説明

排気熱交換装置

【課題】入口ガスタンクおよびフランジにおける温度低下を図り、耐熱性の低い材料での形成を可能とする排気熱交換装置を提供する。
【解決手段】水タンク内空間130Eを流通する冷却流体と、ガスタンク140によってチューブ110内に供給される排気との間で熱交換する排気熱交換装置において、ガスタンク140は、排気流路140Cの外側に外側空間140Dが形成される二重構造となっており、外側空間140Dと水タンク内空間130Eとを連通させる連通部150を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置に関するもので、EGR(排気再循環装置)用の排気を冷却するEGRガス熱交換装置(EGRガスクーラ)に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
従来の排気熱交換装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。即ち、特許文献1の排気熱交換装置においては、内部にインナーフィンが収容され、EGR用の排気(以下、EGRガス)の流通流路を形成するチューブが複数積層されて、細長筒状の水タンク(ケーシング)内に配設されている。水タンクの長手方向の一端側には、EGRガスを各チューブに分配供給する入口ガスタンクが設けられ、また、ケーシングの長手方向の他端側には、各チューブから流出されるEGRガスを集合回収する出口ガスタンクが設けられている。各ガスタンクの先端には、EGRガス配管と接続するためのフランジ(ジョイント部)が設けられている。水タンクの長手方向の両端部側には水タンクに対して冷却水が流入、流出する入口水パイプ(流入口)および出口水パイプ(流出口)が設けられている。そして、水タンク内部と各ガスタンク内とは、チューブの長手方向端部側に設けられたコアプレートによって仕切られて、チューブ内を流通するEGRガスが、各水パイプを介して水タンク内でチューブの外側を流通する冷却水によって冷却されるようになっている。
【0003】
上記の各部材(チューブ、インナーフィン、入口ガスタンク、出口ガスタンク、フランジ、入口水パイプ、出口水パイプ、およびコアプレート)は、すべてステンレス材によって形成されて、一体的にろう付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−106785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の排気熱交換装置においては、上記のように各部材はステンレス材から形成されており、近年熱交換器の材料として広く使用されているアルミニウム材に比べて、重量面、材料費の面、ろう付け性の面で不利となっている。しかしながら、軽量化、および材料費低減、ろう付け性向上のために例えばアルミニウム化を図ろうとすると、アルミニウム材はステンレス材に比べて耐熱性が低いため、以下の問題が発生する。
【0006】
まず、特にEGRガスの入口側においては、EGRガス温度に対して強度低下が大きく、フランジにおけるEGRガス配管との機械的な締結強度が確保できなくなる。また、入口ガスタンクにおける基本的なタンク強度が確保できなくなる。更に、EGRガスに晒される入口ガスタンクと冷却水に晒される水タンクとの間には、温度差に伴う熱膨張差が生じることになるが、アルミニウム材はステンレス材に対して線膨張係数が大きいため、アルミニウム材の場合ではステンレス材の場合に比べて入口ガスタンクと水タンクとの接続部において、大きな熱応力が発生する。よって、特に熱的に厳しい入口ガスタンクおよびフランジにおける温度低下を図る必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、入口ガスタンクおよびフランジにおける温度低下を図り、耐熱性の低い材料での形成を可能とする排気熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、内燃機関から排出される排気が流通するチューブ(110)と、
チューブ(110)を内部に収容する筒状の水タンク(130)と、
排気が流通する排気流路(140C)を形成し、一方の開口部(146)が水タンク(130)の開口側端部(130C)に接続され、他方の開口部(147)に排気管との接続用のフランジ(148)が設けられたガスタンク(140)と、
水タンク(130)の内部でチューブ(110)の外側に形成される水タンク内空間(130E)と、排気流路(140C)とを区画すると共に、排気流路(140C)とチューブ(110)内部とを連通させる区画部(112A、190)とを備え、
水タンク内空間(130E)を流通する冷却流体と、ガスタンク(140)によってチューブ(110)内に供給される排気との間で熱交換する排気熱交換装置において、
ガスタンク(140)は、排気流路(140C)の外側に外側空間(140D)が形成される二重構造となっており、
外側空間(140D)と水タンク内空間(130E)とを連通させる連通部(150)が設けられたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、通常、水タンク内空間(130E)を流通する冷却流体を、連通部(150)によってガスタンク(140)の外側空間(140D)にも流すことができるので、排気の熱の影響を最も受けやすいガスタンク(140)およびフランジ(148)を冷却流体によって効果的に冷却することができる。よって、「課題の項」で説明したような問題点、つまりガスタンク(140)およびフランジ(148)の温度上昇に伴う、フランジ(148)の排気管との機械的な締結強度低下、ガスタンク(140)自身のタンク強度低下、および水タンク(130)とガスタンク(140)間の過大な熱応力の発生、について抑制することができ、例えばアルミニウム材のような耐熱性の低い材料を用いた排気熱交換装置(100A)の形成が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、水タンク(130)の開口側端部(130C)には、区画部(112A、190)よりも径方向外側に膨出する水タンク膨出部(133c)が設けられ、
ガスタンク(140)の一方の開口部(146)における外側空間(140D)の外側の壁部(144)には、区画部(112A、190)よりも径方向外側に膨出して外側空間(140D)と連通するガスタンク膨出部(145)が設けられ、
連通部(150)は、水タンク膨出部(133c)と、ガスタンク膨出部(145)とが接続されて、水タンク膨出部(133c)およびガスタンク膨出部(145)の内側に形成される流路であることを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、専用の配管等を用いることなく、水タンク(130)およびガスタンク(140)に一体で連通部(150)を形成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、水タンク(130)およびガスタンク(140)のうち、ガスタンク(140)に、冷却流体を流入させる冷却流体流入口(170)が設けられたことを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)をガスタンク(140)に設けることによって、冷却流体をガスタンク(140)の外側空間(140D)に流した後に、連通部(150)を介して水タンク内空間(130E)に流すことができるので、排気熱交換装置(100A)に使用される冷却流体の全量をガスタンク(140)の外側空間(140D)に供給でき、ガスタンク(140)およびフランジ(148)を効果的に冷却することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
冷却流体流入口(170)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において、連通部(150)とは反対側に設けられたことを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)から外側空間(140D)に流入された冷却流体を、2つの流れに分流させてそれぞれ外側空間(140D)の周方向に流れさせ、更に冷却流体流入口(170)とは反対側の連通部(150)において合流するように流すことができる。よって、冷却流体を外側空間(140D)の全体に渡って流すことができるので、ガスタンク(140)およびフランジ(148)を効果的に冷却することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に対して交差する方向に開口しており、
冷却流体流入口(170)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
連通部(150)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において少なくとも2箇所設けられて、
2箇所の連通部(150、151)は、互いに対向するように配置されたことを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)から外側空間(140D)に流入した冷却流体を、対向配置された少なくとも2箇所の連通部(150)向けて流すことができるので、冷却流体流入口(170)がガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿って開口している場合においても、冷却流体を外側空間(140D)の全体に渡って流すことができ、ガスタンク(140)およびフランジ(148)を効果的に冷却することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
冷却流体流入口(170)は、ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において、連通部(150)と近接して設けられ、
外側空間(140D)における冷却流体流入口(170)側の領域と、連通部(150)側の領域との間には、両領域を仕切る仕切り部(149)が形成されたことを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)から外側空間(140D)に流入された冷却流体を、仕切り部(149)によって直接的に連通部(150)に流入させることなく、一方の開口部(146)を貫く軸線の周方向に流れさせ、その後に連通部(150)に至るように流すことができる。つまり、外側空間(140D)内において周方向にほぼ一周分、冷却流体を流すことができる。よって、冷却流体を外側空間(140D)の全体に渡って流すことができるので、ガスタンク(140)およびフランジ(148)を効果的に冷却することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、水タンク(130)およびガスタンク(140)のうち、水タンク(130)に、冷却流体を流入させる冷却流体流入口(170)が設けられたことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)を水タンク(130)に設けることによって、水タンク(130)に供給される冷却流体の一部を、連通部(150)を介してガスタンク(140)の外側空間(140D)に流すことができる。これは、ガスタンク(140)およびフランジ(148)に対する排気の熱の影響の度合いによっては、冷却流体の全量を外側空間(140D)内に供給する必要のない場合に用いて好適である。
【0023】
請求項8に記載の発明では、連通部(150)は、水タンク(130)の開口側端部(130C)を形成する外周面において少なくとも2箇所設けられ、
