説明

接着剤塗布装置

【課題】本発明は、接着剤の塗布幅を小さな幅に保ち、且つ、接着剤の断面形状を一定に保つことことを可能にする接着剤塗布装置を提供することを課題とする。
【解決手段】接着剤塗布装置61は、本体を兼ねる収納部67と、この収納部67に鉛直方向に配置するとともに軸受部68を介して回動可能に設ける円筒状のガン69と、このガン69の回転角を検出するエンコーダ71と、ガン69をギヤ72a、72bを介して回転させるガン回転手段73と、を備える。ガン69を構成する円筒74の先端を形成するガン先65には、1個の切欠部75が設けられ、切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させる制御部76が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤塗布ロボットに取り付けられ、ガラスの周縁部に接着剤を吐出する接着剤塗布装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤塗布ロボットに取り付けられ、円筒状のガンからガラスの周縁部に接着剤を吐出する接着剤塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平3−135468号公報(第7図)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本構成を説明する図であり、接着剤塗布ロボットの先端部101に、円筒状のガン102が取り付けられ、このガン102には、山形吐出口103が備えられている。
【0004】
図12は特許文献1の技術により接着剤を塗布されたウインドガラスの部分断面図であり、ウインドガラス111の周縁部裏面には、車体との接着部を隠す黒色のコーテイング層112が所定幅W1で設けられ、コーテイング層112の中央部にダムラバー113が接着され、このダムラバー113の外側の幅W2の領域にプライマ層114が塗布され、さらにその上面に接着剤層115が塗布されている。
【0005】
ところで、接着剤層115は、所定のシール性能を確保するため、ダムラバー113の外側の制限された幅W2の領域に、接着剤がウインドガラス111の外側にはみ出すことがないように、幅W2よりも小さい幅で塗布する必要がある。また、所定のシール性能を確保するため、接着剤の断面形状を一定に保つ必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1の技術に係るガン102は、山形吐出口103を備えているので、接着剤塗布時において、接着剤の塗布軌跡と山形吐出口103の向きがずれる場合があり、接着剤をより小さい幅で塗布することができない虞がある。
塗布幅をより小さな幅に保ち、且つ、接着剤の断面形状を一定に保つことができる接着剤塗布装置が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、接着剤の塗布幅を小さな幅に保ち、且つ、接着剤の断面形状を一定に保つことを可能にする接着剤塗布装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、円筒状のガンから接着剤を吐出する接着剤塗布装置において、
この接着剤塗布装置は、ガンを回転させるガン回転手段と、ガンを構成する円筒の先端に設けられた1個の切欠部と、この切欠部が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段を作動させる制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、接着剤塗布装置は、ガンを回転させるガン回転手段と、ガンを構成する円筒の先端に設けられた1個の切欠部と、この切欠部が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段を作動させる制御部とを備える。
【0010】
先端に切欠部を備える円筒を、切欠部が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段を作動させるので、接着剤の塗布軌跡と切欠部の向きがずれることはなく、接着剤を小さい幅で且つその断面形状を一定に保ちながら塗布することができる。
【0011】
