排気ガス浄化装置
【課題】酸化触媒、フィルターに略均一に排気ガスを導入して、排気ガスの浄化性能を十分に発揮させることができる排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒4とフィルター5を収納して浄化室30を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室2を形成し、該導入室に排気導入管6を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔6b・6b・・・を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくし、前記ケースに浄化室30と導入室2を仕切る整流板60を設け、該整流板に複数の通路孔65・65・・・を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くした。
【解決手段】ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒4とフィルター5を収納して浄化室30を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室2を形成し、該導入室に排気導入管6を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔6b・6b・・・を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくし、前記ケースに浄化室30と導入室2を仕切る整流板60を設け、該整流板に複数の通路孔65・65・・・を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置に排気ガスを均一に導入する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の高まりや健康に対する影響が懸念されていることから、建設機械、農業機械、自動車、船舶、発電機等のディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質(以下、PMという。)や窒素酸化物(NOX)等を除去する装置の開発が進められている。例えば、特許文献1に記載のように、排気ガス浄化装置に排気ガスを導入する際に、テーパ形状の配管及び排気絞り弁を用いる等により排気ガスの熱を昇温させて、酸化触媒、フィルター(DPF)に排気ガスを導入し、排気ガス中のPM等を除去する技術は公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−40220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、酸化触媒、フィルターに略均一に排気ガスを導入して、排気ガスの浄化性能を十分に発揮させることができる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒とフィルターを収納して浄化室を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室を形成し、該導入室に排気導入管を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくしたものである。
【0007】
請求項2においては、前記ケースに浄化室と導入室を仕切る整流板を設け、該整流板に複数の通路孔を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くしたものである。
【0008】
請求項3においては、前記排気導入管の排出孔の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたものである。
【0009】
請求項4においては、前記浄化室と導入室を仕切る整流板の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
本発明によれば、排気ガスを排気導入管から導入室に略均一に排出して、酸化触媒、フィルターに略均一に排気ガスを導入することができるので、酸化触媒、フィルターによる排気ガスの浄化性能を十分発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図2】実施例1に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面図。
【図3】実施例2に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図4】実施例2に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面図。
【図5】(a)実施例3に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図、(b)実施例4に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図6】実施例3及び実施例4に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面概略斜視図。
【図7】実施例5及び実施例6に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図8】(a)実施例5及び実施例7に係る仕切板及び整流板を示す概略図、(b)実施例6及び実施例8に係る仕切板及び整流板を示す概略図。
【図9】実施例7及び実施例8に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図10】実施例9及び実施例10に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図11】(a)実施例9に係る排気導入管を示す概略斜視図、(b)実施例10に係る排気導入管を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。まず、排気ガス浄化装置の全体構成について図2を用いて説明する。
【0014】
