排気ガス浄化装置
【課題】複数のガス浄化フィルタの接合位置に対して、複数の外側ケースの連結部をオフセットさせて配置でき、複数のガス浄化フィルタの取付け間隔を簡単に縮小でき、排気ガス移動方向の外形寸法をコンパクトに形成できるようにした排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタ2,3と、前記各ガス浄化フィルタ2,3を内設させる複数の内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内設させる複数の外側ケース5,21とを備える構造であって、前記内側ケース4,20の排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケース5,21の排気ガスの移動方向の長さを異ならせる。
【解決手段】エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタ2,3と、前記各ガス浄化フィルタ2,3を内設させる複数の内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内設させる複数の外側ケース5,21とを備える構造であって、前記内側ケース4,20の排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケース5,21の排気ガスの移動方向の長さを異ならせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等に搭載する排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)、又はNOx(窒素酸化物)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジン等に適用される排気ガス浄化装置において、走行機体等に搭載されるディーゼルエンジンの排気ガス排出径路中に、ディーゼルパティキュレートフィルタ(又はNOx触媒)等が設けられ、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスが、ディーゼルパティキュレートフィルタ(又はNOx触媒)等によって浄化処理されるようにした技術がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。また、ケーシング(管体)内にフィルタケース(内側ケース)を設け、フィルタケース内にパティキュレートフィルタを配置する技術も公知である(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−145430号公報
【特許文献2】特開2003−27922号公報
【特許文献3】特開2008−82201号公報
【特許文献4】特開2001−173429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パティキュレートフィルタを内設したフィルタケースに、ガス入口管(入口構成部品)及び支持脚体を設ける構造において、ディーゼルエンジンにフィルタケースを直接搭載した場合、ディーゼルエンジンからの振動や応力(変形力)がフィルタケースに付加される。即ち、ディーゼルエンジンからの振動や応力によって、パティキュレートフィルタ(フィルタに被覆した保持マット等)や、支持脚体が変形損傷しやすい等の問題がある。また、支持脚体の溶接によるフィルタケースの歪等によって、パティキュレートフィルタや、支持脚体の接合部が変形損傷しやすい等の問題がある。さらに、ガス浄化フィルタをそれぞれ内設した複数のフィルタケース(内側ケース)と、各フィルタケースをそれぞれ内設した複数の外側ケースを備える構造において、各外側ケースをフランジによって分離可能に連結した場合、各ガス浄化フィルタの合わせ面(接合面)にフランジが配置される。即ち、スートフィルタ等のフィルタケースの端面が外側ケースの端面と面一になり、外側ケースからのフィルタケースの露出範囲が少ないから、スート(すす)除去等の分解掃除を簡単に実行できない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ガス浄化フィルタや支持脚体の変形損傷を簡単に防止できるものでありながら、ガス浄化フィルタの掃除を簡単に実行できるようにした排気ガス浄化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の排気ガス浄化装置は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排気ガス浄化装置において、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のフィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものであるから、複数の前記ガス浄化フィルタの接合位置に対して、前記外側ケースの連結部をオフセットさせて配置できる。複数の前記ガス浄化フィルタの取付け間隔を簡単に縮小でき、排気ガス移動方向の外形寸法をコンパクトに形成できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したものであるから、入口構成部品及び支持体の構成や、前記複数組のガス浄化フィルタ間の排気ガスの移動等に考慮して、前記複数組の内側ケースや前記複数組の外側ケースを機能的に構成できる。前記複数組のガス浄化フィルタの処理能力や再生能力等を簡単に向上できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものであるから、複数組の前記フィルタの接合位置に対して、前記外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせて配置できる。複数組の前記ガス浄化フィルタの取付け間隔を簡単に縮小又は拡大できる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のフィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したものであるから、前記複数組のガス浄化フィルタの接合間隔を縮小できるものでありながら、前記複数組のガス浄化フィルタの接合間にセンサ等を簡単に配置できる。前記複数組の外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮して、前記複数組の外側ケース等の剛性の向上や軽量化を図ることができる。前記複数組のガス浄化フィルタの接合間隔を縮小して、前記複数組の外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の排気ガス浄化装置の正面視断面図である。
【図2】同外観底面図である。
【図3】同排気ガス流入側から見た左側面図である。
【図4】同排気ガス排出側から見た右側断面図である。
【図5】図1の正面視分解断面図である。
【図6】同排気ガス排出側の正面視拡大断面図である。
【図7】同排気ガス排出側の側面視拡大断面図である。
【図8】同排気ガス流入側の拡大底面図である。
【図9】同排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図10】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図11】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図12】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図13】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図14】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図15】ディーゼルエンジンの左側面図である。
【図16】ディーゼルエンジンの平面図である。
【図17】ディーゼルエンジンの正面図である。
【図18】ディーゼルエンジンの背面図である。
【図19】バックホウの側面図である。
【図20】バックホウの平面図である。
【図21】フォークリフトカーの側面図である。
【図22】フォークリフトカーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1は排気ガス浄化装置の正面視断面図、図2は同外観底面図、図3は同排気ガス流入側から見た左側面図、図4は同排気ガス排出側から見た右側断面図、図5は図1の正面視分解断面図、図6は同排気ガス排出側の正面視拡大断面図、図7は同排気ガス排出側の側面視拡大断面図、図8は同排気ガス流入側の拡大底面図、図9は同排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。図1乃至図5を参照しながら、排気ガス浄化装置の全体構造について説明する。なお、以下の説明では、排気ガス流入側を単に左側と称し、同じく排気ガス排出側を単に右側と称する。
