説明

接続装置の取付構造

【課題】 本発明ではモデムの取付構造において、モデムの形状によらず、取付金具を用いてモデムを電子装置に取り付け可能とすることを目的とする。
【解決手段】 外部の通信回線に電子装置2を接続させるモデム3の取付構造において、 1対の対抗する面を有する板状の取付本体部11と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の保持部12と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の抜け止め部13と、取付本体部11に設けられる過挿入防止部14とを備えるモデム取付金具10を有し、電子装置2に固定されたモデム取付金具10にモデム3を挿入した状態で外部の通信回線に電子装置2を接続することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は外部の通信回線に接続される電子装置にデータ伝送用のモデム等の接続装置を取り付けるための接続装置の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、例えばブックシェルフ形状の電子装置に通信機能を持たせる場合に、外部の通信回線と電子装置を接続するための接続装置であるモデム(変復調装置)を搭載する必要がある。図6は、モデムを電子装置に搭載する際の従来のモデムの取付構造を示す図である。従来の取付構造は、取付金具1と電子装置2とモデム3とを用いて説明される。図6において、モデム取付金具1は、ブックシェルフ形状の電子装置2に、接続装置であるモデム3を接続するときに、モデム3を電子装置2に取り付けるためのものである。
【0003】
モデム取付金具1は、板金加工により一体成形されており、1対の対抗する面を有するように形成されている。さらに取付金具1は、矢印X方向に対して、断面がコの字形状の両先端部がさらに内側に曲げられた形状である。モデム3が電子装置2に搭載されるときには、モデム3は電子装置に固定された取付金具1に対して、矢印X方向に挿入される。
【0004】
実際のモデム2は、電子装置2に接続するための接続端子や電源コンセント、モジュラーケーブルを介して電話回線等の外部の通信回線に接続するためのモジュラージャックを有するが、ここでは便宜上省略されている。
【0005】
また、接続装置の取付構造には、下記特許文献「10−13079号公報」に記載されるようなモデム取付構造がある。この特許文献には、モデムがテレビジョン受像機などの電子機器に外付けのままであっても、電子機器との間での電磁的な障害を除去できるモデム取付構造が記載されている。
【特許文献1】特開平10−13079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のモデム等の接続装置の取付構造では、モデムの製造中止や仕様変更でモデムを変更することによりモデムの外形が変わってしまうため、これに対応して取付金具も変更する必要があった。また、あらゆる形状のモデムに対して電子装置の互換性があるわけではないので、電子装置毎に対応した形状のモデム以外搭載することができなかった。さらに既出荷品の装置で既に製造中止となったモデムが故障した場合、他の形状のモデムを搭載しなければならないので、電子装置毎の交換が必要であったり、電子装置の大幅な改造が必要であった。
【0007】
よって、本発明では接続装置の取付構造において、あらゆる形状のモデム等の接続装置を電子装置に取り付けることが可能である接続装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明による第1の接続装置の取付構造は、外部の通信回線に電子装置を接続させる接続装置の取付構造において、1対の対抗する面を有する板状の取付本体部と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の保持部と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の抜け止め部と、取付本体部に設けられる過挿入防止部とを備える取付部を有し、電子装置に固定された取付部に接続装置を挿入した状態で外部の通信回線に電子装置を接続することを特徴とする。
【0009】
また、本発明による第2の接続装置の取付構造は、第1の接続装置の取付構造において、さらに、一端は前記抜け止め部に固定され、多端は抜け止め部が形成される取付本体部の同一面に形成される保持部の内側に突出して形成された連動部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
発明の効果として、本発明の接続装置の取付構造によれば、外部の通信回線に電子装置を接続させる接続装置の取付構造において、1対の対抗する面を有する板状の取付本体部と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の保持部と、1対の対抗する面の各面から突出する弾性の抜け止め部と、取付本体部に設けられる過挿入防止部とを備える取付部を有し、電子装置に固定された取付部に接続装置を挿入した状態で外部の通信回線に電子装置を接続することにより、電子装置の変更を不要とし、あらゆる形状の接続装置を容易に電子装置に取り付けることが可能となる。そして、モデムが交換されるなどの保守時において、互換性があるためモデムの種類を区分けする必要がなく、交換時のコストや交換時間を大幅に削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による接続装置の取付構造の実施例は、添付図面を参照して詳細に説明される。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明による接続装置の取付構造の実施例1は、図1〜図3を用いて説明される。図1は本発明の取付金具の構成を示す斜視図である。図2は本発明のモデムの挿入動作を示す図である。図3は本発明のモデムの取付状態を示す図である。
