説明

掘削装置及び掘削方法

【課題】より好適な掘削作業を行うことができる掘削装置及び掘削方法を実現する。
【解決手段】打下げ装置10とオーガ装置20を備える掘削装置1を用いて地盤の掘削を行う際、その掘削装置1の打下げ装置10を地盤の所定の箇所に圧入する杭50の上端部に接続し、その打下げ装置10側から杭50の内部にオーガ装置20を下降させることによって、その杭50の内部の地盤の掘削を行うことを可能にする。また、その地盤の掘削後、オーガ装置20を打下げ装置10側に上昇させることで、掘削した地盤の排土を打下げ装置10内に収容するようにして、その排土を杭50の内部から排出することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置及びその掘削装置を用いる掘削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭を地盤に打ち込んで埋設する作業を行う場面が様々ある。
そして、鋼管杭を地盤に圧入する際に、その鋼管杭の内部に土砂が閉塞してしまうと、図8に示すように、その杭50の先端に圧力球根と呼ばれるたまねぎ状の圧密土100が生じてしまうことがある。このような圧密土100が杭50の先端に発生してしまうと、その杭50を地中に押し込むために非常に大きな力を要することとなったり、その杭50の圧入が不可能になったりすることがある。
【0003】
この圧密土が発生しないように、鋼管杭の内部に土砂が閉塞してしまうことを防いで、その鋼管杭をスムーズに圧入するために、図9に示すように、鋼管杭50の内部にオーガ装置20aを配置して、鋼管杭内部の地盤を掘削しつつ、その杭50を圧入する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−200684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、オーガ装置20aは、オーガ21aを内設する外筒であるケーシング(カプセルパイプ)40を備えており、そのケーシング40ごと鋼管杭内に配されるので、そのオーガ21aの径が杭50の内径に比べて小さくなってしまうため、そのケーシング40のスペースの分、掘削効率が悪いという問題があった。
また、鋼管杭50の内部に配置可能なケーシング40のサイズは比較的小さく、そのケーシング40内に取り込める排土の量は少ないので、掘削した地盤の排土を杭50の外に排出する排土処理の回数が増えてしまうために、排土効率が悪いという問題があった。
また、オーガ21a自体は回転しつつ地盤に揉み込んでいくが、ケーシング40は単に押し込まれるため地盤や土砂に対する強度が必要となる。そのためにケーシング40の板厚を厚くするなどして、そのケーシング40に必要な剛性を確保するようにすると、ケーシング40の重量が増えてしまうので、そのオーガ装置20aを支えて使用する掘削の作業性が悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、より好適な掘削作業を行うことができる掘削装置及び掘削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば、図1、図2に示すように、
筒状の杭(50)を地盤に圧入する際に、その地盤を掘削する掘削装置(1)であって、
前記杭の上端部に接続する筒状の接続部材(例えば、打下げ装置10)と、
前記接続部材と前記杭の内部を移動可能に備えられ、前記杭の内部及び前記杭の下端側の地盤を掘削するオーガスクリュー(21)を有するオーガ装置(20)と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、掘削装置は、筒状の接続部材と、オーガスクリューを有するオーガ装置とを備えており、筒状の杭を地盤に圧入する際に、その杭の上端部に接続部材を接続して、その接続部材を通じてオーガ装置を杭の内部に送り込み、その杭の内部及び杭の下端側の地盤の掘削を行うことができる。また、地盤の掘削後、オーガ装置は接続部材側に移動することができる。
【0008】
そして、この掘削装置のオーガ装置は、従来技術におけるオーガ装置のようなケーシング(カプセルパイプ)を備えていないため、オーガスクリューの径のサイズを地盤に圧入する杭の内径に応じたサイズとすることができるので、効率よく地盤の掘削を行うことができる。また、オーガ装置がケーシング(カプセルパイプ)を備えない分、掘削装置の重量が軽くなるので、掘削の作業性も向上する。
