説明

揮発性材料を送達するための方法

揮発性材料を連続的な方式で大気に送達するため方法が開示される。本方法は、揮発性材料混合物を含むリザーバを有する送達エンジンを提供する工程を含む。揮発性材料混合物は、25℃でそれぞれが、約13.3Pa(0.1torr)未満の蒸気圧を有する揮発性材料の総重量の約40%〜100%を構成する。送達システムはまた、リザーバを包囲する微多孔膜を含み、微多孔膜は、約0.01〜約0.03マイクロメートルの平均孔径を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性材料を連続的な方式で大気に送達するため方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアフレッシュニング又は空気に香りを付けるなどの多様な利益を送達するために、揮発性材料を空間、特に家庭内の空間に蒸発させるために装置を使用することは、一般に既知である。通電されていないシステム、例えば、電気エネルギーによる動力付きではないシステムは、揮発性材料を大気へと送達するのに一般的な方法である。これらのシステムは、人間による作動を必要とし得るもの(例えば、エアゾール)、吸上作用ベースのシステム及びゲルなど、人間の作動を必要としないもの、に分類することができる。第1の種類は要求によって、及び第2の種類は、より連続的な方式によって揮発性材料を送達する。
【0003】
米国特許第4,161,283号がリザーバ、ポリマーシート又は膜、及び開放可能にリザーバの外壁に着脱可能に接合されたバリア層を含む、揮発性材料を送達するための物品を開示する。このタイプの物品の1つの欠点は、それが層間剥離及び漏れに対して影響を受けやすいことであり、これは揮発性材料が、保管又は使用していない時に膜と接触しているためである。別の欠点は、揮発性材料が保管中に膜に蓄積され、バリア層が取り除かれ後、急激に強さが増し得ることである。別の欠点は、剥離力が、ポリマーシート又は膜を損傷することなくバリア層を取り除くことを難しくし得ることである。更に別の欠点は、低蒸気圧の揮発性材料を、ポリマーを通じて拡散させるのは容易ではないという点で、膜の選択性であり得る。
【0004】
米国特許第4,824,707号は、揮発性芳香剤の供給部を収容するカプセルを有する、装飾的エアフレッシュナーのユニットを開示する。カプセルは微多孔性シートとバックシートとの間に閉じ込められている。カプセルは、適用された力によって破裂し、放出された芳香剤は、微多孔性シート内に吸収され、これはゆっくりと芳香剤を発散する。このアプローチは、香りの寿命を制限する場合があり、なぜならば液体は微多孔性シートに一斉に放出され、液体が微多孔性シートを湿潤する方式に対する制御がほとんどないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,161,283号
【特許文献2】米国特許第4,824,707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、一定期間にわたって、幅広い範囲の分子量及び蒸気圧を有する揮発性材料の連続的な放出を提供するための方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、揮発性材料を連続的な方式で大気に送達する方法が提供される。本方法は、揮発性材料混合物を含むリザーバを有する送達システムを提供する工程を含む。揮発性材料混合物は、25℃でそれぞれが、約13.3Pa(0.1torr)未満の蒸気圧を有する揮発性材料の総重量の約40%〜約100%を含む。送達システムはまた、リザーバを包囲する微多孔膜を含み、微多孔膜は、約0.01〜約0.03マイクロメートルの平均孔径を含む。
【0008】
本発明の他の実施形態によると、揮発性材料を収容するリザーバと、このリザーバを包囲する破裂可能な基材と、リザーバ及び破裂可能な基材を包囲する微多孔膜と、破裂可能な基材と微多孔膜との間に位置決めされる破裂要素と、を含む、送達エンジンを提供する工程と、微多孔膜及び破裂要素を圧縮して破裂可能な基材を破壊する工程と、含む、揮発性材料を送達する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と併せてなされる以下の説明から、より一層よく理解されると考える。
【図1】本発明の装置の1つの実施形態の斜視図。
【図2】本発明による送達エンジンの一実施形態の分解斜視図。
【図3】本発明による破裂要素の他の実施形態の断面図。
【図4】本発明による破裂要素の他の実施形態の断面図。
【図5】本発明による、図2の送達エンジンの側面図。
【図6】本発明によるハウジングの一実施形態の正面図。
【図7】図6のハウジングの平面図。
【図8】図1の装置の、線8−8に沿った断面図。
【図9】送達エンジンがハウジングによって受容されている、図8の断面図。
【図10】本発明による微多孔膜から蒸発した、変化する蒸気圧の範囲を有する揮発性材料の蒸発プロファイルを示すグラフ。
【図11】ポリエチレン膜から蒸発した揮発性材料、及び本発明による微多孔膜から蒸発した揮発性材料の蒸発プロファイルを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、大気に揮発性材料を送達するための装置に関する。装置は、揮発性材料を大気に送達するための様々な用途での使用のために構成され得るということが想到される。
【0011】
例えば、装置は、通電されている装置と共に使用するために構成されてもよい。例示の通電されているデバイスは、電気加熱装置であってもよい。より具体的には、装置は、米国特許第7,223,361号に記載されるように、電気の、壁コンセントのエアフレッシュナー、電池式の加熱装置、又は他の加熱装置(例えば、燃料触媒システム等の化学反応による動力付き装置、太陽電池式装置等)であってもよい。そのような装置では、揮発性材料送達エンジンは、揮発性材料を拡散するために、加熱面の隣に配置されてもよい。揮発性材料の配合は、低蒸気圧の製剤全体を含むように調節され得る。
【0012】
装置はまた、精製された空気及び揮発性材料の両方を大気に送達するために、空気浄化システムと共に使用するために構成されてもよい。非限定的な例には、小さな空間(例えば、寝室、バスルーム、自動車等)、及び家全体の集中空調/暖房(例えばHVAC)における使用のために、イオン化及び/又は濾過技術を使用する空気浄化システムが挙げられる。
【0013】
装置はまた、エアゾール又は非エアゾールエアスプレーと共に使用するために構成されてもよい。この実施形態では、送達エンジンは、ユーザーの要望時に、又は自動的に大気に揮発性材料を送達するプログラムによって、揮発性材料を送達することができる。
【0014】
装置はまた、揮発性材料を大気へ送達するために、ファンと共に使用するために構成され得る。
【0015】
本発明を詳細に説明する目的のために、本発明は通電されていないシステムにおいて、以下に記載される。「通電されていない」とは、装置は受動的であり、外部のエネルギーの源によって動力付きである必要はないということを意味する。特に、装置は、熱、ガス、又は電流の源によって動力付きである必要がなく、揮発性材料はエアゾール手段によって送達されない。
【0016】
動力の付いていない実施形態では、本発明の装置は、装置が静止位置にあるときに(すなわち、装置は移動していない)、揮発性材料を実質的に連続的な方式で送達する。揮発性材料の揮散レベルは、実質的に全ての揮発性材料が使い果たされるまで、均一の強度を示し得る。少なくとも1つの揮発性材料の連続的な揮散は、20日まで、30日まで、60日まで、90日まで、更に短く又は更に長い期間、あるいは例えば、30日〜90日までを含むがこれらに限られない任意の期間であってもよい。
【0017】
本発明の装置は、芳香剤、空気清浄剤、防臭剤、消臭剤、悪臭中和剤、殺虫剤、防虫剤、医薬物質、消毒剤、清浄薬、気分向上剤(mood enhancers)、及びアロマテラピー助剤を提供する目的、又は大気又は環境を調節、改良、ないしは別の方法で変えるように作用する物質を使用するいずれかの他の目的のために好適である。本発明を詳細に説明する目的のために、しかし本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明は、香料の原料を含有する液体を送達するためのエアフレッシュニングシステムにおいて記載される。
【0018】
図1を参照すると、本発明による装置10が示されている。装置10は、送達エンジン100及びハウジング200を含む。
【0019】
送達エンジン
図2を参照して、送達エンジン100は、幅、長さ、及び深さを、x軸、y軸、及びz軸に沿ってそれぞれ有する。送達エンジン100が小型及び/又は携帯可能であるような幅、長さ、及び深さになされてもよい。「小型」又は「携帯可能」とは、送達エンジン100は、ポケット、財布等内で便利に、かつ快適に運ぶことができるということを意味する。送達エンジン100は、使い捨て、1回限りの使用品目として、又は揮発性材料で補充されるものとして作製され得る。
【0020】
送達エンジン100は、送達エンジン100の外周囲を画定するリップ102を含むことができ、揮発性材料、並びに収集ボウル112を含むためのリザーバ110を囲み得る。送達エンジン100は、リザーバ110に固定される破裂可能な基材120と、この破裂可能な基材120に隣接して位置決めされる破裂要素130と、リップ102に固定され、破裂可能な基材120、リザーバ110、及び収集ボウル112を包囲する微多孔膜140と、を含んでもよい。
【0021】
送達エンジン100の本体104は、任意の既知の材料と共に、熱成形、射出成型、又は吹き込み成形され得る。いくつかの実施形態では、本体104は、送達エンジン100から、破裂可能な基材120、破裂要素130、及び通気性膜140を除いた全ての構造的態様を含む。他の実施形態では、本体104は破裂要素130を含む。本体104は、揮発性成分の蒸発を防ぐためのバリア層と、破裂可能な基材120が本体104に対して熱封止されるのを可能にする、少なくとも1つの外層と、を含み得る、多層材料から作製され得る。好適な封止剤層には、リザーバ110の漏れ止め封止部をもたらす、ポリエチレン若しくはポリプロピレン、又は任意の好適ポリオレフィン封止剤の層が挙げられる。送達エンジン100の本体104を形成するための好適な材料には、塑性体、例えばKlocknerからの入手可能なPentaplast Pentaform(登録商標)2101が挙げられる。いくつかの実施形態では、材料は着色されている、又は着色されていないシースルー(see-through)プラスチックである。シースルー材料は、液体及び耐用期間の終了の観察を可能にする。
【0022】
リザーバ
送達エンジン100は、揮発性材料を保持するためのリザーバ110を含み得る。リザーバ110は、x軸、y軸、及びz軸に沿ってそれぞれ幅、長さ、及び深さを有してもよい。リザーバ110は、長さに対するその幅の比率が、約2:1〜4:1、あるいは1.5:1〜2.5:1であるという点において、細長くてもよい。リザーバ110は、約45mm〜約55mm、あるいは約51mmの幅、約15mm〜約30mm、あるいは約23mmまでの長さ、約5mm〜約15mmまでの、あるいは約11mmの深さを有してもよい。リザーバ110の寸法は、それが、揮発性材料を含有する、約2mL〜約50mLの液体を保持するようなものであってもよい。あるいは、リザーバ110は、揮発性材料を含有する、約2mL〜約30mL、あるいは約2mL〜約10mL、あるいは約2mL〜約8mL、あるいは約4mL〜約6mL、あるいは約2mL、あるいは約6mLの液体を保持してもよい。
【0023】
リザーバ110は、底部114及び単一の開口部116を含んでもよい。リザーバ110はまた、リザーバ110の単一の開口部116又は上方縁部を囲む、隆起部122を有してもよい。この隆起部122は、その上に破裂可能な基材120が固定され得る、ほぼ平坦な表面を含んでもよい。隆起部122は、破裂可能な基材120の固定された領域が、揮発性材料が保持されるリザーバ110の内壁から離隔して配置されるのを可能にする。
【0024】
