説明

描画処理装置、および、描画処理プログラム

【課題】処理コストの増大を抑えつつ、Zバッファの誤差によるちらつきを防止することができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理において、まず、一度の描画処理における描画対象のポリゴンを第1種ポリゴンと第2種ポリゴンに分類する。次に、第1種ポリゴンを対象として描画処理を行う。次に、クリップ空間のニア値およびファー値の少なくともいずれかを、第1種ポリゴンを描画処理したときの値とは異なる値に設定する。そして、当該設定後のファー値、ニア値によるクリップ空間を用いて第2種ポリゴンの描画処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像の画像処理に関し、より特定的には、透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるZバッファ法を用いて3次元画像を描画する手法が知られている。また、3次元画像における影や境界部分の表現技法の1つとして、影や境界部分に相当するポリゴンを用意し、少し浮かせた状態で描画するという手法がある。
【0003】
例えば、3次元仮想空間内で風車のオブジェクトと、その影を表現する場合は、図24に示すように、地面の上に風車オブジェクト901を配置する。また、別途影のポリゴン902を生成し、地面から少しだけ浮かせた位置に配置して(影の配置位置は、光源を考慮した演算で別途算出されている)、描画処理(レンダリング)を行う。これにより、風車オブジェクトと、その影とが描画されて、リアルな3次元画像ができあがる。
【0004】
また、例えば、道路と芝生との境界部分を目立たなくする目的で、この境界部分に境界をぼかすためのポリゴンをかぶせるように配置して描画処理を行うことも行われている。
【0005】
ここで、一般的には、3次元画像を描画する過程(いわゆるレンダリングパイプライン)は、頂点シェーダ、ラスタライザ、ピクセルシェーダの3工程に分けられる。そして、頂点シェーダでは、各種座標変換処理が実行されるが、この中の透視斜影変換と呼ばれる(あるいはプロジェクション変換とも呼ばれる)処理において、スクリーンからの奥行き値を示すZ値が算出される。このとき、次のような式を用いてZ値を算出することが一般的である。
Z値=1+N×(1+F/Cz)/(F−N) ・・・式1
なお、変数Czはカメラ空間座標におけるZ成分(画面奥行き方向を負の値とする)である。また、変数Nは透視射影変換におけるクリップ面のニア値を示し、変数Fは透視射影変換におけるクリップ面のファー値を示す。
【0006】
また、上記式1で算出されるZ値と仮想カメラからの距離との関係は、例えば、図25のようなグラフで表される。図25において、縦軸はZバッファ値、横軸は仮想カメラからの距離を示す。なお、図25において縦軸は、0.999から1.0の範囲で示しているが、これは、0から1.0までの範囲を表記するとグラフがつぶれてしまい、解りづらくなるために、0.999から1.0までのグラフで示している)。また、横軸では、ニア値を1.0、ファー値を120000としている。そして、当該グラフでは、仮想カメラからの距離が離れるにつれて、Z値の精度が低下していることが示されている(例えば、図25の楕円903で囲まれた部分)。すなわち、グラフの傾きが非常に小さくなり、1個のZ値に割り当てられるカメラからの距離の範囲が非常に大きなものになっている。
【0007】
上述した影のポリゴンのような、少し浮かせたポリゴンの場合、地面と影のポリゴンとの距離は、極めて近い位置関係となっている。換言すれば、上記Z値としては、近似した値が算出され得る。そのため、仮想カメラからの距離によっては(特に、仮想カメラから遠い場合)、上記のような精度の低さとZバッファの分解能の限界によるZバッファの誤差(Zバッファのビット数が有限である以上、丸め誤差などによる演算誤差が発生する)によって、図24の例で言うと、影ポリゴンと地面(ポリゴン)と重なっている部分が同じZ値となって交互に描画される、あるいは、これらの前後関係(奥行き関係)が逆転したりして、結果的に生成される3次元画像においては、図26に示すように当該影等のポリゴンの部分にちらつきが生じてしまうという問題があった。
【0008】
上記のようなZバッファの誤差によるちらつきを解決する手法としては、例えば、特許文献1に開示されているような手法がある。当該特許文献1で示される3次元画像表示装置は、トゥーンレンダリングによる描画処理を行うものである。そして、当該装置では、オブジェクトの輪郭を抽出し、輪郭と判定された辺に対して輪郭線(正確には輪郭線ポリゴン。上記の少し浮かせたポリゴンに相当する)を描画している。そして、この輪郭線を描画する際に、輪郭線とオブジェクトとのちらつきを抑えるために、当該輪郭線について、外側方向に太さをもたせてから描画を行うという処理を実行している。つまり、輪郭線に太さをもたせることで、オブジェクトと重なる部分がないようにして輪郭線を描画している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−173866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したような3次元画像表示装置においては、以下に示す問題点があった。すなわち、上記装置では輪郭線に太さをもたせて描画を行っているが、換言すれば、上記装置では、輪郭線(ポリゴン)が太くなるように変形させる処理を行っている。そのため、当該輪郭線の変形のための処理コストが余分に必要となっていた。また、上記のようにちらつきを抑えるためにポリゴンの変形を行うと、その結果できあがった3次元画像が、開発者が当所意図していた画像や図柄とは異なった画像となってしまうという問題もある。
【0011】
それ故に、本発明の目的は、処理コストの増大を抑えつつ、Zバッファの誤差によるちらつきを防止することができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係の一例を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0013】
第1の発明は、透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理装置であって、第1描画手段(10)と、算出パラメタ変更手段(10)と、第2描画手段(10)とを備える。第1描画手段は、一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第1の種別に分類される第1種ポリゴンの描画処理を実行する。算出パラメタ変更手段は、前記Zバッファによる深度比較において用いられる奥行き値が前記第1描画処理で算出される値よりも仮想カメラ側に近づいた値となるように、前記透視斜影変換における当該奥行き値の算出に用いるパラメタを変更する。第2描画手段は、前記算出パラメタ変更手段によって変更されたパラメタを用いて、前記一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第2の種別に分類される第2種ポリゴンの描画処理を実行する。
【0014】
第1の発明によれば、Zバッファの誤差によるちらつきを防止して3次元画像を表示することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、算出パラメタ変更手段は、第1描画手段において用いられたニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を変更する。
【0016】
第3の発明は、第2の発明において、算出パラメタ変更手段は、ニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を仮想カメラから遠ざかる方向へ変更する。
【0017】
第2乃至3の発明によれば、ワールド空間におけるポリゴンモデルに変更を加えることなく、第2の描画処理における透視投影変換で算出される奥行き値について第1の描画処理で算出される奥行き値よりも、より仮想カメラ側に存在することを示す値を算出することが可能となる。
【0018】
第4の発明は、第1の発明において、算出パラメタ変更手段は、透視投影変換において算出される奥行き値に加えるための所定のオフセット値を設定することで算出パラメタの変更を実行する。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、算出パラメタ変更手段は、透視投影変換のために割り当てわれるZバッファの範囲を示すパラメタを変更することによってオフセット値の設定を行う。
【0020】
第4乃至第5の発明によれば、処理コストを高めることなく、Zバッファの誤差によるちらつきを防止することができる。
【0021】
第6の発明は、第1の発明において、第2描画手段は、第2種ポリゴンを半透明で表示されるように描画する。
【0022】
第6の発明によれば、より現実感のある3次元画像を描画することができる。
【0023】
第7の発明は、第1の発明において、第2種ポリゴンは、仮想空間内において、所定の第1種ポリゴンと近接する位置であって、かつ、より仮想カメラ側となる位置に配置される。
【0024】
第7の発明によれば、Zバッファによる深度比較において、所定の第2種ポリゴンが所定の第1種ポリゴンよりも仮想カメラ側にあるという判定をより確実に行わせることができる。
【0025】
第8の発明は、第1の発明において、第1描画手段および第2描画手段における描画処理には、ワールド空間内におけるポリゴンの座標をカメラ座標系の座標に変換する第1の変換処理と、第1の変換処理によって変換されたカメラ座標系における座標を透視変換する第2の変換処理と、透視変換後の座標をビューポート座標系の座標に変換する第3の変換処理と、Zバッファを用いた深度比較に基づいてピクセルの描画を行うZ比較処理とが含まれる。
【0026】
第8の発明によれば、一般的に用いられている3次元画像描画処理を利用し、処理コストを高めることなく、Zバッファの誤差によるちらつきを防止して3次元画像を表示することができる。
【0027】
第9の発明は、透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理装置のコンピュータにおいて実行される画像処理プログラムであって、コンピュータを、第1描画手段(S11、S12、S13)と、算出パラメタ変更手段(S14)と、第2描画手段(S15、S16)として機能させる。第1描画手段は、一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第1の種別に分類される第1種ポリゴンの描画処理を実行する。算出パラメタ変更手段は、Zバッファによる深度比較において用いられる奥行き値が第1描画処理で算出される値よりも仮想カメラ側に近づいた値となるように、透視斜影変換における当該奥行き値の算出に用いるパラメタを変更する。第2描画手段は、算出パラメタ変更手段によって変更されたパラメタを用いて、一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第2の種別に分類される第2種ポリゴンの描画処理を実行する。