ディーゼルエンジン用排気ガス浄化装置1(以下、単に排気ガス浄化装置1という。)は、排気導入管6、導入室2、酸化触媒4、フィルター5(DPF)及び、出口部3から構成されている。また、各図における太矢印は排気ガスの流れを表している。前記酸化触媒4は、筐体としての円筒状ケース10の中に形成されており、同様に、前記フィルター5は、筐体としての円筒状ケース20の中に形成されている。そして、排気ガスの上流側を前記導入室2として、前記導入室2、円筒状ケース10、円筒状ケース20、出口部3の順に直列に配列されている。また、図2に示すように、浄化室30に配設された酸化触媒4の上流側、下流側、及びフィルター5下流側に、所定間隔の空間部30a・30b・30cが設けられている。
【0015】
前記導入室2の下流端と円筒状ケース10の上流端には、鍔状のフランジ部15が両者に形成され、同様に円筒状ケース10の下流端と円筒状ケース20の上流端は、鍔状のフランジ部15が両者に形成され、円環状のガスケット(図示省略)を両者のフランジ部15で挟みこむことで気密を保ち、かつ、ボルト(図示省略)等で両者が一体に固着されている。また、円筒状ケース20の下流端にも、鍔状のフランジ部15が形成され、円環状のガスケット(図示省略)を前記フランジ部15と略中央に開口部を設けた円板状の出口部3で挟みこむことで気密を保ち、かつ、ボルト(図示省略)等で両者が一体に固着されている。ここで、円板状の出口部3が円筒状ケースの下流端に固着されている。但し、出口部3は円筒状ケース20に一体的に形成され、下流部に空間部30cが形成されてもよく。限定するものではない。前記酸化触媒4及びフィルター5は、円筒状ケース10・20に対し着脱可能となっている。
【0016】
導入室2には、エンジンからの排気ガスを排気マニホールド(図示省略)を介して導く排気導入管6が配置されている。また、排気導入管6の導入室2に対する挿通方向の詳細は各実施例において記載する。導入室2内の排気導入管6の先端または円周には開口部が設けられている。つまり、排気導入管6の前記各開口部より排気ガスは、導入室2内へと導入される。
【0017】
導入室2後段の酸化触媒4全体は、略円筒形であり、排気ガスの流れる方向に格子状(ハニカム状)の通路が形成されるモノリス担体(図示省略)を有している。モノリス担体上には、白金やロジウムやパラジウム等の触媒金属を担持している。該触媒金属の担持により、酸化触媒4によって一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)などに酸化力が付与される。なお、モノリス担体の材質は、本実施例ではコージェライトとしているが、特に限定するものではなく、炭化ケイ素又はステンレス等を用いることもできる。
【0018】
更に後段のフィルター5は、略円筒形のハニカムフィルタであって、コージェライトのようなセラミックスからなる多孔質の隔壁で仕切られた多角形断面を有するものである。また、フィルター5は、これらの隔壁により互いに平行に形成された多数の貫通孔の排気ガス入口と出口を交互に封止することにより構成される。そして該隔壁には、白金等の触媒金属が担持されている。前述した酸化触媒4同様、触媒機能が備わっている。なお、触媒金属としては、本実施例では白金を用いているが、特に限定するものではなくパラジウム、ロジウム、イリジウム等を用いることもできる。後述する各実施例では酸化触媒4とフィルター5を排気ガス浄化装置1の内部に配置する構成としているが、触媒機能が備わっているフィルター5のみを排気ガス浄化装置1の浄化室30に配置する構成としてもよい。
【0019】
次に、排気ガス浄化装置1内における排気ガスの流れ及び浄化方法について説明する。前記構成において、排気ガスは導入室2内の排気導入管6に設けられた開口部(詳細は各実施例において後述する。)を介して導入室2へと導入される。続いて前段の導入室2において排気ガスが略均一化された状態で空間部30aを通過し、酸化触媒4へと導入される。導入された排気ガスは、酸化触媒4によって酸化力が付与されNOよりNO2が生成される(COやHC等にも酸化力が付与される)。酸化触媒4を通過した排気ガスはDFP5にてPMが捕集される。前段の酸化触媒4およびDFP5により生成されたNO2等の酸化力とエンジン近傍による排気ガスの高温を利用して、前記捕集されたPMは連続的に酸化され燃焼除去される。つまり、フィルター5内に蓄積されたPMは燃焼除去されフィルター5の除去力を再生させる。フィルター5によりPMが除去された排気ガスは出口部3の略中央に設けられた開口部より配管(図示省略)を介して排気ガス浄化装置1外へと排出される。つまり、酸化触媒4においてPMのフィルター5での蓄積を防止するとともに、PMの除去に加え一酸化炭素や炭化水素等の低減効果がある。また、後述する各実施例において、略均一に排気ガスを導入したことにより、従来DFP5の中央付近での集中した堆積を回避できる。
【0020】
以上が、排気ガス浄化装置1の基本構成、及び排気ガスの浄化方法であり、後述する各実施例において共通である。以下、各実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1、図2において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、排出方向が前記導入室2の中心軸に対して垂直方向、かつ、偏心した位置となるように導入室2内に挿入され、導入室2の略軸付近まで延出されている。また、該排気導入管6の他端(先端)は開口部6aとされており、排気ガスは該開口部6aより導入室2内の壁面に沿うように旋回流となって導入室2内へと導入される。更に詳述すると、排気導入管6の他端は円筒状の導入室2の接線方向と平行であって、排気導入管6の中心軸は導入室2の中心を通らないように導入室2内に挿入される。ただし、旋回流が生じるように、排気導入管6の中心軸は浄化室30側に傾斜した構成とすることもできる。また、開口部6aは図1における導入室2の上下中央に位置するように配設される。但し、開口部6aは排気導入管6の中心軸に対して直角方向の面としている。
【0022】
前記構成により、排気ガスが開口部6aより導入室2内に入ると、導入室2の内壁に案内されて旋回流となり、排気ガスは酸化触媒4に導入される前に導入室2内及び空間部30aにおいて略均一化され、酸化触媒4、フィルター5両者に略均一に排気ガスを導入することが可能となる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、今まで、スペースを必要としていたテーパ管や旋回流発生装置等が不要となり、省スペースで旋回流を得ることができる。また、排気導入管6の導入室2への挿入位置を変更するだけで旋回流が得られ、排気導入管6を導入室2に挿入するだけの構成なので、容易に取り付けることができる。