【0009】
特に、この掘削装置のオーガ装置が掘削を終えた後に、そのオーガ装置が接続部材側に移動して、その接続部材の内部にオーガスクリューを格納する際に、掘削した地盤の排土を接続部材内に収容するようにして、その排土を杭の内部から効率よく排出することができる。
つまり、従来技術のオーガ装置のように、杭の内部に配置可能なサイズのケーシング(カプセルパイプ)を用いて排土処理を行うことに比べて、杭の上端部に接続可能な比較的太いサイズの接続部材を利用して排土処理を行うことができるので、排土効率の向上を図ることができる。
【0010】
従って、この掘削装置は、より好適な掘削作業を行うことができる掘削装置であるといえる。
また、この掘削装置が杭の内部の地盤を掘削したことによって、その杭を地盤にスムーズに圧入することができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の掘削装置を用いて、地盤を掘削する掘削方法であって、例えば、図3、図4、図5に示すように、
地盤の所定の箇所に仮設した前記杭(50)の上端部に前記掘削装置(1)の接続部材(例えば、打下げ装置10)を接続し、次いで、前記掘削装置のオーガ装置(20)を前記接続部材側から前記杭側に移動させて前記地盤を掘削した後、前記オーガ装置を前記接続部材側に移動させて、前記杭の内部の排土を前記接続部材内に収容して外部に排出することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、接続部材とオーガ装置を備える掘削装置を用いて地盤の掘削を行う際、その掘削装置の接続部材を地盤の所定の箇所に圧入する杭の上端部に接続し、その接続部材側から杭の内部にオーガ装置を移動させることによって、その杭の内部の地盤の掘削を行うことができる。そして、その地盤の掘削後、オーガ装置を接続部材側に移動させることで、掘削した地盤の排土を接続部材内に収容するようにして、その排土を杭の内部から外部に排出することができる。
【0013】
なお、この掘削装置のオーガ装置は、従来技術におけるオーガ装置のようなケーシング(カプセルパイプ)を備えていないため、オーガスクリューの径のサイズを地盤に圧入する杭の内径に応じたサイズとすることができるので、効率よく地盤の掘削を行うことができる。また、オーガ装置がケーシング(カプセルパイプ)を備えない分、掘削装置の重量が軽くなるので、掘削の作業性も向上する。
また、この掘削装置のオーガ装置が掘削を終えた後に、そのオーガ装置が接続部材側に移動して、その接続部材の内部にオーガスクリューを格納する際に、掘削した地盤の排土を接続部材内に収容するようにして、その排土を杭の内部から効率よく排出することができる。つまり、従来技術のオーガ装置のように、杭の内部に配置可能なサイズのケーシング(カプセルパイプ)を用いて排土処理を行うことに比べて、杭の上端部に接続可能な比較的太いサイズの接続部材を利用して排土処理を行うことができるので、排土効率の向上を図ることができる。
従って、この掘削装置を用いる掘削方法は、より好適な掘削作業を行うことができる掘削方法であるといえる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筒状の杭を地盤に圧入する際に、その杭の上端部に掘削装置の接続部材を接続することで、杭に対して掘削装置を位置合わせし、その接続部材を通じて掘削装置のオーガ装置を杭の内部にスムーズに送り込むことができ、そのオーガ装置によって杭の内部の地盤の掘削を行うことができる。なお、この掘削装置が杭の内部の地盤を掘削したことによって、その杭を地盤にスムーズに圧入することができるようになる。
そして、この掘削装置のオーガ装置は、オーガスクリューの径のサイズを地盤に圧入する杭の内径に応じたサイズとすることができるので、効率よく地盤の掘削を行うことができる。
特に、地盤の掘削後、オーガ装置が接続部材側に移動する際に、掘削した地盤の排土を接続部材内に収容するようにして、その排土を杭の内部から排出することができる。そして、杭の上端部に接続可能な比較的太いサイズの接続部材を利用して排土処理を行うことによって、排土効率の向上を図ることができる。
従って、この掘削装置や、この掘削装置を用いる掘削方法は、より好適な掘削作業を行うことができる技術であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の掘削装置及びその掘削装置を用いた掘削方法を、図面を参照して説明する。
【0016】
