説明

挙動案内装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体

【課題】 車両の移動を良好に案内できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両の前方の道路形状データに基づいて、走行方向のカーブ状況を認識し、車両の速度から遠心力の大きさを演算する。カーブの曲がりに対応する音データを加速度や遠心力の大きさに対応する音量で、カーブの方向側から発音させる。搭乗者の発話を集音し、発話の言葉を解析する。発話の言葉がカーブの方向に対応した音声タグと同一の場合、発話回数や音量の大きさに対応して、発音している音データの音量が下がる状態に発音制御する。運転者は移動状況を発話動作にて確認でき、居眠りなども防止でき、確実な安全運行ができる。同乗者は、発話や動作により車両の移動状況を確認でき、車酔いを良好に低減できる。ゲーム感覚を提供でき、良好な移動環境を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力手段から出力する移動体の挙動状況に応じた出力状況を制御して移動体の挙動を案内する挙動案内装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の挙動として、車両の移動の状況を案内する構成が知られている。この車両の移動の状況を案内する構成として、移動する車両の移動状況に基づいて警告音を発音したり画面表示により誘導したりする構成が採られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、車両の前方の道路にカーブがそんざいすることを検出すると、カーブに進入する際に現在の車両の速度が大きすぎるか否かを判定する。そして、車両の速度が大きすぎると判定すると警報を発生する。また、警報を発生する状況として、最適経路の道路地図情報を利用し、車両の速度およびカーブの大きさに基づいて警報の発生を実施している。さらに、ドライバの運転特性に基づいて個々のドライバの個性に応じた閾値で警報を発生し、ドライバの感じる感覚にあった制御をしている。
【0004】
特許文献2に記載のものは、車両の後部中央に搭載されたバックモニタカメラで駐車区画を含む車両周囲画像を撮影し、ディスプレイに表示させる。バックモニタカメラで撮影した画像データを画像処理装置で処理して駐車区画を認識し、ECU(電子制御装置)に供給する。ECUは、自車の車軸中心位置から駐車区画に進入するための経路である仮推奨経路を演算し、バックモニタカメラの位置を基準とする経路に変換して推奨経路を得る。推奨経路を周囲画像に重畳させてディスプレイに表示させる。また、車両の予想経路と推奨経路との差分を演算し、差分に基づいて音声で操舵操作をアシストする構成が採られている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−194888号公報(第4頁右欄−第26頁右欄)
【特許文献2】特開2000−123297号公報(第2頁左欄−第5頁右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような車両の速度とカーブの状況とに応じて警告音を発音する従来の構成では、運転者が適切に車両を操舵して走行しても警報が発生し、利用者に不快感を与えるおそれがある。特に、同乗者がいる場合、運転者が適切に操舵しても発生する警報により同乗者に不安感を与えるおそれがある問題点が一例として挙げられる。また、上述した特許文献2に記載のような従来のバックモニタカメラで撮影した画像に移動を案内するための経路を重畳表示および音声により操舵操作をアシストする構成では、例えば駐車場に駐車する場合や縦列駐車する場合など、安全を確保するために複数回の操舵の切替など、後方の状況や周囲の状況などにより推奨経路以外の経路で移動する必要があるが、このような場合にも操舵をアシストする音声が出力されると、運転者に不快感を与えるおそれがある問題点が一例として挙げられる。
【0007】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、移動体の挙動が良好に案内される挙動案内装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、出力手段から出力する移動体の挙動状況に応じた出力状況を制御して移動体の挙動を案内する挙動案内装置であって、前記移動体の挙動状況を認識する挙動状況認識手段と、前記移動体内の内部状況を認識する内部状況認識手段と、前記内部状況に対応して前記出力手段から出力する前記挙動状況に応じた出力状況を制御する出力制御手段と、を具備したことを特徴とした挙動案内装置である。
【0009】
請求項20に記載の発明は、演算手段により、出力手段から出力する移動体の挙動状況に応じた出力状況を制御して移動体の挙動を案内する挙動案内方法であって、前記演算手段は、前記移動体の挙動状況および前記移動体内の内部状況を認識し、前記内部状況に対応して前記出力手段から出力する前記挙動状況に応じた出力状況を制御することを特徴とする挙動案内方法である。
【0010】
請求項21に記載の発明は、演算手段を、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の挙動案内装置として機能させることを特徴とした挙動案内プログラムである。
【0011】
請求項22に記載の発明は、請求項20に記載の挙動案内方法を演算手段に実行させることを特徴とした挙動案内プログラムである。
【0012】
請求項23に記載の発明は、請求項21または請求項22に記載の挙動案内プログラムが演算手段に読取可能に記録されたことを特徴とした挙動案内プログラムを記録した記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、本発明の挙動案内装置を備えた移動支援装置としての案内誘導装置であるナビゲーション装置であって、移動体である例えば車両の移動の状況としての走行状況を移動体の挙動の状況として案内誘導する構成を例示して説明する。なお、本発明における案内誘導装置としては、車両の走行を案内誘導する構成に限らず、車両の状態、車両の運行状態など、移動に関する案内を報知するいずれの構成が対象で、利用者が携帯する携帯型でも適用できる。また、本発明としては、案内誘導装置に適用する構成に限らず、例えば車両に搭載したり同乗者が携帯するゲーム機としたりするなどの構成としても適用できる。
【0014】
〔ナビゲーション装置の構成〕
図1は、本発明に係る一実施の形態におけるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、発音手段の概略構成を示すブロック図である。図3は、カーブの走行により発生する遠心力の大きさと発音させる音データの音量の大きさとの関係を説明するタイミングチャートで、(A)は遠心力の大きさを説明するグラフであり、(B)は音データの音量の大きさを説明するグラフである。図4は、遠心力と発話状況との関係により発音させる音データの音量の変更状況を説明するタイミングチャートで、(A)は遠心力の大きさを説明するグラフであり、(B)は発話状況に応じた音声ポイントを説明するグラフであり、(C)は音データの音量の大きさを説明するグラフである。
【0015】
図1において、100はナビゲーション装置で、このナビゲーション装置100は、移動体である例えば車両の移動状況に対応して移動に関する案内を報知する装置である。なお、移動体としては、車両に限らず、航空機、船舶などいずれの移動体も対象となる。また、ナビゲーション装置100としては、例えば移動体としての車両に搭載される車載型、携帯型、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯型パーソナルコンピュータなどが例示できる。
【0016】
このナビゲーション装置100は、車両に搭載されたバッテリから電力が供給され、ナビゲーション装置100が有する地図情報に基づいて、現在位置や目的地に関する情報、目的地までのルート探索や表示、最寄りの所定の店舗の検索やその表示あるいは店舗のサービス内容に関する情報の表示などを実施する。そして、ナビゲーション装置100は、センサ部110と、通信手段120と、入力手段130と、表示手段140と、集音手段150と、撮像手段160と、発音手段170と、記憶手段180と、メモリ190と、挙動案内装置としても機能する演算手段200と、などを備えている。
【0017】
センサ部110は、例えば車両の移動の状況、すなわち現在位置や走行状況、車両の外部周囲の外部状況などを検出して演算手段200へ所定の信号として出力する。このセンサ部110は、例えばGPS(Global Positioning System)受信部111と、走行状況が外部状況などを検出する各種センサ112と、などを備えている。
【0018】
そして、センサ部110のGPS受信部111は、図示しない人工衛星であるGPS衛星から出力される航法電波を図示しないアンテナにて受信する。そして、GPS受信部111は、受信した航法電波に対応した信号に基づいて車両の現在位置の擬似座標値を演算し、GPSデータとして演算手段200へ出力する。
