続され、入口幹線セグメント70のコネクタ82のピン3は出口幹線セグメント72の幹線出口コネクタ86のピン3と電位が等しくなる。しかしながらこれらのシグナルワイヤー98、102は分岐出口コネクタ78を迂回するため、それらはコントローラ20には接続しない。しかし入口幹線セグメント70の別のシグナルワイヤー100は、幹線入口コネクタ82のピンを分岐コネクタ78のピン4に接続する。同様に、出口幹線セグメント72の別のシグナルワイヤー104は、幹線出口コネクタ86のピン6を共通分岐出口コネクタ78のピン8に接続する。その結果コントローラ20は、二本のシグナルワイヤーを具備する単一回路を閉じるか、または開けてシグナルワイヤーを具備した閉鎖回路を維持または中断し、例えば、コントローラ20がヒーターに問題を検出した時に、回路導通検出器にシグナル回路23が開いていることを検出させ、上記したように遠隔監視ステーション15(図27)の警報/アラームを始動させるか、または別の機能を始動させることができる。幹線入口コネクタ82の未使用のピン2、5、共通分岐出口コネクタ78の未使用のピン3、7、および幹線出口コネクタ86の未使用のピン2、5は随意選択的であり、且つ高電圧AC電源による低電圧シグナルへの電気的ノイズまたは干渉を避けるために、高電圧と低電圧の接続部間の空間的距離を維持するために利用してもよい。
【0044】
図12に示す直線型の終端電源電力ケーブル106は、上記したように、AC電源電力およびシグナル回路23を、デイジーチェーン接続した複数のコントローラ20中の最後のコントローラ20または、場合によってはコントローラを一つだけ備えたヒーターシステムの唯一のコントローラに接続するのに用いられる。それは、整然とした構造を維持するように、好ましくはコイル状にされたケーブルを一本含むが、これは絶対ではない。それは、一端はT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と嵌合する入口コネクタ110で終わり、且つもう一端は、コントローラ20の入口コネクタ140(図20〜21および29)と嵌合する、制御電力ケーブル26の分岐出口コネクタのような出口コネクタ112で終わる。図13の概略回路図に示すように、この終端電源ケーブル106は、T型電源ケーブル26と同様に、少なくとも二本の電力ワイヤー114、116および少なくとも二本のシグナルワイヤー118、120を具備する。電力ワイヤーは入口コネクタ110のピン1、4を出口コネクタ112のピン2、1に接続し、シグナルワイヤーは入口コネクタ110のピン3、6を出口コネクタ112のピン8、4に接続する。終端電源ケーブル106は、T型電源ケーブル26を使用するのに代わって、AC電力電源13(図27)からの電源電力および遠隔監視ステーションからのシグナル回路23を、デイジーチェーン接続されたコントローラ列の最後のコントローラ20に提供するのに用いられるが、これは、以下にさらに詳しく述べるように、デイジーチェーンの端部のT型電源ケーブル26では二本のシグナルワイヤーが接続されないまま残されるため、常に電圧は開放回路状態の電圧となり、これが温度範囲警報/アラームシグナル機能の作動を妨げるからである。
【0045】
図5〜8に示すゾーン型のマスターおよびスレーブヒーター向けの一点制御構成14では、一点コントローラ20は、スレーブアダプター、例えば図33〜36に関係して以下に記載するスレーブアダプターケーブル22またはスレーブアダプター接続箱324を介して一つまたは複数T型制御スレーブケーブル24に接続し、一点コントローラ20により、ヒーターの連結列またはゾーン中にある複数のヒーター16、16'を制御する。ゾーン内の第1ヒーター16は、スレーブアダプターケーブル22により一点コントローラ20と接続しており、コントローラ20はその第1ヒーター16内にある温度センサー50、52(図9)に反応してゾーン内のマスターヒーター16および残りのスレーブヒーター16'の両方を制御することから、該ゾーンのマスターヒーターと見なされる。ゾーン内の、マスターヒーター16以外の残りのヒーター16´は、スレーブヒーターと呼ばれるが、それは、これらヒーターが単にAC電力のスイッチをオンまたはオフにすると加熱する、または加熱しない、即ちコントローラ20に温度のフィードバックを提供することなくコントローラ20によって制御されるからである。便宜上、T型制御電力スレーブケーブル24は、コントローラ20から制御を受けたAC電力をスレーブヒーター16'に流すことからそのように称し、これに対し上記したT型電源電力ケーブル26は、コントローラ20にAC電源電力を流す。
【0046】
典型的な形で設置されたマスターヒーター16およびスレーブヒーター16'は通常、便宜のため、および標準化のために同一であり、本明細書では一例としてそのように図示し、記載されているが、本発明の全ての態様が同一のマスターヒーターとスレーブヒーターが必要としているわけではない。スレーブヒーターは、マスターヒーター16のマスター機能と異なるそれらのスレーブ機能を示すために、本記載では便宜上16ではなく16'で示す。以下により詳しく説明するように、スレーブヒーター16'内の温度センサー50、52(図9)は、たとえそれらが存在しても用いられない。それ故に、スレーブヒーター16'は、望まれるならば、温度センサー無しで作ることもでき、それでも本発明に使用できる。しかしながら、上記したように、スレーブヒーター16'は、マスターヒーター16と同一でよく、その場合スレーブヒーター16'をコントローラ20に接続するのに用いられるスレーブヒーターケーブル22、24、184は、スレーブヒーター16'内の温度センサー50、52(図9)を分離してこれら温度センサーからのシグナルがコントローラ20に送られないように構成され、そうすることによって、以下により詳細に説明するように、スレーブヒーター16'の温度センサー50、52はシステム内で実際には作動しないようにする。
【0047】
図5および8に示すように、一つのコントローラ20が制御する連結列またはゾーン内のスレーブヒーター16'の数は任意でよい。ゾーン内の連続するスレーブヒーター16'は、追加のT型制御スレーブケーブル24、および図5〜8には図示していないが、以下に詳しく説明する終端制御ケーブル184(図18)によって、図1および4に示すようにデイジーチェーン様式でT型制御スレーブケーブルに単純に接続することができる。
【0048】
手短に述べると、T型制御スレーブケーブルだけが、スレーブヒーター16'内のヒーターコイル(図9および32に)電流を流す。スレーブヒーター16'に電力を供給する電流は、コントローラ20によって制御されており、コントローラがスレーブヒーター16'への電力のスイッチを入れると、それらは発熱する。コントローラ20がスレーブヒーター16'への電力のスイッチをオフにすると、それらは発熱を止める。どのスレーブヒーター16'からもコントローラ20に温度情報は送られない。
【0049】
マスターヒーター16も、コントローラ20が電力のスイッチを入れると発熱し、コントローラ20が電力のスイッチをオフにすると発熱を停止する。しかしながら、コントローラ20は、マスターヒーター16内の温度センサー50、52(図9および32)から温度情報も受け取り、マスターヒーター16内で感知された温度レベルに反応して電源をオン・オフにする。かくして、マスターヒーター16内の感知温度が、コントローラ20の設定に対して低いとコントローラは電源を入れ、するとゾーン内の全てのマスターヒーターおよびスレーブヒーター16、16'は一斉に作動する。同様に、マスターヒーター16内の感知温度が、コントローラ20の設定に対して高いと、コントローラ20は電源をオフにし、ゾーン内の全てのマスターヒーターおよびスレーブヒーター16、16'は一斉にオフになる。
【0050】
電力は、T型電源電力ケーブル26を経て図5のコントローラに送られる。T型電源ケーブル26は、外観的にはT型制御電力スレーブケーブル24に似ているが、それは、上記したように一組の高電圧電力ワイヤーに加えて少なくとも一組の低電圧シグナルワイヤーを有しているが、一方T型制御電力スレーブケーブル24は、スレーブヒーター16'内のヒーター要素に電力を送るための高電圧電力ワイヤーの組は有しているが、上記の警報/アラーム用のシグナル回路ワイヤーは有していない。
【0051】
図14に示すスレーブアダプターケーブル22は図5〜8に示すように用いられて、上記したように、コントローラ20をマスターヒーター16および一つまたは複数のスレーブヒーター16'に接続する。スレーブアダプターケーブル22は、二つのケーブルセグメント、マスター制御電力ケーブルセグメント126、およびスレーブ制御電力ケーブルセグメント128から成り、これらは電源からコントローラへとは逆に、コントローラ20から制御された(例えばスイッチをオン・オフにして)電力を流すことから便宜上そのように呼ばれる。マスター制御電力ケーブルセグメント126の一端127は、入口コネクタ130で終わり、入口コネクタはヒーターコード62の入口コネクタ64(図1〜9)と同様に、AC制御電力を加熱要素32に送る少なくとも2本の高電圧ワイヤー、およびマスターヒーター16内の二つの温度センサー50、52(図9)用の二組のシグナルワイヤーに対応する(図5〜9)、少なくとも6本のピンを有する。いくつかの態様では、シグナルワイヤーは低電圧でよいが、一方他の態様では、以下に詳細に記載するように、上限制御に用いる温度センサーの種類によっては少なくとも一組のシグナルワイヤーは高電圧でもよい。それ故に入口コネクタ130は入口コネクタ64と同一の構成でよく、これは個別の局部ヒーター制御構成に関する図1〜4に示すように、コントローラ20の出口コネクタ142に直接ヒーターコード62を接続するか、またはマスターおよびスレーブヒーターを具備するゾーンの一点制御構成に関する図5〜8に示すようにスレーブアダプター22を介してコントローラ20にヒーターコードを接続する選択肢を提供する。マスター制御電力ケーブルセグメントのもう一端129は、共通出口コネクタ132に終り、これはコントローラ20の出口コネクタ142と同様に(図3、7、20、21)ヒーターコード62の入口コネクタ64と嵌合できるように構成されており、これもヒーター16を個別ヒーター16制御のためのコントローラ20に直接接続するか、または一点制御構成12のためにスレーブアダプター22に接続する選択肢を提供する。スレーブケーブルセグメント128は、スレーブヒーター16'に電力を供給するための高電圧電力ワイヤーを2本含むが、それは以下に詳細に説明するように、温度センサー50、52のためのワイヤーを有してはならない。スレーブケーブルセグメント128の一端136は共通出口コネクタ132に終わり、他端138はスレーブ出口コネクタ134に終わる。
【0052】
スレーブアダプター22に関する図15の概略図に示し、且つ上記したように、マスターケーブルセグメント126は、少なくとも2本の電力ワイヤー144、146を有し、それらは入口コネクタ130のピン1、5を、マスターヒーター16内のヒーター要素32(図1〜4および9)に高電圧AC電力を提供するための出口コネクタ132のピン1、5に接続する。マスターケーブルセグメント126はまた、それぞれマスターヒーター内の温度センサー50、52を一点コントローラ20(図5〜8)に接続するための(図9)2組のシグナルワイヤー、例えばワイヤー148、150の第1ペアおよびワイヤー152、154の第2ペアを有する。シグナルワイヤーのペア148、150は、入口コネクタのピン4、8を出口コネクタ132のピン4、8に接続し、もう一方のシグナルワイヤーのペア152、154は、入口コネクタ130のピン3、7を出口コネクタ132のピン3、7に接続する。しかしながら上記したように、一点制御構成14中のコントローラ20(図5〜8)は、温度情報をマスターヒーター16だけから得て、スレーブヒーター16'からは得ない。それ故にスレーブケーブルアダプター22のスレーブケーブルセグメント128は、シグナルワイヤーを必要としない。それは制御された高電圧電力をスレーブヒーター16'に提供することを唯一の機能としており、従ってスレーブケーブルセグメント128は図11に示すように2本の高電圧電力ワイヤー156、158を含む。また、スレーブケーブルセグメント128中にシグナルワイヤーを持たないことにより、スレーブケーブルアダプター22の使用は、自動的にデイジーチェーン中の後続ヒーターの温度センサー50、52を隔離し、これにより後続ヒーターはスレーブヒーター16'となる。更には、スレーブケーブルセグメント128中にはどのようなシグナルワイヤーも存在しないため、出口コネクタ134はコネクタ130、132に比べ簡素であり、ピンの数は少ない。また、この異なる構成を有する小型の出口コネクタ134は、一点コントローラ20に二つ以上のヒーター16のンドセンサー50、52を不注意に接続することになる、電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブル106のスレーブアダプターケーブル22への誤接続を防止する。小型の、異なる構成のコネクタ134は当然、後続のスレーブヒーターケーブル24、184に小型の嵌合相手コネクタ172、190を必要とし、これについては以下に詳しく論じる。これら小型コネクタ172、190も、上記したように、シグナルワイヤーを持たないスレーブケーブル区分24、184が、シグナルワイヤーを有する電力/シグナル幹線ラインに不注意に接続するのを防止する。
【0053】
図15に示すように、スレーブアダプターケーブル22の高電圧電力ワイヤー156、158は、コネクタ130、132のピン1、5を出口コネクタ134のピン1、3に接続され、コントローラ20から入口コネクタ130を通り提供される高電圧電源電力は、マスターヒーター16用の出口コネクタ132およびスレーブヒーター16'用の出口コネクタ134にも提供される。この場合もコネクタ130、132のピン2、6は使用されず、高電圧接続とシグナル接続の間に空間を提供する。出口コネクタ134のピン2、4は使用されない。
【0054】
T型制御電力スレーブケーブル24は、図16に最も良く見られ、その概略回路図を図17に示す。このT型制御電力ケーブル24は、二つの幹線セグメント160、162を具備するが、これらは好ましくは、しかし必須ではない、バンド164と一緒にコイル状にまとめられて整然とした構造を作り上げ、維持する。上記したように、このT型制御電力ケーブル24だけが、高電圧制御電力をスレーブヒーター16'に送るため(図5〜8)、これら第1および第2スレーブ幹線セグメント160、162は高電圧電力ワイヤー166、168を含むが、それらはどのようなシグナルワイヤーも含んではならない。更には、T型制御電力スレーブケーブル24内にシグナルワイヤーがないため、ヒーターにコントローラ20を直接接続する代わりに、これらT型制御電力スレーブケーブル24を選択および使用してヒーターへの制御AC電力を得ると、自動的にヒーターの温度センサー50、52は隔離され、その結果ヒーター機能はマスターヒーター16ではなくスレーブヒーター16'となる。また上記のT型電源電力ケーブル26の分岐出口コネクタ78は、上記例示態様のT型制御電力スレーブケーブル24の分岐出口コネクタ170と異なる構成を有するため、T型電源電力ケーブル26は、シグナルワイヤーを有するが、ヒーターに接続することはできない。
【0055】
T型制御電力スレーブケーブル24の各幹線セグメント160、162の一端は、共通分岐出口コネクタ170に終わり、入口幹線セグメント160の他端は、入口デイジーチェーンコネクタ172に終わるが、一方スレーブ出口幹線セグメント162は幹線出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174に終わる。スレーブ入口デイジーチェーンコネクタ172は、スレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口デイジーチェーンコネクタ134と嵌合するように構成される(図5〜8および14)。幹線出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174は、スレーブアダプターケーブル22のデイジーチェーン出口コネクタ134と同一に構成され、どのようなT型制御電力ケーブル24も、スレーブアダプターケーブル22またはもう一つのT型制御電力ケーブル24のどちらかに接続できる。
【0056】
共通スレーブヒーター出口コネクタ170は、ヒーターコード62の入口コネクタと嵌合するように構成されており、それは高電圧電力をスレーブヒーター16'に送ることができる(図5〜8)。それ故に、たとえT型制御電力ケーブル区分24がシグナルワイヤーを有しても有さなくとも、共通スレーブ分岐出口コネクタ170は、ヒーター16'の入口コネクタ64に嵌合できるように、スレーブアダプターケーブル22の出口コネクタ132およびコントローラ20の出口コネクタ142と同一の構成を持つ。図17に示すように、スレーブ入口幹線セグメント160内の高電圧制御電力ワイヤー176、178は、入口コネクタ172のピン1、3を共通分岐出口コネクタ170のピン1、5に接続するが、これはスレーブアダプターケーブル22出口コネクタ132内のピン1、5への高電圧電力接続と同じである。入口幹線セグメント160の高電圧電力ワイヤー176、178は、出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174のピン1、3に高電圧電力を提供するために、出口幹線セグメント162の高電圧電力ワイヤー180、182にも接続する。図17に示すように、分岐出口コネクタ170には多数の未使用ピン2〜4および6〜8が在るが、これらはピン3、7、および3に接続するシグナルワイヤーを持たず、ピン8はパイプヒーター16'の温度センサー50、52を隔離し、それらがコントローラ20と接続するのを防止しており、これによりヒーターをスレーブヒーター16'として機能させる。
【0057】
それ故にこの記載より、同一のヒーターが(i)個別局所ヒーター制御構成中の個別制御ヒーター16、(ii)一点ヒーター制御構成中のマスターヒーター16、または(iii)一点制御構成中のスレーブヒーター16'のいずれかとして用いることができることは明らかであろう。この選択を行うため、またはこれら機能を実行するために、コントローラ20またはヒーター16のいずれにも改良または変更は必要とされない。ヒーターの所望機能−個別制御、マスター、またはスレーブ−は、(i)ヒーターを個別制御ヒーター用のコントローラ20に直接接続する、(ii)ヒーターをマスターヒーター16について、スレーブアダプター、例えばスレーブアダプターケーブル22を介してコントローラ20に接続するか、または(iii)ヒーターを、スレーブヒーター16'について、スレーブヒーター制御電力ケーブル区分24を介してコントローラ20に接続するかを選ぶだけで実行される。
【0058】
ヒーターをスレーブヒーター16'として機能させる選択は、一点ヒーター制御構成では、ヒーターゾーン中の最後のスレーブヒーター16'について終端処理した制御電力ケーブル184を用いることによっても実行できるが、これは図18に最もよく示されており、その概略回路図は図19に示されている。要点を述べると、終端処理した制御電力ケーブル184は、T型制御電力ケーブルの入口幹線セグメント160(図16)と実質的に同一である。それは2本の高電圧電力ワイヤー186、188、T型制御電力ケーブル24の入口コネクタ172と同一である入口コネクタ190、およびT型制御電力ケーブル24の出口コネクタ170と同一である出口コネクタ192だけを有する。高電圧電力ワイヤー186、188は、入口コネクタ190のピン1、3を出口コネクタ192のピン1、5に接続する。使用時、出口コネクタ192はヒーターの入口コネクタ64に接続され、そうすると、出口コネクタ192のピン3、7および4、8に接続するシグナルワイヤーが存在せず、上記したようにヒーター内の温度センサー50、52(図9)は隔離されるために、それはスレーブヒーター16'となる。入口コネクタ190は、スレーブヒーター16'が一つしか存在しない場合には、スレーブアダプターケーブル22の出口コネクタ134に接続できるか(図5〜8および14)、またはヒーター16'が2個以上のスレーブヒーター16'列の最後であるときにはT型制御電力ケーブル24のコネクタ174に接続できる。
【0059】
コントローラ20はモジュラー式であり、従ってパラメータが工場で事前に設定された簡素な配置で用いることも、あるいは必要に応じて、拡張してより多くのユーザーインターフェイスおよび設定可能なパラメータオプションに対応することもできる。図20〜23に最も良く見られるように、制御措置20は、(i)ヒーター16の温度センサー50、52(図9)を監視すること、(ii)ヒーター要素への高電圧電力のスイッチを、工場事前設定温度パラメータおよび履歴現象に従ってオン・オフすること、(iii)工場事前設定上限温度限界に従って加熱事象時に高電圧電力を切断すること、(iv)高温事象によって高電圧電力が切断されたならば、遠隔監視ステーションへの警報シグナルを始動させること、および(v)複数の状態インジケータ、例えば低温、高温、ヒーターへの規格内高電圧電力送電のオンまたはオフ、および高温事象による高電圧電力切断を含むが、これらに限定されない工場事前設定パラメータを持つコントローラ20の基本機能に必要な回路構成要素を含むベースモジュール200を有する。
【0060】
再設定可能パラメータ、データ通信、システムの監視、アルファベット−数字視覚表示能力等のような追加の機能性およびユーザーインターフェイスは、図21および22、ならびに図2、3、6、および7に示すように、拡張モジュール202をベースモジュール200に取り付けることによって追加できる。図21および22に示す例示の拡張モジュール202は、図21および22に示す、拡張モジュールそのものへの入力から、または通信構成要素もしくは以下に説明する他の通信手段を介して遠隔地からのユーザー入力を処理する回路を備えている。それはまたベースモジュール内の工程制御回路、およびいくつかの態様では高温限界制御回路296、298(図29)とも連絡して、ベースモジュール200に組み込まれた調整能力のレベルおよび特別な拡張モジュール202に組み込まれた能力のレベルに応じてベースモジュール200の一部または全ての機能を確認、設定、リセット、および監視することができる。図21に示すように、拡張モジュール202は、筐体208の透明な正面部分206を通して視認できるアルファベット−数字表示装置204、ユーザー入力ボタン210、212、214、および状態LED表示部216、218、220を有し、これらは全てについては以下でより詳しく論ずる。拡張モジュール202は更に、遠隔ステーションとデータの授受を行う、および/またはデイジーチェーン接続システム内の別のコントローラ20とデータの授受を行うためのデータライン通信ポート222、244を有することができる。これらの機能をより少なく、またはより多く持つ様々な拡張モジュールも作ることができ、ユーザーは各自のヒーター制御システムに望まれる、または必要とされるものに応じて、特定の能力および機能を一括して持つ特別な拡張モジュールを選択して取り付けることもできる。また拡張モジュールには、当業者により了解されるように、必要に応じて赤外線、RF、または他無線通信手段のような無線通信構成要素、およびそれを実施するための構成要素(未表示)を含めることもできる。それ故に、図面に示す通信ポートおよび構成要素は例示であり、限定または制限的な態様ではない。
【0061】
拡張モジュール202は、図21および22に最もよく示すように、複数の、例えば三つの、拡張モジュール202の背面234から突き出たラッチドッグ222、224、226を、ベースモジュール200の正面パネル228内にある嵌合ラッチ孔228、230、232に合わせて、適切に嵌め込むことによって非常に簡単に取り付けられる。それは、ベースモジュール200から拡張モジュール202を引っ張り、離すだけで簡単に取り外すことができる。
【0062】
ベースモジュール200内の回路盤は、一連の電気接点、例えば接点236のパッド、または任意の他好適なプラグレセプタクル、および正面パネル238の開口部246近くに複数の、例えば三つのLED240、242、244を有する。対応する、整列配置された嵌合接点アッセンブリ248または好適なプラグは、拡張モジュール202の回路ボードからリアパネルを通り突き出ており、拡張モジュール202をベースモジュール200に正しく嵌め込むと、これらは開口部246を通り突き出て接点パッド236上の嵌合相手の電気接点と接触するかベースモジュール200内のプラグレセプタクル内に入り、拡張モジュール202はベースモジュール200と電気的に接触し、電力を受け取り、データ通信を行う。また、拡張モジュール202内の回路盤には複数の、例えば三つの透明な、または少なくとも半透明なボスまたは導波管が存在しており、それらは正面206上の表示部216、218、220と一列に並び、且つそこから伸びて、後パネル256からベースモジュール200に向かって突出する。これらの突出したボス250、252、254は、ベースモジュール200内のLED240、242、244と一列に並んでおり、かくして拡張モジュール202をベースモジュールに正しく嵌め込んだ時は、ボス250、252、254はLED240、242、244に隣接して配置され、それらはLED240、242、244からの光を正面206の表示部240、242、244に伝える。
【0063】
ベースモジュール200を拡張モジュール202なしに単独で作動させる時は、図23に最もよく見られるように、開口部246からベースモジュール200内にホコリや破片が侵入しないように拡張モジュール200に代わってベースモジュール200にダストカバー258が提供され、嵌め込まれる。ダストカバーも、ラッチ孔228、230、232と一列に並び、嵌め込まれてベースモジュール200にダストカバーを正しく保持する、拡張モジュール202のものに類似したラッチドッグを有する。ダストカバー258は、ボス250、252、254に類似するが、より短い三つのボス260、262、264を有し、これらはダストカバー258の正面から孔246に入りLED240、242、244まで伸び、LEDからの光をダストカバーの正面に送り、状態表示する。
【0064】
当然、拡張モジュール表示部またはダストカバー表示部のどちらかに、より多くの、またはより少ないLED状態表示器を提供してもよい。本明細書に記載する例示態様の拡張モジュール202上の三つのLED状態表示器216、218、220およびダストカバー258上の三つのLED状態表示器260、262、264は、例えば、コントローラ20が、ヒーターが作動せず、例えば工程温度センサー52が感知する温度が高すぎる、もしくは低すぎるといった様な注意を必要とする状態を検出した時には「警報/アラーム」となり、「範囲内」モードはヒーターの温度が事前に設定した所望運転範囲内なることを示し、且つ「アウトプット」モードはヒーターへの制御AC電力が流れていることを、即ちヒーターにアウトプットされていることを示す。