掘削装置1は、図1、図2に示すように、地盤に圧入する鋼管杭など筒状の杭50の上端部に接続する筒状の接続部材である打下げ装置10と、打下げ装置10の筒状内部を挿通可能なオーガ装置20と、を備えている。
この掘削装置1は、杭圧入機30によって杭50を所定の箇所に圧入する際に、その杭圧入機30に保持されている杭50の内部の地盤を掘削する装置であって、杭圧入機30による杭50の圧入をスムーズに行うことを可能にする。
【0017】
打下げ装置10は、上端から下端に連通する内部空間を有し、略円筒形状を呈する部材であって、その下端部に接続クランプ部11を備えている。
接続クランプ部11は、杭50の上端部を把持して、その杭50に打下げ装置10を接続させるようになっている。
この打下げ装置10は、オーガ装置20が備えている後述するオーガスクリュー21を格納したり、そのオーガスクリュー21が掘削した地盤の排土を収容したりするようになっている。
なお、この打下げ装置10の内径は、杭50の内径とほぼ同じサイズであることが好ましい。
【0018】
オーガ装置20は、地盤を掘削するオーガスクリュー21と、オーガスクリュー21を回転させる駆動モータ22と、オーガスクリュー21と駆動モータ22とを繋ぐスイベルジョイント部23と、オーガスクリュー21の軸線方向と交差する方向に張り出して当該オーガ装置20を打下げ装置10や杭50の内部に配置させる上クランプ部24と下クランプ部25と、上クランプ部24と下クランプ部25とを離接可能に支持するシリンダ部26と、を備えている。
また、オーガ装置20の上端部には、オーガ装置20を吊り下げる際に、クレーンのフックなどを掛けるための懸架部27が設けられている。
【0019】
オーガスクリュー21は、駆動モータ22によって回転駆動されて、その軸線方向に地盤を掘進する。
なお、オーガスクリュー21は、打下げ装置10の内部に格納可能なサイズであって、地盤の掘削効率のポイントからはより大きな径を有することが好ましい。つまり、オーガスクリュー21のオーガ羽根の径は、打下げ装置10の内径とほぼ同じサイズであって、その内径より僅かに小さな径であることが好ましい。
【0020】
上クランプ部24と下クランプ部25は、打下げ装置10や杭50の内部において、その打下げ装置10や杭50の内壁面に対して、それぞれ所定の密接部をオーガスクリュー21の軸線方向と交差する方向に張り出すことによって、当該オーガ装置20を打下げ装置10や杭50の内部の任意の位置に配置させるようになっている。
具体的には、上クランプ部24と下クランプ部25は、それぞれ図示しない油圧シリンダにより水平方向に広げられることにより、所定の密接部が打下げ装置10や杭50の内壁面を押圧して把持するようになって、オーガ装置20を打下げ装置10や杭50の内部の任意の位置に固定して配置させることを可能にする。
なお、上クランプ部24は、オーガ装置20における上側である駆動モータ22側に備えられており、下クランプ部25は、オーガ装置20における下側であるオーガスクリュー21の基部側あって、上クランプ部24の下方に備えられている。
【0021】
シリンダ部26は、所定の油圧シリンダの駆動によって、オーガスクリュー21の軸線方向に沿って伸縮するようになっており、そのシリンダ部26の上部は上クランプ部24に取り付けられ、シリンダ部26の下部は下クランプ部25に取り付けられている。
このシリンダ部26が伸縮することによって、上クランプ部24と下クランプ部25とが離接するように、その配置が切り替わるようになっている。
【0022】
そして、例えば、上クランプ部24が打下げ装置10や杭50の内壁面を把持し、下クランプ部25が解放された状態で、シリンダ部26を伸縮させると、オーガスクリュー21が上下に移動されて昇降されるようになる。
また、下クランプ部25が打下げ装置10や杭50の内壁面を把持し、上クランプ部24が解放された状態で、シリンダ部26を伸縮させると、駆動モータ22がオーガスクリュー21に対して離接されるようになる。
【0023】
杭圧入機30は、図1に示すように、既に圧入された杭50の上端部を内側から拡径して把持する複数(例えば、3つ)のクランプ装置31・・・を備えたサドル32と、サドル32に対して前後動自在なスライドベース33と、スライドベース33上で左右に旋回自在なリーダマスト34と、リーダマスト34の前面に昇降自在に取り付けられて杭50を保持するチャック装置35と、リーダマスト34に対してチャック装置35を昇降駆動するメイン油圧シリンダ36と、を備えている。