【0016】
図1乃至図5に示す如く、本実施形態の排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPFという)を設けている。DPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を物理的に捕集するためのものである。DPF1は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒2と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ3とを、排気ガスの移動方向(図1の左側から右側方向)に直列に並べた構造になっている。DPF1は、スートフィルタ3が連続的に再生されるように構成している。DPF1によって、排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減できる。
【0017】
図1及び図5を参照して、ディーゼル酸化触媒2の取付け構造を説明する。図1及び図5に示す如く、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製の略筒型の触媒内側ケース4に内設させている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製の略筒型の触媒外側ケース5に内設させている。即ち、ディーゼル酸化触媒2の外側にマット状のセラミックファイバー製触媒断熱材6を介して触媒内側ケース4を被嵌させている。また、触媒内側ケース4の外側に端面I字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
【0018】
図1及び図5に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に円板状の左側蓋体8を溶接にて固着している。左側蓋体8に座板体9を介してセンサ接続プラグ10を固着している。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8とをガス流入空間用一定距離L1だけ離間させて対向させる。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成している。なお、センサ接続プラグ10には、図示しない入口側排気ガス圧力センサや入口側排気ガス温度センサ等が接続される。
【0019】
図1、図5、図9に示す如く、排気ガス流入空間11が形成された触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に楕円形状の排気ガス流入口12を開口させている。楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の中心線方向)を短
尺直径とし、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の円周方向)に直交する方向を長尺直径
に形成している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間に閉塞リング体15を挟持状に固着している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間の隙間が閉塞リング体15によって閉鎖される。触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを、閉塞リング体15によって防止している。
【0020】
図1、図3、図5、図8に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16の小径側の真円形の開口端部16aに排気接続フランジ体17を溶接している。排気接続フランジ体17は、ボルト18を介して、後述するディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に締結されている。排気ガス入口管16の大径側の真円形の開口端部16bは、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。排気ガス入口管16は、小径側の真円形の開口端部16aから大径側の真円形の開口端部16bに向けて末広がり形状(ラッパ状)に形成されている。
【0021】
図1、図5、図8に示す如く、触媒外側ケース5の外側面のうち、触媒外側ケース5の開口縁14の左側端部の外側面に、大径側の真円形の開口端部16bの左側端部が溶接されている。即ち、楕円形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16(大径側の真円形の開口端部16b)が、排気ガス移動下流側(触媒外側ケース5の右側)にオフセットされて配置されている。即ち、楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス入口管16(大径側の真円形の開口端部16b)に対して、排気ガス移動上流側(触媒外側ケース5の左側)にオフセットされて、触媒外側ケース5に形成されている。
【0022】
上記の構成により、エンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り込み、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り込み、ディーゼル酸化触媒2にこの左側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。また、図2乃至図4に示す如く、触媒外側ケース5の外周面に支持脚体19を溶接している。エンジン70にDPF1を組付ける場合、後述するエンジン70のシリンダヘッド72等に、支持脚体19を介して、触媒外側ケース5を固着させる。
【0023】
図1及び図5を参照して、スートフィルタ3の取付け構造を説明する。図1及び図5に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのスートフィルタ3は、耐熱金属材料製の略筒型のフィルタ内側ケース20に内設させている。内側ケース4は、耐熱金属材料製の略筒型のフィルタ外側ケース21に内設させている。即ち、スートフィルタ3の外側にマット状のセラミックファイバー製フィルタ断熱材22を介してフィルタ内側ケース20を被嵌させている。なお、フィルタ断熱材22によってスートフィルタ3が保護される。
【0024】
図1及び図5に示す如く、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)の端部に触媒側フランジ25を溶接する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の中間と、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部にフィルタ側フランジ26を溶接する。触媒側フランジ25と、フィルタ側フランジ26とを、ボルト27及びナット28によって着脱可能に締結している。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法とが略同一寸法である。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法とが略同一寸法である。
【0025】
図1に示す如く、触媒側フランジ25とフィルタ側フランジ26を介して、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21が連結された状態では、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部に、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、センサ取付け用一定間隔L2だけ離間して対峙する。即ち、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部と、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部との間に、センサ取付け空間29が形成される。センサ取付け空間29位置の触媒外側ケース5に、センサ接続プラグ50を固着している。センサ接続プラグ50には、図示しないフィルタ入口側排気ガス圧力センサやフィルタ入口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
【0026】