【0065】
上記のように拡張モジュール202には、本明細書に記載した機能、能力、および/または特徴をより多く、またはより少なく装備またはプログラムできる。また一部の拡張モジュール202は、これら機能、能力、および/または特徴が他の拡張モジュール202に比べてより多く、または少なくして作ることもできる。また拡張モジュール202の一つを一つのベースユニット200から別のベースモジュールに移動させて、第1コントローラのパラメータをチェックおよび/またはリセットし、次に第2および/または任意の番号の追加ベースモジュール200のパラメータをチェックおよび/またはリセットすることもできる。このように、必要ならば、単一の拡張モジュール202を、必要に応じて一つまたは複数のベースモジュール200に使用できる。
【0066】
コントローラ20および付属の配線を、電子的構成要素を損傷することがある高温のヒーターから隔離するのを補助し、整然としたデイジーチェーン接続配列を維持するのを補助するために、コントローラ20には、図24〜26に最も良く見られるような通常の壁掛け式ブラケット270および背面パネル274に嵌合固定ソケット272が備えられる。ブラケット270は、複数の放射状に伸びる耳276を有し、これらはソケット272内の隣接するセクタープレート間を、それらに一致して放射状に伸びるスロット278の中に滑入する大きさに作られる。次に、コントローラ20を回転させると耳276はセクタープレートガイド280の下に補足されて、ブラケット270はソケット272から引き抜くことができなくなる。ブラケットには複数の受け板があり、これらは耳276の後方で軸方向に途切れており、ブラケット270をソケット272に刺し込むとセクタープレートと接し、コントローラ20をソケット272の軸284の回りを回転させると該セクタープレートガイド280は、耳276と受け板272の間に補足されてブラケットをソケット272内にしっかり、安全に保持する。
【0067】
使用時、壁掛け式ブラケット270は、横材288の孔286を通したネジまたは他固定具(未提示)により、壁または他の構造(未表示)に固定できる。あるいは、ブラケット270は、ストラップ、ワイヤー、テープ、または横材288の回りに巻かれる他の材料(未表示)によって、物体、例えばヒーターに固定できる。次にコントローラ20は、ブラケット270近くに、軸284上でブラケット270と軸方向に一列に並ぶようにして配置してから、ブラケット270に向けて軸方向に押し、耳276をスロット278の中を通してソケット272に入れる。次にコントローラ20を軸284の回りを回転させて、図24に示すようにブラケット270の所定位置に固定する。コントローラ20は、この段階を逆に実施することでブラケット270から容易に外すことができる。
【0068】
一つの態様での機能および制御論理は、図32の論理流れ図と一緒に、図28〜31の概略回路図を主に参照することで記述できる。図28の概略回路図は、図5〜8に描き、上記した一点ヒーター制御構成の本発明の複式ヒーター制御システム10を描く。簡単に説明すると、マスターヒーター16は、コントローラ20のベースモジュール200に繋がるスレーブアダプターケーブル22を介してコントローラ20に接続する。コントローラ20は、高電圧電力電源、例えばAC電力電源と、コントローラ20に接続しているT型電源電力ケーブル26によって接続する。鼓電圧電源電力は、コントローラ20内では高電圧伝導体290、292によって表されるT型電源電力ケーブル26中の高電圧ワイヤー86、88によってコントローラ20に送られる。コントローラ20では、高電圧電源電力は、工程制御チップ296に低電圧DC電力を供給するDC電源294、図28〜31に示す態様の上限値制御チップ298、および接触パッド236もしくはプラグレセプタクル(未表示)に分岐し、拡張モジュール202が装備されている場合には、拡張モジュール202も利用できる。高電圧制御電力は出口コネクタ142へも送られ、そこから該電力はスレーブアダプターケーブル22、T型スレーブ制御電力ケーブル、およびスレーブ終端制御電力ケーブル184を介してヒーター16、16'に送ることができる。マスターヒーター16およびスレーブヒーター16'では、コントローラ内の伝導体290、292からの高電圧制御電力は、高電圧ワイヤー42、44によってヒーター要素32に伝えられる。
【0069】
図28〜31の概略図に示す例示のコントローラ20の態様では、上限制御回路298は、マイクロプロセッサのようなデジタル論理回路を含むように描かれており、それは上限カットオフ機能を実行させるようプログラムできる。このようなデジタル論理的な上限制御回路では、一つの高電圧伝導体292は出口コネクタ142に直接繋がれ、そこからそれは各ヒーター16、16'内の高電圧ワイヤーに直接接続する。しかしながら、もう一方の高電圧伝導体290は、二つのスイッチ装置300、302を通して配線される。第1スイッチ装置300は、第2スイッチ装置302の前方にあり、上限制御回路298内のマイクロプロセッサまたは他の論理回路によって制御され、全てのヒーター16、16'および第2スイッチ302を含む、第1スイッチより後にあるあらゆるものへの高電圧電流を遮断し、オフにする。それ故に、上限制御298が、過剰温度事象などにより第1スイッチ300を開くと、該リレースイッチより下流にある全てのものは、第1スイッチ300がリセットされるまで作動できない。この説明に於いて、「上流」および「前方」は、電気がやってくる、例えばAC電源から見た側、方向、または相対位置を指す。補完的な形で、「下流」または「の後」または「後方」は、供給源から遠ざかる側、方向、または相対位置、例えば電力がある構成要素等から離れる場合の方向を指す。
【0070】
第1高電圧電力スイッチ300は、通常は開いており、従ってそれを閉じるには電力(リレーコイルを通る電流)を必要とする機械式リレーが好ましいが、絶対ではない。また一度該電力スイッチ(リレー)300が開かれた場合、オペレーターまたはユーザーの介在なしには電力スイッチ30はリセット(閉じる)できないことが好ましいが、必須ではない。換言すると、ヒーターの温度が下がた時、リレースイッチ300は自動的にリセットまたは閉じない。そのかわりにオペレーターまたはユーザーは、コントローラ20を再始動させてヒーターに制御電力を送るには、リレースイッチ300をリセットする(閉じる)何らかの作業を積極的に行わなければならない。上限スイッチ300には、トライアックのようなソリッドステートスイッチはより抵抗性であり、より不要な熱を発生させ、不要なパワードレインとなることがあるために、機械式リレースイッチが好ましいが、必須ではない。
【0071】
通常のラッチリレー装置は上記の機能を果たすことができるが、この種のヒーター制御の用途に用いることができる通常のラッチリレー装置は大きく、嵩高な装置であり、運転に第2コイルおよび大きな電力を必要とする。それ故に、本発明の態様は、ヒーター温度が上限温度限界より低くなった後も、オペレーターまたはユーザーが介入するまで、普通の、通常開放している機械式リレースイッチを開いた状態に配置する上限制御回路298を具備する。本明細書では、普通の、通常開放している機械式リレースイッチをヒーター制御システム10内でこの様式で機能させることができるいくつかの例示的な上限制御回路298、一つのデジタル回路、および二つのアナログ回路が挙げられている。
【0072】
普通の、通常開放している機械式リレースイッチは、バネで開放モードまたは開放位置にバイアスされている(片寄らされている)少なくとも一揃いの電気接点、および通電されるとバネのバイアスを上回る磁場またはバイアスを生じさせて接点を閉じるコイルを有するリレースイッチである。コイルへの電力供給がオフになると、電流はコイルの中を全くながれないか、またはバネのバイアスを上回る十分に強力な磁場もしくはバイアスを生じさせるには十分でない場合、バネのバイアスが接点を再開する。
【0073】
上限機械式リレースイッチ300を制御して上記のように機能させる上限制御回路298の一例としては、図28〜31のコントローラ20の概略回路図の中に概略を示したデジタル理論マイクロプロセッサまたは他の回路が挙げられる。この例では、上限回路298のマイクロプロセッサまたは他理論回路は、始動すると、一連の始動理論段階を進めるようにプログラムされており、その段階としては、(i)第1(上限)温度センサー52が感知した温度を事前設定された上限温度と比較する段階、および(ii)感知した温度が事前設定した上限温度以上でないときは、通常開放しているリレースイッチ300を閉じるシグナルを発生させる段階が挙げられる。例えば、該シグナルを低電圧ゲート、ソリッドステートスイッチ、例えばトランジスタ(未表示)に送り、低電圧DC電流を機械式リレースイッチ300のコイルに流させて、それを閉じさせることができるが、これに限定されない。もし感知した温度が事前設定した上限温度以上であるならば、始動理論はリレー電源スイッチ300を閉じるシグナルを発生しない。それゆえに一つの実施例では、もしリレー電源スイッチ300が閉じられないならば、リレー電源スイッチ300が開かれた後でそれを閉じるためには、感知温度が事前に設定した上限温度を超えていない時に、上限制御回路に動力を供給するDC電流をいったん遮断してから再投入し、それをリブートするか、または理論を再始動させなければならない。このような上限制御回路298へのDC電流の遮断または除去は、様々な方法で達成できる。例えば、図8の実施例で上限制御回路298を作動させるDC電流を供給するDC電源294は、AC電力導線290、292の中のAC電力に組み込まれているため、上限制御回路298からのDC電力の除去は、AC電源からコントローラ20のプラグを抜くか、または接続を絶つことによって簡単に達成できるが、これは同時にDC電源294への電力も遮断することになり、これにより上限制御回路298からも電力が除去される。次に、AC電源へコントローラを再接続すると、上限制御回路298への電力供給が再開され、それによりコントローラはリブートされて、その始動理論を再度進行させ、もし始動理論が感知温度は事前設定上限温度以上でないと判定すると、上記したようにリレー電源スイッチ300を閉じる。当然、上限回路298へのDC電力を投入・遮断する別の方法も提供でき、例えば、DC電源294の前方、またはDC電源294と上限回路298の間に手動作動スイッチ(未表示)を備えることもできる。上限制御回路298に好適な理論回路としては、例えばAmtel Corporation, San Jose, Californiaが製造したATmega168マイクロプロセッサが挙げられるが、記載した機能を実施するようにプログラムできる他の集積回路チップも商業的に容易に入手でき、且つ当業者に周知である。
【0074】
この場合も、本実施例の目的は、上限制御回路298によってオフにされたヒーターを再始動するためにオペレーターまたはユーザーの積極的な関与を必要とし、それによってオペレーターまたはユーザーが、ヒーターを再始動して無人稼働させる前に、上限によるヒーターの遮断の原因をチェックさせるようにすることである。同時に、上記したような様式で制御される、即ち事前に決定した上限温度、またはその近くの温度において、信頼できる形でヒーターへのAC電力の供給を実施または遮断することができ、且つオペレーターの簡単な介入によって再度閉じることができる機械式リレースイッチ300の使用は、交換を必要とするか、またはヒーターを使用不可能にするヒーターの温度ヒューズの欠点を回避する。それはまた、通常のラッチ式リレーの欠点、例えば大きな嵩高のパワードレインも回避し、且つそれはソリッドステートスイッチの欠点、例えば抵抗、発熱、およびパワードレインを回避する。更には上記のデジタル回路の実施では、上限温度またはパラメータは調節可能であり、これはユーザーに追加の選択肢および柔軟性を提供する。
【0075】
当業者が知るように、パラメータがある値「以上」であるか、または該値「より大きい」場合にある動作を起こす理論段階の間の差は、プログラマー選び使用する特定の理論命令文を除いて、在ったとしてもほとんど実施的でない。同様に、パラメータがある値「以下」であるか、まさに該値「未満」である場合の差も、在ったとしてもほとんど実質的ではない。換言すると、例えば上限回路の理論段階が、感知温度が事前設定上限温度パラメータ以上であるときにリレー300を開くシグナルを発生させると記述または要求しているとすると、それは感知温度が上限温度パラメータを超える時、即ちそれより大きい時にリレー300を開くシグナルを発生させることに等しい。それ故に特別指示しない限り、>=は、>に等しく、およびその逆も成り立つと考え、かつ<=は<に等しく、その逆も成り立つと考える。
【0076】
マスターヒーター16内の温度が上限制御298に設定された上限温度より低くとどまっている限り、第1スイッチは閉じたままであり、ヒーター16、16'は、例えば熱電対またはサーミスタでよいマスターヒーター16の第2温度センサー52からの温度シグナルに基づいてコントローラ20の工程制御296によって制御される。図28に示すように、第2温度センサー52からのシグナルは、ヒーター16内の低電圧ワイヤー58、60およびスレーブアダプターケーブル22(図15)を通る低電圧ワイヤーのペアによりコントローラ20内の増幅器306に送られ、そこで前記シグナルは工程制御296での使用に合わせて調整および増幅される。
【0077】
原則的には、工程制御296は、図32により詳細に示すように、第2温度センサー52が感知する温度を、工程制御296内に設定された所定の範囲内に維持するために、第2電力スイッチアンセンブリ302を動作させてヒーター16、16'への高電圧AC電力を流したり遮断したりする。図28に描かれた態様例のスイッチアッセンブリ302は、二つのスイッチ、例えば機械式リレースイッチ303およびソリッドステートトライアックスイッチ305を具備し、一緒になってアーク放電および発熱を最小化する。トライアック305は、リレースイッチ303が閉じる直前、例えば約20ミリ秒前にオンになり、機械式リレースイッチ303の接点の最初の閉鎖時に起こるリレースイッチ303のアーク放電を最小化する。その後トライアック305は、例えば機械式リレースイッチ303が閉じた約20ミリ秒後にオフとなり、言い換えればリレースイッチ303閉鎖中のトライアック305内の熱発生およびヒーター16、16'への制御AC電力の伝達を回避する。次にトライアック305は再度リレースイッチが開く直前にオンになり、開く際のリレースイッチ303内のアーク放電を最小化する。これらの機能は、当業者が理解するように、工程制御回路296によって制御される。機械式リレースイッチおよびトライアックパワースイッチは、当業者には周知であるように、多くのサイズおよび構成のものが多くのメーカーから容易に購入できる。
【0078】
工程制御296は、例えば情報を処理して、拡張モジュール202とベースモジュール200巻の情報のやり取りを知らせるグリーン、アンバー、および赤色のLED光ディスプレイ240、242、244を動作させること、ならびに第1スイッチ300の状態に関する表示および出力を処理するために上限制御からのシグナルを受け取ることを含むが、これらに限定されない、図32により詳しく示す多くのその他機能も提供する。工程制御回路はAmtel Corporationが製造するATmega168も具備できるが、無数の他のマイクロプロセッサもこれら、およびその他機能に役立つことは当業者に周知であり、且つ容易に入手できる。
【0079】
工程制御296が提供する機能の一つは、遠隔監視地に送られ、ヒーターまたはヒーター列16が所望の温度範囲内で作動していることを確認するための温度範囲シグナル(時には「警報/アラーム信号」とも呼ばれる)を作りだすために、温度入力情報を処理することである。この機能は、多くのユーザーに役立つだろう。例えば、ヒーターの温度が、上記の上限温度に関係してもしなくともよい特定の所望作動範囲外の時、この電子的温度範囲シグナルは、連動装置のための機構(図27)、即ち熱を特定の温度範囲内に維持するために、ヒーター16の適切な作動に依存している産業工程を抑制または中断する機構を始動させるのに用いることができる。このような電子温度範囲シグナルに関する別の使用は、遠隔地のオペレーターに、ヒーターまたはヒーター群が所望作動範囲外であること、即ち低く過ぎるか熱過ぎることを知らせる通知またはアラーム機能を作り出すことである。もちろん、このような電子的温度範囲または「範囲外」シグナルの使用は、これらの例に限定されない。
【0080】
本発明では、電子温度範囲シグナル(「警報/アラーム信号」とも呼ばれる)を実施するために、コントローラ20内に工程制御296によって操作できる電子リレー装置310が提供される。ヒーター16の所望温度範囲は、工場で事前設定されるか、またはユーザーが決定し、工程制御296内にプログラムされる。該範囲は、絶対温度または上下限界値で設定できるか、あるいはいくつかの運転温度設定に関する増分値でよく、この値はオペレーターの要求により固定することも、浮動させることもできる。
【0081】
遠隔監視装置15(図27)から供給される30ボルト以下のような低電圧は、コントローラ20がコントローラ20のデイジーチェーン列の最後のコントローラであるか、またはシステム内の唯一のコントローラかに応じて、上記説明し、図10〜13に示したように、T型電源電力ケーブル区分26内に収められた低電圧ワイヤー98、100、および/または102、104、ならびに/あるいは終端電源電力ケーブル区分106内の低電圧ワイヤー118、120を介してコントローラ20に送られる。
【0082】
コントローラ20では、低電圧シグナル伝導体の一つは、図28のトレース312、314で示すように、T型電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブル106(図28には未表示−図12〜13を見よ)に戻される前に、リレー装置310を通る経路を辿る。遠隔地にある遠隔監視装置15(図27)は、T型電源電力ケーブル26内の低電圧ワイヤー98、100、および/または102、104、ならびに/あるいは終端電力ケーブル106内の低電圧ワイヤー118、120に、これら低電圧ワイヤーの電圧および/または電流を監視するために接続される。例えば、一つまたは複数のT型電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブルを介して遠隔監視装置に接続された全てのコントローラ20内のリレー装置310が全て閉じられているならば、電流は流れ、且つ/または電圧は低下するだろう。一方、いずれかのコントローラ20内のいずれか一つのリレー装置310が開いているならば、いずれかの電源電力ケーブル26、106内の低電圧ラインに電流は流れず、且つ/あるいは電圧は最高電圧、即ち遠隔監視装置15が低電圧ワイヤーに送る開放回路電圧である。このような電圧および/または電圧状態は、遠隔監視ステーション15内の連続検出器によって監視され、これにより検出器は全てのコントローラの全てのリレー装置310が閉じられているか、即ち全てのヒーター16が所望温度範囲内で動作しているか(閉鎖シグナル回路状態)どうか検出でき、またはヒーターの少なくとも一つが所望温度範囲内で作動していない(開放シグナル回路状態)であることを示すことができる。これにより、本明細書より、何故、図10〜11および28に示すようなT型電源電力ケーブル26ではなく、図12〜13に示すような終端制御電力ケーブル106を介してデイジーチェーン接続列の中の最後または唯一のコントローラ20を遠隔監視装置に接続しなければならないかが明らかになるだろう。具体的には、最後のT型電源電力ケーブル26に接続されているコントローラ20がなければ、低電圧シグナル回路は未接続コネクタ112、例えば図28の未接続ワイヤー102、104において常に開放されることになり、ヒーター16が所望範囲外で作動していると誤って表示してしまう。直線型の終端電源電力ケーブルは、図29に示すように、この問題を防止する。
【0083】
まとめると、T型電源電力ケーブル26とデイジーチェーン接続している列の中の各コントローラ20、および終端電源電力ケーブル106と接続する該列中の最後のコントローラ20は、所望温度動作範囲内にプログラムされている。コントローラ20の制御工程296がその温度センサー52または両温度センサー50、52が所望温度範囲外の温度をしめしていないと判断する限り、制御工程回路296はリレー装置310と閉鎖し続ける。しかしながら、もしコントローラ20が感知した温度情報から、ヒーター16が所望温度範囲内で作動していないと判定すると、それはリレー装置310を開き、そうすることによって低電圧シグナル回路を開くが、これは遠隔監視値15に在る連続検出器31によって検出できる。これに反応して、連続検出器31からのシグナルは、上記したように、所望の目的に合ったアラーム、通知、および/または制御もしくは停止シグナルを発することができる。
【0084】
同様に上記論じ、且つ図28に見ることができるように、マスターヒーター16内の温度センサー50、52は、スレーブアダプターケーブル22によってコントローラ20に接続しており、コントローラ20はこれらマスターヒーター16内の温度センサー50、52からのシグナルを上記工程に用いる。しかしながらいくつかの態様では、スレーブヒーター16'は、同一の温度センサー50、52を具備することを含めマスターヒーター16と構造は同一であるが、スレーブヒーターのこれら温度センサー50、52は、コントローラ20に接続していない。スレーブアダプターケーブル22または終端制御電力スレーブケーブル184のスレーブケーブルセグメント128中には低電圧ワイヤーは無いため、コントローラ20はスレーブヒーター16'内のセンサー50、52からは温度シグナルを全く得ず、こうしてそれらヒーターはスレーブヒーター16'となる。コントローラが実施を決定する全てのこと、ヒーターの温度に基づいて高電圧電力を入れる、もしくは遮断するかどうか、温度範囲リレー310もしくは他の機能を作動するかの決定も、それはマスターヒーター16内のセンサー50、52が感知した温度に基づく。
【0085】
上記したように、上限制御298および工程制御296が上記したように動作するのに必要な全てのパラメータは、工程制御296および上限制御298に事前にプログラムまたは設定でき、それはコントローラ20のベースモジュール200内に構築される。しかしながら、それ以上の制御、機能、監視、または他能力が望まれるならば、そのような追加の制御機能、監視、または他機能は、ベースモジュール200に取り付けられる拡張モジュール202に具備できる。図28に示す拡張モジュール202の例としては、表示/調整マイクロプロセッサ316、アルファベット−数字表示部204、ユーザーインターフェイスボタン210、212、214、デジタル通信入力/出力ポータル222、224、および通信マイクロプロセッサ318が挙げられる。表示/調整マイクロプロセッサ316は、Amtel Corporationが製造するATmega168でもよいが、無数の他マイクロプロセッサ回路も用いることができる。
【0086】
表示/調整マイクロプロセッサ316は、様々なパラメータおよび情報を読み出しおよびリセットするのに用いることができるユーザーインターフェイスボタン210、212、214に接続しており、これらパラメータおよび情報を表示/調整マイクロプロセッサ316は、工程制御296および/または上限制御からか入手および入力し、さらにそれらを表示部204に送る。マイクロプロセッサ316を使って読み出し、表示、およびリセットできるこのような情報としては、所望の運転温度設定点、上限安全温度、高温警報設定点、低温警報設定点、履歴現象、出力PID(比例帯、積分、および偏差)、サイクル時間、室温(読み取りのみ)、モドバス(modbus)デバイスアドレス、モドバスバンドレート、および温度単位(摂氏または華氏)が挙げられるが、これらに限定されない。基本リリースバージョン、基本構築番号、インターフェイスリリースバージョン、インターフェイスプロトタイプバージョン、およびインターフェイス構築番号のような他の読取り専用情報も読み出し、表示できる。
【0087】
通信マイクロプロセッサ318は、遠隔監視または制御ステーション、サービスコンピュータ等と外部データ通信を行って、入力/出力ポート222、224を介して情報の入出力、調整、プログラム修正等を可能にする。通信マイクロプロセッサ318は、例えば送信機および受信機を有しているMaxim Integrated Products、Sunnyvale、Californiaが製造するMAX3157でよいが、当業者が知るように、この機能には無数の他マイクロプロセッサも用いることができるだろう。
【0088】
図30の概略回路図は、図1〜4の複式局所ヒーター制御構成で描かれているような、コントローラ20に直接接続されたヒーター16を描いている。コントローラ20、ベースモジュール200、工程制御296、上限制御298、第1スイッチ300、第2スイッチ302、温度範囲リレー310、ヒーター16、温度センサー50、52、加熱要素32、拡張モジュール202、および他構成要素について記載した全ての接続および機能は、ヒーター16がコントローラ20に直接接続される以外は、図28についての上記説明と同一である。それ故に、この構成にはスレーブアダプターケーブルは存在せず、従ってスレーブヒーターも存在しない。
【0089】
図31の概略回路図もまた、ヒーター16に直接接続するコントローラのものであり、従ってこれにもスレーブアダプターケーブルおよびスレーブヒーターは存在しない。このように図31の回路図は、それが列中の最後のコントローラ20または唯一のコントローラ20のどちらかであることを除いて図30の回路と同一であり、従ってそれは図31に示すコントローラに高電圧電源電力および低電圧の温度範囲電子回路を供給するために、T型電源電力ケーブル26に代わって終端電源電力ケーブル106を有している。
【0090】
本発明を実施するための理論実行例は、図32に示す。図32および本記載に用いられる理論だけでなく数値およびパラメータは例示であり、制限することを意図しない。例示の理論は、上限制御298内で始まる。開始320すると、322で第1(上限)温度センサー50から温度測定値を取得して、上限温度パラメータと比較する。段階322において、上限温度センサー50からの実測温度が上限温度パラメータより小さければ、次の段階324はセンサー50からの実温度が第2(工程)温度センサー52の20℃以内であるか試験する。この比較324は、温度センサー50、52が互いに関して合理的な正確性で測定しているか判定する試験として実施される。20℃以内であれば、326においてコントローラ自体の温度が測定され、それが加熱していないこと、即ち85℃未満であることを確認する。例えばコントローラ20がヒーター16に近すぎる場合に加熱が起こることがあり、それはコントローラ20内の電子構成要素を損傷することがある。コントローラ20が326において加熱されていないことが見出されると、次に上限制御298は、328に示すようにリレースイッチ300を閉じた状態に保ち、その結果高電圧AC電力を工程制御296によるヒーター16、16'への電力供給の制御に利用し続けることができる。