本発明の方法は、同じ又は異なる揮発性材料で充填され得る、2つ以上のリザーバ(図示せず)を提供する工程を含み得るということが想到される。リザーバは、破裂時に微多孔膜140と接触する任意の構成を有してもよい。例えば、リザーバは、反転可能な装置における使用では、対向して接続されてもよい。そのような装置では、微多孔膜140は、リザーバ間で流体接続される。
【0025】
破裂可能な基材
更に図2を参照して、送達エンジン100は、破裂可能な基材120を含む。破裂可能な基材120は、送達エンジン100の作動前又は破裂前に、リザーバ110内の揮発性材料が、微多孔膜140と接触するのを防ぐ、任意の方式で構成されてもよい。一実施形態では、破裂可能な基材120は、単一の開口部116にわたって延びて、リザーバ110の縁部122の固定することによって、作動前にリザーバを囲んでもよい。破裂可能な基材120は、接着剤の層、熱及び/又は圧力封止、超音波接合、クリンプ等、又はこれらの組み合わせによって固定されてもよい。
【0026】
破裂可能な基材120は、適用した力で破裂する(そのような破裂を助ける要素が存在しようと、存在しまいと)、任意の材料から作製されてもよい。破裂可能な基材120は、保管中は、揮発性材料を収容するように意図され、それは、その意図された使用前に、揮発性材料の蒸発を防ぐ任意のバリア材料から作製され得る。そのような材料は、蒸発又は液体に対しては不透過性である。破裂可能な基材120に好適なバリア材料には、可撓性フィルム、例えばポリマーフィルム、可撓性箔、又は例えば、箔/ポリマーフィルム積層体などの複合材料が挙げられる。好適な可撓性箔には、例えばニトロセルロース保護ラッカー、20マイクロメートルのアルミホイル、ポリウレタンプライマー、及びAlcan Packagingから入手可能な15g/m2のポリエチレンコーティング(Lidfoil 118−0092)から構成される箔などの、金属箔を含む。好適なポリマーフィルムには、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、アクリロニトリルコポリマーバリアフィルム(例えば、INOESによって商標Barex(登録商標)で販売されているものなど)、エチレンビニルアルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。コーティングされたバリアフィルムは、破裂可能な基材120として利用されることが想到される。使用され得る、そのようなコーティングされたバリアフィルムには、金属化されたPET、金属化されたポリプロピレン、シリカ、又はアルミナコーティングされたフィルムが挙げられる。いずれかのバリア材料は、コーティングされていようとコーティングされていないに関わらず、単独で、及び/又は他のバリア材料との組み合わせで使用されてもよい。
【0027】
破裂要素
破裂可能な基材120は、破裂要素130を作動させることによって、揮発性材料を放出するように破壊されてもよい。破裂要素130は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン;ポリエステル;又は成形に好適であるとことが周知である他の塑性体を使用して注入成形、圧縮成形、圧力成形されてもよい。破裂要素130はまた、望まれない部分を取り除くための別個の切断工程を伴って、熱成形によって作製されてもよい。
【0028】
破裂要素130は、破裂可能な基材120に隣接し、かつ、微多孔膜140の下にある、送達エンジン本体104内に形成された空間132に位置決めされてもよい。空間132は、破裂要素132が空間内に入れ子になって、微多孔膜140によって包囲され、このように破裂要素132を送達エンジン100内で保持する他の手段は必要としないように、構成され得る。一実施形態では、破裂要素130は、前述の破裂可能な基材120と前述の微多孔膜140との間に位置決めされ、接触する。微多孔膜140に直接隣接する破裂要素130は、微多孔膜140の湿潤を促進することができる。より具体的には、液体は、破裂要素130と微多孔膜140との間で吸い上げすることができ、微多孔膜140の、より大きな湿潤領域を維持することを可能にする。
【0029】
破裂要素130は、ユーザーが手動で破裂要素130を作動させ、比較的容易に破裂可能な基材120を破壊することができるような任意の方式で構成されてもよい。一実施形態では、ユーザーは、手動でそれを圧縮することによって、破裂要素130を作動させてもよい。他の実施形態では、破裂要素130と係合し、これを圧縮する、送達エンジンのハウジング内に提供された要素との接触によって、破裂要素130は作動し、かつ破裂可能な基材120を破壊してもよい。破裂要素130を用いて、破裂可能な基材120を破壊するために適した圧縮力は、約25N未満、あるいは約20N未満、あるいは約15N未満、あるいは約10N未満、あるいは約5N未満、あるいは約1N〜約15N、あるいは約1N〜約10N、あるいは約1N〜約5Nであってもよい。
【0030】
圧縮力は、MTSから入手可能なQTest Elite 10を、ポリアミド製の修正されたフィンガー型プローブUL 283と共に使用して測定され得る。UL 283フィンガー型プローブは、「Standard for Air Fresheners and Deodorizers」(UL Standard 283,Fig.10.1(UL March 31,2004))に記載されている。UL 283、Fig.10.1に記載されているように、フィンガー型プローブの先端部(finger tip)の半径は3.5mm、フィンガー型プローブの先端部の高さは5mm、フィンガー型プローブの先端部の深さは5.8mmである。しかしながら、前述の文献に記載されるフィンガー型プローブとは異なり、修正されたUL 283のフィンガー型プローブはいずれかの関節接合部を含まない。代わりに、それは、試験が実施されるときに、破裂要素130と垂直な固定位置にある。試験は周囲温度(23+2℃)で行なわれる。送達エンジン100の外周部は、破裂要素130に直接接触することなく、あるいは破裂要素130を支持固定具に直接固定することなく、支持固定具上に載せられる。電気機械の試験システムのクロスヘッド速度は30mm/分に設定される。修正されたUL 283フィンガー型プローブは、破裂要素130の方へ移動し、破裂可能な基材120を破裂させるために、変位が望ましい領域に接触する。フランジ134(例えば本明細書で記載されたもの)が使用され、変位の望ましい領域は、フランジ134の中心である。中心は、近位端と遠位端136の間の中間の点である。例えば、フランジ134が、近位端から、遠位端136まで2cmであるところでは、中心は1cmのところに位置する。装置は、破裂要素130が6mm移動するまで進む。変位ゼロは、0.1Nの力(前負荷)が適用される点として定義される。破裂可能な基材120が破壊される第1ピークにおける負荷は、破裂までの力として記録される。当業者は、送達エンジン100内の微多孔膜140、破裂要素130、及び破裂可能な基材120の物理的特性及び配置によって、圧縮力は様々であるということを理解するであろう。
【0031】
破裂要素130の多数の実施形態が本明細書に記述されているが、その全ては、非限定例であることが意図されている。図2は、破裂要素130の1つの非限定的な実施形態を示す。この実施形態では、破裂要素130は、破裂要素130に連結されるフランジ134を含む。フランジ134は、射出成型されてもよく、かつ遠位端136を含んでもよい。遠位端136は、z方向又は破裂可能な基材120の方向に配置された、1つ以上の穿孔要素138を含んでもよい。一実施形態では、遠位端136は2つの離間した穿孔要素138をz方向に含んでもよい。別の実施形態では、遠位端136は、x−y面(図示せず)に沿って単一点(図示せず)を形成してもよい。
【0032】
破裂要素130は、望ましい追加の破裂点の場所である、2つ以上のフランジ134を含んでもよいことが想到される。例えば、破裂要素は、第1の圧縮可能なフランジ、及び前述の破裂要素(図示せず)に、向かい合わせで連結された、第2の圧縮可能なフランジを含んでもよい。
【0033】
図3は、対応するバネ様部334上に支持される、1つ以上の穿孔要素332を含む、破裂要素330他の実施形態を示す。バネ様部334は、金属コイル、ポリオレフィン若しくはポリウレタン発泡体、射出成型されたブラシ、射出成型されたプラスチックバネ又はヒンジ部等であってもよい。破裂要素330を破裂可能な基材320の方向に押すことによって、1つ以上の穿孔要素332は、破裂可能な基材320を破裂させ、次いでその元の位置に戻る。破裂可能な基材120が破壊され、揮発性材料が微多孔膜140に放出されるように、ユーザーは、フランジ134上でz方向に、手動で圧縮する又は押し下げてもよい。
【0034】
図4は、破裂要素430の他の実施形態を示し、ここで、それはリザーバ410と一体化して形成される。これは、熱成形、圧力成形、射出成型、又はプラスチックのパーツを形成する任意の既知の手段によって達成され得る。本実施形態における破裂要素430は、リザーバの内底414から対向して延びる、鋭利な穿孔構造体である。ユーザーは、リザーバ410のボタン414を押して、破裂要素430を用いて破裂可能な基材420を穿孔してもよい。本実施形態は、別個である破裂要素430製造する工程を除いて、同じ機能を実施する。
【0035】
収集ボウル
ここで、図5を参照すると、送達エンジン100は、所望により、破裂可能な基材120が傷付けられた後に、揮発性材料をリザーバ110から収集する収集ボウル112を含む。収集ボウル112は、任意の寸法、形状、又は構成であってもよく、破裂可能な基材120の破裂時に、それがリザーバ110及び通気性膜140と流体連通する限り、任意の好適な材料で作製され得る。それは、任意の好適な量の揮発性材料を収集し、制御された量の揮発性材料を通気性膜140に提供するように、寸法が決められてもよい。一実施形態では、収集ボウル112は、約1mL〜約4mL、あるいは約1mL〜約3mL、あるいは約1mL〜約2.5mL、あるいは約1.5mL〜約1.8mLの揮発性材料を収集するように寸法が決められてもよい。
【0036】
一実施形態では、収集ボウル112は、z方向において底部118と、通気性膜140の方向に開く、頂部を含んでもよい。通気性膜140は、開放された頂部にわたって収集ボウル112を包囲して位置されてもよく、よって液体は通気性膜140を通って自由に流れることができない。収集ボウル112は、熱成形部において送達エンジン100の本体104と一体的に構成されてもよい。
【0037】
図5に示されるように、1つの実施形態では、収集ボウル112は、リザーバ110から下方又はy方向に対向して位置決めされる。送達エンジン100は、直立状態で配置され、揮発性材料はリザーバ110を自然に流れ収集ボウル112内に落ち、微多孔膜140の制御された連続的な投与を確保する。更に、収集ボウル112は、深さにおいてリザーバ110より小さい、z方向に沿った深さを有し、収集ボウルの底部118は、リザーバ底部114よりも微多孔膜140に近接して位置する。非常に少ない揮発性材料が送達エンジン100に残っているときでさえも、微多孔膜140に対する収集ボウルの底部118の近さは、揮発性材料の連続的な供給、及び微多孔膜140のより多くの表面積の湿潤を確実にするのに役立つ。微多孔膜140の液体接触面積がより大きい時、揮発性材料の蒸発速度はより大きく、芳香剤の強度は、より長い期間にわたって維持され得る。
【0038】

送達エンジン100は微多孔膜140を含む。微多孔膜140は、蒸発透過性であり、液体を吸い上げることができ、更に、液体が自由に膜140の外に流れるのを防止し、したがって漏れの問題を解決する。従来のポリマーが拡散速度に依存するのに対して、微多孔膜140は、揮発性材料の拡散が液体芳香剤の蒸発によって制御されるのを可能にする。
【0039】
微多孔膜140は、破裂可能な基材120が、リザーバ110の隆起部122に封止されるのと同じ方式で、送達エンジン100のリップ102に固定されてもよい。微多孔膜140は、リザーバ110、破裂可能な基材120、破裂要素130、及び収集ボウル112を包囲する。この方法では、破裂可能な基材120は、微多孔膜140及び破裂要素130を圧縮することによって破壊されてもよい。いったん破壊されると、揮発性材料は、リザーバ110の外に流れ、微多孔膜140と接触し、大気に送達される。微多孔膜140は、破裂可能な基材が破壊されるまで、揮発性材料から遮断されているため、芳香剤の強度は、微多孔膜140が完全に湿潤されるとき、ゼロからその均衡比率までゆっくりと蓄積され得る。
