説明

排熱発電設備

【課題】排熱の利用効率を低下させることになく、膨張機(タービン等)や(高速)発電機が過回転速度運転されることなく、安価な排熱発電設備を提供すること。
【解決手段】排熱を回収して高圧の作動媒体蒸気を発生させる蒸気発生器11と、タービン12と、凝縮器14と、給液ポンプ15とを具備すると共に、前記タービン12により駆動される高速発電機13を具備する排熱発電装置10を備えた排熱発電設備であって、高速発電機13の出力を高周波整流器18により直流に変換した直流電力と、商用電力系統200から供給される電力を整流器17により直流に変換した直流電力を直流系統201で合成し、該合成して直流電力をインバータ19で交流電力に変換し、交流系統202に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱エネルギーを電力に変換する排熱発電装置を備えた排熱発電設備に関し、特に利用可能な熱エネルギーを最大に取り込みながら、緊急停止の応答性に優れた排熱発電装置を備えた排熱発電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マイクロガスタービン或いはエンジン駆動の自家発電装置等においては、目標の発電量にするための調整は、発電装置への燃料(熱エネルギー)の供給量の増減により行われている。また、発電装置において、停電時に発電装置を緊急停止するときには、燃焼を短時間で停止し、ロータ等の過回転速度防止が図られている。燃焼ガス等の熱容量が小さければ、制御応答性がよいので、燃料調整で過回転速度防止を行うことができる。
【0003】
一方、排熱による熱エネルギーを有効に利用する排熱発電装置が知られている。これらの排熱発電装置は、いわゆるランキンサイクル等を利用したクローズドシステム発電装置であり、装置のコンパクト化のために、作動媒体として水ではなく、低沸点の作動媒体を用い、排ガス等と熱交換することにより排熱を回収すると共に、作動媒体を蒸発させて発電機を駆動する蒸気として利用している。
【0004】
また、近年はパワーエレクトロニクス分野の技術進歩により、系統連携装置(系統連携インバータ等)を用いて、高速発電機で高周波交流電力を発電し、これを整流して直流とした上で商用電力系統と同じ周波数の電力に変換して商用電力系統に電力を送電することが普及している。これにより、発電装置の主軸回転速度が商用電力系統の周波数に制約されることがなくなるので、主軸回転数を高くして排熱発電装置を小型化することが可能となり、小容量の排熱発電装置を実用的な性能とコストで提供出来るようになってきた。
【0005】
図1は従来のこの種の排熱発電装置を備えた排熱発電設備のシステム構成例を示す図である。排熱発電装置100は排熱を回収して高圧の作動媒体蒸気を発生させる蒸気発生器101、該蒸気発生器101で発生した高圧蒸気で駆動されるタービン102、該タービン102により駆動される高速発電機103、該タービン102より排出される低圧の作動媒体蒸気を凝縮させる凝縮器104と、該凝縮器104で凝縮した作動媒体液を蒸気発生器101に循環させる給液ポンプ105とを備え、これら蒸気発生器101、タービン102、凝縮器104及び給液ポンプ105は作動媒体循環経路106で接続されている。
【0006】
また、蒸気発生器101の出口には調速弁107が設けられている。高速発電機103で発電された高周波交流電力は高周波整流器108により直流に変換された後、更にインバータ(図示せず)を備える系統連携装置109により商用電力系統200と同期した交流電力に変換され、送電される。110は排熱発電装置制御盤であり、該排熱発電装置制御盤は給液ポンプ105等を制御する。
【0007】
商用電力系統200には、熱源装置120の発電機121の他、温水系、補機類を制御する温水系統補機盤122や冷却塔補機盤123等が接続されている。熱源装置120は発電機(同期発電機)121を駆動する内燃機関124、発電機盤125、熱源装置補機盤126を備えている。内燃機関124のジャケット冷却水が循環するジャケット冷却水循環路127が設けられ、該ジャケット冷却水循環路127に熱回収用熱交換器128、三方弁129、ジャケット冷却水循環ポンプ130が接続されている。
【0008】
131は排温水循環系であり、該排温水循環系131には温水循環ポンプ132、往水ヘッダー133、還水ヘッダー134が接続されており、熱回収用熱交換器128でジャケット冷却水から熱を回収して高温となった温水は蒸気発生器101に送られ、該蒸気発生器101で作動媒体を蒸発させて温度が低下した温水は熱回収用熱交換器128に戻るようになっている。また、往水ヘッダー133には温水循環ポンプ139が接続され、温水が温水需要先140に送られ、温水需要先140からの温度が降下した温水は還水ヘッダー134に戻るようになっている。
【0009】
また、熱源装置120の内燃機関124、排熱発電装置100の凝縮器104に冷却水を送る冷却水循環系135には、冷却水ポンプ136、冷却ファン138を備えた冷却塔137が接続されている。冷却水ポンプ136や冷却ファン138は冷却塔補機盤123で制御される。また、ジャケット冷却水循環路127の三方弁129により、ジャケット冷却水を放熱用熱交換器142に導き、その有する熱を冷却水循環系135の冷却水に放熱できるようになっている。
【0010】