仮に、接着剤の塗布軌跡と切欠部の向きがずれると、断面形状を一定に保つことは難しく、限られた幅のガラスの周縁部に接着剤を小さい幅で塗布することは難しい。
【0012】
この点、本発明では、切欠部が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段を作動させたので、塗布幅を小さくすることができ、且つ、接着剤の断面形状を一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用ガラス取付装置の構成を説明する平面図であり、車両用ガラス取付装置10は、脱脂液を吐出する脱脂液ガン12と、プライマを吐出するプライマガン13と、接着剤を吐出する接着剤ガン14と、ガラスGを吸着保持し脱脂液ガン12に臨ませて三次元的に移動し、脱脂処理されたガラスGをプライマガン13に臨ませて三次元的に移動することで脱脂処理及びプライマの間はガラスGを移動し続ける第1のロボット(RB1)15と、第1のロボット15からガラスGを引き継ぎ、ガラスGを吸着保持し接着剤ガンに臨ませて三次元的に移動し、接着剤が塗布されたガラスGを車両11の所定位置まで移動させる第2のロボット(RB2)16と、を備えている。
脱脂処理前のガラスGを位置決めするガラス位置決め装置21a、21bを、第1のロボット15の動作領域17内に設けた。
【0014】
第1のロボット15の動作領域17内に、脱脂処理前のガラスGを位置決めするガラス位置決め装置21a、21bを設けたので、脱脂液塗布及びプライマ塗布をするときに、ガラス位置決め装置21a又はガラス位置決め装置21bでガラスGを位置決めすることにより、ガラスGへの各液体塗布の位置精度を高めることができる。
【0015】
加えて、第1のロボット15の動作領域17と第2のロボット16の動作領域18が重なる位置19には、ガラスを位置決めするガラス位置決め装置21a、21bを備えるガラス中継台23a、23bが設けられている。
【0016】
第1のロボット15の動作領域17と第2のロボット16の動作領域18が重なる位置19に、ガラスを位置決めするガラス位置決め装置21a、21bを備えるガラス中継台23a、23bを設けた。脱脂液塗布、プライマ塗布又は接着剤塗布をするときに、ガラス位置決め装置21a又はガラス位置決め装置21bでガラスを位置決めすることにより、ガラスへの各液体塗布の位置精度を高めることができる。
【0017】
加えて、ガラス中継台23a、23bを、第1のロボット15の動作領域17と第2のロボット16の動作領域18が重なる位置19に設けたので、ガラスを第1のロボット15から第2のロボット16へ容易に受け渡すことができる。
【0018】
さらに、ガラス中継台23a、23bには、塗布したプライマを乾燥させる工程を兼ねさせたので、専用の乾燥ステージが不要となり、ステージ数を減らすことができる。ステージ数が減ることにより、ガラス塗布エリアを設けるときに必要となる面積をさらに節減することができる。
【0019】
図2は図1の2矢視図であり、脱脂液ガン12とプライマガン13を有する前処理装置24は、縦梁25とこの縦梁25の上端部25aから水平に延設する上横梁26と、この上横梁26の先端部26aから垂下して脱脂液を吐出する脱脂液ガン12と、この脱脂液ガン12と前記縦梁25を挟んで反対側に延設する上横板27と、この上横板27に載置して脱脂液ガン12に脱脂液を供給する後述する脱脂液供給装置28と、縦梁25の中間部25bから水平に延設する中横梁29と、この中横梁29の先端部29aから垂下してプライマを吐出するプライマガン13と、このプライマガン13と前記縦梁25を挟んで反対側に延設する中横板31と、この中横板31に載置してプライマガン13にプライマを供給する後述するプライマ供給装置32と、からなる。つまり、脱脂液ガン12とプライマガン13とは、ともに地面62などに固定されている。図中、33、34はチューブ、35a〜35d及び25zは補強部材である。
【0020】
図3は本発明に係るプライマ供給装置の構成を説明する図、図4は図3の4−4線断面図である。以下、図3と図4を参照して説明を行う。
粘性のある液体としてのプライマPLを供給するプライマ供給装置32は、プライマPLを蓄えたプライマ容器36と、このプライマ容器36内に基部37が挿入され先端38が塗布場所まで延ばされ弾性変形可能なチューブ33と、このチューブ33の先端38に着脱可能に装着されるプライマガン13と、チューブ33の途中に設けられるチューブポンプ機構39と、からなる。