2箇所の連通部(150、151)のうちの一方は、冷却流体流入口(170)に近接配置され、
2箇所の連通部(150、151)のうちの他方は、一方の連通部(150)と対向するように配置されたことを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、冷却流体流入口(170)から水タンク内空間(130E)に流入された冷却流体の一部を、冷却流体流入口(170)に近接する一方の連通部(150)からガスタンク(140)の外側空間(140D)に流入させ、2つの流れに分流させてそれぞれ外側空間(140D)の周方向に流れさせ、更に対向する側の他方の連通部(151)において合流させて、再び水タンク内空間(130E)に流入させることができる。よって、冷却流体を外側空間(140D)の全体に渡って流すことができるので、ガスタンク(140)およびフランジ(148)を効果的に冷却することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とが接合されて形成されたことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、複雑な加工を不用として容易に外側空間(140D)を備えるガスタンク(140)を形成することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、連通部(150)には、冷却水が外側空間(140D)から水タンク内空間(130E)へ流れるようになっており、
連通部(150)の下流側端部には、連通部(150)を流通する冷却流体の流れ方向を、チューブ(110)の長手方向に交差する方向に向ける偏向部(154)が設けられたことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、外側空間(140D)から連通部(150)を水平方向に流れる冷却流体は、偏向部(154)に衝突して、垂直方向の流れとなって、水タンク内空間(130E)に流入する。連通部(150)から水タンク内空間(130E)に流入する冷却流体は、水タンク内空間(130E)の奥側まで到達するようになるので、奥側において冷却流体流れが淀むのを抑制することができる。よって、冷却流体の淀みによって、排気から受ける熱によって冷却流体が局部的に沸騰してしまうことを抑制することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明では、チューブ(110)の表面には、連通部(150)から水タンク内空間(130E)に流入する冷却流体の流れ方向を、ガスタンク(140)側へ向ける偏向リブ(118)が形成されたことを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、複数の偏向リブ(118)によって、冷却流体の流れの一部は、ガスタンク(140)側を向くように曲げられつつ、偏向部(154)側から奥側のチューブ(110)の角部側に向けて流れる。したがって、連通部(150)から水タンク内空間(130E)に流入する冷却流体は、チューブ(110)の表面全体に渡って流れるようになるので、冷却流体の流れが淀むのを抑制することができる。よって、冷却流体の淀みによって、排気から受ける熱によって冷却流体が局部的に沸騰してしまうことを抑制することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明では、ガスタンク(140)の他方の開口部(147)の周りには、他方の開口部(147)を貫く軸線に直交する平面部(140a)が形成されており、
フランジ(148)は、平面部(140a)に接合されていることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、平面部(140a)によって、フランジ(148)とガスタンク(140)とのろう付け面積を拡大することができるので、ガスタンク(140)に対するフランジ(148)の接合強度を向上させることができる。更には、フランジ(148)とガスタンク(140)との接合面積が拡大されていることから、外側空間(140D)を流通する冷却流体によって、フランジ(148)を効果的に冷却することができる。よって、排気の熱によるフランジ(148)の温度上昇を抑えて、フランジ(148)の耐熱強度を向上させることができる。
【0033】
請求項13に記載の発明では、フランジ(148)は、他方の開口部(147)と連通する連通孔(148a)を有しており、
連通孔(148a)の内周面には、犠牲腐食層が形成されたことを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、フランジ(148)において、連通孔(148a)の内周面に設けられた犠牲腐食層が、まず排気によって腐食されていくので、フランジ(148)の連通孔(148a)の内周面が直接的に腐食されるのを抑制することができる。
【0035】
請求項14に記載の発明では、チューブ(110)は、横断面が扁平矩形形状をなして、扁平矩形形状の長辺が互いに対向するように複数積層されており、
区画部(112A、190)は、複数のチューブ(110)の長手方向端部の全周に形成された張出し部(112)が互いに接合されて形成されたことを特徴としている。
【0036】
この発明によれば、区画部(112A)をチューブ(110)の張出し部(112)によって形成できるので、例えばプレート部材のような専用の区画用部品を不用として排気熱交換装置(100A)を形成することができる。
【0037】
請求項15に記載の発明では、水タンク(130)は、チューブ(110)の積層方向に分割された第1、第2水タンク(130A、130B)から形成されており、
ガスタンク(140)の一方の開口部(146)は四角形状を成しており、開口部(146)の積層方向と交差する方向の一辺は、積層方向に沿うように折曲げられた折曲げ部(140b、140c)を有しており、
水タンク(130)と、ガスタンク(140)との間には、水タンク(130)の内面(137)と、折曲げ部(140b、140c)とにそれぞれ当接する断面L字状の板部材(210)が介在されたことを特徴としている。
【0038】
この発明によれば、ろう付け時に、ろう材の溶融によってチューブ(110)の積層寸法が小さくなっても、板部材(210)は、第1水タンク(130A)、あるいは第2水タンク(130B)と共に、チューブ(110)の積層寸法が小さくなる方向への移動が可能であり、また、板部材210は、折曲げ部(140b、140c)に沿って移動可能となる。したがって、ろう付け時において、チューブ(110)の積層寸法が小さくなっても、チューブ(110)と、水タンク(130)あるいはガスタンク(140)との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0039】
請求項16に記載の発明では、ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とから形成されており、
外側ガスタンク(140A)および水タンク(130)は、チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割されたものが、チューブ(110)の積層方向の寸法を吸収可能として接合されて形成されており、
長手方向と交差する方向に分割された少なくとも一方の外側ガスタンク(1402)および水タンク(130B)は、一体で形成されていることを特徴としている。
【0040】
この発明によれば、ろう付け時に、ろう材の溶融によってチューブ(110)の積層寸法が小さくなっても、一体で形成されたタンク(1314)は、チューブ(110)の積層寸法が小さくなる方向への移動が可能となるので、チューブ(110)と、水タンク(130)あるいはガスタンク(140)との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0041】
請求項17に記載の発明では、区画部(112A、190)は、板状を成して、チューブ(110)の長手方向端部が貫通された区画プレート(190)であることを特徴としている。
【0042】
この発明によれば、区画プレート(190)によって、積層される複数のチューブ(110)間には予め隙間が形成される形となるので、複数のチューブ(110)が直接的に当接して積層される場合のように、ろう付け時にチューブ積層寸法が減少することがない。したがって、ろう付け時において、チューブ(110)と水タンク(130)あるいはガスタンク(140)との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0043】
請求項18に記載の発明では、ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とから形成されており、
外側ガスタンク(140A)は、チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割された第1ガスタンク(1401)と第2ガスタンク(1402)とが接合されて形成されており、
水タンク(130)は、チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割された第1水タンク(130A)と第2水タンク(130B)とが接合されて形成されており、
第1ガスタンク(1401)と第1水タンク(130A)は、一体で形成されており、
第2ガスタンク(1402)と第2水タンク(130B)は、一体で形成されていることを特徴としている。
【0044】
この発明によれば、区画プレート(190)に対して、水タンク(130)およびガスタンク(140A)をろう付けする際に、各タンク(130、140A)の嵌合部において両者が板厚方向に重なる部位をなくすことができる。したがって、ろう付けする際に各部材の寸法精度のバラツキや、組付け状態のバラツキ等によって両タンク(130、140A)間に隙間が形成されることがなく、ろう付け品質を向上させることができる。
【0045】
請求項19に記載の発明のように、本排気熱交換装置(100A)は、排気は、内燃機関の吸気側に供給される再循環用の排気であり、冷却流体は、内燃機関を冷却する冷却水であるものに適用して好適である。
【0046】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を
示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図2】図1における各構成部材を示す分解斜視図である。
【図3】図1におけるEGRガスクーラの下側外観を示す斜視図である。
【図4】連通部を示す断面図である。
【図5】第2実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図6】図5における下側外観を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図8】図7における下側外観を示す斜視図である。
【図9】第4実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図10】図9における下側外観を示す斜視図である。
【図11】第5実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図12】図11におけるEGRガスクーラの下側外観を示す斜視図である。
【図13】図11における入口ガスタンクの断面形状を示す断面図である。
【図14】第6実施形態におけるEGRガスクーラを示す断面図である。
【図15】第7実施形態におけるEGRガスクーラを示す断面図である。
