説明

排気冷却用接続管

【課題】ウォータジャケット内の気泡が排出されやすい構造の排気冷却用接続管を提供する。
【解決手段】本発明にかかる排気冷却用接続管100は、一列に並ぶように配設されたポート孔110a〜110dと、これらポート孔110a〜110dからなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケット170とを有している。排気冷却用接続管100には、隣接するポート孔の間に、ウォータジャケット170におけるポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分170A,170Bを接続する連通路180が設けられているとともに、ウォータジャケット170におけるポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分170A,170Bのうち、一方の部分170Aにおける外周側側壁171に冷却水排出口160が設けられており、他方の部分170Bにおける内周側側壁172が連通路180に近い部位ほど内側に位置するように傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関と排気マニホルドとの間に介装されて排気通路の一部を構成し、排気マニホルドに導入される排気を冷却する排気冷却用接続管に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関と排気マニホルドとの間に介装されて、内燃機関から排出される排気を冷却してから排気マニホルドに導入する排気冷却用接続管として、排気冷却用アダプタが記載されている。
【0003】
こうした排気冷却用アダプタ等の排気冷却用接続管には、複数のポート孔が設けられており、これらポート孔を介して内燃機関の各排気ポートと排気マニホルドの各枝管とがそれぞれ接続されるようになっている。また、ポート孔の周囲にはこれらポート孔からなるポート群を取り囲むようにウォータジャケットが形成されている。これにより、このウォータジャケットを流れる冷却水との熱交換によって、ポート孔の中を流れる排気が冷却されるようになっている。
【0004】
尚、排気冷却用接続管には、内燃機関を冷却する機関冷却水の一部をウォータジャケットに導入する冷却水導入口と、熱交換によって暖められた冷却水を排出する冷却水排出口とが設けられている。これにより、ウォータポンプによって圧送された機関冷却水の一部が冷却水導入口からウォータジャケット内に導入される。そして、導入された冷却水が、ポート孔を通じて排気マニホルドに流れ込む排気を冷却する。そして、熱交換によって暖められた冷却水は冷却水排出口から排出される。
【0005】
尚、冷却水排出口は、機関冷却水の循環経路におけるラジエータよりも上流側の部分に接続される。これにより、冷却水排出口から排出された冷却水は、機関冷却水と合流し、ラジエータで冷却されて再び循環されるようになる。
【0006】
こうした排気冷却用接続管を内燃機関と排気マニホルドとの間に介装し、内燃機関から排出された排気を冷却してから排気マニホルドに導入することにより、高温の排気によって排気浄化触媒が過剰に熱せられることが抑制されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭64‐15718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、こうした排気冷却用接続管にあっては、冷却水が高温の排気との熱交換によって暖められるため、冷却水の温度が上昇し、ウォータジャケットの中で冷却水が蒸発してウォータジャケットの中に気泡が発生することがある。
【0009】
ウォータジャケットの中に気泡が存在していると、熱交換が効率的に行われなくなるため、排気を冷却する能力が低下してしまう。また、気泡が存在している部分では、局所的に温度が上昇しやすくなる。そのため、ウォータジャケットの一部分に気泡が長期間停滞していると、その部分では更に冷却水の蒸発が助長されるようになるおそれがある。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はウォータジャケット内の気泡が排出されやすい構造の排気冷却用接続管を提供し、ひいてはウォータジャケット内に気泡が存在することに起因する冷却性能の低下や更なる気泡の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、一列に並ぶように配設された複数のポート孔と、これらポート孔からなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケットとを有し、前記ポート孔を通じて流れる排気を冷却する排気冷却用接続管であって、隣接するポート孔の間に、前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分同士を接続する連通路が設けられているとともに、前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分のうち、一方の部分における外周側側壁に冷却水排出口が設けられており、他方の部分における内周側側壁が前記連通路に近い部位ほど内側に位置するように傾斜していることをその要旨とする。
【0012】
ウォータジャケット内に発生した気泡は、浮力によって上方に浮上する。
上記請求項1に記載の排気冷却用接続管を、冷却水排出口が上方に位置するように配設すれば、ウォータジャケットにおけるポート孔よりも下方に位置する部分の内周側側壁が連通路に向かって上方に傾斜した状態となる。そのため、ウォータジャケットにおけるポート孔よりも下方に位置する部分に存在する気泡が浮力によって浮上する際に、気泡が連通路に向かって上方に傾斜したこれら内周側側壁に沿って移動し、連通路に導かれるようになる。そして連通路に導かれた気泡は、連通路を通じて冷却水排出口の設けられているポート孔よりも上方の部分に移動するようになる。
