接合品質判定方法およびその装置
【課題】 リングマッシュ接合による接合部の接合品質判定方法及びその装置において、非破壊方法により接合品質を確実に評価する。
【解決手段】 開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行う(ステップS9)。
【解決手段】 開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行う(ステップS9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングマッシュ接合による接合部の接合品質判定方法及びその装置に関し、接合技術の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材の端部を重ね合わせ、この部分を加圧しつつ通電することで両金属材を接合するマッシュシーム接合が知られている。そして、このマッシュシーム接合の改良技術として、特許文献1に記載のようなリングマッシュ接合がある。
【0003】
このリングマッシュ接合は、円形等の開口部を有する第1被接合物と、該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合せた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、両被接合物の重ね合せ部が軟化(塑性流動)し、第2被接合物が第1被接合物の開口部に押し込まれて両被接合物が接合されるものである。このようなリングマッシュ接合によれば、瞬時に接合が行われるので、接合時間が短縮されると共に接合電流が低減され、生産性の向上が図られる。
【特許文献1】特開2004−17048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記リングマッシュ接合においては、加圧力、接合電流、第1、第2被接合物の重ね代の幅、第1被接合物の開口部の内周縁部と第2被接合物の外周縁部の重ね合せ部とに設けられた面取り形状等のばらつきにより、第2被接合物が第1被接合物の開口部に適正に押し込まれず、また、接合による両被接合物の結合強度が一定しないことがある。この結果、良好に接合されていない不良品が発生し、このような不良品が製品として外部に流出するおそれがある。
【0005】
そのため、このような不良品の流出を未然に防止するために接合品質を評価する方法が要望されるが、一旦接合されたものを対象として評価する場合には、超音波、X線、赤外線などを用いた非破壊方法により評価しなければならない。しかしながら、前記リングマッシュ接合による接合部は両被接合物が塑性流動して密接に密着したものであるから、前記非破壊方法による検査結果に差異が生じ難く、適正な評価を行うことは困難である。
【0006】
これに対して、従来では、接合条件を管理し、接合電流のピーク電流、ピーク電流に至るまでの通電時間、接合中の電極移動量等の監視により接合品質の評価を行うことが考えられているが、電流測定器(ウェルドチェッカー)が不具合を生じた際などには、完全に不良品の流出を防止できるとは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、リングマッシュ接合による接合部の接合品質判定方法及びその装置において、非破壊方法により接合品質を確実に評価することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の接合品質判定方法において、前記位置決め部材は導電性を有し、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部を分流させることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項3に記載の発明は、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物のうちの一方の被接合物の重ね代近傍に当接する第1電極と、他方の被接合物の重ね代近傍に当接する第2電極と、前記第1、第2被接合物を前記第1、第2電極により加圧した状態で該電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流す接合電流供給手段と、一方の電極に接して押し込まれる被接合物を当接させて位置決めする他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材とを有する接合装置において、接合部の良否判定を行う接合品質判定装置であって、一方の電極に接して押し込まれる被接合物と位置決め部材とが当接したときに発生する振動の特性を検出する振動特性検出手段と、該振動特性検出手段により検出された振動特性により接合部の良否判定を行う判定手段とが備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載の発明によれば、リングマッシュ接合において、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、第1、第2被接合物の重ね合せ部が発熱して軟化し、第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込まれ、両被接合物が接合されることになる。そして、このようなリングマッシュ接合において、一方の電極に接して被接合物が押し込まれたときに、該被接合物が他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接することにより位置決めされるようになっており、この位置決めの際に発生した振動の特性が振動特性検出手段によって検出され、この振動特性に基づいて接合部の良否判定が行われる。
【0013】
この良否判定は、例えば、一方の電極に加圧された被接合物が位置決め部材に当接したときの衝撃力などに応じて振動特性が異なることに着目し、良好な接合がなされたときの振動特性と比較して同様の特性が得られたときに良品として処理されると共に、比較して異なる特性が得られたときに不良品として処理される。このような方法によれば、接合時に衝撃が発生するリングマッシュ接合特有の現象を利用して、接合部の接合品質を非破壊で判定可能である。
【0014】
この判定では、重ね代幅、加圧力、接合電流のばらつき、加圧に対して接合電流を流すタイミングなどに応じて振動特性に差異が生じることに着目し、これらの接合条件が安定しない場合に、振動特性に応じて異常が検出され、不良品を看過することが防止される。
【0015】
さらに、何らかの突発的異常により良好な接合部が得られず、結合箇所と被接合箇所が混在する接合部が形成された場合の振動特性は、良好に接合された(冶金的に一体化した)接合部の振動特性とは異なるため、このような接合部の内部組織に問題がある不良品についても評価することができる。
【0016】
ところで、前記接合電流は金属材料を軟化させるために比較的大電流とされる。そのため、接合後にもこのような大電流が流されると、接合部の金属粒子が飛散するスパッタリングが生じ、接合品質が悪化する問題がある。
【0017】
これに対して、請求項2に記載の発明によれば、前記位置決め部材は導電性を有しているため、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部が分流される。従って、接合後に接合部に過大な電流が流れることが防止され、接合品質が確保される。
【0018】