【0021】
プライマガン13は、プラグ状の本体41と、この本体41の中心に開けた孔部42に上方から挿入したチューブ33と、本体41に下方からフェルト材43と一体で着脱可能に取り付けた塗布部44とからなり、中横梁29の先端部29aに開けた固定孔45に本体41を下方から挿入し、上方からナット46で固定するものである。チューブ33の先端38はフェルト材43に当接させた。図中、47はプライマ容器36の蓋、48はプライマ容器36を保持する保持部材である。
【0022】
チューブポンプ機構39は、ボデイ部51とこのボデイ部51の中心に回転可能に設ける駆動腕52とを備える。また、ボデイ部51は、チューブ33を沿わせる円形状の内壁53とこの内壁の下方に配置しチューブ33を保持するホルダ部54とからなる。
チューブポンプ機構39には、中心軸55を駆動するモータ56が備えられており、このモータ56は、ブラケット49とこのブラケット49を固定するボルト50とによってボデイ部51に固定されている。
【0023】
駆動腕52は、中心軸55と、この中心軸55から三方向に延設した腕部材57・・・(・・・は複数を示す。以下、同じ。)と、これら腕部材57・・・に回転可能に取り付け、内壁53との間でチューブ33を扱く3つのプーリ58・・・とからなり、チューブ33を内壁53に沿わせるとともに、ホルダ部54に保持させるようにした。
【0024】
このような構成をもつチューブポンプ機構39によって、モータ56を回転させ、腕部材57・・・を回転させて、これら腕部材57・・・に取り付けたプーリ58・・・でチューブ33を基部37から先端38に向かって連続的に扱くようにすることで、プライマ容器36内に蓄えられているプライマを、プライマガン13のフェルト材43に供給することができる。
【0025】
なお、脱脂液供給装置(図2の符号28)の構成は、前述のプライマ供給装置33と同様な構成のチューブポンプ機構であり説明を省略する。
本実施例において、脱脂液供給装置を通る脱脂液は、アルコールである。このように、本発明に係る液体供給装置を粘性の小さなアルコールなどの液体を供給するために利用することは差し支えない。
【0026】
図5は本発明に係るプライマ供給装置の維持方法を説明するフロー図であり、図3〜図4に基づいて説明する。なお、ST××はステップ番号を示す。
ST01:(タイマリセット工程):チューブ33の交換後にタイマをリセットする。
ST02:(限界値決定工程):限界値を決定するため、プライマPLを供給する作業を実施し、チューブ33の詰まり状況を調べ、詰まり量が許容限度に到達したことを示す時間の限界値(T)を決定する。
【0027】
限界値(T)は、プライマガン13の稼働条件により異なる。例えば、プライマガン13が24時間稼働している場合には、チューブ内のプライマPLの流動は比較的円滑に行われるので、限界値(T)は、1日あたり8時間稼働の場合に較べて長い値に設定する。8時間可動の場合には、プライマPLの流動は、16時間止まるので、チューブ33内のプライマPLは固まりやすいので、より短い値に設定される。
なお、本実施例において、限界値の特性は時間(t)としたが、時間に代えて、プライマPLの流量などにすることは差し支えない。
【0028】
ST03:(プライマ供給動作工程):チューブポンプ機構39を動かし、プライマPLをプライマガン13に供給する。
ST04:(チューブ交換時期判定工程):限界値決定ステップで定めた限界値(T)に到達したかどうかを判定する。
【0029】
ST05:(チューブ交換工程):限界値(T)に到達したときに、プライマ供給装置32を止め、チューブ33を新しいチューブに交換する。
なお、限界値決定ステップで定めた限界値(T)に到達する前に、チューブ33を新しいチューブに交換することは差し支えない。
【0030】
上記に述べたプライマ供給装置の維持方法により、プライマPLによりチューブ33が詰まるという問題を解消することができる。チューブ33の詰まりが解消されるため、プライマ供給装置32の休止時間を最小限に抑えることができ、プライマ供給装置32を必要なときに運転することができる確率(可動率)を高めることができる。
なお、可動率(JIS Z8141)とは、必要とされるときに設備が運転可能である確率である。
【0031】
