説明

接離部材接離装置及び画像形成装置

【課題】転写部材、クリーニング部材等の接離部材を、感光体等の像担持体に接離させる、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いる接離部材接離装置であって、これを構成する要素への負荷を軽減し、またその消費エネルギーを低減可能な接離部材接離装置及びこれを有するかかる画像形成装置の提供。
【解決手段】接離部材66を像担持体11に接離可能に支持した支持部材83と、接離部材66が像担持体11に当接した状態で支持部材83を係止する係止部材89と、係止部材89に連結され支持部材83が係止部材89によって係止された係止状態で係止部材89と支持部材83とを介して像担持体11に対する接離部材66の圧接を行う加圧手段81と、係止状態を形成・解除するための係脱手段90とを有し、係止状態において加圧手段81からの係脱手段90への入力が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写部材、クリーニング部材等の接離部材を、感光体等の像担持体に接離させる、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いる接離部材接離装置及びこれを有するかかる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体等の像担持体を備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、像担持体に当接するように配置され像担持体に担持された像を転写紙等に転写する転写ローラ等の転写部材や、像担持体に当接するように配置され像担持体をクリーニングするクリーニングブラシ等のクリーニング部材を備えた画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献5〕参照)。このような画像形成装置は一般に、かかる転写部材やクリーニング部材等を像担持体に所定の圧力で弾性的に当接させるためにばねを有している(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)。
【0003】
かかる画像形成装置において、たとえば形成画像の濃度や色の調整を行うために、像担持体にパターン画像を形成しこれを所定のセンサで読み取る、プロセスコントロールといわれるような制御を行うことがある。このような制御を行う場合等には像担持体に像を担持させた状態を維持することが必要とされる。しかしながら、像担持体にかかる転写部材やクリーニング部材等が当接していると、像担持体に担持された像が乱される。このような理由等によって、かかる転写部材やクリーニング部材等を、ばねの付勢力に抗して像担持体に対して接離する接離部材接離装置を備えた画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)。
【0004】
かかる接離部材接離装置は一般に、接離部材を支持したアーム状の部材とこれに常時係合しその回転によってアーム状の部材を揺動させ接離部材を像担持体に接離させるカムと、このカムを回転駆動するモータ等を有している(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−131494号公報
【特許文献2】特許第3569424号公報
【特許文献3】特開2007−328275号公報
【特許文献4】特開2006−227660号公報
【特許文献5】特開2007−322786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、かかる構成では、モータ等にばねによる負荷が常にかかり、経時的に劣化しやすいという不具合がある。また、かかる構成において、カムの位相を所定の位相に維持することで所定の機能を発揮させる技術が提案されており(たとえば、〔特許文献1〕参照)、そのためにばねによる付勢力がカム側からモータに回転負荷として入力される場合にはモータの劣化がさらに発生しやすいという不具合があり、またかかる回転負荷に抗してかかる位相を維持するためにモータへの給電を維持する必要がある場合には消費エネルギーが大きいという不具合がある。
【0007】
本発明は、転写部材、クリーニング部材等の接離部材を、感光体等の像担持体に接離させる、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いる接離部材接離装置であって、これを構成する要素への負荷を軽減し、またその消費エネルギーを低減可能な接離部材接離装置及びこれを有するかかる画像形成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体に接離される接離部材を像担持体に接離可能に支持した支持部材と、前記接離部材が像担持体に当接した状態で前記支持部材を係止するための係止部材と、前記係止部材に連結され前記支持部材が前記係止部材によって係止された係止状態で同係止部材と同支持部材とを介して像担持体に対する前記接離部材の圧接を行う加圧手段と、前記係止状態を形成しまたは解除するための係脱手段とを有し、前記係脱手段によって前記係止状態が解除されると、前記加圧手段による前記圧接が解除され前記接離部材が像担持体から離間し、少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記加圧手段からの前記係脱手段への入力が停止する接離部材接離装置にある。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の接離部材接離装置において、前記係脱手段は、前記支持部材及び前記係止部材に揺動可能に連結された連結部材と、少なくとも前記係止状態において前記連結部材に係合し前記係止状態を維持するように同連結部材の姿勢を保持する保持部材と、この保持部材を駆動して前記係止状態を形成しまたは解除する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の接離部材接離装置において、少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記駆動手段によって前記保持部材を駆動する向きの、前記加圧手段からの前記駆動手段への入力が停止することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、前記係脱手段は、前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きの付勢を行う付勢手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きに前記接離部材の自重が働くように同接離部材を支持した接離部材支持手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、前記加圧手段は、前記係脱手段によって前記係止状態が形成されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢し、前記係脱手段によって前記係止状態が解除されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、前記接離部材は像担持体上の像を転写するための転写部材であることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