【0019】
また、センサ部110のセンサ112としては、速度センサ、方位角センサおよび加速度センサなどの走行状態を検出するもの、ハンドルの切れ角など操舵輪の直線走行に対する傾斜角を検出するセンサ、内燃機関であるエンジンの駆動により回転するシャフトの回転速度を増大させるアクセルペダルが運転者に踏み込まれる踏み込み量を検出するセンサ、車両の走行速度を低減するアクセルペダルが運転者に踏み込まれる踏み込み量を検出するセンサなどの移動に関する状態あるいは状況を検出するものなどが例示できる。そして、センサ部110のセンサ112における速度センサは、例えば車両に配設され、車両の移動速度である走行速度に対応して変動する信号に基づいて、車両の走行速度や実際の加速度を検出する。この速度センサは、例えば車軸や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値などを読み取る。そして、速度センサは読み取ったパルス信号や電圧値などの検出信号を演算手段200へ適宜出力する。センサ112における移動方向認識手段としての方位角センサは、車両に配設され、図示しないいわゆるジャイロセンサを有し、車両の方位角すなわち車両が前進する移動方向である走行方向を検出する。この方位角センサは検出した走行方向に関する検出信号を演算手段200へ適宜出力する。センサ112における加速度センサは、車両に配設され、車両の走行方向における加速度を検出する。この加速度センサは検出した加速度を例えばパルスや電圧などによる検出信号を演算手段200へ適宜出力する。その他、センサ部110は、各種センサ112から出力される検出信号に基づいて車両の状態や移動状況などの車両の移動に関する状況を検出し、演算手段200へ適宜出力する。
【0020】
通信手段120は、演算手段200に接続され、演算手段200による制御により各種情報を送受信する。この通信手段120は、図示しない通信アンテナを有し、この通信アンテナにより交通状況に関する交通情報を取得する。具体的には、通信手段120は、例えばビーコンやFM多重放送、あるいは電話回線やインターネットなどにより、交通情報を取得する。そして、通信手段120は、取得した交通情報を演算手段200へ所定の信号として出力する。ここで、交通情報としては、渋滞、交通事故、工事、交通規制、駐車場情報などで、地図上における位置情報が関連付けられた例えばVICS(Vehicle Information Communication System:道路交通情報通信システム)からのデータなどである。また、通信手段120は、例えば携帯電話回線を利用するなどネットワークを介して所定のサーバ装置に接続し、サーバ装置から地図情報を受信して演算手段200へ出力可能となっている。ここで、ネットワークとしては、例えばTCP/IPなどの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、情報を直接送受信するための媒体となる電波、光、音波、電磁波などの無線媒体自体などが例示できる。
【0021】
入力手段130は、演算手段200に接続され、利用者による入力操作にて入力操作に対応した操作信号を演算手段200へ出力する。この入力手段130は、操作手段131と、コントローラ132と、を備えている。
【0022】
そして、入力手段130の操作手段131は、例えばキーボードやマウスなどで、入力操作される図示しない各種操作ボタンや操作つまみなどを有している。これら操作ボタンや操作つまみの入力操作の内容としては、例えばナビゲーション装置100における動作内容の設定などの設定事項である。具体的には、取得する情報の内容や取得する条件などの設定、目的地の設定、情報の検索、車両の移動状況である走行状態を表示させる設定、表示を切り替える設定、発音状態の変更、車両の移動に関する案内を報知するタイミングに関する設定などが例示できる。そして、操作手段131は、設定事項の入力操作により、所定の操作信号を演算手段200へ適宜出力して設定させる。なお、この操作手段131としては、操作ボタンや操作つまみなどの入力操作に限らず、例えば表示手段140に設けられたタッチパネルによる入力操作や、リモートコントローラなどの無線媒体を介して信号を出力する構成など、各種設定事項を設定入力可能ないずれの構成が適用できる。また、コントローラとしては、例えば利用者が把持可能な形状に形成され、4方向に対応した操作ボタンなどが設けられている。そして、コントローラは、操作ボタンが入力操作されることにより、所定の操作信号を演算手段200へ適宜出力する。また、コントローラには演算手段200による制御にて動作する振動モータが設けられ、演算手段200による制御にてコントローラを把持する利用者が適宜振動を得られる構成となっている。
【0023】
表示手段140は、演算手段200にて制御され演算手段200からの画像データの信号を画面表示させる。画像データとしては、例えば地図情報や検索情報などの画像データの他、図示しないTV受信機で受信したTV画像データ、外部装置など光ディスクや磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録されドライブやドライバなどにて読み取った画像データ、記憶手段180やメモリ190から読み出された画像データなどである。この表示手段140としては、例えば液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode-Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、電気泳動ディスプレイパネルなどが例示できる。
【0024】
集音手段150は、例えば図示しないマイクロフォンを備えている。この集音手段150は、演算手段200に接続され、マイクロフォンにて車両内の音声である発話を集音し、所定の集音データとして演算手段200へ出力する。
【0025】
撮像手段160は、例えば車両内に配設された図示しないCCD(Charge-Coupled Device)カメラを備えている。そして、撮像手段160は、CCDカメラにて演算手段200にて制御されて車両に搭乗する搭乗者、具体的には車両の助手席や後部座席に着座する同乗者を撮像して画像データを生成する。そして、撮像手段160は、撮像した画像データを演算手段200へ適宜出力する。
【0026】
発音手段170は、演算手段200にて制御され、演算手段200からの音データを音声として出力すなわち発音させる。発音手段170は、例えば図2に示すように、複数例えば4つの増幅部(以下、AMPと称する)171Aを備えたアンプ部171と、AMP151Aにそれぞれ接続され車両の外部に臨んで車両の四隅近傍に配設された複数例えば4つの指向性スピーカ172とを備えている。そして、発音手段170は、演算手段200からの音データをアンプ部171にて適宜処理し、各指向性スピーカ172から外部の所定の方向にのみ発音が伝播する指向性で発音させる。この発音により報知する内容としては、例えば車両の走行方向や走行状況、交通状況などで、運転者や同乗者などの搭乗者に報知する。なお、発音手段170は、例えばTV受信機で受信したTV音声データや記録媒体さらには記憶手段180やメモリ190などに記録された音声データや音楽データなどの音データをも適宜出力可能である。また、発音手段170としては、別途設けた構成に限らず、車両に配設されているスピーカや増幅器などを利用して発音させる構成としてもよい。
【0027】
記憶手段180は、地図情報や所定の地点の情報を取得するための検索情報、利用者の個人情報などを格納すなわち読み出し可能に記憶する。この記憶手段180としては、HD(Hard Disk)などの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、メモリカードなどの着脱可能な各種記録媒体に読み出し可能に記憶するドライブやドライバなどを備えた構成、さらには半導体メモリなどが例示できる。
【0028】
メモリ190は、入力手段130で入力操作される設定事項、演算手段200から出力される音楽データや画像データ、音データさらには演算処理する信号などの各種情報を適宜読み出し可能に記憶する。また、メモリ190には、ナビゲーション装置100全体を動作制御するOS(Operating System)上に展開される各種プログラムなども記憶している。なお、メモリ190は、半導体メモリなどに限らず、上述したような各種記録媒体に読み出し可能な記憶するドライブやドライバなどを備えた構成としてもよい。
【0029】
演算手段200は、図示しない各種入出力ポート、例えばGPS受信部111が接続されるGPS受信ポート、各種センサ112がそれぞれ接続されるセンサポート、通信手段120が接続される通信ポート、入力手段130の操作手段131が接続されるキー入力ポート、コントローラ132が接続されるコントローラポート、表示手段140が接続される表示制御ポート、集音手段150が接続される集音ポート、撮像手段160が接続される撮像ポート、発音手段170が接続される発音ポート、記憶手段180が接続される記憶ポート、メモリ190が接続されるメモリポートなどを有する。そして、演算手段200は、図1に示すように、各種プログラムとして、現在位置認識手段210と、目的地情報取得手段としての目的地認識手段220と、表示制御手段230と、地図情報取得手段としても機能する移動経路探索手段である経路処理手段240と、挙動状況認識手段250と、内部状況認識手段260と、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)音源生成手段270と、出力制御手段280と、などを備えている。