【実施例2】
【0023】
図3、図4において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。該排気導入管6の反酸化触媒4側、つまり、出口と反対側の面には複数の開口部である排出孔6bが形成されている。
【0024】
前記構成によって、図3、図4に示すように、排出孔6bより排出された排気ガスは導入室2の出口側と反対側の内壁に当り、排気導入管6を迂回させられることによって、導入室2下流側及び空間部30aで排気ガスは略均一となり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入されることになる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、PMの偏った堆積による暴走燃焼等を回避できる。また、弁等の附属品を伴わない為、排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。
【実施例3】
【0025】
図5(a)及び図6において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。そして、該導入室2内の排気導入管6の周囲には複数の排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの大きさは同じとして、その数は導入室2の中心側10aほど多く、外周側10bほど少なくなるように設けられている。つまり、空間部30aの開口面積に比例した数の排出孔6bが導入室2内の排気導入管6の外周に開口されている。
【0026】
前記構成により、図6に示すように、排気導入管6より排出される排気ガスは、導入室2の中心側から多く排出され、周囲に向かって徐々に少なくなり、排気導入管6の中心軸から直角方向の導入室2の壁面までの長さに比例して、つまり、図5(a)において空間部30aの開口面積に比例した量の排気ガスが排出孔6bより吐出されるようになる。よって、排気ガスは空間部30a付近で略均一となり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。また、排気導入管6の排出孔6bはドリル等で容易に開口できる。
【実施例4】
【0027】
図5(b)及び図6において、排気導入管6は実施例3と同様に導入室2に挿入して固定されている。本実施例では、該導入室2内の排気導入管6の全周壁に設けられる複数の排出孔6bは、略均一に配置され、その開口面積が中心側10aほど大きく周囲側に向かって徐々に小さく構成している。言い換えれば、該排出孔6bの開口面積は導入室2の中心側10aほど大きく、外周側10bほど小さく設けられている。つまり、排出孔6bは一定間隔をあけて導入室2内の排気導入管6の外周に開口され、該排出孔6bの開口面積はその孔が位置する空間部30aの開口面積に比例して開口されている。
【0028】
前記構成により、図6に示すように、排気導入管6より排出される排気ガスは、導入室2の中心側から多く排出され、周囲に向かって徐々に少なくなり、排気導入管6の中心軸から直角方向の導入室2の壁面までの長さに比例して、つまり、図5(a)において空間部30aの開口面積に比例した量の排気ガスが排出孔6bより吐出されるようになる。よって、排気ガスは空間部30aにおいて略均一になり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。よって、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。排出孔6bの大きさはドリルの径を変更するだけでよい。
【実施例5】
【0029】
図7及び図8(a)において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。そして、該導入室2内の排気導入管6の周囲には複数の同一面積の排出孔6bが等間隔で開口されている。ここでは、前記基本構成に加え、図7に示すように、導入室2と、酸化触媒4やフィルター5を収納する浄化室30との間に、その室を仕切る仕切板50が設けられている。つまり、前記導入室6の下流端付近に平面視円形状の板である仕切板50が円筒状ケース10上流端のフランジ部15に固着するように設けられている。前記仕切板50には複数の連通孔55が略放射状に開口されており、該連通孔55の数は導入室2の中心側ほど少なく、外周側ほど多く設けられている。
【0030】
このように構成することで、排気ガスが、導入室2下流側に設けられた仕切板50の連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを減少することができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55が、消音装置の役割を果たし排気ガスが流れることによる騒音を低下させることができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55はドリル又はパンチング等で容易に開口できる。
【実施例6】
【0031】
図7及び図8(b)において、排気導入管6や導入室2等は前記実施例5と同じ構成とし、仕切板50に設ける複数の連通孔55の大きさが中心側ほど小さく外周側ほど大きくなる構成としている。つまり、仕切板50に設ける複数の連通孔55は、同心円状に一定間隔をあけて開口されており、該連通孔55の開口面積は導入室2の中心側ほど小さく、外周に向かって徐々に大きくなるように設けられている。
【0032】
この構成により略均一化された排気ガスが、導入室2下流側に設けられた仕切板50の連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを更に減少することができる。加えて、仕切板50の開口部である連通孔55が、消音装置の役割を果たし排気ガスが流れることによる騒音を低下させることができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55はドリル又はパンチング等の大きさを変更するだけでよい。なお、前記実施例5または実施例6の仕切板50は、前記実施例1乃至実施例4のいずれかの導入室2と浄化室30との間に配設する構成とすることもできる。この構成により連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを更に減少することができる。