、ジャムの発生を検知するジャム検知手段によってジャムが検知されたとき及び/又は画像調整のための像が前記像担持体に担持されるときに前記係止状態を解除することを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の接離部材接離装置と、前記接離部材が接離する像担持体とを有する画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、像担持体に接離される接離部材を像担持体に接離可能に支持した支持部材と、前記接離部材が像担持体に当接した状態で前記支持部材を係止するための係止部材と、前記係止部材に連結され前記支持部材が前記係止部材によって係止された係止状態で同係止部材と同支持部材とを介して像担持体に対する前記接離部材の圧接を行う加圧手段と、前記係止状態を形成しまたは解除するための係脱手段とを有し、前記係脱手段によって前記係止状態が解除されると、前記加圧手段による前記圧接が解除され前記接離部材が像担持体から離間し、少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記加圧手段からの前記係脱手段への入力が停止する接離部材接離装置にあるので、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに像担持体上の像の乱れを防止可能であって良好な画像形成に寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0018】
前記係脱手段は、前記支持部材及び前記係止部材に揺動可能に連結された連結部材と、少なくとも前記係止状態において前記連結部材に係合し前記係止状態を維持するように同連結部材の姿勢を保持する保持部材と、この保持部材を駆動して前記係止状態を形成しまたは解除する駆動手段とを有することとすれば、比較的簡易な構成によって実現可能であり、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに像担持体上の像の乱れを防止可能であって良好な画像形成に寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0019】
少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記駆動手段によって前記保持部材を駆動する向きの、前記加圧手段からの前記駆動手段への入力が停止することとすれば、比較的簡易な構成によって実現可能であり、加圧手段による駆動手段、保持部材への負荷を軽減することで駆動手段、保持部材の経時劣化を抑制可能であり、また駆動手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに像担持体上の像の乱れを防止可能であって良好な画像形成に寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0020】
前記係脱手段は、前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きの付勢を行う付勢手段を有することとすれば、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを付勢手段による付勢力によっても低減可能であり、より確実性を持って接離部材を像担持体から離間させることが可能であり像担持体上の像の乱れをより高度に防止可能であって良好な画像形成に精度良く寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0021】
前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きに前記接離部材の自重が働くように同接離部材を支持した接離部材支持手段を有することとすれば、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを、接離部材の自重が係止状態を解除する向きに作用させることによっても低減可能であり、より確実性を持って接離部材を像担持体から離間させることが可能であり像担持体上の像の乱れをより高度に防止可能であって良好な画像形成に精度良く寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0022】
前記加圧手段は、前記係脱手段によって前記係止状態が形成されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢し、前記係脱手段によって前記係止状態が解除されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢することとすれば、これらの状態を安定して得ることができ、より確実性をもって加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であり、より確実性を持って係止状態を維持することが可能であり像担持体上の像の乱れをより高度に防止可能であって良好な画像形成に精度良く寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0023】
前記接離部材は像担持体上の像を転写するための転写部材であることとすれば、転写部材による転写性能を確保しつつ、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに像担持体上の像の乱れを防止可能であって良好な画像形成に寄与可能な、転写部材に適用した接離部材接離装置を提供することができる。
【0024】
ジャムの発生を検知するジャム検知手段によってジャムが検知されたとき及び/又は画像調整のための像が前記像担持体に担持されるときに前記係止状態を解除することとすれば、転写部材と像担持体との間等でのジャムの処理を行う場合やかかる画像調整を行う場合を含めて加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに、かかる画像調整の際も含めて像担持体上の像の乱れを防止可能であってより高度に良好な画像形成に寄与可能な接離部材接離装置を提供することができる。
【0025】
本発明は、かかる接離部材接離装置と、前記接離部材が接離する像担持体とを有する画像形成装置にあるので、加圧手段による係脱手段への負荷を軽減することで係脱手段の経時劣化を抑制可能であり、また係脱手段における消費エネルギーを低減可能であるとともに像担持体上の像の乱れを防止可能であって良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことができるようになっているが、他の画像形成装置、すなわち、モノクロ機や、複写機、プリンタ、ファクシミリの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の複合機であっても良い。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
【0027】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である用紙としての記録体である転写紙の両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。