そして、杭圧入機30は、杭50を保持したチャック装置35を下降させることと、杭50を離してチャック装置35を上昇させることを繰り返すことによって、1ストローク分ずつ杭50を圧入することを繰り返して、杭50を地盤に圧入するようになっている。
なお、杭圧入機30の構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0024】
次に、本発明に係る掘削方法について、図3から図5に基づき説明する。
なお、本実施形態において、掘削装置1や掘削方法を説明するにあたり、掘削装置1の形態変化がわかり易いように、杭50や打下げ装置10内のオーガ装置20を透視した状態を図示した図面を用いている。
【0025】
図3(a)に示すように、既に圧入された3本の杭50の上端部にクランプ装置31を介して杭圧入機30を設置する。
この杭圧入機30のチャック装置35に新たな杭50を保持させるとともに、その杭50を任意の深さまで埋入させて、地盤の所定の箇所に仮設する。
なお、掘削装置1は、オーガ装置20の下クランプ部25が打下げ装置10の上端部の内面において拡径し、その下クランプ部25が打下げ装置10を把持することによって、オーガ装置20と打下げ装置10とが一体となり、オーガスクリュー21が打下げ装置10内に格納された状態で、クレーンにより吊り下げられている。
そして、この掘削装置1は、打下げ装置10に配されているオーガ装置20を杭50側に移動可能に備えている。
【0026】
そして、図3(b)に示すように、杭圧入機30のチャック装置35に保持されて、地盤の所定の箇所に仮設された杭50の上端部に、掘削装置1の打下げ装置10の下端部を当接させるとともに、打下げ装置10の接続クランプ部11にその杭50の外面側を把持させて、打下げ装置10と杭50とを接続する(ステップS1)。
なお、掘削装置1の打下げ装置10を杭50の上端部に接続することによって、その杭50に対して掘削装置1を位置合わせすることができる。
【0027】
次いで、図3(c)に示すように、オーガ装置20の下クランプ部25による打下げ装置10の把持を解除し、クレーンによって吊り下げられたオーガ装置20を打下げ装置10側から杭50側に巻き下げるように移動させ、オーガ装置20のオーガスクリュー21の先端が杭50の内部の地盤に当たるまで、そのオーガ装置20を下降させる(ステップS2)。
なお、ステップS1において、杭50に対して掘削装置1が位置合わせされているので、杭50の内部に掘削装置1のオーガ装置20をスムーズに送り込むことができる。
【0028】
次いで、図3(d)に示すように、オーガ装置20の下クランプ部25を杭50の内面において拡径させ、その下クランプ部25に杭50を把持させることによって、杭50にオーガ装置20を固定する。
次いで、オーガ装置20の駆動モータ22を駆動により、オーガスクリュー21を回転させて杭50の内部の地盤を掘進して、その地盤を掘削する(ステップS3)。
そして、オーガスクリュー21が地盤にある程度揉み込まれた状態で、オーガ装置20の上クランプ部24を拡径させて杭50の内面を把持させ、更に、下クランプ部25による杭50の把持を解除させた後にシリンダ部26を伸ばすようにして、下クランプ部25をオーガスクリュー21側に下降させる。また、再度、下クランプ部25を拡径させて杭50を把持した後、上クランプ部24による杭50の把持を解除するとともに、シリンダ部26を縮めるようにして、上クランプ部24を下クランプ部25側に引き寄せる。
このように、オーガスクリュー21による地盤の掘進と、上クランプ部24と下クランプ部25による杭50の把持と解除及びシリンダ部26の伸縮とを適宜繰り返して、図4(e)に示すように、任意の位置までオーガ装置20を下降させつつ地盤を掘削し、例えば、杭50の下端部に相当する深さまで掘進する。
【0029】
次いで、図4(f)に示すように、オーガ装置20の下クランプ部25に杭50を把持させ、上クランプ部24による杭50の把持を解除した後に、シリンダ部26を伸ばすようにして、オーガスクリュー21を上昇させる。
そして、上クランプ部24と下クランプ部25による杭50の把持と解除及びシリンダ部26の伸縮を、地盤の掘進に伴うオーガ装置20の下降の場合とは逆の手順で繰り返して行ってオーガ装置20を上昇させるか、上クランプ部24と下クランプ部25とをともに解除した状態で、クレーンによってオーガ装置20を巻き上げるようにして、オーガ装置20を杭50側から打下げ装置10側に移動させて、図4(g)に示すように、オーガスクリュー21が打下げ装置10の内部に格納されるまでオーガ装置20を上昇させる(ステップS4)。