図6は本発明に係る接着剤塗布装置を説明する側面図であり、ガラスの周縁部に接着剤79を吐出する接着剤塗布装置61は、地面62に鉛直に柱部材63を立て、この柱部材63の上端63aからアーム64を水平に延設し、このアーム64の上面64aに、円筒の先端に形成されているガン先65を下方に向け載置したものである。
【0032】
図1〜図6を参照して、本発明に係る車両用ガラス取付装置10は、ガラスGの周縁部Gaを脱脂処理し、この処理を施した周縁部GaにプライマPLを塗布し、このプライマの上に接着剤を塗布した上で、ガラスGを車両の所定位置に取り付ける一連の操作を行うことができる装置といえる。
【0033】
図7は図6の要部断面図及び作用図である。
(a)において、接着剤塗布装置61は、本体を兼ねる収納部67と、この収納部67に鉛直方向に配置するとともに軸受部68を介して回動可能に設ける円筒状のガン69と、このガン69の回転角を検出するエンコーダ71と、ガン69をギヤ72a、72bを介して所定の向きになるように回転させるガン回転手段73と、を備える。本実施例において、ガン回転手段73はサーボモータであるが、電動モータ、エアモータ、油圧モータなどでも差し支えないものとする。
【0034】
ガン69を構成する円筒74のガン先65には、1個の切欠部75が設けられ、切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させる制御部76が備えられている。77は塗布軌跡検出センサである。
【0035】
(b)は(a)のb−b線断面図であり、第2のロボット(図1の符号16)に把持されたガラスGを矢印D方向に移動させ、ガラスGの周縁部Gaの所定位置に、塗布幅が小さく且つ一定の幅をもつ接着剤を塗布することができることを示す。
【0036】
(c)は接着剤を塗布したガラスの断面を示す図であり、先端に切欠部75を備える円筒74を、切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させるので、接着剤の塗布軌跡と切欠部75の向きがずれることはなく、接着剤79を小さい幅で且つその断面形状を一定に保ちながら塗布することができる。
【0037】
仮に、接着剤79の塗布軌跡と切欠部75の向きがずれると、接着剤79の断面形状を一定に保つことは難しく、限られた幅WをもつガラスGの周縁部Gaに接着剤79を小さい幅bで塗布することは難しい。
【0038】
この点、本発明では、切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させたので、塗布幅bを小さくすることができ、且つ、接着剤79の断面形状を一定に保つことができる。切欠部75の形状を幅方向に小さく縦方向に高い三角形状にすれば、接着剤79の断面形状を幅方向に小さく形成することができる。接着剤79の断面形状は幅方向に小さく形成可能となるので、接着剤79の塗布幅bを小さくできる。塗布幅bが小さくなれば、塗布スペースに制約の大きなガラスGの周縁部Gaのより正確な位置に接着剤を塗布することができる。
【0039】
ところで、接着剤79は、所定のシール性能を確保するため、ダムラバー81の外側の幅Wの領域に、ダムラバー81の高さhよりも高くなるように高さHをもって塗布されている。しかし、ダムラバー81の外側の幅Wは限られているため、接着剤79の塗布幅bが大きくなると、接着剤79がウインドガラスGの外側にはみ出す虞がある。
【0040】
接着剤79の塗布幅bを小さくすることができれば、接着剤79をウインドガラスGの外側にはみ出し難くすることができ、接着剤79の塗布高さHを高くすることができれば、より少ない接着剤で所定のシール性能を確保できるので好適である。
【0041】
従来、接着剤79の吐出口となる円筒74のガン先に、切欠部75を有している場合において、必ずしも、切欠部75が塗布軌跡に合致するように移動させていないので、接着剤79の断面形状は、塗布幅が拡がり、塗布高さが低くなるなど一定に保てない場合があった。これに対応するため、所定の塗布高さを得るように接着剤を吐出させると、過剰な量の接着剤が塗布され、後工程で拭き取りなどの作業が必要になるという問題があった。
【0042】
