説明

振動デバイス及び電子機器

【課題】電子素子の電極と外部部材の接合部材との接触を回避可能、且つ、電子素子の固定強度の低下を抑制可能な振動デバイスの提供。
【解決手段】水晶振動子1は、水晶振動片10と、両端に電極21,22を有するサーミスター20と、第1主面33側に水晶振動片10が搭載され、第2主面35に設けられた第2凹部36にサーミスター20が収納されたパッケージベース31と、を備え、パッケージベース31の第2主面35側の4隅のそれぞれには、水晶振動片10またはサーミスター20と接続された電極端子37a〜37dが設けられ、サーミスター20は、長手方向がパッケージベース31の長手方向と交差するように配置され、パッケージベース31の短手方向に沿って設けられている互いに隣り合う電極端子37a(37c)と電極端子37b(37d)との間の距離L1は、サーミスター20の電極21,22同士を結ぶ方向の長さL2よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス及びこの振動デバイスを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動デバイスとしては、圧電振動子(以下、圧電振動片という)を収納したパッケージの外底面に凹陥部を設け、凹陥部内にチップ型電子部品を実装すると共に、チップ型電子部品と、圧電振動片と、パッケージの電極端子と、を導電パターンにて電気的に接続して構成された圧電デバイスが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、上記チップ型電子部品に相当する集積回路素子が搭載されている上記凹陥部に相当する第二の凹部に、樹脂を充填した構成の圧電発振器が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−322129号公報
【特許文献2】特開平11−145768号公報
【特許文献3】特開2008−263564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2の圧電デバイスは、例えば、配線基板などの外部部材への実装用としてパッケージの外底面の4隅のそれぞれに電極端子が設けられている。
近年、上記圧電デバイス、圧電発振器などに代表される振動デバイスは、小型薄型化が進展し、各構成要素が余裕のない間隔でレイアウトされている。
【0005】
このようなことから、上記特許文献1、2の圧電デバイスは、外部部材への実装時の位置ずれにより、電極端子と外部部材とを接合する、例えば、ハンダなどの接合部材が、チップ型電子部品(以下、電子素子という)の電極と接触する虞がある。
これにより、上記特許文献1、2の圧電デバイスは、電子素子と、電極端子のうち本来この電子素子とは非接続である電極端子とが、接合部材を介して短絡する虞がある。
【0006】
これを回避する方策としては、例えば、上記特許文献3の圧電発振器のように、集積回路素子(以下、電子素子という)が搭載されている第二の凹部(凹陥部)に樹脂を充填して電子素子を覆い、電子素子と接合部材との接触を阻止する構成が考えられる。
しかしながら、この方策では、電子素子の交換が困難になるという問題、電子素子と樹脂との熱膨張係数の違いに起因する周囲の温度変化に伴う熱応力の発生によって、電子素子の性能が劣化する虞があるという問題や、例えば、電子素子が感温素子である場合には、樹脂の熱伝導率に起因する熱伝導の遅延により、周囲の温度変化に対する感度が鈍くなるという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献1、2の圧電デバイスは、実施の形態において電子素子の長手方向がパッケージの長手方向に沿っていることから、パッケージの反りによって電子素子の固定強度(接合強度)が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例にかかる振動デバイスは、振動片と、一対の電極を両端に有する電子素子と、第1主面側に前記振動片が搭載され、前記第1主面の反対側の第2主面に設けられた凹状の収納部に前記電子素子が収納され、前記第2主面の外形が矩形の容器体と、を備え、前記容器体の前記第2主面側の4隅のそれぞれには、前記振動片または前記電子素子と接続された電極端子が設けられ、前記電子素子は、長手方向が前記容器体の長手方向と交差するように配置され、前記容器体の短手方向に沿って設けられている互いに隣り合う前記電極端子の間の距離は、前記電子素子の一対の前記電極同士を結ぶ方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0010】
これによれば、振動デバイスは、容器体(パッケージの本体に相当)の短手方向(長手方向に対して直交する方向)に沿って設けられている互いに隣り合う電極端子の間の距離が、電子素子の一対の電極同士を結ぶ方向の長さよりも長いことから、前述した特許文献3の圧電発振器のような樹脂を充填することなく、実装時における振動デバイスの位置ずれによる電子素子の電極と外部部材の電極端子接合面(ランド)のハンダなどの接合部材との接触を回避することができる。
この結果、振動デバイスは、電子素子と、電極端子のうち本来この電子素子とは非接続である電極端子との、接合部材を介した短絡を回避することができる。
加えて、振動デバイスは、電子素子の長手方向が容器体の長手方向と交差するように配置されていることから、容器体の反り(傾向的に長手方向の反りが大きい)に対する電子素子の固定強度(接合強度)の低下を抑制することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記4隅に設けられた4つの前記電極端子のうち3つの前記電極端子は、前記収納部側の角部が面取り状にカットされていることが好ましい。
【0012】
これによれば、振動デバイスは、4つの電極端子のうち3つの電極端子の収納部側の角部が面取り状にカットされていることから、電子素子の電極から電極端子までの距離を更に長くすることができる。
加えて、振動デバイスは、4つの電極端子のうち1つの電極端子の角部がカットされていないことで、実装時などに基準となる電極端子の識別が可能となる。
【0013】
