排水ポンプ
【課題】円筒状の吸込み口12をドレンパン内に入れて、吸込み口12内の小羽根22を回転させることで水を吸込み口12内に吸い込むようにした排水ポンプにおいて、空気の吸入を防止して、静音性を確保する。
【解決手段】吸込み口12の内部の中程に内径と絞る狭径部12aを設ける。狭径部12aの位置は、小羽根22の下端部221から、小羽根22の全長の30%〜50%の位置とする。狭径部12aにより吸込み口12と小羽根22との間隙を狭めることにより、水量をコントロールし、バランス時でもドレンパン内の水位を確保し、空気の吸入を防止する。狭径部12aでの逆流によりスライムの付着も防止する。
【解決手段】吸込み口12の内部の中程に内径と絞る狭径部12aを設ける。狭径部12aの位置は、小羽根22の下端部221から、小羽根22の全長の30%〜50%の位置とする。狭径部12aにより吸込み口12と小羽根22との間隙を狭めることにより、水量をコントロールし、バランス時でもドレンパン内の水位を確保し、空気の吸入を防止する。狭径部12aでの逆流によりスライムの付着も防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機のドレンパンに溜まった水を排水するのに適した排水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機用の排水ポンプとして、例えば実開平6−67887号公報(特許文献1)、特許第3524611号公報(特許文献2)及び特許3511044号公報(特許文献3)に開示されたものがある。この種の排水ポンプはポンプ室の下部に形成された円筒状の吸込み口内に例えば十字状の小羽根(補助羽根)を配置し、この小羽根を回転することで吸込み口からドレンパンの水を吸引するものである。そしてこの吸込み口の形状は一般的にはストレートか最下端を少し狭めるかの2種類が主流である(特許文献1または特許文献2参照)。このような形状は、どちらの場合も排水量を優先しドレンパンに残る水を最小限にするには、効果のある形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−67887号公報
【特許文献2】特許第3524611号公報
【特許文献3】特許第3511044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バランス時、すなわち、水の出入りがない状態で排水ポンプとその先の配管にドレン水が満たされている状態の時は、吸込み口の近傍で空気を吸込む可能性がある。特にDCモータを使用した排水ポンプ(ドレンポンプ)ではその傾向が大きい。これは、DCモータでは負荷が減ると回転数が上がるためである。また、高揚程での排水量でその排水ポンプの能力が決まるが、低揚程の時は負荷が減り低揚程時に必要な回転数を上回る回転数となり排水量が吐出し量限界まで増えてしまい、それが騒音振動の要因になっていた。
【0005】
前記特許文献1及び特許文献2の様に、排水ポンプの吸込み口をストレートにしたものと下端部を少し狭めたものを比較すると、狭めたものの方が排水量が多くなり、バランス時に空気を吸込む可能性が多くなる傾向にある。例えば、図11に示すように、吸込み口の下端部に狭径部を形成したものでは、ドレンパンの水は吸込み口の下端部の近くになり、この下端部の水面近傍で空気の吸込みが生じる。特にDCモータを使用した場合は負荷が減ると回転数が増加するので顕著に現れている。
【0006】
本発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたものであり、排水ポンプの吸い込み口での空気の吸い込みを低減して静音化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の排水ポンプは、下端部に円筒状の吸込み口が形成され上部側面に吐出口が形成されたポンプ本体と、該ポンプ本体内に回動可能に配設されるインペラと、該インペラを回転させるモータとを備え、前記インペラは前記モータの駆動軸に連結されるシャフト部と、前記シャフト部の下方に軸線方向に沿って延びる複数の板状の小羽根と、前記シャフト部と前記小羽根との間で流体を前記ポンプ本体の内周側に導く遠心力作用部とを有し、前記小羽根を前記吸込み口内で回転させることにより、該吸込み口から流体を吸い込んで前記吐出口から流体を吐出するようにした排水ポンプにおいて、前記吸込み口の内壁の上下方向の略中央の一部に、該吸込み口の下端及び上端の内径より内径を小さくした狭径部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の排水ポンプは、請求項1に記載の排水ポンプであって、前記小羽根の下端部から前記狭径部までの距離が、前記小羽根の前記吸込み口内における全長に対して30〜50%の距離となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の排水ポンプによれば、吸込み口内の狭径部の位置を下端部から小羽根下端部よりもモータ側にずらす事、すなわち、吸込み口の円筒空間の途中の内径を絞る事により、小羽根の吸込む量を狭径部で二分することで、排水量を適正な量にコントロールする事を可能になり、バランスしているときのドレンパンの水位も上昇し、下端部で空気を吸い込む事が無くなり、静音性が得られる。また、狭径部での逆流によりスライムの付着も防止できる。