【0013】
したがって、ウォータジャケット内の気泡を、冷却水排出口が設けられたウォータジャケットの上方側の部分に速やかに導くことができるようになり、ウォータジャケット内の気泡が冷却水排出口から排出されやすくなる。
【0014】
尚、ウォータジャケットに冷却水を供給するウォータポンプが停止しているときには、ウォータジャケット内の冷却水には冷却水導入口から冷却水排出口に向かう流れが生じていない。そのため、ウォータポンプが停止しているときには、ウォータジャケット内で発生した気泡が特にウォータジャケット内に留まりやすく、ウォータジャケット内の冷却水が、内燃機関や排気マニホルドから伝達される余熱によって暖められたときに沸騰しやすい。
【0015】
これに対して上記請求項1に記載の発明によれば、ウォータポンプが停止しており、ウォータジャケット内の冷却水に流れが生じていないときであっても、浮力を利用して気泡をウォータジャケットの上方側の部分に導くことができるため、ウォータジャケット内の気泡が排出されやすくなる。
【0016】
更に上記請求項1に記載の発明にあっては、隣接するポート孔の間に連通路を設け、ポート孔とポート孔との間にも冷却水を循環させるようにしている。そのため、こうした連通路を設けない場合と比較して排気を冷却する能力を向上させることができる。
【0017】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、ウォータジャケット内の気泡が排出されやすくなり、ひいてはウォータジャケット内に気泡が存在することに起因する冷却性能の低下や更なる気泡の発生を抑制することができるようになる。
【0018】
尚、請求項2に記載されているように、隣接するポート孔の間に位置する部分の各々に連通路を設け、全てのポート孔の間に連通路を形成する構成を採用すれば、各ポート孔をそれぞれ取り囲むように冷却水が流れるようになり、排気を冷却する能力を更に向上させることができる。
【0019】
また、連通路同士の間隔が短くなり、気泡が連通路に導入されるまでの道程が短くなるため、冷却水排出口が設けられたウォータジャケットの上方側の部分に、より速やかに気泡を移動させることができるようになる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の排気冷却用接続管において、前記連通路に近い部位ほど内側に位置するように傾斜している前記内周側側壁が、前記ポート孔の形状に沿って湾曲していることをその要旨とする。
【0021】
強度を確保するためには、ポート孔とウォータジャケットとの間の部分をある程度の厚さ以上にする必要がある。
直線状の内周側側壁によって気泡を連通路に導くようにした場合には、ポート孔とウォータジャケットとの間の部分の肉厚が最も薄い部分から離間するほど内周側側壁がポート孔から離れるようになる。そのため、強度を確保するために必要な肉厚を確保した上で直線状の内周側側壁によって気泡を連通路に導くようにした場合には、ポート孔とウォータジャケットとの間の部分の平均的な肉厚が厚くなる傾向にある。
【0022】
これに対して、上記請求項3に記載の構成のように、内周側側壁をポート孔の形状に沿って湾曲させ、内周側側壁を連通路に向かって傾斜させる構成を採用すれば、連通路に向かって湾曲している部分の肉厚を均一にすることができる。そのため、強度を確保するために必要な肉厚を確保した上で直線状の内周側側壁によって気泡を連通路に導くようにした場合よりも、ポート孔とウォータジャケットとの間の部分の平均的な肉厚を薄くすることができる。
【0023】
したがって、上記請求項3に記載されているように、内周側側壁をポート孔の形状に沿って湾曲させた構成を採用すれば、直線状の内周側側壁によって気泡を連通路に導くようにした場合と比較して、ポート孔に近い部分に冷却水を流すことができるようになり、排気を冷却する能力を向上させることができるようになる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用接続管において、前記ウォータジャケットにおける前記連通路が接続している部分のうち、車両に搭載されるときの姿勢において下方に位置する部分では、同ウォータジャケットの天井となる側壁全体が、前記連通路側の部位ほど高くなるように傾斜していることをその要旨とする。
【0025】
上記構成によれば、ウォータジャケットと連通路とが接続している部分におけるウォータジャケットの天井に相当する側壁全体が、連通路側に向かって傾斜するようになる。そのため、ウォータジャケットと連通路が接続する部分にあっても、浮力を利用して気泡を連通路に導くことができるようになり、ウォータジャケット内の気泡が更に排出されやすくなる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の排気冷却用接続管において、同排気冷却用接続管が取り付けられる内燃機関は、同内燃機関に取り付けられた前記排気冷却用接続管における前記ポート孔の中心軸の延伸方向が水平方向に対して傾いた状態となるような姿勢で車両に搭載されるものであり、前記天井となる側壁は、車両に搭載されるときの姿勢において同側壁が上方に向かって傾斜した状態になるようにその傾斜の勾配が設定されていることをその要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、ウォータジャケットと連通路とが接続している部分におけるウォータジャケットの天井に相当する側壁全体が、車両に搭載されるときの姿勢において連通路側に向かって上方に傾斜した状態となる。