説明

探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法

【課題】探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法を提供する。
【解決手段】この方法は、探査対象地表面からの側方監視センサの高度を連続的に測定するステップ(S10)と、前記探査対象地表面を走査するために前記側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の前記探査対象地表面の変動を減少させるように、測定により得られた前記側方監視センサの高度に応じて前記走査ビームをロール回転させる調節を施すステップ(S12)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載した種類の、探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブ型の側方監視センサないし側方監視機器の動作原理は、レーダ(RADAR: Radio-wave Detection And Ranging)またはライダ(LIDAR: Light-wave Detection and Ranging)によって伝搬時間を計測するというものであり、その用途としては、例えば衛星による地表面の測量や地表面の画像作成などがある。アクティブ型側方監視センサの1つの具体例として、合成開口レーダ・システム(SARシステム)があり、これは、側方監視レーダとも呼ばれている。SARシステムは、移動する短いアンテナから探査対象地表面へ向けてパルス信号を所定の時間間隔で放射する動作と、そのエコー信号を、即ち、走査している対象物で反射したパルス信号を受信する動作とを交互に行っている。そして、このようにアンテナからパルス信号を照射して走査を行う各領域ごとに、SAR処理装置が、そのエコー信号に対して然るべきデータ処理を施し、その計算処理によって、その走査した対象物の画像を作成する。
【0003】
SARシステムなどの側方監視センサが、みずからが放射するパルス信号を探査対象ないし測量対象の地表面(または大気空間)の区分領域であるスワスへ照射して、そのスワスから返ってくるエコー信号を受信する際の、そのパルス信号の放射方向、即ち、そのエコー信号の受信方向は、側方監視センサの飛行方向に対して横方向である。そして、側方監視センサの視線方向即ちパルス信号(走査ビーム)の送信方向は、従来、その側方監視センサが軌道上のどの位置にあるかにかかわらず一定となるように、例えば、飛行方向及びナディア(天底)方向に対する相対的な方向が一定となるように維持されていた。更に、複数のスワスが(視線角度領域として)規定されていて、それらスワスが(例えばフェーズド・レーダ・アンテナの位相制御によって)任意に選択可能とされている場合でも、それらスワスの1つ1つに関しては、側方監視センサが測量対象の天体の周囲を巡る軌道上のどの位置にあるときにも、その側方監視センサから見た当該スワスの方向が一定となるように維持されていた。しかるに、その軌道が楕円軌道である場合や、その天体の形状が球対称形状ではない場合には、それらのことによって、図1に示したように、側方監視センサと探査対象地表面との間の距離が変動する。
【0004】
そのため、撮影ないし走査を行っているときの時間的特性が測量対象地表面からの高度に大きく影響され、探査対象領域によってその時間的特性がかなり異なったものとなる。そのため例えば、あるアクティブ型側方監視センサの動作方式が、パルス信号の送信とエコー信号の受信とを交互に行い、そのパルス信号の送信と送信との合間の送信休止期間にのみエコー信号が受信可能なものである場合には、その側方監視センサが軌道上を一周している間中、そのパルス繰り返し周波数(PRF:パルス信号の送信動作を反復する周波数)に対して連続的に調節を加え続けていなければならない。しかるに、PRFに連続的に調節を加えていると、それによって、走査のためのビーム・ステアリングが非常に複雑になる。探査対象のアクセス領域における走査ビームの入射角、即ち、側方監視センサから送出して測量対象の地表面へ入射させる走査ビームの入射角を、例えば20°〜55°にしている場合には、そのアクセス領域の中に、互いにオーバーラップして個々に選択可能な複数のスワスが設定され、そして、それらスワスにおける走査ビームの入射角即ち視線角度に関する条件が、側方監視センサが軌道上のどの位置にあっても互いに相似関係にあるように維持される。しかるに、設定可能なPRFの値は信号伝搬時間に影響されて、側方監視センサが軌道上を一周している間に変化する。そのため、各々のスワスを走査するために用いるPRFの値を一定の値に固定することが不可能なことがしばしばあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1に記載した特徴を備えた、探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法により達成される。従属請求項は、本発明の具体的な構成例を主題としたものである。
【0007】