上記従来構成の排熱発電装置100では、蒸気発生器101とタービン102の間に調速弁107が設けられている。タービン102の主軸の回転速度が、危険回転速度に近づいたり、最高回転速度を超えると、装置の破損や異音の発生につながる。逆に低下すれば、発電電力が低下して送電不能に陥ったりする。このため、調速弁107は、その開度を制御することでタービン102の回転速度が一定範囲内にとどまるよう制御するものである。この場合、調速弁107の開度が変化することで、配管内の圧力損失を増して効率を制御すると共に、調速弁107の開度を小さくすると、蒸気発生器101内の蒸発温度が上昇して熱回収量が低下して出力が低下し、調速弁107の開度が大きくなると、蒸気発生器101内の蒸発温度が降下して、熱回収量が回復して出力が回復する。
【0011】
図2は、上記従来の排熱発電設備の、特に電気系統だけを抜き出して示した図である。図2に示すように、商用電力系統200に系統連携装置109、排熱発電装置制御盤110、発電機盤121、熱源装置補機盤126、及び循環水系補機盤141が接続される。図2において、図1の温水系統補機盤122と冷却塔補機盤123とを合わせて循環水系補機盤141としている。図示するように、排熱発電装置100内の高速発電機103で発電された高周波交流電力は、高周波整流器108で直流電力に変換された後、系統連携装置109により商用電力系統200に送電される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、例えば排熱を熱エネルギーとして利用する排熱発電装置のように、熱源の熱エネルギー量が定まっている場合においては、熱の供給量を増減することは熱エネルギーの利用効率が高低することであり、熱エネルギー損失が増加することになる。
【0013】
系統連携装置109のインバータは、要求される出力電力の質が高いこと、商用電力系統200と連携するためには大容量のリアクトルや電磁接触器が必要なことや、逆潮流や単独運転を検出・保護する必要があることなどから、高周波整流器108で変換された直流電力を単に設定された周波数の交流に変換する汎用的なインバータに比べて高価且つ大きくなる。これが、排熱発電装置100の価格を押し上げる要因の一つであった。
【0014】
たとえば、系統連携装置109を用いないで、排熱発電装置100の出力を独立した電力系統とし、電力需要に合わせてその出力を増減することは、先に述べたように排熱利用量を増減することになるので、排熱の利用効率を犠牲にせざるを得なくなる。また、同系統に接続する電気的負荷が常に発電能力以下となるように設備を設計する必要があるため、さらに排熱の利用効率を低下させることになってしまう。
【0015】
また、図1に示すように排熱エネルギーにより作動媒体蒸気を発生させ、該作動媒体蒸気のエネルギーによりタービン102を駆動することにより、高速発電機103を駆動して発電する排熱発電装置100において、蒸気発生器101の熱保有量が多くなるため、緊急停止する場合に、熱源を遮断しても発生する蒸気量を急激には減らすことができない。即ち、商用電力系統200が停電等で使えない場合に、高速発電機103が無負荷で運転されることになり、その結果、タービン102及び高速発電機103が過回転速度で運転され、これらの機器が損傷するおそれがあった。
【0016】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、排熱の利用効率を低下させることなく、膨張機(タービン等)や高速発電機が過回転速度運転されることなく、安価な排熱発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、排熱を回収して作動媒体蒸気を発生させる蒸気発生器と、該作動媒体蒸気により駆動されるタービンと、該タービンより排出される作動媒体蒸気を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮した作動媒体液を前記蒸気発生器に循環させる作動媒体循環ポンプとを具備すると共に、前記タービンにより駆動される発電機を具備する排熱発電装置を備えた排熱発電設備であって、前記発電機で発電された交流出力を整流器により直流に変換した直流電力と、外部電力系統から供給される電力を整流器により直流に変換した直流電力とを合成し、該合成した直流電力をインバータで交流電力に変換することを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排熱発電設備において、前記排熱は、発電機を駆動する内燃機関からの排熱であって、該内燃機関の補機類の電力の一部若しくは全部を、前記インバータから交流電力で賄うことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の排熱発電設備において、前記合成した直流電力が流れる直流系統に、制御手段を介して電熱器を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、前記合成した直流電力が流れる直流系統に、蓄電器を設置したことを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、前記発電機の発電電力が、その時点での負荷の電力需要を上回った場合若しくは上回ることが予想される場合に、前記補機類を強制的に運転する機能を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、前記外部電力系統が停電した場合、負荷系統の一部若しくは全部を遮断する機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、(高速)発電機で発電された(高周波)交流出力を(高周波)整流器により直流に変換した直流電力と、外部電力系統から供給される電力を整流器により直流に変換した直流電力とを合成し、該合成した直流電力をインバータで交流電力に変換するので、下記のような優れた効果が得られる。
