説明

振動式部品供給装置

【課題】整列させた部品を次工程へ圧送する機構を備えた振動式部品供給装置において、圧送に用いられる圧縮エアの漏れの影響を軽減し、安定して部品を供給できるようにする。
【解決手段】部品圧送機構の切出し装置のスライドブロック21に、シュート11の排出端および固定ブロック22との対向面からシュート11側の端面に向かって切れ込む切欠き21bを設けて、スライドブロック21の部品収容部21aが圧送手段の圧送路に連通する位置にあるときに、部品収容部21aに供給された圧縮エアが漏れてシュート11へ向かって流れても、その流れがスライドブロック21の内部に広がるようにすることにより、シュート11排出端近傍で待機する部品Pが圧縮エアによって上流側へ大きく戻されることがなく、安定した部品供給能力が得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送しながら整列させた部品を1個ずつ次工程へ圧送する部品圧送機構を備えた振動式部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の電装ケーブルの端子部には、防水対策として筒状の防水シールが挿入されており、その挿入加工は端子圧着装置で行われる。この防水シールには挿入端側となる一端部が中央部や他端部よりも小径に形成されたものが多く(図10参照)、このような方向性を有する形状の防水シールを所定の姿勢で端子圧着装置に供給するために、振動式の部品供給装置がよく使用される。特に、最近では電装ケーブルの細線化や軽量化に伴う小型化により小型・軽量のシールが多く使用されるようになってきており、このような整列搬送しにくい部品を所定姿勢で効率よく供給するための機構を備えた部品供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−290867号公報
【0003】
ところで、上記のような振動式部品供給装置では、搬送部材で搬送しながら整列させた部品を圧縮エアで1個ずつ次工程へ圧送する部品圧送機構を備えたものが多い。このような部品圧送機構には、例えば本発明の実施形態である図4乃至図6に示すタイプのものがある。このタイプの部品圧送機構5は、シュート(搬送部材)11の搬送路8から排出される部品(防水シール)Pを1個ずつ移送する切出し装置17と、切出し装置17によって移送されてくる部品Pを圧縮エアで次工程へ送る圧送手段18とで構成されている。
【0004】
前記切出し装置17は、ベース20上のシュート11排出端に近接対向する位置に配され、凹状の部品収容部21aを有するスライドブロック21と、シュート11排出端に隣接しスライドブロック21に近接対向する位置でベース20上に固定される固定ブロック22とを備えている。そして、図4および図5に示すように、スライドブロック21をシリンダ23でシュート11の搬送方向と直交する方向にスライドさせることにより、その部品収容部21aをシュート11排出端に対向する位置と固定ブロック22に対向し圧送手段18の圧送路27に連通する位置との間で往復させるようになっている。
【0005】
すなわち、通常運転時には、シュート11の排出端近傍の搬送路8上に部品Pが一列に並んで待機しており、その先頭の部品Pには常時シュート11の振動による送り力および後続部品Pからの押圧力(後続部品Pに作用する送り力)が作用しているので、スライドブロック21の部品収容部21aがシュート11排出端に対向する位置にくると、先頭の部品Pが部品収容部21aに収容され、スライドブロック21のスライドによって圧送手段18の圧送路27入口部分まで移送される。
【0006】
そして、図6に示すように、前記圧送手段18が、その圧送路27に連通した状態の部品収容部21aに、ベース20にあけたエア供給孔20aから圧縮エアを供給することにより、部品収容部21aに収容されて移送されてきた部品Pを圧送路27へ送り込んで次工程へ圧送するようになっている。
【0007】
ところが、上述したタイプの部品圧送機構5では、スライドブロック21の部品収容部21aに供給された圧縮エアがスライドブロック21と固定ブロック22の間の隙間から漏れ、その一部がシュート11排出端に達してシュート11での部品搬送に次のような悪影響を与えていた。
【0008】
すなわち、シュート11の排出端近傍の搬送路8上で待機する部品Pの数が少ないときには、その先頭の部品Pに作用する後続部品Pの押圧力が小さいため、図9に示すように、先頭の部品Pがシュート11の搬送路8内へ流れてくる圧縮エアに押されて後続部品Pとともに搬送路8の上流側へ戻されてしまい、次工程への供給能力が低下することがあった。