【0010】
請求項2の排水ポンプによれば、請求項1の効果に加えて、効果的に静音性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の排水ポンプの一部縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の排水ポンプの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の排水ポンプのインペラの平面図、側面図及び底面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の排水ポンプの外観側面図及び外観上面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の排水ポンプの作用を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態の排水ポンプにおける狭径部の位置と騒音の計測結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図11】従来の排水ポンプの作用及び問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の排水ポンプの実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の排水ポンプの一部縦断面図、図2は第1実施形態の排水ポンプの要部拡大断面図、図3は第1実施形態の排水ポンプのインペラの平面図、側面図及び底面図、図4は第1実施形態の排水ポンプの外観側面図及び外観上面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。この実施形態の排水ポンプは、ポンプ本体1を有し、ポンプ本体1は中空の円筒形のポンプ室11、下端に円筒状の吸込み口12、側部に吐出口13を備えている。なお、吐出口13には図示しない排出管が連結されている。ポンプ室11内には図3に示すインペラ2が配設されている。ポンプ本体1の上方開口部には、モータ3のモータケース31が固定されている。モータケース31はポンプ室11の内周壁近傍に垂下する壁31a有し、このモータケース31の中央には水切り部31bが形成され、さらに水切り部31bの上方中心部には開口31cが形成されている。なお、この実施形態のモータ3は三相DCブラシレスモータである。
【0013】
また、モータ3の駆動軸32は下方に突出してモータケース31の開口31cを貫通している。そして、この駆動軸32にインペラ2が固定されている。図3に示すように、インペラ2は、モータ3の駆動軸32に連結されるシャフト部21を有するとともに、このシャフト部21の下方に軸線方向に沿って延びる4枚の板状の小羽根22を有している。また、シャフト部21と小羽根22との間には、略逆円錐状に形成されたドーナツ状の中空円錐板23を有しており、この中空円錐板23上には軸線方向に延びた多数の角柱状の大径羽根24を有している。
【0014】
インペラ2の小羽根22は、吸込み口12内に配置されており、この小羽根22の下端部221は吸込み口12の下端部121から僅かに吸込み口12内に位置している。そして、吸込み口12の内側には、その内壁の上下方向の略中央の一部に、吸込み口12の下端部121と上端部122の内径より内径を小さくした狭径部12aが形成されている。この第1実施形態では、狭径部12aから吸込み口12の下端部121まではテーパ面となっている。このように、吸込み口12の形状は、狭径部12aが小羽根22の下端部221よりもモータ3側に位置し、小羽根22の揚水力を二分する位置にある。
【0015】
以上の構成により、モータ3の駆動によりインペラ2が回転し、吸込み口12内で小羽根22が回転することにより、ドレンパンの水が吸込み口12内に上昇し、その水が遠心力により中空円錐板23側に移動する。そして、この中空円錐板23と大径羽根24によりポンプ室11内の水が回転し、その遠心力により水が吐出口13から吐出される。このとき、大径羽根24はその角柱部が同一方向を向いて配置されており、インペラ2の回転時に角柱部の一つの面で水をかくのと、一つの角でかくのを繰り返す事により、円滑な水の流れを作り出す。この中空円錐板23と大径羽根24が遠心力作用部に相当する。
【0016】
図5に示すように、吸込み口12から吸入される水の流れは、狭径部12aと小羽根22との間を通る水により吐出口13に向かう通常の流れとなる。しかし、狭径部12aのために一部は逆方向(ドレンパン側)に向か特有の流れとなり、排水量は少なくなって、排水量を適正な量にコントロールできる。これにより、バランスしている時、ドレンパンにある程度の水位を保持することができ、前掲の図11で説明した従来のように空気を吸い込むことがなく、静音化が図れる。また、この特有な流れにより、バランス時も吸込み口12の下端部121の周辺に水の流れが常に存在するという事であり、一般的に浮遊して蓄積されるどろどろしたゲル状のスライムが付着しにくくなる。また、沈殿しかけたドレンパンのゴミを巻き上げて吸込み、そのまま外に流してしまうこともできる。狭径部を形成せずに、単純に小羽根を短くした場合は逆流によるスライムの付着防止が出来ず、かえって吸込み口内に水の不動部が出来てしまい、吸込み口を塞ぐ可能性があるが、本発明ではこのようなことがない。