【0030】
現在位置認識手段210は、車両の現在位置を認識する。具体的には、センサ部110の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データに基づいて、車両の現在の擬似位置を複数算出する。さらに、現在位置認識手段210は、センサ部110のGPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータに基づいて、車両の現在の擬似座標値を認識する。そして、現在位置認識手段210は、算出した現在の擬似位置と、認識した現在の擬似座標値とを比較し、別途取得された地図情報上における車両の現在位置を算出し、現在位置を認識する。また、現在位置認識手段210は、加速度センサから出力される加速度データに基づいて、走行する道路の傾斜や高低差を判断し、車両の現在の擬似位置を算出し、現在位置を認識する。すなわち、立体交差点や高速道路など、平面上で重なる箇所でも、車両の現在位置を正確に認識できる。さらに、山道や坂道を走行する際に、速度データや方位角データのみから得る移動距離と、実際の車両の走行距離との誤差を、検出した道路の傾斜を用いて補正するなどにより正確な現在位置を認識する。なお、現在位置認識手段210は、現在位置として上述した車両の現在位置の他、入力手段130の操作手段131にて設定入力された起点となる出発地点などを、擬似現在位置として認識可能である。そして、現在位置認識手段210で得られた各種情報は、例えばメモリ190に適宜出力されて記憶される。
【0031】
目的地認識手段220は、例えば入力手段130の操作手段131における入力操作により設定入力された目的地に関する目的地情報を取得し、目的地の位置を認識する。設定入力される目的地情報としては、例えば緯度・経度などの座標、住所、電話番号など、場所を特定するための各種情報が利用可能である。そして、この目的地認識手段220で認識した目的地情報は、例えばメモリ190に適宜出力されて記憶される。
【0032】
表示制御手段230は、表示手段140を適宜制御して各種情報を表示手段140で画面表示して利用者に報知する。また、表示制御手段230は、例えば入力手段130による入力操作を促して各種情報を設定入力するための各種表示画面などをも表示制御する。
【0033】
経路処理手段240は、利用者により設定入力される移動経路の探索処理のための設定事項情報、および、記憶手段180に記憶された地図情報に基づいて、車両の移動経路である走行経路を演算してルート探索する。具体的には、経路処理手段240は、設定入力された設定事項情報に基づいて地図情報を利用し、例えば車両が通行可能な道路を探索し、目的地に到達するまでの移動の所要時間が短い経路、あるいは移動距離が短い経路などの移動経路情報を生成する。この移動経路情報の生成の際、経路処理手段240が例えば通信手段120から出力されたVICSからのVICSデータを適宜取得し、現在あるいは所定時間後に発生が予測される渋滞情報を生成し、この渋滞情報を用いて交通渋滞や交通規制場所を回避した経路などを設定してもよい。また、経路処理手段240は、移動経路情報の各経路における出発地となる現在位置から目的地までの移動の予測所要時間を求め、この予測所要時間に関する所要時間情報をも生成可能となっている。そして、得られた移動経路情報は、渋滞情報や所要時間情報などとともにメモリ190に適宜出力されて記憶される。
【0034】
挙動状況認識手段250は、センサ部110から出力される検出信号に基づいて、車両の挙動状況である移動状況を認識する。この移動状況としては、例えば車両の減速や加速などの走行方向に対する前後方向の加速度の大きさ、および車両やカーブや曲がり角などに対応して転舵である走行方向の変更により走行方向に対して交差する方向である横方向の加速度の大きさである。例えば、横方向の加速度の大きさとして、図3(A)に示すように、カーブを走行する際に搭乗者に作用する遠心力の大きさを認識する。また、挙動状況認識手段250は、現在位置および移動方向に基づいて地図情報を利用して、車両の走行方向における前方の直前にカーブや曲がり角、あるいは減速が必要な交差点、あるいは加速が必要な高速道路における合流位置などの道路状況を認識する。なお、移動方向としては、センサ部110のセンサ112における方位角センサから出力される検出信号に基づいて認識される。そして、挙動状況認識手段250は、認識した道路状況に基づいて、車両が前後方向あるいは横方向の加速度が生じることおよびその加速度の大きさを予測し、挙動状況である移動状況としても認識する。これら認識した移動状況に関する情報は、例えばメモリ190へ適宜出力されて記憶される。
【0035】
内部状況認識手段260は、車両内の内部状況、例えば搭乗者の発話の状況や同乗者の動作の状況を認識する。この内部状況認識手段260は、発話内容認識手段261と、動作内容認識手段としての画像処理手段262と、を備えている。発話内容認識手段261は、集音手段150から出力される集音データを解析し、発話内容を認識する。具体的には、集音データから発話の音声データを抽出し、音声データに基づいて搭乗者の発話の内容である発話された言葉を形態素解析や構文解析などの言語解析により認識する。画像処理手段262は、撮像手段160から出力される画像データを画像処理し、同乗者の動作内容を認識する。具体的には、画像データの画像処理により同乗者の身振り、例えば手を上げたか否か、上げた手か右か左か、上げられた手が振られているか否か、上げられた手のひらが開いているか閉じているかなどを認識する。そして、内部状況認識手段260は、認識した発話内容や動作内容に関する情報を、例えばメモリ190へ適宜出力して記憶させる。
【0036】
MIDI音源生成手段270は、MIDIの規格に準拠した音情報、例えば米MMA(MIDI Manufacturers Association)と日本MIDI評議会(Japan MIDI Standards Committee:JMSC)とにより規格化されたGM(General MIDI)規格、あるいはGS(General Standard)規格、またはXG(Extended General MIDI)規格、さらにはGMレベル2規格などに基づくMIDIメッセージを生成する。このMIDI音源生成手段270は、例えば出力制御手段280による所定の音データの出力を要求する信号に基づいて、音データを直接生成して出力したり、記憶手段180やメモリ190などに別途記憶された所定の音データを取得して出力したり、通信手段120で放送波から取得した各種音データを取得して出力したり、外部装置など光ディスクや磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録されドライブやドライバなどにて読み取った音声データや音楽データなどの音データを取得して出力したりする。なお、あらかじめ記憶しておいた音データとしては、挙動状況認識手段250により認識した車両の移動状況に対応、例えば走行方向の前後方向の加速度の大きさや横方向の加速度の大きさ、道路の状況などに応じて異なった音色やパターンの音データあるいは音声データまたは音楽データなどである。
【0037】
出力制御手段280は、挙動状況認識手段250で認識した移動状況と、内部状況認識手段260で認識した内部状況とに基づいて、搭乗者に所定の出力状況で移動状況を報知すなわち案内させる制御をする。具体的には、移動状況に対して生じる内部状況の適合状態を判定し、適合状態に応じて、発音手段170での発音状況やコントローラの振動状況などの出力状況を制御する。この出力制御手段280は、発音制御手段281と、振動制御手段282と、を備えている。
【0038】
出力制御手段280の発音制御手段281は、移動状況に応じた音データをMIDI音源生成手段270から出力させる制御をする。また、発音制御手段281は、内部状況における発話内容や動作内容と移動状況とを比較し、適合状態を判定する。例えば、図3(A)に示すように、右カーブにより横方向に加速度である遠心力が加わった場合、発音手段170を制御して、車両内の走行方向に対して音像定位が右側、すなわち搭乗者が右側から聞こえるように、図3(B)に示すように、遠心力の大きさに対応する音量でMIDI音源生成手段270から取得した音データを発音させる制御する。この音像定位の設定としては、例えば、MIDIメッセージのコントロール・チェンジのパンポット(Panpot)を設定する番地cc#10におけるフォーマットdMの値を適宜設定し、音像定位が右側あるいは左側、または前側あるいは後側に適宜設定する。また、発音させる音データの音量は、図3(B)に示すように、加速度が発生している間、加速度の大きさに対応する音量が維持される状態に発音制御する。そして、コントローラ132の右に対応する操作ボタンが操作されたか、あるいは右手が上げられたか、「右」という発話があったかなど、移動状況に対応する発話や動作があったか否かを判定する。さらに、加速度の大きさと、コントローラ132の右に対応する操作ボタンの操作する回数や操作している期間、右手を上げ下げした回数、「右」という発話の音量の大きさや発話の回数と、を比較する。すなわち、加速度の大きさが大きくなるに従って、発話や動作の度合いが大きくなる状態を認識する。