【0024】
(1)(高速)発電機の負荷側の電力が発電電力を上回る場合でも、外部電力系統から不足した電力を直流で供給されるため、排熱発電装置に(高速)発電機の発生電力を上回る負荷を接続することができる。
【0025】
(2)インバータの出力を一つの独立した電力系統とすることができるので、電力の品質は高いものが要求されず、従来のように高価系統連携装置を搭載することに比して排熱発電装置を安価に構成できる。
【0026】
(3)排熱発電装置の負荷としては、排熱発電設備の熱源装置、若しくは排熱発電装置に組み込まれた系の補機動力が利用できる。この場合、これら補機類は排熱発電装置が運転される場合には、常に運転されることが期待されるため、発電した動力を無駄にすることが少なくなる。
【0027】
(4)また、後に詳述するように従来のタービン発電機を用いた排熱発電装置では不可欠であった調速装置も省略若しくは簡略化することが可能となる。これにより調速装置による損失がなくなるばかりではなく、ハンチングなどの制御不良を生じる危険性が少なく、信頼性も高くなり、更に安定した調速効果をもたらす。
【0028】
(5)また、後に詳述するように(高速)発電機の発電電力は常に任意の出力で運転できるようになるため、排熱発電装置は常に可能な限りの排熱を回収し、発電をすることができる。即ち、従来は主軸回転速度が一定範囲内にあるためには、排熱発電装置の電力負荷と、(高速)発電機の発電能力とがバランスするように、排熱発電装置の入熱量か、発電効率を抑制する必要があったが、本発明では主軸回転速度を一定範囲に維持するために、排熱の回収量や発電効率を抑制する必要はなくなる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、排熱は、発電機を駆動する内燃機関からの排熱であって、該内燃機関の補機類の電力の一部若しくは全部を、インバータからの交流電力で賄うので、排熱発電装置で発電した電力を排熱発電設備内で有効に利用できると共に、その分内燃機関で駆動される発電機で発電された電力を外部の商用電力系統に供給できる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、合成した直流電力が流れる直流系統に、制御手段を介して電熱器を設けたので、何等かの理由でタービン出力(高速発電機出力)が負荷を上回った場合電熱器により負荷をつくり、(高速)発電機に負荷をかけて過回転を防止することができる。また、電熱器の応答は、他の制動手段に比べて高速であるため、排熱発電装置の安全性が高くなる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、合成した直流電力が流れる直流電力系に、蓄電器を設置したので、一時的に発電電力が負荷を上回った場合、発段電力を該蓄電器に蓄えることにより、負荷のバランスをとることが可能となり、簡単な構成で(高速)発電機の過回転を防止することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、(高速)発電機の発電電力が、その時点での負荷の電力需要を上回った場合若しくは上回ることが予想される場合に、補機類を強制的に運転するので、この補機類の運転分の負荷が増え、(高速)発電機の過回転速度を防止してきる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、外部電力系統が停電した場合、負荷系統の一部若しくは全部を遮断する機能を備えたので、排熱発電装置の負荷を軽減できる。
【0034】
また、本発明によれば、インバータと補機類の組み合わせの一部若しくは全部に代えて、直流電力で駆動される補機類を用いることができるので、補機に例えば市販のインバータ内蔵の補機をそのまま使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図3及び図4は本発明に係る排熱発電設備のシステム構成例を示す図で、図3は排熱発電設備の全体のシステム構成を示し、図4は特に電気系統だけを抜き出した構成を示す。排熱発電設備は、排熱源として熱電併給型のエンジン発電機ユニット(コージェネレーションパッケージ)を用いて、内燃機関(エンジン)の排温水を循環させ、その一部を排熱発電装置に導き、発電を行う例である。なお、本実施例では、内燃機関として特に普及台数の多いディーゼルエンジンを示しているが、これに限定されるものではない。
【0036】
排熱発電装置10は排熱を回収して高圧の作動媒体蒸気を発生させる蒸気発生器11、蒸気発生器11で発生した高圧蒸気で駆動されるタービン12、タービン12により駆動される高速発電機13、タービン12より排出される低圧蒸気を凝縮させる凝縮器14と、該凝縮器14で凝縮した作動媒体液を蒸気発生器11に循環させる給液ポンプ15とを備え、これら蒸気発生器11、タービン12、凝縮器14及び給液ポンプ15は作動媒体循環経路16で接続されている。
【0037】
