説明

排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶

【課題】簡素な構造により、内燃機関の排ガスから無駄なく排熱を回収して発電効率を高めることのできる排熱回収発電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る排熱回収発電装置1は、内燃機関の排ガスと熱交換する過熱器7(第1の熱交換器)と、過熱器7にて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービン8(第1の蒸気タービン)と、蒸気タービン8に駆動される発電機12(第1の発電機)とを有する発電システムA(第1の発電システム)と、蒸気タービン8を駆動し終えた蒸気と熱交換する蒸発器17(第2の熱交換器)と、蒸発器17にて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービン18(第2の蒸気タービン)と、蒸気タービン18に駆動される発電機19(第2の発電機)とを有する発電システムB(第2の発電システム)を備えてなる。例えば発電システムAの作動流体は水、発電システムBの作動流体はR245faである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排熱を回収して発電する排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の排ガス等の排熱を回収して発電する技術が種々提案されている。下記特許文献1には、海洋用発電装置からの排熱を熱源とする有機ランキンサイクル(Organi Rankine Cycle)によって発電する排熱回収発電装置が開示されている。この排熱回収発電装置では、例えば船舶のエンジンから排出される排ガスの熱により、水よりも沸点の低い代替フロン(例えばR245fa)のような有機流体を加圧した状態で加熱して沸騰させ、その蒸気によってタービンを駆動し、発電を行うように構成されている。このように、水よりも沸点の低い有機流体をタービン駆動用の作動流体とすることにより、150℃以下の、比較的温度の低い排熱まで回収して発電エネルギに供することができるため、排熱回収発電装置の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−522081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、R245fa等の代替フロンは、凡そ250℃以上の高温になると熱分解してしまう虞があり、熱分解した場合には分解生成物として人体および環境に有害なフッ化水素酸(HF)およびハロゲン化カルボニル等が発生するため、このような代替フロンをタービン駆動用の作動流体とする有機ランキンサイクル方式の排熱回収発電装置によって250℃以上の排熱を回収することは困難であった。
【0005】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される250℃以上といった温度レベルの高い排ガスの熱を回収するためには、この高温な排ガスと熱交換する熱交換器(過熱器)により水を沸騰させて蒸気を生成し、蒸気タービンによって発電機を駆動する排熱回収方法を採ればよいが、そうすると蒸気タービンの出口における蒸気温度が凡そ150℃以上あり、この熱が外部に捨てられてしまうため、充分に効率的ではなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構造により、内燃機関の排ガスから無駄なく排熱を回収して発電効率を高めることのできる排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る排熱回収発電装置は、内燃機関の排ガスと熱交換する第1の熱交換器と、該第1の熱交換器にて生成された蒸気によって駆動される第1の蒸気タービンと、該第1の蒸気タービンに駆動される第1の発電機とを有する第1の発電システムと、前記第1の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気と熱交換する第2の熱交換器と、該第2の熱交換器にて生成された蒸気によって駆動される第2の蒸気タービンと、該第2の蒸気タービンに駆動される第2の発電機とを有する第2の発電システムとを備えてなることを特徴とする。
【0008】
上記構成において、第1の発電システムを循環する作動流体は水でよい。上記構成とした場合、内燃機関から排出される比較的高温な排ガスの熱が、第1の熱交換器と熱交換することにより、作動流体である水を過熱して高エネルギな水蒸気を生成し、この水蒸気によって第1の蒸気タービンが駆動され、さらに第1の発電機が駆動されて発電がなされる。そして、第1の蒸気タービンを駆動し終えた水蒸気は、第2の発電システムにおいて第2の熱交換器と熱交換することにより、第2の蒸気タービンを駆動する作動流体の蒸気を生成し、この蒸気によって第2の蒸気タービンが駆動され、さらに第2の発電機が駆動されて発電がなされる。
【0009】