【0013】
まず図1を用いて、本発明による実施例1の接続装置の取付構造に用いられる取付金具が説明される。また、本発明による接続装置は、外部の通信回線に電子装置を接続させる接続装置であればよいが、ここではモデムを例にして説明される。さらに電子装置2は従来のもと同様であるので説明は省略される。
【0014】
図1においてモデム取付金具10は、取付本体部11、保持部12、抜け止め部13、過挿入防止部14から構成される。モデム取付金具10は材質を金属としており、板金加工により一体成形される。
【0015】
取付本体部11は1対の対抗する面と、その1対の対向する面の両面に隣接する面とを有しており、所定方向の断面形状がコの字形状である。取付本体部11の内側は、モデム3が挿入されるために、モデム3の外形よりも大きく形成されている。
【0016】
保持部12は、弾性を有しており、取付本体部11の1対の対向する面から、それぞれ互いの面の方向に突出するように折り曲げられている。2つの保持部12は同一の形状である。また、保持部12の先端部はモデム取付金具10の内側方向に45度折り曲げられ、さらにその先端部の45度折り曲げられた部分は、モデム取付金具10の外側方向に90度折り曲げられる。このように折り曲げられることによって、モデム3をモデム取付金具10に挿入する際に、保持部12をモデム取付金具10の外側に指で引っ張らせるためのツマミ部分が形成されることになり、モデムの挿入を補助する際のガイド機構の機能を有する接触部分が形成される。
【0017】
そして保持部12は、保持部12の中間部分が切り抜かれている。この保持部12の中間部分が切り抜かれる量によって、保持力を調整することが可能である。保持部12はこの弾性によりモデム3を保持するので、モデムとの接触部分についてはモデム3を保持できる程度の幅を有することが望ましい。
【0018】
抜け止め部13は、弾性を有し、所定方向の断面形状を保持部12と同様の形状としている。このように、抜け止め部13と保持部12とが同様の断面形状であれば、板金加工が簡素化される。抜け止め部13は、モデム取付金具10にモデム3が挿入された際に、モデム3がモデム取付金具10から抜けるのを防止するためのものである。抜け止め部13は、保持部12と分離して設けられている。抜け止め部13は、モデム3挿入方向に対する過挿入防止部14からの距離が、モデム3挿入方向に対するモデム3の長さよりも大きい寸法となっている。2つの抜け止め部13は同一の形状である。
【0019】
保持部12及び抜け止め部13は、図1において上下対称に設けられている。
【0020】
過挿入防止部14は、取付本体部11の1対の対向する面の両面に隣接する面に設けられる。過挿入防止部14は、モデム3がモデム取付金具10に挿入されたときに、過度の挿入を防止するためのものである。過挿入防止部14は、取付本体部11の内側に折り曲げられるように形成されている。
【0021】
取付本体部11の1対の対向する面の両面に隣接する面と、保持部12及び抜け止め部13との間のモデム3が挿入される幅は、モデム3の幅以下に設定されている。
【0022】
次に、図2及び図3を用いて、モデム取付金具10を用いたモデムの電子装置への取付動作が説明される。図2は本発明のモデムの挿入動作を示す図である。図3は本発明のモデムの取付状態を示す図である。
【0023】
図2において、モデム3がモデム取付金具10に対して矢印X方向に挿入される。このとき、まず抜け止め部13のツマミ部分が取り付け者の指でモデム取付金具10の外側に引っ張られ、モデム3が挿入される。そしてモデム3のモデム挿入方向に対する先頭部分が挿入されたら、取り付け者が指をツマミから離し、抜け止め部13が弾性力により元に戻ろうとし一旦モデム3保持することになる。
【0024】
その後、抜け止め部13と同様に、保持部12が取り付け者の指でモデム取付金具10の外側に引っ張られ、さらにモデム3が挿入される。そしてモデム3のモデム挿入方向に対する先頭部分が保持部12まで挿入されたら、取り付け者が指をツマミから離し、保持部12が弾性力により元に戻ろうとしモデムを保持することになる。このとき、保持部12及び抜け止め部13のモデム3との接触部分がガイド機構の機能を果たすので、モデム3は容易に挿入される。
【0025】
図3において、モデム3が抜け止め部13と非接触状態となるまで挿入されると、抜け止め部13が弾性力により元に戻ろうとし、抜け止め部13はモデム3が挿入方向と逆の方向へ抜けるのを防止する。また、モデム取付金具10には過挿入防止部14が形成されているので、モデム3がモデム取付金具10に対して過度に挿入されるのを防止することができる。
【0026】
実際のモデム3は、電子装置2に接続するための接続端子や電源コンセント、モジュラーケーブルを介して電話回線等の外部の通信回線に接続するためのモジュラージャックを有するが、ここでは便宜上省略されている。また、図示はされないが、モデム取付金具10は、モデム3が有する接続端子や接続コンセントが電子装置2の接続部に対して接続可能な位置に固定され、モデム3が挿入される。モデム取付金具10は、電子装置2に溶接により固定される。また、モデム取付金具10は、電子装置2にネジ止め、リベット止め等で固定されてもよい。モデム取付金具10が電子装置2にネジ止めやリベット止めで固定される場合、モデム3が有する接続端子や接続コンセントが電子装置2の接続部に対して接続するときに、接続が妨害されない位置にネジ止めやリベット止めがなされる。