【0028】
第10の発明は、第9の発明において、算出パラメタ変更手段は、第1描画手段において用いられたニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を変更する。
【0029】
第11の発明は、第10の発明において、算出パラメタ変更手段は、ニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を仮想カメラから遠ざかる方向へ変更する。
【0030】
第12の発明は、第9の発明において、算出パラメタ変更手段は、透視投影変換において算出される奥行き値に加えるための所定のオフセット値を設定することで算出パラメタの変更を実行する。
【0031】
第13の発明は、第12の発明において、算出パラメタ変更手段は、透視投影変換のために割り当てわれるZバッファの範囲を示すパラメタを変更することによってオフセット値の設定を行う。
【0032】
第14の発明は、第9の発明において、第2描画手段は、第2種ポリゴンを半透明で表示されるように描画する。
【0033】
第15の発明は、第9の発明において、第2種ポリゴンは、仮想空間内において、所定の第1種ポリゴンと近接する位置であって、かつ、より仮想カメラ側となる位置に配置される。
【0034】
第16の発明は、第9の発明において、第1描画手段および第2描画手段における描画処理には、ワールド空間内におけるポリゴンの座標をカメラ座標系の座標に変換する第1の変換処理(S34)と、第1の変換処理によって変換されたカメラ座標系における座標を透視変換する第2の変換処理(S36)と、透視変換後の座標をビューポート座標系の座標に変換する第3の変換処理(S37)と、Zバッファを用いた深度比較に基づいてピクセルの描画を行うZ比較処理(S40,S41,S42)とが含まれる。
【0035】
本発明の画像処理プログラムによれば、上述した本発明の描画処理装置と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、コンピュータの処理コストの増大を抑えつつ、Zバッファの誤差によるちらつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステム1を説明するための外観図
【図2】図1のゲーム装置本体5の機能ブロック図
【図3】図1のコントローラ7の上面後方から見た斜視図
【図4】図3のコントローラ7を下面前方から見た斜視図
【図5】図3のコントローラ7の上ハウジングを外した状態を示す斜視図
【図6】図3のコントローラ7の下ハウジングを外した状態を示す斜視図
【図7】図3のコントローラ7の構成を示すブロック図
【図8】本実施形態にかかるゲーム画像の一例
【図9】通常ポリゴンと浮かせポリゴンとの描画処理におけるニア値、ファー値の違いを示す図
【図10】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図11】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図12】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図13】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図14】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図15】ファー値、ニア値の変更設定について説明するための図
【図16】ゲーム装置3の外部メインメモリ12のメモリマップを示す図
【図17】クリッピング設定テーブル126のデータ構成の一例を示す図
【図18】本実施形態にかかるゲーム処理の詳細を示すフローチャート
【図19】図18のステップS2で示した描画処理の詳細を示したフローチャート
【図20】図19のステップS13で示したポリゴン描画処理の詳細を示したフローチャート
【図21】第2の実施形態の概要を説明するための図
【図22】第2の実施形態の概要を説明するための図
【図23】第2の実施形態における描画処理の詳細を示したフローチャート
【図24】3次元画像の一例
【図25】Z値と仮想カメラからの距離との関係を示すグラフ
【図26】ちらつきが発生している3次元画像の一例
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1の実施形態)
(ゲームシステムの全体構成)
図1を参照して、本発明の実施形態に係るゲーム装置を含むゲームシステム1について説明する。図1は、ゲームシステム1の外観図である。以下、据置型のゲーム装置を一例にして、本実施形態のゲーム装置およびゲームプログラムについて説明する。図1において、ゲームシステム1は、テレビジョン受像器(以下、単に「テレビ」と記載する)2、ゲーム装置3、光ディスク4、コントローラ7、およびマーカ部8を含む。本システムは、コントローラ7を用いたゲーム操作に基づいてゲーム装置3でゲーム処理を実行するものである。
【0039】
ゲーム装置3には、当該ゲーム装置3に対して交換可能に用いられる情報記憶媒体の一例である光ディスク4が脱着可能に挿入される。光ディスク4には、ゲーム装置3において実行されるためのゲームプログラムが記憶されている。ゲーム装置3の前面には光ディスク4の挿入口が設けられている。ゲーム装置3は、挿入口に挿入された光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを読み出して実行することによってゲーム処理を実行する。
【0040】
ゲーム装置3には、表示装置の一例であるテレビ2が接続コードを介して接続される。テレビ2には、ゲーム装置3において実行されるゲーム処理の結果得られるゲーム画像が表示される。また、テレビ2の画面の周辺(図1では画面の上側)には、マーカ部8が設置される。マーカ部8は、その両端に2つのマーカ8Rおよび8Lを備えている。マーカ8R(マーカ8Lも同様)は、具体的には1以上の赤外LEDであり、テレビ2の前方に向かって赤外光を出力する。マーカ部8はゲーム装置3に接続されており、ゲーム装置3はマーカ部8が備える各赤外LEDの点灯を制御することが可能である。
【0041】
コントローラ7は、当該コントローラ7自身に対して行われた操作の内容を示す操作データをゲーム装置3に与える入力装置である。コントローラ7とゲーム装置3とは無線通信によって接続される。本実施形態では、コントローラ7とゲーム装置3との間の無線通信には例えばBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)の技術が用いられる。なお、他の実施形態においてはコントローラ7とゲーム装置3とは有線で接続されてもよい。
【0042】
(ゲーム装置3の内部構成)
次に、図2を参照して、ゲーム装置3の内部構成について説明する。図2は、ゲーム装置3の構成を示すブロック図である。ゲーム装置3は、CPU10、システムLSI11、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14、およびAV−IC15等を有する。
【0043】
CPU10は、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムを実行することによってゲーム処理を実行するものであり、ゲームプロセッサとして機能する。CPU10は、システムLSI11に接続される。システムLSI11には、CPU10の他、外部メインメモリ12、ROM/RTC13、ディスクドライブ14およびAV−IC15が接続される。システムLSI11は、それに接続される各構成要素間のデータ転送の制御、表示すべき画像の生成、外部装置からのデータの取得等の処理を行う。システムLSI11の内部構成については後述する。揮発性の外部メインメモリ12は、光ディスク4から読み出されたゲームプログラムや、フラッシュメモリ17から読み出されたゲームプログラム等のプログラムを記憶したり、各種データを記憶したりするものであり、CPU10のワーク領域やバッファ領域として用いられる。ROM/RTC13は、ゲーム装置3の起動用のプログラムが組み込まれるROM(いわゆるブートROM)と、時間をカウントするクロック回路(RTC:Real Time Clock)とを有する。ディスクドライブ14は、光ディスク4からプログラムデータやテクスチャデータ等を読み出し、後述する内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12に読み出したデータを書き込む。
【0044】
また、システムLSI11には、入出力プロセッサ11a、GPU(Graphics Processor Unit)11b、DSP(Digital Signal Processor)11c、VRAM11d、および内部メインメモリ11eが設けられる。図示は省略するが、これらの構成要素11a〜11eは内部バスによって互いに接続される。
【0045】
GPU11bは、描画手段の一部を形成し、CPU10からのグラフィクスコマンド(作画命令)に従って画像を生成する。より具体的には、GPU11bは、当該グラフィクスコマンドに従って3Dグラフィックスの表示に必要な計算処理、例えば、レンダリングの前処理にあたる3D座標から2D座標への座標変換などの処理や、テクスチャの張り込みなどの最終的なレンダリング処理を行うことで、ゲーム画像データを生成する。ここで、CPU10は、グラフィクスコマンドに加えて、ゲーム画像データの生成に必要な画像生成プログラムをGPU11bに与える。VRAM11dは、GPU11bがグラフィクスコマンドを実行するために必要なデータ(ポリゴンデータやテクスチャデータ等のデータ)を記憶する。画像が生成される際には、GPU11bは、VRAM11dに記憶されたデータを用いて画像データを作成する。
【0046】
DSP11cは、オーディオプロセッサとして機能し、内部メインメモリ11eや外部メインメモリ12に記憶されるサウンドデータや音波形(音色)データを用いて、音声データを生成する。また、内部メインメモリ11eは、外部メインメモリ12と同様に、プログラムや各種データを記憶するものであり、CPU10のワーク領域やバッファ領域として用いられる。
【0047】
上述のように生成された画像データおよび音声データは、AV−IC15によって読み出される。AV−IC15は、読み出した画像データをAVコネクタ16を介してテレビ2に出力するとともに、読み出した音声データを、テレビ2に内蔵されるスピーカ2aに出力する。これによって、画像がテレビ2に表示されるとともに音がスピーカ2aから出力される。
【0048】