【実施例7】
【0033】
図8(a)及び図9において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2と中心軸を略一致させて挿入されている。また、導入室2と浄化室30との間に、その室を仕切る整流板60が設けられている。該整流板60には複数の通路孔65が開口され、該通路孔65の数は導入室2の中心側ほど少なく、外周側ほど多く設けられている。
【0034】
前記構成により、排気導入管6から排出される排気ガスは、整流板60に直接当たる部分は通路孔65の数が少ないので、中心側の排気ガス排出量は抑えられ、その周囲の通路孔65には回り込んで排出されるが、通路孔65の数は多いため、整流板60の下流側では酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できるようになる。これにより酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、整流板60に設けられた通路孔65はドリル又はパンチング等で簡単に開口できる。
【実施例8】
【0035】
図8(b)及び図9において、実施例8は前記実施例7の排気導入管6と同様に、導入室2と中心軸を略一致させて挿入され、導入室2と浄化室30との間に整流板60が設けられている。該整流板60には複数の通路孔65が略一定間隔をおいて開口され、該通路孔65の開口面積は導入室2の中心側ほど小さくし、外周側ほど大きく開口している。
【0036】
前記構成により、排気導入管6から排出される排気ガスは、整流板60に直接当たる部分は通路孔65の開口面積が小さいので、中心側の排気ガス排出量は抑えられ、その周囲の通路孔65には回り込んで排出されるが、通路孔65の開口面積は大きいため、整流板60の下流側では酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できるようになる。これにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。前記導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、通路孔の大きさを変更するだけで容易に略均一性が得られる。ただし、前記整流板60は排気導入管6端部の開口部6aに設ける構成とすることもできる。このように構成することにより、整流板60から排出される排気ガスは酸化触媒4までの間で徐々に拡散させられて、導入室2の下流側(空間部30a)で略均一にすることができる。
【実施例9】
【0037】
図10及び図11(a)において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端を、前記導入室2の中心軸に略一致させて挿入されている。該導入室2内の排気導入管6の先端は底板により塞がれており、導入室2内の排気導入管6の外周に複数の同じ大きさの排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの数は酸化触媒4側ほど少なく、酸化触媒4に遠ざかるほど多く設けられている。
【0038】
前記構成により、排気導入管6より排気ガスは上流側では多く、下流側では少なく排出され、導入室2の下流側で排気導入管6端部を迂回させる。このことが排気ガスを空間部30aで略均一にさせ、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。酸化触媒4やフィルター5の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室2を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。排気導入管6の排出孔6bはドリル等によって簡単に開口できる。
【実施例10】
【0039】
図10及び図11(b)において、排気導入管6の一端を排気マニホールドに接続し、該排気導入管6の他端を、前記導入室2の中心軸に略一致させて挿入し、該導入室2内の排気導入管6の先端は底板により塞がれており、導入室2内の排気導入管6の外周には複数の排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの開口面積は酸化触媒4側ほど小さくし、酸化触媒4に遠ざかるほど大きく設けられる。
【0040】
前記構成により、排気導入管6より排気ガスは上流側では多く、下流側では少なく排出され、導入室2の下流側で排気導入管6端部を迂回させる。このことが排気ガスを空間部30aで略均一にさせ、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。酸化触媒4やフィルター5の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、ドリル等によって排気導入管6の排出孔6bの開口面積の大きさを変更するだけで容易に略均一性が得られる。ただし、前記実施例9及び実施例10において、中心側の排気ガスの量がすくない場合には、底板に適宜排出孔が開口される。
【符号の説明】
【0041】
1 排気ガス浄化装置
2 導入室
4 酸化触媒
5 フィルター(DPF)
6 排気導入管
6b 排出孔
30 浄化室
60 整流板
65 通路孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置に排気ガスを均一に導入する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の高まりや健康に対する影響が懸念されていることから、建設機械、農業機械、自動車、船舶、発電機等のディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質(以下、PMという。)や窒素酸化物(NOX)等を除去する装置の開発が進められている。例えば、特許文献1に記載のように、排気ガス浄化装置に排気ガスを導入する際に、テーパ形状の配管及び排気絞り弁を用いる等により排気ガスの熱を昇温させて、酸化触媒、フィルター(DPF)に排気ガスを導入し、排気ガス中のPM等を除去する技術は公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−40220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、酸化触媒、フィルターに略均一に排気ガスを導入して、排気ガスの浄化性能を十分に発揮させることができる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒とフィルターを収納して浄化室を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室を形成し、該導入室に排気導入管を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくしたものである。