【0027】
以上、本発明のように、1対の対向する面を有する板状の取付本体部11と、当該1対の対向する面の各面から突出する弾性の保持部12と、当該1対の対向する面の各面から突出する弾性の抜け止め部13と、取付本体部11に形成される過挿入防止部14とを備えるモデム取付金具部10を用いて、モデム3を電子装置2に取り付けることにより、モデム3の形状によらず、モデム3を電子装置2に取り付けることが可能となる。
【実施例2】
【0028】
以下、本発明による接続装置の取付構造の実施例2は、図4及び図5を用いて説明される。図4は本発明の第2の取付金具の構成を示す斜視図である。図5は連動部材の利用形態の詳細を示す図である。
【0029】
図4を用いて、本発明による実施例2の接続装置の取付構造に用いられる取付金具が説明される。また図4において、図1と同様な部分については、同様の符号が付けられ、説明も省略される。
【0030】
モデム取付金具10は、実施例1と同様であるが、実施例2ではモデム取付金具10の抜け止め部13と保持部12とを連動させるために設けられた連動部材15が特徴である。連動部材15は、取付本体部11の1対の対向する面のそれぞれの面に形成された保持部12と抜け止め部13とを連動させる。2つの連動部材は同一の形状である。
【0031】
図5において、連動部材15の利用形態が詳細に説明される。連動部材15は断面略Z字型の段付きの形状をしており板金加工により形成される。
【0032】
連動部材15の一端は抜け止め部の外側に溶接やネジ止めすることにより固定される。連動部材15の他端は抜け止め部13が形成される取付本体部の同一面に形成される保持部12の内側に潜り込ませるように突出して形成される。また連動部材15は、平板状の金属部材でもよく、その場合は連動部材15の一端は抜け止め部13の内側に固定される。
【0033】
実施例1で、本発明のモデムの挿入動作が示されたように、モデム3が挿入される際に、抜け止め部13のツマミ部分が取り付け者の指でモデム取付金具10の外側に引っ張られ、モデム3が挿入される。このとき、抜け止め部13のツマミ部分が外側に引っ張られ、抜け止め部13が持ち上げられると、抜け止め部13に固定された連動部材の他端が保持部12を同期して持ち上げる。
【0034】
このように、抜け止め部13及び保持部12が同時にモデム取付金具10の外側に引っ張られるので、モデムの挿入動作が簡素化される。つまり、モデム3が挿入される際に、実施例1では抜け止め部13が持ち上げられた後にモデム3の先頭部分が挿入され、さらに保持部12が持ち上げられてから、最後までモデム3が挿入されていたが、実施例2では抜け止め部13が持ち上げられるだけで、保持部12も連動して持ち上げられるので、挿入動作が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の取付金具の構成を示す斜視図
【図2】本発明のモデムの挿入動作を示す図
【図3】本発明のモデムの取付状態を示す図
【図4】本発明の第2の取付金具の構成を示す斜視図
【図5】本発明の連動部材の利用形態の詳細を示す図
【図6】従来のモデムの取付構造を示す図
【符号の説明】
【0036】
2…電子装置、3…モデム、10…モデム取付金具、11…取付本体部、12…保持部、13…抜け止め部、14…過挿入防止部、15…連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の通信回線に電子装置を接続させる接続装置の取付構造において、
1対の対抗する面を有する板状の取付本体部と、前記1対の対抗する面の各面から突出する弾性の保持部と、前記1対の対抗する面の各面から突出する弾性の抜け止め部と、前記取付本体部に設けられる過挿入防止部とを備える取付部を有し、
電子装置に固定された前記取付部に接続装置を挿入した状態で外部の通信回線に電子装置を接続すること
を特徴とする接続装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載される接続装置の取付構造において、
前記接続装置はモデムであることを特徴とする接続装置の取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載される接続装置の取付構造において、
前記取付部は板金加工の一体形成であることを特徴とする接続装置の取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載される接続装置の取付構造において、
一端は前記抜け止め部に固定され、多端は前記抜け止め部が形成される前記取付本体部の同一面に形成される前記保持部の内側に突出して形成された連動部材を有することを特徴とする接続装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−269929(P2006−269929A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88647(P2005−88647)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(593065844)株式会社沖コムテック (127)
【Fターム(参考)】