そして、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明に対応する接合品質判定装置の発明であって、前記請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る接合装置の全体図である。この接合装置1は、リングマッシュ接合を行う装置であり、設置台2,2上に形成されたフレーム体3と、該フレーム体3の内部に設けられた接合台4と、その接合台4上で左右方向に延びるスライドレール5と、スライドレール5上でそれぞれ左右に移動可能な一対の下部プラテン6,6に支持された2つの下部電極7,7(図1には1つのみ図示)と、前記下部電極7,7の周囲を囲う円筒状の位置決め電極8,8と、下部電極7,7の上方に設けられて上下方向に移動可能な上部電極9と、上部プラテン10を介して前記上部電極9をロッド11a先端で支持する加圧シリンダ11と、前記上部プラテン10を介して上部電極9に電流を送る配線ケーブル12と、前記下部電極7,7からの電流を下部プラテン6,6を介して流す配線ケーブル13,13と、作業者により各種情報が入力される操作盤14とを有している。
【0021】
図2に示すように、前記下部電極7及び上部電極9は、共に円筒形状の導電体で構成され、下部電極7の上面が上部電極9の下面に対向する状態で、前記加圧シリンダ11が制御されて上部電極9が下降、上昇することにより、該上部電極9は下部電極7に対して近接、離間するようになっている。
【0022】
また、前記位置決め電極8は、クロム銅、ベリリウム銅等の導電体からなり、下部電極7の外周面を囲う円筒状に形成されている。
【0023】
一方、上部プラテン10の側部には、ステー20が装着されている。該ステーは、L字状の支持部材21がケース22内に配設されたスプリングを介して上部プラテン10に接続された構成であり、前記支持部材の下面には反射板23が装着されている。そして、前記フレーム体3には非接触型の第1レーザー変位センサ31が支持され、このセンサ31は前記反射板23に対して下方からレーザー光を照射すると共に、反射板23から反射されたレーザー光を検出することにより上部プラテン10の上下方向の変位量を検出するようになっている。なお、前記ステー20により、上部プラテン10の振動が増幅される。
【0024】
また、このような振動を検出する構成として、フレーム体3に第2レーザー変位センサ32が支持され、このセンサ32により後述する第1ワーク110の外周壁に装着された反射板24にレーザー光を照射し、その反射光を検出することにより第1ワーク110の上下方向の変位量を検出するものであってもよい。さらに、フレーム体3に第3レーザー変位センサ33が支持され、このセンサ33により位置決め電極8の外周面に装着された反射板25にレーザー光を照射し、その反射光を検出することにより位置決め電極8の上下方向の変位量を検出するものであってもよい。なお、前記反射板24,25は、前述のステー20を介して第1ワーク又は位置決め電極8に装着してもよい。
【0025】
一方、前記接合装置1には、前記各電極7〜9に対して通電を行う通電回路40とコントローラ41とが備えられている。コントローラ41は、通電回路40に信号を出力して、接合時に上部電極9と下部電極7との間に接合電流を流すと共に、接合後に前記電極7,9を介して焼き戻し電流を流すようになっている。また、コントローラ41は、前記第1〜第3レーザー変位センサ31〜33の信号を入力する。
【0026】
一方、図3に示すように、前記接合装置1は、第1ワーク110と第2ワーク120とを接合する。第1ワーク110は、例えば自動変速機部品であるクラッチハブであり、その一端部内周側にフランジ部111が形成され、このフランジ部111の内側に開口部112が形成されている。また、第2ワーク120は、例えば自動変速機部品である筒状のスリーブであって、その一端部外周側にフランジ部121が形成されている。このフランジ部121の外径は、前記第1ワーク110の内径よりも若干大きく形成されている。
【0027】
そして、前記第1ワーク110と第2ワーク120とが下部電極7にセットされたときに、第2ワーク120のフランジ部121の下面が下部電極7の上面に支持されると共に、該第2ワーク120の上方から第1ワーク110が重ね合わせられる。このとき、第1ワーク110の開口部112の内周縁部112aと第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121aとが所定の重ね代(重ね代幅W、図4参照)を有する状態となる。また、図4に示すように、前記開口部112の内周縁部112aの下部には面取り部113が形成されていると共に、前記フランジ部121の外周縁部の121a上部には面取り部123が形成され、ワーク110,120がセットされたときには、これらの面取り部113,123が対接するようになっている。
【0028】
これらのワーク110,120の少なくとも一方は、高炭素鋼で形成され、例えば第1ワーク110は0.10重量%程度の炭素を含有する鋼、第2ワーク120は0.35%程度の炭素を含有する鋼からなっている。
【0029】
一方、下部電極7の上面は第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121a近傍に当接すると共に、上部電極9が下降したときに、上部電極9の下面が第1ワーク110のフランジ111の内周縁部121a近傍に当接するようになっている。
【0030】
なお、図1に示した構成では、作業性向上のため二つの下部電極7,7を交互に使用可能な構成になっている。つまり、一方の下部電極7にワーク110,120をセットし、その下部電極7をスライドレール5上の中央に位置させた状態で、接合とその後の焼戻しとの処理を行う一方、これらの処理中に他方の下部電極7から処理後のワーク110,120の取外し、新たなワーク110,120のセットを行うことができる。なお、このような構成に限らず、下部電極7は一つだけであってもよい。
【0031】
また、前記下部電極7及び上部電極9は請求項1に記載の接合品質判定方法または請求項3に記載の接合品質判定装置における第1電極と第2電極とのいずれかに相当し、前記位置決め電極8は同じく位置決め部材に相当し、前記第1〜第3レーザー変位センサ31〜33は同じく振動特性検出手段に相当し、前記第1ワーク110及び第2ワーク120は同じく第1被接合物と第2被接合物とに相当する。さらに、前記通電回路40は請求項3に記載の接合品質判定装置における接合電流供給手段に相当し、前記コントローラ41は同じく判定手段に相当する。
【0032】
次に、前記接合装置1による第1、第2ワーク110,120のリングマッシュ接合及び接合部の評価のプロセスを、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、ステップS1で、第1ワーク110と第2ワーク120とが下部電極7にセットされた状態で、作業者により操作盤14の起動スイッチがON操作されると、ステップS2で、加圧シリンダ11に信号を出力して自重により上部電極9を降下させる。
【0034】
次に、ステップS3で、一旦上部電極9が第1ワーク110の上面に当接した状態で待機させる。このとき、図6に示すように、上部電極9の自重による圧力が第1ワーク110に対して上方から作用するが、この圧力では第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が押し込まれることはなく、第1ワーク110の下面は位置決め電極8の上面に対して所定の間隔Vをあけて対向した状態となる。
【0035】