高速発電機13で発電された高周波交流電力は高周波整流器18により直流に変換され直流系統201に出力される。商用電力系統200からの交流電力は商用電力系統側の整流器17で直流に変換されて直流系統201に出力され、前記高周波整流器18の直流出力と合成される。直流系統201の合成直流電力はインバータ19により交流に変換され、交流系統202に出力される。直流系統201には制御器20を介して電熱器21が接続されている。22は排熱発電装置制御盤であり、該排熱発電装置制御盤22は前記交流系統202に接続されている。
【0038】
商用電力系統200には、上記排熱発電装置10の整流器17の他、熱源装置30の発電機盤31が接続されている。熱源装置30は発電機(ここでは同期発電機を用いるが誘導発電機などでもよく、特に種類は問わない)32を駆動する内燃機関(ディーゼルエンジン)33、発電機盤31、熱源装置補機盤34を備えている。内燃機関33のジャケット冷却水が循環するジャケット冷却水循環路35には、熱回収用熱交換器36、三方弁37、ジャケット冷却水循環ポンプ38が接続されている。39は排温水循環系であり、該排温水循環系39には温水循環ポンプ40、往水ヘッダー41、還水ヘッダー42が接続されており、熱回収用熱交換器36でジャケット冷却水から熱を回収して高温となった温水は蒸気発生器11に送られ、該蒸気発生器11で作動媒体を蒸発させて温度が低下した温水は熱回収用熱交換器36に戻るようになっている。また、往水ヘッダー41には温水循環ポンプ43が接続され、温水が温水需要先44に送られ、温水需要先44からの温水は還水ヘッダー42に戻るようになっている。
【0039】
また、熱源装置30の内燃機関33、排熱発電装置10の凝縮器14に冷却水を送る冷却水循環系45には、冷却水ポンプ46、冷却ファン47を備えた冷却塔48が接続されている。冷却水ポンプ46や冷却ファン47は冷却塔補機盤52で駆動・制御される。また、ジャケット冷却水循環路35の三方弁37により、ジャケット冷却水を放熱用熱交換器49に導き、その有する熱を冷却水循環系45の冷却水に放熱できるようになっている。51は温水系統補機盤であり、該温水系統補機盤で温水循環ポンプ40、温水循環ポンプ43は駆動・制御される。なお、図4において、循環水系補機盤50は温水系統補機盤51と冷却塔補機盤52を合わせたものである。
【0040】
熱源装置30は、内燃機関33により発電機32を駆動して電力を発電する。発電した電力は発電機盤31を経由して商用電力系統200に送電される。このとき内燃機関33内にジャケット冷却水と呼ばれる熱媒体が循環しており、内燃機関33で発生した熱をジャケット冷却水循環路35を通して内燃機関33外に運び出している。運びだされた熱は熱回収用熱交換器36を介して排温水として熱源装置30の外に供給される。このとき排温水が利用されない場合等には、排熱は熱源装置30内の放熱用熱交換器49により、冷却水循環系45の冷却水に放熱させ、冷却塔48で冷却され、大気に放出される。
【0041】
この冷却水及び冷却塔48は内燃機関33としてディーゼルエンジン等を用いた場合、吸気圧縮機(チャージャ)により圧縮された空気を冷却する冷却器(アフタークーラ)を冷却するために必要とされる。これは、内燃機関33の出力向上と排気ガス中の窒素酸化物量などを抑制するために必要なもので、排熱発電装置10の利用の有無に関わらず必要となる場合が多い。排温水循環系39に排温水の形で取り出された排熱は、排温水の需要がある場合は、温水循環ポンプ43により温水需要先44に温水のまま供給されるが、排温水の需要がない場合や余剰の排熱がある場合、排熱発電装置に供給される。
【0042】
排熱発電装置10に供給された排温水は蒸気発生器11に供給される。ここで排温水により作動媒体が加熱され、高圧の作動媒体蒸気となる。該作動媒体蒸気はタービン12に供給されこれを駆動する。該タービン12を通過した後の低圧の作動媒体蒸気は凝縮器14で液化され、給液ポンプ15を介して再び蒸気発生器11に送られ、循環する。本実施形態では、凝縮器14の冷却源として、冷却水循環系45の冷却水を使用し、熱源装置30の冷却塔48を共用している。
【0043】
一方、タービン12は、タービン12と同軸で連結された高速発電機13を駆動する。高速発電機13で発電された高周波交流電力は、高周波整流器18で直流電力(発電機直流電力)に変換される。この発電機直流電力と、商用電力系統200の電力を整流器17を介して直流に変換した直流電力(系統直流電力)は、直流系統201で合成され、合成直流電力としてインバータ19に供給される。これにより、後述するように高速発電機13の発電電圧は略一定となり、回転速度も略一定となる。
【0044】
また、このように接続した場合、図1及び図2示すように系統連携装置109を用いた場合に問題となる逆潮流を生じる可能性が無い。逆潮流とは、需要家の需要電力を越える電力を発電装置が発電してしまい、発電した電力が電力会社等の保有する電力系統に流れ込む現象であるが、整流器17及び高周波整流器18は原理的に電力を逆方向に通すことが無いので(図4の矢印A、Bに示す方向にしか通さない)、排熱発電装置10で発電された電力が商用電力系統側の整流器17を通して商用電力系統200に供給される可能性は無いので、逆潮流は起こりえない。
【0045】