第1の蒸気タービンを駆動する水蒸気の温度は、第1の蒸気タービンの入口においては内燃機関の排ガス温度とほぼ同等の高い温度レベルにあるが、第1の蒸気タービンの出口においては膨張後のため熱エネルギを失っており、250℃以下に低下している。しかし、第2の発電システムにおいて第2の蒸気タービンを駆動する作動流体を適宜選択すれば、これを第1の蒸気タービン駆動後の温度低下した水蒸気と熱交換させても蒸気を生成することができ、この蒸気により第2の蒸気タービンと第2の発電機を駆動してさらなる発電を行うことができる。このように、第1の蒸気タービンを駆動し終えた水蒸気の熱が外部に捨てられることなく有効に利用されるため、内燃機関の排ガスの排熱を無駄なく回収して排熱回収発電装置の発電効率を高めることができる。なお、内燃機関としては、典型的には舶用ディーゼルエンジンが挙げられる。ただし、舶用に限らず、例えば陸上の発電所に用いられる内燃機関であっても良い。
【0010】
また、本発明に係る排熱回収発電装置は、前記第2の発電システムが、前記第1の発電システムにおける作動流体よりも沸点の低い有機流体を沸騰させて生成した蒸気により前記第2の蒸気タービンを駆動するように構成された有機ランキンサイクル発電システムであることを特徴とする。
【0011】
上記構成において、有機流体は、第2の熱交換器にて蒸発して蒸気となり、第2の蒸気タービンに送られてこれを駆動しながら膨張した後、復水器等で凝縮され、ポンプ等で再び第2の熱交換器に送られるサイクル、即ち有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)を行う。本構成によれば第1の発電システムにおいて第1の蒸気タービンを駆動する作動流体の沸点よりも、第2の発電システムにおいて第2の蒸気タービンを駆動する有機流体の沸点の方が低いため、前述したように第1の蒸気タービンを駆動し終えて熱エネルギが低下した蒸気であっても、第2の発電システムの有機流体を第2の熱交換器で充分に沸騰させて蒸気を生成することができ、これにより第2の蒸気タービンと第2の発電機を駆動し、排ガスの熱を無駄なく回収して高い発電効率とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る排熱回収発電装置は、前記第1の発電システムが、前記第1の熱交換器と前記第1の蒸気タービンと前記第1の発電機の他に、循環ポンプと復水器とを備えたランキンサイクル発電システムであることを特徴とする。本構成によれば、第1の蒸気タービンを駆動した後の蒸気が外部に排出されることなく再循環されるため、熱効率を高く保って高い発電効率を得ることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る排熱回収発電装置は、前記第1の発電システムにおける前記復水器が、前記第2の発電システムにおける前記第2の熱交換器であることを特徴とする。本構成において、第1の発電システムにおける第1の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気は、その復水器である第2の熱交換器に流れ、ここで第2の発電システムを流れる作動流体と熱交換することにより冷やされて凝縮し、液化する。一方、第2の発電システムを流れる作動流体は、第2の熱交換器において第1の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気と熱交換することにより加熱されて蒸発し、蒸気となって第2の蒸気タービンを駆動する。
【0014】
このように、第1の発電システムにおける復水器が、第2の発電システムにおける第2の熱交換器を兼ねており、この復水器において、第1の発電システムの作動流体の凝縮と、第2の発電システムの作動流体の蒸発とが同時に行われるため、復水器と第2の熱交換器とをそれぞれ個別に設けたり、復水器の冷却のために海水を取り込んだりする必要がなく、このため排熱回収発電装置の構成を非常に簡素にすることができる。
【0015】
また、本発明に係る排熱回収発電装置は、前記第1の発電システムが、前記第1の熱交換器を通過した後の前記排ガスの熱により、前記第1の熱交換器に流入する前の作動流体を予熱する第1の予熱手段を有することを特徴とする。
本構成によれば、第1の発電システムにおける作動流体が、第1の予熱手段において排ガスの熱により予熱されてから第1の熱交換器に流れるため、素早く熱エネルギの高い蒸気になることができる。しかも、排ガスは第1の熱交換器を通過してから第1の予熱手段を通過するため、第1の熱交換器を通過する排ガスの温度は高いままである。これにより、作動流体を良好に過熱して排熱回収発電装置の熱効率を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る排熱回収発電装置は、前記第2の発電システムが、前記第2の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気の熱により、前記第2の熱交換器に流入する前の作動流体を予熱する第2の予熱手段を有することを特徴とする。