本発明の本質的概念は、探査対象地表面を走査するために側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、側方監視センサの軌道上の位置による探査対象地表面の変動を減少させるように、測定して得られた側方監視センサの高度に応じてその走査ビームをロール回転させる調節を加えることにある。換言するならば、本発明は、ロール角に関するステアリングの法則を用いて、探査対象地表面の走査ビームが照射されるスワスを規定するアンテナ方向を操向制御することを提案するものである。これによって、側方監視センサのアンテナ方向を固定している場合と異なり、側方監視センサの軌道の全体のうちのより長い区間に亘ってPRFを一定に維持することが可能となり、ひいては、その側方監視センサの動作を、探査対象地表面を走査するためのステアリングの複雑度に関して最適化することができる。更に、側方監視センサが軌道を一周する間、探査対象地表面の1つのスワスを走査するのに、ただ1本だけのアンテナ・ビームでこと足りるようになる。
【0008】
本発明は、その1つの実施の形態によれば、探査対象地表面からの高度が変動するアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法に関するものであり、この方法は、前記探査対象地表面からの前記側方監視センサの高度を連続的に測定するステップと、前記探査対象地表面を走査するために前記側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の前記探査対象地表面の変動を減少させるように、測定して得られた前記側方監視センサの高度に応じて前記走査ビームを(ロール角に関するステアリングの法則に従った制御を用いて)ロール回転させる調節を施すステップとを含むことを特徴とする方法である。この方法によれば、探査対象地表面を走査するための走査ビームのステアリングが簡明化される。なぜならば、本発明のこの実施の形態によれば、側方監視センサの軌道の全体のうちのより長い区間に亘ってPRFを一定に維持した動作を行わせることができ、そのことが動作の最適化となるからである。
【0009】
本発明の1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサを機械的に回転させることを含むものとするのもよい。
【0010】
本発明の1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサを機械的に回転させることに替えて、或いは、それに加えて、放射されている走査ビームを電子的にロール回転させることを含むものとすることができ、また、この電子的なロール回転は、前記側方監視センサのアンテナに対してそのロール回転に対応したステアリングを施すことを含むものとするのもよい。
【0011】
本発明の1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記探査対象地表面に応じて前記側方監視センサにより探査される方向を揺動させることを含むものとするのもよい。
【0012】
本発明の更なる1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサと前記探査対象地表面との間の距離が一定に維持されるように調節を行うものとするのもよい。
【0013】
更に、本発明の1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記探査対象地表面にあって前記側方監視センサからビームが照射されるスワスの幅が一定に維持されるように調節を行うものとするのもよい。
【0014】
更に、本発明の1つの実施の形態として、前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の視線角度の変化が、側方監視センサのアクセス領域内にあって前記側方監視センサからビームが照射される全てのスワスに共通した変化となるように調節を行うものとするのもよい。
【0015】
更に、本発明の1つの実施の形態として、前記側方監視センサのアクセス領域内の全域においてゼロ・ドップラー・イメージング・ジオメトリが保証されるように、ヨー・ステアリング及びピッチ・ステアリングによって、前記側方監視センサの軌道上の位置に応じて前記側方監視センサの方向制御を行うステップを更に含むものとするのもよい。
【0016】
本発明は、その別の1つの実施の形態によれば、探査対象地表面からの高度が変動しているアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する装置に関するものであり、この装置は、上に記載した本発明に係る方法を実施するように構成されており、前記探査対象地表面からの前記側方監視センサの高度を連続的に測定するための第1手段と、前記探査対象地表面を走査するために前記側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の前記探査対象地表面の変動を減少させるように、測定して得られた前記側方監視センサの高度に応じて前記走査ビームをロール回転させる調節を施すための第2手段とを備えることを特徴とする装置である。この装置は、例えば、衛星に組込み可能なモジュールとして構成するのもよい。
【0017】
更にまた、本発明は、その1つの実施の形態によれば、側方監視センサに関するものであり、この側方監視センサは、例えばSARシステムなどであって、上に記載した本発明に係る装置を備えたことを特徴とする側方監視センサである。
【0018】