【0028】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な第1の像担持体としての潜像担持体である感光体たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
【0029】
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100のプリンタ部として機能する本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、第2の像担持体としての中間転写体である転写体たる中間転写ベルトとしての転写ベルト11の移動方向であって図1において反時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
【0030】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0031】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成された転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0032】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写媒体としての転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置となっている。
【0033】
転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分である対向位置が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写領域としての1次転写部58を形成している。
【0034】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された第1の転写ローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0035】
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDFシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。表面を構成するコート層の材質としては、平滑性の良好な、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0036】
図示を省略するが、転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
【0037】
画像形成装置100は、本体99内に、4つの作像装置としての画像形成ステーションである画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた転写ユニットとしての中間転写ユニットである転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の右側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写装置5と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの下方に対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニットである光学ユニットとしての書き込み装置たる露光装置としての光走査装置8とを有している。
【0038】
画像形成装置100はまた、本体99内に、転写ベルト11と2次転写装置5との間の2次転写領域としての2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙ユニットとしての給紙トレイであるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0039】
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着部である定着装置6と、正回転時に定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての、正逆回転する排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17とを有している。
【0040】
画像形成装置100はまた、2次転写装置5を本体99に対して開閉する開閉部51と、その一部が開閉部51内を通っており、定着装置6を経た転写紙Sを排紙ローラ7の逆回転時に定着装置6を迂回しつつレジストローラ対4に向けて反転して搬送する反転搬送経路21と、排紙ローラ7が逆回転されるときに転写紙Sを反転搬送経路21に案内する切換爪22と、反転搬送経路21中に配設され転写紙Sをレジストローラ対4に向けて搬送する搬送ローラ23とを有している。
【0041】
画像形成装置100はまた、本体99内に、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する図示しないCPU、メモリ等を含む図示しない制御手段とを有している。
【0042】
画像形成装置100はまた、本体99の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての読取装置98と、本体99の内部を開放するときに図1における手前側に開かれる図示しない開閉式面板としての前面パネルとを有している。
【0043】
画像形成装置100はまた、画像形成開始指示を行うための図示しないスタートスイッチ等を備え画像形成装置100の動作を指定することが可能となっているとともに、所定の表示を行うための表示手段としての図示しない液晶表示装置を備えたとえば画像形成装置100に何らかの不具合が生じたときにその旨を表示することを可能とした図示しない操作パネルを有している。
画像形成装置100は、排紙トレイ17が本体99の上方でかつ読取装置98の下側に位置した胴内排紙型の画像形成装置である。
【0044】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する支持ローラとしての張架ローラ33と、転写ベルト11の内側から転写ベルト11に当接しクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11に所定の張力を与えるためのテンションローラ75とを有している。
【0045】
転写ベルトユニット10はまた、クリーニング対向ローラ74に対向する位置において転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11表面をクリーニングする中間転写体クリーニング装置であるベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13と、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段とを有している。
【0046】
クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、テンションローラ75は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、テンションローラ75と張架ローラ33との間に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ33、テンションローラ75は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
【0047】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
【0048】
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写装置5を当接されており、2次転写部57を形成している。
クリーニング対向ローラ74は、テンションローラ75とともに、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
【0049】
クリーニング装置13は、図1において転写ベルトユニット10の左方、具体的にはクリーニング対向ローラ74の左方に配設されている。クリーニング装置13は、クリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード76と、クリーニングブレード76をその内部に収容したケース77と、図1においてケース77の紙面手前側に配設された図示しない廃トナー回収ボトルとを有している。
【0050】
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブレード76で掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。転写ベルト11から除去されたかかる異物は廃トナー回収ボトルに貯蔵される。廃トナー回収ボトルは前面パネルを開いた状態で図1における紙面手前側に取り出し可能となっており、内部の異物が満杯になったときに新たなものと交換可能になっている。なお、後述するクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKも同様に交換可能な廃トナー回収ボトルを有している。
【0051】
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において光走査装置8の下方に配設されている。シート給送装置61は、複数枚の転写紙Sを紙束の状態で収容可能な給紙カセット25を鉛直方向に複数重なるように配置したペーパーバンク26と、各給紙カセット25に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給紙ローラ24によって送り出された転写紙Sのうちの1枚のみを分離してさらに搬送する図示しない分離ローラとを有しており、給送ローラ24が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0052】
シート給送装置23は、給送ローラ24が選択的に図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラが作用することにより、その給紙カセット25に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送し、搬送された転写紙Sがレジストローラ対4のローラ間に挟まれた状態で突き当られ止められるようになっている。
【0053】
2次転写装置5は、駆動ローラ72に対向して配置されている。2次転写装置5は、駆動ローラ72との間で転写ベルト11を挟むようにして配設された転写部材である2次の転写ローラとしての2次転写ローラ66を有している。
【0054】
2次転写装置5は、トナー像を転写された後の転写紙Sを定着装置6へと搬送するシート搬送機能も有している。2次転写装置5は開閉部51内に配設されている。2次転写装置5のその余については後述する。
【0055】
開閉部51は、反転搬送経路21の一部、2次転写装置5の他に、本体99に対して回動するときの回転中心となる軸52と、その外側面側に配設された手差し給紙装置53と、2次転写部57における転写紙Sの詰まり等によって生じるジャムの発生を検知するためのジャム検知手段としてのジャム検知センサ54とを有しており、2次転写装置5及び手差し給紙装置53とともに本体99に対して開閉可能となっている。
【0056】
図2に示すように、開閉部51が本体99に対して開いた状態では、2次転写部57が開放されるとともに、図3に示すように転写ベルトユニット10が本体99に対して着脱可能となり、転写ベルト10及び本体99のメンテナンス等が容易になっている。開閉部51は反転搬送経路21を比較的大きな割合で備えており、反転搬送経路21及び切換爪22によって構成される両面ユニットの一部を構成する両面ドアとして機能する。
【0057】
ジャム検知センサ54は光学センサとしてのフォトセンサであって転写紙Sを検出することが可能となっており、その検知信号が制御手段に入力されるようになっている。制御手段はかかる信号に基づき、ジャムの発生の有無を判断する。制御手段はジャムの発生が生じたと判断したときは液晶表示装置にその旨を表示させ、ユーザ等に注意を喚起する。ジャム検知センサ54は開閉部51が本体99に対して開放されているか否かを検知する開放検知手段としても機能し、その検知信号が制御手段に入力されることで制御手段は開閉部51の開放の有無を判断する。
【0058】
手差し給紙装置53は、開閉部51に対して開閉可能であり開閉部51に対して開いた状態で転写紙Sを積載可能な手差し給紙トレイとしての手差しトレイ27と、手差しトレイ27に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ28と、給送ローラ28により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ29と、手差しトレイ27を開閉部51に対して開閉可能に支持した軸19と、手差しトレイ34上に転写紙が載置されたことを検知する図示しない用紙センサとを有している。
【0059】
手差し給紙装置53は、給送ローラ28が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ29が作用することにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送し、搬送された転写紙Sがレジストローラ対4のローラ間に挟まれた状態で突き当られ止められるようになっている。
【0060】
定着装置6は、図示しない熱源を内部に有する加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト64と、加熱ローラ62とともに定着ベルト64を巻き掛けた定着ローラ65と、定着ローラ65との間で定着ベルト64に圧接し圧接部である定着部としての定着ニップを形成する加圧ローラ63とを有している。加熱ローラ62と、定着ベルト64と、定着ローラ65とは、定着ベルト64が無端移動するベルトユニットを構成している。定着装置6は、トナー像を担持した転写紙Sを定着ニップに挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0061】