【0009】
特に、図10に示したような形状の部品Pの搬送を安定させるために、シュート11の搬送路8の側壁で部品Pの一部を支持する等の手段により、部品Pを吊った状態で搬送している場合は、シュート11の排出端近傍の搬送路8上で待機する部品Pが、圧縮エアで搬送路8上流側へ戻されると同時に、搬送路8の側壁に支持されていた部分が外れて所定の姿勢を維持できなくなり、搬送路8から排除されたり詰まりを生じたりして、供給能力がさらに低下するおそれがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、整列させた部品を次工程へ圧送する機構を備えた振動式部品供給装置において、圧送に用いられる圧縮エアの漏れの影響を軽減し、安定して部品を供給できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、加振機構から伝わる振動により部品を搬送する搬送部材と、前記搬送部材の搬送路から排出される部品を1個ずつ移送する切出し装置と、前記切出し装置によって移送されてくる部品を圧縮エアで次工程へ送る圧送手段とを備えており、前記切出し装置は、前記搬送部材の排出端に近接対向する位置に配され、凹状の部品収容部を有するスライドブロックと、前記搬送部材の排出端に隣接しスライドブロックに近接対向する位置に配される固定ブロックとを備え、前記スライドブロックをスライドさせることにより、その部品収容部を前記搬送部材の排出端に対向する位置と前記固定ブロックに対向し前記圧送手段の圧送路に連通する位置との間で往復させるものであり、前記圧送手段は、その圧送路に連通した状態の前記スライドブロックの部品収容部に圧縮エアを供給することにより、前記部品収容部に収容されて移送されてきた部品を圧送路へ送り込んで次工程へ圧送するものである振動式部品供給装置において、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置にあるときに、前記部品収容部から漏れた圧縮エアがスライドブロックと前記固定ブロックの間を通って前記搬送部材の方へ向かう流れの方向を変える手段を設けたのである。これにより、搬送部材の排出端近傍の搬送路上で待機する部品が部品収容部から漏れた圧縮エアによって上流側へ戻される量を少なくすることができる。
【0012】
前記スライドブロックの部品収容部から漏れた圧縮エアの流れの方向を変える手段としては、前記スライドブロックに、前記搬送部材の排出端および固定ブロックとの対向面から搬送部材側の端面に向かって切れ込む切欠きを設けて、前記部品収容部から漏れた圧縮エアが搬送部材の排出端に達するまでにスライドブロックの内部に広がるようにしたものを採用することができる。ここで、前記スライドブロックの切欠きの位置は、前記切欠きが前記搬送部材の排出端に対向するときに、切欠きの周縁部が搬送部材排出端にある所定姿勢の部品の最前部(最もスライドブロックに近づく部位)の少なくとも一つに対向するように設定することが望ましい。このようにすれば、搬送部材排出端の部品の最前部が切欠きに嵌まり込むことがなく、スライドブロックのスライド抵抗を従来と同程度に抑えることができる。
【0013】
また、前記スライドブロックの部品収容部から漏れた圧縮エアの流れの方向を変える別の手段として、前記部品収容部から搬送部材の排出端までの圧縮エアの経路の途中に、この経路を遮る邪魔板を設けたものを採用することもできる。このとき、前記邪魔板を前記スライドブロック内に出没可能に収納し、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置にあるときに前記出没可能な邪魔板をスライドブロックから突出させる手段を設けるようにすれば、スライドブロックのスライド時に邪魔板が固定ブロックや搬送部材に接触せず、スライド抵抗を従来と同程度に抑えられる。また、前記出没可能な邪魔板をスライドブロックから突出させる手段としては、前記邪魔板に前記搬送部材および固定ブロックと干渉しない位置でスライドブロックから突出する突片を一体に形成するとともに、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置に移動したときに前記突片を邪魔板の突出方向へ案内するガイド部材を設けたものとすることができる。
【0014】