インバータ19からの交流電力が出力される交流系統202には、排熱発電装置10内の補機類(排熱発電装置制御盤22、給液ポンプ15、自動弁、計装機器等)、温水系統補機類(温水系統補機盤51、温水循環ポンプ40、温水循環ポンプ43等)及び冷却水系統の補機類(冷却塔補機盤52、冷却ファン47、冷却水ポンプ46等)を接続しこれらで消費する電力、更には熱源装置内の補機類で消費する電力を賄い、更に負荷を接続してもよい。
【0046】
また、上記のように接続すると、高価な系統連携装置を用いなくとも、安価なインバータ19を用いて、排熱発電装置10で発電した電力を利用できることになる。このとき、従来は熱源装置30が発電して補機類が消費していた電力が、商用電力系統200に送電されることになり、実質的に系統連携装置を用いた従来例と同等の効果を生むことができる。
【0047】
上記のように高速発電機13の出力を高周波整流器18により直流に変換した直流電力と、外部の商用電力系統200から供給される電力を商用電力系統側の整流器17により直流に変換した直流電力とを直流系統201で合成し、該合成して直流電力をインバータ19で交流電力に変換することにより、負荷側の電力が高速発電機13の発電電力を上回る場合でも、商用電力系統200から不足した電力を直流で供給されるため、排熱発電装置10に高速発電機13の発生電力を上回る負荷を接続することができる。更に、インバータ19の出力を一つの独立した交流系統202とすることができるので、電力の品質は高いものが要求されず、図1に示す系統連携装置109を搭載することに比して排熱発電装置10を安価に構成できる。
【0048】
また、排熱発電装置10の負荷としては、排熱発電設備の熱源装置30、若しくは排熱発電装置10に組み込まれた系の補機動力が利用できる。この場合、これら補機類は排熱発電装置10が運転される場合には、常に運転されることが期待されるため、発電した動力を無駄にすることが少なくなる。この場合、これまで補機類に消費されていた、熱源装置30の発電機32で発電した電力の一部が、排熱発電装置10の出力で代替されて商用電力系統200に供給されることになり、系統連携装置を用いた従来の例(図1参照)と略同等の効果を少ないコストで得ることができる。
【0049】
また、従来のタービン発電機(図1のタービン102及び高速発電機103参照)を用いた排熱発電装置では不可欠であった調速機能も省略若しくは簡略化することが可能となる。即ち、商用電力系統200の交流電圧は略一定であるのに対して、高速発電機13の高周波交流電圧は、主軸の回転速度に略比例して上昇すると考えてよい。このため、仮にタービン12の出力軸に対して高速発電機13の出力が劣っていれば、主軸の回転速度が上昇するが、このとき、高速発電機13の高周波交流電圧も上昇するため、高速発電機13の負荷が増えて該高速発電機13に制動がかかり、主軸の回転速度が自然に調速される。
【0050】
この調速装置が不要となる点を更に詳しく述べる。まず、インバータ19の負荷は一定であると仮定する。本排熱発電設備の条件で使用するインバータ19は、電圧の変動が小さいことから定電流負荷であると考えてよい。高周波整流器18及び商用電力系統側の整流器17は、どちらも電気回路中では抵抗の一種とみなすことができ、その電圧降下は流れる電流が増大すると大きくなり、減じると小さくなる。上記のように、例えば温度条件の変化等によりタービン12の軸出力が増し、そのとき高速発電機13の負荷(発電電力)相当の軸出力を上回ると、主軸の回転速度が上昇する。
【0051】
このとき、高速発電機13の出力電圧が上昇し、この電圧上昇により高周波整流器18を流れる電流が増す。このためインバータ19が定電流負荷であると考えれば、商用電力系統側の整流器17に流れる電流が減じ、該整流器17の電圧降下が小さくなる。本排熱発電設備では商用電力系統200は定電圧電源であると考えてよいので、整流器17の出力合成直流電圧が若干上昇し、高周波整流器18の電圧降下と釣り合う点に安定する。この電圧変化を図示すると図5に示すようになる。
【0052】
実際にはこの合成直流電圧の変化(図5のΔV参照)は高々数ボルトであり、合成直流電圧は通常数百ボルト程度であるので、インバータ19を定電流負荷と考えることと矛盾しない。なお、逆にタービン12の軸出力が変わらず、インバータ19の負荷が変動する場合でも、同様の調整機能が働いて高速発電機13による軸負荷とタービン12の出力とはバランスする。両者が同時に変動しても問題が無い。
【0053】
従って、商用電力系統200の電圧が略一定であれば、高速発電機13の主軸回転速度は常に一定の範囲にあることとなる。実際これに加えて高速発電機13の内部リアクタンスの影響で、発電電流が増すと回転速度がやや上昇するが、その範囲は予想でき、設計時点で一定の範囲内に抑えることができる。即ち、特設に調速装置を設ける必要が無くなる。このため、調速装置による損失がなくなるばかりでなく、従来の機械的な調速装置よりも、いわゆるハンチングなどの制御不良を生じる危険性が少なく、信頼性も高くなり、更に安定した調速効果をもたらす。
【0054】
更に、上記の作用効果より高速発電機13の発電電力は常に任意の出力で運転できるようになるため、排熱発電装置10は常に可能な限りの排熱を回収し、発電をすることができる。即ち、従来は主軸回転速度が一定範囲内にあるためには、排熱発電装置の電力負荷と、高速発電機の発電能力とがバランスするように、排熱発電装置の入熱量か、発電効率を抑制する必要があったが、本排熱発電設備に依れば、主軸回転速度を一定範囲に維持するために、排熱の回収量や発電効率を抑制する必要はなくなる。