入出力プロセッサ(I/Oプロセッサ)11aは、それに接続される構成要素との間でデータの送受信を実行したり、外部装置からのデータのダウンロードを実行したりする。入出力プロセッサ11aは、フラッシュメモリ17、無線通信モジュール18、無線コントローラモジュール19、拡張コネクタ20、およびメモリカード用コネクタ21に接続される。無線通信モジュール18にはアンテナ22が接続され、無線コントローラモジュール19にはアンテナ23が接続される。
【0049】
入出力プロセッサ11aは、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに接続し、ネットワークに接続される他のゲーム装置や各種サーバと通信することができる。入出力プロセッサ11aは、定期的にフラッシュメモリ17にアクセスし、ネットワークへ送信する必要があるデータの有無を検出し、当該データが有る場合には、無線通信モジュール18およびアンテナ22を介してネットワークに送信する。また、入出力プロセッサ11aは、他のゲーム装置から送信されてくるデータやダウンロードサーバからダウンロードしたデータを、ネットワーク、アンテナ22および無線通信モジュール18を介して受信し、受信したデータをフラッシュメモリ17に記憶する。CPU10はゲームプログラムを実行することにより、フラッシュメモリ17に記憶されたデータを読み出してゲームプログラムで利用する。フラッシュメモリ17には、ゲーム装置3と他のゲーム装置や各種サーバとの間で送受信されるデータの他、ゲーム装置3を利用してプレイしたゲームのセーブデータ(ゲームの結果データまたは途中データ)が記憶されてもよい。
【0050】
また、入出力プロセッサ11aは、コントローラ7から送信される操作データをアンテナ23および無線コントローラモジュール19を介して受信し、内部メインメモリ11eまたは外部メインメモリ12のバッファ領域に記憶(一時記憶)する。
【0051】
さらに、入出力プロセッサ11aには、拡張コネクタ20およびメモリカード用コネクタ21が接続される。拡張コネクタ20は、USBやSCSIのようなインターフェースのためのコネクタであり、外部記憶媒体のようなメディアを接続したり、他のコントローラのような周辺機器を接続したり、有線の通信用コネクタを接続することによって無線通信モジュール18に替えてネットワークとの通信を行ったりすることができる。メモリカード用コネクタ21は、メモリカードのような外部記憶媒体を接続するためのコネクタである。例えば、入出力プロセッサ11aは、拡張コネクタ20やメモリカード用コネクタ21を介して、外部記憶媒体にアクセスし、データを保存したり、データを読み出したりすることができる。
【0052】
ゲーム装置3には、電源ボタン24、リセットボタン25、およびイジェクトボタン26が設けられる。電源ボタン24およびリセットボタン25は、システムLSI11に接続される。電源ボタン24がオンにされると、ゲーム装置3の各構成要素に対して、図示しないACアダプタを経て電源が供給される。また、一旦電源がオンにされた状態で、再度電源ボタン24を押すと、低電力スタンバイモードへの移行が行われる。この状態でも、ゲーム装置3への通電は行われているため、インターネット等のネットワークに常時接続しておくことができる。なお、一旦電源がオンにされた状態で、電源をオフにしたいときは、電源ボタン24を所定時間以上長押しすることで、電源をオフとすることが可能である。リセットボタン25が押されると、システムLSI11は、ゲーム装置3の起動プログラムを再起動する。イジェクトボタン26は、ディスクドライブ14に接続される。イジェクトボタン26が押されると、ディスクドライブ14から光ディスク4が排出される。
【0053】
次に、図3および図4を参照して、コントローラ7について説明する。なお、図3は、コントローラ7の上面後方から見た斜視図である。図4は、コントローラ7を下面前方から見た斜視図である。
【0054】
図3および図4において、コントローラ7は、ハウジング71と、当該ハウジング71の表面に設けられた複数個の操作ボタンで構成される操作部72とを備える。本実施例のハウジング71は、その前後方向を長手方向とした略直方体形状を有しており、全体として大人や子供の片手で把持可能な大きさであり、例えばプラスチック成型によって形成されている。
【0055】
ハウジング71上面の中央前面側に、十字キー72aが設けられる。この十字キー72aは、十字型の4方向プッシュスイッチであり、4つの方向(前後左右)に対応する操作部分が十字の突出片にそれぞれ90°間隔で配置される。プレイヤが十字キー72aのいずれかの操作部分を押下することによって前後左右いずれかの方向を選択される。例えばプレイヤが十字キー72aを操作することによって、仮想ゲーム世界に登場するプレイヤキャラクタ等の移動方向を指示したり、複数の選択肢から選択指示したりすることができる。
【0056】
なお、十字キー72aは、上述したプレイヤの方向入力操作に応じて操作信号を出力する操作部であるが、他の態様の操作部でもかまわない。例えば、十字方向に4つのプッシュスイッチを配設し、プレイヤによって押下されたプッシュスイッチに応じて操作信号を出力する操作部を設けてもかまわない。さらに、上記4つのプッシュスイッチとは別に、上記十字方向が交わる位置にセンタスイッチを配設し、4つのプッシュスイッチとセンタスイッチとを複合した操作部を設けてもかまわない。また、ハウジング71上面から突出した傾倒可能なスティック(いわゆる、ジョイスティック)を倒すことによって、傾倒方向に応じて操作信号を出力する操作部を上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。さらに、水平移動可能な円盤状部材をスライドさせることによって、当該スライド方向に応じた操作信号を出力する操作部を、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。また、タッチパッドを、上記十字キー72aの代わりに設けてもかまわない。
【0057】
ハウジング71上面の十字キー72aより後面側に、複数の操作ボタン72b〜72gが設けられる。操作ボタン72b〜72gは、プレイヤがボタン頭部を押下することによって、それぞれの操作ボタン72b〜72gに割り当てられた操作信号を出力する操作部である。例えば、操作ボタン72b〜72dには、1番ボタン、2番ボタン、およびAボタン等としての機能が割り当てられる。また、操作ボタン72e〜72gには、マイナスボタン、ホームボタン、およびプラスボタン等としての機能が割り当てられる。これら操作ボタン72a〜72gは、ゲーム装置3が実行するゲームプログラムに応じてそれぞれの操作機能が割り当てられる。なお、図3に示した配置例では、操作ボタン72b〜72dは、ハウジング71上面の中央前後方向に沿って並設されている。また、操作ボタン72e〜72gは、ハウジング71上面の左右方向に沿って操作ボタン72bおよび72dの間に並設されている。そして、操作ボタン72fは、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0058】
また、ハウジング71上面の十字キー72aより前面側に、操作ボタン72hが設けられる。操作ボタン72hは、遠隔からゲーム装置3本体の電源をオン/オフする電源スイッチである。この操作ボタン72hも、その上面がハウジング71の上面に埋没しており、プレイヤが不意に誤って押下することのないタイプのボタンである。
【0059】
また、ハウジング71上面の操作ボタン72cより後面側に、複数のLED702が設けられる。ここで、コントローラ7は、他のコントローラ7と区別するためにコントローラ種別(番号)が設けられている。例えば、LED702は、コントローラ7に現在設定されている上記コントローラ種別をプレイヤに通知するために用いられる。具体的には、コントローラ7からゲーム装置3へ送信データを送信する際、上記コントローラ種別に応じて複数のLED702のうち、種別に対応するLEDが点灯する。
【0060】
また、ハウジング71上面には、操作ボタン72bおよび操作ボタン72e〜72gの間に後述するスピーカ(図5のスピーカ706)からの音を外部に放出するための音抜き孔が形成されている。
【0061】
一方、ハウジング71下面には、凹部が形成されている。後述で明らかとなるが、ハウジング71下面の凹部は、プレイヤがコントローラ7の前面をマーカ8Lおよび8Rに向けて片手で把持したときに、当該プレイヤの人差し指や中指が位置するような位置に形成される。そして、上記凹部の傾斜面には、操作ボタン72iが設けられる。操作ボタン72iは、例えばBボタンとして機能する操作部である。
【0062】
また、ハウジング71前面には、撮像情報演算部74の一部を構成する撮像素子743が設けられる。ここで、撮像情報演算部74は、コントローラ7が撮像した画像データを解析してその中で輝度が高い場所を判別してその場所の重心位置やサイズなどを検出するためのシステムであり、例えば、最大200フレーム/秒程度のサンプリング周期であるため比較的高速なコントローラ7の動きでも追跡して解析することができる。この撮像情報演算部74の詳細な構成については、後述する。また、ハウジング71の後面には、コネクタ73が設けられている。コネクタ73は、例えばエッジコネクタであり、例えば接続ケーブルと嵌合して接続するために利用される。
【0063】
ここで、以下の説明を具体的にするために、コントローラ7に対して設定する座標系について定義する。図3および図4に示すように、互いに直交するxyz軸をコントローラ7に対して定義する。具体的には、コントローラ7の前後方向となるハウジング71の長手方向をz軸とし、コントローラ7の前面(撮像情報演算部74が設けられている面)方向をz軸正方向とする。また、コントローラ7の上下方向をy軸とし、ハウジング71の上面(操作ボタン72a等が設けられた面)方向をy軸正方向とする。さらに、コントローラ7の左右方向をx軸とし、ハウジング71の左側面(図3では表されずに図4で表されている側面)方向をx軸正方向とする。
【0064】
次に、図5および図6を参照して、コントローラ7の内部構造について説明する。なお、図5は、コントローラ7の上ハウジング(ハウジング71の一部)を外した状態を後面側から見た斜視図である。図6は、コントローラ7の下ハウジング(ハウジング71の一部)を外した状態を前面側から見た斜視図である。ここで、図6に示す基板700は、図5に示す基板700の裏面から見た斜視図となっている。
【0065】
図5において、ハウジング71の内部には基板700が固設されており、当該基板700の上主面上に操作ボタン72a〜72h、加速度センサ701、LED702、およびアンテナ754等が設けられる。そして、これらは、基板700等に形成された配線(図示せず)によってマイコン751等(図6、図7参照)に接続される。マイコン751は本願発明のボタンデータ発生手段の一例として、操作ボタン72a等の種類に応じた操作ボタンデータを発生させるように機能する。この仕組みは公知技術であるが、例えばキートップ下側に配置されたタクトスイッチなどのスイッチ機構による配線の接触/切断をマイコン751が検出することによって実現されている。より具体的には、操作ボタンが例えば押されると配線が接触して通電するので、この通電がどの操作ボタンにつながっている配線で発生したかをマイコン751が検出し、操作ボタンの種類に応じた信号を発生させている。