本発明のその他の利点並びにその他の用途については、図面に示した実施の形態に関する以下の詳細な説明の中で明らかにして行く。
【0019】
本明細書、特許請求の範囲、要約書、及び、添付図面においては、本明細書の末尾に記載した参照符号のリストに掲載した用語と、それら用語に付した参照符号とを使用している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】天体の地表面を走査している側方監視センサと、この側方監視センサによって探査されている地表面とを、2通りの高度について示した図である。
【図2A】側方監視センサが軌道上の第1の位置にあって、その探査対象地表面からの高度が第1の高度にあるときの、この側方監視センサのロール方向制御の状態を示した図である。
【図2B】側方監視センサが軌道上の第1の位置と異なる第2の位置にあって、その探査対象地表面からの高度が第1の高度と異なる第2の高度にあるときの、この側方監視センサのロール方向制御の状態を示した図である。
【図3A】図2Aと図2Bを重ね合わせて示した図であり、ただし重ね合わせる際の鉛直方向の基準位置を探査対象地表面とした図である。
【図3B】図2Aと図2Bを重ね合わせて示した図であり、ただし重ね合わせる際の鉛直方向の基準位置を側方監視センサの位置とした図である。
【図4】探査対象地表面からの高度が変動しているアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する方法の、その1つの実施の形態を示したフローチャートである。
【図5】本発明に係る探査対象地表面からの高度が変動しているアクティブ型側方監視センサの動作を最適化する装置を備えたアクティブ型側方監視センサを示した、高度に簡略化したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、同一及び/または機能的に対応する構成要素には、同一の参照符号を付すことがある。
【0022】
図1に示したのは、側方監視センサの1つの具体例としての、SARシステム、即ちSAR衛星10であり、このSAR衛星10は、天体12の地表面を走査する測量機器として設計されている。図1には、このSAR衛星(側方監視センサ)10によって探査されている天体12の地表面が上下に2つ並べて描かれているが、それら2つの地表面は、側方監視センサ10の地表面からの高度が低い場合と高い場合とを、夫々に図示したものである。図1に示した具体例では、側方監視センサ10の視線方向、即ちこの側方監視センサ(SAR衛星)のアンテナから放射される走査ビーム(アンテナ・ビーム)の放射方向は、側方監視センサ10の高度に応じて変化させておらず、一定としている。この視線方向は、アンテナ・ビームの主方向とナディア方向との間の角度である視線角度αで表すことができる。
【0023】
一方、走査ビーム(アンテナ・ビーム)が照射されて側方監視センサ10による探査が行われる天体12の地表面における領域14は(従って探査対象のスワスのスラント・レンジ距離(間隔)は)、側方監視センサ10の高度に応じて変動する。そのため、側方監視センサ10から天体12の地表面へビームが照射される領域であるスワス14は、その地表面から側方監視センサ10までの距離に応じて変動し、そしてその距離は、側方監視センサ10の軌道に応じて変動する。その軌道が楕円軌道である場合や、天体の形状が球対称形状でない場合には、その距離の変動がかなり大きなものとなる。例えば、地球が扁平な球体であることによって、側方監視センサ10の軌道を、地球の極軌道の一種である太陽同期軌道とした場合には、その距離の変動が約28kmもの大きさになる。距離の変動がこれほど大きいと、通常はPRFを変化させることが必要になるが、しかしながらPRFを変化させると、それによって、走査のためのビーム・ステアリングが非常に面倒なものになる。
【0024】
SAR衛星10の方向制御は、ヨー角に関するステアリングの法則に従った制御及びピッチ角に関するステアリングの法則に従った制御を用いて行うことができ、それゆえ、アクセス領域内の全域において「ゼロ・ドップラー・イメージング・ジオメトリ」が保証されるように、ヨー・ステアリング及びピッチ・ステアリングによって、SAR衛星10の軌道上の位置に応じてこのSAR衛星の方向制御を行うことができる。このような方向制御を行うことは、SAR処理、即ちSAR衛星10が受信したエコー信号の処理に関して有益である。
【0025】
SAR衛星10が軌道上を一周している間に生じる、このSAR衛星10が探査しているスワス14のスラント・レンジ距離の変動を減少させるために、本発明によれば、SAR衛星10の地表面からの高度に応じて、アンテナ・ビーム(走査ビーム)を、機械的に(または電子的に)ロール回転させる(ロール角に関するステアリングの法則に従った制御を用いる)ようにしている。また、上で述べたように、「ゼロ・ドップラー・イメージング・ジオメトリ」を確立するために、ヨー回転軸心及びピッチ回転軸心の周りの回転運動を発生させることが望まれる場合には、このロール回転と、それらヨー回転及びピッチ回転とを共に行うようにすればよい。
【0026】