そのため、内燃機関が、同内燃機関に取り付けられた排気冷却用接続管におけるポート孔の中心軸の延伸方向が水平方向に対して傾いた状態となるような姿勢で車両に搭載される場合であっても、浮力を利用して気泡を連通路に導くことができるようになる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、一列に並ぶように配設された複数のポート孔と、これらポート孔からなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケットとを有し、前記ポート孔を通じて流れる排気を冷却する排気冷却用接続管であって、前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分のうち、一方の部分における外周側側壁に冷却水排出口が設けられており、他方の部分における内周側側壁が前記ウォータジャケットの長手方向における中央側の部位ほど外側に位置するように傾斜していることをその要旨とする。
【0029】
上記請求項6に記載の排気冷却用接続管を、冷却水排出口が上方に位置するように配設すれば、ウォータジャケットにおけるポート孔よりも下方に位置する部分の内周側側壁がウォータジャケットの長手方向端部に向かって上方に傾斜した状態となる。そのため、ウォータジャケットにおけるポート孔よりも下方に位置する部分に存在する気泡が浮力によって浮上する際に、気泡がウォータジャケットの長手方向端部に向かって上方に傾斜した内周側側壁に沿って移動し、ウォータジャケットの長手方向端部に導かれるようになる。そしてウォータジャケットの長手方向端部に導かれた気泡は、冷却水排出口の設けられているポート孔よりも上方の部分に移動するようになる。
【0030】
したがって、ウォータジャケット内の気泡を、冷却水排出口が設けられたウォータジャケットの上方側の部分に速やかに導くことができるようになり、ウォータジャケット内の気泡が冷却水排出口から排出されやすくなる。
【0031】
尚、ウォータジャケットに冷却水を供給するウォータポンプが停止しているときには、ウォータジャケット内の冷却水には冷却水導入口から冷却水排出口に向かう流れが生じていない。そのため、ウォータポンプが停止しているときには、ウォータジャケット内で発生した気泡が特にウォータジャケット内に留まりやすく、ウォータジャケット内の冷却水が、内燃機関や排気マニホルドから伝達される余熱によって暖められたときに沸騰しやすい。
【0032】
これに対して上記請求項6に記載の発明によれば、ウォータポンプが停止しており、ウォータジャケット内の冷却水に流れが生じていないときであっても、浮力を利用して気泡をウォータジャケットの上方側の部分に導くことができるため、ウォータジャケット内の気泡が排出されやすくなる。
【0033】
すなわち、上記請求項6に記載の発明によれば、ウォータジャケット内の気泡が排出されやすくなり、ひいてはウォータジャケット内に気泡が存在することに起因する冷却性能の低下や更なる気泡の発生を抑制することができるようになる。
【0034】
ところで、気泡をウォータジャケットの上方に導くために、ウォータジャケットにおけるポート孔よりも下方に位置する部分の内周側側壁をウォータジャケットの長手方向端部に向かって上方に傾斜させる際に、長手方向の中央ではない部分を基点として内周側側壁を上方に向かって傾斜させた場合には、排気冷却用接続管の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。
【0035】
これに対して、上記請求項6に記載の発明は、下方に位置するようになる部分の内周側側壁がウォータジャケットの長手方向における中央側の部位ほど外側に位置するように傾斜しているため、長手方向の中央ではない部分を基点として同じ傾斜角度で内周側側壁を上方に向かって傾斜させた場合と比較して、排気冷却用接続管の高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0036】
すなわち、上記請求項6に記載の発明によれば、長手方向の中央ではない部分を基点として内周側側壁を上方に向かって傾斜させる場合と比較して、排気冷却用接続管をコンパクトにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施形態にかかる排気冷却用接続管の斜視図。
【図2】同実施形態にかかる排気冷却用接続管が内燃機関に取り付けられた状態を示す側面図。
【図3】同実施形態にかかる排気冷却用接続管の図2におけるA‐A線方向の断面図。
【図4】同実施形態にかかる排気冷却用接続管の図3におけるB‐B線方向の断面図。
【図5】比較例としての排気冷却用接続管の断面図。
【図6】比較例としての排気冷却用接続管の断面図。
【図7】この発明の一実施形態にかかる排気冷却用接続管の変更例としての排気冷却用接続管の断面図。
【図8】同実施形態にかかる排気冷却用接続管の変更例としての排気冷却用接続管の断面図。
【図9】同実施形態にかかる排気冷却用接続管の変更例としての排気冷却用接続管の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、この発明にかかる排気冷却用接続管を、直列4気筒型の内燃機関に接続される排気冷却用接続管として具体化した一実施形態について、図1〜6を参照して説明する。尚、図1は本実施形態にかかる排気冷却用接続管100の斜視図である。
【0039】
図1に示されるように本実施形態にかかる排気冷却用接続管100には、内燃機関の各気筒にそれぞれ設けられた排気ポートに対応するように、4つのポート孔110a,110b,110c,110dが一列に並ぶように形成されている。これらポート孔110a〜110dは、内燃機関のシリンダヘッドに接続される機関側接続面120から排気マニホルドの各枝管が接続されるマニホルド側接続面130まで貫通するように形成されている。
【0040】