【0066】
また、コントローラ7は、無線モジュール753(図7参照)およびアンテナ754によって、ワイヤレスコントローラとして機能する。なお、ハウジング71内部には図示しない水晶振動子が設けられており、後述するマイコン751の基本クロックを生成する。また、基板700の上主面上に、スピーカ706およびアンプ708が設けられる。また、加速度センサ701は、操作ボタン72dの左側の基板700上(つまり、基板700の中央部ではなく周辺部)に設けられる。したがって、加速度センサ701は、コントローラ7の長手方向を軸とした回転に応じて、重力加速度の方向変化に加え、遠心力による成分の含まれる加速度を検出することができるので、所定の演算により、検出される加速度データからコントローラ7の回転を良好な感度でゲーム装置3等が判定することができる。
【0067】
一方、図6において、基板700の下主面上の前端縁に撮像情報演算部74が設けられる。撮像情報演算部74は、コントローラ7の前方から順に赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744によって構成されており、それぞれ基板700の下主面に取り付けられる。また、基板700の下主面上の後端縁にコネクタ73が取り付けられる。さらに、基板700の下主面上にサウンドIC707およびマイコン751が設けられている。サウンドIC707は、基板700等に形成された配線によってマイコン751およびアンプ708と接続され、ゲーム装置3から送信されたサウンドデータに応じてアンプ708を介してスピーカ706に音声信号を出力する。
【0068】
そして、基板700の下主面上には、バイブレータ704が取り付けられる。バイブレータ704は、例えば振動モータやソレノイドである。バイブレータ704は、基板700等に形成された配線によってマイコン751と接続され、ゲーム装置3から送信された振動データに応じてその作動をオン/オフする。バイブレータ704が作動することによってコントローラ7に振動が発生するので、それを把持しているプレイヤの手にその振動が伝達され、いわゆる振動対応ゲームが実現できる。ここで、バイブレータ704は、ハウジング71のやや前方寄りに配置されるため、プレイヤが把持している状態において、ハウジング71が大きく振動することになり、振動を感じやすくなる。
【0069】
次に、図7を参照して、コントローラ7の内部構成について説明する。なお、図7は、コントローラ7の構成を示すブロック図である。
【0070】
図7において、コントローラ7は、上述した操作部72、撮像情報演算部74、加速度センサ701、バイブレータ704、スピーカ706、サウンドIC707、およびアンプ708の他に、その内部に通信部75を備えている。
【0071】
撮像情報演算部74は、赤外線フィルタ741、レンズ742、撮像素子743、および画像処理回路744を含んでいる。赤外線フィルタ741は、コントローラ7の前方から入射する光から赤外線のみを通過させる。レンズ742は、赤外線フィルタ741を透過した赤外線を集光して撮像素子743へ出射する。撮像素子743は、例えばCMOSセンサやあるいはCCDのような固体撮像素子であり、レンズ742が集光した赤外線を撮像する。したがって、撮像素子743は、赤外線フィルタ741を通過した赤外線だけを撮像して画像データを生成する。撮像素子743で生成された画像データは、画像処理回路744で処理される。具体的には、画像処理回路744は、撮像素子743から得られた画像データを処理して高輝度部分を検知し、それらの位置座標や面積を検出した結果を示す処理結果データを通信部75へ出力する。なお、これらの撮像情報演算部74は、コントローラ7のハウジング71に固設されており、ハウジング71自体の方向を変えることによってその撮像方向を変更することができる。この撮像情報演算部74から出力される処理結果データに基づいて、コントローラ7の位置や動きに応じた信号を得ることができる。
【0072】
コントローラ7は、3軸(x、y、z軸)の加速度センサ701を備えていることが好ましい。この3軸の加速度センサ701は、3方向、すなわち、上下方向、左右方向、および前後方向で直線加速度を検知する。また、他の実施形態においては、ゲーム処理に用いる制御信号の種類によっては、上下および左右方向(または他の対になった方向)のそれぞれに沿った直線加速度のみを検知する2軸の加速度検出手段を使用してもよい。例えば、この3軸または2軸の加速度センサ701は、アナログ・デバイセズ株式会社(Analog Devices, Inc.)またはSTマイクロエレクトロニクス社(STMicroelectronics N.V.)から入手可能であるタイプのものでもよい。加速度センサ701は、シリコン微細加工されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電子機械システム)の技術に基づいた静電容量式(静電容量結合式)であってもよい。しかしながら、既存の加速度検出手段の技術(例えば、圧電方式や圧電抵抗方式)あるいは将来開発される他の適切な技術を用いて3軸または2軸の加速度センサ701が提供されてもよい。
【0073】
当業者には公知であるように、加速度センサ701に用いられるような加速度検出手段は、加速度センサの持つ各軸に対応する直線に沿った加速度(直線加速度)のみを検知することができる。つまり、加速度センサ701からの直接の出力は、その2軸または3軸のそれぞれに沿った直線加速度(静的または動的)を示す信号である。このため、加速度センサ701は、非直線状(例えば、円弧状)の経路に沿った動き、回転、回転運動、角変位、傾斜、位置、または姿勢等の物理特性を直接検知することはできない。
【0074】
しかしながら、加速度センサ701から出力される加速度の信号に基づいて、ゲーム装置のプロセッサ(例えばCPU10)またはコントローラのプロセッサ(例えばマイコン751)などのコンピュータが処理を行うことによって、コントローラ7に関するさらなる情報を推測または算出(判定)することができることは、当業者であれば本明細書の説明から容易に理解できるであろう。例えば、加速度センサを搭載するコントローラが静的な状態であることを前提としてコンピュータ側で処理する場合(すなわち、加速度センサによって検出される加速度が重力加速度のみであるとして処理する場合)、コントローラが現実に静的な状態であれば、検出された加速度に基づいてコントローラの姿勢が重力方向に対して傾いているか否か又はどの程度傾いているかを知ることができる。具体的には、加速度センサの検出軸が鉛直下方向を向いている状態を基準としたとき、1G(重力加速度)がかかっているか否かだけで傾いているか否かを知ることができるし、その大きさによってどの程度傾いているかも知ることができる。また、多軸の加速度センサの場合には、さらに各軸の加速度の信号に対して処理を施すことによって、各軸が重力方向に対してどの程度傾いているかをより詳細に知ることができる。この場合において、加速度センサ701からの出力に基づいて、プロセッサがコントローラ7の傾き角度のデータを算出する処理をおこなってもよいが、当該傾き角度のデータを算出する処理をおこなうことなく、加速度センサ701からの出力に基づいて、おおよその傾き具合を推定するような処理としてもよい。このように、加速度センサ701をプロセッサと組み合わせて用いることによって、コントローラ7の傾き、姿勢または位置を判定することができる。一方、加速度センサが動的な状態であることを前提とする場合には、重力加速度成分に加えて加速度センサの動きに応じた加速度を検出するので、重力加速度成分を所定の処理により除去すれば、動き方向などを知ることができる。具体的には、加速度センサ701を備えるコントローラ7がユーザの手で動的に加速されて動かされる場合に、加速度センサ701によって生成される加速度信号を処理することによって、コントローラ7のさまざまな動きおよび/または位置を算出することができる。なお、加速度センサが動的な状態であることを前提とする場合であっても、加速度センサの動きに応じた加速度を所定の処理により除去すれば、重力方向対する傾きを知ることが可能である。他の実施例では、加速度センサ701は、信号をマイコン751に出力する前に内蔵の加速度検出手段から出力される加速度信号に対して所望の処理を行うための、組込み式の信号処理装置または他の種類の専用の処理装置を備えていてもよい。例えば、組込み式または専用の処理装置は、加速度センサが静的な加速度(例えば、重力加速度)を検出するためのものである場合、検知された加速度信号をそれに相当する傾斜角(あるいは、他の好ましいパラメータ)に変換するものであってもよい。
【0075】
他の実施形態の例では、コントローラ7の動きを検出する動きセンサとして、回転素子または振動素子などを内蔵したジャイロセンサを用いてもよい。この実施形態で使用されるMEMSジャイロセンサの一例として、アナログ・デバイセズ株式会社から入手可能なものがある。加速度センサ701と異なり、ジャイロセンサは、それが内蔵する少なくとも一つのジャイロ素子の軸を中心とした回転(または角速度)を直接検知することができる。このように、ジャイロセンサと加速度センサとは基本的に異なるので、個々の用途のためにいずれの装置が選択されるかによって、これらの装置からの出力信号に対して行う処理を適宜変更する必要がある。
【0076】
具体的には、加速度センサの代わりにジャイロセンサを用いて傾きや姿勢を算出する場合には、大幅な変更を行う。すなわち、ジャイロセンサを用いる場合、検出開始の状態において傾きの値を初期化する。そして、当該ジャイロセンサから出力される角速度データを積分する。次に、初期化された傾きの値からの傾きの変化量を算出する。この場合、算出される傾きは、角度に対応する値が算出されることになる。一方、加速度センサによって傾きを算出する場合には、重力加速度のそれぞれの軸に関する成分の値を、所定の基準と比較することによって傾きを算出するので、算出される傾きはベクトルで表すことが可能であり、初期化を行わずとも、加速度検出手段を用いて検出される絶対的な方向を検出することが可能である。また、傾きとして算出される値の性質は、ジャイロセンサが用いられる場合には角度であるのに対して、加速度センサが用いられる場合にはベクトルであるという違いがある。したがって、加速度センサに代えてジャイロセンサが用いられる場合、当該傾きのデータに対して、2つのデバイスの違いを考慮した所定の変換を行う必要がある。加速度検出手段とジャイロセンサとの基本的な差異と同様にジャイロセンサの特性は当業者に公知であるので、本明細書ではさらなる詳細を省略する。ジャイロセンサは、回転を直接検知できることによる利点を有する一方、一般的には、加速度センサは、本実施形態で用いるようなコントローラに適用される場合、ジャイロセンサに比べて費用効率が良いという利点を有する。