さらに、前記搬送部材の排出端近傍の搬送路の搬送抵抗を搬送路定常部よりも大きくすれば、圧縮エアによる搬送部材排出端近傍の部品の上流側への戻し量を一層少なくすることができる。ここで、前記搬送部材が部品を吊った状態で搬送するものである場合は、前記搬送部材の排出端近傍で吊られた姿勢の部品の下面を搬送路に当接させるようにすればよい。また、前記搬送部材の排出端近傍で、下流側ほど搬送路の部品下面との当接面の位置を高くすれば、搬送路の搬送抵抗が排出端に近づくにつれて徐々に大きくなり、圧縮エアによる部品戻し量の低減と排出端近傍での搬送性の確保が両立しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の振動式部品供給装置は、上述したように、部品圧送機構から漏れた圧縮エアが搬送部材の方へ向かう流れの方向を変える手段を設けたものであるから、搬送部材の排出端近傍の搬送路上で待機する部品の数が少ないときも、搬送路上で待機する部品が圧縮エアによって上流側へ戻される量を少なくすることができ、安定した部品供給能力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図7は第1の実施形態を示す。この振動式部品供給装置は、図1および図2に示すように、2台の振動式直進フィーダ1、2が部品を互いに反対方向に搬送するように並べて配置されており、それぞれ搬送部材として整列供給用トラフ3およびリターン用トラフ4を有している。整列供給用トラフ3の排出端には、部品を圧縮エアで次工程に圧送する部品圧送機構5が接続されている。また、この装置が整列供給の対象とする部品Pは、軟質ゴムで形成された軽量・小型の防水シールで、図10(a)、(b)に示すように、直径に対する長さの比が大きく、一端部が先細りに形成されており、蛇腹状の中央部の外径が最大径となっている。
【0017】
前記一方の直進フィーダ1は、床Fに固定された防振ゴム6に振動体(加振機構)7を取り付け、この振動体7を整列供給用トラフ3に連結して、振動体7から整列供給用トラフ3に伝わる振動により、部品Pを搬送路8に沿って図面左方向へ搬送しながら整列させて整列供給用トラフ3の排出端から部品圧送機構5に供給するものである。整列供給用トラフ3は、上流部分が緩やかな上り勾配の傾斜部9となっており、その下流側に部品Pを整列させる部品整列部10と、部品整列部10で整列させた部品Pを排出端まで搬送するシュート11が設けられている。その部品整列部10は、傾斜部9から搬送されてくる部品Pを一端部が下向きの姿勢で落下させるものであり、シュート11は、部品整列部10から落下した部品Pを後述する方法で一端部が下向きの姿勢のまま下流側へ搬送するものである。なお、シュート11には排出端から繋がって待機する部品Pの量を検出するセンサ12a、12bが取り付けられており、部品P待機量が所定量を超えたときに、部品整列部10の上流側で圧縮エア等により部品Pを搬送路8から排除するようになっている。また、搬送路8の側方には、搬送路8から排除された部品Pを受けてリターン用トラフ4に送る受板13が取り付けられている。
【0018】
また、前記他方の直進フィーダ2は、そのリターン用トラフ4を板ばね14で振動体7の連結部材7aに連結されており、振動体7からリターン用トラフ4に伝わる振動により、整列供給用トラフ3の受板13から受け取った部品Pを戻し搬送路15に沿って図面右方向へ搬送し、再び整列供給用トラフ3の供給端に供給するようになっている。
【0019】
ここで、図3に示すように、前記シュート11は、搬送路8の底側に部品Pの一端部が嵌まり込む狭幅部が形成され、開口側に部品Pの中央部よりも幅寸法の大きい広幅部が形成されている。そして、搬送路8広幅部の側壁には搬送方向に延びる一対の突条16が設けられ、排出端近傍を除く定常部では、図3(a)、(b)に示すように、一端部が下向きの姿勢の部品Pの中央部を広幅部の突条16で支持して、部品Pを吊った状態で搬送するようになっている。一方、排出端近傍では、図3(a)、(c)に示すように、搬送路8の底面が定常部よりも高い位置に形成され、部品Pが一端面(吊られた姿勢での下面)を搬送路8底面に当接させた状態で搬送されるようになっている。
【0020】
また、前記部品圧送機構5は、前述したように、シュート11の搬送路8から排出される部品Pを1個ずつ移送する切出し装置17と、切出し装置17によって移送されてくる部品Pを圧縮エアで次工程へ送る圧送手段18とで構成されている。
【0021】