本構成によれば、第2の発電システムにおける作動流体が、第2の予熱手段においてタービン駆動後の蒸気の熱により予熱されてから第2の熱交換器に流れるため、素早く熱エネルギの高い蒸気になることができる。しかも、この予熱にはタービン駆動後の蒸気の熱が利用されるため、排熱量を低減させて排熱回収発電装置の熱効率を向上させることができる。
【0017】
そして、本発明に係る船舶は、上記のいずれかの排熱回収発電装置を備えていることを特徴とする。このため、有効に排熱回収できる省エネルギ性の高い船舶を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係る排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶は、内燃機関の排ガスと熱交換して発生させた蒸気により第1の蒸気タービンと第1の発電機を駆動する第1の発電システムと、上記第1の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気と熱交換して発生させた蒸気により第2の蒸気タービンと第2の発電機を駆動する第2の発電システムとを備えているため、簡素な構造により、内燃機関の排ガスから無駄なく排熱を回収して発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる排熱回収発電装置を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る排熱回収発電装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1には、本発明の実施形態にかかる排熱回収発電装置が概略的に示されている。この排熱回収発電装置1は、例えば船舶に適用されるものであり、船舶の主機であるディーゼルエンジン等の内燃機関の排熱を回収して発電を行い、船体の電源や他の動力源を賄うためのものである。この排熱回収発電装置1は、発電システムA(第1の発電システム)と、発電システムB(第2の発電システム)とを備えて構成されている。
【0021】
発電システムAは、循環ポンプ5と、蒸気ドラム6と、過熱器7(第1の熱交換器)と、蒸気タービン8(第1の蒸気タービン)と、復水器9とが上記の順番で閉ループ状に接続されたランキンサイクル発電システムであり、ここを循環する作動流体は水およびその蒸気である。なお、蒸気ドラム6には蒸発器11(第1の予熱手段)が接続されており、蒸気ドラム6の内部では温水と蒸気が分離された状態で貯留され、温水は蒸気ドラム6の下部(液相部)から出て蒸発器11を経て蒸気になり、再び蒸気ドラム6の上部(気相部)に戻されるようになっている。また、蒸気タービン8には発電機12(第1の発電機)が付設され、蒸気タービン8がこれを駆動する。
【0022】
内燃機関の排ガスは、過熱器7と蒸発器11を順に通過して、過熱器7の内部を流れる蒸気および蒸発器11の内部を流れる温水とそれぞれ熱交換し、ここで排ガスに残留している熱エネルギが回収される。排ガスの高熱により、過熱器7の内部では蒸気が過熱されて500〜600℃程度の乾き蒸気となり、蒸気タービン8に送られる。排ガスは過熱器7と熱交換することにより熱回収されて温度が低下するが、まだ熱エネルギを持っているため、過熱器7の次に蒸発器11を通過することにより、その温度レベルは低いものの、蒸気ドラム6から蒸発器11に流れてきた温水を予熱して蒸発させることができる。
【0023】
この発電システムAにおいて、循環ポンプ5から吐出されるのは蒸気を含んだ温水であり、この温水は蒸気ドラム6において気液分離され、蒸気ドラム6の下部に貯留された温水が上述したように蒸発器11において排ガスと熱交換することにより蒸発してその蒸気が蒸気ドラム6の上部に戻され、ここで循環ポンプ5から送給されてきた温水に含まれる蒸気と合流する。そして、この蒸気は蒸気ドラム6の頂部から出て過熱器7に送られ、再び高温な排ガスと熱交換することにより過熱されて高温かつ高エネルギな乾き蒸気となり、蒸気タービン8を駆動する。蒸気タービン8は発電機12を駆動し、発電機12にて電力が得られる。この電力は、図示しない電力線を介して船内電気系統へと供給される。
【0024】
蒸気タービン8を駆動する蒸気の温度は、蒸気タービン8の入口においては内燃機関の排ガス温度とほぼ同等の高い温度レベル(500〜600℃程度)にあるが、蒸気タービン8の出口においては膨張後のため熱エネルギを失っており、温度が250℃以下に低下している。このように温度低下した蒸気は復水器9に流れ、ここで後述するように発電システムBを循環する温度の低い作動流体と熱交換することにより更に温度降下して凝縮し、多少の蒸気を含んだ温水となる。この温水は循環ポンプ5に吸入されて再び発電システムAを循環し、以下、上記のサイクルが繰り返される。このように、発電システムAによって排ガスに残留している熱エネルギの大部分が回収されて第1の発電が行われる。
【0025】