【0077】
通信部75は、マイクロコンピュータ(Micro Computer:マイコン)751、メモリ752、無線モジュール753、およびアンテナ754を含んでいる。マイコン751は、処理の際にメモリ752を記憶領域として用いながら、送信データを無線送信する無線モジュール753を制御する。また、マイコン751は、アンテナ754を介して無線モジュール753が受信したゲーム装置3からのデータに応じて、サウンドIC707およびバイブレータ704の動作を制御する。サウンドIC707は、通信部75を介してゲーム装置3から送信されたサウンドデータ等を処理する。また、マイコン751は、通信部75を介してゲーム装置3から送信された振動データ(例えば、バイブレータ704をONまたはOFFする信号)等に応じて、バイブレータ704を作動させる。
【0078】
コントローラ7に設けられた操作部72からの操作信号(キーデータ)、加速度センサ701からの加速度信号(x、y、およびz軸方向加速度データ;以下、単に加速度データと記載する)、および撮像情報演算部74からの処理結果データは、マイコン751に出力される。マイコン751は、入力した各データ(キーデータ、加速度データ、処理結果データ)を無線コントローラモジュール19へ送信する送信データとして一時的にメモリ752に格納する。ここで、通信部75から無線コントローラモジュール19への無線送信は、所定の周期毎に行われるが、ゲームの処理は1/60秒を単位として行われることが一般的であるので、それよりも短い周期で送信を行うことが必要となる。具体的には、ゲームの処理単位は16.7ms(1/60秒)であり、ブルートゥース(Bluetooth;登録商標)で構成される通信部75の送信間隔は例えば5msである。マイコン751は、無線コントローラモジュール19への送信タイミングが到来すると、メモリ752に格納されている送信データを一連の操作情報として出力し、無線モジュール753へ出力する。そして、無線モジュール753は、例えばブルートゥース(登録商標)の技術に基づいて、所定周波数の搬送波を用いて操作情報で変調し、その電波信号をアンテナ754から放射する。つまり、コントローラ7に設けられた操作部72からのキーデータ、加速度センサ701からの加速度データ、および撮像情報演算部74からの処理結果データが無線モジュール753で電波信号に変調されてコントローラ7から送信される。そして、ゲーム装置3の無線コントローラモジュール19でその電波信号を受信し、ゲーム装置3で当該電波信号を復調や復号することによって、一連の操作情報(キーデータ、加速度データ、および処理結果データ)を取得する。そして、ゲーム装置3のCPU10は、取得した操作情報とゲームプログラムとに基づいて、ゲーム処理を行う。なお、ブルートゥース(登録商標)の技術を用いて通信部75を構成する場合、通信部75は、他のデバイスから無線送信された送信データを受信する機能も備えることができる。
【0079】
次に、本実施形態における描画処理の概要について説明する。本実施形態では、3次元仮想空間を仮想カメラで撮影した画像を描画する。また、本実施形態では、いわゆるZバッファ法を利用した描画処理を行っている。
【0080】
また、本実施形態では、図8のような画像において、風車オブジェクト101の影等を表現するために、影用のポリゴン102を地面から少し浮かせた位置に配置する手法をとっている。なお、浮かせる距離については、仮想カメラが寄って描画が行われた際に、見る者にとって違和感を感じさせない程度(浮いていることが解らない程度)の浮かせ方が好ましい。そのため、地面からかなり近接した位置に配置されることになる。このような前提のもとで、本実施形態では、以下のような処理を行う。
【0081】
本実施形態の処理では、まず、(1フレームでの描画における)描画対象となるポリゴンを2つの種類に分けている。ここでは、1つめを、通常ポリゴンと呼び、もう一つを浮かせポリゴンと呼ぶ。例えば、上記図8の例では、風車オブジェクト101や地面(地形)オブジェクトが通常ポリゴンで構成されており、影用のポリゴン102など、少し浮かせて配置するポリゴンが浮かせポリゴンになる。
【0082】
そして、通常ポリゴンについての描画処理と浮かせポリゴンについての描画処理を分けて実行する。このとき、浮かせポリゴンの描画処理にかかる透視斜影変換処理において、クリップ空間(以下では、ビューボリュームと呼ぶこともある)のニア値、ファー値のいずれか、あるいは双方を、通常ポリゴンについての透視変換処理で用いる値よりも大きな値(つまり、仮想カメラから遠ざかるような値)に設定して処理を行うものである。
【0083】
上記の処理について、より具体的に説明する。まず、本実施形態の描画処理(レンダリングパイプライン)は、以下のようなレンダリングの手法で行われる。すなわち、いわゆる頂点シェーダのプロセス、より具体的には、ローカル座標→ワールド座標系への変換(いわゆるワールド変換)、ワールド→カメラ座標系への変換(いわゆるビューイング変換)、クリッピング処理や透視射影変換(いわゆるプロジェクション変換)、スクリーン座標系への変換(いわゆるビューポート変換。スクリーン変換と呼ばれることもある)が行われ、その後、ラスタライザを経て、いわゆるピクセルシェーダのプロセス(テクスチャマッピングやいわゆる深度テスト、アルファテスト等)が実行される、というプロセスで行われるものとする。
【0084】
本実施形態では、先に通常ポリゴンを上記のプロセスでレンダリング処理する。この際、上記プロジェクション変換の段階で行われるクリッピング処理においては、クリップ空間のファー値、ニア値には予め定められた所定の値が設定される。
【0085】
次に、浮かせポリゴンについて上記と同様のプロセスでレンダリング処理するが、このとき、本実施形態では、上記クリップ空間のファー値、ニア値を、通常ポリゴンで使用した値とは異なった値に設定する。より具体的には、カメラから見て、ニア値(ニアクリップ面)またはファー値(ファークリップ面)、あるいはその双方が奥行き方向に移動されたような値にする(例えば、図9参照。図9は、双方を奥行き方向に移動した例である。)。これにより、以下に説明するように、ピクセルシェーダにおいて行われる深度テストにおいて、浮かせポリゴンについては、より確実に手前側にあると判定させることが可能となる。
【0086】
このファー値、ニア値の変更設定に関して、図10〜図15のグラフを用いて説明する。図10は、通常ポリゴンの処理と浮かせポリゴンの処理とで、ファー値のみを変更した場合のZ値(奥行き値)の変化を示すグラフである。図10において、縦軸はZバッファ値を示し、横軸は仮想カメラからの距離を示す(なお、図10において縦軸は、0.999から1.0の範囲で示しているが、これは、0から1.0の範囲で表記するとグラフがつぶれてしまい、解りづらくなるために、0.999から始めたグラフで示している)。まず、上記通常ポリゴンについて透視斜影変換処理を行うときは、クリップ空間のファー値を、図10のファー値F1に設定しているとする。Z値は上述の式1で示されるように算出されるので、この場合のZ値は曲線111のように表される。また、浮かせポリゴンを処理するときは、ファー値を、より仮想カメラから遠ざかった値であるファー値F2に設定しているとする。そのため、この場合のZ値は曲線211で表されている。つまり、ファー値F1(通常ポリゴンの処理時)のときは、グラフでいうと、縦軸のZバッファ値の範囲Z1をニア値〜ファー値F1の長さD1の範囲に割り当てられることになるが、ファー値F2のとき(浮かせポリゴンの処理時)は、ニア値〜ファー値F2の長さD2の範囲にZバッファ値の範囲Z1が割り当てられることになる。その結果、浮かせポリゴンを処理するときのZ値の曲線211は、通常ポリゴンの場合の曲線111よりも、少し右方向に伸び、結果として下に下がったようなグラフになる。
【0087】
その結果、仮想空間において、例えば、仮想カメラからの距離が図10の点P131で示す位置に存在するポリゴンに対して設定されるZ値が、通常ポリゴン(ファー値がF1)のときのZ値(点P1)よりも、より手前側を示す値(点P2)として算出されることになる。
【0088】
このことをよりわかりやすくするため、Z値とファー値との関係のグラフを1次関数のグラフで表すと、図11のように表される。図11では、直線112が上記図10の曲線111に対応し、直線212が曲線211に対応する。このグラフで見れば、仮想カメラからの距離が同じ位置である場合において、ファー値F1とファー値F2とのZ値の違いがより際立って示されている。すなわち、ファー値F1で透視斜影変換を行ったときより、ファー値F2で透視斜影変換を行ったときのほうが、より手前側を示す値がZ値として算出されることがわかる。
【0089】
このように、本実施形態では、1フレーム分の処理で描画するポリゴンの種類を通常ポリゴンと浮かせポリゴンとに分けている。そして、通常ポリゴンを透視射影変換する場合と、浮かせポリゴンを透視斜影変換する場合とで、クリップ空間のニア値、ファー値としてそれぞれ異なる値を設定して処理を行う。これにより、仮想空間内において、浮かせポリゴンを移動あるいは変形させることなく、その後のプロセス(ピクセルシェーダ)で行われる深度テストにおいて、浮かせポリゴンについては、より確実に手前側(仮想カメラ側)にあると判定させることが可能となる。これにより、極めて近接した位置に配置されている通常ポリゴンと浮かせポリゴンとに間で、Zバッファの誤差によるちらつきの発生を防ぐことが可能となる。
【0090】
なお、上述の図10の例では、ファー値のみ異なった値の例で説明したが、ニア値のみを異なった値にした場合でも、同様に、浮かせポリゴンのZ値が、より手前を示す値で算出されるという結果が得られる。図12は、ニア値のみを異なる値(図12のニア値N1およびN2)にした場合の例を示すグラフである。図12では、曲線113が通常ポリゴンを処理するときのZ値を示し、曲線213が、浮かせポリゴンを処理するときのZ値を示す。また、通常ポリゴンと浮かせポリゴンとで、ニア値、ファー値共に異なる値にした場合でも、図13に示すようなグラフとなり、この場合も同様の結果が得られる。図13では、曲線114が通常ポリゴンを処理するときのZ値を示し、曲線214が、浮かせポリゴンを処理するときのZ値を示している。なお、参考のために、図12のグラフを1次関数として示したものを図14に示し、図13のグラフを1次関数として示したものを図15に示す。図14の直線115が図12の曲線113に対応し、図14の直線215が図12の曲線213に対応している。また、図15の直線116が図13の曲線114に対応し、図15の直線216が図13の曲線214に対応している。いずれの場合も、仮想3次元空間内で同じ位置(奥行き方向の座標が同じ)にあるポリゴンについて、通常ポリゴンとして処理した場合よりも浮かせポリゴンとして処理した場合のほうが、より仮想カメラ側に近いZ値として算出されることが示されている。