前記切出し装置17は、図4に示すように、床F上に立設された支柱19に支持されるベース20と、ベース20上でシュート11排出端に近接対向する位置に配されるスライドブロック21と、シュート11排出端に隣接しスライドブロック21に近接対向する位置でベース20上に固定される固定ブロック22と、スライドブロック21をベース20上でシュート11の搬送方向と直交する方向にスライドさせるシリンダ23とを備えている。ベース20には固定ブロック22とともにスライドブロック21を案内するガイドブロック24が固定され、スライドブロック21の上面の一部を覆う上部ブロック25が固定ブロック22およびガイドブロック24に取り付けられている。また、ベース20にはシュート11排出端からスライドブロック21へ部品Pが乗り移ったことを検出するセンサ26a、26bが取り付けられており、このセンサ26a、26bで部品Pの移動が確認されたときにスライドブロック21が圧送手段18の圧送路27の方へスライドするようになっている。
【0022】
前記スライドブロック21は、シュート11排出端および固定ブロック22と対向する面に、部品を1個だけ収容する凹状の部品収容部21aを有しており、図4および図5に示すように、スライドブロック21をシリンダ23でスライドさせることにより、その部品収容部21aがシュート11排出端に対向する位置と固定ブロック22に対向し圧送手段18の圧送路27に連通する位置との間で往復するようになっている。従って、スライドブロック21の部品収容部21aがシュート11排出端に対向する位置にくると、常時シュート11の振動による送り力と後続部品Pからの押圧力を受けている先頭の部品Pが部品収容部21aに収容され、スライドブロック21のスライドによって圧送手段18の圧送路27入口部分まで移送される。
【0023】
前記圧送手段18は、図6に示すように、上部ブロック25にあけた貫通孔25aに圧送ホース28を差し込んで圧送路27を形成し、その圧送路27に連通した状態の部品収容部21aに、ベース20にあけたエア供給孔20aから圧縮エアを供給することにより、部品収容部21aに収容されて移送されてきた部品Pを圧送路27へ送り込んで次工程へ圧送するようになっている。
【0024】
そして、この部品圧送機構5の従来の同タイプのものとの違いは、図7(a)、(b)に示すように、スライドブロック21に、シュート11の排出端および固定ブロック22との対向面からシュート11側の端面に向かって切れ込む切欠き21bが設けられている点にある。これにより、スライドブロック21の部品収容部21aが圧送手段18の圧送路27に連通する位置にあるときに、圧送手段18により部品収容部21aに供給された圧縮エアがスライドブロック21と固定ブロック22の間の隙間から漏れてシュート11の方へ向かって流れても、その流れがシュート11排出端に達するまでに方向を変えてスライドブロック21の内部に広がるようになっている。
【0025】
また、前記切欠き21bの位置は、切欠き21bがシュート11の排出端に対向するときに、切欠き21bの周縁部がシュート11排出端にある部品Pの最大径部(所定姿勢の部品Pの最前部)の一つに対向するように設定され、シュート11排出端の部品Pの最大径部が切欠き21bに嵌まり込まないようになっている。これにより、スライドブロック21のスライド抵抗は従来と同程度に抑えられている。
【0026】
次に、この部品供給装置における部品Pの流れを説明する。整列供給用トラフ3およびリターン用トラフ4に投入された部品Pは、振動体7から各トラフ3、4に伝わる振動により搬送されて、整列供給用トラフ3の傾斜部9を登坂し部品整列部10へと送られる。部品整列部10に送られてきた部品Pは、一端部を下向きにした姿勢で落下してシュート11に受け止められる。シュート11では、部品整列部10から落下してきた部品Pが、そのままの姿勢で排出端すなわち切出し装置17の手前まで搬送される。このとき、次工程への部品供給が求められる能力を上回り、シュート11上での部品Pの待機量が所定量を超えると、部品整列部10の上流側にある部品Pが搬送路8から排除される。搬送路8から排除された部品Pは、受板13からリターン用トラフ4へ送られて戻し搬送路15で搬送され、再び整列供給用トラフ3に戻される。
【0027】
そして、シュート11の排出端まで搬送された部品Pは、常時シュート11の振動による送り力と後続部品Pからの押圧力を受け、スライドブロック21の部品収容部21aがシュート11排出端に対向する位置にないときにはスライドブロック21の側面に当接して待機し、部品収容部21aがシュート11排出端に対向する位置にきたときにスライドブロック21に乗り移って部品収容部21aに収容される。部品収容部21aに収容された部品Pは、スライドブロック21のスライドによって圧送手段18の圧送路27入口部分まで移送され、圧縮エアで圧送路27を介して次工程へ圧送される。