図5に示す如く、触媒内側ケース4の排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成している。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成している。センサ取付け空間29の一定間隔L2と、触媒内側ケース4の円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)に略等しくなるように構成している。フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部から、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、それらの長さの差(L7=L5−L6)だけ突出する。即ち、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した場合、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、オーバーラップ寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)に内挿される。
【0027】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3にこの左側端面3aから供給される。スートフィルタ3に捕集されたディーゼルエンジン70の排気ガス中の捕集粒状物質(PM)が、二酸化窒素(NO2)によって、比較的低温で連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
【0028】
なお、上記のように、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとして、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を設けたが、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3に代えて、尿素(還元剤)の添加にて発生したアンモニア(NH3)によってエンジン70の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)と、NOx選択還元触媒から排出される残留アンモニアを取り除くアンモニア除去触媒とを設けてもよい。
【0029】
上記のように、ガス浄化フィルタとして、触媒内側ケース4にNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)を設け、フィルタ内側ケース20にアンモニア除去触媒を設けた場合、エンジンが排出した排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が還元され、無害な窒素ガス(N2)として排出できる。
【0030】
図1乃至図5に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、ディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3を内設させる触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20を内設させる触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21とを備えてなる排気ガス浄化装置において、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20が触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21に連結され、外的な応力が付加される入口構成部品としての排気ガス入口管16及び支持体としての支持脚体19を触媒外側ケース5に配置している。
【0031】
したがって、触媒外側ケース5によって外的な応力を支持でき、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20に変形力として作用する外的な応力を低減できる。触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の二重構造によってディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の断熱性を向上させて、ディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の処理能力や再生能力を向上できるのに加えて、例えばエンジンからの振動の伝導や溶接加工の歪等によってディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の支持が不適正になるのを簡単に防止できる。
【0032】
図1乃至図5に示す如く、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を備え、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21をフランジ体としての触媒側フランジ25やフィルタ側フランジ26にて連結している。したがって、排気ガス入口管16及び支持脚体19の構成や、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3間の排気ガスの移動等に考慮して、複数組の触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20や複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を機能的に構成できる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の処理能力や再生能力等を簡単に向上できる。
【0033】
図1乃至図5に示す如く、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20の排気ガスの移動方向の長さと、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガスの移動方向の長さを異ならせている。したがって、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合位置に対して、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を連結するフランジ体をオフセットさせて配置できる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の取付け間隔を簡単に縮小又は拡大できる。
【0034】
図1乃至図5に示す如く、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を備え、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合位置に対して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を連結する触媒側フランジ25やフィルタ側フランジ26をオフセットさせるように構成し、一方のスートフィルタ3に対向したフィルタ内側ケース20に、他方のディーゼル酸化触媒2に対向した触媒外側ケース5がオーバーラップするように構成している。
【0035】
したがって、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間隔を縮小できるものでありながら、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間にセンサ等を簡単に配置できる。複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の長さを短縮して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21等の剛性の向上や軽量化を図ることができる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間隔を縮小して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の長さを短縮できる。
【0036】
図1乃至図3、及び図5乃至図7を参照して、消音器30の取付け構造を説明する。図1乃至図3、図5に示す如く、エンジンが排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製の略筒型の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製の略筒型の消音外側ケース32と、消音内側ケース31及び消音外側ケース32の右側端部に溶接にて固着した円板状の右側蓋体33とを有する。消音外側ケース32に消音内側ケース31を内設させている。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法と、円筒形の消音外側ケース32とが略同一寸法である。円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法と、円筒形の消音内側ケース31とが略同一寸法である。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法と、円筒形の消音内側ケース31とが同一寸法でなくてもよい。
【0037】