【0091】
次に、ゲーム装置3によって実行される画像処理の一例であるゲーム処理の詳細を説明する。まず、ゲーム処理の際に外部メインメモリ12に記憶されるデータについて説明する。図16は、ゲーム装置3のメインメモリ12のメモリマップを示す図である。図16において、外部メインメモリ12は、プログラム記憶領域120およびデータ記憶領域123を含む。プログラム記憶領域120およびデータ記憶領域123のデータは、光ディスク4に記憶され、ゲーム処理プログラム実行時には外部メインメモリ12に転送されて記憶される。
【0092】
プログラム記憶領域120は、CPU10によって実行されるゲームプログラムを記憶し、このゲームプログラムは、メイン処理プログラム121と、描画処理プログラム122などによって構成される。メイン処理プログラム121は、後述する図18のフローチャートの処理に対応するプログラムである。描画処理プログラム122は、仮想3次元空間の様子をゲーム画面として描画するための処理をCPU10に実行させるためのプログラムである。
【0093】
データ記憶領域123には、通常ポリゴンデータ124、浮かせポリゴンデータ125、クリッピング設定テーブル126などのデータが記憶されるとともに、その他ゲーム処理に必要なデータも記憶される。
【0094】
通常ポリゴンデータ124は、上記通常ポリゴンに分類されるポリゴンモデルのデータ(頂点データやテクスチャデータ等)が格納される。すなわち、地形オブジェクトや風車オブジェクト101等のポリゴンのデータが格納される。
【0095】
浮かせポリゴンデータ125は、上記浮かせポリゴンに分類されるポリゴンモデルのデータが格納される。すなわち、影のポリゴン102等、仮想空間内において地面から少し浮かせた位置に配置されるポリゴンのデータが格納される。
【0096】
クリッピング設定テーブル126は、通常ポリゴンの描画処理時に用いるクリップ空間のニア値、ファー値と、浮かせポリゴンの描画処理時に用いるクリップ空間のニア値、ファー値とを定義したテーブルである。図17は、クリッピング設定テーブル126のデータ構成の一例を示す図である。図17に示されたクリッピング設定テーブル126は、種別1261とニア値1262とファー値1263を有する構造になっている。図17の例では、通常ポリゴンの描画処理時のニア値は1.00、ファー値は120000として定義されている。また、浮かせポリゴンの描画処理時のニア値は1.005、ファー値は130000として定義されている。
【0097】
次に、図18〜図20を参照して、描画処理の一例としてゲーム装置3によって実行されるゲーム処理について説明する。ゲーム装置3の電源が投入されると、ゲーム装置3のCPU10は、ROM/RTC13に記憶されている起動プログラムを実行し、これによって外部メインメモリ12等の各ユニットが初期化される。そして、光ディスク4に記憶されたゲームプログラムが外部メインメモリ12に読み込まれ、CPU10によって当該ゲームプログラムの実行が開始される。図18に示すフローチャートは、以上の処理が完了した後に行われるゲーム処理を示すフローチャートである。また、図18に示すステップS1〜ステップS3の処理ループは、1フレーム毎に繰り返し実行される。
【0098】
図18において、まず、ステップS1において、ゲーム処理が実行される。この処理では、CPU10は、プレイヤからの操作データを取得し、当該操作データに基づくゲーム処理を実行する。すなわち、仮想空間内での仮想カメラの移動や各種オブジェクトの移動、オブジェクトの姿勢の変更等、ゲームに関する各種処理を実行する。
【0099】
次に、ステップS2において、上記ステップS1の処理内容を反映した仮想ゲーム空間の様子を描画するための描画処理が実行される。
【0100】
図19は、上記ステップS2で示した描画処理の詳細を示すフローチャートである。本処理では、まず、上記通常ポリゴンを対象とするポリゴン描画処理が実行され、その後、上記浮かせポリゴンを対象とするポリゴン描画処理が実行される。
【0101】
図19において、まず、ステップS11において、通常ポリゴンを描画する際に用いるクリップ空間のクリッピング面を設定する処理が実行される。具体的には、CPU10は、クリッピング設定テーブル126を参照し、種別1261が”通常ポリゴン”用のデータ(ニア値1262、ファー値1263)を読み出す。そして、クリップ空間のニア値、ファー値として設定する。上記図17に示したようなクリッピング設定テーブル126の例では、ニア値が1.0、ファー値が120000に設定されることになる。また、その他、画角やアスペクト比等のパラメータの設定も行われる。
【0102】
次に、ステップS12において、描画対象ポリゴンとして「通常ポリゴン」を選択する処理が実行される。具体的には、CPU10は、後述のポリゴン描画のポリゴンデータの入力元として(後述の頂点シェーダの入力元として)、通常ポリゴンデータ124を指定する。
【0103】
次に、ステップS13において、上記通常ポリゴンを対象とするポリゴン描画処理が実行される。図20は、上記ステップS13で示したポリゴン描画処理の詳細を示すフローチャートである。本処理は、大きく分けて、1ポリゴン単位で、いわゆる頂点シェーダと呼ばれる処理(図20のステップS31〜S37)と、いわゆるピクセルシェーダと呼ばれる処理(図20のステップS38〜S42)が実行される。なお、当該ポリゴン描画処理は、GPU11bによって実行されてもよいし、CPU10によって実行されてもよいが、ここではCPU10で実行される場合を例として説明する。
【0104】
図20において、まず、ステップS31において、処理対象となるポリゴンデータを全て処理したか否かが判定される(この時点では、通常ポリゴンデータ124が処理対象である)。より具体的には、通常ポリゴンデータ124に含まれている全てのポリゴンデータが読み出されて、頂点シェーダ処理が実行されたか否かが判定される。
【0105】
次に、ステップS32において、通常ポリゴンデータ124から1つ分のポリゴンのデータ(未処理のポリゴンデータのうち、1つのポリゴン分のデータ)が読み出される。
【0106】
続くステップS33において、上記読み出された1つ分のポリゴンについて、ローカル座標からワールド座標への座標変換(ワールド変換)が実行される。更に、ステップS34で、ワールド座標からカメラ座標への座標変換(ビューイング変換)が実行される。
【0107】
次に、プロジェクション変換が実行される。まず、ステップS35において、上記ステップS11で設定されたニア値、ファー値(ここでは、ニア値1.0、ファー値120000)に基づいて、クリップ空間の設定が実行される。
【0108】
次に、ステップS36において、透視斜影変換が実行される。ここで、クリップ空間における処理対象ポリゴンのZ座標Zclipは、例えば、以下の式で、算出される。
Zclip=Zeye×(−n)/(f−n)−f×n/(f−n)
なお、変数nはニアクリップ面への正の距離(すなわち、ニア値)を示し、
変数fはファークリップ面への正の距離(すなわち、ファー値)を示し、
変数Zeyeは、カメラ座標系に変換された後の処理対象ポリゴンのZ座標を示す。
【0109】
次に、ステップS37において、スクリーン座標系(ビューポート座標系)への座標変換処理(ビューポート変換)が実行される。ここで、スクリーン空間における処理対象ポリゴンのZ座標Zscreenは、例えば、以下の式で、算出される。
Wclip=−Zeye
Zscreen=Zclip / Wclip + f ・・・式2
なお、変数Wclipは、いわゆるW値であり、いわば、ビューボリュームの拡大率を示す値である(同次座標系の値である)。
【0110】
スクリーン座標への変換が終われば、次に、当該ポリゴンについてピクセルシェーダ処理が実行される(ステップS38〜S42)。まず、ステップS38において、対象ピクセル(つまり、現在処理中のポリゴンのピクセル)の全てについて処理を行ったか否かが判定される。当該判定の結果、まだ全て処理していないときは(ステップS38でNO)、ステップS39において、次の処理対象ピクセル(ピクセルシェーダの処理ループの開始時は、最初の処理対象となるピクセル)が選択される。
【0111】
次に、いわゆる深度テスト(Zテスト)が実行される。すなわち、ステップS40において、現在処理対象のピクセルのZ値と、ZバッファのZ値との比較が行われる。(ここでは、ZバッファのZ値の範囲については、仮想カメラ側0.0〜奥行き側1.0とした範囲とする)。続くステップS41において、現在処理対象のピクセルのZ値がZバッファのZ値より小さい(すなわち、より仮想カメラ側に位置する)か否かが判定される。その結果、現在処理対象のピクセルのZ値がZバッファのZ値より小さいときは(ステップS41でYES)、続くステップS42において、当該ピクセルを描画するための処理が実行される。その後、上記ステップS38に戻り、処理が繰り返される。一方、ステップS41の判定の結果、現在処理対象のピクセルのZ値がZバッファのZ値より小さくないときは(ステップS41でNO)、ステップS42の処理は実行されずに(すなわち、当該ピクセルを描画しない)、上記ステップS38に戻り、処理が繰り返される。
【0112】
一方、上記ステップS38の判定の結果、対象ピクセルについて全て処理を行ったと判定されたときは(ステップS38でYES)、現在処理中のポリゴンについてのピクセルシェーダ処理が終了したことになるため、上記ステップS31に戻り、処理が繰り返される。すなわち、未処理のポリゴンを処理対象として頂点シェーダ処理及びピクセルシェーダ処理が繰り返されることになる。
【0113】
上記ステップS31の判定の結果、対象ポリゴン(ここでは通常ポリゴン)の全てについて頂点シェーダ処理を行ったと判定されたときは(ステップS31でYES)、当該ポリゴン描画処理は終了する。
【0114】
図19に戻り、通常ポリゴンについての描画処理が終了すれば、次に、浮かせポリゴンを対象とした描画処理が実行される。まず、ステップS14において、クリッピング面の設定を、浮かせポリゴン用の値に変更する処理が実行される。具体的には、CPU10は、クリッピング設定テーブル126を参照し、種別1261が”浮かせポリゴン”のデータ(ニア値1262、ファー値1263)を読み出し、クリップ空間のニア値、ファー値として設定する。図17に示したクリッピング設定テーブル126の例では、ニア値が1.005、ファー値が130000で設定されることになる。
【0115】
次に、ステップS15において、描画対象ポリゴンとして「浮かせポリゴン」を選択する処理が実行される。具体的には、CPU10は、ポリゴン描画処理におけるポリゴンデータの入力元として、浮かせポリゴンデータ125を指定する。
【0116】