次に、ステップS4で、加圧シリンダ11に信号を出力して上部電極9の下方への加圧を開始し、ステップS5で、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて上部電極9の変位があるか否かの判定を行う。この判定で、上部電極9の変位があると判定された場合には、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。つまり、加圧した段階(後述する通電のない状態)で変位が生じた場合には、第1ワーク110の内径、第2ワーク120の外径などのばらつきにより、重ね代幅Wがゼロか、ほとんど無いことが推測されるため、当該ワーク110,120では十分な接合ができないと判断して、NG信号を出力するのである。
【0036】
一方、ステップS5で、変位がないと判定されたときは、ステップS6に進み、接合電流の通電を開始する。この通電により、第1ワーク110の開口部112の内周縁部112aと第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121aとの当接部が発熱し、これによって当接部が軟化し、第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク110のフランジ部111が押し込み易くなる。そして、図7に示すように、この状態で上部電極9により加圧された結果、第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120のフランジ部121が押し込まれて、図8に拡大して表すような接合部Xが形成されることになる。この接合部Xは、ワーク110,120が塑性流動して固相接合により一体化したものである。
【0037】
次に、ステップS7で、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて通電開始から規定時間内で上部電極9の変位が完了しているか否かについての判定を行う。この判定で規定時間内に上部電極9の変位が完了していないと判定されたときは、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。このように、規定時間内に上部電極9の変位が完了していない場合には、重ね代幅Wが大きすぎて押し込みが十分になされていないことが推測されるため、この場合も当該ワーク110,120では適切な接合ができないと判断して、NG信号を出力するのである。
【0038】
また、前記ステップS7で、規定時間内に変位が完了していると判定されたときは、ステップS8に進み、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて通電開始から上部電極9の変位完了までの変位時間が規定値内であるか否かの判定を行う。この判定で、規定値外であると判定された場合には、十分な接合ができないと判断して、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。変位時間が規定値内でない例として、極端に短い時間で変位が生じた場合に、重ね代の幅Wが十分でなかったものと推測されるため、ワーク110,120の接合が不十分であると判断して、NG信号を出力するのである。
【0039】
一方、変位時間が規定値内であると判定されたときは、ステップS9で、前記第1レーザー変位センサ31により検出された上部プラテン10の上下方向の変位量、つまり接合後の上部プラテン10の振動特性に基づいて接合部Xの良否判定を行う。このときの判定では、上部プラテン10の振動特性がマスター波形に対して許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0040】
コントローラ41には、予め良好な接合時に得られたマスタ波形が記憶されており、このマスタ波形に対して振幅、位相等の許容範囲が設定されている。例えば図9に、重ね代幅がL1、L2、L3mm(L1<L2<L3)のときのマスタ波形を示す。重ね代幅L1、L2のマスタ波形は振幅、位相共に類似した波形となっているが、重ね代幅L3のマスタ波形は重ね代幅L1、L2の波形と比較すると、位相にずれがあり、振幅も小さなものとなっている。そして、各マスタ波形において、振幅、位相、周期の許容範囲量(ΔA、Δθ、ΔT)が設定されており、実際の接合処理において第1レーザー変位センサ31により検出された実測の波形とマスタ波形とを比較し、振幅、位相、周期が許容範囲から逸脱するか否かに応じてOK/NGの判定を行うようになっている。
【0041】
前記ステップS9で、前記振動特性がマスタ波形の振幅、位相等に対し、許容範囲内にあるときは、ステップS10に進み、設備にOK信号を出力する。
【0042】
このとき、例えば重ね代幅がL1に設定されているときの判定では、図10に示すように、マスタ波形は、時刻t0で接合電流の通電が開始されて、時刻t1で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した結果、図11に示すような、振幅Aと、当接後に最初に極小値となる時刻t2に基づいて算出された周期Tとを有するものとなっている。
【0043】
一方、実際に行われた接合処理において、重ね代幅がL1となるべき第1、第2ワーク110,120が用いられたときの振動特性を測定した結果、重ね代幅L2のマスタ波形に近い波形が得られた場合を図10、11に示す。ここでは、図10に示すように、接合電流が時刻t0で流されると共に、図11に示すように、時刻t1′で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接し、当接後の振動特性として振幅A′と、当接後に極小値となる時刻t2′に基づいて周期T′とが検出される。
【0044】
このとき、マスタ波形と実測の振動特性との振幅差ΔA′(<ΔA)、周期T、T′の差ΔT′(<ΔT)、及び第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した時刻の差(t1とt1′との差)に応じた位相差Δθ′(<Δθ)とが算出され、これらの値が予め設定された許容範囲内にあるからOK判定されるのである。
【0045】
一方、ステップS9で前記振動特性がマスタ波形の振幅、位相等に対し、許容範囲を逸脱する場合には、何らかの原因により良好な接合が行われていないと判断されるため、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力するようになっている。
【0046】
例えば実際に行われた接合処理において、重ね代幅がL1となるべき第1、第2ワーク110,120が用いられたときの振動特性を測定した結果、重ね代幅L3のマスタ波形に近い波形が得られた場合を図12、13に示す。ここでは、図12に示すように、接合電流が時刻t0で流されると共に、図13に示すように、時刻t1″で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接し、当接後の振動特性として振幅A″と、当接後に最初に極小値となる時刻t2″に基づいて周期T″とが検出される。
【0047】
このとき、マスタ波形と実測の振動特性との振幅差ΔA″(>ΔA)、周期T、T″の差ΔT″(>ΔT)、及び第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した時刻の差(t1とt″との差)に応じた位相差Δθ″(>Δθ)とが算出され、これらの値が予め設定された許容範囲から逸脱するからNG判定されるのである。なお、振幅、周期、位相のいずれか1つでも許容範囲から逸脱する場合にNG判定されるようにしてもよい。
【0048】