図4乃至図7に示す如く、消音内側ケース31及び消音外側ケース32に排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔36が開設されている。消音内側ケース31の内部が、多数の排気孔36を介して、排気ガス出口管34に連通されている。図示しない消音器やテールパイプが排気ガス出口管34の他端側に接続される。
【0038】
図6、図7に示す如く、消音内側ケース31には、多数の消音孔37が開設されている。消音内側ケース31の内部が、多数の消音孔37を介して、消音内側ケース31と消音外側ケース32との間に連通されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間の空間は、右側蓋体33と薄板製支持体38によって閉塞されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間にセラミックファイバー製消音材39が充填されている。消音内側ケース31の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、薄板製支持体38を介して、消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に連結されている。
【0039】
上記の構成により、消音内側ケース31内から排気ガス出口管34を介して排気ガスが排出される。また、消音内側ケース31の内部において、多数の消音孔37から消音材39に排気ガス音(主に高周波帯の音)が吸音される。排気ガス出口管34の出口側から排出される排気ガスの騒音が減衰される。
【0040】
図1及び図5に示す如く、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21の排気ガス移動下流側(右側)の端部にフィルタ側出口フランジ40を溶接する。消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に、消音側フランジ41を溶接する。フィルタ側出口フランジ40と、消音側フランジ41とを、ボルト42及びナット43によって着脱可能に締結している。なお、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21にセンサ接続プラグ44を固着している。センサ接続プラグ44には、図示しない出口側排気ガス圧力センサや出口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
【0041】
図10乃至図14を参照して、排気ガス流入口12の変形構造を説明する。上記実施形態において、図9に示す如く、排気ガス流入口12は、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略楕円形の貫通孔を開設することによって形成していた。図10に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略四角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図11に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略長円形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図12に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略多角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図13に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略六角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図14に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に不定形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。
【0042】
図15乃至図18を参照して、ディーゼルエンジン70に前記DPF1を設けた構造を説明する。図15乃至図18に示す如く、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72の左右側面に、排気マニホールド71と、吸気マニホールド73とが配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸)とピストン(図示省略)を有するシリンダブロック75に上載される。シリンダブロック75の前面と後面からエンジン出力軸74の前端と後端を突出させる。シリンダブロック75の前面に冷却ファン76を設ける。エンジン出力軸74の前端側からVベルト77を介して冷却ファン76に回転力を伝達するように構成している。
【0043】
また、図18に示す如く、シリンダブロック75の後面にフライホイールハウジング78を固着している。フライホイールハウジング78にフライホイール79を内設する。エンジン出力軸74の後端側にフライホイール79を軸支させている。後述するバックホウ100やフォークリフト120等の作動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取出すように構成している。また、図15に示す如く、シリンダヘッド72に支持脚体19をボルト80にて着脱可能に締結している。上記したDPF1は、支持脚体19を介して、高剛性のシリンダヘッド72に支持されるように構成している。
【0044】
図19及び図20を参照して、バックホウ100に前記ディーゼルエンジン70を搭載した構造を説明する。図19及び図20に示す如く、バックホウ100は、左右一対の走行クローラ103を有する履帯式の走行装置102と、走行装置102上に設けられた旋回機体104とを備えている。旋回機体104は、図示しない旋回用油圧モータによって、360°の全方位にわたって水平旋回可能に構成されている。走行装置102の後部には、対地作業用の土工板105が昇降動可能に装着されている。旋回機体104の左側部には、操縦部106とディーゼルエンジン70とが搭載されている。旋回機体104の右側部には、掘削作業のためのブーム111及びバケット113を有する作業部110が設けられている。
【0045】
操縦部106には、オペレータが着座する操縦座席108と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部110用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。作業部110の構成要素であるブーム111には、ブームシリンダ112とバケットシリンダ114とが配置されている。ブーム111の先端部には、掘削用アタッチメントとしてのバケット113が、掬い込み回動可能に枢着されている。ブームシリンダ112又はバケットシリンダ114を作動させて、バケット113によって土工作業(作溝等の対地作業)を実行するように構成している。
【0046】
図21及び図22を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン70を搭載した構造を説明する。図21及び図22に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とディーゼルエンジン70とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
【0047】
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
【符号の説明】
【0048】
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化フィルタ)
3 スートフィルタ(ガス浄化フィルタ)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
16 排気ガス入口管(入口構成部品)
19 支持脚体(支持体)
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25 触媒側フランジ(フランジ体)
26 フィルタ側フランジ(フランジ体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等に搭載する排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)、又はNOx(窒素酸化物)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジン等に適用される排気ガス浄化装置において、走行機体等に搭載されるディーゼルエンジンの排気ガス排出径路中に、ディーゼルパティキュレートフィルタ(又はNOx触媒)等が設けられ、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスが、ディーゼルパティキュレートフィルタ(又はNOx触媒)等によって浄化処理されるようにした技術がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。また、ケーシング(管体)内にフィルタケース(内側ケース)を設け、フィルタケース内にパティキュレートフィルタを配置する技術も公知である(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−145430号公報