【0028】
この部品供給装置は、上記の構成であり、部品圧送機構5の切出し装置17のスライドブロック21に切欠き21bを設けて、シュート11の方へ漏れ流れる圧縮エアがシュート11排出端に達するまでにスライドブロック21の内部に広がるようにするとともに、シュート11の排出端近傍において部品Pが搬送路8底面に当接する状態で搬送されるようにして、搬送路8の搬送抵抗をシュート11定常部よりも大きくしたので、シュート11排出端近傍の搬送路8上で待機する部品Pの数が少ないときも、その部品Pが圧縮エアによってシュート11上流側へ大きく戻されることがなく、安定した部品供給能力が得られる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、シュート11の排出端近傍において搬送路8の底面を一様に定常部よりも高くしたが、下流側ほど搬送路8底面の位置が高くなるようにしてもよい。このようにすれば、搬送路8の搬送抵抗がシュート11排出端に近づくにつれて徐々に大きくなり、圧縮エアによる部品戻し量の低減と排出端近傍での搬送性の確保が両立しやすくなる。
【0030】
図8(a)〜(c)は、第2の実施形態における部品圧送機構5を示す。この実施形態では、スライドブロック21に第1実施形態のような切欠き21bを設ける代わりに、スライドブロック21の部品収容部21aからシュート11排出端までの圧縮エアの経路の途中に、この経路を遮る邪魔板29を設けている。
【0031】
前記邪魔板29は、その基端側に形成された四角柱状の基部30とともにスライドブロック21内に出没可能に収納され、同じくスライドブロック21内に収納されたばね31により、スライドブロック21から突出する方向に付勢されている。その基部30にはスライドブロック21の下面から突出するピン(突片)32が一体に形成されており、このピン32がガイド部材としてのベース20に設けた案内溝20bに案内されることにより、スライドブロック21の部品収容部21aが圧送路27に連通する位置に移動したときに邪魔板29がスライドブロック21から突出するようになっている。従って、スライドブロック21のスライド時に邪魔板29が固定ブロック22やシュート11に接触せず、スライド抵抗を従来と同程度に抑えられる。その他の部分の構成は、第1実施形態と同じである。
【0032】
この実施形態においても、圧送路27から漏れてシュート11の方に向かう圧縮エアの流れの方向を邪魔板29によって変えることができるので、シュート11排出端近傍で待機する部品Pが圧縮エアによって上流側へ大きく戻されることがなく、安定した部品供給能力が得られる。
【0033】
なお、本発明は、上述した各実施形態のようなリターン式フィーダに限らず、直進フィーダやボウルフィーダの排出端に実施形態と同じタイプの部品圧送機構を備えた振動式部品供給装置に広く適用できる。また、整列供給の対象とする部品も、各実施形態のような防水シールに限らず、一般的なゴム製円筒状部品等で小型・軽量の部品に特に有効に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態の部品供給装置の平面図
【図2】図1の正面図
【図3】aは図1のシュートの排出端近傍の正面断面図、bはaのIIIb−IIIb線に沿った断面図、cはaのIIIc−IIIc線に沿った断面図
【図4】図1の部品圧送機構の拡大平面図
【図5】図4に対応する部品圧送機構の作用の説明図
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図
【図7】aは図4の部品圧送機構の要部拡大平面断面図、bはaのVIIb−VIIb線に沿った断面図
【図8】a、bは、それぞれ第2実施形態における部品供給装置の部品圧送機構の構成と作用を説明する平面断面図、cはbのVIIIc−VIIIc線に沿った断面図
【図9】従来の部品供給装置の部品圧送機構における圧縮エアの作用の説明図
【図10】aは整列供給される部品の正面図、bはaの側面図
【符号の説明】
【0035】
1、2 直進フィーダ
3、4 トラフ
5 部品圧送機構
7 振動体
8 搬送路
10 部品整列部
11 シュート
16 突条
17 切出し装置
18 圧送手段
20 ベース
20a エア供給孔
20b 案内溝
21 スライドブロック
21a 部品収容部
21b 切欠き
22 固定ブロック
23 シリンダ
24 ガイドブロック