【0007】
請求項2においては、前記ケースに浄化室と導入室を仕切る整流板を設け、該整流板に複数の通路孔を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くしたものである。
【0008】
請求項3においては、前記排気導入管の排出孔の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたものである。
【0009】
請求項4においては、前記浄化室と導入室を仕切る整流板の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
本発明によれば、排気ガスを排気導入管から導入室に略均一に排出して、酸化触媒、フィルターに略均一に排気ガスを導入することができるので、酸化触媒、フィルターによる排気ガスの浄化性能を十分発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図2】実施例1に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面図。
【図3】実施例2に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図4】実施例2に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面図。
【図5】(a)実施例3に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図、(b)実施例4に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図6】実施例3及び実施例4に係る排気ガス浄化装置を示す排気ガス流れ方向切断面概略斜視図。
【図7】実施例5及び実施例6に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図8】(a)実施例5及び実施例7に係る仕切板及び整流板を示す概略図、(b)実施例6及び実施例8に係る仕切板及び整流板を示す概略図。
【図9】実施例7及び実施例8に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図10】実施例9及び実施例10に係る排気ガス浄化装置を示す概略斜視図。
【図11】(a)実施例9に係る排気導入管を示す概略斜視図、(b)実施例10に係る排気導入管を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。まず、排気ガス浄化装置の全体構成について図2を用いて説明する。
【0014】
ディーゼルエンジン用排気ガス浄化装置1(以下、単に排気ガス浄化装置1という。)は、排気導入管6、導入室2、酸化触媒4、フィルター5(DPF)及び、出口部3から構成されている。また、各図における太矢印は排気ガスの流れを表している。前記酸化触媒4は、筐体としての円筒状ケース10の中に形成されており、同様に、前記フィルター5は、筐体としての円筒状ケース20の中に形成されている。そして、排気ガスの上流側を前記導入室2として、前記導入室2、円筒状ケース10、円筒状ケース20、出口部3の順に直列に配列されている。また、図2に示すように、浄化室30に配設された酸化触媒4の上流側、下流側、及びフィルター5下流側に、所定間隔の空間部30a・30b・30cが設けられている。
【0015】
前記導入室2の下流端と円筒状ケース10の上流端には、鍔状のフランジ部15が両者に形成され、同様に円筒状ケース10の下流端と円筒状ケース20の上流端は、鍔状のフランジ部15が両者に形成され、円環状のガスケット(図示省略)を両者のフランジ部15で挟みこむことで気密を保ち、かつ、ボルト(図示省略)等で両者が一体に固着されている。また、円筒状ケース20の下流端にも、鍔状のフランジ部15が形成され、円環状のガスケット(図示省略)を前記フランジ部15と略中央に開口部を設けた円板状の出口部3で挟みこむことで気密を保ち、かつ、ボルト(図示省略)等で両者が一体に固着されている。ここで、円板状の出口部3が円筒状ケースの下流端に固着されている。但し、出口部3は円筒状ケース20に一体的に形成され、下流部に空間部30cが形成されてもよく。限定するものではない。前記酸化触媒4及びフィルター5は、円筒状ケース10・20に対し着脱可能となっている。
【0016】
導入室2には、エンジンからの排気ガスを排気マニホールド(図示省略)を介して導く排気導入管6が配置されている。また、排気導入管6の導入室2に対する挿通方向の詳細は各実施例において記載する。導入室2内の排気導入管6の先端または円周には開口部が設けられている。つまり、排気導入管6の前記各開口部より排気ガスは、導入室2内へと導入される。
【0017】
導入室2後段の酸化触媒4全体は、略円筒形であり、排気ガスの流れる方向に格子状(ハニカム状)の通路が形成されるモノリス担体(図示省略)を有している。モノリス担体上には、白金やロジウムやパラジウム等の触媒金属を担持している。該触媒金属の担持により、酸化触媒4によって一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)などに酸化力が付与される。なお、モノリス担体の材質は、本実施例ではコージェライトとしているが、特に限定するものではなく、炭化ケイ素又はステンレス等を用いることもできる。
【0018】