【0039】
そして、発音制御手段281は、移動状況に対応する発話や動作があった場合、その度合いが大きくなるに従って、MIDI音源生成手段270から取得する音データを発音手段170で発音させる状況を変更する処理をする。例えば、図3(A)および図4(A)に示すような右カーブで所定の大きさの遠心力が作用する場合、図4(B)に示すような右カーブに対応する「右」という発話内容を認識すると、図4(C)に示すように、「右」の発話回数が多くなるに従って音データの音量が次第に小さくなる制御をする。なお、音量を制御するのみならず、例えば音程が次第に低音となる状態に音特性である音質を変更する制御したり、音楽データの音特性であるテンポが遅くなる状態に変更する制御をしたりしてもよい。これら音特性の変更制御として、音データのMIDIメッセージを構成するパラメータ値を設定する処理をする。そして、例えば右カーブが終わる前、例えば遠心力が作用している間や地図情報における現在位置に基づいてカーブの途中を走行していると判断している間に、「右」の連呼や大きな発声音量にて発音させる音データの音量が「0」となると、カーブを克服したとして、例えば「ピンポーン」などのフィードバック音である所定の音データをMIDI音源生成手段270から出力させて発音手段170から発音させる制御をする。なお、音量が「0」にならない場合には、「残念」、「もう少し」などの音声データを出力させてもよい。
【0040】
また、発音制御手段281は、現在位置認識手段210にて認識した現在位置と地図情報とに基づいて移動状況を認識し、移動経路情報や地図情報を構成する地物に関する地物案内情報などに基づいて、車両の移動に関する案内、例えば車両の走行を支援する内容を、発音手段170による発音にて報知させる。具体的には、音データとしてのアラーム音を発音手段170で発音させた後に「700m先、○○交差点を△△方面右方向です。」、「移動経路から逸脱しました。」、「この先、渋滞です。」などのあらかじめ記憶手段180やメモリ190などに記憶された音データとしての音声データを音声出力させる。
【0041】
また、出力制御手段280の振動制御手段282は、移動状況に応じた振動レベルをあらかじめ記憶しておいた記憶手段180やメモリ190から読み取る。また、振動制御手段282は、内部状況における発話内容や動作内容と移動状況とを比較し、適合状態を判定する。例えば、右カーブにより横方向に加速度が加わった場合、コントローラ132の振動モータを振動レベルに応じた振動の強さとなるように駆動制御する。そして、発音制御手段281と同様に、コントローラ132の右に対応する操作ボタンが操作された、あるいは右手が上げられたか、あるいは右手が上げられたか、「右」という発話があったかなど、移動状況に対応する発話や動作があったか否かを判定する。さらに、加速度の大きさと、コントローラ132の右に対応する操作ボタンの操作する回数や操作している期間、右手を上げ下げした回数、「右」と言う発話の音量の大きさや発話の回数などと、を比較する。すなわち、加速度の大きさが大きくなるに従って、発話や動作の度合いが大きくなる状態を認識する。そして、振動制御手段282は、移動状況に対応する発話や動作があった場合、その度合いが大きくなるに従って、振動の強さが弱くなるように振動モータを駆動制御する。
【0042】
〔ナビゲーション装置の動作〕
次に、ナビゲーション装置100の動作を図面に基づいて説明する。なお、動作として車酔い処理では、カーブによる横方向の加速度である遠心力が作用する際に所定の音データを発音させる音量を制御する場合を例示して説明するが、加速時または減速時における加速度についても同様に処理される。また、音量の制御に限らず、音程や音長などの音の各特性を変更する処理も同様である。さらには、発音制御に限らず、振動制御についても同様である。また、発話に対応して発音制御する場合に限らず、同乗者の動作を認識し、動作に基づいて発音制御や振動制御する処理についても同様にできる。図5は、ナビゲーション装置100における案内誘導処理を示すフローチャートである。図6は、車酔い低減処理を示すフローチャートである。
【0043】
(案内誘導処理)
まず、車両に搭乗した利用者である搭乗者がナビゲーション装置100の電源をオンし、電力を供給する。この電力の供給により、演算手段200は、表示手段140を制御してメインメニューを表示させ、ナビゲーション装置100に動作させる内容の設定入力を利用者に促す表示画面を表示手段140に表示させる。
【0044】
そして、利用者は、表示画面に基づいて入力手段130の操作手段131の入力操作により、例えば移動するための移動経路の探索処理を実施させる旨の設定入力をする(ステップS101)。この設定入力により、演算手段200は、移動経路の探索に必要な各種情報、例えば目的地、最短距離か最短時間か渋滞情報を加味するかなどの設定事項情報の設定入力を促す表示画面を表示制御手段230により表示手段140に表示させる。そして、演算手段200は、経路処理手段240により移動経路の探索に必要な各種情報を認識すると、まず現在位置認識手段210により現在位置を認識する処理をするとともに(ステップS102)、目的地認識手段220により設定入力された目的地を認識する処理をする(ステップS103)。
【0045】
具体的には、現在位置認識手段210により、センサ部110の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データと、GPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータとに基づいて、車両の現在位置を算出して現在位置情報を取得する。この取得した現在位置情報は、メモリ190に適宜記憶される。さらに、演算手段200は、表示制御手段230により表示手段140を制御して入力手段130の操作手段131における入力操作による目的地の設定入力を促す表示をさせる。そして、利用者が表示された表示画面の指示に従って、操作手段131の入力操作により目的地を設定入力すると、目的地認識手段220は設定入力された目的地に関する目的地情報を取得する。この取得した目的地情報は、メモリ190に適宜出力されて記憶される。なお、目的地の入力操作において、例えば地図情報を用いて目的地に関する情報を検索したり、画面表示される地図情報上の目的地にカーソルを移動して特定したりするなど、いずれの方法が利用できる。
【0046】
さらに、演算手段200は、表示制御手段230により表示手段140を制御して移動経路の探索のための条件である設定事項の入力操作を促す表示をさせる。そして、利用者が表示された表示画面の指示に従って、操作手段131の入力操作により設定事項を設定入力すると、演算手段200は設定入力された設定事項に関する設定事項情報を取得する(ステップS104)。この取得した設定事項情報は、メモリ190に適宜記憶される。
【0047】
この後、演算手段200は、経路処理手段240によりメモリ190に記憶された設定事項情報を取得するとともに、通信手段120から出力されるVICSデータを適宜取得し、車両の現在位置から目的地までの移動経路を、記憶手段180に記憶された地図情報に基づいて探索するルート探索処理をする(ステップS105)。このルート探索処理は、経路処理手段240が、演算により複数の移動経路を取得し、設定事項情報や適宜取得した渋滞情報に基づいていくつかに絞り込む。そして、表示制御手段230により、演算された例えば5つの移動経路を表示手段140に表示させるとともに、利用者による選択を要求する旨を表示させる。そして、利用者が表示に従っていずれかの移動経路を選択する入力操作により、移動経路が設定される。ここで、演算結果が1経路しかない場合、選択を要求する旨の表示をせず、その1つの経路を移動経路として設定する。なお、複数の移動経路から選択する構成に限らず、設定事項情報の条件に最も適合する1つの移動経路のみを表示させ、利用者に確認させる構成などとしてもよい。
【0048】
そして、演算手段200は、表示制御手段230により表示手段140を制御して、記憶手段180に記憶された地図情報を適宜表示させて案内誘導処理をする(ステップS106)。この案内誘導処理に際して、演算手段200は、例えば車両の現在位置を表すアイコンとともに移動経路に関する表示、さらには渋滞情報などの交通情報に関する表示などを地図情報に重畳表示させる。
【0049】
この案内誘導処理では、演算手段200は、センサ部110の速度センサ、方位角センサおよび加速度センサから出力される信号と、GPS受信部から出力されるGPSデータとに基づいて、車両の移動状況を認識する。さらに、演算手段200は、表示制御手段230および発音制御手段281により、認識した移動状況と、移動経路情報に含まれる経路案内情報となどに基づいて、車両の移動に関する案内情報を表示手段140で表示、あるいは発音手段170で音声やアラーム音などを発音させて報知し、車両の移動を案内誘導する。