一方、振動特性の差異が生じる原因として第1ワーク110と位置決め電極8とが当接する際の衝撃力の違いがあり、重ね代幅Wが小さいとき、又は加圧力が大きいときは第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が勢い良く入り易いので衝撃力が大きくなり、重ね代幅Wが大きいとき、又は加圧力が小さいときは第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が入り難いので衝撃力が小さくなる。また、接合電流が大きいときは、発熱による接合部Xの軟化が促進されるので第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が勢い良く入り易くなって衝撃力が大きくなり、接合電流が小さいときは、接合部Xの軟化度合いが小さいので第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が入り難くなって衝撃力が小さくなる。これらの衝撃力に応じて、主に振動特性の振幅に違いが生じることになる。
【0049】
また、何らかの突発的異常により良好な結合部Xが得られず、結合箇所と被接合箇所が混在する接合部Xの振動特性は、良好に接合された(冶金的に一体化した)接合部Xの振動特性とは固有振動数などが異なるため、このような接合部Xの内部組織に問題がある不良品についても評価することができる。
【0050】
以上のように、前記ステップS5、S7〜S9の処理により4段階の接合部Xの良否判定が行われるため、不良品の流出が確実に防止されることになる。特に、前記ステップS9の評価によれば、接合時に衝撃が発生するリングマッシュ接合特有の現象を利用して、接合部Xの接合品質を非破壊で評価可能である。この評価では、重ね代幅、加圧力、接合電流のばらつき、加圧に対して接合電流を流すタイミングなどに応じて振動特性に差異が生じることに着目し、これらの接合条件が安定しない場合に、振動特性に応じて異常が検出され、不良品が看過されることが防止される。
【0051】
なお、ここでは第1レーザー変位センサ31により振動特性を検出するようになっているが、前記第2、第3レーザー変位センサ32,33により検出した振動特性により判定を行うようにしてもよい。
【0052】
一方、図14に示すように、第1ワーク110が上部電極9で押し下げられて、ワーク110,120が相対移動する際には、上部電極9から流れる接合電流Iは接合部Xを通って下部電極7に流れることになる。そして、図15に示すように、接合が完了すると、下部電極7に隣接して位置する位置決め電極8の上面に第1ワーク110が当接する。これにより、両ワーク110,120の相対移動方向の位置決めがなされると共に、接合電流Iのうちの一部の電流I2が第1ワーク110から位置決め電極8へ分流され、両ワーク110,120の接合部Xに流れる電流がI1に減少する。このため、接合後に接合部Xに過大な電流が流れることが回避され、スパッタリングの発生等による接合品質の悪化が防止される。
【0053】
また、前記位置決め電極8の変形例として、下部電極7に対して径方向外方の離間した位置へ移動し得るように複数に分割されて形成された位置決め電極8′がある。図16に示すように、前記位置決め電極8′の各部80,80は、円筒が軸方向に沿って半分に分割されたものであり、それぞれエアシリンダ81,81のロッド81a,81aの先端に絶縁体82,82を介して接続されている。コントローラ41は、前記エアシリンダ81,81による位置決め電極8′の各部80,80の駆動の制御を行い、接合終了後に、図17に示すように、前記両ワーク110,120から離間した位置に移動させるようになっている。
【0054】
そして、位置決め電極8′の各部80,80が離間した状態で、焼き戻しのための通電が行われ、この電流がワーク110,120の接合部Xに流されることになる。このような構成においても、接合時の第1ワーク110と位置決め電極8′との当接により発生する振動特性を検出することにより精度良く不良品の検出が行われると共に、位置決め電極8′の各部80,80を導電性のもので構成することにより、第1ワーク110が位置決め電極8′の各部80,80に当接したときに接合電流の一部が該位置決め電極8′の各部80,80に分流されることになって、接合部Xのスパッタリングの発生が回避される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、リングマッシュ接合における接合部の良否判定が非破壊で精度良く行われるので、接合・溶接産業に広く好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る接合装置の全体図である。
【図2】接合装置の要部拡大図である。
【図3】第1、第2ワークの説明図である。
【図4】図3の領域Aの拡大図である。
【図5】リングマッシュ接合及び接合部の評価のフローチャートである。
【図6】加圧前の状態を示す第1、第2ワークの重ね合せ部分の拡大図である。
【図7】加圧後の状態を示す要部拡大図である。
【図8】図7の領域Bの拡大図である。
【図9】マスタ波形の説明図である。
【図10】マスタ波形と良品の実測波形との比較説明図である
【図11】図10の領域アの拡大図である
【図12】マスタ波形と不良品の実測波形との比較説明図である。
【図13】図12の領域イの拡大図である。
【図14】接合中の接合電流の経路の説明図である。
【図15】接合後の接合電流の経路の説明図である。
【図16】位置決め電極の変形例の説明図である。
【図17】同動作図である。
【符号の説明】
【0057】
1 接合装置
7 下部電極
8 位置決め電極
9 上部電極
31 第1レーザー変位センサ
40 通電回路
41 コントローラ
110 第1ワーク
112 開口部
112a 内周縁部
120 第2ワーク
121a 外周縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングマッシュ接合による接合部の接合品質判定方法及びその装置に関し、接合技術の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材の端部を重ね合わせ、この部分を加圧しつつ通電することで両金属材を接合するマッシュシーム接合が知られている。そして、このマッシュシーム接合の改良技術として、特許文献1に記載のようなリングマッシュ接合がある。
【0003】
このリングマッシュ接合は、円形等の開口部を有する第1被接合物と、該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合せた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、両被接合物の重ね合せ部が軟化(塑性流動)し、第2被接合物が第1被接合物の開口部に押し込まれて両被接合物が接合されるものである。このようなリングマッシュ接合によれば、瞬時に接合が行われるので、接合時間が短縮されると共に接合電流が低減され、生産性の向上が図られる。
【特許文献1】特開2004−17048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記リングマッシュ接合においては、加圧力、接合電流、第1、第2被接合物の重ね代の幅、第1被接合物の開口部の内周縁部と第2被接合物の外周縁部の重ね合せ部とに設けられた面取り形状等のばらつきにより、第2被接合物が第1被接合物の開口部に適正に押し込まれず、また、接合による両被接合物の結合強度が一定しないことがある。この結果、良好に接合されていない不良品が発生し、このような不良品が製品として外部に流出するおそれがある。