更に後段のフィルター5は、略円筒形のハニカムフィルタであって、コージェライトのようなセラミックスからなる多孔質の隔壁で仕切られた多角形断面を有するものである。また、フィルター5は、これらの隔壁により互いに平行に形成された多数の貫通孔の排気ガス入口と出口を交互に封止することにより構成される。そして該隔壁には、白金等の触媒金属が担持されている。前述した酸化触媒4同様、触媒機能が備わっている。なお、触媒金属としては、本実施例では白金を用いているが、特に限定するものではなくパラジウム、ロジウム、イリジウム等を用いることもできる。後述する各実施例では酸化触媒4とフィルター5を排気ガス浄化装置1の内部に配置する構成としているが、触媒機能が備わっているフィルター5のみを排気ガス浄化装置1の浄化室30に配置する構成としてもよい。
【0019】
次に、排気ガス浄化装置1内における排気ガスの流れ及び浄化方法について説明する。前記構成において、排気ガスは導入室2内の排気導入管6に設けられた開口部(詳細は各実施例において後述する。)を介して導入室2へと導入される。続いて前段の導入室2において排気ガスが略均一化された状態で空間部30aを通過し、酸化触媒4へと導入される。導入された排気ガスは、酸化触媒4によって酸化力が付与されNOよりNO2が生成される(COやHC等にも酸化力が付与される)。酸化触媒4を通過した排気ガスはDFP5にてPMが捕集される。前段の酸化触媒4およびDFP5により生成されたNO2等の酸化力とエンジン近傍による排気ガスの高温を利用して、前記捕集されたPMは連続的に酸化され燃焼除去される。つまり、フィルター5内に蓄積されたPMは燃焼除去されフィルター5の除去力を再生させる。フィルター5によりPMが除去された排気ガスは出口部3の略中央に設けられた開口部より配管(図示省略)を介して排気ガス浄化装置1外へと排出される。つまり、酸化触媒4においてPMのフィルター5での蓄積を防止するとともに、PMの除去に加え一酸化炭素や炭化水素等の低減効果がある。また、後述する各実施例において、略均一に排気ガスを導入したことにより、従来DFP5の中央付近での集中した堆積を回避できる。
【0020】
以上が、排気ガス浄化装置1の基本構成、及び排気ガスの浄化方法であり、後述する各実施例において共通である。以下、各実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1、図2において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、排出方向が前記導入室2の中心軸に対して垂直方向、かつ、偏心した位置となるように導入室2内に挿入され、導入室2の略軸付近まで延出されている。また、該排気導入管6の他端(先端)は開口部6aとされており、排気ガスは該開口部6aより導入室2内の壁面に沿うように旋回流となって導入室2内へと導入される。更に詳述すると、排気導入管6の他端は円筒状の導入室2の接線方向と平行であって、排気導入管6の中心軸は導入室2の中心を通らないように導入室2内に挿入される。ただし、旋回流が生じるように、排気導入管6の中心軸は浄化室30側に傾斜した構成とすることもできる。また、開口部6aは図1における導入室2の上下中央に位置するように配設される。但し、開口部6aは排気導入管6の中心軸に対して直角方向の面としている。
【0022】
前記構成により、排気ガスが開口部6aより導入室2内に入ると、導入室2の内壁に案内されて旋回流となり、排気ガスは酸化触媒4に導入される前に導入室2内及び空間部30aにおいて略均一化され、酸化触媒4、フィルター5両者に略均一に排気ガスを導入することが可能となる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、今まで、スペースを必要としていたテーパ管や旋回流発生装置等が不要となり、省スペースで旋回流を得ることができる。また、排気導入管6の導入室2への挿入位置を変更するだけで旋回流が得られ、排気導入管6を導入室2に挿入するだけの構成なので、容易に取り付けることができる。
【実施例2】
【0023】
図3、図4において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。該排気導入管6の反酸化触媒4側、つまり、出口と反対側の面には複数の開口部である排出孔6bが形成されている。
【0024】
前記構成によって、図3、図4に示すように、排出孔6bより排出された排気ガスは導入室2の出口側と反対側の内壁に当り、排気導入管6を迂回させられることによって、導入室2下流側及び空間部30aで排気ガスは略均一となり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入されることになる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、PMの偏った堆積による暴走燃焼等を回避できる。また、弁等の附属品を伴わない為、排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。
【実施例3】
【0025】
図5(a)及び図6において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。そして、該導入室2内の排気導入管6の周囲には複数の排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの大きさは同じとして、その数は導入室2の中心側10aほど多く、外周側10bほど少なくなるように設けられている。つまり、空間部30aの開口面積に比例した数の排出孔6bが導入室2内の排気導入管6の外周に開口されている。
【0026】
前記構成により、図6に示すように、排気導入管6より排出される排気ガスは、導入室2の中心側から多く排出され、周囲に向かって徐々に少なくなり、排気導入管6の中心軸から直角方向の導入室2の壁面までの長さに比例して、つまり、図5(a)において空間部30aの開口面積に比例した量の排気ガスが排出孔6bより吐出されるようになる。よって、排気ガスは空間部30a付近で略均一となり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。このことにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。また、排気導入管6の排出孔6bはドリル等で容易に開口できる。
【実施例4】
【0027】