【0055】
なお、上記したように、本排熱発電設備の排熱発電装置10では原理的に調速装置が不要であるが、安全のために非常調整装置のみを設けてもよい。これは高速発電機13の主軸が過回転になり、主軸回転速度が設定値を超えた場合、タービン12の入口蒸気を遮断して高速発電機13を緊急停止させるものであるが、一般に通常の調速装置を有する発電装置であっても、それは別系統で設けるものであるので、本排熱発電装置10の優位である点には変わりはない。
【0056】
なお、本排熱発電設備の排熱発電装置10では合成直流電力を、制御器20としてIGBT(スイッチング素子)を介して、電熱器21と接続している。これは、インバータ19に異常が発生した時等、急激に高速発電機13の負荷が失われたときのためのものである。このような場合、タービン12の回転速度が急激に上昇するため、緊急遮断弁などによりタービン12を停止させる必要があるが、本排熱発電装置10では、高速発電機13の負荷が急速に失われた場合、制御器20により発電した電力を電熱器21に導き、高速発電機13に制動をかけることができる。
【0057】
これらの異常を検知してから緊急遮断弁が閉塞するまでには、1〜3秒程度の時間が必要であるが、この方法によれば、異常を検知してから、瞬時(数ミリ秒程度)に高速発電機13に制動をかけることが可能である。これにより、不慮の異常発生時でも、高速発電機13が過回転に達することを防止でき、装置の安全性と信頼性を高めることができる。
【0058】
なお、制御器20としてはIGBT以外に、他のトランジスタ等の別のスイッチング素子、或いは継電器や接触器等を使用しても構わない。また、電熱器21は冷却媒体(冷却水)、熱源媒体(排温水)、作動媒体、空気などにより冷却することがよいが、上記のように非常用のみとして用いるものであれば、例えば蓄熱体を用いて発生した熱を蓄えるだけでもよい。
【0059】
また、何等かの条件により、排熱発電装置10の発電電力が負荷電力を上回った場合に電熱器を調速器の一種として用いることができる。即ち、高速発電機13の発電電力が負荷を上回った場合、上回った負荷に見合うように電熱器21に電力を供給すればよい。
【0060】
制御器20に用いるIGBTは電熱器21に流れる電流を断続的に制御するいわゆるチョッパ制御により、任意に電熱器21の負荷を変えることができる。前述したとおり、高速発電機13の発電電圧は高速発電機の回転速度に略比例するので、直流電圧が設計値以上に上昇したのであれば、高速発電機13が過回転速度に近づいたものとみなしてもよい。本排熱発電装置10の場合、直流電圧が設定値を超えた場合、超えた値に応じて電熱器21の負荷が増すようにIGBTを制御することにしている。これは、簡単な電子回路で実現でき、安全のためには独立した電子回路等で構成することが望ましいが、制御盤等のデジタル制御によってもよい。なお、これら制御回路及び制御盤の電源は、直流系統201の合成直流電流からとることができる。
【0061】
このとき、前記したような、インバータ19に異常が発生した時等、急激に高速発電機13の負荷が失われた場合であっても、制御器が動作して発電装置が過回転となることを抑制する効果が望める。上記から明らかなように直流電圧の上昇により、制御器20が動作するような構成とすると、過回転速度やインバータの異常を特に検知しなくても働くため、安全性が大きく向上する。なお、このとき、直流系統201の電圧は上昇しているため、系統側から電力が流れ込むことが無く、設定値だけ適切に定めていれば、系統側から供給される電力を電熱器が無駄に消費することは無い。
【0062】
このようにすると、高速発電機13の出力が負荷を上回った場合でも、余剰の電力を電熱器21が消費することにより負荷がバランスし、回転速度を適正範囲に保つことができる。これにより排熱発電装置10の負荷が、排熱発電装置の発電能力を下回る可能性のある条件でも使用可能となる。なお、この方法を用いず、従来の調速器のように供給する温水の流量を制限する、或いはタービン12の入口に制御弁(図1の調速弁107参照)を設けて発電能力を制御する、或いは作動媒体循環経路16の作動媒体の循環量を減じる等により、高速発電機13の出力を減じるなどして、高速発電機13の出力を制御してもよい。
【0063】
ここで、系統側が停電した場合を考える。この場合、系統側から整流器21を通じて電力が供給されなくなるため、高速発電機13の負荷が急増し、回転速度が低下して、直流電圧が低下する。このような場合、直流電圧の低下を検出した場合にインバータ19が動作を停止することとしてもよい。しかし、系統側が停電したことを検出した場合、直流電圧が低下する前に、必要性の小さい負荷を遮断してインバータ19の負荷を減らし、特に装置内の補機器等、必要な機器だけ運転を継続したり、安全に停止させたりすることもできる。このとき、発電量が負荷を上回れば、やはり余剰の電力を電熱器21で消費させるのがよい。
【0064】
図6は本発明に係る他の排熱発電設備のシステム構成例を示す図である。ここでは電気系統だけを抜き出して示しており、図3に相当する全体のシステム構成図は省略する。ここでは排熱発電装置10の補機類(排熱発電装置制御盤22、給液ポンプ15等)と、循環水系の補機類(循環水系補機盤50、温水循環ポンプ40、温水循環ポンプ43、冷却水ポンプ46、冷却ファン47等)を直流系統201の合成直流電流の一部で駆動している。なお、ここで、循環水系補機盤50は、温水系統補機盤51と冷却塔補機盤52を合わせたものである。