[適用例3]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記第1主面側は、前記振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、前記電子素子と接続された2つの前記電極端子の一方は、前記蓋体と電気的に接続されていることが好ましい。
【0014】
これによれば、振動デバイスは、第1主面側が振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、電子素子と接続された2つの電極端子の一方が蓋体と電気的に接続されていることから、シールド性を向上させることができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記蓋体と電気的に接続されている前記電極端子は、アース端子であることが好ましい。
【0016】
これによれば、振動デバイスは、蓋体と電気的に接続されている電極端子が、アース端子(GND端子と同義)であることから、シールド性を更に向上させることができる。
【0017】
[適用例5]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記電子素子は、サーミスターであることが好ましい。
【0018】
これによれば、振動デバイスは、電子素子がサーミスターであることから、振動片が搭載された容器体内に収納されたサーミスターによって、振動片の温度を正確に検出することができる。
【0019】
[適用例6]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動デバイスを備えたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、本構成の電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動デバイスを備えたことから、上記適用例のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供できる。
【0021】
[適用例7]上記適用例にかかる電子機器において、前記振動片を駆動する発振回路と、前記振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路と、を備えたことが好ましい。
【0022】
これによれば、本構成の電子機器は、振動片を駆動する発振回路と共に、振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えたことから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド(蓋体)側から見た平面図であり、(b)は(a)のA−A線での断面図であり、(c)は、底面側から見た平面図。
【図2】変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図であり、(b)は(a)のA−A線での断面図であり、(c)は底面側から見た平面図。
【図3】変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図であり、(b)は(a)のA−A線での断面図であり、(c)は底面側から見た平面図。
【図4】第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
最初に、振動デバイスの一例としての水晶振動子について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、リッド(蓋体)側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図であり、図1(c)は、底面側から見た平面図である。なお、図1(a)では、リッドを省略してある。また、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0026】
図1に示すように、水晶振動子1は、振動片としての水晶振動片10と、電子素子としての温度センサー(感温素子)として機能するサーミスター20と、水晶振動片10及びサーミスター20が搭載(収納)された容器としてのパッケージ30と、を備えている。
【0027】
水晶振動片10は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型であって、平面形状が略矩形に形成され、厚みすべり振動を励振する振動部11と振動部11に接続された基部12とを一体で有している。
水晶振動片10は、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された略矩形の励振電極15,16から引き出された引き出し電極15a,16aが、基部12に形成されている。
引き出し電極15aは、一方の主面13の励振電極15から、水晶振動片10の長手方向(紙面左右方向)に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って他方の主面14に回り込み、他方の主面14の励振電極16の近傍まで延在している。
引き出し電極16aは、他方の主面14の励振電極16から、水晶振動片10の長手方向に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って一方の主面13に回り込み、一方の主面13の励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及び引き出し電極15a,16aは、例えば、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0028】
サーミスター20は、例えば、チップ型(直方体形状)の感温素子(感温抵抗素子)であって、一対の電極21,22を長手方向の両端に有し、温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体である。
サーミスター20には、例えば、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスターと呼ばれるサーミスターが用いられている。NTCサーミスターは、温度の変化に対する抵抗値の変化が比例的なため、温度センサーとして多用されている。