図5(b)及び図6において、排気導入管6は実施例3と同様に導入室2に挿入して固定されている。本実施例では、該導入室2内の排気導入管6の全周壁に設けられる複数の排出孔6bは、略均一に配置され、その開口面積が中心側10aほど大きく周囲側に向かって徐々に小さく構成している。言い換えれば、該排出孔6bの開口面積は導入室2の中心側10aほど大きく、外周側10bほど小さく設けられている。つまり、排出孔6bは一定間隔をあけて導入室2内の排気導入管6の外周に開口され、該排出孔6bの開口面積はその孔が位置する空間部30aの開口面積に比例して開口されている。
【0028】
前記構成により、図6に示すように、排気導入管6より排出される排気ガスは、導入室2の中心側から多く排出され、周囲に向かって徐々に少なくなり、排気導入管6の中心軸から直角方向の導入室2の壁面までの長さに比例して、つまり、図5(a)において空間部30aの開口面積に比例した量の排気ガスが排出孔6bより吐出されるようになる。よって、排気ガスは空間部30aにおいて略均一になり、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。よって、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、排気導入管6を導入室2に容易に取り付けることができる。排出孔6bの大きさはドリルの径を変更するだけでよい。
【実施例5】
【0029】
図7及び図8(a)において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2の中心軸に対して垂直方向であって、排気導入管6の中心軸と導入室2の中心軸とが交わるように導入室2内に挿入され、該排気導入管6の端部は排気導入管6を導入室2に挿入する挿入口と反対側の内壁で閉じるように挿入して固定されている。そして、該導入室2内の排気導入管6の周囲には複数の同一面積の排出孔6bが等間隔で開口されている。ここでは、前記基本構成に加え、図7に示すように、導入室2と、酸化触媒4やフィルター5を収納する浄化室30との間に、その室を仕切る仕切板50が設けられている。つまり、前記導入室6の下流端付近に平面視円形状の板である仕切板50が円筒状ケース10上流端のフランジ部15に固着するように設けられている。前記仕切板50には複数の連通孔55が略放射状に開口されており、該連通孔55の数は導入室2の中心側ほど少なく、外周側ほど多く設けられている。
【0030】
このように構成することで、排気ガスが、導入室2下流側に設けられた仕切板50の連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを減少することができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55が、消音装置の役割を果たし排気ガスが流れることによる騒音を低下させることができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55はドリル又はパンチング等で容易に開口できる。
【実施例6】
【0031】
図7及び図8(b)において、排気導入管6や導入室2等は前記実施例5と同じ構成とし、仕切板50に設ける複数の連通孔55の大きさが中心側ほど小さく外周側ほど大きくなる構成としている。つまり、仕切板50に設ける複数の連通孔55は、同心円状に一定間隔をあけて開口されており、該連通孔55の開口面積は導入室2の中心側ほど小さく、外周に向かって徐々に大きくなるように設けられている。
【0032】
この構成により略均一化された排気ガスが、導入室2下流側に設けられた仕切板50の連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを更に減少することができる。加えて、仕切板50の開口部である連通孔55が、消音装置の役割を果たし排気ガスが流れることによる騒音を低下させることができる。また、仕切板50の開口部である連通孔55はドリル又はパンチング等の大きさを変更するだけでよい。なお、前記実施例5または実施例6の仕切板50は、前記実施例1乃至実施例4のいずれかの導入室2と浄化室30との間に配設する構成とすることもできる。この構成により連通孔55によって酸化触媒4やフィルター5に導入される際に排気ガスのムラを更に減少することができる。
【実施例7】
【0033】
図8(a)及び図9において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端は、前記導入室2と中心軸を略一致させて挿入されている。また、導入室2と浄化室30との間に、その室を仕切る整流板60が設けられている。該整流板60には複数の通路孔65が開口され、該通路孔65の数は導入室2の中心側ほど少なく、外周側ほど多く設けられている。
【0034】
前記構成により、排気導入管6から排出される排気ガスは、整流板60に直接当たる部分は通路孔65の数が少ないので、中心側の排気ガス排出量は抑えられ、その周囲の通路孔65には回り込んで排出されるが、通路孔65の数は多いため、整流板60の下流側では酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できるようになる。これにより酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、整流板60に設けられた通路孔65はドリル又はパンチング等で簡単に開口できる。
【実施例8】
【0035】
図8(b)及び図9において、実施例8は前記実施例7の排気導入管6と同様に、導入室2と中心軸を略一致させて挿入され、導入室2と浄化室30との間に整流板60が設けられている。該整流板60には複数の通路孔65が略一定間隔をおいて開口され、該通路孔65の開口面積は導入室2の中心側ほど小さくし、外周側ほど大きく開口している。
【0036】
前記構成により、排気導入管6から排出される排気ガスは、整流板60に直接当たる部分は通路孔65の開口面積が小さいので、中心側の排気ガス排出量は抑えられ、その周囲の通路孔65には回り込んで排出されるが、通路孔65の開口面積は大きいため、整流板60の下流側では酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できるようになる。これにより、酸化触媒4の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。前記導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、通路孔の大きさを変更するだけで容易に略均一性が得られる。ただし、前記整流板60は排気導入管6端部の開口部6aに設ける構成とすることもできる。このように構成することにより、整流板60から排出される排気ガスは酸化触媒4までの間で徐々に拡散させられて、導入室2の下流側(空間部30a)で略均一にすることができる。