【0040】
本発明の微多孔膜140は、より少ない香料を後に残して、限定された選択性を有することができる。従来のポリエチレンなど選択性の膜は、高分子量の揮発性材料、及びポリエチレン内に低い溶解性を有する材料が、それを通って拡散するのを阻害する場合がある。これは、例えば、異なる揮発度を有する多種多様の揮発性材料を有する製剤を使用することが一般的に望ましいエアフレッシュの分野において、香料製剤を制限する場合がある。例えば、いくつかの膜は、香料の適用において広く使用される、リナロール及びジヒドロミルセノールなどのアルコールの拡散を防ぐ場合がある。
【0041】
理論に束縛されるものではないが、膜の物理的特性は、膜にわたる揮発性材料の拡散又は移動速度に影響を及ぼし得る。そのような特性は、使用される材料、充填剤の使用、孔径、厚さ、及び蒸発表面積を含み得る。
【0042】
本明細書使用されるとき、「揮発性材料の接触表面」は、揮発性材料の方を向き、典型的にこれに接触する微多孔膜の表面であり、これは例えば、以下において更に詳細に記載されるように試験リザーバに収用される。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「蒸発放出表面」は、揮発性材料に面しない及び/又はこれに直接接触しない微多孔膜の表面であり、この表面から揮発性材料はガス状若しくは蒸気の形態で外部の大気内に放出される。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「(メタ)アクリレート」及び類義語、例えば「(メタ)アクリル酸のエステル」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0045】
本明細書使用されるとき、微多孔膜の「揮発性材料移動速度」は、以下の記載に従って測定された。試験リザーバは、2mLの揮発性材料(例えばベンジルアセテート)を収用するのに十分な内部容積を有する、透明な熱可塑性ポリマーから作製された。リザーバの内部容積は、約4cmの開放面の縁部において、かつ1cmと同じくらいの深さの円形の直径によって定義された。開放面は、揮発性材料移動速度を測定するために使用された。試験リザーバを平坦に置いた状態で(開放面が上方を向いている)、約2mLのベンジルアセテートが試験リザーバに導入された。ベンジルアセテートを試験リザーバに導入した状態で、0.15〜0.46mm(6〜18ミル)の厚さを有する微多孔膜のシートは、微多孔膜の10cm2の揮発性材料の接触表面が、リザーバの内部に露出されるように、試験リザーバの開放面/側部の上に配置された。試験リザーバは、全体的に充填されたアセンブリの初期重量を有するように測量された。ベンジルアセテートを収容し、微多孔膜のシートで包囲される試験リザーバは、次いで、ほぼ1.5m(高さ)×1.5m(幅)×0.61m(深さ)(5フィート(高さ)×5フィート(幅)×2フィート(深さ))を有する、実験室の化学ドラフトに直立した状態で配置された。試験リザーバが直立した状態で、ベンジルアセテートは、微多孔膜の揮発性材料接触表面の少なくとも一部分と直接接触させた。ドラフトのガラスのドアが開けられ、フードを通って空気流が1時間当たりフード排気容量が8回(すなわち回転)を有するように調節された。特に指示がない限り、フードにおける温度は25℃±5℃に維持された。ドラフト内の湿度は周囲湿度であった。試験リザーバは、フード内で定期的に測量された。ベンジルアセテートの算出された重量損失は、経過時間、及び試験リザーバの内部に露出された微多孔膜の表面積と組み合わせて、mg(時間、cm2)の単位で、微多孔膜の揮発性移動速度を測定するのに使用された。
【0046】
本明細書で使用されるとき、25℃から60℃までの、本発明の微多孔膜の揮発性材料の移動速度における増加率は、別個の、しかし25℃及び60℃で実質的には同等の微多孔膜サンプルに関して、上記の方法に従って測定された。リザーバは大きなガラスベルジャー内に配置され、50%を超える塩化カリウムの水溶液も、このベルジャーに収容された。この含有量を備えるベルジャー全体が、60℃に加熱されたオーブンに配置された。リザーバは、7〜10時間、この状態に置かれた。リザーバは、次いで一晩、周囲条件でフードに戻され、このプロセスは2〜3日間にわたって繰り返された。それぞれのリザーバは、ベルジャーに配置される前及びベルジャーから取り除かれた後に測量された。ベルジャーから取り外されると、リザーバが周囲温度に戻された後にそれぞれのリザーバの重量が測定された。
【0047】
本明細書使用されるとき、微多孔膜の蒸発放出表面が「液体形態において揮発性材料が実質的にない」か、どうかは、以下の記載に従って決定された。上記のとおり、試験リザーバが測定されるとき、微多孔性膜の蒸発放出表面は、液体の滴又は液体の被膜がその上に存在しているかどうかは、裸眼によって視覚的に調査された。液体の滴(すなわち1つの滴)及び/又は液体の被膜のいずれかの証拠が、蒸発放出表面上に視覚的に観察されたが、表面を流れ落ちなかった場合は、微多孔膜は許容範囲であると見なされた。滴が表面を流れ落ちた場合は、微多孔膜は不適格であると決定された。液体の滴(すなわち、1つの滴もない)及び/又は液体の被膜の証拠が、蒸発放出表面上に観察されなかった場合、微多孔膜は液体形態において、揮発性材料が実質的にないと決定された。
【0048】
移動速度
微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.02mg/(時間*cm2)以上、又は0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)以上であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、又は0.2〜0.6mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は、0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれの場合は列挙された値を含む。
【0049】
いずれかの理論に束縛されるのを意図しないが、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から、微多孔膜の蒸発放出表面まで放出されるとき、揮発性材料は、液体、気体、及びこれらの組み合わせから選択される形態にあると考えられる。更に、かついずれかの理論に束縛されることを意図せず、揮発性材料は、少なくとも一部分において、微多孔膜全体に実質的に相互接続する孔のネットワークを通じて移動すると考えられる。
【0050】
密度及びコーティング
微多孔膜は、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有し得る。本明細書で使用されるとき、微多孔膜の密度は、微多孔膜のサンプルの重量及び容積を測定することによって決定される。微多孔膜の密度の上限は、例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、広い範囲であってもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料がない。一般的に微多孔膜の密度は、1.5g/cm3以下、又は1.2g/cm3以下、又は1.0g/cm3以下である。微多孔膜は、0.7g/cm3〜1.5g/cm3の、例えば、0.8g/cm3〜1.2g/cm3の密度を有し得、列挙された値を含む。
【0051】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、揮発性材料接触表面及び微多孔膜の蒸発放出表面は、それぞれ、その上にコーティング材料がなくてもよい。その上にコーティング材料がないとき、揮発性材料接触表面及び蒸発放出表面はそれぞれ、微多孔膜によって定義される。
【0052】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の一部分は所望により、第1コーティングをその上に有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、同一であっても異なっていてもよい。揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有し、揮発性材料の接触表面は、第1コーティングによって少なくとも一部分において画定される。蒸発放出表面の少なくとも一部分は第2コーティングをその上に有し、蒸発放出表面は第2コーティングによって少なくとも一部分において画定される。
【0053】
第1コーティング及び第2コーティングは、液体コーティング及び固体の粒子コーティング(例えば、粉末コーティング)から選択されてもよい。典型的に第1コーティング及び第2コーティングは独立して、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせから選択される溶媒を所望により含み得る液体コーティングから選択される。第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング及び光硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、ディップコーティング、及び/又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)技法に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0054】
第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、流れ制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤を含み得る。一般的に、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0055】
第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、分散された有機高分子材料を含む、水性コーティング組成物から形成されてもよい。水性コーティング組成物は200〜400nmの粒径を有してもよい。水性コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜30重量%、又は1〜20重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。水性コーティング組成物の有機ポリマーは、例えば1000〜4,000,000、又は10,000〜2,000,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0056】
水性コーティング組成物は、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液、水性ポリウレタン分散液、水性シリコーン(すなわちシリコーン)オイル分散液、及びこれらの組み合わせでから選択され得る。ポリ(メタ)アクリレート分散液のポリ(メタ)アクリレートポリマーは、当該技術分野において認識されている方法に従って調製され得る。例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの残基(又はモノマーユニット)を含み得る。アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液の例は、HYCAR 26138であり、これはLubrizol Advanced Materials,Inc.から入手可能である。
【0057】
そこから第1コーティング及び第2コーティングがそれぞれ独立して選択され得る、水性ポリウレタン分散液のポリウレタンポリマーは、当業者に既知の任意のものが挙げられる。典型的に、ポリウレタンポリマーは、2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート機能材料、及び2つ以上の活性水素基を有する活性水素機能材料から調製される。活性水素基は、例えばヒドロキシ基、チオール基、一級アミン、二級アミン、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリウレタン分散液の例は、WITCOBOND W−240であり、これはChemtura Corporationから入手可能である。