図1に示されるように、機関側接続面120には複数のボルト締結部125が設けられている一方、マニホルド側接続面130には複数のボルト締結部135が設けられている。そして、機関側接続面120に設けられたボルト締結部125には同ボルト締結部125を貫通するようにボルト孔140が形成されているとともに、マニホルド側接続面130に設けられたボルト締結部135には排気マニホルドを固定するボルトが締結されるボルト孔140が形成されている。
【0041】
これにより、図2に示されるように内燃機関10と排気マニホルド20との間に排気冷却用接続管100を介装した状態において各ボルト孔140にボルトを締結することにより、内燃機関10の各排気ポートと排気マニホルド20の各枝管とがポート孔110a〜110dを介してそれぞれ接続されるようになる。そしてこれにより、排気冷却用接続管100の各ポート孔110a〜110dが排気通路の一部を構成するようになる。
【0042】
尚、図2は、本実施形態にかかる排気冷却用接続管100が内燃機関10に取り付けられた状態を示す側面図である。一般に内燃機関を車両に搭載する際には、図2に示されるように内燃機関10を傾けた状態で搭載することが多い。そこで、図2にあっては、車両に搭載されるときの姿勢と同様に内燃機関10を傾けた状態を示している。
【0043】
排気冷却用接続管100の内部には、図3に示されるように各ポート孔110a〜110dからなるポート群を取り囲むようにウォータジャケット170が形成されている。尚、図3は排気冷却用接続管100の図2におけるA‐A線方向の断面図である。
【0044】
本実施形態にかかる排気冷却用接続管100が取り付けられる内燃機関10は、各排気ポートが水平方向に並ぶような姿勢で車両に搭載される。そのため、排気冷却用接続管100は、内燃機関に取り付けられて車両に搭載されたときに、図3に示されるように各ポート孔110a〜110dが水平方向に一列に並んだ状態になる。そのため、これらポート孔110a〜110dからなるポート群を取り囲むように配設されているウォータジャケット170も、図3に示されるように水平方向に長く延びた状態となる。
【0045】
図3に示されるように本実施形態の排気冷却用接続管100における各ポート孔110a〜110dの間には、ウォータジャケット170を上下に連通する連通路180が形成されている。尚、連通路180は、図4に示されるようにポート孔110a〜110dの中心軸CLの延伸方向におけるマニホルド側接続面130側に偏った位置においてウォータジャケット170を上下に連通するように形成されている。尚、図4は図3におけるB‐B線方向の断面図である。
【0046】
また、図3に示されるように、ウォータジャケット170におけるポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分170A,170Bのうち、ポート群よりも下方に位置する部分170Bには冷却水導入口150が接続されている。一方で、ポート群よりも上方に位置する部分170Aには冷却水排出口160が接続されている。
【0047】
冷却水導入口150は内燃機関10を冷却する機関冷却水の循環経路に接続される。そのため、機関運転に伴ってウォータポンプが駆動されることにより、ウォータポンプによって圧送された機関冷却水の一部が、この冷却水導入口150を通じてウォータジャケット170に導入されるようになる。こうして冷却水がウォータジャケット170に導入されることにより、ウォータジャケット170及び連通路180を流れる冷却水とポート孔110a〜110dの中を流れる排気との間で熱交換が行われ、ポート孔110a〜110dの中を流れる排気が冷却されるようになる。
【0048】
一方、冷却水排出口160は、機関冷却水の循環経路におけるラジエータよりも上流側の部分に接続される。そのため、排気との熱交換を通じて暖められ、冷却水排出口160から排出された冷却水は機関冷却水と合流し、ラジエータで冷却されてから再び循環されるようになる。
【0049】
このように本実施形態の排気冷却用接続管100は、内燃機関10から排出された排気を、ウォータジャケット170及び連通路180を流れる冷却水との熱交換によって冷却してから排気マニホルド20に導入し、排気通路に設けられた排気浄化触媒が高温の排気によって過剰に熱せられることを抑制する。
【0050】
ところで、排気浄化触媒が過剰に熱せられることを抑制するためには、内燃機関10のシリンダヘッドや、排気マニホルド20にウォータジャケットを設けるようにすることも考えられる。しかし、内燃機関10のシリンダヘッドや、排気マニホルド20にウォータジャケットを設けるようにした場合には、内燃機関10や排気マニホルド20における排気通路の取り回し等の設計を変更する必要がある。
【0051】
これに対して、内燃機関10と排気マニホルド20との間に排気冷却用接続管100を介装させる構成を採用した場合には、内燃機関10や排気マニホルド20の設計を大幅に変更することなく、排気浄化触媒の過熱を抑制することができるようになる。
【0052】
ところが、こうした排気冷却用接続管100にあっては、冷却水が高温の排気との熱交換によって暖められるため、冷却水の温度が上昇し、ウォータジャケット170の中で冷却水が蒸発してウォータジャケット170の中に気泡が発生することがある。
【0053】
ウォータジャケット170の中に気泡が存在していると、排気と冷却水との熱交換が効率的に行われなくなるため、排気を冷却する能力が低下してしまう。また、気泡が存在している部分では、局所的に温度が上昇しやすくなる。そのため、ウォータジャケット170の一部分に気泡が長期間停滞していると、その部分では更に冷却水の蒸発が助長されるようになるおそれがある。
【0054】