この点、本発明では、切欠部75の形状を適切に設定し、切欠部75が塗布軌跡に合致するように切欠部75を向けることによって、好ましい断面形状をもった接着剤79を塗布できる。従って、吐出量を適切に管理することで、塗布方向に直角に形成される接着剤79の塗布幅bを小さくして、好ましい断面形状をもつ接着剤79の塗布が可能となる。
【0043】
図8は本発明に係る車両用ガラス取付装置に備える第1のロボット(RB1)の作用を説明するフロー図であり、図1〜図7に基づいて説明する。なお、ST××はステップ番号である。
ST11:(ガラス吸着工程):第1のロボット15は、把持手段となる吸着部83・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)でストッカ84のガラスGを吸着するとともにピックアップする。
【0044】
ST12:(ガラス移載工程):第1のロボット15は、ピックアップしたガラスGを一方のガラス中継台23a又は他方のガラス中継台23bに載せ、ガラスGの吸着を解除する。
ST13:(ガラス位置決め工程):ガラス位置決め装置21a又はガラス位置決め装置21bによってガラスGの位置合わせを行う。詳細には、ガラス位置決め装置21a又はガラス位置決め装置21bに設けた位置決めプレート86・・・を押し、ガラスGの位置合わせを行う。
【0045】
ST14:(ガラス吸着工程):第1のロボット15は、ガラス位置決め装置21で位置決めされたガラスGを吸着する。
ST15:(ガラス移動工程):第1のロボット15は、ガラスGを脱脂処理のために移動させ、ガラスGを脱脂液ガン12に臨ませる。
【0046】
ST16:(脱脂処理工程):第1のロボット15は、ガラスGを移動させることで周縁部Gaの1周分の脱脂を実施させる。
ST17:(ガラス移動工程)第1のロボット15は、ガラスGをプライマ塗布のために移動させ、ガラスGをプライマガン(プライマノズル)13に臨ませる。
【0047】
ST18:(プライマ塗布工程):第1のロボット15は、ガラスGを移動させることで周縁部Gaの1周分のプライマ塗布を実施させる。
ST19:(ガラス移載工程):第1のロボット15は、ガラスGをガラス乾燥台82a、82bを兼ねるガラス中継台23a又はガラス中継台23bに移載する。このとき、第1のロボット15は、ガラス中継台23a又はガラス中継台23bのうちの、ガラスGが載置されていない方のガラス中継台に載置する。
【0048】
図9は本発明に係る車両用ガラス取付装置に備える第2のロボット(RB2)の作用を説明するフロー図であり、図1〜図7に基づいて説明する。なお、ST××はステップ番号である。
ST21:(ガラス位置決め工程):ガラス中継台23a、23bに備えられているガラス位置決め装置21a、又はガラス位置決め装置21bによってガラスGの位置合わせを行う。詳細には、ガラス位置決め装置21a又はガラス位置決め装置21bに設けた位置決めプレート86・・・を押し、ガラスGの位置合わせを行う。
ST22:(ガラス吸着工程):第2のロボット16は、ガラス中継台23a又はガラス中継台23bのうちの一方を選択し、中継台に載置されたガラスGを吸着する。
【0049】
ST23:(ガラス移動工程):第2のロボット16は、ガラスGを接着剤塗布のために移動し、ガラスGを接着剤ガン(接着剤塗布ノズル)14に臨ませる。
ST24:(接着剤塗布工程):第2のロボット16は、ガラスGを移動させることで周縁部の1周分の接着剤塗布を実施させる。
ST25:(ガラス移載工程):第2のロボット16は、接着剤が塗布されたガラスGを車両11の所定箇所まで移動して車両に臨ませる。
【0050】
上記の各ステップで説明したように、ガラスGの搬送及び工程内におけるガラスGの移動を第1のロボット15により連続的に行わせ、ガラスGの搬送及び工程内におけるガラスGの移動を第2のロボット16により連続的に行わせるようにした。
【0051】
また、第1のロボット15にて、脱脂工程及びプライマ工程中のガラスGの移動を一括して行わせ、第2のロボット16にて、接着剤塗布工程及び接着剤塗布工程の前後のガラスGの搬送を一括して行わせた。
【0052】
本実施例において、乾燥台82は、第1のロボット15の動作領域17と第2のロボット16の動作領域18を重なる位置19に配置されているだけなので、2つのロボット15、16の干渉を少なくでき、ロボット15、16の稼働率をさらに高めるとともにロボット15、16を有効に活用することができる。
【0053】