【0058】
水性シリコーンオイル分散液のシリコーンポリマーは、当該技術分野において既知であり、認識されている水性シリコーンオイル分散液から選択され得る。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性シリコーン分散液の例は、MOMENTIVE LE−410であり、これはMomentive Performance Materialsから入手可能である。
【0059】
微多孔膜が例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ、任意の好適な厚さで適用されてもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料を含まない。また、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、0.01〜5.5g/m2のコーティング重量(すなわち、微多孔膜上のコーティング)、例えば0.1〜5.0g/m2、又は0.5〜3g/m2、又は0.75〜2.5g/m2、又は1〜2g/m2を有してもよい。
【0060】
微多孔膜は、0.8g/cm3未満の密度を有することができ、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有することができ、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有することができる。第1コーティング及び第2コーティングは同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは独立して、微多孔膜の第1コーティング及び第2コーティングに関して、本明細書において前述のように、少なくとも0.7g/cm3の密度を有する。
【0061】
0.7g/cm3未満であるとき、本発明の微多孔膜の密度は、例えば、微多孔膜が下限0.04〜0.6mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を、及び揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動するとき、蒸発放出表面は、実質的に揮発性材料がないのを目標としているのであれば、任意の適した下方限を有してもよい。本発明の、この具体的な実施形態によって、微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0062】
更に、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、その上に第1コーティングを有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよく、そこで第1コーティング及び第2コーティングのそれぞれはポリ(ビニルアルコール)を含むコーティング組成物から選択される。
【0063】
本発明のポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた実施形態と共に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が温度上昇に暴露されたとき(例えば25℃の周囲温度から60℃まで)、揮発性材料移動速度は典型的に増加し、例えば、微多孔膜がより高い周囲温度への暴露によって損傷するまで、揮発性材料移動速度は減少しない。よって、本明細書及び請求項に使用されるとき、「その揮発性材料一同速度は[列挙された]パーセント(例えば150%)以下、増加する」は、下限の0%を含むが、0%未満の下限は含まない。
【0064】
説明の目的で、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.75mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0065】
本発明の実施形態では、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、125%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.68mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0066】
更に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、100%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.6mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0067】
微多孔膜が例えば0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を目的としているのであれば、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ、任意の好適な重量で存在してもよく、並びに微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)が、25℃から60℃までの温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料移動速度は150%以下、増加する。典型的に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ0.01〜5.5g/m2、例えば0.1〜4.0g/m2、又は0.5〜3.0g/m2、又は0.75〜2.0g/m2のコーティング重量を独立して有する。
【0068】
ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2)であり得る。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.1mg/(時間*cm2)以上、又は0.2mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2、例えば0.04〜0.70mg/(時間*cm2)、又は0.04〜0.60mg/(時間*cm2)、又は0.20〜0.60mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれのケースは列挙された値を含む。
【0069】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は広く様々であってもよく、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜が、例えば少なくとも0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料の移動速度を目標としているのであれば、かつ微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜)が25℃〜60℃の温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。
【0070】
更に、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3(例えば0.8〜1.2g/cm3)であってもよく、列挙された値の全てを含む。本発明の一実施形態では、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度(すなわちポリ(ビニルアルコール)コーティングの塗布の前の微多孔膜の密度)は0.8g/cm3未満である。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、又は0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0071】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を用いて、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に液体の形態の揮発性材料がない。
【0072】
ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせを含む液体コーティングから選択され得る。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0073】
更に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ独立して、水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物から形成される。水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜15重量%、又は0.5〜9重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーは、例えば100〜1,000,000、又は1000〜750,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0074】
ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。そこからポリ(ビニルアルコール)が調製され得るコモノマーには、ビニルアセテートと共重合可能であるもの(ラジカル重合によって)が挙げられ、これらは当業者には周知である。説明の目的で、そこからポリ(ビニルアルコール)コポリマーが調製されるコモノマーには、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これらの金属塩、これらのアルキルエステル(例えば、これらのC2〜C10のアルキルエステル)、これらのポリエチレングリコールエステル、及びこれらのポリプロピレングリコールエステル;塩化ビニル;テトラフルオロエチレン;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸及びその塩;アクリルアミド;N−アルキルアクリルアミド;N,N−ジアルキル置換アクリルアミド;並びにN−ビニルホルムアミドが挙げられる。
【0075】
非限定的な説明の目的のために、本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を形成するために使用され得るポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の例は、CELVOL 325であり、これはSekisui Specialty Chemicalsから市販されている。
【0076】
第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている例えば酸化防止剤などの添加剤、紫外線安定剤、流量制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)を含み得る。一般的に、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物内に、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0077】
マトリックス