【0091】
他方、322、324、326での試験のどれかがネガティブ、即ち感知した温度が上限温度を超える場合は、上限制御298は330でリレースイッチ300を開き、ヒーター16、16'へのAC電力を遮断する。それはまた工程制御296に、リレースイッチ300が開いていることを示すシグナルを送り、これに反応して工程制御296はアラームシグナルを作動させ、且つ/または(赤色)LED40を点滅させる。
【0092】
工程制御296は継続し、322において第2(工程)温度センサー52からの温度測定値はプログラムされた設定点(所望運転温度)から設定された履歴パラメータ(例えば約3℃)を差し引いた値と比較する。工程センサー52が測定した実際の工程温度が設定点から履歴パラメータを引いた温度に等しいか、それより低い場合は、実温度はプログラムされた低温警報(LTA)パラメータと比較され、即ち温度が所望運転範囲より低いか調べる。温度がLTAに等しいか、または低くければ(例えば設定点温度より約20℃低い)、次に工程制御296は366で第2(工程)スイッチを閉じ、AC電力をヒーター16、16'に供給し、それが出力LED244(例えば緑色)を点灯させ、ヒーター16、16'が入ったことを示す。他方、344での温度が低温警報(LTA)パラメータに等しくないか、それより低くない場合は、工程スイッチ(リレー3)302は338に示すように閉じられ、LED242(例えばアンバー色)が点灯されて実際の工程温度が適切な運転範囲内であることを示す。
【0093】
332での比較が、工程温度センサー52が測定した実際の工程温度が、設定点から履歴を差し引いたものに等しくないか、それより低くないことを示したならば、340で温度をチェックし、それが設定点から履歴パラメータを加えたものに等しいか、またはそれより高いか調べる。それに該当したならば、次に温度を342でチェックし、それがプログラムされた高温警報(HTA)パラメータ(例えば設定点温度よりも約20℃高い)に等しいから、またはそれより高いか確認する。これに該当したならば、次に344で制御リレースイッチ302が開かれ、ヒーター16、16'へのAC電力が着られ、「警報/アラーム」LED(赤色)240が点灯する。
【0094】
他方、もし340での温度が設定点に履歴を加えたものに等しくないか、または高くなければ、温度は制御履歴範囲内であり、制御リレースイッチ302は346でも開かれたままで、温度条件の変更は保留され、「範囲内」LEDが点灯されるか、または点灯を続ける。
【0095】
工程温度センサー52からの温度が342でプログラムしたHTAパラメータに等しくないか、またはそれより高くないことが見出されたならば、制御リレースイッチ302は348に示すように開かれ、「範囲内」LEDが点灯する。
【0096】
これら、および他の機能は、複数の制御プロセッサ、例えば296、298、316、318によって実施されるように例示の図面に示され、且つ上記されている。しかしながら、これらの機能および他の機能は、当業者が了解するように、一つまたは様々な組み合わせの複数のプロセッサによって、且つ一つまたは複数のマイクロプロセッサに機能を様々に割り振って実施できる。それ故に図面に示したよりも多い、または少ないプロセッサで、これら例示の機能を実施できる。
【0097】
上限制御回路298の別の実施例は、図33に描かれており、ここでは上限温度センサー50にスイッチング型の正の温度係数(PTC)を有するサーミスタ半導体装置が用いられている。スイッチング型PTCサーミスタは、装置が、スイッチまたは転移温度と呼ばれることが多い臨界温度に達するまで非常に小さな負の抵抗温度係数を示し、臨界点を超えると抵抗温度係数が急上昇すると同時に抵抗が大幅に高くなる、例えば数度の温度範囲で数桁の抵抗変化を示す半導体装置である。このようなスイッチング型PTCサーミスタは、転移温度が60℃〜160℃の範囲のものが容易に購入でき、転移またはスイッチング温度が少なくとも0℃および少なくとも200℃程度のものを作ることができる。スイッチングPTCサーミスタ装置に本来備わっているスイッチング機能を上限温度センサー50として使用すれば、上限制御回路298は図33に示すようにアナログでよく、それでもヒーターへのAC電力を開閉する、通常開いた状態のリレー上限電力スイッチ300を動作させるのに所望される機構および機能を提供することができ、ヒーター温度が上限温度に等しいか、それを超えた時は、どのような場合でもヒーターの温度が下がり上限温度より低くなってからオペレーターの介入または手動入力なしにはAC電力を閉じ、再度開くことはない。
【0098】
図33に示すように、PTCサーミスタ温度センサー50は、図9および27〜30に示す前記実施例の上限温度センサー52について上記したのと同様に、加熱要素32が発生する熱による温度を感知するためにAC電力供給を受ける加熱要素近くのヒーター16内に配置される。上限機械式リレースイッチ300もまた、これも上記および図27〜30に示すように、コントローラ20内のAC電力回路内に配置され、AC電力伝導体の少なくとも一つ、例えばAC電力伝導体290を結果通常は開いている接点307が閉じられるとヒーター16へのAC電力を遮断し、通常開いている接点307が開いているときはヒーター16へのAC電力をオフにするように開閉する。別のAC電力伝導体292は、コントローラ20を通り出口コネクタ142に至り、そこで上記したように切り替え式AC電力伝導体290と共にヒーター16に接続する。
【0099】
上限温度センサー50として用いるスイッチングPTCサーミスタは、リレースイッチ300のオイルに電力供給する整流回路307と直列に接続されており、その結果リレースイッチ300の通常開いている接点307を閉じさせるための電流をコイルに供給するには、即ちヒーター16へAC電力を流すためには、電流は温度センサー50のスイッチングPTCサーミスタの中を流れなければならない。それ故に、通常の温度での運転、即ち温度センサー50が温度センサー50のPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度によって設定される上限温度より低い時には、PTCサーミスタは、整流時には、リレースイッチ300のコイルの中を流れて接点307を閉じるのに必要な磁場を作り出すのに十分なAC電流を容易に流すことができる低い抵抗を有している。その結果、このような通常温度の運転では、AC電力伝導体290、292を具含むコントローラ20のAC電力回路は閉じており、AC電力をヒーター16に供給でき、当然上記したように、工程リレースイッチ配置302の開閉状態を支配することができる。しかしながら、上限温度センサー50のスイッチングPTCサーミスタの温度がそのスイッチングまたは転移温度まで上昇または超えた場合には、その抵抗は急激に上昇して、リレースイッチ300のコイルへの整流電流を効果的に遮断し、通常開いている接点307を開かせ、通常閉じている接点308を閉じさせる。その結果、開放接点307はAC伝導体290、292へのAC電力回路を開き、それによってヒーター16へのAC電力をオフにする。整流回路は、例えば全波ブリッジ整流回路は、当業者に周知であり、従ってこの回路を理解するために更なる説明は必要ない。
【0100】
かくして、上限温度センサー50のPTCサーミスタの温度が上限温度より低い、即ちPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度より低い温度まで低下し、PTCサーミスタの中を電流が再度流れても、上限制御回路298はオペレーターの介入があるまでは、リレー300のコイルが接点307を再度閉じてヒーター16へAC電力が流れるようになるのを防止する。図33に例示する上限制御回路298には、スイッチ309、例えば図30に示すトライアックまたはその他ソリッドステートもしくは機械式リレースイッチ、および整流回路301およびリレースイッチ300のコイルに並列接続されたドレイン抵抗器311を含むドレイン回路が在る。ドレイン抵抗器311は、リレースイッチ300のコイルに比べるとはるかに低い、例えば一桁引くインピーダンスを有しており、トライアックまたはその他リレースイッチ309が入ると、温度センサー50のPTCサーミスタを流れる電流は、整流器301およびリレー300のコイルから外に出され、そうしてコイルがリレースイッチ300内の接点307を閉じるのに必要な電磁場を発生させるのを防止する。
【0101】
トライアック309は、温度センサー50のPTCサーミスタを流れ、リレースイッチ300の通常は閉じている接点308を介してトライアック309のゲート313に加えられるAC電流によって作動する。それ故に、ヒーター16で高温事象が発生してリレースイッチ300のコイルへの整流電流を温度センサー50のPTCサーミスタがオフにすると、上記したようにリレースイッチ300の通常は開いている接点307が開いてヒーター16へのAC電力をオフにし、図33に示すように通常閉じている接点308が閉じてトライアック309のゲート313へAC電力を流してドレイン回路を作動させる。その結果ヒーター16の温度が下がると、温度センサー50のPTCサーミスタの温度はそのスイッチングまたは転移温度以下に下がり、再度電流を伝導するようになり、電流はリレースイッチ300のコイルを迂回し、それに代わってドレイン抵抗器311を通り外に流される。PTCサーミスタが伝導した電流をリレースイッチ300のコイルを迂回させて外に流すことにより、コイルは通常開いている接点307を閉じるのに必要な電磁場を作ることができず、その結果ヒーター16へのAC電流は、温度センサー50のPTCサーミスタの温度が下がってもオフの状態を保ち、この場合も電流を伝導し続ける。
【0102】
それ故にヒーター16へのAC電力をオンに戻すために、ゲート電力回路を切ったり開いたりしてトライアック309をオフにするための手動スイッチが備えられる。トライアック309が手動スイッチ305によってオフされると直ちにドレイン抵抗器を通るドレイン回路は迂回され、温度センサー50のPTCサーミスタからの電流は再び整流回路301で整流され、リレースイッチ300のコイルを流れる。そうするとコイルは、接点308を開き、接点307を閉じ、それによりヒーター16へのAC電力を再始動させ、且つゲート回路からAC電力を取り除くのに必要な電磁場を作り出す。その結果、手動スイッチを閉鎖モードに戻しても、温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度以下にある間は、PTCサーミスタからの電流が接点308を開いたままにすることから、トライアック309はオンには戻らない。それ故に、上記の理由から、手動スイッチ315によって無効にでき、上限温度センサー50のPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に等しいか、またはそれを超えるヒーター16内の高温事象によってオフになった後は、ヒーターへのAC電力を再開するにはオペレーターの介入、即ちスイッチ315を作動させるドレイン回路を備えることが必要である。
【0103】
熱は主に外部熱源からのもの、例えば加熱要素32からの熱、あるいは高温パージまたはパイプ自体の他の気体もしくは液体からの熱であること、これらが本実施例ではPTCサーミスタの温度をそのスイッチングまたは転移温度まで上昇させて、ヒーター16へのAC電力をオフにすることに注意しなければならない。対照的に、通常の温度ヒューズまたは温度回路遮断器の用途に用いられるPTCサーミスタでの温度上昇は、主にPTCサーミスタ内部で発生したI2R熱によるものである。換言すると、PTCサーミスタは電流(I)に対し固有抵抗(R)を有し、PTCサーミスタ内の過電流(I)はPTCそのものの中で大きな熱を発生させ、その温度が転移またはスイッチング温度に達すると、PTCサーミスタは電流を実質的に遮断する。
【0104】
上限回路298からの様々な状態シグナルのいずれかを、状態および/または警報/アラームシグナル生成に使用するため、あるいは工程理論で使用等するために工程制御回路296に提供することができる。例えば電流検出器のようなセンサー317を用いて、リレースイッチ300が作動されてヒーター16にAC電力を供給していること、または停止されてヒーター16へのAC電力が遮断されていることを示すことができるが、これに限定されない。また、例えば電流検出器のようなセンサー319を用いて、上限温度センサー50の温度が(i)PTCサーミスタのスイッチングもしくは転移温度より低いか、即ち電流が検出されるか、または(ii)PTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に等しいか、それより高いか、即ち電流が検出されないかを示すことができるが、これに限定されない。これら、および他の状態シグナルは、工程制御回路296によって、例えばLED表示部321向け、および/または表示/調整マイクロプロセッサ316向けの状態および/または警報/アラームシグナルを生成するのに用いることができる。
【0105】
上限温度センサー50用にPTCサーミスタを利用する上限制御回路298の別の実施例は、図34に図示されている。この実施例では、図33の例のトライアック309はリレースイッチ300''の第2スイッチ機構に替わっており、それは通常閉じており、リレースイッチ300'の第1または一次スイッチ機構323を作動させるものと同一のコイルによって作動させられる。この第2スイッチ325には別のリレースイッチ(未表示)を取り付けることもできるが、図34に図示する二重スイッチリレー300'のような二重スイッチリレーは容易に入手でき、二つの別々のリレースイッチに比べるとコンパクトである。この図34の例では、リレースイッチには300ではなく300'の印がつけられているが、これは限定を目的とするものではなく、この例示のリレースイッチ300'を前述のリレースイッチ300と区別するためだけのためである。換言すれば、これらの例示の両リレースイッチ300、300'の主要な機能は、高温事象が存在したならばヒーターへのAC電力をオフにすることであるが、リレースイッチ300'は、その実装ではドレイン回路用の追加の第2スイッチを有している。
【0106】
図34の例では、ヒーター16へのAC電力をオン・オフにするリレー300'の第1スイッチ323の接点307は、図33の例の接点307と同様に通常は開いており、従って電流は、AC電力をヒーター16に提供するためには、当然上記の工程スイッチアッセンブリ302の開閉させるための対象に提供するためには、リレー300'のコイルの中を流れ、接点307を閉じなければならない。リレー300'のコイルは、PTCサーミスタの温度が、上限温度を規定するそのスイッチングまたは転移温度より低い時はいつも上限温度センサー50のPTCサーミスタの通り流れるAC電流から整流器301が作りだした整流電流を電力とする。しかしながら、温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に達するか、またはそれを超えると、電流はPTCサーミスタの中を流れ、その結果、リレー300'のコイルを流れる整流電流は停止される。コイルを電流が流れないと、通常開いている第1スイッチ323は接点307を開き、それによってヒーター16へのAC電力はオフにされ、通常閉じている第2スイッチ325は接点308´と閉じ、それによりドレイン抵抗器311を備えたドレイン回路を閉じるか、または作動させる。
【0107】
温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度より低くなると、それは再度電流を流し、閉じたドレイン回路はドレイン抵抗器311を通る電流を外に流し、そうすることでAC電力(第1)スイッチ323を再度閉じるのに必要は電流をリレー300'のコイルから奪う。この場合も、上記したように、ドレイン抵抗器311の抵抗はコイルに比べはるかに小さいため、ドレイン回路が閉じると、電流は、ドレイン回路に電気的に並列に接続されているコイルの中を流れるよりも、もっぱらドレイン回路の中を流れる。それ故に、たとえ温度センサー50の温度が上限温度値より低くなっても、ドレイン回路はリレー300'がヒーター16へAC電力を供給するのを阻止する。
【0108】
ヒーター16へのAC電力を回復させるために、オペレーターは手動スイッチ314を使ってドレイン回路を開くことができる。手動スイッチ315を瞬間的でも開くことによって、ドレイン回路は停止し、整流回路はリレー300'のコイルに再度流れるようになる。電流がコイルを再び流れるようになったことで、第1スイッチ323の接点は閉じてヒーター16へのAC電力を作動させ、第2スイッチ325の接点は開いてドレイン回路を停止する。その結果、手動スイッチを再度閉じても、ドレイン回路は停止状態を続ける。
【0109】
手動スイッチ315は、数あるスイッチのタイプのいずれでもいが、図33および34に図示する手動閉鎖型のプッシュボタンスイッチは、この用途に好都合なスイッチのタイプの例である。ボタン327を押すと、スイッチ315は一瞬開く。次に手の力がボタン327から除かれると、バネ329がスイッチを再度閉じる。
【0110】
上記の発明の態様は、電源電力、ならびにケーブル区分、例えば幹線83から分岐したその分岐線85を持つT型電源電力ケーブル26(図10)、そのマスターケーブルセグメント126から分岐したそのスレーブケーブルセグメントを備えたスレーブケーブルアダプター22(図14)、およびその幹線部分161から分岐したその分岐線を持つT型制御電力ケーブル24(図16)から作られたシグナル配線を有するが、これら配線は接続箱を使って作ることもできる。例えば、スレーブケーブルアダプター22の機能は、図35〜37に示し、且つ単一のコントローラ20によって制御される二つのスレーブヒーター分岐を持つ一点制御システムに関する図38の概略回路図中に使用中の状態で描かれているスレーブアダプター接続箱322によって提供することもできる。
【0111】
スレーブアダプター接続箱322は、筐体324を有し、筐体324の対向する上下壁325、326には入口330コネクタおよびマスター出口コネクタ、および筐体324の対向する側端壁327、328には二つのスレーブ出口コネクタ333、334が在る。入口コネクタ330は、スレーブアダプターケーブル22の入口コネクタ130同様、コントローラ20の出口コネクタ142と嵌合するように構成される(図20)。マスター出口コネクタ322は、スレーブアダプターケーブル22のマスター出口コネクタ132と同様に、ヒーター16のヒーターコード62のヒーター入力コネクタと嵌合するように構成される。かくして電力伝導体導線336、338のペアは、制御された電力をコントローラ20からマスターヒーター16に運び、一方二組のシグナル伝導体340、342および344、346は、それぞれ上限温度センサー50および工程温度センサー52からのシグナルをコントローラに運ぶ。
【0112】
スレーブアダプター接続箱322の二つのスレーブ出口コネクタ333、334は、スレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口134と同一に構成されており、それらはT型 スレーブ制御電力ケーブルの入口コネクタ172および直線型終端制御電力スレーブケーブル194の入口コネクタ190と嵌合できる。一組の電力伝導体348、350は、出口コネクタ333を制御電力伝導体336、338に電気的に並列接続し、別の電力伝統対352、354の組は、出口コネクタ334を制御電力伝導体336、338に電気的に並列接続する。
【0113】
スレーブアダプター接続箱322を、図38に示すように、一つのヒーター16はマスター出口コネクタ332に接続され、別のヒーター16'はスレーブ出口コネクタ333、334に接続されるようにコントローラ20に接続すると、スレーブアダプター接続箱は、マスター出口コネクタに接続しているヒーターをマスターヒーター16として機能させ、且つスレーブ出口コネクタ333、334に接続しているヒーターの温度センサー50、52を無効にして、これらのヒーターをスレーブヒーター16'として機能させることができる。その結果、コントローラは温度情報をマスターヒーターセンサー50、52から受け取り、それを用いてマスターヒーター16およびスレーブヒーター16'両方の加熱要素32に制御電力を提供する。
【0114】
もちろん、3つ以上のデイジーチェーン接続されたスレーブヒーター列に対応するために、スレーブアダプター接続箱322には三つ以上のスレーブアウトレットコネクタがあってもよい。また、図面には示していないが、スプリットスレーブケーブルまたは追加の接続箱をスレーブアダプター接続箱のスレーブ出口コネクタ333、334、またはスレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口コネクタ134に接続して、追加のデイジーチェーン接続されたスレーブヒーター16'の列に電力を供給することもできる。
【0115】
電源電力接続箱、例えば図39〜42に示す電源電力接続箱は、図1〜8に示すアッセンブリの中でT型電源電力ケーブル26の代わりに用いることができる。例示の電源電力接続箱350では、電源電力接続分岐出口コネクタ352を入口コネクタ140に嵌め込むことによって電源電力接続箱350をコントローラ20に直接装着できるように、電源電力接続分岐出口コネクタ352は、電源電力接続箱350の底面354から突出し、且つコントローラ20(図20および21)の入口コネクタと嵌合接合するように構成される。
【0116】
電源電力接続箱350の第1側面に在る電源電力接続入口コネクタ356は、例えば図27に関連して上記し、且つ、例えば図42に示す様に、電源電力延長ケーブル25から電源電力接続箱内に入る電力電源を受ける。その結果、図39および40の電源電力接続入口コネクタ356は、AC電力電源13に交換可能にモジュラー接続するために、T型電源電力ケーブル26の入口コネクタと同じに構成できる(図27)。
【0117】
図39および40の電源電力接続箱350の第2側面には、図42に示すように、一つまたは複数の追加のコントローラをデイジー接続するための幹線出口コネクタ360が備えられており、それはT型電源電力ケーブル26と交換できるようにT型電源電力ケーブル26(図1〜8)の幹線出口86と同じに構成できる。その結果、次のものはどれも電源電力接続箱350の幹線出口360に嵌め込むことができる。(i)別の電源電力延長ケーブル25、(ii)T型電源電力ケーブル26、または(iii)直線型終端電源電力ケーブル108。
【0118】
例示電源電力接続箱350に関する概略回路図の例は図41に示す。一組の幹線電源電力コネクタ364、366は、入口コネクタ356から幹線出口コネクタ360まで中断せずに伸び、一組の電源電力分岐伝導体368、370は、幹線電源電力伝導体364、366との並列接続部から、分岐出口コネクタまで伸びる。かくして分岐出口コネクタ352は、幹線出口コネクタ360に関して、電源電力伝導体に電気的に並列的に接続する。
【0119】
分岐出口コネクタ352は、しかしながら、入口コネクタ356と幹線出口コネクタ360の間では、電源電力接続箱350内のシグナル回路伝導体に関しては、電気的に直列的に接続される。かくして、図41に示すように、シグナル回路伝導体の一つ、例えば幹線シグナル回路伝導体372は、入口コネクタ356から接続箱350の中を通り幹線出口コネクタ360にまっすぐ伸びる。他のシグナル回路伝導体は、入口コネクタ356から分岐出口伝導体352に伸びる入口分岐シグナル回路伝導体374、および分岐出口コネクタ352から幹線出口コネクタ360に伸びる出口分岐シグナル回路伝導体376を具備する。
【0120】
それ故に、図42に示すように電源電力接続箱350を介して、複数のコントローラ20をAC電力電源13に電気的に並列にデイジーチェーン接続できるが、それらはT字型電力電源ケーブル26に関して上記したのと同じ様式で、電力電源接続箱350を介してシグナル回路23に電気的に直列接続されるだろう。もちろん、任意の数のコントローラ20について、図42に示すように、電源電力延長ケーブル25を使って、任意の数の電源電力接続箱350を一つにデイジーチェーン接続することができる。
【0121】
図43および44に描かれた別の電力電源接続箱380の例は、二つ以上の幹線出口を有する。例えば、接続箱350に関する上記した入口コネクタ384および分岐出口コネクタと実質的に同じである入口コネクタ384および分岐出口コネクタ352に加えて、図43および44には電力電源接続箱380は、それぞれ対向側に在る二つの幹線出口コネクタ386、388と一緒に描かれている。両方の出口コネクタ386、388は、追加の電力電源延長ケーブル25、T型電源電力コネクタ26、および直線型終端電源電力ケーブル108にデイジーチェーン接続できるように同一に構成されており、その結果二つの別々のデイジーチェーン接続されたコントローラのセット(未表示)は、電源電力接続箱380を介してAC電力電源13およびシグナル回路23に接続できる。
【0122】
図45の概略回路図の例に示すように、例えば、電力電源接続箱380、幹線電源電力伝導体のペア390、392、394、および分岐電源電力伝導体のペア396は、幹線出口コネクタ386、388、および分岐出口コネクタの両方を、入口コネクタ384に電気的に並列接続する。しかしながら、シグナル回路伝導体398、400、402、403は、幹線出口コネクタ386、388、および分岐出口コネクタ382を入口コネクタ394に電気的に直列接続する。
【0123】
当然、必要に応じて、電源電力接続箱380には、各追加の幹線出口コネクタについて上記した並列電源電力および直列シグナル回路伝導体接続と実質同一種類である、三つ以上の幹線出口コネクタを備えることもできる。また、必要に応じて、分岐出口コネクタ382を排除し、接続箱380はデイジーチェーン接続した複数のコントローラ列(未表示)をAC電力電源15およびシグナル回路23に接続する機能だけを果たし、仲介用T型電源電力ケーブル26、仲介用直線型終端電源電力ケーブル108、または電源電力延長ケーブル25がなければコントローラ入口コネクタに直接接続できないようにする(入口コネクタ140が上記したような電源電力延長ケーブル25の接続に合わせて構成されていれば)こともできる。
【0124】