図2A及び図2Bは、アンテナ・ビームのロール方向制御の2つの異なった状態を示した図であり、それらは、天体12の探査対象地表面からのSAR衛星10の高度が2つの異なった高度にある(SAR衛星10が軌道上の2つの異なった位置にある)ときの夫々の状態を示したものである。即ち、図2Aに示したのは、測量機器であるSAR衛星の測定対象地表面からの高度が「低高度」htiefであるときのロール方向制御の状態であり、図2Bに示したのは、その高度が「高高度」hhochであるときのロール方向制御の状態である。また、これら2つの異なったロール方向制御の状態で測定されるスワスのスラント・レンジ距離を、夫々、参照番号141と142とで示した。
【0027】
図1に示したアンテナ・ビームのロール方向制御が行われていない状況と異なり、図2A及び図2Bに示した状況では、SAR衛星10の視線角度α(htief)とα(hhoch)とが互いに異なった角度となっており、また、それら2つの状況で互いに異なるアンテナ・ビームのロール方向制御の状態は、探査対象地表面からのSAR衛星の高度に応じた制御状態となっている。アンテナ・ビームのロール回転は、SAR衛星の全体を物理的に回転させる(ロール角に関するステアリングの法則に従った制御を用いる)ことによって、及び/または、スワスに応じて行う補助的な揺動である、測量機器(SAR衛星)による探査される方向の揺動によって行うことができる。ビームが照射される領域であるスワスの公称位置は、測量機器(即ち、その開口ないしアンテナ)が実際にビームを照射する領域に応じて移動する。
【0028】
探査対象地表面からの高度に応じた視線角度αの変化は、SAR衛星10で実行される制御によって調節される。2つの互いに異なった視線角度で測定される同じスワスのスラント・レンジ距離141と142との間の変動量が、可及的に小さな変動量となるように行われるものである。これによって、SAR衛星10の軌道のより長い範囲に亘ってPRFを略々一定に維持することが可能となる。図3A及び図3Bはいずれも、図2Aと図2Bを重ね合わせて示した図であるが、ただし図3Aと図3Bとでは重ね合わせるための鉛直方向の基準位置が異なっており、図3Aは探査対象地表面を基準位置として重ね合わせた図であり、図3Bは測量機器(SAR衛星)の位置を基準位置として重ね合わせた図である。
【0029】
SAR衛星10が軌道上を一周している間にSAR衛星10の視線角度を最適に変化させる方式としては、以下に例示する方式などがある。
【0030】
1.測量機器(SAR衛星)と測定対象地表面との間の距離が一定に維持されるように視線角度を変化させる方式。この方式では、視線角度を大きく変化させることが必要となることがある。ただし、小さな視線角度の変化量でも、少なくともその距離の変動量を減少させることができる。
【0031】
2.ビームが照射されるスワスの幅が一定に維持されるように視線角度を変化させる方式。この方式は、小さな視線角度の変化量で実行可能である。
【0032】
3.軌道上を一周している間の視線角度の変化が、アクセス領域内の全てのスワスに共通した変化となるように視線角度を変化させる方式。この方式は、ロール角に関するステアリングの法則に従った制御を用いて機械的に実行可能である。
【0033】
尚、視線角度の変化量を、(特に上記1及び2の方式を用いる場合に)最も重要なスワスに関して最適な補正が行われるような変化量とするとよく、そのことが良好な対処法となることがしばしばある。
【0034】
図4に示したのは、例えばSAR衛星10で実行される制御により実行されるアルゴリズムのフローチャートであり、このアルゴリズムによれば、SAR衛星10の動作を最適化して、そのPRFを可及的に一定に維持することができる。このアルゴリズムの先頭のステップS10は、天体12の探査対象地表面からのSAR衛星10の高度を連続的に測定するステップである。このステップは、例えば高度計の計測値を取り込むことで実行することができる。それに続く次のステップS12は、探査対象地表面を走査するためにSAR衛星10から放射されている走査ビームに対して、側方監視センサ(SAR衛星10)が軌道上を一周している間の探査対象地表面の変動を減少させるように、測定して得られた側方監視センサ(SAR衛星10)の高度に応じて、走査ビームをロール回転させる調節を施すステップである。これを実行するには、先ず、予め1つの視線角度を定めておき、測定して得られた高度に基づいて、その高度においてその所定の視線角度としたときに、探査しようとしているスワスのスラント・レンジ距離がどれほどの長さになるかを算出する。そして、それ以後、測定して得られた高度に基づいて視線角度を変化させるに際して、先に所定の視線角度について算出したスラント・レンジ距離と略々等しい大きさのスラント・レンジ距離となるように、視線角度を変化させるようにすればよい。
【0035】
図5に示したのは、アクティブ型側方監視センサの動作を最適化する装置16の高度に簡略化したブロック図であり、この装置16は、例えばモジュールとして構成することができ、それをSAR衛星10に組込むようにするとよい。この装置16は、探査対象表面からの側方監視センサ(SAR衛星10)の高度を連続的に測定するための第1手段18と、探査対象地表面を走査するために側方監視センサ(SAR衛星10)から放射されている走査ビームに対して、側方監視センサ(SAR衛星10)が軌道上を一周している間の探査対象地表面の変動を減少させるように、測定して得られた側方監視センサ(SAR衛星10)の高度に応じて走査ビームをロール回転させる調節を施すように構成された第2手段20とを備えている。第1手段18及び第2手段20は、ハードウェアで構成することも、ソフトウェアで構成することも可能であり、また、少なくとも部分的にハードウェアまたはソフトウェアで構成することも可能である。例えば、それら手段を、メモリを備えたプロセッサによって構成し、そのメモリの中に、図4に示したアルゴリズムを、プロセッサによって実行されるプログラムの形で格納したものとすることができる。