尚、機関運転中にはウォータポンプが駆動されているため、冷却水が冷却水導入口150から導入され、冷却水排出口160に向かって流れている。そのため、その流れによって気泡が冷却水排出口160に向かって移動しやすく、冷却水排出口160から排出された気泡がラジエータに設けられたエアタンクに捕集されるようになる。
【0055】
しかし、機関停止中のように、ウォータポンプが停止しているときには、冷却水には冷却水導入口150から冷却水排出口160に向かう流れが生じない。そのため、ウォータポンプが停止しているときには、気泡がウォータジャケット170内に特に留まりやすく、内燃機関や排気マニホルドから伝達される余熱によって冷却水が沸騰してしまうおそれもある。
【0056】
そこで、本実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、図3に示されるようにウォータジャケット170におけるポート群よりも上方に位置する部分170Aの外周側側壁171に冷却水排出口160を開口させ、冷却水排出口160を排気冷却用接続管100の上部に配設するようにしている。そして、その一方で、ウォータジャケット170におけるポート群よりも下方に位置する部分170Bにあっては、ウォータジャケット170を各連通路180に近い部位ほど内周側に位置するようにジグザグに配設し、この部分170Bにおける内周側側壁172を各連通路180に向かって傾斜させるようにしている。
【0057】
ウォータジャケット170内に発生した気泡は、浮力によって上方に浮上する。そのため、上記のようにポート群よりも下方に位置する部分170Bにおける内周側側壁172が連通路180に向かって上方に傾斜していれば、図3に矢印で示されるように浮力によって気泡がこれら内周側側壁172に沿って移動し、連通路180に導かれるようになる。そして、連通路180に導かれた気泡は、連通路180を通じてポート群よりも上方に位置する部分170Aに移動するようになる。そのため、気泡がウォータジャケット170におけるポート群よりも下方の部分170Bに留まりにくくなり、ポート群よりも上方に位置する部分170Aに設けられた冷却水排出口160から排出されやすくなる。
【0058】
尚、内周側側壁172を傾斜させることにより、浮力を利用して気泡を上方側の部分170Aに移動させる構成としては、図5に示されるように、連通路180を設けずに内周側側壁172をウォータジャケット170の長手方向における中央側の部位ほど外側に位置するように傾斜させ、ウォータジャケット170の長手方向端部に向かって上方に傾斜させる構成を採用することもできる。
【0059】
こうした構成を採用した場合にも、図5に矢印で示されるように浮力によって気泡が内周側側壁172に沿って移動し、ウォータジャケット170の長手方向端部に導かれるようになる。そして、ウォータジャケット170の長手方向端部に導かれた気泡は、ポート群よりも上方に位置する部分170Aに移動するようになる。そのため、気泡がウォータジャケット170におけるポート群よりも下方の部分170Bに留まりにくくなり、ポート群よりも上方に位置する部分170Aに設けられた冷却水排出口160から排出されやすくなる。
【0060】
しかしながら、こうした構成を採用した場合には、気泡が内周側側壁172に沿って移動し、上方側の部分170Aに到達するまでの道程が長くなり、図3に示される構成と比較して速やかに気泡を上方側の部分170Aに移動させることができない。
【0061】
また、図5に示されるようにウォータジャケット170における部分170Bにあっては、ポート群の中央側に位置するポート孔110b,110cとウォータジャケット170との間の距離が長くなり、この部分の肉厚T2がポート孔110a,110dとウォータジャケット170との間の部分の肉厚T1よりも増大してしまう。そのため、ポート孔110b,110cの中を流れる排気を効果的に冷却することができなくなってしまうおそれがある。尚、こうした冷却性能の低下を抑制すべく、ウォータジャケット170をポート孔110b、110cに近づけ、肉厚T2を薄くすることも考えられる。しかし、ウォータジャケット170をポート孔110b、110cに近づけるようにすると、ポート孔110a,110dとウォータジャケット170との間の距離が短くなり、この部分の肉厚T1が薄くなってしまう。強度を確保するためには、各ポート孔110a〜110dとウォータジャケット170との間の部分の肉厚をある程度確保する必要がある。そのため、ウォータジャケット170をポート孔110b,110cに近づけることによって冷却性能の低下を抑制するには限界がある。
【0062】
これに対して、本実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、上述したように各ポート孔110a〜110dの間に連通路180を設け、ポート群よりも下方に位置する部分170Bにおいてウォータジャケット170を各連通路180に向かって傾斜させている。そのため、図3に示されるようにポート孔110b,110cとウォータジャケット170との間の部分における肉厚の最も薄い部分の肉厚Tを、ポート孔110a,110dとウォータジャケット170との間の部分における肉厚の最も薄い部分の肉厚Tと等しくすることができる。尚、本実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、各ポート孔110a〜110d及びウォータジャケット170の強度を確保することのできる範囲で、肉厚Tを極力薄くすることができるように各ポート孔110a〜110d及びウォータジャケット170の配設位置を設定している。
【0063】
また、本実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、図4に示されるように、ウォータジャケット170と連通路180とが接続されている部分におけるウォータジャケット170の下方側の部分170Bの天井に相当する側壁181全体を連通路180が形成されているマニホルド側接続面130側の部位ほど高くなるように傾斜させている。