【0050】
このステップS106における案内誘導処理の際、現在位置認識手段210により、現在走行中の場所が山道か否かを判断する(ステップS107)。このステップS107における山道の判断としては、例えば地図情報に基づいて現在位置が高低差のある地域か、あるいは走行する前方に複数のカーブが存在するかなどにより判断する。そして、ステップS107で山道ではないと判断した場合には、案内誘導処理を継続する。この案内誘導処理は、現在位置が目的地に到達するまで継続処理される。一方、ステップS107で山道であると判断すると、演算手段200は案内誘導処理を継続しつつ、車酔い低減モードを設定して車酔い低減処理を実施する(ステップS108)。
【0051】
(車酔い低減処理)
ステップS108における車酔い低減処理では、演算手段200の挙動状況認識手段250により、現在位置およびセンサ部110の方位角センサから出力される検出信号による移動方向に基づいて、走行方向の前方における地図情報を構成し道路の形状に関する情報である道路形状データを記憶手段180から読み取る(ステップS201)。そして、道路形状データに基づいて前方、例えば数m前方に道路の形状としてのカーブの存在を検索する(ステップS202)。このステップS202で前方近傍にカーブが存在しないと判断した場合には、ステップS201に戻って前方近傍のカーブの存在の有無を監視する。一方、ステップS202において、カーブが存在すると判断すると、挙動状況認識手段250は、カーブの特性、すなわちカーブの方向である曲がる方向とカーブの形状である曲率とを道路形状データから読み取る(ステップS203)。
【0052】
このステップS203の後、演算手段200は、カーブを走行する車両に作用する遠心力の大きさF1を演算する(ステップS204)。具体的には、挙動状況認識手段250により、センサ部110の速度センサから出力される検出信号に基づいて、車両の走行速度を認識する。そして、ステップS203で認識したカーブの曲率と走行速度とに基づいて、車両に作用する遠心力の大きさF1を演算する。この演算した遠心力の大きさF1は、メモリ190で適宜記憶される。そして、演算手段200は、挙動状況認識手段250により、あらかじめ記憶手段180やメモリ190に記憶された閾値となる遠心力の大きさF0を読み取り、演算した遠心力の大きさF1が閾値の大きさF0より大きいか否かを判断する(ステップS205)。ここで、閾値として設定される遠心力の大きさF0は、車酔いが起こりやすくなる加速度の大きさ、例えば内耳の前庭における加速度刺激により自律神経機能障害すなわち車酔いが生じる割合が高くなる刺激となる加速度の大きさを統計的に算出した値などが利用される。
【0053】
このステップS205において、演算した遠心力の大きさF1が閾値の大きさF0より大きくないと判断すると、ステップS201に戻る。すなわち、ステップS202で認識したカーブは、曲がりがほとんどなく横方向の遠心力がほとんど車両に作用せず車酔いをほとんど生じない程度と判断し、カーブに対応した音データの発音制御を実施せず、次のカーブを検出するために道路形状データの読み取り処理に戻る。一方、ステップS205において、演算した遠心力の大きさF1が閾値の大きさF0より大きいと判断すると、演算した遠心力の大きさF1に対応する音データの音量を設定、例えば記憶手段180やメモリ190にあらかじめ記憶された音量の設定値を読み取り、この設定値の音量を音データの発音時の音量として設定する。そして、発音制御手段281は、発音手段170を動作制御して、設定した音量で音データを発音させる処理をする(ステップS206)。
【0054】
このステップS206の後、演算手段200は、内部状況認識手段260にて発話や動作の状況を認識する。例えば、内部状況認識手段260の発話内容認識手段261により、集音手段150から出力される集音データを解析し、発話内容を認識する(ステップS207)。具体的には、集音手段150で集音して生成した集音データから発話の音声データを抽出し、音声データに基づいて搭乗者の発話の内容である発話された言葉を形態素解析や構文解析などの言語解析により認識する。そして、内部状況認識手段260は、発話された言葉がステップS203で認識したカーブの方向に対応し記憶手段180やメモリ190にあらかじめ記憶された音声タグ、例えば「右」や「左」と同一か否かを判断する(ステップS208)。
【0055】
このステップS208で発話の言葉がカーブの方向に対応した音声タグと同一であると判断すると、内部状況認識手段260の発話内容認識手段261で認識した発話された言葉の回数や音量の大きさなどを認識し、例えば図4(B)に示すような音声ポイントを設定する(ステップS209)。この音声ポイントは、回数に対応したポイント数や音量の大きさに対応したポイント数などとして設定されることが例示できる。
【0056】
そして、演算手段200は、出力制御手段280にて内部状況に応じてカーブに対応した音データの出力が変更する状態に設定する。すなわち、出力制御手段280の発音制御手段281により、ステップS209で設定した音声ポイントに基づいて、カーブに対応した音データを発音手段170から発音させる音量の大きさを低減する量Gを設定、例えば音声ポイントの大きさに正比例する状態に低減する量Gの大きさを設定する(ステップS210)。この後、発音制御手段281は、低減する量Gを除いた音量Aを演算し、発音させる音量Aとして設定する(ステップS211)。そして、発音制御手段281は、発音手段170を動作制御して、ステップS206で発音している音データの音量を低減、すなわちステップS211で設定した音量Aで音データを発音させる処理をする(ステップS212)。
【0057】
一方、ステップS208において、発話の言葉がカーブの方向に対応した音声タグと同一ではないと判断すると、ステップS212に進み、ステップS206で設定した音量Aでそのまま発音を継続させる。そして、ステップS212の後、挙動状況認識手段250により、地図情報を利用して現在位置に基づいてカーブが終了したか否かを判断する(ステップS213)。
【0058】
このステップS213において、カーブがまだ終了していない、すなわちカーブを依然として走行中であると判断した場合、発話により低減する量Gが多くなって音量Aが「0」となったか否かを判断する(ステップS214)。そして、ステップS214で音量Aが「0」になっていないと判断した場合、ステップS204に戻って、発話状況に応じて発音させる音データの音量を変更する処理を継続させる。また、ステップS214で音量Aが「0」になったと判断した場合、発音制御手段281は、カーブを克服したとして、例えば「ピンポーン」などのフィードバック音である所定の音データをMIDI音源生成手段270から出力させて発音手段170から発音させ(ステップS215)、ステップと201に戻る。すなわち、次のカーブを検出するために道路形状データの読み取り処理に戻る。
【0059】
一方、ステップS213において、挙動状況認識手段250がカーブの終了を認識すると、音データが発音中か否かを発音制御手段281により判断する(ステップS216)。そして、ステップS216で音データが発音中であると判断した場合には、発音を停止させる(ステップS217)。なお、このステップS217において、「残念」、「もう少し」などの音声データを出力させてもよい。この後、車酔い低減モードの終了要求があったか否かを判断する(ステップS218)。このステップS218における終了要求としては、例えば、操作手段131によるモード終了の入力操作に基づく操作信号を認識したり、現在位置が地図情報に基づいて山道ではないなどと判断したりするなどが例示できる。なお、ステップS216で音データが発音されていないと判断した場合には、発音制御が終了していると判断し、ステップS218に進む。
【0060】
そして、ステップS218において、車酔い低減モードの終了要求がないと判断した場合には、ステップS201に戻って次のカーブを検出するために道路形状データの読み取り処理に戻る。一方、ステップS218において、車酔い低減モードの終了要求があったと判断すると、車酔い低減処理を終了し、案内誘導処理に戻る。
【0061】
なお、内部状況として、発話の替わりあるいは発話とともに同乗者の動作、例えば撮像手段160で撮像した同乗者の動作やコントローラ132の入力操作を認識する場合、ステップS207の処理の替わりあるいは同時に動作内容を認識する。具体的には、撮像手段160で撮像した撮像データを画像処理手段262で画像処理したり、コントローラ132から操作ボタンの入力操作に対応した操作信号を内部状況認識手段260で認識したりする。そして、同乗者の動作がステップS203で認識したカーブの方向に対応し記憶手段180やメモリ190にあらかじめ記憶された動作タグ、例えば「右手を上げる」や「右に対応する操作ボタンの入力操作」、あるいは「左手を挙げる」や「左に対応する操作ボタンの入力操作」と同一か否かをステップS208で認識させる。そして、ステップS209で、画像処理で同乗者が手を上げ下げする動作や手を大きく振る動作など認識したり、コントローラ132の対応する操作ボタンの連続操作を認識したりすることで、動作ポイントを設定し、ステップS210で動作ポイントに基づいて低減する量Gを設定すればよい。