25 上部ブロック
27 圧送路
28 圧送ホース
29 邪魔板
30 基部
31 ばね
32 ピン
P 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振機構から伝わる振動により部品を搬送する搬送部材と、前記搬送部材の搬送路から排出される部品を1個ずつ移送する切出し装置と、前記切出し装置によって移送されてくる部品を圧縮エアで次工程へ送る圧送手段とを備えており、前記切出し装置は、前記搬送部材の排出端に近接対向する位置に配され、凹状の部品収容部を有するスライドブロックと、前記搬送部材の排出端に隣接しスライドブロックに近接対向する位置に配される固定ブロックとを備え、前記スライドブロックをスライドさせることにより、その部品収容部を前記搬送部材の排出端に対向する位置と前記固定ブロックに対向し前記圧送手段の圧送路に連通する位置との間で往復させるものであり、前記圧送手段は、その圧送路に連通した状態の前記スライドブロックの部品収容部に圧縮エアを供給することにより、前記部品収容部に収容されて移送されてきた部品を圧送路へ送り込んで次工程へ圧送するものである振動式部品供給装置において、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置にあるときに、前記部品収容部から漏れた圧縮エアがスライドブロックと前記固定ブロックの間を通って前記搬送部材の方へ向かう流れの方向を変える手段を設けたことを特徴とする振動式部品供給装置。
【請求項2】
前記スライドブロックの部品収容部から漏れた圧縮エアの流れの方向を変える手段が、前記スライドブロックに、前記搬送部材の排出端および固定ブロックとの対向面から搬送部材側の端面に向かって切れ込む切欠きを設けて、前記部品収容部から漏れた圧縮エアが搬送部材の排出端に達するまでにスライドブロックの内部に広がるようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。
【請求項3】
前記スライドブロックの切欠きの位置は、前記切欠きが前記搬送部材の排出端に対向するときに、切欠きの周縁部が搬送部材排出端にある所定姿勢の部品の最前部の少なくとも一つに対向するように設定したことを特徴とする請求項2に記載の振動式部品供給装置。
【請求項4】
前記スライドブロックの部品収容部から漏れた圧縮エアの流れの方向を変える手段が、前記部品収容部から搬送部材の排出端までの圧縮エアの経路の途中に、この経路を遮る邪魔板を設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置。
【請求項5】
前記邪魔板を前記スライドブロック内に出没可能に収納し、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置にあるときに前記出没可能な邪魔板をスライドブロックから突出させる手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の振動式部品供給装置。
【請求項6】
前記出没可能な邪魔板をスライドブロックから突出させる手段が、前記邪魔板に前記搬送部材および固定ブロックと干渉しない位置でスライドブロックから突出する突片を一体に形成するとともに、前記スライドブロックの部品収容部が圧送路に連通する位置に移動したときに前記突片を邪魔板の突出方向へ案内するガイド部材を設けたものであることを特徴とする請求項5に記載の振動式部品供給装置。
【請求項7】
前記搬送部材の排出端近傍の搬送路の搬送抵抗を搬送路定常部よりも大きくしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の振動式部品供給装置。
【請求項8】
前記搬送部材が部品を吊った状態で搬送するものであり、前記搬送部材の排出端近傍で吊られた姿勢の部品の下面を搬送路に当接させたことを特徴とする請求項7に記載の振動式部品供給装置。
【請求項9】
前記搬送部材の排出端近傍で、下流側ほど搬送路の部品下面との当接面の位置を高くしたことを特徴とする請求項8に記載の振動式部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−269703(P2009−269703A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121116(P2008−121116)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】