説明

振分装置

【課題】搬送経路における製品詰まりを抑えると共に高速化にも対応可能な簡易な構成の振分装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る振分装置1は、搬送経路5上の製品に接触する搬送ベルト11,21,31を有して、製品を下流側に搬送させる搬送コンベア10,20,30と、下流側の搬送経路5に製品を案内する搬送位置と、搬送経路から下方へ製品を排出するように案内する排出位置との間で回転可能な振分板41と、振分板41を搬送位置と排出位置との間で回転させる駆動手段45と、を有する振分部40であって、振分板41の回転軸43が下流側に設置され、振分板41は上方に回転したときに排出位置となって先端側が搬送経路5に飛び出し、その下面に接触した製品が下方に落下して排出されるように構成されている振分部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品が順次搬送される搬送経路に設置され、製品を所定の方向に振り分ける振分装置に関し、特に、搬送されている製品の一部を搬送経路から取り出して排出するための振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造機で製造されて搬送経路上を順次搬送される製品を、下流側の二つの搬送経路に選択的に振り分けるための振分装置が多数提供されており、例えば、下記特許文献1乃至3に開示されている。
【0003】
特許文献1及び3には、搬送経路の上側に設置されたベルトコンベアと下側に設置されたベルトコンベアとからなる振分装置であって、上流側端部を回転軸として両ベルトコンベアの下流側を上下に揺動することで、両ベルトコンベアによって挟まれて搬送される製品の搬送方向を振り分ける振分装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、搬送経路の分岐地点前において、押出ローラーにより搬送コンベアの搬送ベルトを外側から経路側に押し出すことで、搬送経路上を流れる製品を振り分ける振分装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−178452号公報
【特許文献2】特開平6−100224号公報
【特許文献3】特開2006−96520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1及び3では、二つのベルトコンベアを一斉に揺動させる必要があり、構造が複雑になると共に高速処理も困難である。また、特許文献2では、高速処理への対応は可能であるが、搬送経路内に三角ガイドが設置されていたり、搬送ベルトが内側に押されることで搬送経路が狭くなったりするため、オムツ、ナプキン等の軟らかい製品では搬送経路において製品詰まりが発生し易くなってしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、搬送経路における製品詰まりを抑えると共に高速化にも対応可能な簡易な構成の振分装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る振分装置は、製造された製品を順次下流側に搬送するための搬送経路に設置され、搬送されている製品の一部を取り出して排出するための振分装置において、前記搬送経路上の製品に接触する搬送ベルトを有して、製品を下流側に搬送させる搬送コンベアと、下流側の前記搬送経路に製品を案内する搬送位置と、前記搬送経路から下方へ製品を排出するように案内する排出位置との間で回転可能な振分板と、前記振分板を前記搬送位置と前記排出位置との間で回転させる駆動手段と、を有する振分部であって、前記振分板の回転軸が下流側に設置され、前記振分板は上方に回転したときに前記排出位置となって先端側が前記搬送経路に飛び出し、その下面に接触した製品が下方に落下して排出されるように構成されている振分部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成の振分装置により、搬送経路における製品詰まりを抑えると共に高速化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る振分装置の構成を概略的に示す模式側面図である。