【0005】
そのため、このような不良品の流出を未然に防止するために接合品質を評価する方法が要望されるが、一旦接合されたものを対象として評価する場合には、超音波、X線、赤外線などを用いた非破壊方法により評価しなければならない。しかしながら、前記リングマッシュ接合による接合部は両被接合物が塑性流動して密接に密着したものであるから、前記非破壊方法による検査結果に差異が生じ難く、適正な評価を行うことは困難である。
【0006】
これに対して、従来では、接合条件を管理し、接合電流のピーク電流、ピーク電流に至るまでの通電時間、接合中の電極移動量等の監視により接合品質の評価を行うことが考えられているが、電流測定器(ウェルドチェッカー)が不具合を生じた際などには、完全に不良品の流出を防止できるとは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、リングマッシュ接合による接合部の接合品質判定方法及びその装置において、非破壊方法により接合品質を確実に評価することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の接合品質判定方法において、前記位置決め部材は導電性を有し、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部を分流させることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項3に記載の発明は、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物のうちの一方の被接合物の重ね代近傍に当接する第1電極と、他方の被接合物の重ね代近傍に当接する第2電極と、前記第1、第2被接合物を前記第1、第2電極により加圧した状態で該電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流す接合電流供給手段と、一方の電極に接して押し込まれる被接合物を当接させて位置決めする他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材とを有する接合装置において、接合部の良否判定を行う接合品質判定装置であって、一方の電極に接して押し込まれる被接合物と位置決め部材とが当接したときに発生する振動の特性を検出する振動特性検出手段と、該振動特性検出手段により検出された振動特性により接合部の良否判定を行う判定手段とが備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載の発明によれば、リングマッシュ接合において、開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、第1、第2被接合物の重ね合せ部が発熱して軟化し、第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込まれ、両被接合物が接合されることになる。そして、このようなリングマッシュ接合において、一方の電極に接して被接合物が押し込まれたときに、該被接合物が他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接することにより位置決めされるようになっており、この位置決めの際に発生した振動の特性が振動特性検出手段によって検出され、この振動特性に基づいて接合部の良否判定が行われる。
【0013】
この良否判定は、例えば、一方の電極に加圧された被接合物が位置決め部材に当接したときの衝撃力などに応じて振動特性が異なることに着目し、良好な接合がなされたときの振動特性と比較して同様の特性が得られたときに良品として処理されると共に、比較して異なる特性が得られたときに不良品として処理される。このような方法によれば、接合時に衝撃が発生するリングマッシュ接合特有の現象を利用して、接合部の接合品質を非破壊で判定可能である。
【0014】
この判定では、重ね代幅、加圧力、接合電流のばらつき、加圧に対して接合電流を流すタイミングなどに応じて振動特性に差異が生じることに着目し、これらの接合条件が安定しない場合に、振動特性に応じて異常が検出され、不良品を看過することが防止される。
【0015】
さらに、何らかの突発的異常により良好な接合部が得られず、結合箇所と被接合箇所が混在する接合部が形成された場合の振動特性は、良好に接合された(冶金的に一体化した)接合部の振動特性とは異なるため、このような接合部の内部組織に問題がある不良品についても評価することができる。
【0016】
ところで、前記接合電流は金属材料を軟化させるために比較的大電流とされる。そのため、接合後にもこのような大電流が流されると、接合部の金属粒子が飛散するスパッタリングが生じ、接合品質が悪化する問題がある。
【0017】
これに対して、請求項2に記載の発明によれば、前記位置決め部材は導電性を有しているため、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部が分流される。従って、接合後に接合部に過大な電流が流れることが防止され、接合品質が確保される。
【0018】
そして、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明に対応する接合品質判定装置の発明であって、前記請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る接合装置の全体図である。この接合装置1は、リングマッシュ接合を行う装置であり、設置台2,2上に形成されたフレーム体3と、該フレーム体3の内部に設けられた接合台4と、その接合台4上で左右方向に延びるスライドレール5と、スライドレール5上でそれぞれ左右に移動可能な一対の下部プラテン6,6に支持された2つの下部電極7,7(図1には1つのみ図示)と、前記下部電極7,7の周囲を囲う円筒状の位置決め電極8,8と、下部電極7,7の上方に設けられて上下方向に移動可能な上部電極9と、上部プラテン10を介して前記上部電極9をロッド11a先端で支持する加圧シリンダ11と、前記上部プラテン10を介して上部電極9に電流を送る配線ケーブル12と、前記下部電極7,7からの電流を下部プラテン6,6を介して流す配線ケーブル13,13と、作業者により各種情報が入力される操作盤14とを有している。
【0021】
図2に示すように、前記下部電極7及び上部電極9は、共に円筒形状の導電体で構成され、下部電極7の上面が上部電極9の下面に対向する状態で、前記加圧シリンダ11が制御されて上部電極9が下降、上昇することにより、該上部電極9は下部電極7に対して近接、離間するようになっている。
【0022】
また、前記位置決め電極8は、クロム銅、ベリリウム銅等の導電体からなり、下部電極7の外周面を囲う円筒状に形成されている。
【0023】
一方、上部プラテン10の側部には、ステー20が装着されている。該ステーは、L字状の支持部材21がケース22内に配設されたスプリングを介して上部プラテン10に接続された構成であり、前記支持部材の下面には反射板23が装着されている。そして、前記フレーム体3には非接触型の第1レーザー変位センサ31が支持され、このセンサ31は前記反射板23に対して下方からレーザー光を照射すると共に、反射板23から反射されたレーザー光を検出することにより上部プラテン10の上下方向の変位量を検出するようになっている。なお、前記ステー20により、上部プラテン10の振動が増幅される。
【0024】