【図16】第8実施形態におけるEGRガスクーラを示す断面図である。
【図17】第8実施形態における他のEGRガスクーラを示す断面図である。
【図18】第9実施形態におけるEGRガスクーラの各構成部材を示す分解斜視図である。
【図19】図18における各構成部材の接合状態を示す断面図である。
【図20】第10実施形態におけるEGRガスクーラを示す断面図である。
【図21】第11実施形態におけるEGRガスクーラの外観全体を示す斜視図である。
【図22】図21におけるEGRガスクーラの各構成部材を示す縦断面図である。
【図23】図21におけるEGRガスクーラの各構成部材を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0049】
(第1実施形態)
第1実施形態は、本発明に係る排気熱交換装置を車両用ディーゼルエンジンあるいはガソリンエンジン(内燃機関であり、以下エンジン)の排気ガス再循環装置(EGR)におけるEGRガスクーラ100Aに適用したものである。以下、図1〜図4を用いて、EGRガスクーラ100Aの構成について説明する。
【0050】
図1はEGRガスクーラ100Aの外観全体を示す斜視図、図2は図1における各構成部材を示す分解斜視図、図3は図1におけるEGRガスクーラ100Aの下側外観を示す斜視図(図1の上下を反転した斜視図)、図4は連通部150を示す断面図である。尚、図1、図2、図4において図面の上側を各構成説明における「上側」とし、図面の下側を各構成説明における「下側」としている。
【0051】
EGRガスクーラ100Aは、エンジンの吸気側に再循環させる排気を、エンジン冷却用の冷却流体としての冷却水によって冷却する排気熱交換装置である。このEGRガスクーラ100Aは、図1〜図4に示すように、内部にインナーフィン120が配設される複数のチューブ110、水タンク130、入口ガスタンク140、出口ガスタンク160、入口水パイプ170、および出口水パイプ180等から構成されている。以下説明する各部材は、軽量で熱伝導性に優れ、且つ安価なアルミニウム材、あるいはアルミニウム合金材から成形されており、各部材の当接部がろう付あるいは溶接により接合されている。
【0052】
チューブ110は、内部を排気が流通する管部材であり、2枚のチューブプレートから形成されている(図省略)。各チューブプレートは、プレス加工またはロール加工によって平板から断面が浅いコの字形状に形成されている。そして、各チューブプレートの開口側が互いに接合されることで、チューブ110は、長手方向に交差する横断面が、扁平な矩形形状を成す細長の管部材として形成されている。チューブ110の内部には、薄肉板材から断面波形状にプレス加工されたインナーフィン120が配設されている。インナーフィン120は、チューブ110の内面(後述するチューブ基本面111)に接合されている。このインナーフィン120を有するチューブ110は、インナーフィン120を両チューブプレートによって挟み込むようにして組付けを行った後に、接合することで形成される。
【0053】
チューブ110は、扁平矩形断面の長辺側となるチューブ基本面111が互いに対向するように複数積層されており、チューブ110の内部に形成されるガス流路114、およびチューブ110の外側に形成される水流路115(詳細後述)を有している。ガス流路114には、排気が流通し、また、水流路115には、冷却水が流通する。
【0054】
チューブ基本面111には、凸部112および凹部113が設けられている。凸部112は、チューブ基本面111の表面から外方に向けて突出するようにプレス加工された打出し部であり、チューブ基本面111の外周部に堰のように形成されている。そして、凹部113は、上記凸部112の突出頂点からチューブ基本面111側にへこむへこみ部として形成されている。換言すると、凹部113は、凸部112の成形されない凸部非成形部として設けられている。凹部113の形成される位置は、ここではチューブ基本面111における1つの対角の位置となる2箇所としている。図2で説明するならば、凹部113はチューブ基本面111の左下部と右上部とに形成されている。上記チューブ110は、図2に示すように、チューブ基本面111に形成された凸部112が互いに当接するように複数積層されて、各凸部112同士が接合されている。
【0055】
そして、凸部112のうち、各チューブ110の長手方向端部に形成された凸部112同士が接合されることで、複数積層されたチューブ110の長手方向端部には、後述する水タンク130の内部(水流路115)と各ガスタンク140、160の内部とを区画する区画部112Aが形成されている。
【0056】
ここで、複数積層されるチューブ110間において、凸部112の内側領域には空間が形成されて、この空間が冷却水用の水流路115となっている。また、チューブ基本面111で2箇所形成される凹部113のうち、チューブ110長手方向の一方(図2中の左下側)の凹部113同士によって形成される開口部は、外部と上記水流路115とが連通して冷却水が流入する流入側開口部113aとなっている。また、チューブ基本面111で2箇所形成される凹部113のうち、チューブ110長手方向の他方(図2中の右上側)の凹部113同士によって形成される開口部は、外部と上記水流路115とが連通して冷却水が流出する流出側開口部113bとなっている。ここでは、ガス流路114(チューブ110内)において、排気ガスが流入する側を流入側開口部113aとし、その反対側を流出側開口部113bとしている。
【0057】
そして、チューブ110の流入側開口部113a側となるチューブ基本面111には、チューブ110の外表面における冷却水の温度境界層の温度を低下させる温度低下手段としての凸状部が形成されている。凸状部は、ここでは、複数のディンプル116として形成されている。ディンプル116は、例えば円筒形の凸状部として設定することができ、碁盤目状に複数配置されている。ディンプル116の突出寸法は、チューブ110の外周部の凸部112の突出寸法と同一としている。
【0058】
また、チューブ基本面111の流入側開口部113aの近傍には、冷却水の流れをできるだけチューブ基本面111の全体に拡げ、流出側開口部113bへと向かうようにするための整流部117が設けられている。整流部117も上記ディンプル116と同様にチューブ基本面111から突出するようにして形成されている。
【0059】
水タンク130は、複数積層されたチューブ110を内部に収容する筒状の容器体であり、第1水タンク130Aと第2水タンク130Bとから形成されている。
【0060】
第1水タンク130Aは、チューブ基本面111に対向する本体部131と、この本体部131の上側端部からチューブ110側に略90度に折り曲げられた上面部132と、本体部131の下側端部からチューブ110側に略90度に折り曲げられた下面部133とを備えて、横断面形状がコの字状を成している。上面部132の長手方向における流出側開口部113bに対応する側の端部には、外側(上側)に膨出する膨出部132aが形成されており、更に、この膨出部132aの領域内には、バーリング部(縁立て部)を備え、出口水パイプ180接続用となるパイプ孔132bが穿設されている。また、下面部133の長手方向の両端部には、外側(下側)に膨出する膨出部133a、133bが形成されている。
【0061】
第2水タンク130Bは、チューブ基本面111に対向する本体部134と、この本体部134の上側端部からチューブ110側に略90度に折り曲げられた上面部135と、本体部131の下側端部からチューブ110側に略90度に折り曲げられた下面部136とを備えて、横断面形状が上記第1水タンク130Aよりも浅いコの字状を成している。上面部135の長手方向における流出側開口部113bに対応する側の端部には、第1水タンク130Aと同様に、外側(上側)に膨出する膨出部135aが形成されている。また、下面部136の長手方向の両端部には、第1水タンク130Aと同様に、外側(下側)に膨出する膨出部136a、136bが形成されている。
【0062】
第1水タンク130Aと第2水タンク130Bとは、コの字状断面の開口側が互いに接合されて、断面四角形状を成す筒状の水タンク130を形成している。水タンク130の長手方向の両端部は、外部に開口する開口側端部130C、130Dとなっている。そして、両開口側端部130C、130Dのうち、後述する入口ガスタンク140側となる開口側端部130Cには、水タンク膨出部としての膨出部133cが形成されている。膨出部133cは、四角形状を成す開口側端部130Cの下側の辺の中央部で、この下側の辺よりも外側(下側)に膨出するようにして、且つ上述した膨出部133aに繋がるように形成されている。
【0063】
入口ガスタンク140は、排気管からの排気を内部に流通させて、この排気を複数のチューブ110に分配供給するための排気流路140Cを形成するものであり、外側ガスタンク140Aと内側ガスタンク140Bとから形成されて、二重構造を成している。
【0064】
外側ガスタンク140Aは、外形形状が直方体状を成して、チューブ110側となる一方の面が開口する半容器体として形成されている。開口している部位は、開口部141となっている。開口部141は、四角形状を成している。この開口部141と対向する側となる他方の面の下方には、バーリング部を備え、フランジ148接続用となる円形のフランジ孔142が穿設されている。また、外側ガスタンク140Aの上側となる面には、入口水パイプ170の接続用のパイプ孔143が穿設されている。
【0065】
更に、外側ガスタンク140Aの下側となる外側壁部144には、ガスタンク膨出部としての膨出部145が形成されている(図3)。膨出部145は、四角形状を成す開口部141の下側の辺の中央部で、この下側の辺よりも外側(下側)に膨出すると共に、フランジ孔142側に向けて順次膨出量が小さくなるように形成されている。膨出部145は、外側ガスタンク140Aにおいてパイプ孔143の形成された面に対向する(反対側となる)面に設けられている。
【0066】
内側ガスタンク140Bは、漏斗状を成して内部に排気流路140Cを形成するものであり、チューブ110側となる一方側に四角形状を成す開口部146が形成され、他方側にバーリング部を備え、フランジ148接続用となる円形のフランジ孔147が形成されている。開口部146は本願発明における一方の開口部に対応し、フランジ孔147は本願発明における他方の開口部に対応する。他方の開口部は、一方の開口部を貫く軸線に沿った方向に開口している。
【0067】
内側ガスタンク140Bは、外側ガスタンク140Aの内部に挿入され、開口部146の外周面と、膨出部145を除く開口部141の内周面とが互いに接合され、またフランジ孔147のバーリング部の外周面と、フランジ孔142のバーリング部の内周面とが互いに接合されて、入口ガスタンク140が形成されている。このように形成される入口ガスタンク140は、内側ガスタンク140Bと外側ガスタンク140Aとの二重構造によって、内側ガスタンク140Bの排気流路140Cの外側、つまり内側ガスタンク140Bと外側ガスタンク140Aとの間に外側空間140Dを備えるタンクとなっている。外側空間140Dは、膨出部145を介して入口ガスタンク140の外部と連通している。
【0068】
入口ガスタンク140には、排気ガス再循環装置における相手側排気管との接続用のフランジ148が接合されている。フランジ148は、外形が菱形状を成す板部材であり、中心部に連通孔148aが穿設され、また両端側にボルトによる締結用のボルト孔(雌ねじ)148bが形成されている。連通孔148aと、入口ガスタンク140のフランジ孔142、146とが連通するようにして、フランジ148は、入口ガスタンク140に接合されている。そして、入口ガスタンク140の開口部146の内周面は、複数積層されたチューブ110の区画部112Aの外周面に接合されている。よって、内側ガスタンク140Bの排気流路140Cは、各チューブ110内のガス流路114と連通している。