トナーボトル9Y、9M、9C、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、重合トナーであって、図示しない駆動手段によって回転されることでトナーを吐出し、図示しないパイプ等によって構成された搬送経路を経て、所定の補給量だけ、後述するように画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられた現像装置80Y、80M、80C、80BKに補給される。
【0062】
読取装置98は、詳細な図示を省略するが、原稿を載置するコンタクトガラス、コンタクトガラスに載置された原稿に光を照射する光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体、第1走行体の反射体によって反射された光を反射する第2の反射体を備えた第2走行体、第2走行体からの光を結像するための結像レンズ、結像レンズを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ等を備えている。
【0063】
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKは互いに同様の構成となっている。画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの周囲に、図1中時計方向であるその回転方向B1に沿って、プロセス手段として、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、クリーニング手段としてのクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKと、除電手段としての除電装置78Y、78M、78C、78BKと、AC帯電を行なう帯電手段としての帯電装置79Y、79M、79C、79BKと、2成分現像剤により現像を行う現像手段としての現像装置80Y、80M、80C、80BKとを有している。
【0064】
感光体ドラム20Y、クリーニング装置71Y、除電装置78Y、帯電装置79Y、現像装置80Yは、一体化されてプロセスカートリッジを構成している。感光体ドラム20M、20C、20BKの周りの各構成も同様にそれぞれ一体化されてプロセスカートリッジを構成している。これらプロセスカートリッジは、前面パネルを開いた状態で図1における手前側である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの回転軸方向に着脱可能となっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
【0065】
このような構成の画像形成装置100においては、スタートスイッチの押下等により画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKにおいてそれぞれ次の画像形成プロセスが実行されること等によって、画像形成が行われる。すなわち、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、適宜、読取装置98において原稿の読み取りが行われる等して形成すべき画像に対応したデータが取得されるとともに、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、テンションローラ75が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKがB1方向に回転駆動される。
【0066】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79BKにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光の露光走査によりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Y、80M、80C、80BKによりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにより現像されて顕像化され、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像によって構成された単色画像が形成される。
【0067】
現像により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、順次、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に重ねて転写され、転写ベルト11上には合成カラー画像が形成される。
【0068】
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力に伴い、各給紙カセット25に対応する給紙ローラ24、手差しトレイ27に対応する給送ローラ28の何れかが選択されて回転駆動され、転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して搬送し、搬送された転写紙Sはレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。両面画像形成の場合は、定着装置6においてその片面に後述のように画像が定着された転写紙Sが、反転搬送経路21を通って表裏反転された状態で、レジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
【0069】
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、ニップ圧の作用によって転写紙Sに2次転写され、記録される。
【0070】
転写紙Sは2次転写装置5およびA1方向に回転する転写ベルト11によってE1方向に搬送されて定着装置6に送り込まれ、定着装置6において加熱ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像すなわち合成カラー画像を定着される。
【0071】
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。両面画像形成の場合は、片面に定着済みの転写紙Sは反転搬送経路21を通って再度レジストローラ対4に向けて搬送される。
【0072】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写後に残留した転写残トナーをクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKにより除去され、除電装置78Y、78M、78C、78BKによって除電され、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによる次の帯電に供される。
【0073】
2次転写を終えた2次転写部57通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブレード76によってその表面をクリーニングされ、次の転写に備える。
【0074】
このような画像形成動作は、操作パネルによる入力動作等に基づいて、ユーザによる画像形成指示が行われた場合は勿論のこと、いわゆるプロセスコントロールといわれるような、たとえば所定画像形成回数ごとに行われる、画像形成が良好に行われるようにするための画像調整に際しても行われる。かかる画像調整は、画像を構成するトナーの濃度や色合いの調整等のために行われる。
【0075】