【図2】図2は、図1の製品搬送路から下方を見た模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る振分装置について説明する。図1は、本実施形態に係る振分装置の構成を概略的に示す模式側面図である。図2は、図1の製品搬送路から下方を見た模式平面図である。なお、本実施形態では、製造機と計数機との間の搬送経路上に設置され、製造機で製造されて搬送経路上を順次搬送されてくる製品(紙おむつ、生理ナプキン、ペットシート等)の一部を取り出して排出するための振分装置について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、振分装置1は、上側搬送コンベア10、下側第一搬送コンベア20、下側第二搬送コンベア30、振分部40、排出検出部50、排出部60、制御器70を備えている。図1の右側が上流側であり、上流側から搬送されてきて振分装置1内に入った製品は、上側搬送コンベア10と下側搬送コンベア20,30との間に形成された水平な搬送経路5上を図中右側から左側へと搬送される。
【0013】
上側搬送コンベア10は、搬送経路5の上方に位置し、搬送ベルト11、駆動ローラー15、従動ローラー16,17を備えている。駆動ローラー15の図中時計回りの回転により、搬送経路5に位置する製品に上方から接触する搬送ベルト11が時計回りに回転し、製品が下流側(図中左側)へと搬送される。
【0014】
下側第一搬送コンベア20は、搬送経路5の前側半分の下方に位置し、搬送ベルト21、駆動ローラー25、従動ローラー26,27を備えている。駆動ローラー25の図中反時計回りの回転により、搬送経路5の前半部分に位置する製品に下方から接触する搬送ベルト21が反時計回りに回転し、製品が下流側の振分部40へと搬送される。
【0015】
下側第二搬送コンベア30は、搬送経路5の後側半分の下方に位置し、搬送ベルト31、駆動ローラー35、従動ローラー36,37を備えている。駆動ローラー35の図中反時計回りの回転により、搬送経路5の後半部分に位置する製品に下方から接触する搬送ベルト31が反時計回りに回転し、製品が振分装置1の下流側(矢印A)へと搬送される。
【0016】
振分部40は、下側第一搬送コンベア20と下側第二搬送コンベア30との間であって、搬送経路5の下側に位置し、搬送経路5を搬送されてくる製品の一部を排出部60へ(矢印B)と振り分けるように機能する。
【0017】
振分部40は、振分板41、回転軸43、駆動手段45を備えている。駆動手段45としては、エアシリンダやサーボモータが用いられ、駆動手段45の回転により回転軸43が回転する。振分板41は、二枚の振分板41からなり、下流側端部に位置する回転軸43に一端が固定されて上流側に向けて延在している。
【0018】
この振分板41は、上面が搬送経路5と略並行になり、上面上を搬送される製品を下流側の搬送経路5にそのまま案内する搬送位置(第一の位置)と、この搬送位置から上方(反時計回り)に23°回転して搬送経路5に飛び出した位置であって、搬送経路5の上流側から搬送されてきた製品を下面に当てて下方の排出部60へと案内する排出位置(第二の位置)との間で揺動するように構成されている。もちろん、この揺動角度は適宜変更可能である。
【0019】
図1においては、搬送位置にある振分板41を実線で、排出位置にある振分板41を点線で示している。振分板41が排出位置にある場合には、振分部41において搬送経路5の下側が開放されることになる。振分板41の回転は、制御器70の制御により駆動手段45が駆動されて、回転軸43が定位置(搬送位置に対応)から23°反時計回りに回転したり、23°回転した位置から元の定位置へと23°時計周りに回転したりすることで実現される。
【0020】
なお、振分板41が上方に回転した状態では、振分板41の先端側が、搬送経路5に面する上側搬送コンベア10の搬送ベルト11よりも高い位置となるが、搬送ベルト11は、振分部40の上方において振分板41の排出位置を回避するように上方に屈曲している。したがって、振分板41が上方に回転した場合でも搬送ベルト11と接触することはない。
【0021】
排出検出部50は、上流側から搬送されてくる製品のうち排出部40において下方に排出すべき製品を検出する手段であり、発光部51と受光部52とを備える。排出検出部50としては、例えば、光ファイバセンサが使用される。
【0022】
図1に示すように、排出検出部50は、振分装置1の本体入口よりも所定の距離上流側に設置されており、発光部51は搬送経路の上側、受光部52は搬送経路の下側に設置されている。また、発光部51と受光部52の組が、搬送方向に直交する方向に三組列んで設置されており、図2に示すように、搬送経路の中央に受光部52a、搬送経路の一方の側端部に受光部52b、他方の側端部に受光部52cが位置している。