【0069】
出口ガスタンク160は、漏斗状を成して内部に排気流路を形成するものであり、チューブ110側となる一方側に四角形状を成す開口部161が形成され、他方側にバーリング部を備え、フランジ163接続用となる円形のフランジ孔162が形成されている。出口ガスタンク160には、排気ガス再循環装置における相手側排気管との接続用のフランジ163が接合されている。フランジ163は、上記フランジ148と同様に、外形が菱形状を成す板部材であり、中心部に連通孔が穿設され、また両端側にボルトによる締結用のボルト孔(雌ねじ)が形成されている。連通孔と、出口ガスタンク160のフランジ孔162とが連通するようにして、フランジ163は、出口ガスタンク160に接合されている。そして、出口ガスタンク160の開口部161の内周面は、複数積層されたチューブ110の区画部112Aの外周面に接合されている。よって、出口ガスタンク160の内部となる排気流路は、各チューブ110内のガス流路114と連通している。
【0070】
そして、第1水タンク130A、第2水タンク130Bは、チューブ積層方向から複数積層されたチューブ110の外側を覆うように組付けされて、チューブ110は水タンク130内に収容された形となっている。水タンク130の開口側端部130C、130Dの内周面は、各ガスタンク140の開口部141、161の外周面に接合されている。
【0071】
よって、水タンク130の膨出部133a、136aによって形成される空間と、複数積層されたチューブ110の側面部における開口部113aとが連通している。また、水タンク130の膨出部132a、135aによって形成される空間と、複数積層されたチューブ110の側面部における開口部113bとが連通している。また、チューブ110の側面部と膨出部133b、136bとの間には空間が形成されている。また、最外方のチューブ110(チューブ基本面111)と本体部131、134との間には、各チューブ110間に形成される水流路115と同様の水流路115が形成されている。更に、チューブ110の上側の側面部と上面部132、135との間、およびチューブの下側の側面部と下面部133、136との間には隙間が形成されている。水タンク130の内部でチューブ110の外側に形成される空間が水タンク内空間130Eとなっている。
【0072】
更に、水タンク130の膨出部133cの内周面が、入口ガスタンク140の膨出部145の外周面に接合され、膨出部133cと膨出部145とが接続されている。この両膨出部133c、145によって、両膨出部133c、145の内側に流路が形成されて、この流路が連通部150となっている。連通部150によって、水タンク130の膨出部133a、136aによって形成される空間と、入口ガスタンク140の外側空間140Dとが連通している。
【0073】
入口水パイプ170は、エンジンから流出される冷却水が流入する冷却流体流入口を形成するものであり、管部材から形成されている。入口水パイプ170の先端部は、外側ガスタンク140Aのパイプ孔143に挿入されて接合されている。入口水パイプ170は、入口ガスタンク140の外側空間140Dと連通している。
【0074】
出口水パイプ180は、チューブ110の水流路115を流通した冷却水が流出する冷却流体流出口を形成するものであり、管部材から形成されている。出口水パイプ180の先端部は、水タンク130の膨出部132aにおけるパイプ孔132bに挿入されて接合されている。出口水パイプ180は、水タンク130の膨出部132a、135aによって形成される空間と連通している。
【0075】
以上のように構成されるEGRガスクーラ100Aにおいては、図1に示すように、エンジンから排出された排気の一部が、フランジ148、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140Bの排気流路140C)を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、出口ガスタンク160、フランジ163から流出される。流出された排気は再びエンジンに吸入される。
【0076】
一方、エンジンの冷却水は、図1、図4に示すように、排気の流入側となる入口水パイプ170、入口ガスタンク140の外側空間140D、膨出部145、連通部150、膨出部133c、膨出部133a、136a、水タンク内空間130E(主に流入側開口部113a、水流路115、流出側開口部113b)を流通して、膨出部132a、135a、出口水パイプ180から流出される。
【0077】
そして、上記ガス流路114を流通する排気と、主に水流路115を流通する冷却水との間で熱交換が行われて、排気ガスが冷却される。
【0078】
本実施形態においては、入口ガスタンク140を二重構造として、内側ガスタンク140Bの排気流路140Cの外側に外側ガスタンク140Aによって外側空間140Dを形成し、また、水タンク130の水タンク内空間130Eと、入口ガスタンク140の外側空間140Dとを連通させる連通部150を形成している。
【0079】
これにより、通常、水タンク130内(水タンク内空間130E)を流通する冷却水を、連通部150によってガスタンク140の外側空間140Dにも流すことができるので、排気の熱の影響を最も受けやすい入口ガスタンク140およびフランジ148を冷却水によって効果的に冷却することができる。よって、「課題の項」で説明したような問題点、つまり入口ガスタンク140およびフランジ148の温度上昇に伴う、フランジ148の排気管との機械的な締結強度低下、入口ガスタンク140自身のタンク強度低下、および水タンク130と入口ガスタンク140間の過大な熱応力の発生、について抑制することができ、例えばアルミニウム材のような耐熱性の低い材料を用いた排気熱交換装置100Aの形成が可能となる。
【0080】
また、連通部150を水タンク130の膨出部133cと、入口ガスタンク140の膨出部145とを接続することで形成するようにしているので、専用の配管等を用いることなく、水タンク130および入口ガスタンク140に一体で連通部150を形成することができる。
【0081】
また、入口水パイプ170をガスタンク140に設けるようにしているので、冷却水をガスタンク140の外側空間140Dに流した後に、連通部150を介して水タンク内空間130Eに流すことができるので、排気熱交換装置100Aに使用される冷却水の全量を入口ガスタンク140の外側空間140Dに供給でき、入口ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0082】
また、入口ガスタンク140のフランジ148側の開口部(フランジ孔142、147)が、チューブ110側の開口部141、146を貫く軸線に沿う方向に開口するものにおいて、入口水パイプ170を、入口ガスタンク140の開口部141、146を形成する外周面において連通部150とは反対側に配置するようにしている。よって、入口水パイプ170から外側空間140Dに流入された冷却流体を、2つの流れに分流させてそれぞれ外側空間140Dの周方向に流れさせ、更に入口水パイプ170とは反対側の連通部150において合流するように流すことができるので、冷却水を外側空間140Dの全体に渡って流すことができ、入口ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0083】
また、外側ガスタンク140Aと内側ガスタンク140Bとを接合することで、入口ガスタンク140を形成するようにしているので、複雑な加工を不用として容易に外側空間140Dを備えるガスタンク140を形成することができる。
【0084】
また、複数のチューブ110の長手方向端部の全周に形成された凸部112を互いに接合することで、水タンク130内部(水タンク内空間130E)と各ガスタンク140、160内部との間の区画を行う区画部112Aを形成するようにしているので、例えばプレート部材のような専用の区画用部品を不用として排気熱交換装置100Aを形成することができる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態の排気熱交換装置100Bを図5、図6に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、外側ガスタンク140Aを水タンク130と一体的に形成すると共に、冷却水、および排気の流入流出方向を変更し、連通部150に対して連通部151を増設したものである。
【0086】
チューブ110の凹部113は、チューブ基本面111の一方の長辺側に2箇所設けられており、流入側開口部113a、流出側開口部113bは、複数積層されたチューブの同一の側面部に形成されている。よって水流路115は、U字状の流路となっている。
【0087】
水タンク130は、チューブ110の上側に配設される第1水タンク130Aと、チューブ110の下側に配設される第2水タンク130Bとから形成されている。第1水タンク130Aにおいて、流入側開口部113a、流出側開口部113bに対応する部位には、それぞれ膨出部132c、132aが設けられている。また、第2水タンク130Bのチューブ110の側面部に対向する部位には、チューブ110の長手方向に沿う膨出部136cと、この膨出部136cに連通する膨出部133bが形成されている。更に、水タンク130の側面には、膨出部132aから膨出部133bに連通する膨出部131a、131bがそれぞれ設けられている。
【0088】
入口ガスタンク140の外側ガスタンク140Aは、水タンク130と一体的に形成されている。入口ガスタンク140の内側ガスタンク140Bにおける一方の開口部はチューブ110の区画部112Aの外周面に接合されている。また、内側ガスタンク140Bにおける他方の開口部、即ちフランジ148側となるフランジ孔147は、一方の開口部を貫く軸線に対して交差する方向に開口している。つまり、図5において、内側ガスタンク140Bの一方の開口部はチューブ110の長手方向に開口しているが、フランジ孔147は下側に向かって開口しており、内側ガスタンク140Bの内部流路はL字状となっている。
【0089】
そして、入口ガスタンク140における外側空間140Dに連通する入口水パイプ170は、内側ガスタンク140Bにおける一方の開口部を貫く軸線に沿う方向に開口するように接合されている。つまり、入口水パイプ170は、チューブ110の長手方向に沿う方向に開口している。
【0090】
水タンク130の内部と入口ガスタンク140における外側空間140Dとを連通させる連通部は、少なくとも2箇所設定されている。即ち、外側空間140Dと膨出部132cとの間に1つの連通部150が形成され、また、外側空間140Dと膨出部136cとの間にもう1つの連通部151が形成されている。このように本実施形態では、連通部150、151は入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)の一方の開口部の周方向に少なくとも2箇所、互いに対向するように配置されている。
【0091】
出口ガスタンク160は、一方の開口部がチューブ110の区画部112Aの外周面に接合され、他方の開口部、即ちフランジ163側となるフランジ孔162は、一方の開口部を貫く軸線に対して交差する方向に開口している。つまり、図7において一方の開口部はチューブ110の長手方向に開口しているが、フランジ孔162は下側に向かって開口しており、出口ガスタンク160の内部流路はL字状となっている。
【0092】