次に、ステップS16において、浮かせポリゴンを対象としたポリゴン描画処理が実行される。当該ポリゴン描画処理の内容は、上述したステップS13のポリゴン描画処理と同様の処理が実行される。そのため、詳細な説明は省略するが、上記ステップS13とは、処理対象のポリゴンが浮かせポリゴンである点と、上記ステップS36における透視斜影変換においては、上記ステップS14において設定された内容、すなわち、ステップ浮かせポリゴン用のニア値およびファー値に基づくクリップ空間で処理が行われる点が異なる。そのため、上記図10等で示したグラフのように、浮かせポリゴンのZ値としては、より仮想カメラ側にあることを示す値が算出されることになる。その結果、上記深度テストにおいて、処理対象となっている浮かせポリゴン(のピクセル)について、当該浮かせポリゴンに近接する通常ポリゴンよりも、より確実に仮想カメラ側にあると判定されやすくなる。例えば、通常ポリゴンとしての地面のポリゴンと、浮かせポリゴンとして、その上に乗る影のポリゴンがある場合、当該影のポリゴンが地面の下(仮想カメラから見て奥行き側)にあると判定されることを防ぐ事が可能となり、影のポリゴンが描画されなくなることを防ぐ(すなわち、ちらつきを防ぐ)ことが可能となる。
【0117】
ステップS16にかかる浮かせポリゴンについての描画処理が終了すれば、ポリゴン描画処理は終了する。
【0118】
図18に戻り、ステップS2の描画処理が終了すれば、ステップS3において、ゲーム終了か否かが判断され、YESの場合、ゲーム処理を終了し、NOの場合、ステップS1に戻って、ゲーム処理が繰り返される。以上で、本実施形態にかかるゲーム処理の説明を終了する。
【0119】
このように、本実施形態では、描画するポリゴンを通常ポリゴンと浮かせポリゴンとに分類し、通常ポリゴン用と浮かせポリゴン用とで異なったニア値、ファー値のクリップ空間を用いて別々に透視斜影変換処理等を実行している。これにより、浮かせポリゴンを通常ポリゴンと同じクリップ空間(同じニア値およびファー値)を用いて透視斜影変換を行った場合よりも、上記深度テストにおいて、浮かせポリゴンについてはより確実に仮想カメラ側に存在すると判定させることができる(つまり、深度テストに際して、浮かせポリゴンについては仮想カメラ側にずらした状態で判定が行われるような処理が可能となる)。その結果、例えば、地面ポリゴンと影ポリゴンのような、密接した位置関係にある通常ポリゴンと浮かせポリゴンについて、浮かせポリゴンをより確実に描画することができる。換言すれば、通常ポリゴンより奥行き側にあると判定されて描画されなくなることを防ぐことができ、Zバッファの誤差によるちらつきを防ぐ事が可能となる。
【0120】
更には、透視変換処理に際に用いるクリップ空間のニア値、ファー値の設定を変更するという簡易な処理を実行するだけであり、ポリゴン数に依存して処理の回数が増えることはないため、描画処理にかかる処理コストが極端に増大することもない。
【0121】
また、ちらつき防止のために、ワールド座標系において浮かせポリゴンの位置を移動させることもなく、また、浮かせポリゴンについて変形を加えるような処理も行わないため、ゲーム制作者の意図した図柄や画像をより確実に表現できる。
【0122】
(第2の実施形態)
次に、図21から図23を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、浮かせポリゴンを処理するためのクリップ空間のニア値、ファー値として、通常ポリゴンを処理するときのクリップ空間のニア値、ファー値とは異なる値を設定して透視斜影変換処理等を実行していた。これに対して、第2の実施形態では、算出されるZ値に対して所定のオフセットを加えることで、第1の実施形態と同様の効果を得ようとするものである。なお、当該実施形態に係るゲーム装置は、上述した第1の実施形態と同様であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0123】
第2の実施形態での処理概念について、図21を用いて説明する。第2の実施形態では、上記通常ポリゴンを処理するときのZ値の曲線221に対して、上記オフセットを加えることで、当該曲線をそのまま下にずらしたような曲線231で示されるZ値を浮かせポリゴンのZ値とするものである。その結果、上述した第1の実施形態と同様に、深度テストに際して、浮かせポリゴンについては仮想カメラ側にずらしたような状態とすることができる。その結果、上述した第1の実施形態と同様に、Zバッファの誤差によるちらつきを防止することが可能となる。
【0124】
なお、上記図21の曲線231は、例えば以下のような式を用いて算出することが可能である。
Z=(1+D)+n×(1+f/Cz)/(f−n)
上記の式において、変数ZはZ値を示し、変数Dは、負の定数のオフセット値を示す。また、変数Czは、カメラ空間座標のZ成分を示し、変数nはクリップ空間のニア値、変数fはクリップ空間のファー値を示す。
【0125】
ここで、上記変数Dには負の値が設定されるため、ニア値としては、より仮想カメラ側の位置が割り当てられることになる。但し、Zバッファメモリ空間の最小値は0であるため、0以下の部分は切り捨てられることになる。例えば、負のオフセットを0.2だけ加えた結果、0.0〜1.0の範囲が−0.2〜0.8の範囲となった場合は、負の部分が切り捨てられて、0.0〜0.8の範囲を割り当て指定することになる。
【0126】
次に、第2の実施形態の処理の詳細について説明する。まず、本実施形態では、上述したような処理を実現するために、以下に説明するような機能がハードウェア的に、あるいは、ソフトウェア的に実装されていることを前提とする。すなわち、クリップ空間のニア値およびファー値とZバッファメモリ空間との対応付けを個別に定義できるような機能が実装されていることを前提とする。
【0127】
この機能について説明すると、Zバッファメモリ空間が、例えば、図22に示すように、0.0〜1.0の範囲であるとする。そして、上述の機能は、この場合に、当該メモリ空間の一部分のみをクリップ空間に割り当てるという機能である。例えば、通常はニアクリップ面の位置を0.0、ファークリップ面の位置を1.0に割り当てるが、ニアクリップ面の位置を0.2、ファークリップ面の位置を1.0に割り当てるようなことも可能である。その上で、仮想空間に含まれないオブジェクト(たとえば字幕等)を0.0〜0.2の範囲に割り当てて描画をすることで、当該オブジェクトを常に手前に表示させることができるものである。この機能を用いて、通常ポリゴンを描画するときは、Z値の範囲として0.0〜1.0の範囲を割り当てて処理するが、浮かせポリゴンを描画するときは、0.0〜0.2の範囲だけ割り当てて処理するようにすれば、浮かせポリゴンは手前に表示されることになる。すなわち、浮かせポリゴンについては、Z値の取り得る値の範囲が0.0〜0.2となるように調整するものである。このときのオフセットは0.8であるが、ポリゴンの前後の判定さえできればよいので、実際のオフセットの量は微小な値で十分であり、たとえばZの最小精度の数倍程度でよい。調整の仕方としては、上述のようにオフセットの結果0.0〜1.0の範囲外になった部分を削除することになる。それ以外にも、オフセットと共に範囲を縮小させて0.0〜0.2の範囲に収まるようにしてもよい。本実施形態では、通常ポリゴンの描画処理の際に上述したようなZバッファメモリ空間の割り当てを設定する処理(具体的には、後述する変数Vn、Vfの設定)を実行する。Zバッファメモリ空間の割り当てを変更することによって、結果的にZ値のオフセットを行ったのと同様の効果が得られる。そして、浮かせポリゴンの描画処理の際に、上記の割り当て設定に所定のオフセットを加えてから浮かせポリゴンの描画処理を実行することになる。つまり、浮かせポリゴンを処理するに際して、上記図21の曲線211(通常ポリゴンの設定で算出したZ値の曲線)を、オフセットの分だけ下方に垂直に移動させて曲線231とするような処理を行う。
【0128】
次に、第2の実施形態の処理の詳細を説明する。基本的な処理の流れは、上述の第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態で図19を用いて説明した描画処理の内容が、第2の実施形態では図23に示すような処理となる。図23において、まず最初に、ステップS11において、通常ポリゴンを描画する際に用いるクリップ空間のクリッピング面を設定する処理が実行される。すなわち、クリップ空間のニア値とファー値を設定する処理が実行される。
【0129】
次に、ステップS51において、通常ポリゴン用のZバッファ空間の割り当てが実行される。例えば、Zバッファメモリ空間(Z値の取り得る範囲)が0.0〜1.0の範囲であるとすると、その全てを通常ポリゴン用に割り当てるため処理が実行される。ここでは、メモリ空間の割り当てのための変数として、変数Vnおよび変数Vfを用いる場合を例に挙げる。変数Vnは、クリップ空間のニア値に対応するZバッファメモリ空間での値を示し、変数Vfはクリップ空間のファー値に対応するZバッファメモリ空間での値を示す。これらの変数は、後述する処理において用いられる。
【0130】
なお、この割り当て設定は、明示的に上記の範囲を指定するような処理を実行しても良いし、逆に、明示的に割り当てを指定しなければ、初期値として全ての範囲が指定されるようにしてもよい。
【0131】
次に、ステップS12において、上述の第1の実施形態と同様に、描画対象ポリゴンとして「通常ポリゴン」を選択する処理が実行される。
【0132】
次に、ステップS13において、第1の実施形態で図20を用いて説明したようなポリゴン描画処理が実行される。但し、第2の実施形態においては、上述のステップS37で処理対象ポリゴンのZ座標Zscreenを算出する際に、上記式2の代わりに、上記変数VnおよびVfを用いて、例えば以下のような式で算出される。
Zscreen=Zclip/Wclip×(Vf−Vn)+Vf ・・・式3
【0133】
通常ポリゴンの描画処理が終われば、次に、ステップS52において、浮かせポリゴン用のZバッファ空間の割り当て、すなわち、上述したようなオフセットの設定が実行される。具体的には、まず、変数offsetに所定の値が設定される(例えば、Z値の最小精度の8個分を変数offsetに設定する)。次に、変数Vnおよび変数Vfが、以下の式で算出される。
Vn=Vn+offset
Vf=Vf+offset
このように、変数Vn、Vfの値にオフセットを加えることで、上述したようなオフセットの設定が行われることになる。
【0134】
次に、ステップS15において、第1の実施形態と同様の処理で描画対象ポリゴンとして「浮かせポリゴン」を選択する処理が実行される。
【0135】
続くステップS16で、浮かせポリゴンを対象としたポリゴン描画処理が実行される。ここでは、上記ステップS52においてオフセットが設定されているため、上記式3で算出されるZscreenの値は、オフセットが反映された結果が算出され、図21の曲線231に相当するような結果となる。すなわち、Z値について仮想カメラ側にずらしたような値を算出することができ、結果的に、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0136】