Molex(登録商標)のような、いくつかの市販コネクタに備えられた通常のコネクタラッチ機構は、その端部に図47のコントローラ入口コネクタ140上に見られる突起414のような、雌コネクタ上のラッチ突起と係合する大きさおよび形に作られたドッグ412を備えた、図46の雄コネクタ78に見られるラッチレバー410のようなラッチレバーを具備する。このようなラッチレバー410上のドッグ42によるラッチ突起414の係合は、図48に示すように、ラッチレバー410を弾性ヒンジ416の廻りを旋回させることによって係合が外れ、雌コネクタから雄コネクタを開放して、それらが互いに分離または抜けるようにするまで、雌コネクタに雄コネクタを確保するものである。しかしながらいくつかの応用では、このような通常のラッチの確保は十分でなく、コネクタは、例えばそれらを狭い空間の中に無理に通すか、または擦り通することによって、意図せずに、いとも簡単に引き抜かれてしまう。
【0125】
かくして、コネクタ、例えば図46〜48に示すコネクタ78、140の意図しない分離に対する更なる保証および抵抗性を提供するために、片持ちバネでバイアスしたタブ420をラッチレバー410の先端418近くに配置する。バイアスタブ420は、ラッチレバー410の先端418にもたれかかり、ラッチの突起414からドッグが離れないようにラッチレバー410の運動に抵抗する片持ちバネバイアス力を有する。しかしながら、ユーザーがラッチレバーに力を加えて、旋回矢印422で示すように弾性ヒンジ416の廻りを旋回させると、弾性ヒンジはラッチレバー410に対するてこ台としても機能して、ラッチレバー410の先端418はバイアスタブ420のバネによるバイアス力に抗してバイアスタブを外側に押しならが、図48に旋回矢印424で示すように外側に旋回させる。弾性片持ちバネによるタブ420が生ずるバイアス力は、ラッチラバー410上のドッグ412をラッチ突起414から外させるには足りず、そのため分岐出口コネクタ78はコントローラ入口コネクタ140から抜くことができる。
【0126】
ラッチ突起414に向けてバネバイアス力を提供する方法は無数にある。この機構の一つの実施例は、バイアスタブ420を、図46〜48に描くように、ベースユニット200の筐体201の片持ち部分として成形するものである。具体的な応用がタブ420に求めるバイアス力の大きさ、または歩留まりによっては、図47および48に示すように、タブ420の片持ち接続部の筐体201部分を、筐体201の残りの部分に対して薄くして弾性ヒンジ426として機能させることができる。筐体にスロット428を備えて、ラッチレバー410が筐体を出入りして動くようにしてもよい。傾斜を付けたカム表面421をタブ420に備えて、出口コネクタ78が入口コネクタ140に刺し込まれる様な、ラッチレバーが筐体201内に挿入され時には、カム作用によりタブが外れ易くするようにできる。
【0127】
上記したように、このバイアス力機構は別の方法でも実施できる。複数の例を図49〜51に示す。図49では、バイアス力は、筐体201内部のブラケット432に取り付けられた圧縮可能なリーフスプリング434によって加えられる。図50では、コイル圧縮バネ434がバイアス力を与え、図51にはゴム、シリコンゴム、発泡材エラストマー、または他の発泡材のような弾性圧縮材がレバー410の先端418に対しバイアス力を与えるのが示されている。
【0128】
バイアスタブ420は、分岐出口コネクタ78およびコントローラ入口コネクタ140に関係して上記したが、それは、コントローラ出口コネクタにインターフェイス接続入口コネクタ、例えば、上記したようなヒーター入口コネクタ64、スレーブアダプター入口コネクタ130、スレーブ接続箱入口コネクタ330等が刺し込まれる時には、コントローラ出口コネクタ142にも応用できる。それは、図35および36のタブ420´で示すように、スレーブ接続箱出口322に関係しても用いることができる。
【0129】
これら上記した方法および態様、およびその他変更および組み合わせは、当業者にとって容易であることから、発明は例示および上記したそのものの構造および工程に制限されることを望むものではない。数多くの例示の局面および態様を上記論じたが、当業者は特定の変更、入替え、追加、およびそれらの部分的組合せを認識するだろう。それ故に、以下に添付する請求項、今後取り込まれる請求項は、それらの真の精神および範囲内に入る時には、このような変更、入替え、追加、および部分的組合せ全てを包含するものとして解釈されるものとする。語「具備する」、「具備している」、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、および「包含する」は、本明細書および続く請求項で使用される場合は、記載の特徴・機構または段階の存在を明示することを意図するために用いられているが、それらは一つまたは複数の他の特徴・機構、段階、またはその集まりの存在または追加を排除しない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターのための電源システムおよび制御システム、例えば真空システム、処理システム、配送システム、輸送システム、および他のシステムにおいて、パイプおよび他構成要素を加熱するために用いる複数のヒーターに電気を供給および制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界において、様々な気体、液体、または固体物質をある点から別の点に導く、または移動させるのに用いられる多くの真空システム、処理システム、配送システム、輸送システム、および他システムには、パイプおよび/またはパイプ内の物質を特定温度範囲に維持するために加熱しなければならない、様々な長さ、サイズ、および形状のパイプが含まれている。これら目的または他の目的のためにパイプを加熱するパイプヒーターは、当業者に周知であり、パイプの周囲に巻かれた単純な抵抗線やテープから、参照によってここに組み入れられる特許文献1(Hauschultz et al.)が記載するような、より洗練された断熱パイプヒーター、ならびに市販されている多くのヒーター製品まで様々ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,714,738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パイプを加熱する様々な用途向けのパイプヒーターの開発に合わせて、ヒーターからの熱出力をパイプ全長にわたって制御するため、ならびにそのようなヒーターの運転を監視および制御するための、より良いパイプヒーター制御システムも必要となった。そのようなヒーター制御システムには、同様に参照によってここに組み入れられる米国特許第6,894,254号(Hauschultz)に記載されるような、多くの種類および構成が存在する。しかしながら、そのようなヒーター監視および制御システムにもやはり未解決の問題が存在する。
【0005】
例えば高温に設置した場合、パイプヒーターが作り出す熱がパイプヒーター上に直接備え付けた熱コントローラの構成要素に伝わり、それによって、そのようなコントローラの構成要素の温度を、それらを損傷または破壊する恐れのある、あるいは制御システム内の理論回路またはメモリー内のデータを改ざん、または破壊する恐れのあるレベルまで上昇させる可能性がある。幾つかの電力制御システムは、システムのヒーター構成要素と配線で接続されており、それらを迅速に交換するのを難しくしている。また、大部分の産業用パイプヒーターには温度が最高温度閾値に達すると、原因を問わずに、作業員の安全のため、資本設備への損害を防止するため、そして安全監督機関の認証を得るためにパイプヒーターへの電源を切る上限温度ヒューズまたは温度作動スイッチが装備されている。この機能は、様々な温度限界装置を用いて提供されるが、この用途に関して完全に満足できるものはない。
【0006】
例えば、標準的な市販の温度スイッチはそれらの設定ポイントの許容範囲が広いこと、および接触機構により不正確、且つ信頼性に欠けるものであり、腐食し、さらに悪い場合は近接部に自己融着して全体を動作不能にし、ヒーターの熱散逸をおこし、ヒーター要素が燃え尽きるか、火事に至る場合もある。これらの問題は、温度スイッチをヒーターおよびパイプの実温度に正確に反応させる必要がるために、それらをヒーター内部または上に配置された時には更に悪化するが、これはヒーターの高温が主たる原因となり、温度スイッチを劣化させるからである。それでも温度スイッチは、温度スイッチがヒーターまたはパイプの実際の温度に反応できなくなるために、ヒーターから離して、または遠くに配置することはできない。
【0007】
温度ヒューズはこれよりは信頼できるものであり、且つ市販されてもいるが、一度失効する、即ち「飛ぶ」または「切れる」と、それらはリセットできない。温度ヒューズは、パイプヒーター構造の中に、典型的にはそれらが確実に熱源近くで熱に曝されるようにするために加熱要素近くに埋め込まれているため、ヒーター構成要素および材料を破壊して、取り外さなければ温度ヒューズにアクセスすることはできない。それ故に、温度ヒューズが飛ぶか、または切れるとヒーターは完全に機能しなくなり、交換しなければならない。また温度ヒューズは時間と共に経年劣化し、曝される温度が高いほど早く経年劣化する。このような経年劣化によってヒューズはしばしば、より低い温度で切れるようになり、パイプヒーターの正常動作範囲内で突然切れ、それ以外は良好なパイプヒーターを使用できなくする。また、市販の温度ヒューズは嵩高で、パイプヒーター内への設置が難しい。
【0008】
幾つかの状況は、パイプの温度、即ちパイプヒーターの温度を、温度上限を超えさせ、ヒーターを暴走または制御不能にする。例えば、高温の気体または反応性化学物質をパイプシステム内に通して、該パイプシステムより上流にある処理チャンバーをパージまたは清浄化することは珍しくないが、これがパイプの温度、即ちパイプヒーターの温度を、温度上限値より高くし、それによって温度ヒューズが切られ、電力回路が遮断されてヒーターが機能しなくなることがある。温度ヒューズが切れた時にリセットまたは交換ができなければ、良好なヒーターでも、パイプヒーター自体とは無関係な日常的な維持管理作業やその他の事象によって無用になる。
【0009】
また、広範囲のパイプ構成、用途、および使用者の要求に応じるためには、接続および制御構成の両方に多くの選択肢および融通性が必要となる。各パイプの設置は難しく、多くのオペレーターは、その特別な要求に応えるために特別注文のパイプヒーターおよび制御システムを必要としているが、特別注文のパイプヒーターシステムの設計および製造は高価であり、時間がかかり、大部分の用途に適用できないことが多い。例えば、あるオペレーター達は加熱パイプシステムの中のそれぞれのヒーターに制御システムを欲するが、別のオペレーターは、ヒーターそれぞれ個別に制御する経費を回避することを選び、それに代わって単一のコントローラを用いて個別ヒーターを複数含むゾーン全体を運転する方策を採用する。このような「ゾーニング」または「シングルポイント」制御ヒーターシステムは、複雑な配線を必要とすることが多く、それが混乱を招いて誤配線の確率を高めるか、または面倒な作業に対応して誤配線を防止するために特別注文のヒーターを設計および作製することが必要になることもあり、これがコストを増大させ、システムを複雑にする。
【0010】
別の例では、あるオペレーターは、運転状態の情報を見る事ができ、遠隔地から運転パラメータを修正できるようにヒーターコントローラとの遠隔通信およびヒーターシステム遠隔制御能を必要とするが、別のオペレーターは、そのような運転状態情報を目で見て、システム内のヒーター毎に局所的に運転パラメータを修正する能力を欲する。更に別のオペレーターは、各ヒーターについて基本の、事前にプログラムされた制御を必要とする。もちろん、単一ポイント制御だけで、一群のヒーターについてこれら機能の任意の組み合わせ、または全てを欲するオペレーターもいる。
【0011】
パイプヒーターの工業的および商業的な使用に関するこれらおよび他の要求から、オペレーターの広範な要求に合わせて簡便、整然、および効率的に構成できる、より柔軟なパイプヒーター制御システムおよび配線構成要素が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のヒーター制御方法は、AC電力回路を介してAC電力から電力供給を受けるヒーターに上限温度安全停止を提供する制御方法であって、ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、およびDC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、且つ(i)ヒーターが発生する熱を検知するのに十分な近さでヒーターに隣接して配置されている温度センサーが感知した温度を、事前設定上限温度パラメータと比較し、(ii)温度センサーが感知した温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、且つ(iii)上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし温度センサーが感知した温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む。
【0013】
添付の図面は、本明細書の中に組み込まれ、その一部を構成しており、本明細書の説明を支持するために示す幾つかの例示的態様および/または構成要素を描いているが、どのような形でも請求の範囲を制限しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、オペレーターの広範な要求に合わせて簡便、整然、および効率的に構成できる、より柔軟なパイプヒーター制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】複式ヒーター制御システムにおける個別ヒーターコントローラの配置例を示す等角図である。
【図2】図1に描かれた個別ヒーターコントローラ配置に利用される主要構成要素の幾つかを示す等角図である。
【図3】図2の主要構成要素の等角図であるが、接続構成要素を描くために別の視点から見ている。
【図4】組み立てられた状態の、図1の単位ヒーターコントローラ配置の等角図である。
【図5】一点ヒーターコントローラが用いられて、マスターヒーターおよび一つもしくは複数のスレーブヒーターを具備する連結体またはゾーンを制御する複式ヒーター制御システムの例示的配置を示す等角図である。
【図6】マスターヒーターとスレーブヒーターの組み合わせのための一点制御システムに利用される、主要構成要素の幾つかを示す等角図である。
【図7】接続構成要素を描くために別の角度から見た図6の主要構成要素の等角図。
【図8】図5の組立てた状態のマスターおよびスレーブヒーター配置のための一点コントローラの等角図。
【図9】個別ヒーター制御配置または複式ヒーターコントロールシステムのマスターおよびスレーブヒーター配置を制御する一点制御と一緒に使用するために、パイプ上に取り付けられたパイプヒーターの打面図である。
【図10】T型の電源ケーブル区分の等角図である。
【図11】T型電源ケーブル区分の概略回路図である。
【図12】直線型の終端電源ケーブル区分の等角図である。
【図13】図12の直線型の終端電源ケーブル区分の概略回路図である。
【図14】スレーブアダプターケーブル例の等角図である。
【図15】図14のスレーブアダプターケーブルの概略回路図である。
【図16】T型スレーブ制御電力ケーブル区分の等角図である。
【図17】図16のT型スレーブ制御電力ケーブルの概略回路図である。
【図18】直線型の終端スレーブ制御電力ケーブル区分の等角図である。
【図19】図18の直線型終端スレーブ制御電力ケーブル区分例の概略回路図である。
【図20】ヒーターコントローラへ追加機能を提供する制御強化拡張モジュールをベースモジュールに取り付けた、基本のヒーターコントローラを例示する等角図である。
【図21】ヒーターコントローラの基本モジュールに取り付け準備状態にある制御強化拡張モジュールと、基本ヒーターコントローラの等角図である。
【図22】拡張モジュール接触パッドおよび光透過性ボス構成要素の例を描くために、別の角度から見た制御強化拡張モジュールの等角図であり、これらの機構について、よく分かるように拡大してある。
【図23】ヒーターコントローラベースモジュールに取り付け準備状態の代用ダストカバーと、基本ヒーターコントローラの等角図である。
【図24】モジュール装着装置を描くために別の角度から見た、ヒーターコントローラベースモジュールの等角図である。
【図25】図24に似ているが、装着装置はヒーターコントローラと接続する準備状態にあるヒーターコントローラベースモジュールの等角図である。
【図26】取付けに関わる構成要素を描くために別の角度から描いている図24および図25の装着装置を例示する等角図である。
【図27】複数の個別ヒーターコントローラがAC電源、および、例えば遠隔監視テーションに置かれた警報/アラームシグナル回路に接続された状態の概略回路図である。
【図28】スレーブアダプターケーブル、T型スレーブヒーターケーブル、および終端スレーブ制御電力ケーブルを介してT型電源ケーブルおよび複数のパイプヒーターに接続する、ヒーターコントローラベースユニットおよび制御強化拡張モジュールの、一点制御配置を例にした概略回路図である。
【図29】図28に類似しているが、コントローラは終端電源ケーブル区分に接続する概略回路図である。
【図30】図1〜4に描いたような単一パイプヒーターまたは複数の局所制御配置についても実施可能な、多制御強化拡張モジュール、T型電源ケーブル、およびパイプヒーター構成要素がヒーターコントローラベースユニットに直接接続するヒーターコントローラベースユニットの概略回路図である。
【図31】図30に類似の概略回路図であるが、個々のヒーター制御の配置を描くために、高電圧および低電圧回路が終端制御電力ケーブルによってコントローラに直接接続されており、図中のヒーターは、唯一のヒーターであるか、または一連の、複数の個別に制御されるヒーターの一つとして制御される最後のヒーターである。
【図32】ヒーターコントローラのロジック例を描いた理論流れ図である。
【図33】図30に類似しているが、PTCサーミスタ温度センサーを備えた上限制御回路例を描いた個別ヒーター制御配置の概略回路図である。
【図34】図33に類似の、PTCサーミスタ温度センサーを備えた別の上限制御回路例概略回路図である。
【図35】スレーブアダプター接続箱の等角図である。
【図36】別の角度から見た図35のスレーブアダプター接続箱の等角図である。
【図37】図35および36のスレーブアダプター接続箱の概略回路図である。
【図38】図28に類似の概略回路図であるが、図28に描かれたスレーブアダプターケーブルに代わって図35〜37のスレーブアダプター接続箱が描かれている。
【図39】電源接続箱例の等角図である。
【図40】別の角度から見た図39の電源接続箱例の等角図である。
【図41】図39および40の電源接続箱の概略回路図である。
【図42】図39および40の複数の電源接続箱にデイジーチェーン接続されている複数のヒーターコントローラの等角図である。
【図43】複数の幹線出口コネクタを備えた、別の電源接続箱の例を示す等角図。
【図44】別の角度から見た電源接続箱の等角図である。
【図45】図43および44の電源接続箱の概略回路図である。
【図46】弾性バネバイアスタブを具備したコネクタ保持機構を例示するために、コントローラの入口コネクタに刺し込む前の状態の、T型電源ケーブルの分岐出口コネクタを備えたコントローラベースモジュールおよび拡張モジュールの等角図である。
【図47】分岐出口コネクタがコントローラ入口コネクタに刺し込まれた状態の、分岐出口コネクタおよびコントローラ入口コネクタ用のラッチおよび弾性バネバイアスタブの断面図である。
【図48】弾性バネバイアスタブのバイアス力に抗してラッチレバーが回転し、ラッチレバーが開放された状態にある、図47に類似の断面図である。
【図49】固定バイアス力を提供するための板バネが描かれている図47に類似の断面図である。
【図50】固定バイアス力を提供するためのコイル圧縮バネが描かれている図47に類似の断面図である。
【図51】固定バイアス力を提供するための弾性圧縮材が描かれている図47に類似の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および5に一般的に描く複式ヒーター制御システム10は、例示の構成要素によって容易化される可撓性の拡張可能なモジュール方式に基づいており、様々な構成要素およびシステムの構成要素の組み合わせを組み合わせ、様々な方法で接続することができ、ヒーター監視および制御構成の要望に応えることができる。システム10は、二つの基本構成−例えば図1に描かれる個別の局部ヒーター制御構成12、および、例えば図5に描かれる、ゾーンまたは連結構成14内にある複数のヒーター向けの一点制御配置に関係して最も良く記載される。これら基本ヒーター制御システム構成12、14の多の組み合わせおよび変形は、以下の実施例の態様および構成要素の記載を読むことにより当業者に明らかになるように、システム10の主要構成要素から選択された一部または全てを用いて作ることができる。
【0017】
複式ヒーター制御システム10は、他種のヒーターにも同様に用いることができるが、図1および5に描かれるように、主にパイプヒーター16向けに設計されている。それ故に本記載は便宜上、複式パイプヒーターに関連して進めるが、それは他の種類のヒーターにも同様に当てはまることを了解するものとする。
【0018】
個別の局所ヒーター制御構成12について図1を参照すると、複数のパイプヒーター16が示されている。それらは、典型的には、以下により詳細に記載されるように、パイプ(図1〜4には示していないが、図9に例示されている)の上に取り付けるように配置および配列される。この態様では、各ヒーター16に個別にコントローラ20がある。それ故に、図1〜4に描かれているように、各コントローラ20は、各ヒーター16に直接接続し、ヒーター16内のヒーター要素32(図9)に高電圧ACライン(電源)電力を送り、且つ制御すると同時に、コントローラ20が接続する各ヒーターの中の温度センサー50、52(図9)からの温度情報を引き出す。こうして各コントローラ20は、それが接続している個別ヒーター16の中の温度センサー50、52に反応して、以下により詳細に説明するように、コントローラ20の設定に従って高電圧電力をオン・オフする。それ故に、コントローラ20によりヒーター16に送られた高電圧AC電力は、時に、本明細書では「制御AC電力」と呼ぶが、一方、コントローラが受け取るAC電源からの高電圧AC電力は、本明細書では「電源AC電力」、「AC電源電力」、または単に「電源電力」と呼ぶことがある。これに関係しては、用語「高電圧」は、30ボルトより高い電圧を意味する。例えば、典型的なヒーターは、通常110〜120ボルト、220〜240ボルト、440〜480ボルト、または具体的に設置されたヒーターの生産要求を満たすのに十分な電力を提供する他の全ての電圧により電力供給を受けることが多い。ACは、交流電流を意味し、電流は50ヘルツ、60ヘルツ、またはヒーター内の加熱要素に電力を送るのに用いられるその他任意の電流周波数でよい。
【0019】
個別の局所ヒーター制御構成12に含まれる複数のコントローラ20は、高電圧AC電源13(図27)にデイジーチェーン接続されており、それは、その中に電源AC電力をコントローラ20に供給するための高電圧電力ライン、および任意の目的に用いることができ、以下より詳細に説明する低電圧温度範囲警報シグナルが通る低電圧シグナルラインの両方が収められているT型電源/シグナルケーブル26を使って、遠隔監視および/またはコントローラ(図27)に結合できる。本記載での用語「低電圧」は、一般的には、30ボルトを超えない任意の電圧を意味する。また、図1および4に示すように、任意の数の追加ヒーター16およびコントローラ20のアッセンブリは、追加のT−型電源電力/シグナルケーブル26を使って一つにデイジーチェーン接続することができ、直線型電源/シグナルケーブル(図1〜4には示されていないが、以下に記載する)を使って、デイジーチェーンの最後のコントローラ20に接続することができる。
【0020】
また個別に制御されるヒーター16およびスレーブヒーター16'の任意の組み合わせも適応できる。例えば、図5〜8に示すように、追加の個別制御ヒーター16および/またはスレーブヒーター16'の追加の一点制御ゾーンを、T型の電源電力ケーブル26に接続することができる。
【0021】
例示の態様および実施を更に詳しく記載する上で、例示のヒーター内の、しかしこれらに限定されない、ヒーター要素および温度センサーを参照することは役に立ち、理解の助けとなる。一般的には、これらシステムが制御できるヒーターには、多くの種類、材料、および構造が存在する。それ故に、本発明は、特定のどのヒーターまたはヒーター構造にも限定されない。しかしながら、説明を簡単にするために、図9の断面図に、パイプPに装備した、パイプヒーター30の例を示す。このパイプヒーター16は、共に参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,714,738号および第6,894,254号に記載されているパイプヒーターに多くの類似点を有しているが、いくつか異なるまたは追加の機能もあり、これらについても以下に説明する。
【0022】
簡単に説明すると、図9のパイプヒーター16の例は、高密度シリコンゴムヒーターマット30を、その中に抵抗ワイヤーまたは他の抵抗性の発熱材料が埋め込まれる加熱要素32と一緒に具備する。加熱要素32は、その中を、通常は、110〜120ボルト、220〜240ボルトといった標準の高電圧レベル、または具体的な用途に必要な熱を発生させるのに十分な電力を提供する他の電圧レベルで電流が流れると熱を発生する。ヒーターマット30は、低密度、独立気泡シリコンゴムフォームまたは任意の他の好適絶縁材料から成る断熱ヒータージャケット36で覆われている。ストラップ38を備えた締め付け固定具36(図1〜8)を準備して、ヒーター16をパイプPまたは加熱対象となる他の構成要素上の所定位置に固定することができる。
【0023】
ヒーター16は、高電圧電力ライン42、44を加熱要素32からのリード線46、48と接続する空所40を有する。二つの、熱電対、サーミスタ、または他の好適な温度感知装置のような温度センサー50、52は、ヒーターマット30の、またはその近くの温度を検出できるようにヒーターマット30近くのフォーム絶縁材34の中に埋め込まれる。以下により詳しく記載するように、温度センサーの一つ、例えば温度センサー52からのシグナルは、コントローラ20によって通常運転または工程ヒーターの制御機能に用いられ、もう一方の温度センサー、例えば温度センサー50からのシグナルは、コントローラ20によって、温度上限の制御に用いられる。一つの温度センサーをこれら機能の両方に用いることもできるが、二つの温度センサーに冗長性、特にコントローラ内の工程温度センサーおよび/または工程制御回路がヒーター制御できず、ヒーターが暴走状態になった時に、ヒーターの電源を切る高温制限機能に対し冗長性を提供することはより望ましい。幾つかの安全性認証機関は、安全性証明にこのような冗長性を必要とする。
【0024】