【0064】
側壁181を上記のように傾斜させていなかった場合には、図6に示されるように排気冷却用接続管100が傾けられた状態で配設されているときに、上方に向かって浮上する気泡が側壁181に沿って図6に矢印で示されるように連通路180とは反対方向に移動するようになる。その結果、気泡が破線で囲んだ部分Xに集まってしまい、冷却水排出口160から排出されなくなってしまう。
【0065】
これに対して、図4に示されるように側壁181を傾斜させておけば、図4に矢印で示されるようにウォータジャケット170の下方側の部分170Bに存在する気泡が側壁181に沿って連通路180側に向かって移動するようになる。尚、本実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、車両に搭載されたときの姿勢において側壁181が連通路180側に向かって上方に傾いた状態となるように、側壁181の勾配を設定している。
【0066】
以上説明した本実施形態の排気冷却用接続管100によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ウォータジャケット170内の気泡を、連通路180を通じて冷却水排出口160が設けられたウォータジャケット170の上方側の部分170Aに速やかに導くことができるようになり、ウォータジャケット170内の気泡が冷却水排出口から排出されやすくなる。
【0067】
(2)また、ウォータポンプが停止しており、ウォータジャケット170内の冷却水に流れが生じていないときであっても、浮力を利用して気泡をウォータジャケット170の上方側の部分170Aに導くことができる。
【0068】
(3)隣接するポート孔の間に位置する部分の各々に連通路180を設け、全てのポート孔110a〜110dの間に連通路180を形成するようにしているため、各ポート孔110a〜110dをそれぞれ取り囲むように冷却水が流れるようになり、排気を冷却する能力を向上させることができる。
【0069】
(4)また、隣接するポート孔の間に位置する部分の各々に連通路180を設け、全てのポート孔110a〜110dの間に連通路180を形成するようにしているため、連通路180同士の間隔が短くなり、気泡が連通路180に導入されるまでの道程が短くなっている。そのため、気泡をウォータジャケット170の上方側の部分170Aに速やかに移動させることができる。
【0070】
(5)ウォータジャケット170の下方側の部分170Bにおける連通路180と接続している部分におけるウォータジャケット170の天井に相当する側壁181全体が、連通路180側に向かって上方に傾斜しているため、ウォータジャケット170と連通路180が接続する部分においても浮力を利用して気泡を連通路180に導くことができる。これにより、図6を参照して説明したように連通路180とは反対側の部分Xに気泡が集まってしまい、冷却水排出口160から排出されなくなってしまうことを抑制することができる。
【0071】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては、各連通路180に向かってそれぞれ傾斜している内周側側壁172を直線状に形成していたが、図7に示されるように内周側側壁172を各ポート孔110a〜110dの形状に沿って湾曲した形状にすることもできる。こうした構成を採用した場合にも上記実施形態と同様に、気泡が内周側側壁172に沿って図7に矢印で示されるように連通路180に向かって移動するようになる。
【0072】
尚、上述したように強度を確保するためには、各ポート孔110a〜110dとウォータジャケット170との間の部分をある程度の厚さ以上にする必要がある。上記実施形態のように、直線状の内周側側壁172によって気泡を連通路180に導くようにした場合には、図3に示されるように各ポート孔110a〜110dとウォータジャケット170との間の部分の肉厚が最も薄い部分(肉厚Tの部分)から離間するほど内周側側壁172が各ポート孔110a〜110dから離れるようになる。そのため、強度を確保するために必要な肉厚Tを確保した上で直線状の内周側側壁172によって気泡を連通路180に導くようにした場合には、各ポート孔110a〜110dとウォータジャケット170との間の部分の平均肉厚が肉厚Tよりも厚くなる。
【0073】
これに対して、図7に示されるように、内周側側壁172を各ポート孔110a〜110dの形状に沿って湾曲させ、内周側側壁172を連通路180に向かって傾斜させる構成を採用すれば、連通路180に向かって湾曲している部分の肉厚を均一にすることができる。そのため、強度を確保するために必要な肉厚Tを確保した上で、各ポート孔110a〜110dとウォータジャケット170との間の部分の平均肉厚を薄くすることができる。そのため、図7に示されるように、内周側側壁172を各ポート孔110a〜110dの形状に沿って湾曲させた構成を採用すれば、上記実施形態のように直線状の内周側側壁172によって気泡を連通路180に導くようにした場合と比較して、各ポート孔110a〜110dにより近い部分に冷却水を流すことができるようになる。その結果、排気を冷却する能力を更に向上させることができるようになる。
【0074】
・上記実施形態にあっては各ポート孔110a〜110d間に1つずつ連通路180を設ける構成を示したが、連通路180を設ける数や連通路180を設ける位置は適宜変更することができる。
【0075】
例えば、図8に示されるように中央側に位置するポート孔110bとポート孔110cとの間にのみ連通路180を設け、ウォータジャケット170のポート群よりも下方に位置する部分170Bにおける内周側側壁172を中央の連通路180に向かって上方に傾斜させるといった構成を採用することもできる。