【0065】
また、本排熱発電設備の排熱発電装置10では、直流系統201に蓄電器53を接続し、合成直流電力を蓄電器53に蓄電できるようになっている。このようにすることで、一時的に発電電力が負荷を上回った場合、発電電力を蓄電器53に蓄えることで、負荷のバランスをとることが可能となる。蓄電器53に蓄えられた電力は、再び負荷が上昇した場合などに有効に利用できる。また、商用電力系統側の整流器17と直列に開閉器を設け、条件により蓄電器53の電力と商用電力系200の電力を使い分けることも可能となる。
【0066】
また、商用電力系200の停電時等、排熱発電装置制御盤22や、循環水系補機盤50を介して温水循環ポンプ40、43、冷却塔48(冷却水ポンプ46、冷却ファン47)の運転を短時間であれば維持できることとなり、これによりシステムの信頼性を向上させることができる。このとき、蓄電器53を直接直流系統201に接続してもよく、このとき、蓄電器は定電圧電源となるので、前述した調速機能が更に有効に働く、また、例えば直流電圧が一定の値を超えた場合に充電し、一定の値を下回った場合に放電するような回路としても良い。蓄電器53としては、鉛電池に代表される二次電池や近年研究の進んでいるフライホイールバッテリ、大容量キャパシタ等、特に種類を問わない。
【0067】
図7は本発明に係る他の排熱発電設備のシステム構成例を示す図である。ここでは電気系統だけを抜き出して示すたもので、図3に相当する全体のシステム構成図は省略する。本排熱発電設備の排熱発電装置10は保護装置54を備え、保護装置54を介して直接直流系統201の合成直流電力を外部の直流負荷55に供給できるようになっている。ここで直流負荷55とは、後述する直流電力を電源とするインバータに接続された交流電動機等であっても構わない。更に、排熱発電装置10の補機類(排熱発電装置制御盤22、給液ポンプ15等)を直流電源用のものに置き換えて、直接直流系統201の合成直流電力の一部で駆動すると共に、循環水系補機盤50を排熱発電装置10内に設け、循環水系補機盤50に補機類(冷却水ポンプ46、冷却ファン47等)を駆動する電動機用インバータ50a、50bを内蔵させてもよい。なお、補機類を駆動する電動機用インバータは排熱発電装置10の外部の補機の近傍に設け、直接直流系統201の合成直流電力を直流電力ケーブルで供給するようにしても差し支えない。
【0068】
近年は、インバータを用いてポンプやファンの回転速度を制御することで、これらの機器を最適化することが一般的になっている。即ち、ポンプを例にとれば、従来のようにポンプ出力は一定で、ポンプの吐出口等に制御弁を設けて流量や圧力を制御する代りに、インバータで交流電力の周波数を変え、流量や圧力を制御する方法である。このようにするとポンプの所要動力(電動機の消費電力)を低減できるため、省エネルギーに役立つ。近年インバータを内蔵したポンプもあり、これらの機器を、上記外部の直流負荷55として直接直流系統201に直結して用いても差し支えない。
【0069】
この場合、市販の電動機用インバータやインバータ内蔵ポンプを用いることは困難ではない。なぜならば、これらの機器は装置内部に整流器を内蔵しているが、商用の交流電力に代えて直流電力を供給しても、多くの場合は整流器を電流が通り抜けるだけで、機能上の不具合を生じない。但し、整流器による損失を回避するために、これらの機器に若干の改造を加えても良い。これらの改造は整流器を導体に置き換えるなどの軽微なもので十分である。
【0070】
このとき、補機類の運転を排熱発電装置10自身が制御することで、高速発電の過回転を防止することに役立たせることができる。即ち、タービン出力がそのときのインバータ出力を上回る場合などに、運転されていない補機類を強制的に運転することで、インバータに負荷をかけ、高速発電機が過回転速度に達することを抑制できる。一般に循環水ポンプ等は運転することで不具合を生じにくいため、負荷を調整するために好ましい。なお、同等の制御は本実施形態例に限らず、これら補機類の制御が、排熱発電装置側から行えるようになっていれば良い。
【0071】
図8は本発明に係る他の排熱発電設備のシステム構成例を示す図である。本排熱発電設備は、熱源装置30として温水供給が可能な内燃機関による熱電併給型の発電装置を用い、排熱発電装置10の熱源としては内燃機関33の排気ガス62を用いることとした。一般に、内燃機関33を用いた熱電併給型の発電装置(エンジンコージェネレーションパッケージ)では、ジャケット冷却水循環路35を循環する内燃機関33のジャケット冷却水から熱回収用熱交換器36で熱を回収し、温水を温水循環ポンプ40により、温水需要先44に供給し、内燃機関33の排気ガス62を熱源として排熱発電装置10の蒸気発生器11に供給している。
【0072】
蒸気発生器11で発生した高圧作動媒体蒸気はタービン12に供給されタービン12を駆動し、タービン12を出た作動媒体蒸気は空冷ファン60を備えた空冷凝縮器63で凝縮され、凝縮液は給液ポンプ15で蒸気発生器11に送られる。また、タービン12で駆動される高速発電機13で発電された高周波交流電力は高周波整流器18で直流電力に変換される。この高周波整流器18からの直流電力と整流器17で直流に変換された商用電力系統200からの直流電力は直流系統201で合成され、インバータ19で交流系統202に出力される。交流系統202には、熱源装置補機盤34、排熱発電装置制御盤22、循環水系補機盤61が接続されている。