微多孔膜のマトリックスは実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体から構成される。マトリックスとしての使用に好適な、そのようなポリマーは幅広く様々であってもよい。概して、フィルムに、シートに、ストリップに、又はウェブに押出され得る、カレンダー加工され得る、加圧され得る、又はロール加工され得る任意の実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーを使用されてもよい。ポリマーは単一ポリマー又はそれはポリマーの混合物であってもよい。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アタクチックポリマー、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、線状ポリマー、又は分枝ポリマーであってもよい。ポリマーの混合物が使用されるとき、この混合物は均質であってもよく、あるいはそれは2つ以上のポリマー位相を含んでもよい。
【0078】
好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーのクラスの例には、熱可塑性ポリオレフィン、ポリ(ハロ置換オレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ビニルハロゲン化物)、ポリ(ビニリデンハロゲン化物)、ポリスチレン、ポリ(ビニルエステル)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートが挙げられる。そこから非水溶性熱可塑性有機重合体が選択され得る合成クラスには、例えば熱可塑性ポリ(ウレタン−尿素)、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(シラン−シロキサン)、及びポリ(エーテル−エステル)が挙げられ、意図の範囲内である。好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの更なる例には、熱可塑性高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、ポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチック)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、エチレン及びメタクリル酸のコポリマー、ポリ(ビニリデンクロライド)、ビニリデンクロライド及びビニルアセテートのコポリマー、ビニリデンクロライド及びビニルクロライドのコポリマー、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びブテンのコポリマー、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリ(ω−アミノウンデカン酸)ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)、ポリ(ε−カプロラクタム)、並びにポリ(メチルメタクリレート)が挙げられる。これらのクラスの詳細説明及び実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの例は、説明の目的で提供され、包括するものではない。
【0079】
実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体は、特に、例えばポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルのコポリマー、これらの混合物が挙げられる。一実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも10dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリオレフィン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリオレフィン)、又は少なくとも6dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリプロピレン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリプロピレン)から、又はこれらの混合物選択される超高分子量を含む。具体的な実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも18dL/gの固有粘度を有するUHMWPE(例えば、線状超高分子量ポリエチレン)を含む。
【0080】
UHMWPEは、無限分子量を有する熱可塑性ポリマーではなく、それは熱可塑性として専門的には分類される。しかしながら、分子は実質的に非常に長い鎖であるため、加熱されたときにUHMWPEは軟化するが、通常の熱可塑性の方式では溶解した液体としては流れない。非常に長い鎖及びそれらがUHMWPEにもたらす独特の特性は、このポリマーを使用して作製された微多孔膜の望ましい特性に大いに寄与すると考えられる。
【0081】
前述のように、UHMWPEの固有粘度は少なくとも約10dL/gである。通常は、固有粘度は少なくとも約14dL/gである。固有粘度は少なくとも約18dL/gであることが多い。多くの場合では、固有粘度は少なくとも約19dL/gである。固有粘度の上限に具体的な制限があるわけではないが、固有粘度は、しばしば約10〜約39dL/gである。固有粘度は約14〜約39dL/gの範囲であることが多い。多くの場合では、固有粘度は約18〜約39dL/gの範囲である。固有粘度は約18〜約32dL/gの範囲であることが好ましい。
【0082】
UHMWPEの公称分子量は、次式に従って、ポリマーの固有粘度に経験的に関連付けられる:
M(UHMWPE)=5.3×104[η]1.37
式中、M(UHMWPE)は公称分子量であり、[η]はdL/gで表記されるUHMWポリエチレンの固有粘度である。
【0083】
本明細書において使用されるとき、固有粘度は、ゼロ濃度に、UHMWPEのいくつかの希釈液の減少した粘度又は固有粘度を外挿することによって決定され、ここで、溶媒は、蒸留したばかりのデカヒドロナフタレンであり、これには0.2重量%の3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロけい皮酸、ネオペンタンテトライルエステル[CAS登録番号6683−19−8]が添加されている。UHMWPEの減少した粘度又は固有粘度は、異なる濃度のいくつかの希釈溶液を除き、ASTM D 4020−81の一般的な手順に従う、ウベローデNo.1の粘度計の使用が採用され、135℃で得られる相対粘度から確かめられる。ASTM D 4020−81はその全体が、本書に組み込まれる。
【0084】
マトリックスは、少なくとも10dL/gの固有粘度を有する実質的に線状のUHMWPE、並びにASTM D 1238−86の条件Eのメルト・インデックスが50g/10分未満、及びASTM D 1238−86の条件Fのメルト・インデックスが少なくとも0.1g/10分を有する低分子量ポリエチレンの混合物を含むことができる。低分子量ポリエチレン(LMWPE)は、UHMWPEのものよりも低い。LMWPEは熱可塑性であり、多くの異なるタイプが既知である。分類の1つの方法は、以下の表で要約されるように、ASTM D 1248−84(1989年再承認)に従って、密度によって、g/立方センチメートルで表記され、小数第4位で四捨五入される。
【0085】
【表1】

【0086】
これらのポリエチレンのいずれか又は全ては、本発明の微多孔膜でLMWPEとして使用され得る。いくつかの応用に関して、HDPEが使用されてもよく、それが通常、MDPE又はLDPEよりも、より線状である傾向を有するためである。ASTM D 1248−84(再承認、1989年)はその全体が、本書に組み込まれる。
【0087】
様々なLMWPEを作製するプロセスは、周知であり、よく文書化されている。それらは、高圧プロセスである、Phillips Petroleum Companyプロセス、Standard Oil Company(Indiana)プロセス、及びZieglerプロセスが挙げられる。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件E(すなわち、190℃及び負荷2.16kg)のメルト・インデックスは約50g/10分未満である。条件Eのメルト・インデックスは約25g未満/10分であることが多い。条件Eのメルト・インデックスは約15g未満/10分であることが望ましい。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件F(すなわち、190℃及び負荷21.6kg)のメルト・インデックスは少なくとも0.1g/10分である。多くの場合では、条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約0.5g/10分である。条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約1.0g/10分であることが望ましい。ASTM D 1238−86はその全体が、本書に組み込まれる。
【0088】
微多孔膜にそれらの特性をもたらすために、マトリクッス内に十分なUHMWPE及びLMWPEが存在しなければならない。その存在が逆に作用する方式で微多孔膜の特性に物質的に影響を与えない限り、他の熱可塑性有機重合体もまたマトリックスに存在してもよい。他の熱可塑性ポリマーは1つの他の熱可塑性ポリマーであってもよく、又は1つ以上の他の熱可塑性ポリマーであってもよい。存在してもよい他の熱可塑性ポリマーの量は、かかるポリマーの性質による。所望により存在してもよい熱可塑性有機ポリマーの例には、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、並びにエチレン及びメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。望ましい場合は、カルボキシル含有コポリマーのカルボキシル基の全て又は一部分は、ナトリウム、亜鉛等で中和化されてもよい。
【0089】
UHMWPE及びLMWPEは一緒に、マトリックスのポリマーの少なくとも65重量%を、例えば少なくともマトリックスのポリマーの少なくとも85重量%を構成し、あるいはUHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。UHMWPEは、マトリックスのポリマーの少なくとも1重量%を構成し、UHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。
【0090】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、UHMWPEは、マトリックスのポリマーの40重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの45重量%以上、又は48重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またUHMWPEは、マトリックスのポリマーの99重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの80重量%以下、又は70重量%以下、又は65重量%以下、又は60重量%以下を構成し得る。マトリックスのポリマーを含むUHMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0091】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、LMWPEは、マトリックスのポリマーの1重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、又は25重量%以上、30重量%以上、又は35重量%以上、又は40重量%以上、又は45重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またLMWPEは、マトリックスのポリマーの70重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの65重量%以下、又は60重量%以下、重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%以下を構成し得る。LMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0092】