【0017】
なお、この実施形態では、ポンプ本体1の外周の垂上する壁14と、モータケース31の垂下する壁31aとがラビリンス構造を構成しており、これにより、外部からのゴミや洗浄液等からモータ3の軸受けを守り、水かき音を外に逃がさないようになっている。また、モータケース31の上端には、角度が不等ピッチになった取り付け部3a,3b,3cが形成されており、これによって誤取付け防止の効果が得られる。
【0018】
次に第1実施形態における要部の寸法について説明する。図2に示すように、小羽根22の長さL1は16mmであり、小羽根22の下端部221から狭径部12aまでの長さL2はL1の30%〜50%である。吸込み口12の下端部121から小羽根22の下端部221までの長さL3は1.5mmである。吸込み口12の下端部121の開口径はφ12.5mmであり、狭径部12aから吸込み口12の下端部121まではテーパ面は20°の角度で開いている。また、小羽根22の幅L4は8mm、狭径部12aの内側(ポンプ室11側)の傾斜角度は45°であり、この狭径部12aの内端部と小羽根22との隙間L5は、小羽根22の幅L4の25%の二分の一である。また、小羽根22の厚さL6は2mmである。なお、厚みL6は幅L4の18%〜25%が望ましい。
【0019】
図5は、第1実施形態における狭径部12aの位置を変化させたときの、狭径部12aの位置と騒音の関係の計測結果を示すグラフである。縦軸は騒音値(デシベル)、横軸は小羽根22の端部221から狭径部12aまでの距離L2の小羽根22の全長L1に対する百分率(%)である。また、各グラフは揚程(ポンプが水を揚げる高さ)が異なる場合に対応し、揚程が150mm、300mm、500mm、800mm、1200mmの場合を示している。このうち、揚程の常用範囲は500mm〜800mmであり、この常用範囲において、狭径部12aの位置を30%〜50%とすると、静音効果があることが判る。特に狭径部12aの位置を37%〜45%とするとよい。
【0020】
第1実施形態では狭径部12aから吸込み口12の下端部121までをテーパ面となる形状としているが、図7〜図11に示す第2〜第5実施形態のようにしてもよい。なお、これらの第2〜第5実施形態においても、吸込み口12の狭径部以外の構造は第1実施形態と同様である。
【0021】
図7に示す第2実施形態では、吸込み口12の狭径部12bは、内側(ポンプ室11側)と外側の傾斜角度が45°で中心側先端角度を90°としたものである。すなわち、この狭径部12bの内側と外側は同じ内径(狭径部より大きい径)となっている。図8に示す第3実施形態では、吸込み口12の狭径部12cは、中心側に断面円弧状に突出した形状としたものである。この場合も径部12cの内側と外側は同じ内径(狭径部より大きい径)となっている。図9に示す第4実施形態では、吸込み口12の狭径部12dは、その付け根部分にカーブを付けたものであり、水の流れがスムースになる。図10に示す第5実施形態の吸込み口12の狭径部12eは、内側(ポンプ室11側)と外側の傾斜角度が45°でかつ、狭径部12eの内側の内径Aよりも外側の内径Bの方を大きくしたものである。
【0022】
これらの各実施形態でも狭径部12b〜12eの位置を第1実施形態と同様にすることにより、この第1実施形態と同様な静音効果が得られる。また、スライムも付着しにくくなる。
【0023】
なお、上記実施形態では、遠心力作用部は中空円錐板23上に角柱状の大径羽根24を設けた構造となっているが、例えば特許文献3のように中空円錐板上に板状の複数の羽根を設けた構造でもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ポンプ本体
2 インペラ
11 ポンプ室
12 吸込み口
12a〜12e 狭径部
13 吐出口
22 小羽根
221 下端部
3 モータ
31 駆動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機のドレンパンに溜まった水を排水するのに適した排水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機用の排水ポンプとして、例えば実開平6−67887号公報(特許文献1)、特許第3524611号公報(特許文献2)及び特許3511044号公報(特許文献3)に開示されたものがある。この種の排水ポンプはポンプ室の下部に形成された円筒状の吸込み口内に例えば十字状の小羽根(補助羽根)を配置し、この小羽根を回転することで吸込み口からドレンパンの水を吸引するものである。そしてこの吸込み口の形状は一般的にはストレートか最下端を少し狭めるかの2種類が主流である(特許文献1または特許文献2参照)。このような形状は、どちらの場合も排水量を優先しドレンパンに残る水を最小限にするには、効果のある形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−67887号公報