ここで、第1のロボット15の動作領域17と第2のロボット16の動作領域18を重ならないように配置すれば、各々のロボット15、16を完全に独立させて動作させることができ、さらなるロボット稼働率の向上を図ることができる。
【0054】
図10は本発明に係る車両用ガラス取付装置のタイミングチャートであり、図1〜図9に基づいて説明する。
ガラス中継台21は、一方および他方の2つのガラス中継台23a、23bからなり、これら一方又は他方のガラス中継台23a、23bで、第1のロボット15から第2のロボット16にガラスGを受け渡すように構成している。
図中、各ジョブの上には、ワークとしてのガラスGを吸着・把持するロボット、ガラス中継台が記載されている。
【0055】
先ず、第1のロボット15は、ガラスGをガラス中継台23aに載置し、ガラス位置決め装置21aで位置合わせをした後、吸着部83でガラスGを吸着し、脱脂液ガン12およびプライマガン13に臨ませ各液体を塗布する。塗布後、再度、ガラス中継台23aに載置してプライマPLを乾燥させる。所定のプライマ乾燥時間が経過した後、第2のロボット16は、吸着部83でガラスGを吸着し、接着剤ガン14に臨ませ接着剤を塗布し、車両11の所定位置に移載する。
【0056】
第1のロボット15がプライマなどを塗布し、ガラス中継台23aに載置し、ガラスGに塗布したプライマを乾燥している間に、第1のロボット15は、ストッカ84から別のガラスGを取り出し、ガラス中継台23bに載置し、ガラス位置決め装置21bで位置合わせをした後、吸着部83でガラスGを吸着し、脱脂液ガン12およびプライマガン13に臨ませ各液体を塗布する。塗布後、再度、ガラス中継台23bに載置してプライマを乾燥させる。このようにして、ガラスGに3種類の液体を塗布し、接着剤を塗布したガラスGを車両11に移載する。
【0057】
第1のロボット15は、2つのガラス中継台23a、23bのうちのどちらか一方の中継台に、プライマを塗布したガラスGを載置するので、その間に、第2のロボット16は、他方の中継台に載置されているガラスGを吸着保持し接着剤ガン14に臨ませ、ガラスを移動させ接着剤を塗布し、車両11にセットするという一連の動作を行わせることができる。
【0058】
すなわち、2つのガラス中継台23a、23bを利用してガラスGの受け渡しをするようにしたので、第1のロボット15と第2のロボット16とを、例えば、図に示す時間L1、L2だけ同時に動作させることができる。
【0059】
第1および第2のロボット15、16が同時に動作することが可能となるので、一方のロボットが他方のロボットを待つ、いわゆる作業待ちによるロボット停止時間を大幅に短縮することができる。従って、ロボット停止時間が大幅に短縮され、ロボットの稼働率を高めることができる。
【0060】
また、第1および第2のロボット15、16が同時に動作することが可能となるので、サイクルタイムの増加を抑えることができ、生産効率を高めることができる。
本実施例において、ガラス中継台の数は2つであるが、3つ又は4つでも良く、塗布エリアの面積とサイクルタイムなどを考慮して任意の数に設定可能なものとする。
【0061】
以上に述べた車両用ガラス取付装置の作用を次に述べる。
第1に、図1に示す通りに、車両用ガラス取付装置10は、地面などに固定される脱脂液ガン12、プライマガン13及び接着剤ガン14と、ガラスGを吸着保持し脱脂液ガン12とプライマガン13とに臨ませて三次元的に移動する第1のロボット15と、ガラスGを吸着保持し接着剤ガン14に臨ませて三次元的に移動し、接着剤が塗布されたガラスGをライン上の車両の所定位置まで移動させる第2のロボット16とを備える。
【0062】
第1のロボット15で、ガラスGを搬送するとともにこのガラスGを把持したまま移動させて脱脂液を塗布し、次いで、プライマを塗布する。そして、第1のロボット15から引き継いだガラスGを、第2のロボット16で、搬送するとともにガラスGを把持したまま移動させて接着剤を塗布するようにした。
【0063】
ガラスGの搬送に加えて、液体塗布の際のガラスGの移動にロボット15、16を利用したので、ロボット15、16の稼働率を高めることができ、ロボット15、16をより一層有効に活用することができる。
【0064】