これまで記載された本発明の微多孔膜のいずれかに関して、LMWPEは高密度ポリエチレンを含み得るということに注意されたい。
【0093】
充填剤
微多孔膜は、任意の好適な充填剤及び当該技術分野において既知の可塑剤で充填されてもよい。充填材は、微粒子状の、実質的に非水溶性の充填材料、例えば微粒子状のシリカ、粘土、ゼオライト、炭酸塩、炭、及びこれらの混合物を含んでもよい。特定の充填剤材料は、有機微粒子材料及び/又は無機微粒子材料を含み得る。微粒子充填剤材料は典型的に着色されておらず、例えば、微粒子充填剤材料は白又はオフホワイトの微粒子充填剤材料、例えばケイ酸含有の又は粘土粒子材料である。
【0094】
超微粒子状の実質的に非水溶性充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%を構成し得る。例えば、充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%、例えば、微多孔膜の30重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜85重量%、又は微多孔膜の50重量%〜90重量%、並びに更に微多孔膜の60重量%〜90重量%を構成し得る。
【0095】
一実施形態では、微多孔膜は、総重量の約50〜約80%、あるいは約60%〜約80%のシリカ、あるいは約70%〜約80%、及びあるいは約70%〜約75%で充填されてもよい。
【0096】
超微粒子状の実質的に非水溶性粒子状充填剤は、究極粒子、究極粒子の集合体、又はこれらの両方の混合の形態であってもよい。微多孔膜の調製に使用される充填剤の少なくとも約90重量%は、0.04マイクロメートルもの小さな粒径を測定可能な、レーザー回折粒径機器(Beckman CoultonからのLS230)の使用によって測定されるとき、0.5〜約200マイクロメートルの範囲の、例えば1〜100マイクロメートルの総粒径を有する。典型的に、粒子充填剤の少なくとも90重量%は、10〜30マイクロメートルの範囲の総粒径を有する。充填剤粒塊の寸法は、微多孔膜を調製するのに使用された成分の処理中に減少され得る。したがって、微多孔膜における総粒径の分布は、未加工の充填剤自体よりも小さい場合がある。
【0097】
本発明の微多孔膜に使用され得る、好適な有機及び無機粒子状物質の非限定的な例は、米国特許第6,387,519(B1)号、9段、4行目〜13段、62行目に記載されているものが挙げられ、その列挙された部分は、本書に組み込まれる。
【0098】
本発明の特定の実施形態では、微粒子充填剤材料はケイ酸含有物質を含む。微多孔膜を調製するのに使用され得るケイ酸含有充填剤の非限定的な例は、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、カオリナイト、Southern Clay Productsから入手可能なcloisiteなどのナノクレイ、タルク、珪藻土、バーミキュライト、天然及び合成ゼオライト、カルシウムシリケート、アルミニウムシリケート、ナトリウムアルミニウムシリケート、アルミニウムポリシリケート、アルミナシリカゲル、及びガラス粒子が挙げられる。ケイ酸含有充填剤に加えて、他の超微粒子状実質的に非水溶性の充填剤は所望により、採用されてもよい。かかる任意の微粒子状充填剤の非限定的な例には、カーボンブラック、炭、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、二硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムが挙げられる。非限定的な実施形態では、ケイ酸含有充填剤はシリカ及び上述のクレイのいずれかを含み得る。シリカの非限定的な例は、沈殿シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
シリカゲルは概して、可溶性金属シリケート、例えば、低pH酸でケイ酸ナトリウムの水溶液を酸性化することによって商業的に生産される。採用される酸は、概して強力な鉱酸、例えば硫酸又は塩酸であるが、二酸化炭素が使用され得る。粘度が低い間は、ゲル位相と包囲する液体位相との間の密度に、本質的に差がないため、ゲル位相は沈降せず、すなわち、それは沈殿しない。結果として、シリカゲルは、非沈殿であり、凝集性の、剛性の三次元ネットワークのコロイド状の非晶質シリカの連続した粒子として記載され得る。細分割した範囲の状態は、大きな固体の塊からの極微小までであり、及びほぼ無水シリカから柔軟なゼラチン状の塊までの水和度は、シリカ1重量部当たり約100重量部の水を含有する。
【0100】
沈殿シリカは、シリカのコロイド粒子が、弱いアルカリ性溶液内で成長し、得られる溶解性アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンによって凝固されるように、可溶性金属シリケートの水溶液、通常は、ケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属シリケートと、酸とを組み合わせることによって、一般的に商業的に生産される。鉱酸を含むがこれに限定されない、様々な酸が使用され得る。使用され得る酸の非限定的な例は、塩酸及び硫酸を含むが、二酸化炭素もまた沈殿シリカを生産するのにも使用され得る。凝固剤のない場合は、いかなるpHにおいても、シリカは溶液から沈殿しない。非限定的な実施形態では、シリカの沈殿を実行するのに使用される凝固剤は、コロイドシリカ粒子の形成中に生産される、可溶性アルカリ金属塩であってもよく、又はそれは、可溶性無機塩若しくは有機塩など、添加された電解質であってもよく、あるいはそれはこれら両方の組み合わせであってもよい。
【0101】
沈殿シリカは、PPG Industries,Incから、多くの等級及び形態で入手可能である。これらは商標Hi−Sil(登録商標)で販売されている。
【0102】
本発明の目的に関して、超微粒子状の実質的に非水溶性ケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性充填剤材料の少なくとも50重量%(例えば、少なくとも65重量%、少なくとも75重量%)、又は少なくとも90重量%を含み得る。ケイ酸含有充填剤は、微粒子充填材材料の50〜90重量%(例えば60重量%〜80重量%)を含んでもよく、又はケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性微粒子充填材材料の実質的に全てを含んでもよい。
【0103】
微粒子状充填剤(例えば、ケイ酸含有充填剤)は典型的に、高表面積を有し、本発明の微多孔膜を製造するのに使用されるプロセス可塑剤組成物の多くを運ぶのを可能にする。充填剤粒子は実質的に非水溶性であり、また微多孔膜を調製するのに使用される任意の有機プロセス液体に実質的に非可溶性であってもよい。これは、微多孔膜内に微粒子状充填剤の保持を促進することができる。
【0104】
本発明の微多孔膜はまた、プロセスに使用される少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として5重量%以下)の他の材料、例えば潤滑剤、プロセス可塑剤、有機抽出液体、水等を含み得る。特定の目的のための更なる材料、例えば熱、紫外線、寸法安定性は、所望により、少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として15重量%以下)で微多孔膜に存在してもよい。このような更なる材料の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、強化繊維(例えば短く刻んだガラス繊維ストランド等)が挙げられるが、これらに限定されない。充填材及びいずれかのコーティング、印刷インク、又は1つ以上の特別な目的のために適用された含浸剤を除き、微多孔膜の残部は本質的に熱可塑性有機重合体である。
【0105】

本発明の微多孔膜はまた、相互接続する孔のネットワークを含み、これは実質的に微多孔膜全体につながっている。コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の総体積を基準として、本明細書に更に記載されるプロセスによって作製されるとき、孔は典型的に35〜95体積%を構成する。孔は膜の総体積を基準として、微多孔膜の60〜75体積%を構成し得る。本明細書及び請求項において使用されるとき、微多孔膜の多孔性(ボイド容積としても知られる)は、容積%によって表され、次式に従って決定される:
多孔性=100[1−d1/d2
式中、d1は、サンプルの密度であり、サンプルの寸法の測定から確かめられるように、これはサンプルの重量及びサンプルの体積から決定され、d2は、サンプルの固体部分の密度であり、これはサンプルの重量及びサンプルの固体部分の体積から決定される。微多孔膜の固体部分の体積は、Quantachrome stereopycnometer(Quantachrome Corp.)を使用して、この機器の操作マニュアルに従って決定される。
【0106】
微多孔膜の孔の容積平均直径は、Autoscan水銀ポロシメータ(Quantachrome Corp.)を使用して、水銀ポロシメトリーによって、この機器の操作マニュアルに従って決定される。1回のスキャンに対する容積平均孔半径は、ポロシメータによって自動的に決定される。ポロシメータの操作において、スキャンは高圧範囲(絶対圧138kPa〜絶対圧227MPa)においてされる。2%未満の合計の侵入容積が、高圧範囲の下方端(絶対圧138〜250kPa)において発生した場合、容積平均孔直径は、ポロシメータによって決定される容積平均孔寸法の2倍としてみなされる。他の方法では、追加のスキャンが低圧範囲(絶対圧7〜165kPa)においてなされ、容積平均孔直径は、以下の方程式によって産出される:
d=2[v11/w1+v22/w2]/[v1/w1+v2/w2
式中、dは、容積平均孔直径であり、v1は、高圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、v2は低圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、r1は高圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、r2は定圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、w1は、高圧スキャンに供されたサンプルの重量であり、w2は低圧スキャンに供されたサンプルの重量である。
【0107】
本発明の微多孔膜は、約0.01マイクロメートル〜約0.06マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.05マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.03マイクロメートル、あるいは約0.02マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、あるいは約0.02マイクロメートルの平均孔径を有することができる。
【0108】
概して、コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、少なくとも0.02マイクロメートル、典型的には少なくも0.04マイクロメートル、及び更に典型的には少なくとも0.05マイクロメートルである。同じベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、典型的に0.5マイクロメートル以下、より典型的には0.3マイクロメートル以下、及び更に典型的には0.25マイクロメートル以下である。このベースにおいて、孔の容積平均直径は、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の孔の容積平均直径は、0.02〜0.5マイクロメートル、又は0.04〜0.3マイクロメートル、又は0.05〜0.25マイクロメートルの範囲であってよく、それぞれの場合は、列挙された値を含む。
【0109】
上記の手順によって容積平均孔直径を決定する過程で、検出される最大孔半径もまた決定され得る。これは、実施する場合は、低圧範囲のスキャンからとられ、別の方法では高圧範囲のスキャンからとられる。微多孔膜の最大孔直径は、典型的に最大孔半径の2倍である。