【特許文献2】特許第3524611号公報
【特許文献3】特許第3511044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バランス時、すなわち、水の出入りがない状態で排水ポンプとその先の配管にドレン水が満たされている状態の時は、吸込み口の近傍で空気を吸込む可能性がある。特にDCモータを使用した排水ポンプ(ドレンポンプ)ではその傾向が大きい。これは、DCモータでは負荷が減ると回転数が上がるためである。また、高揚程での排水量でその排水ポンプの能力が決まるが、低揚程の時は負荷が減り低揚程時に必要な回転数を上回る回転数となり排水量が吐出し量限界まで増えてしまい、それが騒音振動の要因になっていた。
【0005】
前記特許文献1及び特許文献2の様に、排水ポンプの吸込み口をストレートにしたものと下端部を少し狭めたものを比較すると、狭めたものの方が排水量が多くなり、バランス時に空気を吸込む可能性が多くなる傾向にある。例えば、図11に示すように、吸込み口の下端部に狭径部を形成したものでは、ドレンパンの水は吸込み口の下端部の近くになり、この下端部の水面近傍で空気の吸込みが生じる。特にDCモータを使用した場合は負荷が減ると回転数が増加するので顕著に現れている。
【0006】
本発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたものであり、排水ポンプの吸い込み口での空気の吸い込みを低減して静音化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の排水ポンプは、下端部に円筒状の吸込み口が形成され上部側面に吐出口が形成されたポンプ本体と、該ポンプ本体内に回動可能に配設されるインペラと、該インペラを回転させるモータとを備え、前記インペラは前記モータの駆動軸に連結されるシャフト部と、前記シャフト部の下方に軸線方向に沿って延びる複数の板状の小羽根と、前記シャフト部と前記小羽根との間で流体を前記ポンプ本体の内周側に導く遠心力作用部とを有し、前記小羽根を前記吸込み口内で回転させることにより、該吸込み口から流体を吸い込んで前記吐出口から流体を吐出するようにした排水ポンプにおいて、前記吸込み口の内壁の上下方向の略中央の一部に、該吸込み口の下端及び上端の内径より内径を小さくした狭径部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の排水ポンプは、請求項1に記載の排水ポンプであって、前記小羽根の下端部から前記狭径部までの距離が、前記小羽根の前記吸込み口内における全長に対して30〜50%の距離となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の排水ポンプによれば、吸込み口内の狭径部の位置を下端部から小羽根下端部よりもモータ側にずらす事、すなわち、吸込み口の円筒空間の途中の内径を絞る事により、小羽根の吸込む量を狭径部で二分することで、排水量を適正な量にコントロールする事を可能になり、バランスしているときのドレンパンの水位も上昇し、下端部で空気を吸い込む事が無くなり、静音性が得られる。また、狭径部での逆流によりスライムの付着も防止できる。
【0010】
請求項2の排水ポンプによれば、請求項1の効果に加えて、効果的に静音性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の排水ポンプの一部縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の排水ポンプの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の排水ポンプのインペラの平面図、側面図及び底面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の排水ポンプの外観側面図及び外観上面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の排水ポンプの作用を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態の排水ポンプにおける狭径部の位置と騒音の計測結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態の排水ポンプにおける吸込み口及び狭径部を示す図である。