【0036】
アンテナの方向を固定する場合と比較して、本発明ではロール角に関するステアリングの法則に従った制御が用いられ、それによって、スワスが規定されるため、以下のことが可能となっている。
【0037】
・衛星軌道の全体のうちのより長い区間に亘ってPRFを一定に維持したまま動作することができる。例えば「Sentinel-1」衛星の場合には、略々全てのスワスにおいて、衛星軌道の全体に亘ってPRFを一定に維持することすら可能となる。更に、制御やプログラム作成における複雑度も低減される。
【0038】
・衛星軌道を一周する間、1つのスワスに対して、ただ1つだけの測量機器の設定(アンテナ・ビーム)を使用するだけで、こと足りるようになる。
【符号の説明】
【0039】
10 側方監視センサ
12 天体
14 スワスのスラント・レンジ距離(間隔)
141 スワスのスラント・レンジ距離(間隔)
142 スワスのスラント・レンジ距離(間隔)
16 アクティブ型側方監視センサの動作を最適化する装置
18 装置16の第1手段
20 装置16の第2手段
S10〜S12 方法ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探査対象地表面(12)からの高度が変動しているアクティブ型側方監視センサ(10)の動作を最適化する方法において、
前記探査対象地表面(12)からの前記側方監視センサの高度を連続的に測定するステップ(S10)と、
前記探査対象地表面を走査するために前記側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の前記探査対象地表面の変動を減少させるように、測定により得られた前記側方監視センサの高度に応じて前記走査ビームをロール回転させる調節を施すステップ(S12)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサを機械的に回転させることを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサのアンテナの制御に対応して走査ビームを調節することにより、走査ビームを電子的にロール回転させることを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記探査対象地表面に応じて前記側方監視センサにより探査される方向を揺動させることを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサと前記探査対象地表面との間の距離が一定に維持されるように調節を行うものである、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記探査対象地表面にあって前記側方監視センサからビームが照射されるスワスの幅が一定に維持されるように調節を行うものである、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
前記走査ビームをロール回転させる前記調節は、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の視線角度の変化が、アクセス領域内にあって前記側方監視センサからビームが照射される全てのスワスに共通した変化となるように調節を行うものである、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記側方監視センサのアクセス領域内の全域においてゼロ・ドップラー・イメージング・ジオメトリが保証されるように、ヨー角制御及びピッチ角制御によって、前記側方監視センサの軌道上の位置に応じて前記側方監視センサの方向制御を行うステップを更に含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
探査対象地表面(12)からの高度が変動しているアクティブ型側方監視センサ(10)の動作を最適化する装置(16)であって、請求項1乃至8の何れか1項記載の方法を実施するように構成されており、
前記探査対象地表面からの前記側方監視センサの高度を連続的に測定するための第1手段(18)と、
前記探査対象地表面を走査するために前記側方監視センサから放射されている走査ビームに対して、前記側方監視センサが軌道上を一周している間の前記探査対象地表面の変動を減少させるように、測定により得られた前記側方監視センサの高度に応じて前記走査ビームをロール回転させる調節を施すための第2手段(20)と、
を備えることを特徴とする装置(16)。
【請求項10】
請求項9記載の装置を備えたことを特徴とする側方監視センサ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−294210(P2009−294210A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133712(P2009−133712)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】