一方、発電システムBは、循環ポンプ15と、予熱器16(第2の予熱手段)と、蒸発器17(第2の熱交換器)と、蒸気タービン18(第2の蒸気タービン)と、蒸気タービン18に駆動される発電機19(第2の発電機)と、復水器20とを備えて閉ループ状に構成された有機ランキンサイクル発電システムであり、その作動流体としては、発電システムAにおける作動流体である水よりも沸点の低い有機流体、例えば80℃前後で沸騰する加圧されたR245fa等の代替フロンが用いられ、このR245faを沸騰させて生成した蒸気により蒸気タービン18を駆動するように構成されている。なお、有機流体としては、R245faに限らず、R134aや、イソペンタン、ブタン、プロパン等の低分子炭化水素を用いることができる。
【0026】
蒸発器17としては、発電システムAにおける復水器9が兼用されている。つまり、この蒸発器17(復水器9)では、発電システムAの蒸気タービン8を駆動し終えた250℃以下の水蒸気が、発電システムBの作動流体であるR245faと熱交換を行う。これにより、発電システムAの水蒸気は凝縮して主に温水となり、発電システムBのR245faは蒸発して蒸気となる。もちろん、蒸発器17の内部で発電システムAの蒸気と発電システムBのR245faが相互に混合することはない。
【0027】
蒸発器17では、R245faが250℃以上に加熱されることがないため、R245faが熱分解を起こす懸念はない。しかも、加圧されたR245faの沸点は水よりも低い80℃程度であるため、充分にエネルギを持った蒸気になることができる。
【0028】
予熱器16は、蒸気タービン18の出口側に接続され、その下流側に復水器20と循環ポンプ15が順次接続され、循環ポンプ15から吐出されたR245faが再び予熱器16を経て蒸発器17に流れる。なお、復水器20は船外の海水によって冷却されるようになっている。
【0029】
この発電システムBにおいて、循環ポンプ15から吐出された液相状のR245faは、まず予熱器16において、蒸気タービン18を駆動し終えたR245faの蒸気の熱により予熱され、次に蒸発器17(復水器9)に流れる。蒸発器17では、先述のように発電システムAの蒸気タービン8を駆動し終えた比較的高温な蒸気と熱交換することにより、加圧されたR245faの温度が沸点である80℃前後の温度を超えて気化し、ここで生成されたR245faの蒸気が蒸気タービン18に送給されてこれを駆動する。蒸気タービン18は発電機19を駆動し、発電機19にて電力が得られる。この電力も、先述の発電機12にて得られた電力と同様に、図示しない電力線を介して船内電気系統へと供給される。
【0030】
蒸気タービン18を駆動し終えたR245faの蒸気は予熱器16に流れ、ここで蒸発器17に流入する前の液相状のR245faと熱交換して液相状のR245faを予熱し、次に復水器20において海水により冷却されて液相状に凝縮してから循環ポンプ15に吸入されて再び発電システムBを循環し、以下、上記のサイクルが繰り返される。このように、発電システムBでは、発電システムAにおいて蒸気タービン8を駆動し終えた250℃以下の蒸気の熱エネルギが更に回収されて第2の発電に供される。
【0031】
以上のように構成された排熱回収発電装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
この排熱回収発電装置1では、発電システムAにより内燃機関の排ガスから熱エネルギが回収されて高温な水蒸気が生成され、この水蒸気によって蒸気タービン8および発電機12が駆動されて発電がなされ、蒸気タービン8を駆動し終えた水蒸気の熱エネルギが外部に捨てられることなく発電システムBによって更に回収され、その熱エネルギによってR245faの蒸気が生成されて蒸気タービン18および発電機19が駆動されて発電がなされる。このように、内燃機関の排ガスから二段階に分けて無駄なく排熱が回収され、この回収した熱エネルギによって発電が行われるため、船体に積載された燃料を消費して発電する比率を小さくすることができ、省エネルギ化に多大な貢献を果たすことができる。
【0032】
また、発電システムBが、加圧されたR245faを沸騰させて生成した蒸気により蒸気タービン18を駆動するように構成されており、加圧されたR245faの沸点は80℃程度と、発電システムAの作動流体である水の沸点(100℃)よりも低いため、発電システムAの蒸気タービン8を駆動し終えて熱エネルギが低下した水蒸気であっても、発電システムBのR245faを蒸発器17で充分に沸騰させて蒸気を生成することができ、これにより蒸気タービン18と発電機19を確実に駆動し、排ガスの熱を無駄なく回収して高い発電効率を得ることができる。
【0033】
さらに、発電システムAが、循環ポンプ5と、蒸気ドラム6と、過熱器7と、蒸気タービン8と、復水器9とが順に閉ループ状に接続されたランキンサイクル発電システムであるため、蒸気タービン8を駆動した後の蒸気が外部に排出されることなく再循環され、これにより熱効率を高く保って高い発電効率を得ることができる。
【0034】
また、発電システムAにおける復水器9が、発電システムBにおける蒸発器17として兼用されており、この復水器9(蒸発器17)において、発電システムAの作動流体(水)の凝縮と、発電システムBの作動流体(R245fa)の蒸発とが同時に行われるため、例えば復水器9と蒸発器17をそれぞれ個別に設けたり、復水器9の冷却のために海水を取り込んだりする必要がなく、この点で排熱回収発電装置1の構成を非常に簡素にすることができる。