【図11】従来の排水ポンプの作用及び問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の排水ポンプの実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の排水ポンプの一部縦断面図、図2は第1実施形態の排水ポンプの要部拡大断面図、図3は第1実施形態の排水ポンプのインペラの平面図、側面図及び底面図、図4は第1実施形態の排水ポンプの外観側面図及び外観上面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。この実施形態の排水ポンプは、ポンプ本体1を有し、ポンプ本体1は中空の円筒形のポンプ室11、下端に円筒状の吸込み口12、側部に吐出口13を備えている。なお、吐出口13には図示しない排出管が連結されている。ポンプ室11内には図3に示すインペラ2が配設されている。ポンプ本体1の上方開口部には、モータ3のモータケース31が固定されている。モータケース31はポンプ室11の内周壁近傍に垂下する壁31a有し、このモータケース31の中央には水切り部31bが形成され、さらに水切り部31bの上方中心部には開口31cが形成されている。なお、この実施形態のモータ3は三相DCブラシレスモータである。
【0013】
また、モータ3の駆動軸32は下方に突出してモータケース31の開口31cを貫通している。そして、この駆動軸32にインペラ2が固定されている。図3に示すように、インペラ2は、モータ3の駆動軸32に連結されるシャフト部21を有するとともに、このシャフト部21の下方に軸線方向に沿って延びる4枚の板状の小羽根22を有している。また、シャフト部21と小羽根22との間には、略逆円錐状に形成されたドーナツ状の中空円錐板23を有しており、この中空円錐板23上には軸線方向に延びた多数の角柱状の大径羽根24を有している。
【0014】
インペラ2の小羽根22は、吸込み口12内に配置されており、この小羽根22の下端部221は吸込み口12の下端部121から僅かに吸込み口12内に位置している。そして、吸込み口12の内側には、その内壁の上下方向の略中央の一部に、吸込み口12の下端部121と上端部122の内径より内径を小さくした狭径部12aが形成されている。この第1実施形態では、狭径部12aから吸込み口12の下端部121まではテーパ面となっている。このように、吸込み口12の形状は、狭径部12aが小羽根22の下端部221よりもモータ3側に位置し、小羽根22の揚水力を二分する位置にある。
【0015】
以上の構成により、モータ3の駆動によりインペラ2が回転し、吸込み口12内で小羽根22が回転することにより、ドレンパンの水が吸込み口12内に上昇し、その水が遠心力により中空円錐板23側に移動する。そして、この中空円錐板23と大径羽根24によりポンプ室11内の水が回転し、その遠心力により水が吐出口13から吐出される。このとき、大径羽根24はその角柱部が同一方向を向いて配置されており、インペラ2の回転時に角柱部の一つの面で水をかくのと、一つの角でかくのを繰り返す事により、円滑な水の流れを作り出す。この中空円錐板23と大径羽根24が遠心力作用部に相当する。
【0016】
図5に示すように、吸込み口12から吸入される水の流れは、狭径部12aと小羽根22との間を通る水により吐出口13に向かう通常の流れとなる。しかし、狭径部12aのために一部は逆方向(ドレンパン側)に向か特有の流れとなり、排水量は少なくなって、排水量を適正な量にコントロールできる。これにより、バランスしている時、ドレンパンにある程度の水位を保持することができ、前掲の図11で説明した従来のように空気を吸い込むことがなく、静音化が図れる。また、この特有な流れにより、バランス時も吸込み口12の下端部121の周辺に水の流れが常に存在するという事であり、一般的に浮遊して蓄積されるどろどろしたゲル状のスライムが付着しにくくなる。また、沈殿しかけたドレンパンのゴミを巻き上げて吸込み、そのまま外に流してしまうこともできる。狭径部を形成せずに、単純に小羽根を短くした場合は逆流によるスライムの付着防止が出来ず、かえって吸込み口内に水の不動部が出来てしまい、吸込み口を塞ぐ可能性があるが、本発明ではこのようなことがない。
【0017】
なお、この実施形態では、ポンプ本体1の外周の垂上する壁14と、モータケース31の垂下する壁31aとがラビリンス構造を構成しており、これにより、外部からのゴミや洗浄液等からモータ3の軸受けを守り、水かき音を外に逃がさないようになっている。また、モータケース31の上端には、角度が不等ピッチになった取り付け部3a,3b,3cが形成されており、これによって誤取付け防止の効果が得られる。
【0018】
次に第1実施形態における要部の寸法について説明する。図2に示すように、小羽根22の長さL1は16mmであり、小羽根22の下端部221から狭径部12aまでの長さL2はL1の30%〜50%である。吸込み口12の下端部121から小羽根22の下端部221までの長さL3は1.5mmである。吸込み口12の下端部121の開口径はφ12.5mmであり、狭径部12aから吸込み口12の下端部121まではテーパ面は20°の角度で開いている。また、小羽根22の幅L4は8mm、狭径部12aの内側(ポンプ室11側)の傾斜角度は45°であり、この狭径部12aの内端部と小羽根22との隙間L5は、小羽根22の幅L4の25%の二分の一である。また、小羽根22の厚さL6は2mmである。なお、厚みL6は幅L4の18%〜25%が望ましい。
【0019】