【0062】
また、発音制御に代えてあるいは発音制御とともに振動制御する場合には、ステップS206の処理の替わりあるいは同時に、演算した遠心力の大きさF1に対応する振動の強さを設定する。そして、ステップS210で振動を低減する量Gの大きさを設定し、ステップS211でコントローラ132の振動モータを振動させる振動量を設定し、ステップS212で設定した振動量で振動制御手段282により振動モータを振動させればよい。なお、ステップS214で振動が0となっていると判断した場合、ステップS215でフィードバック音を発音させたり、所定の振動状況で振動モータを所定時間振動させるフィードバック振動を動作させたりしてもよい。また、ステップS216では、音声データの出力の有無に代えてあるいは同時に、振動中か否かを判断すればよい。
【0063】
そして、前後方向での加速度に対応して発音制御あるいは振動制御する場合には、その加速度を速度センサからの検出信号および加速度センサからの検出信号に基づいて検出し、内部状況として減速あるいは加速に対応する発話や動作を認識する処理に代えたり加えたりし、発話や動作の度合いに応じて音量の低減や振動の低減を実施させればよい。
【0064】
〔ナビゲーション装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、挙動状況認識手段250にて車両の挙動状況である移動状況を認識するとともに、車両内における内部状況である発話や同乗者の動作を集音手段150や撮像手段160あるいはコントローラ132にて検出して内部状況認識手段260にて認識する。そして、発話状況や動作状況に対応して発音手段170で発音させる音データの発音状況やコントローラ132の振動モータの駆動による振動状況を出力制御手段280にて制御している。このため、車両の移動状況に対応して発音あるいは振動される状況を、搭乗者による発話や動作にて低減するなどの制御により、搭乗者が認識しているにもかかわらず発音あるいは振動が継続する煩わしさを防止できる。したがって、移動体の移動状況を良好に案内、すなわち搭乗者に報知できる。このことにより、例えば、運転者は移動状況を発話動作にて確認でき、居眠りなども防止でき、安全運行が確実に得られる。また、同乗者では、発話や動作により車両の移動状況を確認できることから、車酔いを良好に低減できる。また、ゲーム感覚が得られ、良好な移動環境が得られる。このことから、より車酔いを低減できる。
【0065】
また、移動状況に応じた音データの発音や振動に対して、車内で発生する発話や動作などの内部状況を取得し、取得した内部状況に応じて発音状況や振動状況を変更している。このため、移動状況に対する搭乗者の確認が適切に実施されたことを容易に認識でき、適切な移動状況の案内が容易に得られる。
【0066】
さらに、発話の回数や音量、動作の頻度や強さなどの内部状況の度合いが大きくなるに従って発音状況や振動状況を変更する度合いが大きくなる状態、すなわち音量を下げたり、音長を長くしたり、音質を低音側に変更したり、振動を弱くしたりするなどの処理をしている。このため、より搭乗者の移動状況に対する確認動作が明確化することとなり、より適切で良好な移動状況の案内を提供できるとともに、よりゲーム性を向上できる。
【0067】
そして、車両の移動状況すなわちカーブの走行や加減速により作用する加速度に対応して所定の音データを発音させる発音制御をしている。このため、例えば運転者が運転操作を実施しつつ移動状況を容易に確認できるとともに、後部座席に着座する移動状況を確認しにくい同乗者も移動状況を容易に確認できる。
【0068】
また、発話や動作の状況に対応して発音させる音データの特性を変更する処理をしている。このため、簡単な処理で、動作や動作の状況に対応して移動状況に応じた出力状態である発音状態の制御ができ、構成の簡略化や処理の高速化、さらには製造性の向上なども容易に図れる。
【0069】
さらに、音データの特性の変更による発音制御として、MIDIの規格に準拠した音データの設定値であるMIDIメッセージを変更する処理をしている。このため、処理負荷を低減でき、構成を容易に簡略化できるとともに処理の高速化が容易に得られ、移動状況の良好な案内が容易に得られる。
【0070】
そしてさらには、音データの発音状況の変更処理のみならず、振動状況を変更する処理をも実施している。このため、振動状況でも車両の移動状況を認識でき、より良好な移動状況の案内が得られる。また、例えば発音状況の変更処理は実施せずに振動状況を変更する処理モードのみを選択することで、同乗者のみが利用するなどができ、他の同乗者における音楽鑑賞などが阻害されることをも防止できる。
【0071】
そして、振動を付与する構成として、動作状況を入力操作するコントローラ132に設けた振動モータによる振動制御を実施している。このため、発話により他の同乗者における音楽鑑賞などの移動環境を損なうことなく移動状況の確認動作が実施でき、より良好な移動状況の案内を提供できる。さらに、移動状況に対応する内部状況として動作状況を入力するコントローラ132を振動させる構成とすることで、振動を提供する別体の構成が不要で、構成の簡略化が容易に図れる。そして、動作状況の入力として、コントローラ132を利用するので、撮像や集音により動作や発話状況を確認する構成に比して比較的に容易な構成で実施できる。また、例えば路線バスや鉄道などの公共機関を利用する場合に、携帯型の装置に適用して操作ボタンを設けることにより、路線バスや鉄道などの公共機関でも利用でき、利用の拡大が容易に図れる。
【0072】
また、内部状況の認識として、車両内における搭乗者の発話の状況や同乗者の動作の状況を認識する構成としている。このため、積極的に同乗者が移動状況に対する確認動作である発話が要求されることとなり、より適切な移動状況の確認動作が得られる。
【0073】
そして、マイクロフォンを備えた集音手段150を設けて発話の状況を取得している。このため、簡単な構成で移動状況に対する確認動作を容易に認識できる。
【0074】
さらに、発話の内容すなわち発話された言葉を認識して移動状況に対応する言葉が発話された場合、あるいは動作の内容すなわち挙手などの身振りの状況を認識して移動状況に対応する身振りが実施された場合に、発音制御や振動制御を実施している。このため、より適切な移動状況の確認動作が要求されることとなり、より良好な運行操作が得られるとともに、よりゲーム性も向上できる。
【0075】
また、内部状況の認識として認識する動作の状況は、CCDカメラを備えた撮像手段160により取得している。このため、簡単な構成で移動状況に対する確認動作を容易に認識できる。
【0076】
そして、車両の挙動として、加減速による前後方向の加速度やカーブや曲がり角の走行による横方向の加速度である遠心力の大きさを演算して認識している。このため、確認動作を要求する構成として適切な車両の移動状況を認識していることとなり、良好な移動状況の案内、特に車酔い低減のための確認動作の要求ができ、良好に車酔いを低減できる。
【0077】
また、移動状況に応じた出力状況を内部状況に対応して変更する構成をナビゲーション装置100に適用している。このため、ナビゲーション装置100における案内誘導のための音声データの発音および発音制御する構成を利用でき、さらに構成の簡略化が容易に図れる。また、ナビゲーション装置100で利用する地図情報や現在位置認識手段210さらには各種センサ112を利用して、カーブによる遠心力や加減速による前後方向の加速度が発生する場所を容易に予測でき、迅速な処理が容易に得られる。さらには、車酔いが発生しやすい山道などを容易に認識できる。このため、自動的に車酔い低減処理の開始や終了、すなわち移動状況を案内し確認動作により報知状況を減少させる処理の開始や終了が自動的に得られ、利便性を向上できる。
【0078】
さらには、経路処理手段240により目的地までの移動経路を設定して移動支援するナビゲーション装置100に適用している。このため、より走行方向の前方における道路状況を容易に認識でき、より迅速で適切な処理が得られる。
【0079】
そして、演算手段200を例えばCPU(Central Processing Unit)などを用いてプログラムとして構成しているので、プログラムをインストールすることで、移動状況を良好に案内する構成が容易に得られ、利用の拡大が容易に図れる。さらには、そのプログラムを記録媒体に記録し、演算手段200、すなわちコンピュータに適宜読み取らせる構成とすることで、容易に良好な移動状況の案内制御ができる構成が得られるとともに、プログラムを容易に取り扱いでき、利用の拡大が容易にできる。なお、本発明における演算手段としては、1つのコンピュータに限らず、複数のコンピュータをネットワーク状に組み合わせた構成、CPUやマイクロコンピュータなどの素子、あるいは複数の電子部品が搭載された回路基板などをも含む。
【0080】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0081】