また、このような振動を検出する構成として、フレーム体3に第2レーザー変位センサ32が支持され、このセンサ32により後述する第1ワーク110の外周壁に装着された反射板24にレーザー光を照射し、その反射光を検出することにより第1ワーク110の上下方向の変位量を検出するものであってもよい。さらに、フレーム体3に第3レーザー変位センサ33が支持され、このセンサ33により位置決め電極8の外周面に装着された反射板25にレーザー光を照射し、その反射光を検出することにより位置決め電極8の上下方向の変位量を検出するものであってもよい。なお、前記反射板24,25は、前述のステー20を介して第1ワーク又は位置決め電極8に装着してもよい。
【0025】
一方、前記接合装置1には、前記各電極7〜9に対して通電を行う通電回路40とコントローラ41とが備えられている。コントローラ41は、通電回路40に信号を出力して、接合時に上部電極9と下部電極7との間に接合電流を流すと共に、接合後に前記電極7,9を介して焼き戻し電流を流すようになっている。また、コントローラ41は、前記第1〜第3レーザー変位センサ31〜33の信号を入力する。
【0026】
一方、図3に示すように、前記接合装置1は、第1ワーク110と第2ワーク120とを接合する。第1ワーク110は、例えば自動変速機部品であるクラッチハブであり、その一端部内周側にフランジ部111が形成され、このフランジ部111の内側に開口部112が形成されている。また、第2ワーク120は、例えば自動変速機部品である筒状のスリーブであって、その一端部外周側にフランジ部121が形成されている。このフランジ部121の外径は、前記第1ワーク110の内径よりも若干大きく形成されている。
【0027】
そして、前記第1ワーク110と第2ワーク120とが下部電極7にセットされたときに、第2ワーク120のフランジ部121の下面が下部電極7の上面に支持されると共に、該第2ワーク120の上方から第1ワーク110が重ね合わせられる。このとき、第1ワーク110の開口部112の内周縁部112aと第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121aとが所定の重ね代(重ね代幅W、図4参照)を有する状態となる。また、図4に示すように、前記開口部112の内周縁部112aの下部には面取り部113が形成されていると共に、前記フランジ部121の外周縁部の121a上部には面取り部123が形成され、ワーク110,120がセットされたときには、これらの面取り部113,123が対接するようになっている。
【0028】
これらのワーク110,120の少なくとも一方は、高炭素鋼で形成され、例えば第1ワーク110は0.10重量%程度の炭素を含有する鋼、第2ワーク120は0.35%程度の炭素を含有する鋼からなっている。
【0029】
一方、下部電極7の上面は第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121a近傍に当接すると共に、上部電極9が下降したときに、上部電極9の下面が第1ワーク110のフランジ111の内周縁部121a近傍に当接するようになっている。
【0030】
なお、図1に示した構成では、作業性向上のため二つの下部電極7,7を交互に使用可能な構成になっている。つまり、一方の下部電極7にワーク110,120をセットし、その下部電極7をスライドレール5上の中央に位置させた状態で、接合とその後の焼戻しとの処理を行う一方、これらの処理中に他方の下部電極7から処理後のワーク110,120の取外し、新たなワーク110,120のセットを行うことができる。なお、このような構成に限らず、下部電極7は一つだけであってもよい。
【0031】
また、前記下部電極7及び上部電極9は請求項1に記載の接合品質判定方法または請求項3に記載の接合品質判定装置における第1電極と第2電極とのいずれかに相当し、前記位置決め電極8は同じく位置決め部材に相当し、前記第1〜第3レーザー変位センサ31〜33は同じく振動特性検出手段に相当し、前記第1ワーク110及び第2ワーク120は同じく第1被接合物と第2被接合物とに相当する。さらに、前記通電回路40は請求項3に記載の接合品質判定装置における接合電流供給手段に相当し、前記コントローラ41は同じく判定手段に相当する。
【0032】
次に、前記接合装置1による第1、第2ワーク110,120のリングマッシュ接合及び接合部の評価のプロセスを、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、ステップS1で、第1ワーク110と第2ワーク120とが下部電極7にセットされた状態で、作業者により操作盤14の起動スイッチがON操作されると、ステップS2で、加圧シリンダ11に信号を出力して自重により上部電極9を降下させる。
【0034】
次に、ステップS3で、一旦上部電極9が第1ワーク110の上面に当接した状態で待機させる。このとき、図6に示すように、上部電極9の自重による圧力が第1ワーク110に対して上方から作用するが、この圧力では第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が押し込まれることはなく、第1ワーク110の下面は位置決め電極8の上面に対して所定の間隔Vをあけて対向した状態となる。
【0035】
次に、ステップS4で、加圧シリンダ11に信号を出力して上部電極9の下方への加圧を開始し、ステップS5で、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて上部電極9の変位があるか否かの判定を行う。この判定で、上部電極9の変位があると判定された場合には、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。つまり、加圧した段階(後述する通電のない状態)で変位が生じた場合には、第1ワーク110の内径、第2ワーク120の外径などのばらつきにより、重ね代幅Wがゼロか、ほとんど無いことが推測されるため、当該ワーク110,120では十分な接合ができないと判断して、NG信号を出力するのである。
【0036】
一方、ステップS5で、変位がないと判定されたときは、ステップS6に進み、接合電流の通電を開始する。この通電により、第1ワーク110の開口部112の内周縁部112aと第2ワーク120のフランジ部121の外周縁部121aとの当接部が発熱し、これによって当接部が軟化し、第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク110のフランジ部111が押し込み易くなる。そして、図7に示すように、この状態で上部電極9により加圧された結果、第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120のフランジ部121が押し込まれて、図8に拡大して表すような接合部Xが形成されることになる。この接合部Xは、ワーク110,120が塑性流動して固相接合により一体化したものである。
【0037】
次に、ステップS7で、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて通電開始から規定時間内で上部電極9の変位が完了しているか否かについての判定を行う。この判定で規定時間内に上部電極9の変位が完了していないと判定されたときは、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。このように、規定時間内に上部電極9の変位が完了していない場合には、重ね代幅Wが大きすぎて押し込みが十分になされていないことが推測されるため、この場合も当該ワーク110,120では適切な接合ができないと判断して、NG信号を出力するのである。