サーミスター20は、パッケージ30に収納され、水晶振動片10近傍の温度を検出することにより、温度センサーとして水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動の補正に資する機能を果たしている。
【0029】
パッケージ30は、平面形状が略矩形で略平板状の容器体としてのパッケージベース31と、パッケージベース31の一方側を覆う平板状の蓋体としてのリッド32と、を有し、略直方体形状に構成されている。
パッケージベース31には、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコン(高抵抗シリコン)などが用いられている。
リッド32には、パッケージベース31と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0030】
パッケージベース31の一方側の主面である第1主面33には、水晶振動片10が搭載される第1凹部34が設けられ、第1主面33の反対側の他方側の主面である第2主面35には、サーミスター20が収納される凹状の収納部としての第2凹部36が設けられている。
第1凹部34及び第2凹部36は、平面形状が略矩形であって、それぞれ第1主面33及び第2主面35の略中央部に設けられている。なお、水晶振動子1は、パッケージベース31の第1凹部34と第2凹部36とが、平面視で重なるように設けられていることにより、パッケージ30の小型化が図られている。
【0031】
パッケージベース31の第1凹部34の底面34aには、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aに対向する位置に、内部端子34b,34cが設けられている。
水晶振動片10は、引き出し電極15a,16aが、金属フィラーなどの導電性物質が混合された、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系などの導電性接着剤40を介して内部端子34b,34cに接合されている。これにより、水晶振動片10は、第1主面33側の第1凹部34に搭載されたこととなる。
【0032】
水晶振動子1は、水晶振動片10がパッケージベース31の内部端子34b,34cに接合された状態で、パッケージベース31の第1凹部34がリッド32により覆われ、パッケージベース31とリッド32とがシームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材38で接合されることにより、パッケージベース31の第1凹部34が気密に封止されている。
なお、パッケージベース31の気密に封止された第1凹部34内は、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0033】
パッケージベース31の第2凹部36の底面36aには、サーミスター20の電極21,22に対向する位置に電極パッド36b,36cが設けられている。
サーミスター20は、電極21,22がハンダなどの接合部材41を介して電極パッド36b,36cに接合されている。これにより、サーミスター20は、第2凹部36に収納されたこととなる。
ここで、サーミスター20は、長手方向(ここでは、電極21と電極22とを結ぶ方向)がパッケージベース31の長手方向(紙面左右方向)と交差するように(ここでは、直交するように)配置されている。
【0034】
パッケージベース31の外形が矩形の第2主面35の4隅には、それぞれ矩形状の電極端子37a,37b,37c,37dが設けられている。
4つの電極端子37a〜37dのうち、例えば、一方の対角に位置する2つの電極端子37b,37dは、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aに繋がる内部端子34b,34cと接続され、他方の対角に位置する残りの2つの電極端子37a,37cは、サーミスター20の電極21,22に繋がる電極パッド36b,36cと接続されている。
【0035】
ここで、パッケージベース31の短手方向(長手方向に対して直交する方向)に沿って設けられている互いに隣り合う電極端子37aと電極端子37bとの間(電極端子37cと電極端子37dとの間)の距離L1は、サーミスター20の一対の電極21,22同士を結ぶ方向の長さL2よりも長くなるように構成されている。
なお、距離L1は、サーミスター20が接合されている電極パッド36bの外側の端部(電極パッド36cから遠い側の端部)と、電極パッド36cの外側の端部(電極パッド36bから遠い側の端部)とを結ぶ距離L3よりも長くなるように構成されていることがより好ましい。
【0036】
内部端子34b,34c、電極パッド36b,36c、電極端子37a〜37dは、例えば、W、Moなどのメタライズ層にNi、Auなどの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0037】
水晶振動子1は、電極端子37b,37d、内部端子34b,34c、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して外部から印加される駆動信号によって、水晶振動片10が厚みすべり振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)する。
また、水晶振動子1は、サーミスター20が温度センサーとしてパッケージベース31における水晶振動片10近傍の第2凹部36内の温度を検出し、電極端子37a,37cを介して検出信号を出力する。
【0038】
上述したように、本実施形態の水晶振動子1は、パッケージベース31の短手方向に沿って設けられている互いに隣り合う電極端子37aと電極端子37bとの間(電極端子37cと電極端子37dとの間)の距離L1が、サーミスター20の一対の電極21,22同士を結ぶ方向の長さL2よりも長いことから、前述した特許文献3の圧電発振器のような樹脂を充填することなく、実装時における水晶振動子1の位置ずれによるサーミスター20の電極21,22と、外部部材の電極端子接合面(ランド)のハンダなどの接合部材との接触を回避することができる。