なお、オーガスクリュー21が打下げ装置10の内部に格納された状態で、下クランプ部25が打下げ装置10の上端部の内面において拡径されて、その下クランプ部25が打下げ装置10を把持するようになっている。
また、打下げ装置10の内部には、オーガスクリュー21とともに、オーガスクリュー21によって掘削された地盤の土砂が排土として収容されている。
【0030】
次いで、打下げ装置10の内部にオーガスクリュー21を格納した状態で、図4(h)に示すように、接続クランプ部11による杭50との接続を解除し、掘削装置1と杭50とを分離する(ステップS5)。
なお、打下げ装置10の下端開口は、オーガスクリュー21によって閉蓋されるようになっており、打下げ装置10の内部に収容された排土は、こぼれ難くなっている。
【0031】
次いで、図5(i)に示すように、クレーンによって吊り下げられた掘削装置1を所定の排土置場まで移動させる。
そして、シリンダ部26を伸縮させることで、打下げ装置10内でオーガスクリュー21を上下させるようにして、打下げ装置10の内部から排土を外部に排出させる(ステップS6)。
なお、この排土を排出する際に、オーガスクリュー21を掘削時とは逆方向に回転させるようにしてもよい。
【0032】
そして、図6(a)に示すように、本発明に係る掘削装置1のオーガスクリュー21のオーガ羽根の径は、杭50の内径より僅かに小さなサイズであって、例えば、杭50の内径800[mm]に対して、オーガスクリュー21のオーガ羽根の径は約720[mm]であり、そのリフティング面積は約3800[cm]である。
これに対し、従来のオーガ装置のオーガスクリューは、図6(b)に示すように、外筒であるカプセルパイプを備えており、例えば、そのカプセルパイプの径は660[mm]であって、そのカプセルパイプ内のオーガスクリューのオーガ羽根の径は約600[mm]であり、そのリフティング面積は約2400[cm]である。
つまり、従来のオーガ装置に比べて本発明の掘削装置1のオーガ装置20は、約1.6倍のリフティング面積を有しているので、その排土効率は1.6倍程度向上しているといえる。
【0033】
そして、ステップS6において、掘削装置1が排土を行っている間に、杭圧入機30は杭50を地盤に埋入させ、より深く杭50を地盤に圧入するようになっている。
ここで、掘削装置1によって、杭50の内部の地盤が掘削されているので、杭50を杭圧入機30によって地盤に圧入する際に、杭50の先端に圧密土が発生することはなく、その杭50を地盤に圧入しやすくなっている。
【0034】
そして、図5(j)に示すように、更に地盤に圧入されて、杭圧入機30のチャック装置35に保持されている杭50の上端部に、掘削装置1の打下げ装置10の接続クランプ部11を把持させるようにして、打下げ装置10と杭50とを接続させて、ステップS1からステップS6の掘削工程を複数回繰り返す。
そして、図5(k)に示すように、杭50が地盤の所定の深さに達したことで、その杭50の圧入は終了する。
【0035】
その杭50の圧入を終えて、所定の杭列が完成すると、一連の作業が完了する。
一方、所定数の杭50の圧入を終えていない場合、杭圧入機30は、その圧入を終えたばかりの杭50側に杭1本分移動するとともに、その杭50に並べるように新たな杭50を仮設する。そして、ステップS1からステップS6の掘削を同様に繰り返しつつ、杭50を地盤に圧入することによって、所望する杭列を完成させるようにする。
【0036】
このように、本発明に係る掘削装置1は、オーガ装置20とそのオーガスクリュー21を格納可能な打下げ装置10とを備えており、そのオーガ装置20は、従来のオーガ装置20aのようなケーシング(カプセルパイプ)40を備えていないため、オーガスクリュー21の径のサイズを地盤に圧入する杭50の内径に応じたサイズとすることができるので、効率よく地盤の掘削を行うことができる。また、オーガ装置20がケーシング(カプセルパイプ)40を備えない分、掘削装置1の重量が軽くなるので、掘削の作業性も向上する。
特に、掘削装置1によって杭50の内部の地盤を掘削した際に、オーガ装置20の打下げ装置10に、地盤の掘削により生じた土砂などの排土を収容して、杭50の外部に排出することができる。つまり、打下げ装置10をカプセルパイプ40代わりに使用することによって、排土の排出を良好に行うことができ、排土効率を向上させることができる。