図5は、第1実施形態における狭径部12aの位置を変化させたときの、狭径部12aの位置と騒音の関係の計測結果を示すグラフである。縦軸は騒音値(デシベル)、横軸は小羽根22の端部221から狭径部12aまでの距離L2の小羽根22の全長L1に対する百分率(%)である。また、各グラフは揚程(ポンプが水を揚げる高さ)が異なる場合に対応し、揚程が150mm、300mm、500mm、800mm、1200mmの場合を示している。このうち、揚程の常用範囲は500mm〜800mmであり、この常用範囲において、狭径部12aの位置を30%〜50%とすると、静音効果があることが判る。特に狭径部12aの位置を37%〜45%とするとよい。
【0020】
第1実施形態では狭径部12aから吸込み口12の下端部121までをテーパ面となる形状としているが、図7〜図11に示す第2〜第5実施形態のようにしてもよい。なお、これらの第2〜第5実施形態においても、吸込み口12の狭径部以外の構造は第1実施形態と同様である。
【0021】
図7に示す第2実施形態では、吸込み口12の狭径部12bは、内側(ポンプ室11側)と外側の傾斜角度が45°で中心側先端角度を90°としたものである。すなわち、この狭径部12bの内側と外側は同じ内径(狭径部より大きい径)となっている。図8に示す第3実施形態では、吸込み口12の狭径部12cは、中心側に断面円弧状に突出した形状としたものである。この場合も径部12cの内側と外側は同じ内径(狭径部より大きい径)となっている。図9に示す第4実施形態では、吸込み口12の狭径部12dは、その付け根部分にカーブを付けたものであり、水の流れがスムースになる。図10に示す第5実施形態の吸込み口12の狭径部12eは、内側(ポンプ室11側)と外側の傾斜角度が45°でかつ、狭径部12eの内側の内径Aよりも外側の内径Bの方を大きくしたものである。
【0022】
これらの各実施形態でも狭径部12b〜12eの位置を第1実施形態と同様にすることにより、この第1実施形態と同様な静音効果が得られる。また、スライムも付着しにくくなる。
【0023】
なお、上記実施形態では、遠心力作用部は中空円錐板23上に角柱状の大径羽根24を設けた構造となっているが、例えば特許文献3のように中空円錐板上に板状の複数の羽根を設けた構造でもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ポンプ本体
2 インペラ
11 ポンプ室
12 吸込み口
12a〜12e 狭径部
13 吐出口
22 小羽根
221 下端部
3 モータ
31 駆動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に円筒状の吸込み口が形成され上部側面に吐出口が形成されたポンプ本体と、該ポンプ本体内に回動可能に配設されるインペラと、該インペラを回転させるモータとを備え、前記インペラは前記モータの駆動軸に連結されるシャフト部と、前記シャフト部の下方に軸線方向に沿って延びる複数の板状の小羽根と、前記シャフト部と前記小羽根との間で流体を前記ポンプ本体の内周側に導く遠心力作用部とを有し、前記小羽根を前記吸込み口内で回転させることにより、該吸込み口から流体を吸い込んで前記吐出口から流体を吐出するようにした排水ポンプにおいて、
前記吸込み口の内壁の上下方向の略中央の一部に、該吸込み口の下端及び上端の内径より内径を小さくした狭径部が形成されていることを特徴とする排水ポンプ。
【請求項2】
前記小羽根の下端部から前記狭径部までの距離が、前記小羽根の前記吸込み口内における全長に対して30%〜50%の距離となっていることを特徴とする請求項1に記載の排水ポンプ。
【請求項1】
下端部に円筒状の吸込み口が形成され上部側面に吐出口が形成されたポンプ本体と、該ポンプ本体内に回動可能に配設されるインペラと、該インペラを回転させるモータとを備え、前記インペラは前記モータの駆動軸に連結されるシャフト部と、前記シャフト部の下方に軸線方向に沿って延びる複数の板状の小羽根と、前記シャフト部と前記小羽根との間で流体を前記ポンプ本体の内周側に導く遠心力作用部とを有し、前記小羽根を前記吸込み口内で回転させることにより、該吸込み口から流体を吸い込んで前記吐出口から流体を吐出するようにした排水ポンプにおいて、
前記吸込み口の内壁の上下方向の略中央の一部に、該吸込み口の下端及び上端の内径より内径を小さくした狭径部が形成されていることを特徴とする排水ポンプ。
【請求項2】
前記小羽根の下端部から前記狭径部までの距離が、前記小羽根の前記吸込み口内における全長に対して30%〜50%の距離となっていることを特徴とする請求項1に記載の排水ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−144691(P2011−144691A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3681(P2010−3681)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】
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