第一(「上限」)温度センサー50向けの低電圧ワイヤー54、56、および第二(「工程」)温度センサー向けの低電圧ワイヤー58、60は、空所40の中および可撓性コード62の中を通り、ケーブルコネクタ、例えばMolex(登録商標)コネクタに送られる。ブーツ66は、可撓性コード62をパイプヒーター16に固定し、空所40を覆う。ヒーターコード62は、任意の所望長でよい。いくつかの態様では、コード62は、コントローラ20(図1〜8)およびコネクタ64をヒーター16から十分離して設置し、コントローラ20への熱損傷を、特に高温適用時に回避できる長さである。当然、図1〜8に示すように、コントローラ20は、コネクタ64を通してパイプヒーター16に、個別ヒーターコントローラ構成14については図1〜4に描かれているように直接、または以下により詳細に記載するように、スレーブアダプター22およびスレーブヒーターケーブル24(図5)および184(図18)を介して接続される。
【0025】
複式ヒーター制御システムの個々の構成要素部分の構造の説明に進む前に、ここで図1および9と併せて図27を参照すると、そこにはシステムの電気構成要素および機能の幾つかが概観されており、以下に記載する他の構成要素および機能の理解に役立つ。そこで、図1および9を参考に参照すると図27から分かるように、複数のコントローラ20を個別に、第一ではあるが排他的ではなく各ヒーター16に接続して、所望する特定の温度範囲内でヒーター16を運転し続けるようにするために、制御されたAC電力をヒーター16に送ることができる。
【0026】
デイジーチェーン接続した一連のケーブル区分25、26、108は、デイジーチェーン形式に一つに接続し、コントローラ20にAC電源電力を送る電源電力中継線を形つくる。コントローラ20は、次にAC電力をオン・オフして、ヒーター16が所望温度を維持するために熱を発生させる必要があるときに制御されたAC電力ヒーター16に送る。コントローラ20は、トライアックのようなソリッドステートスイッチでよい工程動力スイッチ装置302をメカニカルリレー306と共に使用してAC電力をオン・オフしてアーク放電および熱発生を最小限に留めるか、または他の任意の制御可能なスイッチと共に使用して、制御されたAC電力を発生させることができる。制御AC電力の増減を調節するために、バリアック変圧器のような可変式電源コントローラを使うこともできるが、それら装置はスイッチ装置に比べるとはるかに大型で、嵩高で、効果である。ヒーター16内の第二(工程)温度センサー52からの温度シグナルフィードバックを利用する温度工程動力スイッチ装置302を、以下に詳細に記載する。
【0027】
第一(上限)温度センサー50がヒーター16の温度が異常なレベルまで上昇したことを感知した時に、ヒーター16へのAC電力を遮断するための高温制限スイッチ(上限スイッチとも呼ばれる)300も備えられる。このような異常な温度レベルは、工程動力スイッチ302、工程温度センサー52、または工程制御回路296(図28)の故障によるか、あるいは何らかの外的原因、パイプの高温でのパージもしくは洗浄サイクル、またはその他の原因によるものであろう。温度センサー50からの温度フィードバックまたは入力上限スイッチ300の制御は、一度AC電力が切られると、オペレーターの介入があるまでその状態に保つラッチング機能を含めて、以下に詳しく記載される。
【0028】
デイジーチェーンで接続された一連のコントローラ20のどれか一つが、それが制御しているヒーター16が所望する、または必要とされる運転温度範囲を超えるか、または低い温度であることを検出すると、遠隔監視ステーションで警報/アラームを発する、警報/アラーム機能も具備する。例えば、パイプP(図9)を化学的工程、輸送、または他の加工活動について一定の温度範囲内に維持する必要があるならば、この警報/アラーム機能17は遠隔地の監視ステーションに居るオペレーターに、いずれか一つのコントローラ20がその温度範囲外のヒーター16温度を検出したことを知らせることができ、且つ/または、当業者が了解するように、装置のインターロック19にシグナルを発して、ヒーター16が、全て製造温度が所望範囲内に入るまで、運転を妨げるか、装置の電源を落とすことができる。様々な構成要素および機能、例えばDC電源21、導通検出器31、シグナル回路23、および警報/アラーム17は、一カ所に置いても、または数カ所に置くこともでき、従って本記述での用語「遠隔監視ステーション」の使用はただ便宜上のものであり、記載の構成要素または機能を限定せず、一カ所または任意の単一構成もしくは集合体に集めて描かれる。
【0029】
この警報/アラーム機能(温度範囲シグナルとも呼ばれることがある)を実行するために、遠隔監視ステーション15の低電圧DC電源21は、デージーチェーンケーブル区分25、26、108を介して全てのコントローラ26に達する一対の伝導体27、29を具備するシグナル回路23に低電圧DC電位を提供する。低電圧は、一般的に30ボルトを超えないと見なされ、用語は、本明細書ではそのように用いられる。それ故に30ボルトを超えるものは全て高電圧である。伝導体の一つ、例えば伝導体29は、各コントローラ20を通り伸び、そこでリレースイッチ310の対向側の終端に直列接続される。それ故に、どのコントローラ20の、直列接続されたどのリレースイッチでも回路を開くことができ、即ちシグナル回路23内に電流がながれないようにできる。逆に、シグナル回路23を閉じるためには、全てのコントローラ20の全てのリレースイッチを閉じなければならない。本明細書で使用する用語「リレースイッチ」は、コントロールシグナルを入力してスイッチを開くおよび/または閉じることができる、即ちスイッチを介して電流を遮断および/または流すことができる、あらゆるスイッチ、機械式、またはソリッドステートを意味する。
【0030】
遠隔監視ステーション15に関連する導通検出器31は、シグナル回路23が開いているか閉じているか検出する。いずれかのリレースイッチ310が開かれるか、またはデージーケーブル25、26、108の接続が切断されるか、または遮断されることにより起こることがある、グナル回路の開放が検出されると、導通検出器31は、警報/アラーム17および/または装置インターロック19、あるいはオペレーターが望む任意のその他装置または機能に送るシグナルを生成する。換言すると、本明細書を読むことで当業者に明らかになるように、導通検出器31からのシグナルを用いて、警報/アラーム17を始動できるか、またはそれを用いて使用中の装置を停止することができる。この機能を実行できる様々な導通検出器、例えば電流検出回路、電圧検出回路等は容易に入手でき、当業者に周知であるか、または当業者は容易に組み立てることができることから、この機構を理解するための更なる説明は必要ない。便宜上、シグナル回路23は、シグナルは装置のインターロックおよび他の目的にも用いることができるが、「警報/アラームシグナル回路」または「温度範囲シグナル回路」と呼ぶが、これらに限定されない。
【0031】
各コントローラ20のリレースイッチ310は、コントローラ20内の工程制御回路(図28)により開閉が制御され、前記制御回路は工程温度センサー52からの温度情報を用いて、そのコントローラ20に接続するヒーター16で感知された温度が所望の運転範囲内にあるか決定する。そうでない場合、それはリレースイッチ310を開くシグナルを出力し、これがシグナル回路23を開放する。開放シグナル回路23は、導通検出器31により検出され、検出器は警報/アラームシグナルを生成する。リレースイッチ310は、当業者に周知なように、機械式リレーでもソリッドステートリレーでもよい。
【0032】
コントローラ20を、遠隔監視ステーションにあるAC電源13および温度警報/アラーム回路23に電気的に接続するためのデイジーチェーン接続構成要素は、図1〜4および27に示すように、T型電源/シグナルケーブル区分26(「T型電源電力/シグナルケーブル」または「T型電源電力ケーブル」または略して「T型電源ケーブル」)を少なくとも一カ所、および直線終端型直線電源電力/シグナルケーブル区分108(「直線型電力/シグナル終端ケーブル」または「直線型終端電源電力ケーブル」または略して「終端電源ケーブル」)を少なくとも一カ所を具備する。T型電源ケーブル26は、デイジーチェーン接続シリーズの中の第1中間コントローラ20をAC電源13、および警報/アラームシグナル回路と接続するのに用いられる。終端電源ケーブル108は、デイジーチェーン接続シリーズの最後のコントローラ20を、図1〜4および27に示すように、T型電源ケーブルを介してAC電源13および警報/アラームシグナル回路に接続するのに用いられる。第1T型電源ケーブル26は、それが十分近くにある場合には直接接続でき、または図27に示すように、必要な長さの、自由選択的な直線型電源電力/シグナル延長ケーブル(「電源電力/シグナル延長ケーブル」または略して「電源延長ケーブル」)25を使って、図27に概略的に示すように、第1T型電源ケーブル26を監視ステーション15に接続することができる。
【0033】
AC電源電力を、デイジーチェーン接続した一連のコントローラ20に提供する機能、およびコントローラ20のそれぞれのリレースイッチ310を通して警報/アラームシグナル回路23を上記したように経路指定する機能を実施するには、T型電源ケーブルおよび直線型電源ケーブル108(および必要時には自由選択的な電源延長ケーブル25)を、これらの電気的機能を提供するだけでなく、整然とした外観を提供するように組立てられ、構成される。該構造及び構成は、AC電力電源および警報/アラームシグナル回路23を所望する数のコントローラ20と、ほとんど間違えようなく接続できるようにする。図27に示すように各終端電源ケーブル108はまっすぐに進み、一組の高電圧ワイヤー114、116(「AC電力ワイヤー」または略して「電力ワイヤー」)および一組の低電圧ワイヤー118、120(略して「シグナルワイヤー」)が入口コネクタ110から終端電源ケーブル108を通り出口コネクタ112まで途中まっすぐに伸びる。
【0034】
一本のケーブルからの四つのワイヤーを、もう一方のケーブルの四つのワイヤーに接続できれば、どのようなタイプのコネクタも用いることができる。Molex(登録商標)コネクタは、四組、六組、またはそれ以上の組の高電圧および低電圧ワイヤーのペアを、もう一方の構成要素上にある対応するコネクタと一方向でのみ嵌合し、その結果不適切な接続はできないような構成で利用できることから有用である。またオスおおびメスピンは共に被覆されており、間違ってそれを短絡することもない。本明細書では、便宜上、これに限定されないが、用語「入口」は、AC電源電力を受けるコネクタ端またはケーブル端を指すのに用い、用語「出口」は、AC電源電力を送り出すコネクタ端またはケーブル端を指すのに用いられ、これらコネクタ端またはケーブル端が低電圧シグナルを受け取り、且つ/または送り出すかは問わない。
【0035】
直線型終端電源ケーブル108の場合、入口コネクタ110は、AC電源電力ワイヤー114、116用の少なくとも二本の電力ピン、およびシグナル回路ワイヤー118、120用の少なくとも二本のシグナル回路ピンを有し、且つT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と嵌合するように構成されている。遠隔監視ステーション15の出口コネクタ35は、デイジーチェーンの構成要素25、26、108に電源電力を送り、且つシグナル回路23をこれらの構成要素と接続するが、これもT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と同じに構成される。それ故に、終端電源ケーブル108の入口コネクタ110は、ヒーターシステム内に一つだけコントローラ20が存在する状況で監視ステーションの出口コネクタ35に刺し込むことがけができる。
【0036】
以下詳細に論じるように、終端電源ケーブル108は、シグナル回路23は閉じることができるように、デイジーチェーン接続列の中の最後のコントローラ20、またはコンロローラが一つだけの場合には唯一のコントローラ20を遠隔監視ステーション15に接続するのに用いなければならない。終端がT型電源ケーブル26で終わるデイジーチェーンは、全てのコントローラ20内のリレースイッチ310が全て閉じていてもいなくとも、シグナル回路23を開いたままにし、これによりシグナル回路23は上記の意図する目的に関して動作不能になるだろう。
【0037】
終端電源ケーブル108の出口コネクタ112もまた電源電力ワイヤー114、116用の少なくとも二本の電力ピン、およびシグナル回路ワイヤー118、120用の少なくとも二本のピンを必要とし、それはコントローラ20の入口コネクタ140と嵌合するように構成されている。コントローラ20の入口コネクタ120は、それぞれT型電源ケーブル26および終端電源コネクタ108の入口コネクタ82、110とは異なる構成を有しており、従って終端電源ケーブル108の出口コネクタ112も、T型電源ケーブルの幹線コネクタ86と異なっていなければならず、且つ遠隔監視ステーション15にある出口コネクタ35とも異なっていなければならない。このコントローラ20の入口コネクタ140の構成を変えるのは、コントローラ毎に一つのAC電源電力ケーブル区分を順序正しく使用させるためのものであり、使用者にとって使い易くするためである。もちろん望ましい場合には、コントローラ20の入口コネクタ140は、入口コネクタ82、110と同じ構成でもよい。
【0038】
T型電源ケーブル26は、上記したように、第1コントローラおよび任意の中間コントローラ20を、遠隔監視ステーション15にある電源電力回路33およびシグナル回路23に接続するのに用いられる。各T型電源ケーブル26は、入口コネクタ82と幹線出口コネクタ86の間に伸びる幹線区分83、および前記幹線区分83から分岐出口コネクタ78まで伸びる分岐区分85を有する。図29に最もよく見られるように、幹線電力ワイヤーは、入口幹線セグメント70の電力ワイヤー86、88および出口幹線セグメント72の電力ワイヤー90、92から成り、幹線入口コネクタ82と幹線出口コネクタ86の間を途切れずに伸びている。分岐電力ワイヤー89、91は、幹線電力ワイヤー87、88および分岐コネクタ78と、電気的に並列接続されており、従ってコントローラ20が分岐区分85に接続されると、コントローラ20の電力伝導体290、292を含む電力回路は、別のデイジーチェーンに接続された幹線電力ワイヤー87、88およびコントローラ20の電力伝導体290、292を含む電力回路と電気的に並列接続する。図10、11に示すT型電源ケーブル26では、分岐ワイヤーはコネクタ78それ自体の中では非常に短いジャンパーであり、あるいはそれらは、ワイヤー87、88とワイヤー90、92とをピン2、1で、またはそれらの近くで結線することによって排除することもでき、これらは全て当業者が了解するものと均等である。
【0039】
入口幹線区分70および出口幹線区分72内のシグナルワイヤー98、102は一つに接続され、分岐セグメント85および分岐出口コネクタ78を電気的に迂回して、T型電源ケーブル26の幹線83を通り、入口コネクタ82から出口コネクタ86まで電気的に連続的に伸びる。しかしながら、T型電源ケーブル26内のシグナルワイヤペアの別のシグナルワイヤー100、104は、幹線区分83を迂回して、分岐区分85を通り、分岐出口コネクタ78内にある、それぞれ別々のピンまで伸びる。それゆえに、分岐出口コネクタ78をコントローラ20に接続すると、シグナル回路23はコントローラ20内のリレースイッチ310を通り、直列的に伸びる。この様式で複数のコントローラ20をデイジーチェーン接続した場合、全てのコントローラ20の全てのリレースイッチ310は伸びたシグナル回路23の中を直列接続されるために、上記説明したとおり、シグナル回路23を閉鎖するには、全てのコントローラ20内にある全てのリレースイッチ310を閉じなければならない。分岐出口コネクタ72は、コントローラ20の入口コネクタ140と嵌合するように構成されており、幹線出口86は入口コネクタ82と嵌合するように構成されており、任意の数のT型電源ケーブル26を一つにデイジーチェーン接続して、上記に説明したように、シグナル回路23の連続性を維持しながら、電源電力を任意の数のコントローラ20に送ることができる。
【0040】
これも上記したとおり、図27に示す延長電源ケーブル25は、デイジーチェーン構成要素26、108を、遠隔監視ステーション15の電源電力33およびシグナル回路23に接続するのに必要などのような長さでも提供できる。電力ワイヤーのペア93、95、およびシグナルワイヤーのペア97、99は、遠隔監視ステーション15の出口コネクタ35と嵌合するように構成されている入口コネクタ101から、T型電源ケーブル26の入口コネクタ82および終端電源ケーブル108の入口コネクタ110と嵌合するように構成されている出口コネクタ103まで電気的に連続して伸びている。
【0041】
次に、主に図10を、図1〜9と併せて参照すると、T型電源ケーブル26は、バンド74によって一つにまとめられて、整然としたT型のコイル状の電源電力ケーブル区分26を形つくる二つのコイル状の幹線ケーブルセグメント70、72を具備できるが、絶対に具備しなければならないわけではない。幹線ケーブルセグメント70、72は共に、共通の分岐ケーブルコネクタ78で終わるそれぞれの端部74、76を有する。入口幹線ケーブルセグメント70のもう一端80は、入口ケーブルコネクタ82で終わり、出口幹線ケーブルセグメント72のもう一端84は、出口幹線コネクタ86で終わる。上記論じたように、任意の好適なケーブルコネクタ、例えばMolex(登録商標)コネクタを用いることができる。
【0042】
図11は、T型電源ケーブル26の概略回路図である。各幹線セグメント70、72は、電源電力をコントローラにおくるために、少なくとも二本の電力ワイヤー、例えば幹線セグメント70に電力ワイヤー86、88を、幹線セグメント72に電力ワイヤー90、92を収容する。入口幹線ケーブルセグメント70内の電力ワイヤー86、88は、幹線入口コネクタ82のピン1、4および共通分岐出口コネクタ78のピン1、4で終わる。出口幹線ケーブルセグメント72の電力ワイヤー90、92は、幹線出口コネクタ86のピン1、4、および共通分岐出口コネクタ78のピン5、6で終わる。電源、例えばAC電力供給装置13(図27)からの電源電力は、通常は幹線出口コネクタ82を介して入口幹線セグメント70に接続され、且つ両幹線セグメント70、72は共通分岐出口コネクタ78(図1〜8を参照)を介してコントローラ20に接続されており、従って電源電力は共通コネクタ78のピン1、2を介してコントローラ20に供給される。しかしながら、上記説明した幹線出口コネクタ86にデイジーチェーン接続できる他のコントローラ20およびパイプヒーター用の幹線出口コネクタ86のピン1、4に電源電力を供給するために、迂回接続94、96を備え、電力ワイヤー86、88を出口幹線ケーブルセグメント72の電力ワイヤー90、92に接続する。
【0043】
入口幹線セグメント70内の低電圧シグナルワイヤーの一つ、例えばワイヤー98は、出口幹線セグメント72内の対応するシグナルワイヤー102に直接接続され、入口幹線セグメント70のコネクタ82のピン3は出口幹線セグメント72の幹線出口コネクタ86のピン3と電位が等しくなる。しかしながらこれらのシグナルワイヤー98、102は分岐出口コネクタ78を迂回するため、それらはコントローラ20には接続しない。しかし入口幹線セグメント70の別のシグナルワイヤー100は、幹線入口コネクタ82のピンを分岐コネクタ78のピン4に接続する。同様に、出口幹線セグメント72の別のシグナルワイヤー104は、幹線出口コネクタ86のピン6を共通分岐出口コネクタ78のピン8に接続する。その結果コントローラ20は、二本のシグナルワイヤーを具備する単一回路を閉じるか、または開けてシグナルワイヤーを具備した閉鎖回路を維持または中断し、例えば、コントローラ20がヒーターに問題を検出した時に、回路導通検出器にシグナル回路23が開いていることを検出させ、上記したように遠隔監視ステーション15(図27)の警報/アラームを始動させるか、または別の機能を始動させることができる。幹線入口コネクタ82の未使用のピン2、5、共通分岐出口コネクタ78の未使用のピン3、7、および幹線出口コネクタ86の未使用のピン2、5は随意選択的であり、且つ高電圧AC電源による低電圧シグナルへの電気的ノイズまたは干渉を避けるために、高電圧と低電圧の接続部間の空間的距離を維持するために利用してもよい。
【0044】
図12に示す直線型の終端電源電力ケーブル106は、上記したように、AC電源電力およびシグナル回路23を、デイジーチェーン接続した複数のコントローラ20中の最後のコントローラ20または、場合によってはコントローラを一つだけ備えたヒーターシステムの唯一のコントローラに接続するのに用いられる。それは、整然とした構造を維持するように、好ましくはコイル状にされたケーブルを一本含むが、これは絶対ではない。それは、一端はT型電源ケーブル26の幹線出口コネクタ86と嵌合する入口コネクタ110で終わり、且つもう一端は、コントローラ20の入口コネクタ140(図20〜21および29)と嵌合する、制御電力ケーブル26の分岐出口コネクタのような出口コネクタ112で終わる。図13の概略回路図に示すように、この終端電源ケーブル106は、T型電源ケーブル26と同様に、少なくとも二本の電力ワイヤー114、116および少なくとも二本のシグナルワイヤー118、120を具備する。電力ワイヤーは入口コネクタ110のピン1、4を出口コネクタ112のピン2、1に接続し、シグナルワイヤーは入口コネクタ110のピン3、6を出口コネクタ112のピン8、4に接続する。終端電源ケーブル106は、T型電源ケーブル26を使用するのに代わって、AC電力電源13(図27)からの電源電力および遠隔監視ステーションからのシグナル回路23を、デイジーチェーン接続されたコントローラ列の最後のコントローラ20に提供するのに用いられるが、これは、以下にさらに詳しく述べるように、デイジーチェーンの端部のT型電源ケーブル26では二本のシグナルワイヤーが接続されないまま残されるため、常に電圧は開放回路状態の電圧となり、これが温度範囲警報/アラームシグナル機能の作動を妨げるからである。
【0045】
図5〜8に示すゾーン型のマスターおよびスレーブヒーター向けの一点制御構成14では、一点コントローラ20は、スレーブアダプター、例えば図33〜36に関係して以下に記載するスレーブアダプターケーブル22またはスレーブアダプター接続箱324を介して一つまたは複数T型制御スレーブケーブル24に接続し、一点コントローラ20により、ヒーターの連結列またはゾーン中にある複数のヒーター16、16'を制御する。ゾーン内の第1ヒーター16は、スレーブアダプターケーブル22により一点コントローラ20と接続しており、コントローラ20はその第1ヒーター16内にある温度センサー50、52(図9)に反応してゾーン内のマスターヒーター16および残りのスレーブヒーター16'の両方を制御することから、該ゾーンのマスターヒーターと見なされる。ゾーン内の、マスターヒーター16以外の残りのヒーター16´は、スレーブヒーターと呼ばれるが、それは、これらヒーターが単にAC電力のスイッチをオンまたはオフにすると加熱する、または加熱しない、即ちコントローラ20に温度のフィードバックを提供することなくコントローラ20によって制御されるからである。便宜上、T型制御電力スレーブケーブル24は、コントローラ20から制御を受けたAC電力をスレーブヒーター16'に流すことからそのように称し、これに対し上記したT型電源電力ケーブル26は、コントローラ20にAC電源電力を流す。
【0046】
典型的な形で設置されたマスターヒーター16およびスレーブヒーター16'は通常、便宜のため、および標準化のために同一であり、本明細書では一例としてそのように図示し、記載されているが、本発明の全ての態様が同一のマスターヒーターとスレーブヒーターが必要としているわけではない。スレーブヒーターは、マスターヒーター16のマスター機能と異なるそれらのスレーブ機能を示すために、本記載では便宜上16ではなく16'で示す。以下により詳しく説明するように、スレーブヒーター16'内の温度センサー50、52(図9)は、たとえそれらが存在しても用いられない。それ故に、スレーブヒーター16'は、望まれるならば、温度センサー無しで作ることもでき、それでも本発明に使用できる。しかしながら、上記したように、スレーブヒーター16'は、マスターヒーター16と同一でよく、その場合スレーブヒーター16'をコントローラ20に接続するのに用いられるスレーブヒーターケーブル22、24、184は、スレーブヒーター16'内の温度センサー50、52(図9)を分離してこれら温度センサーからのシグナルがコントローラ20に送られないように構成され、そうすることによって、以下により詳細に説明するように、スレーブヒーター16'の温度センサー50、52はシステム内で実際には作動しないようにする。
【0047】
図5および8に示すように、一つのコントローラ20が制御する連結列またはゾーン内のスレーブヒーター16'の数は任意でよい。ゾーン内の連続するスレーブヒーター16'は、追加のT型制御スレーブケーブル24、および図5〜8には図示していないが、以下に詳しく説明する終端制御ケーブル184(図18)によって、図1および4に示すようにデイジーチェーン様式でT型制御スレーブケーブルに単純に接続することができる。
【0048】
手短に述べると、T型制御スレーブケーブルだけが、スレーブヒーター16'内のヒーターコイル(図9および32に)電流を流す。スレーブヒーター16'に電力を供給する電流は、コントローラ20によって制御されており、コントローラがスレーブヒーター16'への電力のスイッチを入れると、それらは発熱する。コントローラ20がスレーブヒーター16'への電力のスイッチをオフにすると、それらは発熱を止める。どのスレーブヒーター16'からもコントローラ20に温度情報は送られない。
【0049】
マスターヒーター16も、コントローラ20が電力のスイッチを入れると発熱し、コントローラ20が電力のスイッチをオフにすると発熱を停止する。しかしながら、コントローラ20は、マスターヒーター16内の温度センサー50、52(図9および32)から温度情報も受け取り、マスターヒーター16内で感知された温度レベルに反応して電源をオン・オフにする。かくして、マスターヒーター16内の感知温度が、コントローラ20の設定に対して低いとコントローラは電源を入れ、するとゾーン内の全てのマスターヒーターおよびスレーブヒーター16、16'は一斉に作動する。同様に、マスターヒーター16内の感知温度が、コントローラ20の設定に対して高いと、コントローラ20は電源をオフにし、ゾーン内の全てのマスターヒーターおよびスレーブヒーター16、16'は一斉にオフになる。
【0050】