【0110】
コーティング、印刷、及び含浸プロセスは、微多孔膜の孔の少なくとも一部の充填となり得る。更に、このようなプロセスはまた、微多孔膜を不可逆的に圧縮し得る。したがって、多孔性に関するパラメータ、孔の容積平均直径、及び最大孔直径は、これらのプロセスの1つ以上の適用の前に、微多孔膜に関して決定される。
【0111】
厚さ及び表面積
微多孔膜はz方向において、約0.01mm〜約1mm、あるいは約0.1mm〜約0.4mm、あるいは約0.15mm〜約0.35mm、あるいは約0.25mmの厚さを有してもよい。
【0112】
微多孔膜の表面積は、ユーザーの好む送達エンジン100の寸法によって、微多孔膜の表面積は、様々であってもよいということを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、微多孔膜の蒸発表面積は約2cm2〜約100cm2、あるいは約2cm2〜約35cm2、あるいは約10cm2〜約50cm2、あるいは約10cm2〜約45cm2、あるいは約10cm2〜約35cm2、あるいは約15cm2〜約40cm2、あるいは約15cm2〜約35cm2、あるいは約20cm2〜約35cm2、約30cm2〜約35cm2、あるいは約35cm2であってもよい。
【0113】
本発明の好適な微多孔膜には、所望により米国特許第7,498,369号に記載されるようなシリカで充填されたUHMWPEタイプの膜が挙げられる。かかるUHMWPE膜には、Dramicから入手可能なDaramic(商標)V5、DSMから(Netherlands)入手可能なSolupor(登録商標)、PPG Industriesから入手可能なTeslin(商標)SP1100HD、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの膜は、揮発性材料が自由に消散できるようにし、一方で、送達エンジン100内に液体を収容することを可能にさせると考えられる。
【0114】
本発明の1つの態様では、微多孔膜は、耐用期間の終了を示すために接触している揮発性材料の量に反応する染料を含んでもよい。あるいは、微多孔膜は、芳香剤又は揮発性材料は、拡散が発生しているということを示すために接触したときに透明になるように変化してもよい。耐用期間の終了を示すための当該技術分野において既知である他の手段が、本発明の範囲内で想到される。
【0115】
ハウジング
ここで図6〜9を参照すると、本発明の方法は、解放可能に送達エンジン100に係合するハウジング200を提供する工程を更に含んでもよい。ハウジング200は、幅、長さ、及び深さを、x軸、y軸、及びz軸に沿ってそれぞれ有してもよい(図1に示されるように)。ハウジング200は、ガラス、セラミック、木材、塑性体、複合材料等の好適な材料で作製され得、及び送達エンジン100を包むのに好適な任意の寸法、形状、及び構成を有してもよい。ハウジング200は、剛性又は可撓性であることができ、並びに揮発性材料の周囲環境への移動を可能にする材料から作製されることができる。ハウジング200は、基部210、この基部210上に支持される中空のコア240を含むことができ、及びシェル220内に内部に入れ子になることができる。ハウジング200は、ノッチ270及び通気孔260も含んでもよい。
【0116】
シェル及び中空のコア
図8及び9で見られるように、ハウジング100は、基部210上に支持され、シェル220内に入れ子になっている中空のコア240を含み得る。シェル220は前壁222及び後壁224を有してもよく、これらの両方は、概して、中空のコア240の前壁242及び後壁244と同一の広がりを持つ。中空のコア240及びシェル220は、楕円形の円筒形であってもよく、送達エンジン100を受容するための、受容端部230を含む。受容端部230は、ハウジング200の基部210から遠くに配置されてもよい。
【0117】
リブ及びノッチ
中空のコア240の後壁244の内面は、送達エンジン100をその最終的な使用時の位置(図9で見られるように)に下方に案内するための保持リブ246を含んでもよい。一実施形態では、保持リブ246は、第1保持リブ、及び後壁244の内面に配置された第2保持リブを含んでもよく、これら両方は、y軸に沿って長手方向に延びる。第1保持リブ及び第2保持リブは、中空のコア240の前壁242及び後壁244の交点に位置決めされて、送達エンジンのリップ102を受容してもよい。
【0118】
ハウジング200は、また、ノッチ270、又は複数のノッチを含んで、送達エンジン100がハウジング200内に受容されるときに、破裂要素130と係合する又はこれを圧縮してもよい。この方法で、ユーザーは、送達エンジン100を、それをハウジング200内に挿入する前に、手動で作動させる必要はない。ノッチ270は、送達エンジン100が、比較的容易にハウジング200内に挿入され、一方ノッチ270は破裂要素130を圧縮し、破裂可能な基材120を破壊することが可能なような任意の方式で構成され得る。
【0119】
破裂要素130を圧縮し、破裂可能な基材120を破壊する送達エンジン100を挿入するために好適な挿入力は、約25N未満、あるいは約20N未満、あるいは約15N未満、あるいは約5N未満、あるいは約1N〜約25N、あるいは約1N〜約15N、あるいは約5N〜約20N、あるいは約5N〜約15N、あるいは約8〜15Nを含む。
【0120】
挿入力は、MTSから入手可能な電気機械試験システムQTest Elite 10を使用して、測定することができる。送達エンジン100はこの試験システムに固定され、破裂可能な基材120を破壊する、又はこれを破壊するのを助けるノッチ270又は要素に対していずれかの力もない、ハウジングの受容端部に配置される。電気機械の試験システムのクロスヘッド速度は50mm/分に設定される。室温は23±2℃である。装置は、破裂可能な基材120が破壊されるまで稼働される。変位ゼロは、0.1Nの力(すなわち、前負荷)が適用される点として定義される。破裂可能な基材120が破壊される第1ピークにおける負荷は、破裂までの力として記録される。当業者は、ノッチ270、微多孔膜140、破裂要素130、及び破裂可能な基材120の物理的特性及び配置によって、挿入力は、様々であるということを理解するであろう。
【0121】
一実施形態では、ノッチ270、中空のコア240の前壁242の中心から横方向にオフセットされ得、これによって、製造するときに、z方向でのより小さな凸部がノッチ270の必要とされる。したがって、微多孔膜140はそれほど延伸される必要はなく、損傷の可能性はより小さくなる。
【0122】
ノッチ270及びリブ246は、挿入時に、送達エンジン100の屈折を必要としないように構成され、これにより小さな挿入力となる。送達エンジン100は、ハウジング200内に挿入され、ノッチ270は、微多孔膜140及び破裂要素130を、リザーバ110の方向において圧縮し、破裂可能な基材120を破壊し、微多孔膜140に揮発性材料を放出する。送達エンジン100の挿入中に、リブ246は送達エンジン100をノッチ270に接触し、対するように案内し、ノッチ270が十分に破裂要素130と係合するように、送達エンジン100の横位置を維持する。
【0123】
通気孔
ハウジング200は、第1の開放位置において整列し、揮発性材料を微多孔膜140から、処置を必要とする部屋の大気へと送達するのを促進するための複数の通気孔260又は開口部を有してもよい。通気孔260の有効な大きさを増加することは、揮発性材料の送達を増加することになる。逆に、通気孔260の有効な大きさを減少することは、揮発性材料の送達を減少することになる。
【0124】
通気孔260は、ハウジング200上の任意の場所に配置され得る。図6〜9に示される実施形態では、通気孔260は、シェル220の前壁222、242、及び中空のコア240上に配置される。通気孔260の数及び/又は寸法は固定されてはいない。通気孔260の寸法は、様々な手段を介してユーザーによって制御することができる。処置が必要な場所に、所望の量の揮散が送達されるように、ユーザーは、シェル220をy軸に沿って、基部210に向けて下方向に摺動させることによって、1つ以上の通気孔260を開放し、部分的に開放し、部分的に閉鎖し、又は閉鎖することができる。ハウジング200は、x軸の周辺におけるシェル240の回転によって(図示せず)、通気孔260の開放及び閉鎖が可能なように構築され得る。通気孔260に加えて、ハウジング200は、送達エンジン100の外観検査のための他の手段を有してもよい。
【0125】
ハウジング200は、ハウジング200が所望の開放又は閉鎖位置にあるということをユーザーに知らせるためのクリック音のメカニズム(図示せず)も含み得る。このようなクリック音のメカニズムは、中空のコア240の外面に沿って配置された第1嵌合部(図示せず)、及びシェル220の内面に沿って配置された第2嵌合部を(図示せず)含み得る。嵌合部は、シェル220の壁部と中空のコア240を、それらが互いに摺動するときに、摩擦により係合する。所望の開放位置又は閉鎖位置に到達したときに嵌合部は、開放可能に適所に固定され、並びにクリック音を提供してもよい。
【0126】
揮発性材料
本発明の方法は、揮発性材料を連続的な方式で大気に送達する。用語「揮発性材料」は、本明細書で使用するとき、室温及び大気圧でエネルギー源を必要とすることなく揮発可能である材料を指す。揮発性材料は、全体的に単一の揮発性材料から構成される組成物であってもよい。揮発性材料はまた、全体的に揮発性材料混合物から構成される組成物でもよい(すなわち、この混合物は2つ以上の揮発性成分を有する)。更に、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。液体、又はエマルションを含む、任意の量若しくは形体の、任意の適した揮発性材料が使用され得る。
【0127】
本明細書で使用するために好適な液体は、したがって担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性構成成分も有してもよい。液体が本明細書において「送達される」、「揮散される」、又は「放出される」と記載されるとき、これは、その揮発性成分の揮発を指しており、及びその非揮発性成分が揮散される必要はないこともまた理解されるべきである。
【0128】
揮発性材料は、香油の形態であってもよい。最も従来型の芳香剤物質は揮発性精油である。揮発性材料は、香水供給元から市販される揮発性有機化合物であることができる。更に、揮発性材料は、合成により又は天然に形成された物質であることができる。例としては、ベルガモット、ダイダイ、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、シダーリーフ、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、オリガナム、プチグレン、ホワイトシダー、パチョリ、ネロリ(neroili)、ローズアブソリュートなどの油が挙げられるが、これらに限定されない。空気清浄剤又は芳香剤の場合には、異なる揮発性材料は、類似する、関連する、補完する、又は対照的であり得る。
【0129】
揮発性材料はまた、周囲温度で気相へ昇華する能力又は液体に香りを与えるのに用いられる能力を有する結晶性固体の形態が起源であってよい。いずれかの好適な結晶性固体が、いずれかの好適な量又は形態において使用されてもよい。例えば、好適な結晶性固体として、バニリン、エチルバニリン、クマリン、トナリド、カロン、ヘリオトロペン、ムスクキシロール、セドロール、ムスクケトンベンゾヘノン(musk ketone benzohenone)、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトンβ、サリチル酸フェニルエチル、ベルトール、マルトール、メープルラクトン、プロオイゲノールアセテート、エヴェミルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