【0037】
従って、この打下げ装置10とオーガ装置20とを備える掘削装置1は、より好適な掘削作業を行うことができる掘削装置であるといえ、この掘削装置1を用いる掘削方法は、より好適な掘削作業を行うことができる掘削方法であるといえる。
【0038】
また、掘削装置1のオーガ装置20は、上クランプ部24と下クランプ部25による杭50や打下げ装置10の内面の把持と解除及びシリンダ部26の伸縮とを適宜繰り返すことによって、当該オーガ装置20を杭50や打下げ装置10の内部を下降させたり、上昇させたりすることができるので、クレーンによってオーガ装置20を巻き上げたり、巻き下げたりすることができない状況であっても、このオーガ装置20によって杭50の内部の地盤の掘削を行うことが可能である。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図7に示すように、排土シュート12が設けられた打下げ装置10aを備える掘削装置であってもよい。
この排土シュート12が設けられた打下げ装置10aを備えていれば、前述したステップS5、ステップS6のように、圧入中の杭50と掘削装置を分離して排土処理を行わずに、ステップS4の状態で、排土シュート12から外部に排土を排出することが可能になる。
【0040】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る掘削装置と、杭を地盤に圧入する杭圧入機とを示す側面図である。
【図2】本発明に係る掘削装置を示し、打下げ装置とオーガ装置を分離した状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る掘削方法を示す説明図であり、掘削の準備段階(a)、掘削ステップS1(b)、掘削ステップS2(c)、掘削ステップS3(d)を示している。
【図4】本発明に係る掘削方法を示す説明図であり、掘削ステップS3におけるオーガ装置の最下点段階(e)、オーガ装置の上昇開始段階(f)、掘削ステップS4(g)、掘削ステップS5(h)を示している。
【図5】本発明に係る掘削方法を示す説明図であり、掘削ステップS6(i)、ステップS1からS6を繰り返す段階(j)、杭圧入終了段階(k)を示している。
【図6】本発明に係る掘削装置のオーガスクリューのオーガ羽根のサイズ(a)と、従来のオーガ装置のオーガスクリューのオーガ羽根のサイズ(b)を示す説明図である。
【図7】打下げ装置の変形例を示す側面図である。
【図8】杭の圧入の妨げになる圧密土を示す説明図である。
【図9】従来のオーガ装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 掘削装置
10、10a 打下げ装置(接続部材)
11 接続クランプ部
12 排土シュート
20 オーガ装置
21 オーガスクリュー
22 駆動モータ
23 スイベルジョイント部
24 上クランプ部
25 下クランプ部
26 シリンダ部
27 懸架部
30 杭圧入機
50 杭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の杭を地盤に圧入する際に、その地盤を掘削する掘削装置であって、
前記杭の上端部に接続する筒状の接続部材と、
前記接続部材と前記杭の内部を移動可能に備えられ、前記杭の内部及び前記杭の下端側の地盤を掘削するオーガスクリューを有するオーガ装置と、
を備えることを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の掘削装置を用いて、地盤を掘削する掘削方法であって、
地盤の所定の箇所に仮設した前記杭の上端部に前記掘削装置の接続部材を接続し、次いで、前記掘削装置のオーガ装置を前記接続部材側から前記杭側に移動させて前記地盤を掘削した後、前記オーガ装置を前記接続部材側に移動させて、前記杭の内部の排土を前記接続部材内に収容して外部に排出することを特徴とする掘削方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−133678(P2008−133678A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321318(P2006−321318)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000141521)株式会社技研製作所 (83)
【Fターム(参考)】