このように、第2の実施形態では、ニア値、ファー値は通常ポリゴン、浮かせポリゴン共に同じものを使うが、浮かせポリゴンの処理に際してオフセットをZ値に加えるような処理を実行している。これにより、第1の実施形態同様、浮かせポリゴンについては仮想カメラ側にずらしたような状態で深度テストを行うことができ、Zバッファの誤差によるちらつきの発生を防ぐことが可能となる。
【0137】
なお、上記浮かせポリゴンに関して、上述の各実施形態では、例えば地面ポリゴンから文字通り少し浮かせたような位置に浮かせポリゴンを配置(つまり、近接する位置関係)する例を挙げた。これに限らず、浮かせポリゴンと通常ポリゴンとを同じ位置(奥行き方向に関して)に配置してもよい。つまり、必ずしも「浮かせ」て配置しなくても、上述したような処理を実行することで、深度テストに際して、浮かせポリゴンについては仮想カメラ側にずらしたような状態とすることができる。
【0138】
また、上記浮かせポリゴンの描画に関して、浮かせポリゴンについては半透明で表示されるように描画しても良い。これにより、浮かせポリゴンに隠れている通常ポリゴンの部分についても視認できるようになり、よりリアリティのある画像を生成、表示することができる。
【0139】
また、通常ポリゴンについての描画処理と浮かせポリゴンの描画処理の処理順番に関して、上記実施形態では、まず通常ポリゴンを描画して、その後浮かせポリゴンを描画するという処理順番となっている。しかし、上述したような半透明表現は使わないことを前提とすれば、当該処理順番は逆であっても良い。上述したような処理で、深度テストにおいては浮かせポリゴンについては仮想カメラ側にあるとより確実に判定されるため、通常ポリゴンの描画を後にしたとしても、同様の効果が得られるためである。
【0140】
また、上記各実施形態では、通常ポリゴンと浮かせポリゴンとを別々のデータに分けてメモリに格納していたが(通常ポリゴンデータ124と浮かせポリゴンデータ125)、これに限らず、両者を識別するための情報を各ポリゴンデータに含めるように構成しても良い。例えば、「ポリゴン種別」のような項目を各ポリゴンデータにもたせるようにデータを構築する。そして、描画処理においては、当該「ポリゴン種別」の内容を判定し、その内容に応じて、通常ポリゴン用の設定と浮かせポリゴン用の設定(ニア値やファー値、オフセット)を使い分けてポリゴン描画処理を実行するようにしても良い。
【0141】
また、上述の第1の実施形態および第2の実施形態の各処理手法については、両者を併用して実行するようにしても良い。すなわち、通常ポリゴンの描画と浮かせポリゴンの描画とでクリップ空間のニア値およびファー値に異なる値を設定するという手法(第1の実施形態)と共に、浮かせポリゴンを描画するときは所定のオフセットを加える(第2の実施形態)手法を使っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明にかかる画像処理装置および画像処理プログラムは、Zバッファの誤差によるちらつきの発生を防ぐことができ、Zバッファ法による3次元画像を描画するゲーム装置等の画像処理装置に有用である。
【符号の説明】
【0143】
1…ゲームシステム
2…モニタ
2a…スピーカ
3…ゲーム装置
4…光ディスク
7…コントローラ
10…CPU
11…システムLSI
11a…入出力プロセッサ
11b…GPU
11c…DSP
11d…VRAM
11e…内部メインメモリ
12…外部メインメモリ
13…ROM/RTC
14…ディスクドライブ
15…AV−IC
16…AVコネクタ
17…フラッシュメモリ
18…無線通信モジュール
19…無線コントローラモジュール
20…拡張コネクタ
21…外部メモリカード用コネクタ
22…アンテナ
23…アンテナ
24…電源ボタン
25…リセットボタン
26…イジェクトボタン
71…ハウジング
72…操作部
73…コネクタ
74…撮像情報演算部
741…赤外線フィルタ
742…レンズ
743…撮像素子
744…画像処理回路
75…通信部
751…マイコン
752…メモリ
753…無線モジュール
754…アンテナ
700…基板
701…加速度センサ
702…LED
703…水晶振動子
704…バイブレータ
707…サウンドIC
708…アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理装置であって、
一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第1の種別に分類される第1種ポリゴンの描画処理を実行する第1描画手段と、
前記Zバッファによる深度比較において用いられる奥行き値が前記第1描画処理で算出される値よりも仮想カメラ側に近づいた値となるように、前記透視斜影変換における当該奥行き値の算出に用いるパラメタを変更する算出パラメタ変更手段と、
前記算出パラメタ変更手段によって変更されたパラメタを用いて、前記一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第2の種別に分類される第2種ポリゴンの描画処理を実行する第2描画手段とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記算出パラメタ変更手段は、前記第1描画手段において用いられたニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記算出パラメタ変更手段は、前記ニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を仮想カメラから遠ざかる方向へ変更する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記算出パラメタ変更手段は、透視投影変換において算出される奥行き値に加えるための所定のオフセット値を設定することで前記算出パラメタの変更を実行する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記算出パラメタ変更手段は、透視投影変換のために割り当てわれるZバッファの範囲を示すパラメタを変更することによって前記オフセット値の設定を行う、請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2描画手段は、前記第2種ポリゴンを半透明で表示されるように描画する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2種ポリゴンは、前記仮想空間内において、所定の第1種ポリゴンと近接する位置であって、かつ、より仮想カメラ側となる位置に配置される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1描画手段および第2描画手段における描画処理には、
ワールド空間内におけるポリゴンの座標をカメラ座標系の座標に変換する第1の変換処理と、
前記第1の変換処理によって変換されたカメラ座標系における座標を透視変換する第2の変換処理と、
前記透視変換後の座標をビューポート座標系の座標に変換する第3の変換処理と、
前記Zバッファを用いた深度比較に基づいてピクセルの描画を行うZ比較処理とが含まれる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
透視投影変換およびZバッファによる深度比較を用いて3次元仮想空間の描画を行う画像処理装置のコンピュータにおいて実行される画像処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第1の種別に分類される第1種ポリゴンの描画処理を実行する第1描画手段と、
前記Zバッファによる深度比較において用いられる奥行き値が前記第1描画処理で算出される値よりも仮想カメラ側に近づいた値となるように、前記透視斜影変換における当該奥行き値の算出に用いるパラメタを変更する算出パラメタ変更手段と、
前記算出パラメタ変更手段によって変更されたパラメタを用いて、前記一度の描画処理における描画対象のポリゴンのうち、第2の種別に分類される第2種ポリゴンの描画処理を実行する第2描画手段として機能させる、画像処理プログラム。
【請求項10】
前記算出パラメタ変更手段は、前記第1描画手段において用いられたニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を変更する、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項11】
前記算出パラメタ変更手段は、前記ニアクリップ面およびファークリップ面の少なくとも一方の位置を仮想カメラから遠ざかる方向へ変更する、請求項10に記載の画像処理プログラム。
【請求項12】
前記算出パラメタ変更手段は、透視投影変換において算出される奥行き値に加えるための所定のオフセット値を設定することで前記算出パラメタの変更を実行する、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項13】
前記算出パラメタ変更手段は、透視投影変換のために割り当てわれるZバッファの範囲を示すパラメタを変更することによって前記オフセット値の設定を行う、請求項12記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
前記第2描画手段は、前記第2種ポリゴンを半透明で表示されるように描画する、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項15】
前記第2種ポリゴンは、前記仮想空間内において、所定の第1種ポリゴンと近接する位置であって、かつ、より仮想カメラ側となる位置に配置される、請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項16】
前記第1描画手段および第2描画手段における描画処理には、
ワールド空間内におけるポリゴンの座標をカメラ座標系の座標に変換する第1の変換処理と、
前記第1の変換処理によって変換されたカメラ座標系における座標を透視変換する第2の変換処理と、
前記透視変換後の座標をビューポート座標系の座標に変換する第3の変換処理と、
前記Zバッファを用いた深度比較に基づいてピクセルの描画を行うZ比較処理とが含まれる、請求項9に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−191916(P2010−191916A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38450(P2009−38450)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】