電力は、T型電源電力ケーブル26を経て図5のコントローラに送られる。T型電源ケーブル26は、外観的にはT型制御電力スレーブケーブル24に似ているが、それは、上記したように一組の高電圧電力ワイヤーに加えて少なくとも一組の低電圧シグナルワイヤーを有しているが、一方T型制御電力スレーブケーブル24は、スレーブヒーター16'内のヒーター要素に電力を送るための高電圧電力ワイヤーの組は有しているが、上記の警報/アラーム用のシグナル回路ワイヤーは有していない。
【0051】
図14に示すスレーブアダプターケーブル22は図5〜8に示すように用いられて、上記したように、コントローラ20をマスターヒーター16および一つまたは複数のスレーブヒーター16'に接続する。スレーブアダプターケーブル22は、二つのケーブルセグメント、マスター制御電力ケーブルセグメント126、およびスレーブ制御電力ケーブルセグメント128から成り、これらは電源からコントローラへとは逆に、コントローラ20から制御された(例えばスイッチをオン・オフにして)電力を流すことから便宜上そのように呼ばれる。マスター制御電力ケーブルセグメント126の一端127は、入口コネクタ130で終わり、入口コネクタはヒーターコード62の入口コネクタ64(図1〜9)と同様に、AC制御電力を加熱要素32に送る少なくとも2本の高電圧ワイヤー、およびマスターヒーター16内の二つの温度センサー50、52(図9)用の二組のシグナルワイヤーに対応する(図5〜9)、少なくとも6本のピンを有する。いくつかの態様では、シグナルワイヤーは低電圧でよいが、一方他の態様では、以下に詳細に記載するように、上限制御に用いる温度センサーの種類によっては少なくとも一組のシグナルワイヤーは高電圧でもよい。それ故に入口コネクタ130は入口コネクタ64と同一の構成でよく、これは個別の局部ヒーター制御構成に関する図1〜4に示すように、コントローラ20の出口コネクタ142に直接ヒーターコード62を接続するか、またはマスターおよびスレーブヒーターを具備するゾーンの一点制御構成に関する図5〜8に示すようにスレーブアダプター22を介してコントローラ20にヒーターコードを接続する選択肢を提供する。マスター制御電力ケーブルセグメントのもう一端129は、共通出口コネクタ132に終り、これはコントローラ20の出口コネクタ142と同様に(図3、7、20、21)ヒーターコード62の入口コネクタ64と嵌合できるように構成されており、これもヒーター16を個別ヒーター16制御のためのコントローラ20に直接接続するか、または一点制御構成12のためにスレーブアダプター22に接続する選択肢を提供する。スレーブケーブルセグメント128は、スレーブヒーター16'に電力を供給するための高電圧電力ワイヤーを2本含むが、それは以下に詳細に説明するように、温度センサー50、52のためのワイヤーを有してはならない。スレーブケーブルセグメント128の一端136は共通出口コネクタ132に終わり、他端138はスレーブ出口コネクタ134に終わる。
【0052】
スレーブアダプター22に関する図15の概略図に示し、且つ上記したように、マスターケーブルセグメント126は、少なくとも2本の電力ワイヤー144、146を有し、それらは入口コネクタ130のピン1、5を、マスターヒーター16内のヒーター要素32(図1〜4および9)に高電圧AC電力を提供するための出口コネクタ132のピン1、5に接続する。マスターケーブルセグメント126はまた、それぞれマスターヒーター内の温度センサー50、52を一点コントローラ20(図5〜8)に接続するための(図9)2組のシグナルワイヤー、例えばワイヤー148、150の第1ペアおよびワイヤー152、154の第2ペアを有する。シグナルワイヤーのペア148、150は、入口コネクタのピン4、8を出口コネクタ132のピン4、8に接続し、もう一方のシグナルワイヤーのペア152、154は、入口コネクタ130のピン3、7を出口コネクタ132のピン3、7に接続する。しかしながら上記したように、一点制御構成14中のコントローラ20(図5〜8)は、温度情報をマスターヒーター16だけから得て、スレーブヒーター16'からは得ない。それ故にスレーブケーブルアダプター22のスレーブケーブルセグメント128は、シグナルワイヤーを必要としない。それは制御された高電圧電力をスレーブヒーター16'に提供することを唯一の機能としており、従ってスレーブケーブルセグメント128は図11に示すように2本の高電圧電力ワイヤー156、158を含む。また、スレーブケーブルセグメント128中にシグナルワイヤーを持たないことにより、スレーブケーブルアダプター22の使用は、自動的にデイジーチェーン中の後続ヒーターの温度センサー50、52を隔離し、これにより後続ヒーターはスレーブヒーター16'となる。更には、スレーブケーブルセグメント128中にはどのようなシグナルワイヤーも存在しないため、出口コネクタ134はコネクタ130、132に比べ簡素であり、ピンの数は少ない。また、この異なる構成を有する小型の出口コネクタ134は、一点コントローラ20に二つ以上のヒーター16のンドセンサー50、52を不注意に接続することになる、電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブル106のスレーブアダプターケーブル22への誤接続を防止する。小型の、異なる構成のコネクタ134は当然、後続のスレーブヒーターケーブル24、184に小型の嵌合相手コネクタ172、190を必要とし、これについては以下に詳しく論じる。これら小型コネクタ172、190も、上記したように、シグナルワイヤーを持たないスレーブケーブル区分24、184が、シグナルワイヤーを有する電力/シグナル幹線ラインに不注意に接続するのを防止する。
【0053】
図15に示すように、スレーブアダプターケーブル22の高電圧電力ワイヤー156、158は、コネクタ130、132のピン1、5を出口コネクタ134のピン1、3に接続され、コントローラ20から入口コネクタ130を通り提供される高電圧電源電力は、マスターヒーター16用の出口コネクタ132およびスレーブヒーター16'用の出口コネクタ134にも提供される。この場合もコネクタ130、132のピン2、6は使用されず、高電圧接続とシグナル接続の間に空間を提供する。出口コネクタ134のピン2、4は使用されない。
【0054】
T型制御電力スレーブケーブル24は、図16に最も良く見られ、その概略回路図を図17に示す。このT型制御電力ケーブル24は、二つの幹線セグメント160、162を具備するが、これらは好ましくは、しかし必須ではない、バンド164と一緒にコイル状にまとめられて整然とした構造を作り上げ、維持する。上記したように、このT型制御電力ケーブル24だけが、高電圧制御電力をスレーブヒーター16'に送るため(図5〜8)、これら第1および第2スレーブ幹線セグメント160、162は高電圧電力ワイヤー166、168を含むが、それらはどのようなシグナルワイヤーも含んではならない。更には、T型制御電力スレーブケーブル24内にシグナルワイヤーがないため、ヒーターにコントローラ20を直接接続する代わりに、これらT型制御電力スレーブケーブル24を選択および使用してヒーターへの制御AC電力を得ると、自動的にヒーターの温度センサー50、52は隔離され、その結果ヒーター機能はマスターヒーター16ではなくスレーブヒーター16'となる。また上記のT型電源電力ケーブル26の分岐出口コネクタ78は、上記例示態様のT型制御電力スレーブケーブル24の分岐出口コネクタ170と異なる構成を有するため、T型電源電力ケーブル26は、シグナルワイヤーを有するが、ヒーターに接続することはできない。
【0055】
T型制御電力スレーブケーブル24の各幹線セグメント160、162の一端は、共通分岐出口コネクタ170に終わり、入口幹線セグメント160の他端は、入口デイジーチェーンコネクタ172に終わるが、一方スレーブ出口幹線セグメント162は幹線出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174に終わる。スレーブ入口デイジーチェーンコネクタ172は、スレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口デイジーチェーンコネクタ134と嵌合するように構成される(図5〜8および14)。幹線出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174は、スレーブアダプターケーブル22のデイジーチェーン出口コネクタ134と同一に構成され、どのようなT型制御電力ケーブル24も、スレーブアダプターケーブル22またはもう一つのT型制御電力ケーブル24のどちらかに接続できる。
【0056】
共通スレーブヒーター出口コネクタ170は、ヒーターコード62の入口コネクタと嵌合するように構成されており、それは高電圧電力をスレーブヒーター16'に送ることができる(図5〜8)。それ故に、たとえT型制御電力ケーブル区分24がシグナルワイヤーを有しても有さなくとも、共通スレーブ分岐出口コネクタ170は、ヒーター16'の入口コネクタ64に嵌合できるように、スレーブアダプターケーブル22の出口コネクタ132およびコントローラ20の出口コネクタ142と同一の構成を持つ。図17に示すように、スレーブ入口幹線セグメント160内の高電圧制御電力ワイヤー176、178は、入口コネクタ172のピン1、3を共通分岐出口コネクタ170のピン1、5に接続するが、これはスレーブアダプターケーブル22出口コネクタ132内のピン1、5への高電圧電力接続と同じである。入口幹線セグメント160の高電圧電力ワイヤー176、178は、出口スレーブデイジーチェーンコネクタ174のピン1、3に高電圧電力を提供するために、出口幹線セグメント162の高電圧電力ワイヤー180、182にも接続する。図17に示すように、分岐出口コネクタ170には多数の未使用ピン2〜4および6〜8が在るが、これらはピン3、7、および3に接続するシグナルワイヤーを持たず、ピン8はパイプヒーター16'の温度センサー50、52を隔離し、それらがコントローラ20と接続するのを防止しており、これによりヒーターをスレーブヒーター16'として機能させる。
【0057】
それ故にこの記載より、同一のヒーターが(i)個別局所ヒーター制御構成中の個別制御ヒーター16、(ii)一点ヒーター制御構成中のマスターヒーター16、または(iii)一点制御構成中のスレーブヒーター16'のいずれかとして用いることができることは明らかであろう。この選択を行うため、またはこれら機能を実行するために、コントローラ20またはヒーター16のいずれにも改良または変更は必要とされない。ヒーターの所望機能−個別制御、マスター、またはスレーブ−は、(i)ヒーターを個別制御ヒーター用のコントローラ20に直接接続する、(ii)ヒーターをマスターヒーター16について、スレーブアダプター、例えばスレーブアダプターケーブル22を介してコントローラ20に接続するか、または(iii)ヒーターを、スレーブヒーター16'について、スレーブヒーター制御電力ケーブル区分24を介してコントローラ20に接続するかを選ぶだけで実行される。
【0058】
ヒーターをスレーブヒーター16'として機能させる選択は、一点ヒーター制御構成では、ヒーターゾーン中の最後のスレーブヒーター16'について終端処理した制御電力ケーブル184を用いることによっても実行できるが、これは図18に最もよく示されており、その概略回路図は図19に示されている。要点を述べると、終端処理した制御電力ケーブル184は、T型制御電力ケーブルの入口幹線セグメント160(図16)と実質的に同一である。それは2本の高電圧電力ワイヤー186、188、T型制御電力ケーブル24の入口コネクタ172と同一である入口コネクタ190、およびT型制御電力ケーブル24の出口コネクタ170と同一である出口コネクタ192だけを有する。高電圧電力ワイヤー186、188は、入口コネクタ190のピン1、3を出口コネクタ192のピン1、5に接続する。使用時、出口コネクタ192はヒーターの入口コネクタ64に接続され、そうすると、出口コネクタ192のピン3、7および4、8に接続するシグナルワイヤーが存在せず、上記したようにヒーター内の温度センサー50、52(図9)は隔離されるために、それはスレーブヒーター16'となる。入口コネクタ190は、スレーブヒーター16'が一つしか存在しない場合には、スレーブアダプターケーブル22の出口コネクタ134に接続できるか(図5〜8および14)、またはヒーター16'が2個以上のスレーブヒーター16'列の最後であるときにはT型制御電力ケーブル24のコネクタ174に接続できる。
【0059】
コントローラ20はモジュラー式であり、従ってパラメータが工場で事前に設定された簡素な配置で用いることも、あるいは必要に応じて、拡張してより多くのユーザーインターフェイスおよび設定可能なパラメータオプションに対応することもできる。図20〜23に最も良く見られるように、制御措置20は、(i)ヒーター16の温度センサー50、52(図9)を監視すること、(ii)ヒーター要素への高電圧電力のスイッチを、工場事前設定温度パラメータおよび履歴現象に従ってオン・オフすること、(iii)工場事前設定上限温度限界に従って加熱事象時に高電圧電力を切断すること、(iv)高温事象によって高電圧電力が切断されたならば、遠隔監視ステーションへの警報シグナルを始動させること、および(v)複数の状態インジケータ、例えば低温、高温、ヒーターへの規格内高電圧電力送電のオンまたはオフ、および高温事象による高電圧電力切断を含むが、これらに限定されない工場事前設定パラメータを持つコントローラ20の基本機能に必要な回路構成要素を含むベースモジュール200を有する。
【0060】
再設定可能パラメータ、データ通信、システムの監視、アルファベット−数字視覚表示能力等のような追加の機能性およびユーザーインターフェイスは、図21および22、ならびに図2、3、6、および7に示すように、拡張モジュール202をベースモジュール200に取り付けることによって追加できる。図21および22に示す例示の拡張モジュール202は、図21および22に示す、拡張モジュールそのものへの入力から、または通信構成要素もしくは以下に説明する他の通信手段を介して遠隔地からのユーザー入力を処理する回路を備えている。それはまたベースモジュール内の工程制御回路、およびいくつかの態様では高温限界制御回路296、298(図29)とも連絡して、ベースモジュール200に組み込まれた調整能力のレベルおよび特別な拡張モジュール202に組み込まれた能力のレベルに応じてベースモジュール200の一部または全ての機能を確認、設定、リセット、および監視することができる。図21に示すように、拡張モジュール202は、筐体208の透明な正面部分206を通して視認できるアルファベット−数字表示装置204、ユーザー入力ボタン210、212、214、および状態LED表示部216、218、220を有し、これらは全てについては以下でより詳しく論ずる。拡張モジュール202は更に、遠隔ステーションとデータの授受を行う、および/またはデイジーチェーン接続システム内の別のコントローラ20とデータの授受を行うためのデータライン通信ポート222、244を有することができる。これらの機能をより少なく、またはより多く持つ様々な拡張モジュールも作ることができ、ユーザーは各自のヒーター制御システムに望まれる、または必要とされるものに応じて、特定の能力および機能を一括して持つ特別な拡張モジュールを選択して取り付けることもできる。また拡張モジュールには、当業者により了解されるように、必要に応じて赤外線、RF、または他無線通信手段のような無線通信構成要素、およびそれを実施するための構成要素(未表示)を含めることもできる。それ故に、図面に示す通信ポートおよび構成要素は例示であり、限定または制限的な態様ではない。
【0061】
拡張モジュール202は、図21および22に最もよく示すように、複数の、例えば三つの、拡張モジュール202の背面234から突き出たラッチドッグ222、224、226を、ベースモジュール200の正面パネル228内にある嵌合ラッチ孔228、230、232に合わせて、適切に嵌め込むことによって非常に簡単に取り付けられる。それは、ベースモジュール200から拡張モジュール202を引っ張り、離すだけで簡単に取り外すことができる。
【0062】
ベースモジュール200内の回路盤は、一連の電気接点、例えば接点236のパッド、または任意の他好適なプラグレセプタクル、および正面パネル238の開口部246近くに複数の、例えば三つのLED240、242、244を有する。対応する、整列配置された嵌合接点アッセンブリ248または好適なプラグは、拡張モジュール202の回路ボードからリアパネルを通り突き出ており、拡張モジュール202をベースモジュール200に正しく嵌め込むと、これらは開口部246を通り突き出て接点パッド236上の嵌合相手の電気接点と接触するかベースモジュール200内のプラグレセプタクル内に入り、拡張モジュール202はベースモジュール200と電気的に接触し、電力を受け取り、データ通信を行う。また、拡張モジュール202内の回路盤には複数の、例えば三つの透明な、または少なくとも半透明なボスまたは導波管が存在しており、それらは正面206上の表示部216、218、220と一列に並び、且つそこから伸びて、後パネル256からベースモジュール200に向かって突出する。これらの突出したボス250、252、254は、ベースモジュール200内のLED240、242、244と一列に並んでおり、かくして拡張モジュール202をベースモジュールに正しく嵌め込んだ時は、ボス250、252、254はLED240、242、244に隣接して配置され、それらはLED240、242、244からの光を正面206の表示部240、242、244に伝える。
【0063】
ベースモジュール200を拡張モジュール202なしに単独で作動させる時は、図23に最もよく見られるように、開口部246からベースモジュール200内にホコリや破片が侵入しないように拡張モジュール200に代わってベースモジュール200にダストカバー258が提供され、嵌め込まれる。ダストカバーも、ラッチ孔228、230、232と一列に並び、嵌め込まれてベースモジュール200にダストカバーを正しく保持する、拡張モジュール202のものに類似したラッチドッグを有する。ダストカバー258は、ボス250、252、254に類似するが、より短い三つのボス260、262、264を有し、これらはダストカバー258の正面から孔246に入りLED240、242、244まで伸び、LEDからの光をダストカバーの正面に送り、状態表示する。
【0064】
当然、拡張モジュール表示部またはダストカバー表示部のどちらかに、より多くの、またはより少ないLED状態表示器を提供してもよい。本明細書に記載する例示態様の拡張モジュール202上の三つのLED状態表示器216、218、220およびダストカバー258上の三つのLED状態表示器260、262、264は、例えば、コントローラ20が、ヒーターが作動せず、例えば工程温度センサー52が感知する温度が高すぎる、もしくは低すぎるといった様な注意を必要とする状態を検出した時には「警報/アラーム」となり、「範囲内」モードはヒーターの温度が事前に設定した所望運転範囲内なることを示し、且つ「アウトプット」モードはヒーターへの制御AC電力が流れていることを、即ちヒーターにアウトプットされていることを示す。
【0065】
上記のように拡張モジュール202には、本明細書に記載した機能、能力、および/または特徴をより多く、またはより少なく装備またはプログラムできる。また一部の拡張モジュール202は、これら機能、能力、および/または特徴が他の拡張モジュール202に比べてより多く、または少なくして作ることもできる。また拡張モジュール202の一つを一つのベースユニット200から別のベースモジュールに移動させて、第1コントローラのパラメータをチェックおよび/またはリセットし、次に第2および/または任意の番号の追加ベースモジュール200のパラメータをチェックおよび/またはリセットすることもできる。このように、必要ならば、単一の拡張モジュール202を、必要に応じて一つまたは複数のベースモジュール200に使用できる。
【0066】
コントローラ20および付属の配線を、電子的構成要素を損傷することがある高温のヒーターから隔離するのを補助し、整然としたデイジーチェーン接続配列を維持するのを補助するために、コントローラ20には、図24〜26に最も良く見られるような通常の壁掛け式ブラケット270および背面パネル274に嵌合固定ソケット272が備えられる。ブラケット270は、複数の放射状に伸びる耳276を有し、これらはソケット272内の隣接するセクタープレート間を、それらに一致して放射状に伸びるスロット278の中に滑入する大きさに作られる。次に、コントローラ20を回転させると耳276はセクタープレートガイド280の下に補足されて、ブラケット270はソケット272から引き抜くことができなくなる。ブラケットには複数の受け板があり、これらは耳276の後方で軸方向に途切れており、ブラケット270をソケット272に刺し込むとセクタープレートと接し、コントローラ20をソケット272の軸284の回りを回転させると該セクタープレートガイド280は、耳276と受け板272の間に補足されてブラケットをソケット272内にしっかり、安全に保持する。
【0067】
使用時、壁掛け式ブラケット270は、横材288の孔286を通したネジまたは他固定具(未提示)により、壁または他の構造(未表示)に固定できる。あるいは、ブラケット270は、ストラップ、ワイヤー、テープ、または横材288の回りに巻かれる他の材料(未表示)によって、物体、例えばヒーターに固定できる。次にコントローラ20は、ブラケット270近くに、軸284上でブラケット270と軸方向に一列に並ぶようにして配置してから、ブラケット270に向けて軸方向に押し、耳276をスロット278の中を通してソケット272に入れる。次にコントローラ20を軸284の回りを回転させて、図24に示すようにブラケット270の所定位置に固定する。コントローラ20は、この段階を逆に実施することでブラケット270から容易に外すことができる。
【0068】
一つの態様での機能および制御論理は、図32の論理流れ図と一緒に、図28〜31の概略回路図を主に参照することで記述できる。図28の概略回路図は、図5〜8に描き、上記した一点ヒーター制御構成の本発明の複式ヒーター制御システム10を描く。簡単に説明すると、マスターヒーター16は、コントローラ20のベースモジュール200に繋がるスレーブアダプターケーブル22を介してコントローラ20に接続する。コントローラ20は、高電圧電力電源、例えばAC電力電源と、コントローラ20に接続しているT型電源電力ケーブル26によって接続する。鼓電圧電源電力は、コントローラ20内では高電圧伝導体290、292によって表されるT型電源電力ケーブル26中の高電圧ワイヤー86、88によってコントローラ20に送られる。コントローラ20では、高電圧電源電力は、工程制御チップ296に低電圧DC電力を供給するDC電源294、図28〜31に示す態様の上限値制御チップ298、および接触パッド236もしくはプラグレセプタクル(未表示)に分岐し、拡張モジュール202が装備されている場合には、拡張モジュール202も利用できる。高電圧制御電力は出口コネクタ142へも送られ、そこから該電力はスレーブアダプターケーブル22、T型スレーブ制御電力ケーブル、およびスレーブ終端制御電力ケーブル184を介してヒーター16、16'に送ることができる。マスターヒーター16およびスレーブヒーター16'では、コントローラ内の伝導体290、292からの高電圧制御電力は、高電圧ワイヤー42、44によってヒーター要素32に伝えられる。
【0069】
図28〜31の概略図に示す例示のコントローラ20の態様では、上限制御回路298は、マイクロプロセッサのようなデジタル論理回路を含むように描かれており、それは上限カットオフ機能を実行させるようプログラムできる。このようなデジタル論理的な上限制御回路では、一つの高電圧伝導体292は出口コネクタ142に直接繋がれ、そこからそれは各ヒーター16、16'内の高電圧ワイヤーに直接接続する。しかしながら、もう一方の高電圧伝導体290は、二つのスイッチ装置300、302を通して配線される。第1スイッチ装置300は、第2スイッチ装置302の前方にあり、上限制御回路298内のマイクロプロセッサまたは他の論理回路によって制御され、全てのヒーター16、16'および第2スイッチ302を含む、第1スイッチより後にあるあらゆるものへの高電圧電流を遮断し、オフにする。それ故に、上限制御298が、過剰温度事象などにより第1スイッチ300を開くと、該リレースイッチより下流にある全てのものは、第1スイッチ300がリセットされるまで作動できない。この説明に於いて、「上流」および「前方」は、電気がやってくる、例えばAC電源から見た側、方向、または相対位置を指す。補完的な形で、「下流」または「の後」または「後方」は、供給源から遠ざかる側、方向、または相対位置、例えば電力がある構成要素等から離れる場合の方向を指す。
【0070】
第1高電圧電力スイッチ300は、通常は開いており、従ってそれを閉じるには電力(リレーコイルを通る電流)を必要とする機械式リレーが好ましいが、絶対ではない。また一度該電力スイッチ(リレー)300が開かれた場合、オペレーターまたはユーザーの介在なしには電力スイッチ30はリセット(閉じる)できないことが好ましいが、必須ではない。換言すると、ヒーターの温度が下がた時、リレースイッチ300は自動的にリセットまたは閉じない。そのかわりにオペレーターまたはユーザーは、コントローラ20を再始動させてヒーターに制御電力を送るには、リレースイッチ300をリセットする(閉じる)何らかの作業を積極的に行わなければならない。上限スイッチ300には、トライアックのようなソリッドステートスイッチはより抵抗性であり、より不要な熱を発生させ、不要なパワードレインとなることがあるために、機械式リレースイッチが好ましいが、必須ではない。
【0071】
通常のラッチリレー装置は上記の機能を果たすことができるが、この種のヒーター制御の用途に用いることができる通常のラッチリレー装置は大きく、嵩高な装置であり、運転に第2コイルおよび大きな電力を必要とする。それ故に、本発明の態様は、ヒーター温度が上限温度限界より低くなった後も、オペレーターまたはユーザーが介入するまで、普通の、通常開放している機械式リレースイッチを開いた状態に配置する上限制御回路298を具備する。本明細書では、普通の、通常開放している機械式リレースイッチをヒーター制御システム10内でこの様式で機能させることができるいくつかの例示的な上限制御回路298、一つのデジタル回路、および二つのアナログ回路が挙げられている。
【0072】
普通の、通常開放している機械式リレースイッチは、バネで開放モードまたは開放位置にバイアスされている(片寄らされている)少なくとも一揃いの電気接点、および通電されるとバネのバイアスを上回る磁場またはバイアスを生じさせて接点を閉じるコイルを有するリレースイッチである。コイルへの電力供給がオフになると、電流はコイルの中を全くながれないか、またはバネのバイアスを上回る十分に強力な磁場もしくはバイアスを生じさせるには十分でない場合、バネのバイアスが接点を再開する。
【0073】