【0038】
また、前記ステップS7で、規定時間内に変位が完了していると判定されたときは、ステップS8に進み、前記第1レーザー変位センサ31からの信号に基づいて通電開始から上部電極9の変位完了までの変位時間が規定値内であるか否かの判定を行う。この判定で、規定値外であると判定された場合には、十分な接合ができないと判断して、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力する。変位時間が規定値内でない例として、極端に短い時間で変位が生じた場合に、重ね代の幅Wが十分でなかったものと推測されるため、ワーク110,120の接合が不十分であると判断して、NG信号を出力するのである。
【0039】
一方、変位時間が規定値内であると判定されたときは、ステップS9で、前記第1レーザー変位センサ31により検出された上部プラテン10の上下方向の変位量、つまり接合後の上部プラテン10の振動特性に基づいて接合部Xの良否判定を行う。このときの判定では、上部プラテン10の振動特性がマスター波形に対して許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0040】
コントローラ41には、予め良好な接合時に得られたマスタ波形が記憶されており、このマスタ波形に対して振幅、位相等の許容範囲が設定されている。例えば図9に、重ね代幅がL1、L2、L3mm(L1<L2<L3)のときのマスタ波形を示す。重ね代幅L1、L2のマスタ波形は振幅、位相共に類似した波形となっているが、重ね代幅L3のマスタ波形は重ね代幅L1、L2の波形と比較すると、位相にずれがあり、振幅も小さなものとなっている。そして、各マスタ波形において、振幅、位相、周期の許容範囲量(ΔA、Δθ、ΔT)が設定されており、実際の接合処理において第1レーザー変位センサ31により検出された実測の波形とマスタ波形とを比較し、振幅、位相、周期が許容範囲から逸脱するか否かに応じてOK/NGの判定を行うようになっている。
【0041】
前記ステップS9で、前記振動特性がマスタ波形の振幅、位相等に対し、許容範囲内にあるときは、ステップS10に進み、設備にOK信号を出力する。
【0042】
このとき、例えば重ね代幅がL1に設定されているときの判定では、図10に示すように、マスタ波形は、時刻t0で接合電流の通電が開始されて、時刻t1で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した結果、図11に示すような、振幅Aと、当接後に最初に極小値となる時刻t2に基づいて算出された周期Tとを有するものとなっている。
【0043】
一方、実際に行われた接合処理において、重ね代幅がL1となるべき第1、第2ワーク110,120が用いられたときの振動特性を測定した結果、重ね代幅L2のマスタ波形に近い波形が得られた場合を図10、11に示す。ここでは、図10に示すように、接合電流が時刻t0で流されると共に、図11に示すように、時刻t1′で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接し、当接後の振動特性として振幅A′と、当接後に極小値となる時刻t2′に基づいて周期T′とが検出される。
【0044】
このとき、マスタ波形と実測の振動特性との振幅差ΔA′(<ΔA)、周期T、T′の差ΔT′(<ΔT)、及び第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した時刻の差(t1とt1′との差)に応じた位相差Δθ′(<Δθ)とが算出され、これらの値が予め設定された許容範囲内にあるからOK判定されるのである。
【0045】
一方、ステップS9で前記振動特性がマスタ波形の振幅、位相等に対し、許容範囲を逸脱する場合には、何らかの原因により良好な接合が行われていないと判断されるため、ステップS11に進み、設備にNG信号を出力するようになっている。
【0046】
例えば実際に行われた接合処理において、重ね代幅がL1となるべき第1、第2ワーク110,120が用いられたときの振動特性を測定した結果、重ね代幅L3のマスタ波形に近い波形が得られた場合を図12、13に示す。ここでは、図12に示すように、接合電流が時刻t0で流されると共に、図13に示すように、時刻t1″で第1ワーク110と位置決め電極8とが当接し、当接後の振動特性として振幅A″と、当接後に最初に極小値となる時刻t2″に基づいて周期T″とが検出される。
【0047】
このとき、マスタ波形と実測の振動特性との振幅差ΔA″(>ΔA)、周期T、T″の差ΔT″(>ΔT)、及び第1ワーク110と位置決め電極8とが当接した時刻の差(t1とt″との差)に応じた位相差Δθ″(>Δθ)とが算出され、これらの値が予め設定された許容範囲から逸脱するからNG判定されるのである。なお、振幅、周期、位相のいずれか1つでも許容範囲から逸脱する場合にNG判定されるようにしてもよい。
【0048】
一方、振動特性の差異が生じる原因として第1ワーク110と位置決め電極8とが当接する際の衝撃力の違いがあり、重ね代幅Wが小さいとき、又は加圧力が大きいときは第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が勢い良く入り易いので衝撃力が大きくなり、重ね代幅Wが大きいとき、又は加圧力が小さいときは第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が入り難いので衝撃力が小さくなる。また、接合電流が大きいときは、発熱による接合部Xの軟化が促進されるので第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が勢い良く入り易くなって衝撃力が大きくなり、接合電流が小さいときは、接合部Xの軟化度合いが小さいので第1ワーク110の開口部112内に第2ワーク120が入り難くなって衝撃力が小さくなる。これらの衝撃力に応じて、主に振動特性の振幅に違いが生じることになる。
【0049】
また、何らかの突発的異常により良好な結合部Xが得られず、結合箇所と被接合箇所が混在する接合部Xの振動特性は、良好に接合された(冶金的に一体化した)接合部Xの振動特性とは固有振動数などが異なるため、このような接合部Xの内部組織に問題がある不良品についても評価することができる。
【0050】
以上のように、前記ステップS5、S7〜S9の処理により4段階の接合部Xの良否判定が行われるため、不良品の流出が確実に防止されることになる。特に、前記ステップS9の評価によれば、接合時に衝撃が発生するリングマッシュ接合特有の現象を利用して、接合部Xの接合品質を非破壊で評価可能である。この評価では、重ね代幅、加圧力、接合電流のばらつき、加圧に対して接合電流を流すタイミングなどに応じて振動特性に差異が生じることに着目し、これらの接合条件が安定しない場合に、振動特性に応じて異常が検出され、不良品が看過されることが防止される。
【0051】
なお、ここでは第1レーザー変位センサ31により振動特性を検出するようになっているが、前記第2、第3レーザー変位センサ32,33により検出した振動特性により判定を行うようにしてもよい。
【0052】
一方、図14に示すように、第1ワーク110が上部電極9で押し下げられて、ワーク110,120が相対移動する際には、上部電極9から流れる接合電流Iは接合部Xを通って下部電極7に流れることになる。そして、図15に示すように、接合が完了すると、下部電極7に隣接して位置する位置決め電極8の上面に第1ワーク110が当接する。これにより、両ワーク110,120の相対移動方向の位置決めがなされると共に、接合電流Iのうちの一部の電流I2が第1ワーク110から位置決め電極8へ分流され、両ワーク110,120の接合部Xに流れる電流がI1に減少する。このため、接合後に接合部Xに過大な電流が流れることが回避され、スパッタリングの発生等による接合品質の悪化が防止される。