第2実施形態においては、図5、図6に示すように、エンジンから排出された排気の一部が、下側からフランジ148、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、出口ガスタンク160、フランジ163から下側に向けて流出される。流出された排気は再びエンジンに吸入される。
【0093】
一方、エンジンの冷却水は、水平方向から入口水パイプ170、入口ガスタンク140の外側空間140Dに至り、以下大きく2つの流れを形成する。1つは、外側空間140Dの上側を通り、連通部150から膨出部132c、U字状の水流路115、膨出部132a、出口水パイプ180の順に向かう流れである。もう1つは、外側空間140Dの下側を通り、連通部151から膨出部136c、膨出部133b、膨出部131a、131b、膨出部132a、出口水パイプ180の順に向かう流れである。
【0094】
このように、本実施形態のような冷却水、および排気の流入流出方向を持つものにおいては、入口水パイプ170から外側空間140Dに流入した冷却水を、対向配置された少なくとも2箇所の連通部150、151向けて流すことができるので、入口水パイプ170が入口ガスタンク140の一方の開口部を貫く軸線に沿って開口している場合においても、冷却水を外側空間140Dの全体に渡って流すことができ、入口ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0095】
(第3実施形態)
第3実施形態の排気熱交換装置100Cを図7、図8に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、入口水パイプ170を水タンク130に設け、連通部150に対して連通部151を増設したものである。
【0096】
チューブ110の凹部113は、チューブ基本面111の一方の長辺側に2箇所設けられており、流入側開口部113a、流出側開口部113bは、複数積層されたチューブの同一の側面部に形成されている。よって水流路115は、U字状の流路となっている。
【0097】
水タンク130において、流入側開口部113a、流出側開口部113bに対応する部位には、それぞれ膨出部132c、132aが設けられている。また、水タンク130において、各開口部113a、113bが形成されたチューブ110の側面部とは反対側の側面部と対向する部位には、入口ガスタンク140側からチューブ110の長手方向に沿う膨出部136cと、この膨出部136cに連通する膨出部133bが形成されている。更に、水タンク130の本体部131、134には、膨出部132aから膨出部133bに連通する膨出部131a、134aがそれぞれ設けられている。
【0098】
そして、水タンク130には、膨出部132c内部に連通する入口水パイプ170が接合されている。
【0099】
水タンク130の内部と入口ガスタンク140における外側空間140Dとを連通させる連通部は、少なくとも2箇所設定されている。即ち、外側空間140Dと入口水パイプ170の設けられた膨出部132cとの間に1つの連通部150が形成され、また、外側空間140Dと膨出部136cとの間にもう1つの連通部151が形成されている。このように本実施形態では、連通部150、151のうち、1つの連通部150は、入口水パイプ170に近接して設けられ、もう1つの連通部151は、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)の一方の開口部の周上において対向するように配置されている。
【0100】
出口ガスタンク160は、一方の開口部がチューブ110の区画部112Aの外周面に接合され、他方の開口部、即ちフランジ163側となるフランジ孔162は、一方の開口部を貫く軸線に対して交差する方向に開口している。つまり、図7において一方の開口部はチューブ110の長手方向に開口しているが、フランジ孔162は下側に向かって開口しており、出口ガスタンク160の内部流路はL字状となっている。
【0101】
第3実施形態においては、図7、図8に示すように、エンジンから排出された排気の一部が、水平方向からフランジ148、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、出口ガスタンク160、フランジ163から下側に向けて流出される。流出された排気は再びエンジンに吸入される。
【0102】
一方、エンジンの冷却水は、上側から入口水パイプ170、膨出部132c内に至り、以下大きく2つの流れを形成する。1つは、膨出部132cからU字状の水流路115、膨出部132a、出口水パイプ180の順に向かう流れである。もう1つは、膨出部132c、連通部150から、入口ガスタンク140の外側空間140Dで周方向に分流し、連通部151で合流して、膨出部136c、膨出部133b、膨出部131a、134a、膨出部132a、出口水パイプ180の順に向かう流れである。
【0103】
このように、本実施形態のような冷却水、および排気の流入流出方向を持つものにおいては、水タンク130に供給される冷却水の一部を、連通部150を介してガスタンク140の外側空間140Dに流すことができる。これは、ガスタンク140およびフランジ148に対する排気の熱の影響の度合いによっては、冷却水の全量を外側空間140D内に供給する必要のない場合に用いて好適である。
【0104】
更に、本実施形態では、入口水パイプ170から水タンク130に流入された冷却水の一部を、入口水パイプ170に近接する一方の連通部150からガスタンク140の外側空間140Dに流入させ、2つの流れに分流させてそれぞれ外側空間140Dの周方向に流れさせ、更に対向する側の他方の連通部151において合流させて、再び水タンク130に流入させることができる。よって、冷却水を外側空間140Dの全体に渡って流すことができるので、ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0105】
(第4実施形態)
第4実施形態の排気熱交換装置100Dを図9、図10に示す。第4実施形態は、上記第2実施形態に対して、外側ガスタンク160Aを水タンク130と一体的に形成すると共に、冷却水の流出方向を変更したものである。
【0106】
水タンク130は、チューブ110の上側に配設される第1水タンク130Aと、チューブ110の下側に配設される第2水タンク130Bとから形成されている。水タンク130は、上記第2実施形態に対して、入口ガスタンク140の外側ガスタンク140Aが、水タンク130と一体的に形成されると共に、出口ガスタンク160の外側ガスタンク160Aも水タンク130と一体的に形成されている。また、水タンク130の側面における膨出部131a、131bは廃止されている。
【0107】
出口ガスタンク160は、入口ガスタンク140と同様の構成となっている。即ち、出口ガスタンク160は、外側ガスタンク160Aと内側ガスタンク160Bとから形成されており、外側ガスタンク160Aは、上記のように水タンク130と一体的に形成されている。内側ガスタンク160Bにおける一方の開口部はチューブ110の区画部112Aの外周面に接合されている。また、内側ガスタンク160Bにおける他方の開口部、即ちフランジ163側となるフランジ孔162は、一方の開口部を貫く軸線に対して交差する方向に開口している。つまり、図9において、内側ガスタンク160Bの一方の開口部はチューブ110の長手方向に開口しているが、フランジ孔162は下側に向かって開口しており、内側ガスタンク160Bの内部流路はL字状となっている。
【0108】
そして、出口ガスタンク160における外側空間160Dに連通する出口水パイプ180は、内側ガスタンク160Bにおける一方の開口部を貫く軸線に沿う方向に開口するように接合されている。つまり、出口水パイプ180は、チューブ110の長手方向に沿う方向に開口している。
【0109】
水タンク130の内部と出口ガスタンク160における外側空間160Dとを連通させる連通部は、少なくとも2箇所設定されている。即ち、外側空間160Dと膨出部132aとの間に1つの連通部152が形成され、また、外側空間160Dと膨出部136cとの間にもう1つの連通部153が形成されている。
【0110】
第4実施形態においては、図9、図10に示すように、エンジンから排出された排気の一部が、下側からフランジ148、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、出口ガスタンク160(内側ガスタンク160B)、フランジ163から下側に向けて流出される。流出された排気は再びエンジンに吸入される。
【0111】
一方、エンジンの冷却水は、水平方向から入口水パイプ170、入口ガスタンク140の外側空間140Dに至り、以下大きく2つの流れを形成する。1つは、外側空間140Dの上側を通り、連通部150から膨出部132c、U字状の水流路115、膨出部132a、連通部152、出口ガスタンク160の外側空間160Dの上側、出口水パイプ180の順に向かう流れである。もう1つは、外側空間140Dの下側を通り、連通部151から膨出部136c、連通部153、出口ガスタンク160の外側空間160Dの下側、出口水パイプ180の順に向かう流れである。
【0112】
このように、本実施形態のような冷却水、および排気の流入流出方向を持つものにおいては、入口水パイプ170から外側空間140Dに流入した冷却水を、上記第2実施形態と同様に、対向配置された少なくとも2箇所の連通部150、151向けて流すことができるので、入口水パイプ170が入口ガスタンク140の一方の開口部を貫く軸線に沿って開口している場合においても、冷却水を外側空間140Dの全体に渡って流すことができ、入口ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0113】
(第5実施形態)
第5実施形態の排気熱交換装置100Eを図11〜図13に示す。第5実施形態は、上記第1実施形態に対して、冷却水の流入方向を変更し、入口ガスタンク140の外側空間140Dに仕切り部149を設けたものである。
【0114】
入口ガスタンク140の外側ガスタンク140Aは、内側ガスタンク140Bと同様に漏斗状に形成されており、外側ガスタンク140Aと内側ガスタンク140Bとの間は全体に渡って一様の隙間が形成され、この隙間が外側空間140Dとなっている。
【0115】
入口水パイプ170は、図11に示すように、外側ガスタンク140Aの下側となる外側壁部144に設けられたパイプ孔(図示せず)に挿入されて接合されている。よって、入口水パイプ170は、連通部150と近接配置されている。入口水パイプ170は、入口ガスタンク140の外側空間140Dと連通している。
【0116】
そして、外側空間140Dにおいて、入口水パイプ170側の領域(入口水パイプ170と外側空間140Dとが連通する領域)と、連通部150側の領域との間には、両領域を仕切る仕切り部149が形成されている。仕切り部149は、図13に示すように、例えば板部材から形成されて、外側ガスタンク140Aの内壁と、内側ガスタンク140Bの外壁と、に接合されている。
【0117】
第5実施形態においては、図11に示すように、エンジンから排出された排気の一部が、水平方向からフランジ148、入口ガスタンク140(内側ガスタンク140B)を経て複数のチューブ110内のガス流路114を流通して、出口ガスタンク160、フランジ163から下側に向けて流出される。流出された排気は再びエンジンに吸入される。
【0118】
一方、エンジンの冷却水は、図13に示すように、下側から入口水パイプ170を介して外側空間140Dに流入する。そして、冷却水は、仕切り部149によって直接的な連通部150への流入が阻止されて、入口ガスタンク140の軸線(排気の流れる方向)に対して、周方向に、ほぼ外側空間140Dを一周分、流れた後に、連通部150に至る。更に、冷却水は、連通部150を介して水タンク内空間130E(主に流入側開口部113a、水流路115、流出側開口部113b)を流通して、出口水パイプ180から流出される。