上限機械式リレースイッチ300を制御して上記のように機能させる上限制御回路298の一例としては、図28〜31のコントローラ20の概略回路図の中に概略を示したデジタル理論マイクロプロセッサまたは他の回路が挙げられる。この例では、上限回路298のマイクロプロセッサまたは他理論回路は、始動すると、一連の始動理論段階を進めるようにプログラムされており、その段階としては、(i)第1(上限)温度センサー52が感知した温度を事前設定された上限温度と比較する段階、および(ii)感知した温度が事前設定した上限温度以上でないときは、通常開放しているリレースイッチ300を閉じるシグナルを発生させる段階が挙げられる。例えば、該シグナルを低電圧ゲート、ソリッドステートスイッチ、例えばトランジスタ(未表示)に送り、低電圧DC電流を機械式リレースイッチ300のコイルに流させて、それを閉じさせることができるが、これに限定されない。もし感知した温度が事前設定した上限温度以上であるならば、始動理論はリレー電源スイッチ300を閉じるシグナルを発生しない。それゆえに一つの実施例では、もしリレー電源スイッチ300が閉じられないならば、リレー電源スイッチ300が開かれた後でそれを閉じるためには、感知温度が事前に設定した上限温度を超えていない時に、上限制御回路に動力を供給するDC電流をいったん遮断してから再投入し、それをリブートするか、または理論を再始動させなければならない。このような上限制御回路298へのDC電流の遮断または除去は、様々な方法で達成できる。例えば、図8の実施例で上限制御回路298を作動させるDC電流を供給するDC電源294は、AC電力導線290、292の中のAC電力に組み込まれているため、上限制御回路298からのDC電力の除去は、AC電源からコントローラ20のプラグを抜くか、または接続を絶つことによって簡単に達成できるが、これは同時にDC電源294への電力も遮断することになり、これにより上限制御回路298からも電力が除去される。次に、AC電源へコントローラを再接続すると、上限制御回路298への電力供給が再開され、それによりコントローラはリブートされて、その始動理論を再度進行させ、もし始動理論が感知温度は事前設定上限温度以上でないと判定すると、上記したようにリレー電源スイッチ300を閉じる。当然、上限回路298へのDC電力を投入・遮断する別の方法も提供でき、例えば、DC電源294の前方、またはDC電源294と上限回路298の間に手動作動スイッチ(未表示)を備えることもできる。上限制御回路298に好適な理論回路としては、例えばAmtel Corporation, San Jose, Californiaが製造したATmega168マイクロプロセッサが挙げられるが、記載した機能を実施するようにプログラムできる他の集積回路チップも商業的に容易に入手でき、且つ当業者に周知である。
【0074】
この場合も、本実施例の目的は、上限制御回路298によってオフにされたヒーターを再始動するためにオペレーターまたはユーザーの積極的な関与を必要とし、それによってオペレーターまたはユーザーが、ヒーターを再始動して無人稼働させる前に、上限によるヒーターの遮断の原因をチェックさせるようにすることである。同時に、上記したような様式で制御される、即ち事前に決定した上限温度、またはその近くの温度において、信頼できる形でヒーターへのAC電力の供給を実施または遮断することができ、且つオペレーターの簡単な介入によって再度閉じることができる機械式リレースイッチ300の使用は、交換を必要とするか、またはヒーターを使用不可能にするヒーターの温度ヒューズの欠点を回避する。それはまた、通常のラッチ式リレーの欠点、例えば大きな嵩高のパワードレインも回避し、且つそれはソリッドステートスイッチの欠点、例えば抵抗、発熱、およびパワードレインを回避する。更には上記のデジタル回路の実施では、上限温度またはパラメータは調節可能であり、これはユーザーに追加の選択肢および柔軟性を提供する。
【0075】
当業者が知るように、パラメータがある値「以上」であるか、または該値「より大きい」場合にある動作を起こす理論段階の間の差は、プログラマー選び使用する特定の理論命令文を除いて、在ったとしてもほとんど実施的でない。同様に、パラメータがある値「以下」であるか、まさに該値「未満」である場合の差も、在ったとしてもほとんど実質的ではない。換言すると、例えば上限回路の理論段階が、感知温度が事前設定上限温度パラメータ以上であるときにリレー300を開くシグナルを発生させると記述または要求しているとすると、それは感知温度が上限温度パラメータを超える時、即ちそれより大きい時にリレー300を開くシグナルを発生させることに等しい。それ故に特別指示しない限り、>=は、>に等しく、およびその逆も成り立つと考え、かつ<=は<に等しく、その逆も成り立つと考える。
【0076】
マスターヒーター16内の温度が上限制御298に設定された上限温度より低くとどまっている限り、第1スイッチは閉じたままであり、ヒーター16、16'は、例えば熱電対またはサーミスタでよいマスターヒーター16の第2温度センサー52からの温度シグナルに基づいてコントローラ20の工程制御296によって制御される。図28に示すように、第2温度センサー52からのシグナルは、ヒーター16内の低電圧ワイヤー58、60およびスレーブアダプターケーブル22(図15)を通る低電圧ワイヤーのペアによりコントローラ20内の増幅器306に送られ、そこで前記シグナルは工程制御296での使用に合わせて調整および増幅される。
【0077】
原則的には、工程制御296は、図32により詳細に示すように、第2温度センサー52が感知する温度を、工程制御296内に設定された所定の範囲内に維持するために、第2電力スイッチアンセンブリ302を動作させてヒーター16、16'への高電圧AC電力を流したり遮断したりする。図28に描かれた態様例のスイッチアッセンブリ302は、二つのスイッチ、例えば機械式リレースイッチ303およびソリッドステートトライアックスイッチ305を具備し、一緒になってアーク放電および発熱を最小化する。トライアック305は、リレースイッチ303が閉じる直前、例えば約20ミリ秒前にオンになり、機械式リレースイッチ303の接点の最初の閉鎖時に起こるリレースイッチ303のアーク放電を最小化する。その後トライアック305は、例えば機械式リレースイッチ303が閉じた約20ミリ秒後にオフとなり、言い換えればリレースイッチ303閉鎖中のトライアック305内の熱発生およびヒーター16、16'への制御AC電力の伝達を回避する。次にトライアック305は再度リレースイッチが開く直前にオンになり、開く際のリレースイッチ303内のアーク放電を最小化する。これらの機能は、当業者が理解するように、工程制御回路296によって制御される。機械式リレースイッチおよびトライアックパワースイッチは、当業者には周知であるように、多くのサイズおよび構成のものが多くのメーカーから容易に購入できる。
【0078】
工程制御296は、例えば情報を処理して、拡張モジュール202とベースモジュール200巻の情報のやり取りを知らせるグリーン、アンバー、および赤色のLED光ディスプレイ240、242、244を動作させること、ならびに第1スイッチ300の状態に関する表示および出力を処理するために上限制御からのシグナルを受け取ることを含むが、これらに限定されない、図32により詳しく示す多くのその他機能も提供する。工程制御回路はAmtel Corporationが製造するATmega168も具備できるが、無数の他のマイクロプロセッサもこれら、およびその他機能に役立つことは当業者に周知であり、且つ容易に入手できる。
【0079】
工程制御296が提供する機能の一つは、遠隔監視地に送られ、ヒーターまたはヒーター列16が所望の温度範囲内で作動していることを確認するための温度範囲シグナル(時には「警報/アラーム信号」とも呼ばれる)を作りだすために、温度入力情報を処理することである。この機能は、多くのユーザーに役立つだろう。例えば、ヒーターの温度が、上記の上限温度に関係してもしなくともよい特定の所望作動範囲外の時、この電子的温度範囲シグナルは、連動装置のための機構(図27)、即ち熱を特定の温度範囲内に維持するために、ヒーター16の適切な作動に依存している産業工程を抑制または中断する機構を始動させるのに用いることができる。このような電子温度範囲シグナルに関する別の使用は、遠隔地のオペレーターに、ヒーターまたはヒーター群が所望作動範囲外であること、即ち低く過ぎるか熱過ぎることを知らせる通知またはアラーム機能を作り出すことである。もちろん、このような電子的温度範囲または「範囲外」シグナルの使用は、これらの例に限定されない。
【0080】
本発明では、電子温度範囲シグナル(「警報/アラーム信号」とも呼ばれる)を実施するために、コントローラ20内に工程制御296によって操作できる電子リレー装置310が提供される。ヒーター16の所望温度範囲は、工場で事前設定されるか、またはユーザーが決定し、工程制御296内にプログラムされる。該範囲は、絶対温度または上下限界値で設定できるか、あるいはいくつかの運転温度設定に関する増分値でよく、この値はオペレーターの要求により固定することも、浮動させることもできる。
【0081】
遠隔監視装置15(図27)から供給される30ボルト以下のような低電圧は、コントローラ20がコントローラ20のデイジーチェーン列の最後のコントローラであるか、またはシステム内の唯一のコントローラかに応じて、上記説明し、図10〜13に示したように、T型電源電力ケーブル区分26内に収められた低電圧ワイヤー98、100、および/または102、104、ならびに/あるいは終端電源電力ケーブル区分106内の低電圧ワイヤー118、120を介してコントローラ20に送られる。
【0082】
コントローラ20では、低電圧シグナル伝導体の一つは、図28のトレース312、314で示すように、T型電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブル106(図28には未表示−図12〜13を見よ)に戻される前に、リレー装置310を通る経路を辿る。遠隔地にある遠隔監視装置15(図27)は、T型電源電力ケーブル26内の低電圧ワイヤー98、100、および/または102、104、ならびに/あるいは終端電力ケーブル106内の低電圧ワイヤー118、120に、これら低電圧ワイヤーの電圧および/または電流を監視するために接続される。例えば、一つまたは複数のT型電源電力ケーブル26または終端電源電力ケーブルを介して遠隔監視装置に接続された全てのコントローラ20内のリレー装置310が全て閉じられているならば、電流は流れ、且つ/または電圧は低下するだろう。一方、いずれかのコントローラ20内のいずれか一つのリレー装置310が開いているならば、いずれかの電源電力ケーブル26、106内の低電圧ラインに電流は流れず、且つ/あるいは電圧は最高電圧、即ち遠隔監視装置15が低電圧ワイヤーに送る開放回路電圧である。このような電圧および/または電圧状態は、遠隔監視ステーション15内の連続検出器によって監視され、これにより検出器は全てのコントローラの全てのリレー装置310が閉じられているか、即ち全てのヒーター16が所望温度範囲内で動作しているか(閉鎖シグナル回路状態)どうか検出でき、またはヒーターの少なくとも一つが所望温度範囲内で作動していない(開放シグナル回路状態)であることを示すことができる。これにより、本明細書より、何故、図10〜11および28に示すようなT型電源電力ケーブル26ではなく、図12〜13に示すような終端制御電力ケーブル106を介してデイジーチェーン接続列の中の最後または唯一のコントローラ20を遠隔監視装置に接続しなければならないかが明らかになるだろう。具体的には、最後のT型電源電力ケーブル26に接続されているコントローラ20がなければ、低電圧シグナル回路は未接続コネクタ112、例えば図28の未接続ワイヤー102、104において常に開放されることになり、ヒーター16が所望範囲外で作動していると誤って表示してしまう。直線型の終端電源電力ケーブルは、図29に示すように、この問題を防止する。
【0083】
まとめると、T型電源電力ケーブル26とデイジーチェーン接続している列の中の各コントローラ20、および終端電源電力ケーブル106と接続する該列中の最後のコントローラ20は、所望温度動作範囲内にプログラムされている。コントローラ20の制御工程296がその温度センサー52または両温度センサー50、52が所望温度範囲外の温度をしめしていないと判断する限り、制御工程回路296はリレー装置310と閉鎖し続ける。しかしながら、もしコントローラ20が感知した温度情報から、ヒーター16が所望温度範囲内で作動していないと判定すると、それはリレー装置310を開き、そうすることによって低電圧シグナル回路を開くが、これは遠隔監視値15に在る連続検出器31によって検出できる。これに反応して、連続検出器31からのシグナルは、上記したように、所望の目的に合ったアラーム、通知、および/または制御もしくは停止シグナルを発することができる。
【0084】
同様に上記論じ、且つ図28に見ることができるように、マスターヒーター16内の温度センサー50、52は、スレーブアダプターケーブル22によってコントローラ20に接続しており、コントローラ20はこれらマスターヒーター16内の温度センサー50、52からのシグナルを上記工程に用いる。しかしながらいくつかの態様では、スレーブヒーター16'は、同一の温度センサー50、52を具備することを含めマスターヒーター16と構造は同一であるが、スレーブヒーターのこれら温度センサー50、52は、コントローラ20に接続していない。スレーブアダプターケーブル22または終端制御電力スレーブケーブル184のスレーブケーブルセグメント128中には低電圧ワイヤーは無いため、コントローラ20はスレーブヒーター16'内のセンサー50、52からは温度シグナルを全く得ず、こうしてそれらヒーターはスレーブヒーター16'となる。コントローラが実施を決定する全てのこと、ヒーターの温度に基づいて高電圧電力を入れる、もしくは遮断するかどうか、温度範囲リレー310もしくは他の機能を作動するかの決定も、それはマスターヒーター16内のセンサー50、52が感知した温度に基づく。
【0085】
上記したように、上限制御298および工程制御296が上記したように動作するのに必要な全てのパラメータは、工程制御296および上限制御298に事前にプログラムまたは設定でき、それはコントローラ20のベースモジュール200内に構築される。しかしながら、それ以上の制御、機能、監視、または他能力が望まれるならば、そのような追加の制御機能、監視、または他機能は、ベースモジュール200に取り付けられる拡張モジュール202に具備できる。図28に示す拡張モジュール202の例としては、表示/調整マイクロプロセッサ316、アルファベット−数字表示部204、ユーザーインターフェイスボタン210、212、214、デジタル通信入力/出力ポータル222、224、および通信マイクロプロセッサ318が挙げられる。表示/調整マイクロプロセッサ316は、Amtel Corporationが製造するATmega168でもよいが、無数の他マイクロプロセッサ回路も用いることができる。
【0086】
表示/調整マイクロプロセッサ316は、様々なパラメータおよび情報を読み出しおよびリセットするのに用いることができるユーザーインターフェイスボタン210、212、214に接続しており、これらパラメータおよび情報を表示/調整マイクロプロセッサ316は、工程制御296および/または上限制御からか入手および入力し、さらにそれらを表示部204に送る。マイクロプロセッサ316を使って読み出し、表示、およびリセットできるこのような情報としては、所望の運転温度設定点、上限安全温度、高温警報設定点、低温警報設定点、履歴現象、出力PID(比例帯、積分、および偏差)、サイクル時間、室温(読み取りのみ)、モドバス(modbus)デバイスアドレス、モドバスバンドレート、および温度単位(摂氏または華氏)が挙げられるが、これらに限定されない。基本リリースバージョン、基本構築番号、インターフェイスリリースバージョン、インターフェイスプロトタイプバージョン、およびインターフェイス構築番号のような他の読取り専用情報も読み出し、表示できる。
【0087】
通信マイクロプロセッサ318は、遠隔監視または制御ステーション、サービスコンピュータ等と外部データ通信を行って、入力/出力ポート222、224を介して情報の入出力、調整、プログラム修正等を可能にする。通信マイクロプロセッサ318は、例えば送信機および受信機を有しているMaxim Integrated Products、Sunnyvale、Californiaが製造するMAX3157でよいが、当業者が知るように、この機能には無数の他マイクロプロセッサも用いることができるだろう。
【0088】
図30の概略回路図は、図1〜4の複式局所ヒーター制御構成で描かれているような、コントローラ20に直接接続されたヒーター16を描いている。コントローラ20、ベースモジュール200、工程制御296、上限制御298、第1スイッチ300、第2スイッチ302、温度範囲リレー310、ヒーター16、温度センサー50、52、加熱要素32、拡張モジュール202、および他構成要素について記載した全ての接続および機能は、ヒーター16がコントローラ20に直接接続される以外は、図28についての上記説明と同一である。それ故に、この構成にはスレーブアダプターケーブルは存在せず、従ってスレーブヒーターも存在しない。
【0089】
図31の概略回路図もまた、ヒーター16に直接接続するコントローラのものであり、従ってこれにもスレーブアダプターケーブルおよびスレーブヒーターは存在しない。このように図31の回路図は、それが列中の最後のコントローラ20または唯一のコントローラ20のどちらかであることを除いて図30の回路と同一であり、従ってそれは図31に示すコントローラに高電圧電源電力および低電圧の温度範囲電子回路を供給するために、T型電源電力ケーブル26に代わって終端電源電力ケーブル106を有している。
【0090】
本発明を実施するための理論実行例は、図32に示す。図32および本記載に用いられる理論だけでなく数値およびパラメータは例示であり、制限することを意図しない。例示の理論は、上限制御298内で始まる。開始320すると、322で第1(上限)温度センサー50から温度測定値を取得して、上限温度パラメータと比較する。段階322において、上限温度センサー50からの実測温度が上限温度パラメータより小さければ、次の段階324はセンサー50からの実温度が第2(工程)温度センサー52の20℃以内であるか試験する。この比較324は、温度センサー50、52が互いに関して合理的な正確性で測定しているか判定する試験として実施される。20℃以内であれば、326においてコントローラ自体の温度が測定され、それが加熱していないこと、即ち85℃未満であることを確認する。例えばコントローラ20がヒーター16に近すぎる場合に加熱が起こることがあり、それはコントローラ20内の電子構成要素を損傷することがある。コントローラ20が326において加熱されていないことが見出されると、次に上限制御298は、328に示すようにリレースイッチ300を閉じた状態に保ち、その結果高電圧AC電力を工程制御296によるヒーター16、16'への電力供給の制御に利用し続けることができる。
【0091】
他方、322、324、326での試験のどれかがネガティブ、即ち感知した温度が上限温度を超える場合は、上限制御298は330でリレースイッチ300を開き、ヒーター16、16'へのAC電力を遮断する。それはまた工程制御296に、リレースイッチ300が開いていることを示すシグナルを送り、これに反応して工程制御296はアラームシグナルを作動させ、且つ/または(赤色)LED40を点滅させる。
【0092】
工程制御296は継続し、322において第2(工程)温度センサー52からの温度測定値はプログラムされた設定点(所望運転温度)から設定された履歴パラメータ(例えば約3℃)を差し引いた値と比較する。工程センサー52が測定した実際の工程温度が設定点から履歴パラメータを引いた温度に等しいか、それより低い場合は、実温度はプログラムされた低温警報(LTA)パラメータと比較され、即ち温度が所望運転範囲より低いか調べる。温度がLTAに等しいか、または低くければ(例えば設定点温度より約20℃低い)、次に工程制御296は366で第2(工程)スイッチを閉じ、AC電力をヒーター16、16'に供給し、それが出力LED244(例えば緑色)を点灯させ、ヒーター16、16'が入ったことを示す。他方、344での温度が低温警報(LTA)パラメータに等しくないか、それより低くない場合は、工程スイッチ(リレー3)302は338に示すように閉じられ、LED242(例えばアンバー色)が点灯されて実際の工程温度が適切な運転範囲内であることを示す。
【0093】
332での比較が、工程温度センサー52が測定した実際の工程温度が、設定点から履歴を差し引いたものに等しくないか、それより低くないことを示したならば、340で温度をチェックし、それが設定点から履歴パラメータを加えたものに等しいか、またはそれより高いか調べる。それに該当したならば、次に温度を342でチェックし、それがプログラムされた高温警報(HTA)パラメータ(例えば設定点温度よりも約20℃高い)に等しいから、またはそれより高いか確認する。これに該当したならば、次に344で制御リレースイッチ302が開かれ、ヒーター16、16'へのAC電力が着られ、「警報/アラーム」LED(赤色)240が点灯する。
【0094】
他方、もし340での温度が設定点に履歴を加えたものに等しくないか、または高くなければ、温度は制御履歴範囲内であり、制御リレースイッチ302は346でも開かれたままで、温度条件の変更は保留され、「範囲内」LEDが点灯されるか、または点灯を続ける。
【0095】
工程温度センサー52からの温度が342でプログラムしたHTAパラメータに等しくないか、またはそれより高くないことが見出されたならば、制御リレースイッチ302は348に示すように開かれ、「範囲内」LEDが点灯する。
【0096】
これら、および他の機能は、複数の制御プロセッサ、例えば296、298、316、318によって実施されるように例示の図面に示され、且つ上記されている。しかしながら、これらの機能および他の機能は、当業者が了解するように、一つまたは様々な組み合わせの複数のプロセッサによって、且つ一つまたは複数のマイクロプロセッサに機能を様々に割り振って実施できる。それ故に図面に示したよりも多い、または少ないプロセッサで、これら例示の機能を実施できる。
【0097】
上限制御回路298の別の実施例は、図33に描かれており、ここでは上限温度センサー50にスイッチング型の正の温度係数(PTC)を有するサーミスタ半導体装置が用いられている。スイッチング型PTCサーミスタは、装置が、スイッチまたは転移温度と呼ばれることが多い臨界温度に達するまで非常に小さな負の抵抗温度係数を示し、臨界点を超えると抵抗温度係数が急上昇すると同時に抵抗が大幅に高くなる、例えば数度の温度範囲で数桁の抵抗変化を示す半導体装置である。このようなスイッチング型PTCサーミスタは、転移温度が60℃〜160℃の範囲のものが容易に購入でき、転移またはスイッチング温度が少なくとも0℃および少なくとも200℃程度のものを作ることができる。スイッチングPTCサーミスタ装置に本来備わっているスイッチング機能を上限温度センサー50として使用すれば、上限制御回路298は図33に示すようにアナログでよく、それでもヒーターへのAC電力を開閉する、通常開いた状態のリレー上限電力スイッチ300を動作させるのに所望される機構および機能を提供することができ、ヒーター温度が上限温度に等しいか、それを超えた時は、どのような場合でもヒーターの温度が下がり上限温度より低くなってからオペレーターの介入または手動入力なしにはAC電力を閉じ、再度開くことはない。
【0098】
図33に示すように、PTCサーミスタ温度センサー50は、図9および27〜30に示す前記実施例の上限温度センサー52について上記したのと同様に、加熱要素32が発生する熱による温度を感知するためにAC電力供給を受ける加熱要素近くのヒーター16内に配置される。上限機械式リレースイッチ300もまた、これも上記および図27〜30に示すように、コントローラ20内のAC電力回路内に配置され、AC電力伝導体の少なくとも一つ、例えばAC電力伝導体290を結果通常は開いている接点307が閉じられるとヒーター16へのAC電力を遮断し、通常開いている接点307が開いているときはヒーター16へのAC電力をオフにするように開閉する。別のAC電力伝導体292は、コントローラ20を通り出口コネクタ142に至り、そこで上記したように切り替え式AC電力伝導体290と共にヒーター16に接続する。
【0099】
上限温度センサー50として用いるスイッチングPTCサーミスタは、リレースイッチ300のオイルに電力供給する整流回路307と直列に接続されており、その結果リレースイッチ300の通常開いている接点307を閉じさせるための電流をコイルに供給するには、即ちヒーター16へAC電力を流すためには、電流は温度センサー50のスイッチングPTCサーミスタの中を流れなければならない。それ故に、通常の温度での運転、即ち温度センサー50が温度センサー50のPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度によって設定される上限温度より低い時には、PTCサーミスタは、整流時には、リレースイッチ300のコイルの中を流れて接点307を閉じるのに必要な磁場を作り出すのに十分なAC電流を容易に流すことができる低い抵抗を有している。その結果、このような通常温度の運転では、AC電力伝導体290、292を具含むコントローラ20のAC電力回路は閉じており、AC電力をヒーター16に供給でき、当然上記したように、工程リレースイッチ配置302の開閉状態を支配することができる。しかしながら、上限温度センサー50のスイッチングPTCサーミスタの温度がそのスイッチングまたは転移温度まで上昇または超えた場合には、その抵抗は急激に上昇して、リレースイッチ300のコイルへの整流電流を効果的に遮断し、通常開いている接点307を開かせ、通常閉じている接点308を閉じさせる。その結果、開放接点307はAC伝導体290、292へのAC電力回路を開き、それによってヒーター16へのAC電力をオフにする。整流回路は、例えば全波ブリッジ整流回路は、当業者に周知であり、従ってこの回路を理解するために更なる説明は必要ない。
【0100】
かくして、上限温度センサー50のPTCサーミスタの温度が上限温度より低い、即ちPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度より低い温度まで低下し、PTCサーミスタの中を電流が再度流れても、上限制御回路298はオペレーターの介入があるまでは、リレー300のコイルが接点307を再度閉じてヒーター16へAC電力が流れるようになるのを防止する。図33に例示する上限制御回路298には、スイッチ309、例えば図30に示すトライアックまたはその他ソリッドステートもしくは機械式リレースイッチ、および整流回路301およびリレースイッチ300のコイルに並列接続されたドレイン抵抗器311を含むドレイン回路が在る。ドレイン抵抗器311は、リレースイッチ300のコイルに比べるとはるかに低い、例えば一桁引くインピーダンスを有しており、トライアックまたはその他リレースイッチ309が入ると、温度センサー50のPTCサーミスタを流れる電流は、整流器301およびリレー300のコイルから外に出され、そうしてコイルがリレースイッチ300内の接点307を閉じるのに必要な電磁場を発生させるのを防止する。