【0076】
・上記実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、全てのポート孔110a,110b,110c,110dを取り囲むようにウォータジャケット170を形成する構成を示した。これに対して、本発明は、このように全てのポート孔110a,110b,110c,110dを取り囲むように形成されたウォータジャケット170を備えるものに限定的に適用されるものではない。
【0077】
例えば、図9に示されるように、4つのポート孔110a,110b,110c,110dのうち、中央側の2つのポート孔110b,110cを1つのポート群とし、これら2つのポート孔110b,110cのみを取り囲むように形成されたウォータジャケット170を備える排気冷却用接続管100に本発明を適用することもできる。
【0078】
こうした構成にあっては、図9に示されるように、ポート孔110bとポート孔110cとの間に連通路180を形成するとともに、ウォータジャケット170のポート孔110b,110cよりも下方側の部分170Bにおける内周側側壁172を中央の連通路180に向かって上方に傾斜させる構成を採用すればよい。
【0079】
・尚、その他、ポート孔110cとポート孔110dのみを取り囲むウォータジャケット170を備えるものや、ポート孔110aとポート孔110bのみを取り囲むウォータジャケット170を備えるものにも同様に本発明を適用することができる。
【0080】
・また、ポート孔110a,110bを取り囲むウォータジャケット170とポート孔110c,110dを取り囲むウォータジャケット170とを双方備えるものに本発明を適用することもできる。
【0081】
・更には、3つのポート孔を取り囲むように形成されたウォータジャケット170を備える排気冷却用接続管100に本発明を適用することもできる。すなわち、ポート孔110a,110b,110cを取り囲むウォータジャケット170を備える排気冷却用接続管100や、ポート孔110b,110c,110dを取り囲むウォータジャケット170を備える排気冷却用接続管100に本発明を適用することもできる。
【0082】
・また、上記実施形態にあっては、4つのポート孔110a,110b,110c,110dを備える排気冷却用接続管100に本発明を適用した構成を示したが、ポート孔が2つ、3つ、又は5つ以上設けられたものに本発明を適用することもできる。
【0083】
すなわち、2つ以上のポート孔からなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケット170を備える排気冷却用接続管100であれば、ウォータジャケット170によって取り囲まれたポート孔の間に連通路180を設け、本発明を適用することができる。
【0084】
・上記実施形態の排気冷却用接続管100にあっては、ウォータジャケット170における下方側の部分170Bにおける連通路180が接続している部分の天井に相当する側壁181の傾斜の勾配を、車両に搭載されるときの姿勢に基づいて予め設定しておくようにしていた。これに対して側壁181の勾配を車両に搭載されるときの姿勢にあわせて予め設定していなくても、排気冷却用接続管100をこの側壁181が連通路180側に向かって上方に傾いた状態になるように配設するようにすれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
・上記実施形態にあっては、冷却水導入口150及び冷却水排出口160を1つずつ備える排気冷却用接続管100を示したが、冷却水導入口150や冷却水排出口160を複数設ける構成を採用してもよい。
【0086】
・ボルト締結部125,135の形状や数等は適宜変更することができる。
・上記実施形態にあっては、冷却水排出口160をウォータジャケット170の長手方向における中央に設ける構成を示したが、冷却水排出口160は、必ずしも中央に設けなくてもよい。
【0087】
・冷却水導入口150の位置は適宜変更することができる。しかし、気泡を効果的に排出するためには、上記実施形態のように、ウォータジャケット170の下方に冷却水導入口150を設け、気泡に作用する浮力と冷却水の流れの双方を利用して気泡を排出することができるようにすることが望ましい。
【0088】
・上記実施形態にあっては、各ポート孔110a〜110dが水平方向に並ぶように排気冷却用接続管100を配設する例を示した。これに対して、上記実施形態に記載の排気冷却用接続管100は、各ポート孔110a〜110dが必ずしも水平方向に並ぶように配設されていなくても、冷却水排出口160が上方に開口するように配設されていればよい。尚、各ポート孔110a〜110dが水平方向に並ばなくなるように排気冷却用接続管100を傾けた状態で配設する場合には、配設された状態で内周側側壁172が連通路180に近い部位ほど上方に位置し、連通路180に向かって上方に傾斜した状態となるように、内周側側壁172の勾配をそれぞれ設定しておく必要がある。このように内周側側壁172の勾配を設定しておくことにより、排気冷却用接続管100が傾いた状態で配設された場合であっても、浮力によって浮上する気泡が傾斜した内周側側壁172に沿って連通路に導かれるようになり、上記実施形態と同様の効果を得ることができるようになる。
【0089】
・また、図5に示されるように連通路180を備えていない排気冷却用接続管100にあっても、各ポート孔110a〜110dが水平方向に並ばなくなるように、これを傾けた状態で配設することもできる。尚、傾けた状態で配設する場合には、冷却水排出口160が上方に開口するように配設するとともに、配設された状態で内周側側壁172がウォータジャケット170の長手方向両端部に向かって上方に傾斜した状態となるように、内周側側壁172の勾配をそれぞれ設定しておく必要がある。このように内周側側壁172の勾配を設定しておくことにより、排気冷却用接続管100が傾いた状態で配設される場合であっても、浮力によって浮上する気泡が傾斜した内周側側壁172に沿ってウォータジャケット170の長手方向端部に導かれるようになり、浮力を利用して気泡を上方側の部分170Aに移動させることができるようになる。