図4、図5に示すように、2次転写装置5は、2次転写ローラ66を転写ベルト11に接離可能に備えている。ここに、2次転写ローラ66は転写ベルト11に接離される接離部材として機能する。2次転写装置5は、2次転写ローラ66をかかる接離部材として機能させるための接離部材接離装置97を有している。
【0076】
接離部材接離装置97は、2次転写ローラ66を駆動ローラ72に向けて圧接するための付勢手段である加圧手段としての加圧源たる引っ張りばねであるばね81と、2次転写ローラ66を駆動ローラ72に接離する方向にガイドした本体レールとしてのガイド部材82と、2次転写ローラ66を下方から支持しその揺動により2次転写ローラ66を転写ベルト11に接離する支持部材としての加圧レバー83と、2次転写ローラ66を駆動ローラ72に接離させるためのカム84と、カム84を回転駆動する駆動手段としてのモータ85と、加圧レバー83を揺動自在に支持した軸86と、ばね81を下方から支持した支持台としてのステージ87と、2次転写ローラ66の図示しない芯金の一部によって構成された回転中心軸に配設された転がり軸受88とを有している。
【0077】
ここで、かりに、ばね81の付勢力が、常に、カム84及びこれを介してモータ85に入力されると、これらが経時的に劣化し易くなり得る。また、ばね81の付勢力がカム84側からモータ85に回転負荷として入力される場合にはモータ85の劣化がさらに発生し易くなることがあり、またかかる回転負荷に抗してカム84の位相を維持するためにモータ85への給電を維持する必要がある場合には消費エネルギーが大きくなり得る。
【0078】
そこで、接離部材接離装置97は、2次転写ローラ66が転写ベルト11に当接した状態で加圧レバー83を係止し加圧レバー83の姿勢を維持することで2次転写ローラ66が転写ベルト11に当接した、図4に示した係止状態を維持する、ばね81の一端が連結された係止部材としてのストッパ89と、かかる係止状態を形成し又はかかる係止状態を解除して図5に示した解除状態を形成するための係脱手段90とを有し、係脱手段90によって係止状態が解除され解除状態が形成されると、ばね81による転写ベルト11に対する2次転写ローラ66の圧接が解除され、2次転写ローラ66が転写ベルト11から離間する一方で、係脱手段90によって係止状態が形成されると、ばね81からのカム84、モータ85への入力が停止、すなわちばね81の付勢力のカム84、モータ85への伝達が遮断され、ばね81からの係脱手段90への入力が停止するようになっている。
【0079】
係脱手段90は、加圧レバー83及びストッパ89に揺動可能に連結された連結部材としてのレバー91と、付勢手段としてのばね92と、カム84と、モータ85とを有している。
【0080】
ばね81は、一端がストッパ89に連結され、他端が2次転写装置5本体側の不動部材93に固定されている。なお、不動部材93は、開閉部51が本体99に対して開閉するときには本体99に対して変位する。ばね81は、係止状態において、ストッパ89と加圧レバー83とを介して転写ベルト11に対する2次転写ローラ66の圧接を行う。
【0081】
ガイド部材82、モータ85、軸86、ステージ87は、不動部材93に固定されている。
ガイド部材82は、水平方向に対して傾斜した方向に転がり軸受88をガタなく摺動自在に挟持して支持している。ガイド部材82は、かかる方向に延設されていることで、係止状態において係止状態を保つ大きさの力で係止状態が解除される向きに2次転写ローラ66の自重が働くように2次転写ローラ66を支持した接離部材支持手段として機能する。ガイド部材82は不動部材93に形成された溝であっても良い。
【0082】
加圧レバー83は、くの字状をなしており、中途部である屈曲した部分を軸86に回転自在に支持されている。加圧レバー83は、ガイド部材82に支持された転がり軸受88を介してその一端において2次転写ローラ66を下方から支持している。加圧レバー83は、その他端の先端に、レバー91に回転自在に連結された円柱状の軸部83aを有している。加圧レバー83は、軸部83aにおいてストッパ89に対向し滑らかに係合するようになっている。
【0083】
カム84は、楕円形状をなしており、その長軸上における偏倚した位置に配設され回転中心をなす軸84aと、長軸上に位置する、図4に示すように係止状態でレバー91に当接する大径部と図5に示すように大径部の反対側に位置し解除状態でレバー91に当接する小径部とを有している。
【0084】
モータ85は、軸84aにおいてカム84を支持している。モータ85はステッピングモータであり、制御手段によって駆動を制御され、カム84の位相を図4に示す状態と図5に示す状態との何れかに設定するようになっている。カム84が係止状態で大径部でレバー91に当接し解除状態で小径部でレバー91に当接するため、何れの状態においても、モータ85に、ばね81、91からの、軸84aを回転しようとする向きの入力が停止するように、すなわち軸84aによる回転力が非作用となるようになっている。よって、何れの状態においても、モータ85には、その状態を維持するための給電を行う必要がなく、節電がなされ、また軸84aによる回転応力が生じず、その劣化が抑制される。
【0085】
軸86は、これによる加圧レバー83の支持位置から加圧レバー83の2次転写ローラ66対する当接位置までの長さよりも、かかる支持位置から加圧レバー83のストッパ89に対する当接位置までの長さの方が長くなる位置で、加圧レバー83を支持して加圧レバー83の回転支点を構成しており、これによって、ばね81の付勢力が小さくても、後述するようにばね81による係止状態、解除状態等の維持を可能としている。
【0086】
ステージ87は、ばね81の延在方向において、ばね81を、不動部材93側から中途部まで支持している。ばね81は、図4に示すように、係止状態では大部分がステージ87に支持され、略直線状をなしているが、図5に示すように、解除状態ではステージ87に支持された部分が減少し、ストッパ89側が下方に屈曲した状態となる。
【0087】
転がり軸受88は、これが備えられていることにより、ガイド部材82及び加圧レバー83に対する抵抗が減じられ、転写ベルト11に対する2次転写ローラ66の接離がスムーズに行われるようになっている。
【0088】
ストッパ89は、係止状態において軸部83aに係合し当接する、同状態において略鉛直方向を向く第1の係合面89aと、解除状態において軸部83aに係合し当接する、第1の係合面89aに対して傾斜した第2の係合面89bと、加圧レバー91を連結された、係止状態におけるばね81によるストッパ89に対する付勢力の作用方向と略平行な方向に長いガイドとしての長孔89cとを有している。長孔89cは溝であっても良い。
【0089】
レバー91は、その一端において軸部83aに回転自在に支持されており、加圧レバー83に対して相対回転可能であるとともに、その他端においてばね92の一端を連結されている。レバー91は、中途部に、長孔89cに摺動自在に嵌合したピン91aを有している。よって、レバー91は、加圧レバー83及びストッパ89に揺動可能に連結されており、レーバ91、加圧レバー83及びストッパ89はリンク機構を構成している。レバー91は、ピン91aとその他端との間において、カム84によって下方から支持されている。ピン91aは、係止状態では長孔89cの中途部に位置し、解除状態では長孔89cの、第1の係合面89aと反対側の端部に当接している。
【0090】