【0073】
上記のようにエンジンコージェネレーションパッケージでは、エンジン冷却水を熱源にして温水を供給できる他、排気ガスを熱源としても、蒸気や温水を供給できる。しかし、温水需要先44の温水需要があまり大きくない場合などでは、排気ガス62については排熱源として利用せず大気に放出していることがある。本排熱発電設備では、このような未利用の排熱を有効利用することにも道を開くものである。また、本排熱発電設備の排熱発電装置10では凝縮器を空冷凝縮器63とし空冷ファン60を用いて冷却している。
【0074】
なお、図8では、電熱器などの装置は省略しているが、これらは適宜設けてもよい。また、図7に示すように、外部な直流電力を供給し、これにより補機等を駆動することとしてもよい。
【0075】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】従来の排熱発電設備のシステム構成を示す図である。
【図2】従来の排熱発電設備の特に電気系統だけを抜き出して示した図である。
【図3】本発明に係る排熱発電設備の全体のシステム構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る排熱発電設備の電気系統の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る排熱発電設備の排熱発電装置の電圧変化の状態を示す図である。
【図6】本発明に係る排熱発電設備の電気系統の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る排熱発電設備の電気系統の構成例を示す図である。
【図8】本発明に係る排熱発電設備の全体のシステム構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
10 排熱発電装置
11 蒸気発生器
12 タービン
13 高速発電機
14 凝縮器
15 給液ポンプ
16 作動媒体循環経路
17 整流器
18 高周波整流器
19 インバータ
20 制御器
21 電熱器
22 排熱発電装置制御盤
30 熱源装置
31 発電機盤
32 発電機
33 内燃機関
34 熱源装置補機盤
35 ジャケット冷却水循環路
36 熱回収用熱交換器
37 三方弁
38 ジャケット冷却水循環ポンプ
39 排温水循環系
40 温水循環ポンプ
41 往水ヘッダー
42 還水ヘッダー
43 温水循環ポンプ
44 温水需要先
45 冷却水循環系
46 冷却水ポンプ
47 冷却ファン
48 冷却塔
49 放熱用熱交換器
50 循環水系補機盤
51 温水系統補機盤
52 冷却塔補機盤
53 蓄電器
54 保護装置
55 直流負荷
60 空冷ファン
61 循環水系補機盤
62 排気ガス
63 空冷凝縮器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱を回収して作動媒体蒸気を発生させる蒸気発生器と、該作動媒体蒸気により駆動されるタービンと、該タービンより排出される作動媒体蒸気を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮した作動媒体液を前記蒸気発生器に循環させる作動媒体循環ポンプとを具備すると共に、前記タービンにより駆動される発電機を具備する排熱発電装置を備えた排熱発電設備であって、
前記発電機で発電された交流出力を整流器により直流に変換した直流電力と、外部電力系統から供給される電力を整流器により直流に変換した直流電力とを合成し、該合成した直流電力をインバータで交流電力に変換することを特徴とする排熱発電設備。
【請求項2】
請求項1に記載の排熱発電設備において、
前記排熱は、発電機を駆動する内燃機関からの排熱であって、該内燃機関の補機類の電力の一部若しくは全部を、前記インバータからの交流電力で賄うことを特徴とする排熱発電設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排熱発電設備において、
前記合成した直流電力が流れる直流系統に、制御手段を介して電熱器を設けたことを特徴とする排熱発電設備。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、
前記合成した直流電力が流れる直流系統に、蓄電器を設置したことを特徴とする排熱発電設備。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、
前記発電機の発電電力が、その時点での負荷の電力需要を上回った場合若しくは上回ることが予想される場合に、前記補機類を強制的に運転する機能を備えたことを特徴とする排熱発電設備。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排熱発電設備において、
前記外部電力系統が停電した場合、負荷系統の一部若しくは全部を遮断する機能を備えたことを特徴とする排熱発電設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−2688(P2007−2688A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180963(P2005−180963)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】