すなわち、上述したように、車両の移動を案内誘導するナビゲーション装置100の構成について説明したが、例えばゲーム機として車両内に搭載するなど、移動を支援するための構成を有しない単体構成としてもよい。
【0082】
そして、移動状況としては、上述したように、車両の移動に限らず、例えば飛行機や船舶など移動するいずれの移動体にも適用できる。また、携帯電話やPDAなどの携帯型の構成として利用してもよい。
【0083】
さらに、上述した各機能をプログラムとして構築したが、上述したように、例えば回路基板などのハードウェアあるいは1つのIC(Integrated Circuit)などの素子にて構成するなどしてもよく、いずれの形態としても利用できる。なお、プログラムや別途記録媒体から読み取らせる構成とすることにより、取扱が容易で、利用の拡大が容易に図れる。
【0084】
そして、地図情報および現在位置に基づいて、車両の走行位置が山道に入ったことを認識することで、自動的に「車酔い低減モード」が設定される構成を例示して説明したが、例えば、操作手段131の入力操作にて「車酔い低減モード」を設定する構成としたり、横方向の加速度である遠心力が作用する頻度を認識して自動的に設定する構成としたりしてもよい。
【0085】
さらに、カーブの走行における横方向の加速度である遠心力の作用に対して発話状況により発音制御をする動作を例示して説明したが、カーブに限らず、走行の加速時や減速時の走行方向における前後方向の加速度の大きさについても同様に処理してもよい。さらには、発音制御または振動制御、さらには発音制御と振動制御との双方を実施してよい。
【0086】
また、コントローラ132として、例えばハンドル、さらにはアクセルペダルやブレーキペダルを擬似的に形成して構成したものを利用するなどしてもよい。このような、実際の運転に対応する擬似的なコントローラを利用することで、よりゲーム感覚が向上し、車酔いの低減や目的地まで退屈することなく良好な移動環境が得られる。
【0087】
そして、発音制御および振動制御の双方を実施して説明したが、例えばコントローラ132を利用する場合には、発音制御を実施することなく振動制御のみするなどしてもよい。このような構成では、例えば他の同乗者が音楽鑑賞している場合でも、他の同乗者の音楽鑑賞を阻害することなく、車酔いの低減や良好な移動環境が得られる。また、発音制御および振動制御の双方、振動制御のみ、発音制御のみの各モード、さらには車酔い低減モードを実行する同乗者の車両内における位置を特定して、指向性スピーカ172により特定した同乗者のみ音データが聞こえるように制御するモードなどを、入力操作により切替可能としてもよい。
【0088】
また、内部状況として、右カーブや左カーブに対して「右」や「左」の発話のみならず、例えば入力手段130や集音手段150を利用して、「赤」、「白」などの他の言葉を設定して発音制御や振動制御を実施してよい。さらには、カーブが連続するような場合には、図7に示すように、カーブの数に対応する発話に基づいて発音制御や振動制御をしてもよい。また、図7に示す構成において、さらに遠心力の大きさやカーブの大きさに対する発話時の発声音量を認識して、発声音量に基づいて発音制御や振動制御をしてもよい。この図7は、あらかじめ設定した音声タグであるカーブの数として発話の言葉にて模式的に示すとともに、音データの音量を0にするために必要な発生音量の大きさを文字の大きさで模式的に示す図である。このような構成により、よりゲーム感覚を向上できる。なお、図7に示す構成において、所定時間や所定距離の走行でカーブがない場合には、発話させる数をリセットするとよい。
【0089】
さらに、右カーブの際に車両内の走行方向における右側から音データが発音するように聞こえる状態で発音制御したが、音像定位を変更する処理を実施せず、例えば図8に示すように、右カーブおよび左カーブで異なる音データを発音制御するなどしてもよい。また、右カーブの際に発生する遠心力の方向に対応する側となる左側から音データが発音されているように聞こえる状態に発音制御してもよい。さらに、上述したように、あらかじめ設定された音データの発音制御のみならず、例えば現在聴取中の音楽データや案内誘導のために出力される「この先右です」などの音声データを発音制御するなどしてもよい。
【0090】
また、例えば、同乗者の声の特性などを登録しておき、複数の同乗者による発話の状況をそれぞれ認識して各音声ポイントを演算し、各音声ポイントに基づいて各同乗者による移動状況と発話状況との適合性に基づいて発音制御や振動制御してもよい。このことにより、最も適合する同乗者を報知することで、ゲーム性を提供でき、より良好な移動環境が得られる。さらには、同乗者の声の特性などを登録しておき、例えば声の小さい人は比較的に小さい値の閾値で音声ポイントが得られるようにする処理をすることにより、移動状況を案内する構成が同乗者の個性に適合したより良好な構成として提供できる。
【0091】
そして、コントローラ132により動作状況を入力操作可能としたが、コントローラ132を用いず、上述したように、発話や撮像により確認動作を入力する構成としてもよい。また、コントローラ132に振動モータを設けてコントローラ132を振動させる構成について説明したが、例えば車両の座席に振動マットなどを設けるなど、振動を提供する構成としてはいずれの構成が利用できる。
【0092】
また、発音制御における音の特性の変更、すなわち変調制御としては、上述したように、音量に限られない。例えば、いわゆるビブラート効果やワウ効果、グロール効果、トレモロ効果、コーラス効果、フランジャ効果、フェイズシフタ効果などの震音の度合いを変更するなどの制御をしてもよい。これらの変更処理としては、例えばMIDIメッセージのビブラート・レイトやビブラート・デプスのパラメータ値を変更するなどが例示できる。また、高低制御として、MIDIメッセージのモジュレーション・デプス(modulation depth)に関するパラメータ値を適宜設定してもよい。なお、MIDIパラメータを変更する構成に限らず、高低を変化させる周期や振幅を変更するなどのアナログ処理としてもよい。例えば、低周波発振装置(Low Frequency Oscillator:LFO)から出力する正弦波に基づいて、発振器としてのオシレータにより震音する状態で音データを発音させ、この震音状態を変更したり、オシレータから出力される所定の周波数を、LFOから出力する正弦波に基づいて、フィルタにより消去して指向性スピーカ172から発音させない周波数の領域を設定することで音質を変更したり、フィルタにて処理された音の周波数を、LFOから出力する正弦波に基づいて、増幅器としてのアンプにより増幅あるいは減衰させて発音制御したりするなどが例示できる。また、音質の変更処理として、MIDIメッセージにおけるアタック・タイム(attack time)のパラメータ値を適宜変更するなど、発音による包絡線における音の立ち上がりを制御したり、MIDIメッセージのノート・オン(note on)を反復して出力させるなど、発音を反復させる周期である時間差を変更したり、してもよい。さらに、音像定位を移動させる制御として、MIDIメッセージのパンポットのパラメータ値を変更する構成に限らず、各指向性スピーカ172の出力値をそれぞれ変更したりしたり、指向性を変更したりするなどしてもよい。
【0093】
さらに、内部状況の度合いにより音量を小さく設定して説明したが、例えば表示手段140に音声ポイントや動作ポイントを表示させ、内部状況の度合いが大きくなるに従って音声ポイントや動作ポイントが増大する状態に制御してもよい。このような構成を設けることで、よりゲーム性を向上できる。
【0094】
また、地図情報を利用して道路状況をあらかじめ認識し、作用する加速度を演算する構成について説明したが、例えばセンサ112からの検出信号に基づいてのみ加速度を演算する構成としてもよい。
【0095】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0096】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、車両の挙動状況である移動状況を認識するとともに、搭乗者の発話や同乗者の動作などの車両内における内部状況を認識し、内部状況に対応して発音手段170で発音させる音データの発音状況やコントローラ132の振動モータの駆動による振動状況などの出力状況を出力制御手段280にて制御している。このため、車両の移動状況に対応して発音あるいは振動される状況を、搭乗者による発話や動作にて低減するなどの制御により、搭乗者が認識しているにもかかわらず発音あるいは振動が継続する煩わしさを防止でき、移動体の移動状況を良好に案内すなわち搭乗者に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記実施の形態における発音手段の概略構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施の形態におけるカーブの走行により発生する遠心力の大きさと発音させる音データの音量の大きさとの関係を説明するタイミングチャートで、(A)は遠心力の大きさを説明するグラフであり、(B)は音データの音量の大きさを説明するグラフである。