【0119】
このように、本実施形態では、外側空間140D内において周方向にほぼ一周分、冷却水を流すことができ、冷却水を外側空間140Dの全体に渡って流すことができるので、ガスタンク140およびフランジ148を効果的に冷却することができる。
【0120】
(第6実施形態)
第6実施形態のEGRガスクーラ100Fを図14に示す。上記第1実施形態のEGRガスクーラ100Aでは、水平方向に連通部150を流通する冷却水は、水タンク内空間130Eに流入した後、チューブ110の長手方向に沿うように出口水パイプ180側に向けて流れやすくなる。よって、連通部150に対して水タンク内空間130Eの奥側、且つ入口ガスタンク140側となる領域に冷却水の流れが淀む死水域が形成されやすく、排気の熱による冷却水の局部沸騰発生の虞があった。そこで、第6実施形態は、上記第1実施形態に対して、水タンク内空間130Eにおいて死水域の発生を抑制するために、偏向部154および偏向リブ118を追加したものとしている。
【0121】
偏向部154は、膨出部133cおよび膨出部145から形成される連通部150において、入口ガスタンク140の外側空間140Dから水タンク130の水タンク内空間130Eへ向かう下流側端部に形成された階段状の段部として形成されている。偏向部154は、図14に示すように、連通部150を流通する水平方向の冷却水の流れを、チューブ110の長手方向に対して交差する方向、即ち、水タンク内空間130Eの奥側に向かう垂直方向にするようになっている。
【0122】
また、偏向リブ118は、チューブ110の長手方向において、入口ガスタンク140側となる端部近傍の表面から外方に突出する突部として、チューブ110の幅方向に複数形成されている。偏向リブ118は、細長形状になっており、その長手方向は、偏向部154側から水タンク内空間130Eの奥側となるチューブ110の角部側を向くように斜めに配置されている。
【0123】
第6実施形態においては、外側空間140Dから連通部150を水平方向に流れる冷却水は、偏向部154に衝突して、垂直方向の流れとなって、水タンク内空間130Eに流入する。更に、複数の偏向リブ118によって、冷却水の流れの一部は、入口ガスタンク140側を向くように曲げられつつ、偏向部154側から奥側のチューブ110の角部側に向けて流れる。そして、冷却水は、チューブ110の長手方向に向けて流れ、出口水パイプ180から流出する。
【0124】
したがって、連通部150から水タンク内空間130Eに流入する冷却水は、チューブ110の表面全体に渡って流れるようになるので、死水域の発生を抑制することができる。よって、冷却水の淀みによって、排気から受ける熱によって冷却水が局部的に沸騰してしまうことを抑制することができる。
【0125】
(第7実施形態)
第7実施形態のEGRガスクーラ100Gを図15に示す。例えば、外側ガスタンク140Aが内側ガスタンク140Bと同様に、漏斗状を成していると、フランジ148は、フランジ孔147のフランジ部の外周面のみでろう付けされることになり、ろう付け面積が小さなものにとどまり、ろう付け強度が充分に得られない。そこで、第7実施形態は、フランジ148と外側ガスタンク140Aとを強固にろう付けするようにしている。
【0126】
外側ガスタンク140Aは、直方体形状を成しており、フランジ孔(他方の開口部)147の周りには、フランジ孔147を貫く軸線に対して直交する平面部140aが形成されている。外側ガスタンク140Aの表裏面には、ろう材がクラッドされている。
【0127】
一方、フランジ148は、菱形状の厚い板部材であって、平面部140aと対向する面は、当然のことながら、菱形の平面として形成されている。フランジ148の連通孔148aの内周面は、外側ガスタンク140のフランジ孔147のフランジ部の外周面とろう付けされており、更に、フランジ148の菱形の平面は、対向する平面部140aと当接する領域において、ろう付けされている。
【0128】
第7実施形態においては、フランジ148と外側ガスタンク140Aとのろう付け面積を拡大することができるので、外側ガスタンク140Aに対するフランジ148の接合強度を向上させることができる。更には、フランジ148と外側ガスタンク140Aとの接合面積が拡大されていることから、外側空間140Dを流通する冷却水によって、フランジ148を効果的に冷却することができる。よって、排気の熱によるフランジ148の温度上昇を抑えて、フランジ148の耐熱強度を向上させることができる。
【0129】
(第8実施形態)
第8実施形態のEGRガスクーラ100Hを図16に示す。フランジ148は、通常アルミニウムの厚肉板材から、切削加工や打ち抜き加工によって形成される。よって、フランジ148においては、主に板材からプレス加工によって形成されるチューブ110や各タンク130、140とは異なり、表面に犠牲腐食層を予めクラッドすることができない。フランジ148の連通孔148aの内周面は、排気に晒されるため腐食されやすいという問題がある。そこで、第8実施形態は、上記第1実施形態に対して、フランジ148の連通孔148aの内周面に、カラー201を用いて犠牲腐食層を設けるようにしている。
【0130】
カラー201は、リング状の部材である。連通孔148aには、各ガスタンク140A、140Bのそれぞれのフランジ孔142、147におけるフランジ部が嵌合されているが、カラー201の外周面は、上記フランジ部を除く領域で連通孔148aの内周面に当接するようにろう付けされている。そして、カラー201の内周面には犠牲腐食層が予め形成されている。
【0131】
第8実施形態においては、カラー201の内周面に設けられた犠牲腐食層が、まず排気によって腐食されていくので、フランジ148の連通孔148aの内周面(フランジ148の母材)が直接的に腐食されるのを抑制することができる。
【0132】
尚、上記カラー201に対して、図17に示すように、フランジ部202aを有するカラー202を用いるようにしても良い。
【0133】
(第9実施形態)
第9実施形態のEGRガスクーラ100Iを図18、図19に示す。上記第1実施形態のEGRガスクーラ100Aのように、複数のチューブ110が、凸部112において直接的に当接して積層される場合では、ろう付け前に対して、ろう付け後では、チューブ110間のろう材が溶けて流れる分、チューブ110の積層寸法が小さくなる。そして、積層したチューブ110の長手方向端部の外周面に、内側ガスタンク140B、外側ガスタンク140A、更には水タンク130が板厚方向に重なるように組付けられていると(例えば第1実施形態の図4)、チューブ110における積層寸法が小さくなることによって、特にチューブ110と直接当接する部材(例えば内側ガスタンク140B)との間に隙間が発生してしまい、ろう付け品質が充分に確保できなくなる。そこで、第9実施形態では、入口ガスタンク140に折曲げ部140b、140cを設け、また、水タンク130と入口ガスタンク140との間に板部材210を追加することで、ろう付け時におけるチューブ110の積層寸法の減少分を吸収可能とするようにしている。
【0134】
水タンク130は、第1水タンク130Aと第2水タンク130Bとから形成されており、それぞれの本体部131、134がチューブ基本面111に対向している。よって、ろう付け前の状態において、第1水タンク130Aと第2水タンク130Bは、チューブ110の積層方向に分割された形となっている。水タンク130は、第1水タンク130Aの上面部132および下面部133に、第2水タンク130Bの上面部135および下面部136がそれぞれ外側から重なるようにして、ろう付けされて形成されている。ろう付け前の段階で、第1、第2水タンク130A、130Bのチューブ110の積層方向における重なり代を調整することで、水タンク130の積層方向の寸法は調整可能となっている。
【0135】
折曲げ部140bは、外側ガスタンク140Aにおいて四角形状を成す開口部141に形成されている。折曲げ部140bは、四角形状の開口部141の四辺のうち、チューブ110の積層方向と交差する方向に沿う一辺に繋がる側壁が、切起しによってチューブ110の積層方向に沿うように折曲げられることで形成されている。折曲げ部140bが形成される開口部141の一辺は、第2水タンク130Bの本体部134と対向する一辺となっている。
【0136】
また、折曲げ部140cは、上記折曲げ部140bと同様に、内側ガスタンク140Bにおいて四角形状を成す開口部146に形成されている。折曲げ部140cは、四角形状の開口部146の四辺のうち、チューブ110の積層方向と交差する方向に沿う一辺に繋がる側壁が、切起しによってチューブ110の積層方向に沿うように折曲げられることで形成されている。折曲げ部140cが形成される開口部146の一辺は、第2水タンク130Bの本体部134と対向する一辺となっている。
【0137】
板部材210は、長方形の平板が幅方向の中間部で長辺に沿って折曲げられて、断面がL字状となるように形成されている。長方形の平板の長辺の長さは、チューブ110の扁平矩形断面の長辺の長さと略等しい。折曲げによって形成される各面は、第1面部210aと第2面部210bとなっている。板部材210は、図19に示すように、第2水タンク130Bと入口ガスタンク140の間に介在されて、ろう付けされている。
【0138】
即ち、複数積層されたチューブ110の長手方向端部の外周面に、内側ガスタンク140Bの開口部146のうち折曲げ部140cを除く3辺が嵌合されてろう付けされている。また、板部材210の第1面部210aが、第2水タンク130Bの本体部134に対向するチューブ110の凸部112に当接されてろう付けされ、第2面部210bが内側ガスタンク140Bの折曲げ部140cに当接されてろう付けされている。
【0139】
尚、内側ガスタンク140Bおよび板部材210を組付けしたときには、折曲げ部140cの先端部と第1面部210aとの間には所定の隙間が形成されている。また、内側ガスタンク140Bの折曲げ部140cから繋がる側壁と第2面部210bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0140】
また、第1水タンク130Aは、内側ガスタンク140Bの開口部146のうち折曲げ部140cを除く3辺に当接されてろう付けされている。また、第2水タンク130Bの上面部135、下面部136は、第1水タンク130Aの上面部132、下面部133にそれぞれ当接されてろう付けされている。また、第2水タンク130Bの本体部134の内面137は、板部材210の第1面部210aに当接されてろう付けされている。
【0141】
また、第1水タンク130Aの外周面に、外側ガスタンク140Aの開口部141のうち折曲げ部140bを除く3辺が嵌合されてろう付けされている。更に、外側ガスタンク140Aの折曲げ部140bが、第2面部210bに当接されてろう付けされている。
【0142】
各部材を組付けてEGRガスクーラ100Iの形にし、一体的にろう付けする際には、図19に示すように各部材を組付けた後に、例えば仮組み冶具によって、チューブ110の積層方向に向けて、つまり、第2水タンク130Bの本体部134側から第1水タンク130Aの本体部131側に向けて、所定の力を加えて仮固定する。そして、仮組み治具によって仮固定された組み立て体をろう付け炉内に投入して、ろう付けを行う。
【0143】