ばね92は、その一端をレバー91の他端に連結され、その他端を不動部材93に固定されている。ばね92は、係止状態において係止状態を保つ大きさの力で係止状態が解除される向きであってレバー91をカム84に当接する方向に付勢している。
【0091】
このような構成により、係脱手段90において、制御手段による制御に基づくモータ85の駆動によりカム84が回転し、図4に示すように、ばね92の付勢力に抗してカム84の大径部がレバー91に当接すると、軸部83aが第1の係合面89aに当接し加圧レバー83によって2次転写ローラ66が押し上げられて転写ベルト11に圧接して係止状態が形成され、ばね81の付勢力によって軸部83aを第1の係合面89aに当接した状態に維持して係止状態が維持される。この点、制御手段は、係脱制御手段、特に係止制御手段として機能する。
【0092】
また、制御手段による制御に基づくモータ85の駆動により、図5に示すように、ばね81の付勢力に抗してカム84が回転してカム84の小径部がレバー91に当接すると、軸部83aが第1の係合面89aと第2の係合面89bとの境界に位置するストッパ89の角部を乗り越えて第2の係合面89bに乗り上げ、第2の係合面89bに当接し、加圧レバー83が同図における時計方向に回動し、2次転写ローラ66が加圧レバー83によって下方から支持されながら自重により下方に変位し、転写ベルト11から離間して離間状態が形成され、ばね81の付勢力によって軸部83aを第2の係合面89bに乗り上げた状態に維持して係止状態が維持される。この点、制御手段は、係脱制御手段、特に離間制御手段として機能する。なお、第1の係合面89aと第2の係合面89bとの間の角部は、かかる乗り上げなど、軸部83aの、第1の係合面89aと第2の係合面89bとの間の移動がスムーズに行なわれるように、曲面状とすることが可能である。ただし、係止状態、解除状態を維持すべきときにこれらの状態が解除されることがないようにされる。
【0093】
このように、係脱手段90によって係止状態が形成されたときは、ばね81は係止状態を維持するようにストッパ89を付勢し、係脱手段90によって係止状態が解除され係止状態と解除状態との間の過渡状態を経て解除状態形成されたときは、ばね81はこの状態を維持するようにストッパ89を付勢する。係止状態ではばね81からの係脱手段90への入力が停止して脱圧状態となり、当然にモータ85に対するばね81からの軸84aを回転しようとする向きの入力も停止する一方で、過渡状態及び解除状態ではばね81からの係脱手段90への入力は、第2の係合面89bにおいて行われるため脱圧状態とはならないものの、モータ85に対するばね81からの軸84aを回転しようとする向きの入力は停止する。よって、モータ85によるトルク言い換えるとモータ85への給電は、係止状態及び解除状態を解除して他方の状態に移行するときのみ必要とされ、モータ85等の劣化、電力消費が抑制されている。
【0094】
ばね92はこれが備えられていることにより、係止状態を解除し、過渡状態、解除状態への移行を行うときに、ばね81の付勢力を打ち消す向きの付勢力を生じるため、かかる移行が生じやすくなるという利点をもたらす。ただし、レバー91がその自重によって係止状態を解除し、過渡状態、解除状態への移行を行わせることが可能であるときにはばね92は省略可能である。
【0095】
ステージ87はこれが備えられていることにより、解除状態を解除し、過渡状態、係止状態への移行を行うときに、ばね81の屈曲状態を解消する向きの付勢力を生させ、かかる移行が生じやすくなるという利点をもたらす。なお、ばね81の屈曲状態を解消する向きの付勢力の大きさは、解除状態を保つ大きさとなっている。ただし、ステージ87は省略可能である。
【0096】
カム84は、係止状態、過渡状態及び解除状態においてレバー91に係合し、これらの状態を維持するようにレバー91の姿勢を保持する保持部材として機能する。ただし、ばね92を省略した構成等では、過渡状態、解除状態においてレバー91がカム84から離間し得るため、保持部材としてのカム84は、少なくとも係止状態においてレバー91に係合し、係止状態を維持するようにレバー91の姿勢を保持するものとなっている。この点、すでに述べたように、カム84が係止状態で大径部でレバー91に当接し解除状態で小径部でレバー91に当接するとき、何れの状態においても、モータ85には、ばね81からの、軸84aを回転しようとする向きの入力が停止し、モータ85には、その状態を維持するための給電を行う必要がなく、節電がなされ、また軸84aによる回転応力が生じず、その劣化が抑制されるという利点があるが、係脱手段90において、過渡状態、解除状態でレバー91がカム84から離間し得る構成を採り得ることを考慮すると、係脱手段90は、少なくとも係止状態を形成した状態において、モータ85に、ばね81からの、軸84aを回転しようとする向きの入力が停止するものとなっている。カム84は、最大でも1回転すれば係止状態と解除状態との間での切り換えが可能となっているため、モータ85の回転数を抑制して延命化、低消費電力化が可能となっている。
【0097】
解除状態では、接離部材接離装置97の構成は、加圧レバー83も、ストッパ89から離間するものとし、脱圧状態となるようにすることも可能である。これを考慮すると、ばね81からの係脱手段90への入力の停止すなわち脱圧状態は、少なくとも係止状態で生じるものとなっている。
【0098】
画像形成装置100において、係止状態を解除し解除状態への切り換えを行って2次転写ローラ66を転写ベルト11から離間するのは、ユーザによる画像形成指示に基づいてあるいは画像調整のために、カラー画像が形成されるときであって、転写ベルト11に全ての色のトナー像が担持されるまでの間であり、転写ベルト11に全ての色のトナー像が担持されると、解除状態を解除し係止状態への切り換えを行って2次転写ローラ66を転写ベルト11に当接させ、転写紙Sへの2次転写を行うことが可能な状態とする。
【0099】
画像形成装置100においては、他に、制御手段がジャムの発生が生じたと判断したときも、係止状態を解除し解除状態への切り換えを行って2次転写ローラ66を転写ベルト11から離間する。制御手段がジャムの発生が生じたと判断したとき、ユーザは液晶表示装置によってジャムの発生を報知され、ジャムを解消するために、図2に示すように、開閉部51を本体99に対して開放することとなり得るが、開閉部51を本体99に対して開放するときに転写ベルト11、2次転写ローラ66等に不用な応力がかかってそれらを劣化させてしまうなどの不具合を防止するため、制御手段がジャムの発生が生じたと判断したときには係止状態を解除し解除状態への切り換えを行う。また、制御手段がジャムが解消されたと判断したときには、解除状態を解除して係止状態への切り換えを行う。ただしこの切り換えを行うのは、制御手段が開閉部51が閉じられていると判断していることが条件となる。係止状態で開閉部51を閉じると、転写ベルト11、2次転写ローラ66等に不用な応力がかかってそれらを劣化させてしまうなどの不具合が生じ得るためである。
【0100】
なお、開閉部51を開放したときに係止状態が維持される範囲で、接離部材接離装置97の構成部品を本体99側に配設し、開閉部51の開放に伴ってその構成部品が接離部材接離装置97から離脱するように構成しても良い。
【0101】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0102】