【0035】
また、発電システムAには、過熱器7を通過した後の排ガスの熱により、過熱器7に流入する前の作動流体を予熱する蒸発器11が設けられており、発電システムAの作動流体である水が、蒸発器11において排ガスの熱により予熱されてから過熱器7に流れる構成であるため、素早く熱エネルギの高い水蒸気になることができる。しかも、排ガスは過熱器7を通過してから蒸発器11を通過するため、過熱器7を通過する排ガスの温度は高いままであり、これによって熱エネルギの高い過熱蒸気を生成して排熱回収発電装置1の熱効率を向上させることができる。
【0036】
さらに、発電システムBが、蒸気タービン18を駆動し終えた蒸気の熱により、蒸発器17(復水器9)に流入する前のR245faを予熱する予熱器16を有しており、発電システムBおける作動流体であるR245faが、予熱器16において、蒸気タービン18駆動後の蒸気の熱により予熱されてから蒸発器17に流れるため、蒸発器17において素早く熱エネルギの高い蒸気になることができる。しかも、この予熱には蒸気タービン18駆動後の蒸気の熱が利用されるため、排熱量を低減させて排熱回収発電装置1の熱効率を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態の排熱回収発電装置1は、船舶への適用を例として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば陸上の発電所に用いられる内燃機関や、陸上を走行する車両等にも適用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 排熱回収発電装置
5,15 循環ポンプ
6 蒸気ドラム
7 過熱器(第1の熱交換器)
8 蒸気タービン(第1の蒸気タービン)
9 復水器
11 蒸発器(第1の予熱手段)
12 発電機(第1の発電機)
16 予熱器(第2の予熱手段)
17 蒸発器(第2の熱交換器)
18 蒸気タービン(第2の蒸気タービン)
19 発電機(第2の発電機)
A 発電システム(第1の発電システム)
B 発電システム(第2の発電システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガスと熱交換する第1の熱交換器と、該第1の熱交換器にて生成された蒸気によって駆動される第1の蒸気タービンと、該第1の蒸気タービンに駆動される第1の発電機とを有する第1の発電システムと、
前記第1の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気と熱交換する第2の熱交換器と、該第2の熱交換器にて生成された蒸気によって駆動される第2の蒸気タービンと、該第2の蒸気タービンに駆動される第2の発電機とを有する第2の発電システムと、
を備えてなることを特徴とする排熱回収発電装置。
【請求項2】
前記第2の発電システムは、前記第1の発電システムにおける作動流体よりも沸点の低い有機流体を沸騰させて生成した蒸気により前記第2の蒸気タービンを駆動するように構成された有機ランキンサイクル発電システムであることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収発電装置。
【請求項3】
前記第1の発電システムは、前記第1の熱交換器と前記第1の蒸気タービンと前記第1の発電機の他に、循環ポンプと復水器とを備えたランキンサイクル発電システムであることを特徴とする請求項1または2に記載の排熱回収発電装置。
【請求項4】
前記復水器は、前記第2の熱交換器であることを特徴とする請求項3に記載の排熱回収発電装置。
【請求項5】
前記第1の発電システムは、前記第1の熱交換器を通過した後の前記排ガスの熱により、前記第1の熱交換器に流入する前の作動流体を予熱する第1の予熱手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の排熱回収発電装置。
【請求項6】
前記第2の発電システムは、前記第2の蒸気タービンを駆動し終えた蒸気の熱により、前記第2の熱交換器に流入する前の作動流体を予熱する第2の予熱手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の排熱回収発電装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の排熱回収発電装置を備えていることを特徴とする船舶。

【図1】
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【公開番号】特開2012−82750(P2012−82750A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229725(P2010−229725)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】