この結果、水晶振動子1は、サーミスター20と、電極端子37a〜37dのうち本来このサーミスター20とは非接続である電極端子37b,37dとの、接合部材を介した短絡を回避することができる。
【0039】
加えて、水晶振動子1は、サーミスター20の長手方向がパッケージベース31の長手方向と直交するように配置されていることから、サーミスター20の長手方向がパッケージベース31の長手方向に沿うように配置されている場合よりも、パッケージベース31の反り(傾向的に長手方向の反りが大きい)に対するサーミスター20の固定強度(接合強度)の低下を抑制することができる。
【0040】
また、水晶振動子1は、電子素子がサーミスター20であることから、水晶振動片10が搭載されたパッケージベース31内に収納されたサーミスター20によって、サーミスター20がパッケージベース31外に配置されている場合よりも、水晶振動片10の温度を正確に検出することができる。
【0041】
なお、電極端子37cは、図1(b)または後述する図3(b)に破線で示すように、パッケージベース31を貫通する導通ビア(スルーホールに金属または導電性を有する材料が充填された導通電極)、あるいはパッケージベース31の外側の角部に設けられた図示しないキャスタレーション(凹部)に形成された導電膜のいずれかにより、リッド32と電気的に接続されていることがシールド性を向上させる観点から好ましい。
また、水晶振動子1は、電極端子37cをアース端子(GND端子)として接地することによりシールド性を更に向上させることができる。
【0042】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
(変形例1)
図2は、変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図2(a)は、リッド側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図であり、図2(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
図2に示すように、変形例1の水晶振動子2は、第1実施形態と比較して、電極端子37a〜37dの形状が異なる。
水晶振動子2は、パッケージベース31の第2主面35の4隅に設けられた4つの電極端子37a〜37dのうち、3つの電極端子37a,37b,37dの第2凹部36側の角部が面取り状にカットされている。なお、ここでは、サーミスター20の電極22に接続される電極端子37cについては、第2凹部36側の角部のカットを施していない。
【0044】
これによれば、水晶振動子2は、4つの電極端子37a〜37dのうち、3つの電極端子37a,37b,37dの第2凹部36側の角部が面取り状にカットされていることから、サーミスター20の電極21,22から電極端子37a,37b,37dまでの距離を、第1実施形態よりも更に長くすることができる。
この結果、水晶振動子2は、電極端子37a〜37dにおけるサーミスター20に近い側で距離L1が実質的に第1実施形態よりも長くなることから、実装時における水晶振動子1の位置ずれによるサーミスター20の電極21,22と、外部部材の電極端子(37a〜37d)接合面の接合部材との接触を、確実に回避することができる。
【0045】
加えて、水晶振動子2は、4つの電極端子37a〜37dのうち1つの電極端子37cの第2凹部36側の角部がカットされていないことで、実装時などに基準となる電極端子(ここでは、37c)の識別が可能となる。
なお、電極端子37a,37b,37dの角部のカット量は、水晶振動子2の必要固定強度(接合強度)に応じて適宜設定される。また、この電極端子37a,37b,37dの角部のカットは、後述する変形例2にも適用可能である。
【0046】
(変形例2)
図3は、変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図3(a)は、リッド側から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線での断面図であり、図3(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
図3に示すように、変形例2の水晶振動子3は、第1実施形態と比較して、パッケージ130の第1主面133側の構成が異なる。
水晶振動子3は、パッケージベース131の第1主面133が凹部のない平坦な面で構成され、この第1主面133に水晶振動片10を搭載する内部端子34b,34cが設けられている。
【0048】
水晶振動子3は、パッケージベース131の第1主面133側が水晶振動片10を覆う金属製の蓋体としてのリッド132により気密に封止されている。リッド132は、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属を用いて、全周につば部132aが設けられたキャップ状に形成されている。
水晶振動子3は、リッド132のキャップ部分の膨らみにより、水晶振動片10の振動が可能な内部空間が確保されている。
リッド132は、つば部132aがシームリング、ろう材、導電性接着剤などの導電性接合部材138を介してパッケージベース131の第1主面133に接合されている。
水晶振動子3は、上記内部空間が第1実施形態と同様に、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0049】
水晶振動子3は、4つの電極端子37a〜37dのうち、サーミスター20と接続された2つの電極端子37a,37cの一方の電極端子37cが、パッケージベース131の電極パッド36cから延びている内部配線36e、導通ビア(導通部材が充填されているスルーホール)131a,131b、導電性接合部材138を介してリッド132と電気的に接続されている。
この電極端子37cは、サーミスター20のアース側(GND側)の電極22に接続され、アース端子(GND端子)となっている。
【0050】
上述したように、水晶振動子3は、第1主面133側が水晶振動片10を覆う金属製のリッド132により気密に封止され、サーミスター20と接続された2つの電極端子37a,37cの一方の電極端子37cが、リッド132と電気的に接続されていることから、シールド性を向上させることができる。