たとえば、係脱手段に備えられ係止状態を形成しまたは解除する駆動手段は、モータでなくソレノイドであっても良い。この場合は、駆動手段が、少なくとも係止状態において連結部材に係合し係止状態を維持するように連結部材の姿勢を保持する保持部材を兼ねる。
【0103】
係止状態において係止部材が加圧手段による力のみでは不安定な状態となるなど位置保持されない場合等には、係止状態において係止部材を位置保持する位置保持部材を、係止状態を解除しさらに解除状態に移行することを妨げない態様で接離部材接離装置に配設しても良い。位置保持部材は、解除状態においても係止部材を位置保持するようにしても良く、さらにはそれらの間の過渡状態においてもかかる移行を妨げないように構成することも可能である。この点、位置保持部材は少なくとも係止状態で係止部材を位置保持する。
【0104】
転写部材はローラ状でなくベルト状であっても良い。接離部材は、像担持体に接離する必要がある部材であれば、転写部材に限らず、クリーニングブレード76のようなクリーニング部材等であってもよい。クリーニング部材はブレード状でなくローラ状をなす回転体であっても良い。しかしながら、接離部材は回転体に限らない。
【0105】
本発明は、画像形成装置100のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム、感光体ベルト等の像担持体上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用し、その像担持体の転写部材、クリーニング部材等の接離部材に対する接離部材接離装置とすることができ、また、必要に応じて、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置に適用しても良い。
【0106】
いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。すなわち、上述の転写ベルトユニット10に代わる構成として転写紙を搬送する転写ユニットを用いるとともに、上述の転写ベルト11に代わる構成として転写紙を搬送する転写体としての搬送ベルトを用い、搬送ベルトによって転写紙を搬送する過程で、転写紙にトナー像が転写される構成とすることが可能である。
【0107】
画像形成装置は、トナーを用いて画像を形成するのでなく、インキを用いて画像を形成するものであっても良い。たとえば、版胴を備えた印刷装置である画像形成装置、インクジェットプリンタである画像形成装置である。画像形成装置が印刷装置である場合、たとえば像担持体を版胴とし、接離部材をプレスローラ、圧胴とする。
【0108】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した状態から開閉部を画像形成装置本体に対して開いた状態の概略正面図である。
【図3】図2に示した状態から転写ベルトユニットを画像形成装置本体から離脱した状態の概略正面図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に備えられた接離部材接離装置が係止状態を形成し接離部材を像担持体に当接させた状態の概略正面図である。
【図5】図1に示した画像形成装置に備えられた接離部材接離装置が係止状態を解除し接離部材を像担持体から離間させた状態の概略正面図である。
【符号の説明】
【0110】
11 像担持体
54 ジャム検知手段
66 接離部材、転写部材
81 加圧手段
82 接離部材支持手段
83 支持部材
84 保持部材
85 駆動手段
89 係止部材
90 係脱手段
91 連結部材
92 付勢手段
97 接離部材接離装置
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に接離される接離部材を像担持体に接離可能に支持した支持部材と、
前記接離部材が像担持体に当接した状態で前記支持部材を係止するための係止部材と、
前記係止部材に連結され前記支持部材が前記係止部材によって係止された係止状態で同係止部材と同支持部材とを介して像担持体に対する前記接離部材の圧接を行う加圧手段と、
前記係止状態を形成しまたは解除するための係脱手段とを有し、
前記係脱手段によって前記係止状態が解除されると、前記加圧手段による前記圧接が解除され前記接離部材が像担持体から離間し、
少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記加圧手段からの前記係脱手段への入力が停止する接離部材接離装置。
【請求項2】
請求項1記載の接離部材接離装置において、
前記係脱手段は、前記支持部材及び前記係止部材に揺動可能に連結された連結部材と、少なくとも前記係止状態において前記連結部材に係合し前記係止状態を維持するように同連結部材の姿勢を保持する保持部材と、この保持部材を駆動して前記係止状態を形成しまたは解除する駆動手段とを有することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項3】
請求項2記載の接離部材接離装置において、
少なくとも前記係止状態が形成された状態において、前記駆動手段によって前記保持部材を駆動する向きの、前記加圧手段からの前記駆動手段への入力が停止することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、
前記係脱手段は、前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きの付勢を行う付勢手段を有することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、
前記係止状態においてこの係止状態を保つ大きさの力で同係止状態が解除される向きに前記接離部材の自重が働くように同接離部材を支持した接離部材支持手段を有することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、
前記加圧手段は、前記係脱手段によって前記係止状態が形成されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢し、前記係脱手段によって前記係止状態が解除されたときはこの状態を維持するように前記係止部材を付勢することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、
前記接離部材は像担持体上の像を転写するための転写部材であることを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の接離部材接離装置において、
ジャムの発生を検知するジャム検知手段によってジャムが検知されたとき及び/又は画像調整のための像が前記像担持体に担持されるときに前記係止状態を解除することを特徴とする接離部材接離装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つに記載の接離部材接離装置と、前記接離部材が接離する像担持体とを有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−128186(P2010−128186A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302739(P2008−302739)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】