【特許文献2】特開2003−27922号公報
【特許文献3】特開2008−82201号公報
【特許文献4】特開2001−173429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パティキュレートフィルタを内設したフィルタケースに、ガス入口管(入口構成部品)及び支持脚体を設ける構造において、ディーゼルエンジンにフィルタケースを直接搭載した場合、ディーゼルエンジンからの振動や応力(変形力)がフィルタケースに付加される。即ち、ディーゼルエンジンからの振動や応力によって、パティキュレートフィルタ(フィルタに被覆した保持マット等)や、支持脚体が変形損傷しやすい等の問題がある。また、支持脚体の溶接によるフィルタケースの歪等によって、パティキュレートフィルタや、支持脚体の接合部が変形損傷しやすい等の問題がある。さらに、ガス浄化フィルタをそれぞれ内設した複数のフィルタケース(内側ケース)と、各フィルタケースをそれぞれ内設した複数の外側ケースを備える構造において、各外側ケースをフランジによって分離可能に連結した場合、各ガス浄化フィルタの合わせ面(接合面)にフランジが配置される。即ち、スートフィルタ等のフィルタケースの端面が外側ケースの端面と面一になり、外側ケースからのフィルタケースの露出範囲が少ないから、スート(すす)除去等の分解掃除を簡単に実行できない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ガス浄化フィルタや支持脚体の変形損傷を簡単に防止できるものでありながら、ガス浄化フィルタの掃除を簡単に実行できるようにした排気ガス浄化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の排気ガス浄化装置は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排気ガス浄化装置において、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のフィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものであるから、複数の前記ガス浄化フィルタの接合位置に対して、前記外側ケースの連結部をオフセットさせて配置できる。複数の前記ガス浄化フィルタの取付け間隔を簡単に縮小でき、排気ガス移動方向の外形寸法をコンパクトに形成できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したものであるから、入口構成部品及び支持体の構成や、前記複数組のガス浄化フィルタ間の排気ガスの移動等に考慮して、前記複数組の内側ケースや前記複数組の外側ケースを機能的に構成できる。前記複数組のガス浄化フィルタの処理能力や再生能力等を簡単に向上できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたものであるから、複数組の前記フィルタの接合位置に対して、前記外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせて配置できる。複数組の前記ガス浄化フィルタの取付け間隔を簡単に縮小又は拡大できる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のフィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したものであるから、前記複数組のガス浄化フィルタの接合間隔を縮小できるものでありながら、前記複数組のガス浄化フィルタの接合間にセンサ等を簡単に配置できる。前記複数組の外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮して、前記複数組の外側ケース等の剛性の向上や軽量化を図ることができる。前記複数組のガス浄化フィルタの接合間隔を縮小して、前記複数組の外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の排気ガス浄化装置の正面視断面図である。
【図2】同外観底面図である。
【図3】同排気ガス流入側から見た左側面図である。
【図4】同排気ガス排出側から見た右側断面図である。
【図5】図1の正面視分解断面図である。
【図6】同排気ガス排出側の正面視拡大断面図である。
【図7】同排気ガス排出側の側面視拡大断面図である。
【図8】同排気ガス流入側の拡大底面図である。
【図9】同排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図10】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図11】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図12】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図13】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図14】図9の変形例を示す排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。
【図15】ディーゼルエンジンの左側面図である。
【図16】ディーゼルエンジンの平面図である。
【図17】ディーゼルエンジンの正面図である。
【図18】ディーゼルエンジンの背面図である。
【図19】バックホウの側面図である。
【図20】バックホウの平面図である。
【図21】フォークリフトカーの側面図である。
【図22】フォークリフトカーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1は排気ガス浄化装置の正面視断面図、図2は同外観底面図、図3は同排気ガス流入側から見た左側面図、図4は同排気ガス排出側から見た右側断面図、図5は図1の正面視分解断面図、図6は同排気ガス排出側の正面視拡大断面図、図7は同排気ガス排出側の側面視拡大断面図、図8は同排気ガス流入側の拡大底面図、図9は同排気ガス流入側の平面視拡大断面図である。図1乃至図5を参照しながら、排気ガス浄化装置の全体構造について説明する。なお、以下の説明では、排気ガス流入側を単に左側と称し、同じく排気ガス排出側を単に右側と称する。
【0016】
図1乃至図5に示す如く、本実施形態の排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPFという)を設けている。DPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を物理的に捕集するためのものである。DPF1は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒2と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ3とを、排気ガスの移動方向(図1の左側から右側方向)に直列に並べた構造になっている。DPF1は、スートフィルタ3が連続的に再生されるように構成している。DPF1によって、排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減できる。
【0017】
図1及び図5を参照して、ディーゼル酸化触媒2の取付け構造を説明する。図1及び図5に示す如く、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製の略筒型の触媒内側ケース4に内設させている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製の略筒型の触媒外側ケース5に内設させている。即ち、ディーゼル酸化触媒2の外側にマット状のセラミックファイバー製触媒断熱材6を介して触媒内側ケース4を被嵌させている。また、触媒内側ケース4の外側に端面I字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
【0018】
図1及び図5に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に円板状の左側蓋体8を溶接にて固着している。左側蓋体8に座板体9を介してセンサ接続プラグ10を固着している。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8とをガス流入空間用一定距離L1だけ離間させて対向させる。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成している。なお、センサ接続プラグ10には、図示しない入口側排気ガス圧力センサや入口側排気ガス温度センサ等が接続される。