【0101】
トライアック309は、温度センサー50のPTCサーミスタを流れ、リレースイッチ300の通常は閉じている接点308を介してトライアック309のゲート313に加えられるAC電流によって作動する。それ故に、ヒーター16で高温事象が発生してリレースイッチ300のコイルへの整流電流を温度センサー50のPTCサーミスタがオフにすると、上記したようにリレースイッチ300の通常は開いている接点307が開いてヒーター16へのAC電力をオフにし、図33に示すように通常閉じている接点308が閉じてトライアック309のゲート313へAC電力を流してドレイン回路を作動させる。その結果ヒーター16の温度が下がると、温度センサー50のPTCサーミスタの温度はそのスイッチングまたは転移温度以下に下がり、再度電流を伝導するようになり、電流はリレースイッチ300のコイルを迂回し、それに代わってドレイン抵抗器311を通り外に流される。PTCサーミスタが伝導した電流をリレースイッチ300のコイルを迂回させて外に流すことにより、コイルは通常開いている接点307を閉じるのに必要な電磁場を作ることができず、その結果ヒーター16へのAC電流は、温度センサー50のPTCサーミスタの温度が下がってもオフの状態を保ち、この場合も電流を伝導し続ける。
【0102】
それ故にヒーター16へのAC電力をオンに戻すために、ゲート電力回路を切ったり開いたりしてトライアック309をオフにするための手動スイッチが備えられる。トライアック309が手動スイッチ305によってオフされると直ちにドレイン抵抗器を通るドレイン回路は迂回され、温度センサー50のPTCサーミスタからの電流は再び整流回路301で整流され、リレースイッチ300のコイルを流れる。そうするとコイルは、接点308を開き、接点307を閉じ、それによりヒーター16へのAC電力を再始動させ、且つゲート回路からAC電力を取り除くのに必要な電磁場を作り出す。その結果、手動スイッチを閉鎖モードに戻しても、温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度以下にある間は、PTCサーミスタからの電流が接点308を開いたままにすることから、トライアック309はオンには戻らない。それ故に、上記の理由から、手動スイッチ315によって無効にでき、上限温度センサー50のPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に等しいか、またはそれを超えるヒーター16内の高温事象によってオフになった後は、ヒーターへのAC電力を再開するにはオペレーターの介入、即ちスイッチ315を作動させるドレイン回路を備えることが必要である。
【0103】
熱は主に外部熱源からのもの、例えば加熱要素32からの熱、あるいは高温パージまたはパイプ自体の他の気体もしくは液体からの熱であること、これらが本実施例ではPTCサーミスタの温度をそのスイッチングまたは転移温度まで上昇させて、ヒーター16へのAC電力をオフにすることに注意しなければならない。対照的に、通常の温度ヒューズまたは温度回路遮断器の用途に用いられるPTCサーミスタでの温度上昇は、主にPTCサーミスタ内部で発生したI2R熱によるものである。換言すると、PTCサーミスタは電流(I)に対し固有抵抗(R)を有し、PTCサーミスタ内の過電流(I)はPTCそのものの中で大きな熱を発生させ、その温度が転移またはスイッチング温度に達すると、PTCサーミスタは電流を実質的に遮断する。
【0104】
上限回路298からの様々な状態シグナルのいずれかを、状態および/または警報/アラームシグナル生成に使用するため、あるいは工程理論で使用等するために工程制御回路296に提供することができる。例えば電流検出器のようなセンサー317を用いて、リレースイッチ300が作動されてヒーター16にAC電力を供給していること、または停止されてヒーター16へのAC電力が遮断されていることを示すことができるが、これに限定されない。また、例えば電流検出器のようなセンサー319を用いて、上限温度センサー50の温度が(i)PTCサーミスタのスイッチングもしくは転移温度より低いか、即ち電流が検出されるか、または(ii)PTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に等しいか、それより高いか、即ち電流が検出されないかを示すことができるが、これに限定されない。これら、および他の状態シグナルは、工程制御回路296によって、例えばLED表示部321向け、および/または表示/調整マイクロプロセッサ316向けの状態および/または警報/アラームシグナルを生成するのに用いることができる。
【0105】
上限温度センサー50用にPTCサーミスタを利用する上限制御回路298の別の実施例は、図34に図示されている。この実施例では、図33の例のトライアック309はリレースイッチ300''の第2スイッチ機構に替わっており、それは通常閉じており、リレースイッチ300'の第1または一次スイッチ機構323を作動させるものと同一のコイルによって作動させられる。この第2スイッチ325には別のリレースイッチ(未表示)を取り付けることもできるが、図34に図示する二重スイッチリレー300'のような二重スイッチリレーは容易に入手でき、二つの別々のリレースイッチに比べるとコンパクトである。この図34の例では、リレースイッチには300ではなく300'の印がつけられているが、これは限定を目的とするものではなく、この例示のリレースイッチ300'を前述のリレースイッチ300と区別するためだけのためである。換言すれば、これらの例示の両リレースイッチ300、300'の主要な機能は、高温事象が存在したならばヒーターへのAC電力をオフにすることであるが、リレースイッチ300'は、その実装ではドレイン回路用の追加の第2スイッチを有している。
【0106】
図34の例では、ヒーター16へのAC電力をオン・オフにするリレー300'の第1スイッチ323の接点307は、図33の例の接点307と同様に通常は開いており、従って電流は、AC電力をヒーター16に提供するためには、当然上記の工程スイッチアッセンブリ302の開閉させるための対象に提供するためには、リレー300'のコイルの中を流れ、接点307を閉じなければならない。リレー300'のコイルは、PTCサーミスタの温度が、上限温度を規定するそのスイッチングまたは転移温度より低い時はいつも上限温度センサー50のPTCサーミスタの通り流れるAC電流から整流器301が作りだした整流電流を電力とする。しかしながら、温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度に達するか、またはそれを超えると、電流はPTCサーミスタの中を流れ、その結果、リレー300'のコイルを流れる整流電流は停止される。コイルを電流が流れないと、通常開いている第1スイッチ323は接点307を開き、それによってヒーター16へのAC電力はオフにされ、通常閉じている第2スイッチ325は接点308´と閉じ、それによりドレイン抵抗器311を備えたドレイン回路を閉じるか、または作動させる。
【0107】
温度センサー50の温度がPTCサーミスタのスイッチングまたは転移温度より低くなると、それは再度電流を流し、閉じたドレイン回路はドレイン抵抗器311を通る電流を外に流し、そうすることでAC電力(第1)スイッチ323を再度閉じるのに必要は電流をリレー300'のコイルから奪う。この場合も、上記したように、ドレイン抵抗器311の抵抗はコイルに比べはるかに小さいため、ドレイン回路が閉じると、電流は、ドレイン回路に電気的に並列に接続されているコイルの中を流れるよりも、もっぱらドレイン回路の中を流れる。それ故に、たとえ温度センサー50の温度が上限温度値より低くなっても、ドレイン回路はリレー300'がヒーター16へAC電力を供給するのを阻止する。
【0108】
ヒーター16へのAC電力を回復させるために、オペレーターは手動スイッチ314を使ってドレイン回路を開くことができる。手動スイッチ315を瞬間的でも開くことによって、ドレイン回路は停止し、整流回路はリレー300'のコイルに再度流れるようになる。電流がコイルを再び流れるようになったことで、第1スイッチ323の接点は閉じてヒーター16へのAC電力を作動させ、第2スイッチ325の接点は開いてドレイン回路を停止する。その結果、手動スイッチを再度閉じても、ドレイン回路は停止状態を続ける。
【0109】
手動スイッチ315は、数あるスイッチのタイプのいずれでもいが、図33および34に図示する手動閉鎖型のプッシュボタンスイッチは、この用途に好都合なスイッチのタイプの例である。ボタン327を押すと、スイッチ315は一瞬開く。次に手の力がボタン327から除かれると、バネ329がスイッチを再度閉じる。
【0110】
上記の発明の態様は、電源電力、ならびにケーブル区分、例えば幹線83から分岐したその分岐線85を持つT型電源電力ケーブル26(図10)、そのマスターケーブルセグメント126から分岐したそのスレーブケーブルセグメントを備えたスレーブケーブルアダプター22(図14)、およびその幹線部分161から分岐したその分岐線を持つT型制御電力ケーブル24(図16)から作られたシグナル配線を有するが、これら配線は接続箱を使って作ることもできる。例えば、スレーブケーブルアダプター22の機能は、図35〜37に示し、且つ単一のコントローラ20によって制御される二つのスレーブヒーター分岐を持つ一点制御システムに関する図38の概略回路図中に使用中の状態で描かれているスレーブアダプター接続箱322によって提供することもできる。
【0111】
スレーブアダプター接続箱322は、筐体324を有し、筐体324の対向する上下壁325、326には入口330コネクタおよびマスター出口コネクタ、および筐体324の対向する側端壁327、328には二つのスレーブ出口コネクタ333、334が在る。入口コネクタ330は、スレーブアダプターケーブル22の入口コネクタ130同様、コントローラ20の出口コネクタ142と嵌合するように構成される(図20)。マスター出口コネクタ322は、スレーブアダプターケーブル22のマスター出口コネクタ132と同様に、ヒーター16のヒーターコード62のヒーター入力コネクタと嵌合するように構成される。かくして電力伝導体導線336、338のペアは、制御された電力をコントローラ20からマスターヒーター16に運び、一方二組のシグナル伝導体340、342および344、346は、それぞれ上限温度センサー50および工程温度センサー52からのシグナルをコントローラに運ぶ。
【0112】
スレーブアダプター接続箱322の二つのスレーブ出口コネクタ333、334は、スレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口134と同一に構成されており、それらはT型 スレーブ制御電力ケーブルの入口コネクタ172および直線型終端制御電力スレーブケーブル194の入口コネクタ190と嵌合できる。一組の電力伝導体348、350は、出口コネクタ333を制御電力伝導体336、338に電気的に並列接続し、別の電力伝統対352、354の組は、出口コネクタ334を制御電力伝導体336、338に電気的に並列接続する。
【0113】
スレーブアダプター接続箱322を、図38に示すように、一つのヒーター16はマスター出口コネクタ332に接続され、別のヒーター16'はスレーブ出口コネクタ333、334に接続されるようにコントローラ20に接続すると、スレーブアダプター接続箱は、マスター出口コネクタに接続しているヒーターをマスターヒーター16として機能させ、且つスレーブ出口コネクタ333、334に接続しているヒーターの温度センサー50、52を無効にして、これらのヒーターをスレーブヒーター16'として機能させることができる。その結果、コントローラは温度情報をマスターヒーターセンサー50、52から受け取り、それを用いてマスターヒーター16およびスレーブヒーター16'両方の加熱要素32に制御電力を提供する。
【0114】
もちろん、3つ以上のデイジーチェーン接続されたスレーブヒーター列に対応するために、スレーブアダプター接続箱322には三つ以上のスレーブアウトレットコネクタがあってもよい。また、図面には示していないが、スプリットスレーブケーブルまたは追加の接続箱をスレーブアダプター接続箱のスレーブ出口コネクタ333、334、またはスレーブアダプターケーブル22のスレーブ出口コネクタ134に接続して、追加のデイジーチェーン接続されたスレーブヒーター16'の列に電力を供給することもできる。
【0115】
電源電力接続箱、例えば図39〜42に示す電源電力接続箱は、図1〜8に示すアッセンブリの中でT型電源電力ケーブル26の代わりに用いることができる。例示の電源電力接続箱350では、電源電力接続分岐出口コネクタ352を入口コネクタ140に嵌め込むことによって電源電力接続箱350をコントローラ20に直接装着できるように、電源電力接続分岐出口コネクタ352は、電源電力接続箱350の底面354から突出し、且つコントローラ20(図20および21)の入口コネクタと嵌合接合するように構成される。
【0116】
電源電力接続箱350の第1側面に在る電源電力接続入口コネクタ356は、例えば図27に関連して上記し、且つ、例えば図42に示す様に、電源電力延長ケーブル25から電源電力接続箱内に入る電力電源を受ける。その結果、図39および40の電源電力接続入口コネクタ356は、AC電力電源13に交換可能にモジュラー接続するために、T型電源電力ケーブル26の入口コネクタと同じに構成できる(図27)。
【0117】
図39および40の電源電力接続箱350の第2側面には、図42に示すように、一つまたは複数の追加のコントローラをデイジー接続するための幹線出口コネクタ360が備えられており、それはT型電源電力ケーブル26と交換できるようにT型電源電力ケーブル26(図1〜8)の幹線出口86と同じに構成できる。その結果、次のものはどれも電源電力接続箱350の幹線出口360に嵌め込むことができる。(i)別の電源電力延長ケーブル25、(ii)T型電源電力ケーブル26、または(iii)直線型終端電源電力ケーブル108。
【0118】
例示電源電力接続箱350に関する概略回路図の例は図41に示す。一組の幹線電源電力コネクタ364、366は、入口コネクタ356から幹線出口コネクタ360まで中断せずに伸び、一組の電源電力分岐伝導体368、370は、幹線電源電力伝導体364、366との並列接続部から、分岐出口コネクタまで伸びる。かくして分岐出口コネクタ352は、幹線出口コネクタ360に関して、電源電力伝導体に電気的に並列的に接続する。
【0119】
分岐出口コネクタ352は、しかしながら、入口コネクタ356と幹線出口コネクタ360の間では、電源電力接続箱350内のシグナル回路伝導体に関しては、電気的に直列的に接続される。かくして、図41に示すように、シグナル回路伝導体の一つ、例えば幹線シグナル回路伝導体372は、入口コネクタ356から接続箱350の中を通り幹線出口コネクタ360にまっすぐ伸びる。他のシグナル回路伝導体は、入口コネクタ356から分岐出口伝導体352に伸びる入口分岐シグナル回路伝導体374、および分岐出口コネクタ352から幹線出口コネクタ360に伸びる出口分岐シグナル回路伝導体376を具備する。
【0120】
それ故に、図42に示すように電源電力接続箱350を介して、複数のコントローラ20をAC電力電源13に電気的に並列にデイジーチェーン接続できるが、それらはT字型電力電源ケーブル26に関して上記したのと同じ様式で、電力電源接続箱350を介してシグナル回路23に電気的に直列接続されるだろう。もちろん、任意の数のコントローラ20について、図42に示すように、電源電力延長ケーブル25を使って、任意の数の電源電力接続箱350を一つにデイジーチェーン接続することができる。
【0121】
図43および44に描かれた別の電力電源接続箱380の例は、二つ以上の幹線出口を有する。例えば、接続箱350に関する上記した入口コネクタ384および分岐出口コネクタと実質的に同じである入口コネクタ384および分岐出口コネクタ352に加えて、図43および44には電力電源接続箱380は、それぞれ対向側に在る二つの幹線出口コネクタ386、388と一緒に描かれている。両方の出口コネクタ386、388は、追加の電力電源延長ケーブル25、T型電源電力コネクタ26、および直線型終端電源電力ケーブル108にデイジーチェーン接続できるように同一に構成されており、その結果二つの別々のデイジーチェーン接続されたコントローラのセット(未表示)は、電源電力接続箱380を介してAC電力電源13およびシグナル回路23に接続できる。
【0122】
図45の概略回路図の例に示すように、例えば、電力電源接続箱380、幹線電源電力伝導体のペア390、392、394、および分岐電源電力伝導体のペア396は、幹線出口コネクタ386、388、および分岐出口コネクタの両方を、入口コネクタ384に電気的に並列接続する。しかしながら、シグナル回路伝導体398、400、402、403は、幹線出口コネクタ386、388、および分岐出口コネクタ382を入口コネクタ394に電気的に直列接続する。
【0123】
当然、必要に応じて、電源電力接続箱380には、各追加の幹線出口コネクタについて上記した並列電源電力および直列シグナル回路伝導体接続と実質同一種類である、三つ以上の幹線出口コネクタを備えることもできる。また、必要に応じて、分岐出口コネクタ382を排除し、接続箱380はデイジーチェーン接続した複数のコントローラ列(未表示)をAC電力電源15およびシグナル回路23に接続する機能だけを果たし、仲介用T型電源電力ケーブル26、仲介用直線型終端電源電力ケーブル108、または電源電力延長ケーブル25がなければコントローラ入口コネクタに直接接続できないようにする(入口コネクタ140が上記したような電源電力延長ケーブル25の接続に合わせて構成されていれば)こともできる。
【0124】
Molex(登録商標)のような、いくつかの市販コネクタに備えられた通常のコネクタラッチ機構は、その端部に図47のコントローラ入口コネクタ140上に見られる突起414のような、雌コネクタ上のラッチ突起と係合する大きさおよび形に作られたドッグ412を備えた、図46の雄コネクタ78に見られるラッチレバー410のようなラッチレバーを具備する。このようなラッチレバー410上のドッグ42によるラッチ突起414の係合は、図48に示すように、ラッチレバー410を弾性ヒンジ416の廻りを旋回させることによって係合が外れ、雌コネクタから雄コネクタを開放して、それらが互いに分離または抜けるようにするまで、雌コネクタに雄コネクタを確保するものである。しかしながらいくつかの応用では、このような通常のラッチの確保は十分でなく、コネクタは、例えばそれらを狭い空間の中に無理に通すか、または擦り通することによって、意図せずに、いとも簡単に引き抜かれてしまう。
【0125】
かくして、コネクタ、例えば図46〜48に示すコネクタ78、140の意図しない分離に対する更なる保証および抵抗性を提供するために、片持ちバネでバイアスしたタブ420をラッチレバー410の先端418近くに配置する。バイアスタブ420は、ラッチレバー410の先端418にもたれかかり、ラッチの突起414からドッグが離れないようにラッチレバー410の運動に抵抗する片持ちバネバイアス力を有する。しかしながら、ユーザーがラッチレバーに力を加えて、旋回矢印422で示すように弾性ヒンジ416の廻りを旋回させると、弾性ヒンジはラッチレバー410に対するてこ台としても機能して、ラッチレバー410の先端418はバイアスタブ420のバネによるバイアス力に抗してバイアスタブを外側に押しならが、図48に旋回矢印424で示すように外側に旋回させる。弾性片持ちバネによるタブ420が生ずるバイアス力は、ラッチラバー410上のドッグ412をラッチ突起414から外させるには足りず、そのため分岐出口コネクタ78はコントローラ入口コネクタ140から抜くことができる。
【0126】
ラッチ突起414に向けてバネバイアス力を提供する方法は無数にある。この機構の一つの実施例は、バイアスタブ420を、図46〜48に描くように、ベースユニット200の筐体201の片持ち部分として成形するものである。具体的な応用がタブ420に求めるバイアス力の大きさ、または歩留まりによっては、図47および48に示すように、タブ420の片持ち接続部の筐体201部分を、筐体201の残りの部分に対して薄くして弾性ヒンジ426として機能させることができる。筐体にスロット428を備えて、ラッチレバー410が筐体を出入りして動くようにしてもよい。傾斜を付けたカム表面421をタブ420に備えて、出口コネクタ78が入口コネクタ140に刺し込まれる様な、ラッチレバーが筐体201内に挿入され時には、カム作用によりタブが外れ易くするようにできる。
【0127】
上記したように、このバイアス力機構は別の方法でも実施できる。複数の例を図49〜51に示す。図49では、バイアス力は、筐体201内部のブラケット432に取り付けられた圧縮可能なリーフスプリング434によって加えられる。図50では、コイル圧縮バネ434がバイアス力を与え、図51にはゴム、シリコンゴム、発泡材エラストマー、または他の発泡材のような弾性圧縮材がレバー410の先端418に対しバイアス力を与えるのが示されている。
【0128】
バイアスタブ420は、分岐出口コネクタ78およびコントローラ入口コネクタ140に関係して上記したが、それは、コントローラ出口コネクタにインターフェイス接続入口コネクタ、例えば、上記したようなヒーター入口コネクタ64、スレーブアダプター入口コネクタ130、スレーブ接続箱入口コネクタ330等が刺し込まれる時には、コントローラ出口コネクタ142にも応用できる。それは、図35および36のタブ420´で示すように、スレーブ接続箱出口322に関係しても用いることができる。
【0129】
これら上記した方法および態様、およびその他変更および組み合わせは、当業者にとって容易であることから、発明は例示および上記したそのものの構造および工程に制限されることを望むものではない。数多くの例示の局面および態様を上記論じたが、当業者は特定の変更、入替え、追加、およびそれらの部分的組合せを認識するだろう。それ故に、以下に添付する請求項、今後取り込まれる請求項は、それらの真の精神および範囲内に入る時には、このような変更、入替え、追加、および部分的組合せ全てを包含するものとして解釈されるものとする。語「具備する」、「具備している」、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、および「包含する」は、本明細書および続く請求項で使用される場合は、記載の特徴・機構または段階の存在を明示することを意図するために用いられているが、それらは一つまたは複数の他の特徴・機構、段階、またはその集まりの存在または追加を排除しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電力回路を介してAC電力から電力供給を受けるヒーターに上限温度安全停止を提供する制御方法であって、
ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、および
DC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、且つ(i)ヒーターが発生する熱を検知するのに十分な近さでヒーターに隣接して配置されている温度センサーが感知した温度を、事前設定上限温度パラメータと比較し、(ii)温度センサーが感知した温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、且つ(iii)上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし温度センサーが感知した温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む制御方法。
【請求項1】
AC電力回路を介してAC電力から電力供給を受けるヒーターに上限温度安全停止を提供する制御方法であって、
ヒーターへのAC電力をオン・オフできる上限スイッチをAC電力回路内に配置する段階、および
DC電力電源からの低電圧DC電力から電力供給を受け、且つ(i)ヒーターが発生する熱を検知するのに十分な近さでヒーターに隣接して配置されている温度センサーが感知した温度を、事前設定上限温度パラメータと比較し、(ii)温度センサーが感知した温度が事前設定上限温度を超えた時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオフにし、且つ(iii)上限制御回路への低電圧DC電力が停止されている時には、上限スイッチはヒーターへのAC電力をオンにし、次にもし温度センサーが感知した温度が事前設定限界温度を超えていなければ再始するようにプログラムされている上限制御回路によって、上記上限スイッチを制御する段階を含む制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【公開番号】特開2013−20646(P2013−20646A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229248(P2012−229248)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2009−504477(P2009−504477)の分割
【原出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(505477121)エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド (9)
【出願人】(500157653)ワトロウ エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2009−504477(P2009−504477)の分割
【原出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(505477121)エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド (9)
【出願人】(500157653)ワトロウ エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー (25)
【Fターム(参考)】
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