【0053】
また、前記位置決め電極8の変形例として、下部電極7に対して径方向外方の離間した位置へ移動し得るように複数に分割されて形成された位置決め電極8′がある。図16に示すように、前記位置決め電極8′の各部80,80は、円筒が軸方向に沿って半分に分割されたものであり、それぞれエアシリンダ81,81のロッド81a,81aの先端に絶縁体82,82を介して接続されている。コントローラ41は、前記エアシリンダ81,81による位置決め電極8′の各部80,80の駆動の制御を行い、接合終了後に、図17に示すように、前記両ワーク110,120から離間した位置に移動させるようになっている。
【0054】
そして、位置決め電極8′の各部80,80が離間した状態で、焼き戻しのための通電が行われ、この電流がワーク110,120の接合部Xに流されることになる。このような構成においても、接合時の第1ワーク110と位置決め電極8′との当接により発生する振動特性を検出することにより精度良く不良品の検出が行われると共に、位置決め電極8′の各部80,80を導電性のもので構成することにより、第1ワーク110が位置決め電極8′の各部80,80に当接したときに接合電流の一部が該位置決め電極8′の各部80,80に分流されることになって、接合部Xのスパッタリングの発生が回避される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、リングマッシュ接合における接合部の良否判定が非破壊で精度良く行われるので、接合・溶接産業に広く好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る接合装置の全体図である。
【図2】接合装置の要部拡大図である。
【図3】第1、第2ワークの説明図である。
【図4】図3の領域Aの拡大図である。
【図5】リングマッシュ接合及び接合部の評価のフローチャートである。
【図6】加圧前の状態を示す第1、第2ワークの重ね合せ部分の拡大図である。
【図7】加圧後の状態を示す要部拡大図である。
【図8】図7の領域Bの拡大図である。
【図9】マスタ波形の説明図である。
【図10】マスタ波形と良品の実測波形との比較説明図である
【図11】図10の領域アの拡大図である
【図12】マスタ波形と不良品の実測波形との比較説明図である。
【図13】図12の領域イの拡大図である。
【図14】接合中の接合電流の経路の説明図である。
【図15】接合後の接合電流の経路の説明図である。
【図16】位置決め電極の変形例の説明図である。
【図17】同動作図である。
【符号の説明】
【0057】
1 接合装置
7 下部電極
8 位置決め電極
9 上部電極
31 第1レーザー変位センサ
40 通電回路
41 コントローラ
110 第1ワーク
112 開口部
112a 内周縁部
120 第2ワーク
121a 外周縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、
一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行うことを特徴とする接合品質判定方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の接合品質判定方法において、
前記位置決め部材は導電性を有し、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部を分流させることを特徴とする接合品質判定方法。
【請求項3】
開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物のうちの一方の被接合物の重ね代近傍に当接する第1電極と、他方の被接合物の重ね代近傍に当接する第2電極と、前記第1、第2被接合物を前記第1、第2電極により加圧した状態で該電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流す接合電流供給手段と、一方の電極に接して押し込まれる被接合物を当接させて位置決めする他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材とを有する接合装置において、接合部の良否判定を行う接合品質判定装置であって、
一方の電極に接して押し込まれる被接合物と位置決め部材とが当接したときに発生する振動の特性を検出する振動特性検出手段と、
該振動特性検出手段により検出された振動特性により接合部の良否判定を行う判定手段とが備えられていることを特徴とする接合品質判定装置。
【請求項1】
開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物とを第1電極と第2電極とで加圧した状態で、前記両電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流すことにより、前記第1被接合物の開口部内に前記第2被接合物を押し込んで両被接合物を接合するリングマッシュ接合において、その接合部の良否判定を行う接合品質判定方法であって、
一方の電極に接して押し込まれる該被接合物を他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材に当接させることにより位置決めするときに、この当接により発生した振動の特性を振動特性検出手段で検出し、この振動特性により接合部の良否判定を行うことを特徴とする接合品質判定方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の接合品質判定方法において、
前記位置決め部材は導電性を有し、一方の電極に押し込まれた被接合物に当接した際に第1、第2被接合物の重ね合せ部を流れる接合電流の一部を分流させることを特徴とする接合品質判定方法。
【請求項3】
開口部を有する第1被接合物と該開口部の内周縁部に所定の重ね代を有して外周縁部を重ね合わせた第2被接合物のうちの一方の被接合物の重ね代近傍に当接する第1電極と、他方の被接合物の重ね代近傍に当接する第2電極と、前記第1、第2被接合物を前記第1、第2電極により加圧した状態で該電極間に前記第1、第2被接合物の重ね合せ部を経由して接合電流を流す接合電流供給手段と、一方の電極に接して押し込まれる被接合物を当接させて位置決めする他方の電極の近傍に設けられた位置決め部材とを有する接合装置において、接合部の良否判定を行う接合品質判定装置であって、
一方の電極に接して押し込まれる被接合物と位置決め部材とが当接したときに発生する振動の特性を検出する振動特性検出手段と、
該振動特性検出手段により検出された振動特性により接合部の良否判定を行う判定手段とが備えられていることを特徴とする接合品質判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−210016(P2007−210016A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33312(P2006−33312)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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