【0019】
図1、図5、図9に示す如く、排気ガス流入空間11が形成された触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に楕円形状の排気ガス流入口12を開口させている。楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の中心線方向)を短
尺直径とし、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の円周方向)に直交する方向を長尺直径
に形成している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間に閉塞リング体15を挟持状に固着している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間の隙間が閉塞リング体15によって閉鎖される。触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを、閉塞リング体15によって防止している。
【0020】
図1、図3、図5、図8に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16の小径側の真円形の開口端部16aに排気接続フランジ体17を溶接している。排気接続フランジ体17は、ボルト18を介して、後述するディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に締結されている。排気ガス入口管16の大径側の真円形の開口端部16bは、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。排気ガス入口管16は、小径側の真円形の開口端部16aから大径側の真円形の開口端部16bに向けて末広がり形状(ラッパ状)に形成されている。
【0021】
図1、図5、図8に示す如く、触媒外側ケース5の外側面のうち、触媒外側ケース5の開口縁14の左側端部の外側面に、大径側の真円形の開口端部16bの左側端部が溶接されている。即ち、楕円形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16(大径側の真円形の開口端部16b)が、排気ガス移動下流側(触媒外側ケース5の右側)にオフセットされて配置されている。即ち、楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス入口管16(大径側の真円形の開口端部16b)に対して、排気ガス移動上流側(触媒外側ケース5の左側)にオフセットされて、触媒外側ケース5に形成されている。
【0022】
上記の構成により、エンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り込み、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り込み、ディーゼル酸化触媒2にこの左側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。また、図2乃至図4に示す如く、触媒外側ケース5の外周面に支持脚体19を溶接している。エンジン70にDPF1を組付ける場合、後述するエンジン70のシリンダヘッド72等に、支持脚体19を介して、触媒外側ケース5を固着させる。
【0023】
図1及び図5を参照して、スートフィルタ3の取付け構造を説明する。図1及び図5に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのスートフィルタ3は、耐熱金属材料製の略筒型のフィルタ内側ケース20に内設させている。内側ケース4は、耐熱金属材料製の略筒型のフィルタ外側ケース21に内設させている。即ち、スートフィルタ3の外側にマット状のセラミックファイバー製フィルタ断熱材22を介してフィルタ内側ケース20を被嵌させている。なお、フィルタ断熱材22によってスートフィルタ3が保護される。
【0024】
図1及び図5に示す如く、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)の端部に触媒側フランジ25を溶接する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の中間と、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部にフィルタ側フランジ26を溶接する。触媒側フランジ25と、フィルタ側フランジ26とを、ボルト27及びナット28によって着脱可能に締結している。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法とが略同一寸法である。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法とが略同一寸法である。
【0025】
図1に示す如く、触媒側フランジ25とフィルタ側フランジ26を介して、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21が連結された状態では、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部に、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、センサ取付け用一定間隔L2だけ離間して対峙する。即ち、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部と、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部との間に、センサ取付け空間29が形成される。センサ取付け空間29位置の触媒外側ケース5に、センサ接続プラグ50を固着している。センサ接続プラグ50には、図示しないフィルタ入口側排気ガス圧力センサやフィルタ入口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
【0026】
図5に示す如く、触媒内側ケース4の排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成している。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成している。センサ取付け空間29の一定間隔L2と、触媒内側ケース4の円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)に略等しくなるように構成している。フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部から、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、それらの長さの差(L7=L5−L6)だけ突出する。即ち、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した場合、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、オーバーラップ寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)に内挿される。
【0027】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3にこの左側端面3aから供給される。スートフィルタ3に捕集されたディーゼルエンジン70の排気ガス中の捕集粒状物質(PM)が、二酸化窒素(NO2)によって、比較的低温で連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
【0028】
なお、上記のように、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとして、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を設けたが、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3に代えて、尿素(還元剤)の添加にて発生したアンモニア(NH3)によってエンジン70の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)と、NOx選択還元触媒から排出される残留アンモニアを取り除くアンモニア除去触媒とを設けてもよい。
【0029】
上記のように、ガス浄化フィルタとして、触媒内側ケース4にNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)を設け、フィルタ内側ケース20にアンモニア除去触媒を設けた場合、エンジンが排出した排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が還元され、無害な窒素ガス(N2)として排出できる。