しかしながら、揮散習慣の問題を避けようと試みて、異なる揮発性材料が使用される場合、揮発性材料はあまりに類似しているのは望ましくない場合がある。さもなければ、揮散を体験している人々は、異なる物質が放出されていることに気づくことができない。異なる揮散は、各々が異なる揮発性材料を提供する(例えば、ムスク、花、果物の揮散など)複数の送達システムを使用して提供されることができる。異なる揮散は、共通のテーマ又は何らかの他の方式により相互に関連付けられることができる。異なるが相補的な揮散の例は、桂皮の揮散とリンゴの揮散であってもよい。
【0131】
本発明の揮発性材料に加えて、送達エンジン100は、任意の既知の悪臭組成物を含んで臭いを中和してもよい。適した悪臭組成物には、シクロデキストリン、反応性アルデヒド、及びイオノンが挙げられる。
【0132】
理論に束縛されるものではないが、揮発性材料の連続的送達は、膜の孔径、膜の表面積、揮発性材料の物理的特性(例えば、分子量など)、飽和蒸気圧(「VP」)、及び粘度、並びに/又は揮発性材料含有組成物の表面張力を含む、様々な要因であり得る。
【0133】
組成物は、組成物が、25℃でそれぞれが約1.3Pa(0.01torr)未満のVPを有し、総重量の約10%〜約100%を占める揮発性材料、あるいは、25℃でそれぞれが約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを有し、総重量の約40%〜約100%を占める揮発性材料、あるいは、25℃でそれぞれが約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを有し、総重量の約50%〜約100%を占める揮発性材料、あるいは、25℃でそれぞれが約40.0Pa(0.3torr)未満のVPを有し、総重量の約90%〜約100%を占める揮発性材料を含む揮発性材料の混合物を含むように配合され得る。一実施形態では、揮発性材料混合物は、25℃でそれぞれが約0.53Pa(0.004torr)〜約4.67Pa(0.035torr)のVPを有し、総重量の0%〜約15%を占める揮発性材料、及び25℃でそれぞれが約13.3Pa(0.1torr)〜約43.3Pa(0.325torr)のVPを有し、総重量の0%〜約25%を占める揮発性材料、並びに25℃でそれぞれが約4.67Pa(0.035torr)〜約13.3Pa(0.1torr)VPを有し、総重量の約65%〜約100%を占める揮発性材料を含んでもよい。揮発性材料の飽和蒸気圧を取得する1つの源は、U.S.Environmental Protection Agencyから入手可能なEPI Suite(商標)、バージョン4.0である。
【0134】
様々なVPの揮発性材料を有する揮発性材料混合物を含む、2つの代表的な組成物を表2及び表3で説明する。これらの組成物は、実例として示されており、本発明を多少なりとも限定することを意図していない。
【0135】
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
揮発性材料の粘度は、どのように、及びいつそれが微多孔膜140に送達されるかを制御することができる。例えば、低粘度の揮発性材料は、高粘度の揮発性材料よりも、速く流れ得る。したがって、膜は、最初に低粘度の材料によって湿潤し得る。低粘度の位相よりわずかに低粘度である、又は同様な粘度である、揮発性材料がより高粘度になるほど、重力によって収集ボウル112に残り得る。したがって、低粘度の揮発性材料は、微多孔膜140に送達することができ、より速く大気に揮散され得る。微多孔膜140への液体の浸透を防ぐのに役立てるために、揮発性材料は、例えば、約23CP未満の粘度及び約33mN/m未満の表面張力を有してもよい。
【0138】
一実施形態では、揮発性材料を含有する組成物は、例えば、約1.0CP〜約25CP未満、あるいは約1.0CP〜約23CP未満、及び、あるいは約1.0CP〜約15CP未満の粘度を有してもよい。
【0139】
揮発性材料を含有する組成物は、例えば、組成物が約19mN/m〜約33mN/m未満、あるいは約19mN/m〜約30mN/m未満、及びあるいは、約19mN/m〜約27mN/m未満の表面張力を含み得るように、設計されてもよい。
【実施例】
【0140】
以下の実施例は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その多くの変形例が可能であるので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0141】
(実施例1)
この実施例では、2つの同一のエアフレッシュニング送達エンジンが、約34cm2の蒸発表面積を備えるDaramic V5膜を採用して設計される。異なるVP範囲の揮発性材料を有する、揮発性材料混合物をそれぞれ有する、2つの香料組成物、RJJ−577及びRJJ−573−8は、蒸発速度に関して、エアフレッシュニング送達エンジンで試験される。揮発性材料のVPの範囲は表4及び表5に示される。
【0142】
【表4】

【0143】
【表5】

【0144】
一方の送達エンジンは、香料組成物RJJ−577を6000mgが搭載され、他方は香料組成物RJJ−573−8を6000mgが搭載された。RJJ−577は、RJJ−573−8よりも比較的高いVPを有する。それぞれ充填された送達エンジンは測量され、重量が記録される。両方の送達エンジンは、ハウジング内に配置され、21℃の室温に保持される。図10に示される時間において、送達エンジンは測量され、重量が記録される。図10は、約2週間後に、RJJ−577の蒸発速度がほぼ平坦であり、これは他の送達エンジンを必要とするということを示す。これはコストがかかり、顧客にとっては煩わしいとみられる場合がある。一方、微多孔膜を備えるRJJ−573−8は、一定した線状の強度をより長い期間にわたって送達する。
【0145】
(実施例2)
この実施例では、2つのエアフレッシュニング送達エンジンが、異なる膜を採用して構築されてる。それぞれは、実施例1で使用されたRJJ−573−8を使用して、蒸発速度が試験される。6000mgのRJJ−573−8が、約40マイクロメートルの平均孔径を有する低密度ポリエチレン膜(LDPE)を備える送達エンジンに搭載される。6000mgのRJJ−573−8が、Daramic V5微多孔膜を有する送達エンジンに搭載される。図11に見られるように、比較的低い蒸気圧の香料を放出するときに、微多孔膜はLDPE膜よりも、より効率性である。したがって、本発明による微多孔膜を採用することは、低蒸気圧の、より高い強度を送達する(すなわち、より心地のよい「ベースノート(base note)」香料の原料が送達され得る。
【0146】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「揮発性材料」は、2つ以上の揮発性材料を含み得る。
【0147】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲には、こうしたより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲が、こうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように、包含される。例えば、「1〜10」の規定された範囲は、最小値1から最大値10の任意の及び全ての部分範囲すなわち、最小値1又はそれ以上で始まり、最大値10又はそれ以下で終わる全ての部分範囲(例えば1から6.1、3.5から7.8、5.5から10等)を含むと見なされるべきである。
【0148】
更に、本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0149】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本願に引用する全ての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらの全ての内容が本願に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0150】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.25℃で13.3Pa(0.1torr)未満の蒸気圧をそれぞれ有する揮発性材料の総重量の40%〜100%を含む、揮発性材料混合物を含む、リザーバと、
b.前記リザーバを包囲し、2cm2〜35cm2の蒸発表面積及び0.01〜0.03マイクロメートルの平均孔径を含む、微多孔膜と、を含む、送達エンジンを提供する工程を含む、揮発性材料を送達する方法。
【請求項2】
前記揮発性材料混合物が、25℃で13.3Pa(0.1torr)未満の蒸気圧をそれぞれ有する揮発性材料の総重量の約50%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性材料混合物が、
a.25℃で0.53Pa〜4.67Pa(0.004torr〜0.035torr)のVPをそれぞれ有する揮発性材料の総重量の0%〜15%、
b.25℃で13.3Pa〜43.3Pa(0.1torr〜0.325torr)のVPをそれぞれ有する揮発性材料の総重量の0%〜25%、及び
c.25℃で4.67Pa〜13.3Pa(0.035torr〜0.1torr)のVPをそれぞれ有する揮発性材料の総重量の65%〜100%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記揮発性材料混合物が、1.0cP〜15cP未満の粘度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記揮発性材料混合物が、19mN/m〜27mN/m未満の表面張力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記微多孔膜が、0.02マイクロメートルの平均孔径を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記揮発性材料混合物が香料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記送達エンジンが、前記リザーバを包囲する破裂可能な基材、前記微多孔膜の下に位置決めされる破裂要素を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記送達エンジンが、前記破裂可能な基材の破裂時に、前記微多孔膜及び前記リザーバと流体連通する収集ボウルを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
a.
i.揮発性材料を含むリザーバと、
ii.前記リザーバを包囲する破裂可能な基材と、
iii.前記リザーバ及び前記破裂可能な基材を包囲し、2cm2〜35cm2の蒸発表面積を含む、微多孔膜と、
iv.前記破裂可能な基材と前記微多孔膜との間に位置決めされる破裂要素と、を含む、送達エンジンを提供する工程、及び
b.前記微多孔膜及び前記破裂要素を圧縮して前記破裂可能な基材を破壊する工程を、含む、揮発性材料を送達するための方法。
【請求項11】
前記方法が、前記送達エンジンをハウジングに挿入する工程を更に含み、前記ハウジングが、前記微多孔膜及び前記破裂要素を圧縮するためのノッチを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記破裂要素が圧縮可能なフランジを含み、該フランジが、穿孔要素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記微多孔膜が、0.02マイクロメートルの平均孔径を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記圧縮する工程が、15N未満の圧縮力を含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−523303(P2012−523303A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506195(P2012−506195)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031133
【国際公開番号】WO2010/120961
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】