加えて、ガラスに脱脂液、プライマ及び接着剤を塗布する工程をもつガラス塗布ラインにおいて、作業中にガラスを載置しておく設備が不要となり、設備費用を大幅に低減することが可能となる。さらに、ガラスに各液体を塗布するとき、位置決めする治具が不要となるため、ガラスに接着剤を塗布するために必要なスペースとなるガラス塗布エリアの面積を大幅に節減することができる。
【0065】
第2に、図3に示す通りに、プライマ供給装置32には、プライマ容器36と塗布ガン69との間に延ばされ弾性変形可能なチューブ33が設けられ、このチューブ33の途中には、チューブポンプ機構39が介在されている。チューブ33は、プライマ供給装置32に着脱可能に設けられているので、チューブ33を容易に交換することができる。
【0066】
チューブ33が容易に交換可能となるので、プライマPLによるチューブ33の詰まりを回避するために、所定の期間毎に必要となっていたチューブ33内の洗浄及びポンプの洗浄を廃止することができる。チューブ33の交換に要する時間は、チューブを交換することなくチューブ内の洗浄及びポンプの洗浄をする場合に要する時間に較べて、大幅に短い時間で済ますことができるので、プライマ供給装置32のメンテナンス時間を短時間で行うことができる。プライマ供給装置32のメンテナンス時間を短時間で行うによって、プライマ供給装置32の可動率を高めることができる。
【0067】
第3に、図7に示す通りに、接着剤塗布装置61は、ガン69を回転させるガン回転手段73と、ガン69を構成する円筒74の先端38に設けられた1個の切欠部75と、この切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させる制御部76とを備える。
【0068】
先端38に切欠部75を備える円筒74を、切欠部75が塗布軌跡に合致するようにガン回転手段73を作動させるので、接着剤79の塗布軌跡と切欠部75の向きがずれることはなく、接着剤79を小さい幅bで且つ接着剤79の断面形状を一定に保ちながら塗布することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、車両用ガラス取付装置に付設する接着剤塗布装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る車両用ガラス取付装置の構成を説明する平面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】本発明に係るプライマ供給装置の構成を説明する図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明に係るプライマ供給装置の維持方法を説明するフロー図である。
【図6】本発明に係る接着剤塗布装置を説明する側面図である。
【図7】図5の要部断面図及び作用図である。
【図8】本発明に係る車両用ガラス取付装置に備える第1のロボット(RB1)の作用を説明するフロー図である。
【図9】本発明に係る車両用ガラス取付装置に備える第2のロボット(RB2)の作用を説明するフロー図である。
【図10】本発明に係る車両用ガラス取付装置のタイミングチャートである。
【図11】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【図12】特許文献1の技術により接着剤を塗布されたウインドガラスの部分断面図である。
【符号の説明】
【0071】
61…接着剤塗布装置、65…ガン先、67…収納部、68…軸受部、69…ガン、71…エンコーダ、72a、72b…ギヤ、73…ガン回転手段、74…円筒、75…切欠部、76…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のガンから接着剤を吐出する接着剤塗布装置において、
この接着剤塗布装置は、前記ガンを回転させるガン回転手段と、前記ガンを構成する円筒の先端に設けられた1個の切欠部と、この切欠部が塗布軌跡に合致するように前記ガン回転手段を作動させる制御部とを備えることを特徴とする接着剤塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−194635(P2008−194635A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33654(P2007−33654)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】