【0090】
ところで、気泡をウォータジャケット170の上方に導くために、ウォータジャケット170におけるポート孔110a〜110dよりも下方に位置する部分170Bの内周側側壁172をウォータジャケット170の長手方向端部に向かって上方に傾斜させる際に、長手方向の中央ではない部分を基点として内周側側壁172を上方に向かって傾斜させた場合には、排気冷却用接続管100の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。
【0091】
これに対して、図5に示されるように下方に位置するようになる部分170Bの内周側側壁172をウォータジャケット170の長手方向における中央側の部位ほど外側に位置するように傾斜させれば、長手方向の中央ではない部分を基点として同じ傾斜角度で内周側側壁172を上方に向かって傾斜させた場合と比較して、排気冷却用接続管100の高さ方向の寸法を小さくすることができる。すなわち、長手方向の中央ではない部分を基点として内周側側壁172を上方に向かって傾斜させる場合と比較して、排気冷却用接続管100をコンパクトにすることができる。
【0092】
・上記実施形態にあっては、本発明を、直列4気筒型の内燃機関に接続される排気冷却用接続管として具体化した例を示したが、本発明は直列4気筒型の内燃機関に限定的に適用されるものではない。例えばV型6気筒、V型8気筒の内燃機関の各バンクに接続される排気冷却用接続管に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0093】
10…内燃機関、20…排気マニホルド、100…排気冷却用接続管、110a,110b,110c,110d…ポート孔、120…機関側接続面、125…ボルト締結部、130…マニホルド側接続面、135…ボルト締結部、140…ボルト孔、150…冷却水導入口、160…冷却水排出口、170…ウォータジャケット、171…外周側側壁、172…内周側側壁、180…連通路、181…側壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並ぶように配設された複数のポート孔と、これらポート孔からなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケットとを有し、前記ポート孔を通じて流れる排気を冷却する排気冷却用接続管であって、
隣接するポート孔の間に、前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分同士を接続する連通路が設けられているとともに、前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分のうち、一方の部分における外周側側壁に冷却水排出口が設けられており、他方の部分における内周側側壁が前記連通路に近い部位ほど内側に位置するように傾斜している
ことを特徴とする排気冷却用接続管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気冷却用接続管において、
隣接するポート孔の間に位置する部分の各々に前記連通路が設けられている
ことを特徴とする排気冷却用接続管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気冷却用接続管において、
前記連通路に近い部位ほど内側に位置するように傾斜している前記内周側側壁が、前記ポート孔の形状に沿って湾曲している
ことを特徴とする排気冷却用接続管。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用接続管において、
前記ウォータジャケットにおける前記連通路が接続している部分のうち、車両に搭載されるときの姿勢において下方に位置する部分では、同ウォータジャケットの天井となる側壁全体が、前記連通路側の部位ほど高くなるように傾斜している
ことを特徴とする排気冷却用接続管。
【請求項5】
請求項4に記載の排気冷却用接続管において、
同排気冷却用接続管が取り付けられる内燃機関は、同内燃機関に取り付けられた前記排気冷却用接続管における前記ポート孔の中心軸の延伸方向が水平方向に対して傾いた状態となるような姿勢で車両に搭載されるものであり、
前記天井となる側壁は、車両に搭載されるときの姿勢において同側壁が上方に向かって傾斜した状態になるようにその傾斜の勾配が設定されている
ことを特徴とする排気冷却用接続管。
【請求項6】
一列に並ぶように配設された複数のポート孔と、これらポート孔からなるポート群を取り囲むように形成されたウォータジャケットとを有し、前記ポート孔を通じて流れる排気を冷却する排気冷却用接続管であって、
前記ウォータジャケットにおける前記ポート群を挟んで位置する長手方向に延びる部分のうち、一方の部分における外周側側壁に冷却水排出口が設けられており、他方の部分における内周側側壁が前記ウォータジャケットの長手方向における中央側の部位ほど外側に位置するように傾斜している
ことを特徴とする排気冷却用接続管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−179372(P2011−179372A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42834(P2010−42834)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】