【0023】
また、図2において、正常に搬送されている製品Pを点線で示しているが、このように製品Pが真っ直ぐ搬送されている場合には、受光部52aのみによって製品Pの通過が検出され、受光部52b,cには検出されないように構成されている。
【0024】
排出検出部50において、排出すべき製品であるとして検出される製品は、搬送ピッチがずれている製品、折り畳まれていない製品及び斜行等により左右にずれて搬送されている製品である。
【0025】
搬送ピッチずれ製品とは、何らかの原因により、通常の製品搬送間隔とは異なる間隔で搬送されている製品であり、このような製品は、下流側の計数機等において詰まりを発生させる原因となる。本実施形態では、受光部52aにより製品Pを検出してから次の製品Pを検出するまでの搬送距離が所定値と異なる場合には、後述する制御器70が、ピッチずれが発生していると判定する。
【0026】
折られていない製品とは、紙おむつ等の製品は通常折り畳んだ状態で搬送されるのに対して、何らかの原因により折り畳まれていない状態で搬送されている製品である。このような製品も下流側での詰まりを発生させる原因となる。本実施形態では、受光部52aにより製品Pを検出している時間、すなわち受光部52aの位置を製品Pが通過している時間が所定よりも長い場合には、後述する制御器70が、折り畳まれていない製品が通過したと判定する。
【0027】
また、斜行等により左右にずれて搬送されている製品も下流側で詰まりを発生される原因となる。本実施形態では、受光部52b,cによって製品Pの通過が検出された場合には、後述する制御器70が、製品Pが斜行したり左右にずれたりしていると判定する。
【0028】
排出部60は、排出トレイ61、排出案内板62を有している。振分板41が排出位置にあるときに、開放部分から排出部60へと案内された製品は、搬送方向の斜め前方(図1の左下方向)に向けて落下し、この排出案内板62に当たって、下方の排出トレイ61へと案内される。
【0029】
制御器70は、排出検出部50の出力に基づき、駆動手段45を制御して振分板41を搬送位置と排出位置との間で回転させ、通常の製品搬送時には、振分板41を搬送位置に位置させ、製品の一部を取り出して排出する際には、振分板41を排出位置に位置させる。
【0030】
ここで、制御器70が、排出制御を行うのは、上述したように排出検出部50から、搬送ピッチがずれている製品、折り畳まれていない製品及び斜行等により左右にずれて搬送されている製品の検出信号を受信したときである。
【0031】
このとき、制御器70は、排出すべき製品の検出信号を受信してから所定時間経過後、すなわち当該製品が振分部40の位置まで搬送されてきたときに、振分板41を排出位置へと駆動し、当該製品を排出部60へと案内する。
【0032】
また、振分装置1には、図示しない排出指示ボタンが設置されており、オペレータが当該排出指示ボタンを押して、検査等のための製品抜き取り指示があった場合にも製品が排出されるように構成されている。具体的には、排出指示ボタンからの排出信号を受信すると、制御器70が振分板41を排出位置へと駆動させ、製品を排出部60へ排出させる。
【0033】
以上、振分装置1の構成について詳細に説明したが、続いて、振分装置1における排出のための振分処理時の作用について説明する。まず、通常搬送時には、排出検出部50を通過して振分装置1の入口部分まで搬送された製品は、上側搬送コンベア10の搬送ベルト11と下側第一搬送コンベア20の搬送ベルト21とに挟まれて搬送経路5内を下流側へ搬送される。
【0034】
通常搬送時の振分部40では、振分板41が搬送位置にあるため、振分部40に到達した製品は、そのまま振分板41の上面をすべって下流側へと流れ、引き続き、搬送ベルト11と搬送ベルト31とに挟まれて下流側へと搬送される。
【0035】
一方、排出時の振分部40では、振分板41が搬送経路5に飛び出すように回転した排出位置にあるため、振分部40に到達した製品は、振分板41の下面に対して斜めに接触する。このとき、振分板41が上がっていることで、振分部40において搬送経路5の下側が開放されているので、振分板41の下面に接触した製品は、搬送スピードを維持しながら搬送方向の斜め前方へと落下し、排出案内板62に当たった後、排出トレイ61に収納される。