【0030】
図1乃至図5に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、ディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3を内設させる触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20を内設させる触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21とを備えてなる排気ガス浄化装置において、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20が触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21に連結され、外的な応力が付加される入口構成部品としての排気ガス入口管16及び支持体としての支持脚体19を触媒外側ケース5に配置している。
【0031】
したがって、触媒外側ケース5によって外的な応力を支持でき、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20に変形力として作用する外的な応力を低減できる。触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の二重構造によってディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の断熱性を向上させて、ディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の処理能力や再生能力を向上できるのに加えて、例えばエンジンからの振動の伝導や溶接加工の歪等によってディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の支持が不適正になるのを簡単に防止できる。
【0032】
図1乃至図5に示す如く、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を備え、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21をフランジ体としての触媒側フランジ25やフィルタ側フランジ26にて連結している。したがって、排気ガス入口管16及び支持脚体19の構成や、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3間の排気ガスの移動等に考慮して、複数組の触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20や複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を機能的に構成できる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の処理能力や再生能力等を簡単に向上できる。
【0033】
図1乃至図5に示す如く、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20の排気ガスの移動方向の長さと、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガスの移動方向の長さを異ならせている。したがって、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合位置に対して、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を連結するフランジ体をオフセットさせて配置できる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の取付け間隔を簡単に縮小又は拡大できる。
【0034】
図1乃至図5に示す如く、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3と、触媒内側ケース4やフィルタ内側ケース20と、触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を備え、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合位置に対して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21を連結する触媒側フランジ25やフィルタ側フランジ26をオフセットさせるように構成し、一方のスートフィルタ3に対向したフィルタ内側ケース20に、他方のディーゼル酸化触媒2に対向した触媒外側ケース5がオーバーラップするように構成している。
【0035】
したがって、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間隔を縮小できるものでありながら、複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間にセンサ等を簡単に配置できる。複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の長さを短縮して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21等の剛性の向上や軽量化を図ることができる。複数組のディーゼル酸化触媒2やスートフィルタ3の接合間隔を縮小して、複数組の触媒外側ケース5やフィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の長さを短縮できる。
【0036】
図1乃至図3、及び図5乃至図7を参照して、消音器30の取付け構造を説明する。図1乃至図3、図5に示す如く、エンジンが排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製の略筒型の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製の略筒型の消音外側ケース32と、消音内側ケース31及び消音外側ケース32の右側端部に溶接にて固着した円板状の右側蓋体33とを有する。消音外側ケース32に消音内側ケース31を内設させている。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法と、円筒形の消音外側ケース32とが略同一寸法である。円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法と、円筒形の消音内側ケース31とが略同一寸法である。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法と、円筒形の消音内側ケース31とが同一寸法でなくてもよい。
【0037】
図4乃至図7に示す如く、消音内側ケース31及び消音外側ケース32に排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔36が開設されている。消音内側ケース31の内部が、多数の排気孔36を介して、排気ガス出口管34に連通されている。図示しない消音器やテールパイプが排気ガス出口管34の他端側に接続される。
【0038】
図6、図7に示す如く、消音内側ケース31には、多数の消音孔37が開設されている。消音内側ケース31の内部が、多数の消音孔37を介して、消音内側ケース31と消音外側ケース32との間に連通されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間の空間は、右側蓋体33と薄板製支持体38によって閉塞されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間にセラミックファイバー製消音材39が充填されている。消音内側ケース31の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、薄板製支持体38を介して、消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に連結されている。
【0039】
上記の構成により、消音内側ケース31内から排気ガス出口管34を介して排気ガスが排出される。また、消音内側ケース31の内部において、多数の消音孔37から消音材39に排気ガス音(主に高周波帯の音)が吸音される。排気ガス出口管34の出口側から排出される排気ガスの騒音が減衰される。
【0040】