このとき、積層された各チューブ110間のろう材が溶けて流れるため、その分、チューブ110の積層寸法が小さくなる。しかしながら、本実施形態では、ガスタンク140に折曲げ部140b、140cを設け、更に、断面L字状の板部材210を介在させるようにしている。よって、チューブ110の積層寸法が小さくなっても、板部材210の第1面部210aは、第2水タンク130Bと共に、チューブ110の積層寸法が小さくなる方向への移動が可能であり、また、板部材210の第2面部210bは、折曲げ部140b、140cに沿って移動可能となる。したがって、ろう付け時において、チューブ110の積層寸法が小さくなっても、チューブ110と各部材との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0144】
(第10実施形態)
第10実施形態のEGRガスクーラ100Jを図20に示す。第10実施形態も上記第9実施形態と同様に、複数のチューブ110が直接的に当接して積層される場合に、ろう付け時におけるチューブ110の積層寸法の減少分を吸収可能とするようにしたものである。
【0145】
水タンク130は、チューブ110の積層方向に分割された第1水タンク130Aと第2水タンク130Bとから形成されている。
【0146】
入口ガスタンク140の外側ガスタンク140Aは、第1ガスタンク1401と第2ガスタンク1402とから形成されている。第1ガスタンク1401は、第1水タンク130Aのように断面がコの字状に形成されている。つまり、第9実施形態で説明した外側ガスタンク140Aの第2水タンク130Bの本体部134と隣り合う側壁が取り除かれた形となっている。また、第2ガスタンク1402は、第1ガスタンク1401の側壁が取り除かれた部位を塞ぐ板状のタンクとなっている。
【0147】
内側ガスタンク140Bには、上記第9実施形態と同様に折曲げ部140cが形成されている。また、出口ガスタンク160にも、内側ガスタンク140Bの折曲げ部140cと同様の折曲げ部164が形成されている。
【0148】
そして、第2水タンク130Bと第2ガスタンク1402は、一体で形成されている。以下、一体形成された第2水タンク130Bと第2ガスタンク1402とを一体タンク1314と呼ぶことにする。一体タンク1314の外周部は、略90度折り曲げられて縁立てされた縁立て部138が形成されており、一体タンク1314は浅い蓋状となっている。一体タンク1314において、内側ガスタンク140Bの折曲げ部140cに対応する位置には、内側ガスタンク140B側にへこむ凹部1403が形成されている。
【0149】
ろう付け前の段階で、一体タンク1314は、第1水タンク130A、外側ガスタンク140A、および出口ガスタンク160の開口している側から被せられるようにして、各タンク130A、140A、160に組付けされる。このとき、第2水タンク130Bの本体部134は、チューブ110の凸部112に当接し、外周の縁立て部138は、第1水タンク130A、外側ガスタンク140A、および出口ガスタンク160の開口側周囲の壁面に当接する。また、凹部1403は、内側ガスタンク140Bの折曲げ部140cに当接する。この組付け状態においては、一体タンク1314は、チューブ110の積層方向における縁立て部138および凹部1403での重なり代を調整することで、一体タンク1314の積層方向の位置が調整可能となっている。
【0150】
各部材を組付けてEGRガスクーラ100Jの形にし、一体的にろう付けする際には、図20に示すように各部材を組付けた後に、例えば仮組み冶具によって、チューブ110の積層方向に、つまり、一体タンク1314側から第1水タンク130Aの本体部131に向けて、所定の力を加えて固定する。そして、仮組み治具によって仮固定された組み立て体をろう付け炉内に投入して、ろう付けを行う。
【0151】
このとき、積層された各チューブ110間のろう材が溶けて流れるため、その分、チューブ110の積層寸法が小さくなる。しかしながら、本実施形態では、第2水タンク130Bと、外側ガスタンク140Aの第2ガスタンク1402とを、一体形成された一体タンク1314とし、浅い蓋部材のごとく被せて組付けするようにしている。よって、チューブ110の積層寸法が小さくなっても、一体タンク1314は、チューブ110の積層寸法が小さくなる方向への移動が可能である。したがって、ろう付け時において、チューブ110の積層寸法が小さくなっても、チューブ110と各部材との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0152】
(第11実施形態)
第11実施形態のEGRガスクーラ100Kを図21〜図23に示す。上記の第9実施形態、第10実施形態では、複数のチューブ110が直接的に当接して積層されるものにおいては、ろう付け時にチューブ積層寸法が減少することから、全体のろう付け品質が充分に確保できないという問題があり、ろう付け時において、第2水タンク130B、あるいは一体タンク1314がチューブ110の積層方向に移動可能となるものとした。これに対して、プレート部材を用いて、このプレート部材にチューブの長手方向端部を貫通させ、プレート部材の外周面を水タンク130の内周面、あるいはガスタンク140、160の内周面に接合したものとしても良い。第11実施形態では、水タンク内空間130Eと排気流路140Cとを区画する区画部をチューブ110Aに対して別部材となる区画プレート190によって形成するようにしたものである。
【0153】
チューブ110Aは、上記の第9実施形態、第10実施形態(第1実施形態)で説明したチューブ110に対して、凸部112および凹部113を廃止した通常のチューブである。
【0154】
区画プレート190は、チューブ110Aの両長手方向端部にそれぞれ1つずつ設けられた区画部である。区画プレート190には、四角形状の板部材にチューブ110Aの長手方向端部が貫通されるチューブ孔190aと、外周部において板面方向が略90度に折り曲げられた縁立て部190bとが形成されている。チューブ110Aの長手方向端部は、チューブ孔190aに貫通されて、ろう付けされている。
【0155】
水タンク130は、第1水タンク130Aと第2水タンク130Bとから形成されている。第1、第2水タンク130A、130Bは、チューブ110Aの長手方向に交差する方向に分割されており、分割される位置は、チューブ110Aの長手方向に交差する方向のほぼ中央位置となっている。ここでは、チューブ110Aの長手方向に交差する方向は、チューブ110Aの積層方向と一致するようになっている。
【0156】
水タンク130の出口水パイプ180が接続される面であって、出口水パイプ180の入口水パイプ170側となる近傍には、チューブ110A側にへこむ凹部139が形成されている。凹部139の底部は、チューブ110Aの外側面に接合されている。この凹部139によって、連通部150から水タンク130内(水タンク内空間130E)に流入した冷却水が、図22中の上方向に流れ、更に、更に右方向となる出口水パイプ180に向かい直接的に出口水パイプ180から流出してしまうことが抑制されるようになっている。即ち、水タンク130内に流入した冷却水は、水タンク130内を偏り無く流れるようになっている。
【0157】
外側ガスタンク140は、水タンク130と同様に、第1ガスタンク1401と第2ガスタンクとから形成されている。第1、第2ガスタンク1401、1402は、チューブ110Aの長手方向に交差する方向に分割されており、分割される位置は、チューブ110Aの長手方向に交差する方向のほぼ中央位置となっている。ここでは、チューブ110Aの長手方向に交差する方向は、チューブ110Aの積層方向と一致するようになっている。
【0158】
更に、第1水タンク130Aと第1ガスタンク1401とは、一体で形成されている。
以下、一体形成された第1水タンク130Aと第1ガスタンク1401とを第1一体タンク1314aと呼ぶことにする。また、第2水タンク130Bと第2ガスタンク1402とは、一体で形成されている。以下、一体形成された第2水タンク130Bと第2ガスタンク1402とを第2一体タンク1314bと呼ぶことにする。
【0159】
第1一体タンク1314aと第2一体タンク1314bのそれぞれの外周部は、板状の端部同士が突合せされてろう付けされている。尚、第1一体タンク1314aと第2一体タンク1314bとのろう付けにあたっては、第1一体タンク1314aと第2一体タンク1314bのそれぞれの外周部に、略90度折り曲げられて縁立てされた縁立て部を形成して、この縁立て部同士を当接させてろう付けするようにしても良い。この場合は、第1一体タンク1314a、あるいは第2一体タンク1314bのいずれか一方の縁立て部に部分的に爪部を設けて(複数箇所)、この爪部を他方の縁立て部に被せるように折曲げて、仮止めした後にろう付けするようにしても良い。
【0160】
チューブ110Aの両長手方向端部における一方の区画プレート190の縁立て部190bの内周面に、内側ガスタンク140Bの開口部146の外周面が嵌合されてろう付けされている。同様に、他方の区画プレート190の縁立て部190bの内周面に、出口ガスタンク160の開口部161の外周面が嵌合されてろう付けされている。更に、両区画プレート190の縁立て部190bの外周面に、第1、第2一体タンク1314a、1314bの内周面が当接してろう付けされている。
【0161】
第11実施形態においては、水タンク内空間130Eと排気流路140Cとを区画する区画部をチューブ110Aに対して別部材となる区画プレート190によって形成するようにしている。よって、積層される各チューブ110A間には予め隙間が形成される形となるので、第1〜第10実施形態のように、複数のチューブ110Aが直接的に当接して積層されることによって、ろう付け時にチューブ積層寸法が減少することがない。したがって、ろう付け時において、チューブ110Aと各部材との間に隙間が発生することがなく、ろう付け品質を充分に確保することができる。
【0162】
また、水タンク130と外側ガスタンク140Aとが、第1一体タンク1314aと第2一体タンク1314bとから形成されるようにしている。よって、区画プレート190に対して、水タンク130および外側ガスタンク140Aをろう付けする際に、各タンク130、140Aの嵌合部において両者が板厚方向に重なる部位をなくすことができる。したがって、ろう付けする際に各部材の寸法精度のバラツキや、組付け状態のバラツキ等によって両タンク130、140A間に隙間が形成されることがなく、ろう付け品質を向上させることができる。
【0163】
(その他の実施形態)
上記第1〜第11実施形態では、連通部150(151)は、水タンク130側の膨出部133cと、入口ガスタンク140側の膨出部145とを接合することで形成するようにしたが、これに限らず、パイプ部材等によって水タンク130内部(水タンク内空間130E)と入口ガスタンク140の外側空間140Dとを連通させるようにしても良い。
【0164】
また、チューブ110、110Aは、2つのチューブプレートから形成されるものとしたが、これに限らず、一体の管部材から形成されるようにしても良い。また、チューブ110、110Aの断面形状は、扁平矩形状のものに限らず、丸形状等他の形状のものとしても良い。
【0165】
また、水タンク130も、第1水タンク130A、第2水タンク130Bから形成されるものとしたが、筒状部材からなる一体のものとしても良い。
【0166】
また、EGRガス冷却装置100A〜100Kの冷却流体としてエンジン10の冷却水を活用するものとして説明したが、これに限らず、エンジン10とは独立して形成される専用冷却水回路の冷却水を活用するものとしても良い。専用冷却水回路としては、例えばサブラジエータおよび専用ポンプを備える回路等が挙げられる。
【0167】