【実施例9】
【0037】
図10及び図11(a)において、エンジンから排出される排気ガスは排気マニホールドを通過し、該排気マニホールドに一端が接続されている排気導入管6へと導入される。該排気導入管6の他端を、前記導入室2の中心軸に略一致させて挿入されている。該導入室2内の排気導入管6の先端は底板により塞がれており、導入室2内の排気導入管6の外周に複数の同じ大きさの排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの数は酸化触媒4側ほど少なく、酸化触媒4に遠ざかるほど多く設けられている。
【0038】
前記構成により、排気導入管6より排気ガスは上流側では多く、下流側では少なく排出され、導入室2の下流側で排気導入管6端部を迂回させる。このことが排気ガスを空間部30aで略均一にさせ、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。酸化触媒4やフィルター5の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室2を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。排気導入管6の排出孔6bはドリル等によって簡単に開口できる。
【実施例10】
【0039】
図10及び図11(b)において、排気導入管6の一端を排気マニホールドに接続し、該排気導入管6の他端を、前記導入室2の中心軸に略一致させて挿入し、該導入室2内の排気導入管6の先端は底板により塞がれており、導入室2内の排気導入管6の外周には複数の排出孔6bが開口されている。該排出孔6bの開口面積は酸化触媒4側ほど小さくし、酸化触媒4に遠ざかるほど大きく設けられる。
【0040】
前記構成により、排気導入管6より排気ガスは上流側では多く、下流側では少なく排出され、導入室2の下流側で排気導入管6端部を迂回させる。このことが排気ガスを空間部30aで略均一にさせ、酸化触媒4やフィルター5へ略均一に導入できる。酸化触媒4やフィルター5の性能を十分発揮させて、暴走燃焼等を回避できる。また、本発明の導入室2と従来のテーパー形状の導入室を比較すると中心軸方向の長さが短くでき、排気ガス浄化装置1の全長を短くすることができる。また、ドリル等によって排気導入管6の排出孔6bの開口面積の大きさを変更するだけで容易に略均一性が得られる。ただし、前記実施例9及び実施例10において、中心側の排気ガスの量がすくない場合には、底板に適宜排出孔が開口される。
【符号の説明】
【0041】
1 排気ガス浄化装置
2 導入室
4 酸化触媒
5 フィルター(DPF)
6 排気導入管
6b 排出孔
30 浄化室
60 整流板
65 通路孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒とフィルターを収納して浄化室を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室を形成し、該導入室に排気導入管を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくしたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記ケースに浄化室と導入室を仕切る整流板を設け、該整流板に複数の通路孔を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くしたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記排気導入管の排出孔の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記浄化室と導入室を仕切る整流板の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の排気ガス浄化装置。
【請求項1】
ケース内に排気ガスを浄化する酸化触媒とフィルターを収納して浄化室を構成した排気ガス浄化装置において、前記ケースに排気ガスの導入室を形成し、該導入室に排気導入管を導入室の中心軸に対して垂直方向に挿入して固定し、前記排気導入管に複数の排出孔を設け、該排出孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど多く、導入室の外周側位置ほど少なくしたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記ケースに浄化室と導入室を仕切る整流板を設け、該整流板に複数の通路孔を設け、該通路孔の数を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにし、導入室の中心位置ほど少なく、導入室の外周側位置ほど多くしたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記排気導入管の排出孔の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記浄化室と導入室を仕切る整流板の開口面積を導入室の中心位置と外周側位置とで異なるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−140964(P2012−140964A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68465(P2012−68465)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2008−40720(P2008−40720)の分割
【原出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2008−40720(P2008−40720)の分割
【原出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]