また、水晶振動子3は、リッド132と電気的に接続されている電極端子37cが、アース端子(GND端子)であることから、シールド性を更に向上させることができる。
なお、水晶振動子3の第1主面133側の構成は、変形例1にも適用可能である。
【0051】
(第2実施形態)
次に、上述した水晶振動子を備えた電子機器として、携帯電話を一例に挙げて説明する。
図4は、第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
携帯電話700は、第1実施形態及び各変形例の水晶振動子を備えた携帯電話である。
図4に示す携帯電話700は、上述した水晶振動子(1〜3のいずれか)を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。なお、携帯電話の形態は、図示のタイプに限定されるものではなく、いわゆるスマートフォンタイプの形態でもよい。
【0052】
上述した水晶振動子(水晶発振器)などの振動デバイスは、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などのタイミングデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および各変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0053】
なお、携帯電話700に代表される電子機器は、上記水晶振動子(1〜3のいずれか)の水晶振動片10を駆動する発振回路と、水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路と、を備えていることが好ましい。
これによれば、携帯電話700に代表される電子機器は、水晶振動片10を駆動する発振回路と共に、水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた電子機器を提供することができる。
【0054】
なお、振動片の形状は、図示した平板状のタイプに限定されるものではなく、中央部が厚く周辺部が薄いタイプ(コンベックスタイプ、ベベルタイプ、メサタイプ)、逆に中央部が薄く周辺部が厚いタイプ(逆メサタイプ)などでもよい。
なお、振動片の材料としては、水晶に限定されるものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、またはシリコン(Si)などの半導体でもよい。
また、厚みすべり振動の駆動方法は、圧電体の圧電効果によるものの他に、クーロン力による静電駆動であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,2,3…振動デバイスとしての水晶振動子、10…振動片としての水晶振動片、11…振動部、12…基部、13…一方の主面、14…他方の主面、15,16…励振電極、15a,16a…引き出し電極、20…電子素子としてのサーミスター、21,22…電極、30…パッケージ、31…容器体としてのパッケージベース、32…蓋体としてのリッド、33…第1主面、34…第1凹部、34a…底面、34b,34c…内部端子、35…第2主面、36…第2凹部、36a…底面、36b,36c…電極パッド、36e…内部配線、37a,37b,37c,37d…電極端子、38…接合部材、40…導電性接着剤、41…接合部材、130…パッケージ、131…パッケージベース、131a,131b…導通ビア、132…リッド、132a…つば部、133…第1主面、138…導電性接合部材、700…携帯電話、701…液晶表示装置、702…操作ボタン、703…受話口、704…送話口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動片と、
一対の電極を両端に有する電子素子と、
第1主面側に前記振動片が搭載され、前記第1主面の反対側の第2主面に設けられた凹状の収納部に前記電子素子が収納され、前記第2主面の外形が矩形の容器体と、を備え、
前記容器体の前記第2主面側の4隅のそれぞれには、前記振動片または前記電子素子と接続された電極端子が設けられ、
前記電子素子は、長手方向が前記容器体の長手方向と交差するように配置され、
前記容器体の短手方向に沿って設けられている互いに隣り合う前記電極端子の間の距離は、前記電子素子の一対の前記電極同士を結ぶ方向の長さよりも長いことを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、前記4隅に設けられた4つの前記電極端子のうち3つの前記電極端子は、前記収納部側の角部が面取り状にカットされていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の振動デバイスにおいて、前記第1主面側は、前記振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、
前記電子素子と接続された2つの前記電極端子の一方は、前記蓋体と電気的に接続されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の振動デバイスにおいて、前記蓋体と電気的に接続されている前記電極端子は、アース端子であることを特徴とする振動デバイス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、前記電子素子は、サーミスターであることを特徴とする振動デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動デバイスを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、前記振動片を駆動する発振回路と、
前記振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70312(P2013−70312A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208665(P2011−208665)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】