また、上記第1〜第11実施形態では本発明の排気熱交換装置をEGRガスクーラ100A〜100Kに適用したものとして説明したが、これに限定されることなく、他の熱交換器へも広く適用可能であり、例えば外気に排出される排気ガスと冷却水との間で熱交換して、冷却水を加熱する排熱回収熱交換器に適用しても良い。
【符号の説明】
【0168】
100A〜100K EGRガスクーラ(排気熱交換装置)
110 チューブ
112 凸部(張出し部)
112A 区画部
118 偏向リブ
130 水タンク
130A 第1水タンク
130B 第2水タンク
130C 開口側タンク
130E 水タンク内空間
133c 膨出部(水タンク膨出部)
137 内面
140 入口ガスタンク(ガスタンク)
140A 外側ガスタンク
140B 内側ガスタンク
140C 排気流路
140D 外側空間
140a 平面部
140b 折曲げ部
140c 折曲げ部
1401 第1ガスタンク
1402 第2ガスタンク
144 外側壁部
145 膨出部(ガスタンク膨出部)
146 開口部(一方の開口部)
147 フランジ孔(他方の開口部)
148 フランジ
148a 連通孔
149 仕切り部
150、151 連通部
154 偏向部
170 入口水パイプ(冷却流体流入口)
190 区画プレート(区画部)
210 板部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気が流通するチューブ(110)と、
前記チューブ(110)を内部に収容する筒状の水タンク(130)と、
前記排気が流通する排気流路(140C)を形成し、一方の開口部(146)が前記水タンク(130)の開口側端部(130C)に接続され、他方の開口部(147)に排気管との接続用のフランジ(148)が設けられたガスタンク(140)と、
前記水タンク(130)の内部で前記チューブ(110)の外側に形成される水タンク内空間(130E)と、前記排気流路(140C)とを区画すると共に、前記排気流路(140C)と前記チューブ(110)内部とを連通させる区画部(112A、190)とを備え、
前記水タンク内空間(130E)を流通する冷却流体と、前記ガスタンク(140)によって前記チューブ(110)内に供給される排気との間で熱交換する排気熱交換装置において、
前記ガスタンク(140)は、前記排気流路(140C)の外側に外側空間(140D)が形成される二重構造となっており、
前記外側空間(140D)と前記水タンク内空間(130E)とを連通させる連通部(150)が設けられたことを特徴とする排気熱交換装置。
【請求項2】
前記水タンク(130)の前記開口側端部(130C)には、前記区画部(112A、190)よりも径方向外側に膨出する水タンク膨出部(133c)が設けられ、
前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)における前記外側空間(140D)の外側の壁部(144)には、前記区画部(112A、190)よりも径方向外側に膨出して前記外側空間(140D)と連通するガスタンク膨出部(145)が設けられ、
前記連通部(150)は、前記水タンク膨出部(133c)と、前記ガスタンク膨出部(145)とが接続されて、前記水タンク膨出部(133c)および前記ガスタンク膨出部(145)の内側に形成される流路であることを特徴とする請求項1に記載の排気熱交換装置。
【請求項3】
前記水タンク(130)および前記ガスタンク(140)のうち、前記ガスタンク(140)に、前記冷却流体を流入させる冷却流体流入口(170)が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排気熱交換装置。
【請求項4】
前記ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
前記冷却流体流入口(170)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において、前記連通部(150)とは反対側に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の排気熱交換装置。
【請求項5】
前記ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に対して交差する方向に開口しており、
前記冷却流体流入口(170)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
前記連通部(150)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において少なくとも2箇所設けられて、
前記2箇所の連通部(150、151)は、互いに対向するように配置されたことを特徴とする請求項3に記載の排気熱交換装置。
【請求項6】
前記ガスタンク(140)の他方の開口部(147)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を貫く軸線に沿う方向に開口しており、
前記冷却流体流入口(170)は、前記ガスタンク(140)の一方の開口部(146)を形成する外周面において、前記連通部(150)と近接して設けられ、
前記外側空間(140D)における前記冷却流体流入口(170)側の領域と、前記連通部(150)側の領域との間には、両領域を仕切る仕切り部(149)が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の排気熱交換装置。
【請求項7】
前記水タンク(130)および前記ガスタンク(140)のうち、前記水タンク(130)に、前記冷却流体を流入させる冷却流体流入口(170)が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排気熱交換装置。
【請求項8】
前記連通部(150)は、前記水タンク(130)の前記開口側端部(130C)を形成する外周面において少なくとも2箇所設けられ、
前記2箇所の連通部(150、151)のうちの一方は、前記冷却流体流入口(170)に近接配置され、
前記2箇所の連通部(150、151)のうちの他方は、前記一方の連通部(150)と対向するように配置されたことを特徴とする請求項7に記載の排気熱交換装置。
【請求項9】
前記ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とが接合されて形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。
【請求項10】
前記連通部(150)には、前記冷却水が前記外側空間(140D)から前記水タンク内空間(130E)へ流れるようになっており、
前記連通部(150)の下流側端部には、前記連通部(150)を流通する前記冷却流体の流れ方向を、前記チューブ(110)の長手方向に交差する方向に向ける偏向部(154)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載に記載の排気熱交換装置。
【請求項11】
前記チューブ(110)の表面には、前記連通部(150)から前記水タンク内空間(130E)に流入する前記冷却流体の流れ方向を、前記ガスタンク(140)側へ向ける偏向リブ(118)が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。
【請求項12】
前記ガスタンク(140)の前記他方の開口部(147)の周りには、前記他方の開口部(147)を貫く軸線に直交する平面部(140a)が形成されており、
前記フランジ(148)は、前記平面部(140a)に接合されていることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。
【請求項13】
前記フランジ(148)は、前記他方の開口部(147)と連通する連通孔(148a)を有しており、
前記連通孔(148a)の内周面には、犠牲腐食層が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の排気熱交換器。
【請求項14】
前記チューブ(110)は、横断面が扁平矩形形状をなして、前記扁平矩形形状の長辺が互いに対向するように複数積層されており、
前記区画部(112A、190)は、複数の前記チューブ(110)の長手方向端部の全周に形成された張出し部(112)が互いに接合されて形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。
【請求項15】
前記水タンク(130)は、前記チューブ(110)の積層方向に分割された第1、第2水タンク(130A、130B)から形成されており、
前記ガスタンク(140)の前記一方の開口部(146)は四角形状を成しており、前記開口部(146)の前記積層方向と交差する方向の一辺は、前記積層方向に沿うように折曲げられた折曲げ部(140b、140c)を有しており、
前記水タンク(130)と、前記ガスタンク(140)との間には、前記水タンク(130)の内面(137)と、前記折曲げ部(140b、140c)とにそれぞれ当接する断面L字状の板部材(210)が介在されたことを特徴とする請求項14に記載の排気熱交換装置。
【請求項16】
前記ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とから形成されており、
前記外側ガスタンク(140A)および前記水タンク(130)は、前記チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割されたものが、前記チューブ(110)の積層方向の寸法を吸収可能として接合されて形成されており、
前記長手方向と交差する方向に分割された少なくとも一方の前記外側ガスタンク(1402)および前記水タンク(130B)は、一体で形成されていることを特徴とする請求項14に記載の排気熱交換装置。
【請求項17】
前記区画部(112A、190)は、板状を成して、前記チューブ(110)の長手方向端部が貫通された区画プレート(190)であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。
【請求項18】
前記ガスタンク(140)は、外側に配置される外側ガスタンク(140A)と、内側に配置される内側ガスタンク(140B)とから形成されており、
前記外側ガスタンク(140A)は、前記チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割された第1ガスタンク(1401)と第2ガスタンク(1402)とが接合されて形成されており、
前記水タンク(130)は、前記チューブ(110)の長手方向と交差する方向に分割された第1水タンク(130A)と第2水タンク(130B)とが接合されて形成されており、
前記第1ガスタンク(1401)と前記第1水タンク(130A)は、一体で形成されており、
前記第2ガスタンク(1402)と前記第2水タンク(130B)は、一体で形成されていることを特徴とする請求項17に記載の排気熱交換装置。
【請求項19】
前記排気は、前記内燃機関の吸気側に供給される再循環用の排気であり、
前記冷却流体は、前記内燃機関を冷却する冷却水であることを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1つに記載の排気熱交換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−232020(P2011−232020A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24339(P2011−24339)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】