【0036】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、振分板41が上方に回転することで、搬送経路5の下側が開放されるので、搬送されてきた製品をこの開放部分から下方に振り分けて排出することができる。
【0037】
特に、本実施形態では、振分板41が下流側を回転軸として上方に回転することで下方への排出経路を開放すると共に、その回転角度が23°と小さく、振分板41の下面に接触する搬送製品が搬送スピードを大きく落とすことなく斜め下方へ排出されるため、高速で製品を排出することができる。このように、排出される製品の搬送スピードを大きく低下させないためには、排出時の振分板41の下面と搬送経路との交わる角度が小さいほうが好ましく、概ね30°以下であれば高速排出が可能である。
【0038】
また、排出時に上方へ回転させる構成であれば、製品が振分板41の下側に入れる角度だけ回転させれば良いので、回転させる角度が少なくて済み、振分処理を短時間で行うことができる。
【0039】
また、振分板41を上方に回転させて下方への排出経路を開放した場合には、製品が振分板41の下側に入れば、通常の搬送位置に戻すために即座に振分板41を下方に回転させ始めることができるので、高速搬送にも対応可能である。さらに、本実施形態では、振り分けのために駆動される部材が、製品搬送機能を有しておらず、振分板41と回転軸43だけの簡易な構成であるため、高速で振分部40を作動させることが可能であり、より高速化に対応可能である。
【0040】
なお、本発明の実施形態は上述した形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、搬送される製品は、折り畳まれて搬送させる製品に限らず、種々の製品に対応可能であるのは言うまでもない。
【0041】
また、上記実施形態では、振分装置内の搬送経路を水平に構成しているが、傾斜した搬送経路であっても良い。但し、高速搬送に対応するためには、水平か若しくは下向き傾斜の搬送経路とすることが望ましく、振分部からの排出方向が下方であることが望ましい。
【符号の説明】
【0042】
1 振分装置
5 搬送経路
10 上側搬送コンベア
11,21,31 搬送ベルト
20 下側第一搬送コンベア
30 下側第二搬送コンベア
40 振分部
41 振分板
43 回転軸
45 駆動手段
50 排出検出部
51 発光部
52 受光部
60 排出部
70 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造された製品を順次下流側に搬送するための搬送経路に設置され、搬送されている製品の一部を取り出して排出するための振分装置において、
前記搬送経路上の製品に接触する搬送ベルトを有して、製品を下流側に搬送させる搬送コンベアと、
下流側の前記搬送経路に製品を案内する搬送位置と、前記搬送経路から下方へ製品を排出するように案内する排出位置との間で回転可能な振分板と、前記振分板を前記搬送位置と前記排出位置との間で回転させる駆動手段と、を有する振分部であって、前記振分板の回転軸が下流側に設置され、前記振分板は上方に回転したときに前記排出位置となって先端側が前記搬送経路に飛び出し、その下面に接触した製品が下方に落下して排出されるように構成されている振分部と、
を備えることを特徴とする振分装置。
【請求項2】
前記振分部は、前記振分板が下方に回転したときに前記搬送位置となり、前記搬送経路上の製品は前記振分板の上面上を下流側へと搬送されることを特徴とする請求項1記載の振分装置。
【請求項3】
前記搬送コンベアとして、上側搬送コンベア及び下側搬送コンベアを備え、搬送経路上の製品を両側から挟んで搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の振分装置。
【請求項4】
前記振分板は、製品を搬送する機能を有していないことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の振分装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−76874(P2012−76874A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223365(P2010−223365)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(300077582)株式会社三協システム (6)
【Fターム(参考)】