図1及び図5に示す如く、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21の排気ガス移動下流側(右側)の端部にフィルタ側出口フランジ40を溶接する。消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に、消音側フランジ41を溶接する。フィルタ側出口フランジ40と、消音側フランジ41とを、ボルト42及びナット43によって着脱可能に締結している。なお、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21にセンサ接続プラグ44を固着している。センサ接続プラグ44には、図示しない出口側排気ガス圧力センサや出口側排気ガス温度センサ(サーミスタ)等が接続される。
【0041】
図10乃至図14を参照して、排気ガス流入口12の変形構造を説明する。上記実施形態において、図9に示す如く、排気ガス流入口12は、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略楕円形の貫通孔を開設することによって形成していた。図10に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略四角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図11に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略長円形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図12に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略多角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図13に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に略六角形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。また、図14に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に不定形の貫通孔を開設することによって排気ガス流入口12を形成できる。
【0042】
図15乃至図18を参照して、ディーゼルエンジン70に前記DPF1を設けた構造を説明する。図15乃至図18に示す如く、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72の左右側面に、排気マニホールド71と、吸気マニホールド73とが配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸)とピストン(図示省略)を有するシリンダブロック75に上載される。シリンダブロック75の前面と後面からエンジン出力軸74の前端と後端を突出させる。シリンダブロック75の前面に冷却ファン76を設ける。エンジン出力軸74の前端側からVベルト77を介して冷却ファン76に回転力を伝達するように構成している。
【0043】
また、図18に示す如く、シリンダブロック75の後面にフライホイールハウジング78を固着している。フライホイールハウジング78にフライホイール79を内設する。エンジン出力軸74の後端側にフライホイール79を軸支させている。後述するバックホウ100やフォークリフト120等の作動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取出すように構成している。また、図15に示す如く、シリンダヘッド72に支持脚体19をボルト80にて着脱可能に締結している。上記したDPF1は、支持脚体19を介して、高剛性のシリンダヘッド72に支持されるように構成している。
【0044】
図19及び図20を参照して、バックホウ100に前記ディーゼルエンジン70を搭載した構造を説明する。図19及び図20に示す如く、バックホウ100は、左右一対の走行クローラ103を有する履帯式の走行装置102と、走行装置102上に設けられた旋回機体104とを備えている。旋回機体104は、図示しない旋回用油圧モータによって、360°の全方位にわたって水平旋回可能に構成されている。走行装置102の後部には、対地作業用の土工板105が昇降動可能に装着されている。旋回機体104の左側部には、操縦部106とディーゼルエンジン70とが搭載されている。旋回機体104の右側部には、掘削作業のためのブーム111及びバケット113を有する作業部110が設けられている。
【0045】
操縦部106には、オペレータが着座する操縦座席108と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部110用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。作業部110の構成要素であるブーム111には、ブームシリンダ112とバケットシリンダ114とが配置されている。ブーム111の先端部には、掘削用アタッチメントとしてのバケット113が、掬い込み回動可能に枢着されている。ブームシリンダ112又はバケットシリンダ114を作動させて、バケット113によって土工作業(作溝等の対地作業)を実行するように構成している。
【0046】
図21及び図22を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン70を搭載した構造を説明する。図21及び図22に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とディーゼルエンジン70とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
【0047】
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
【符号の説明】
【0048】
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化フィルタ)
3 スートフィルタ(ガス浄化フィルタ)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
16 排気ガス入口管(入口構成部品)
19 支持脚体(支持体)
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25 触媒側フランジ(フランジ体)
26 フィルタ側フランジ(フランジ体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、
前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のガス浄化フィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記ガス浄化フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記ガス浄化フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化フィルタと、前記各ガス浄化フィルタを内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる複数の外側ケースとを備える構造であって、
前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、複数組の前記外側ケースをフランジ体にて連結したことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記内側ケースの排気ガスの移動方向の長さと、前記外側ケースの排気ガスの移動方向の長さを異ならせたことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
複数組の前記ガス浄化フィルタと、前記内側ケースと、前記外側ケースを備え、前記複数組のガス浄化フィルタの接合位置に対して、前記複数組の外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせるように構成し、一方の前記ガス浄化フィルタに対向した前記内側ケースに、他方の前記ガス浄化フィルタに対向した前記外側ケースがオーバーラップするように構成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−285994(P2010−285994A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163174(P2010−163174)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2008−240369(P2008−240369)の分割
【原出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2008−240369(P2008−240369)の分割
【原出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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