【図4】前記実施の形態における遠心力と発話状況との関係により発音させる音データの音量の変更状況を説明するタイミングチャートで、(A)は遠心力の大きさを説明するグラフであり、(B)は発話状況に応じた音声ポイントを説明するグラフであり、(C)は音データの音量の大きさを説明するグラフである。
【図5】前記実施の形態におけるナビゲーション装置による案内誘導処理を示すフローチャートである。
【図6】前記実施の形態における車酔い低減処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る他の実施の形態における車両の移動状況と発話状況との関係性を示す説明図である。
【図8】本発明に係るさらに他の実施の形態に係る車両の移動状況と発音させる音声データの内容との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0098】
132…出力手段としても機能するコントローラ
150…集音手段
160…撮像手段
170…出力手段としての発音手段
200…挙動案内装置としても機能する演算手段
210…現在位置認識手段
220…目的地認識手段
240…地図情報取得手段としても機能する移動経路探索手段である経路処理手段
250…挙動状況認識手段
260…内部状況認識手段
261…発話内容認識手段
262…動作内容認識手段としての画像処理手段
280…出力制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力手段から出力する移動体の挙動状況に応じた出力状況を制御して移動体の挙動を案内する挙動案内装置であって、
前記移動体の挙動状況を認識する挙動状況認識手段と、
前記移動体内の内部状況を認識する内部状況認識手段と、
前記内部状況に対応して前記出力手段から出力する前記挙動状況に応じた出力状況を制御する出力制御手段と、
を具備したことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記出力手段で音声として出力する出力状況を制御する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項3】
請求項2に記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記出力手段で音声として出力する音データの特性を変更する制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項4】
請求項3に記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記音データの特性を変更する制御として、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)の規格に準拠した音情報の設定値を変更する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記出力手段で振動として出力する振動状況を制御する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項6】
請求項5に記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記車両に搭乗する搭乗者による入力操作に応じた操作信号を出力しこの操作信号を内部状況として内部状況認識手段にて認識させる操作手段を振動させる制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記挙動状況に応じた前記出力手段における出力状況に対して前記移動体内で生じる前記内部状況に応じて前記出力状況を変更する制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項8】
請求項7に記載の挙動案内装置であって、
前記出力制御手段は、前記出力状況に対して生じる前記内部状況の度合いの大きさに対応して前記出力状況の変化の度合いを大きくする制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記移動体内の発話の状況を内部状況として認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項10】
請求項9に記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記移動体内の発話を集音する集音手段を備えた
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記発話の内容を認識する発話内容認識手段を備え、
前記出力制御手段は、前記発話の内容が前記移動体の挙動に対応する内容であると認識した場合に前記出力手段の出力状況を変更する制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記移動体内に搭乗する搭乗者の動作を内部状況として認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項13】
請求項12に記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記移動体内を撮像する撮像手段を備えた
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の挙動案内装置であって、
前記内部状況認識手段は、前記搭乗者の動作の内容を認識する動作内容認識手段を備え、
前記出力制御手段は、前記動作の内容が前記移動体の挙動に対応する内容であることを認識した場合に前記出力手段の出力状況を変更する制御をする
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記移動体の現在位置を認識する現在位置認識手段と、
前記移動体の移動方向を認識する移動方向認識手段と、を具備し、
前記挙動状況認識手段は、前記現在位置および前記移動方向に基づいて前記地図情報を利用して前記移動体の挙動状況を認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記移動体の現在位置を認識する現在位置認識手段と、
前記移動体の移動方向を認識する移動方向認識手段と、を具備し、
前記挙動状況認識手段は、前記現在位置および前記移動方向に基づいて前記地図情報を利用して前記移動体の移動状況の変動する状況を予測して挙動状況として認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の挙動案内装置であって、
前記移動体が移動する目的地を認識する目的地認識手段と、
前記現在位置から前記目的地までの移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索手段と、を具備し、
前記挙動状況認識手段は、前記移動経路における現在位置に基づいて前記地図情報を利用して前記移動体の挙動状況を認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の挙動案内装置であって、
前記挙動状況認識手段は、前記移動体の移動方向における加速度および前記移動体の移動方向の変更による前記移動方向に対して交差する方向における加速度のうちの少なくともいずれか一方を挙動状況として認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項19】
請求項18に記載の挙動案内装置であって、
前記挙動状況認識手段は、前記移動体の移動速度および移動方向のうちのいずれか一方の変化を検出して加速度を認識する
ことを特徴とした挙動案内装置。
【請求項20】
演算手段により、出力手段から出力する移動体の挙動状況に応じた出力状況を制御して移動体の挙動を案内する挙動案内方法であって、
前記演算手段は、
前記移動体の挙動状況および前記移動体内の内部状況を認識し、
前記内部状況に対応して前記出力手段から出力する前記挙動状況に応じた出力状況を制御する
ことを特徴とする挙動案内方法。
【請求項21】
演算手段を、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の挙動案内装置として機能させる
ことを特徴とした挙動案内プログラム。
【請求項22】
請求項20に記載の挙動案内方法を演算手段に実行させる
ことを特徴とした挙動案内プログラム。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載の挙動案内プログラムが演算手段に読取可能に記録された
ことを特徴とした挙動案内プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−111134(P2006−111134A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300565(P2004−300565)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】