説明

揮発性直鎖アルカンを含有する、ナノエマルション形状にある化粧料組成物

【課題】化粧学的に許容される媒体中に、揮発性直鎖アルカン、オイル及びノニオン性両親媒性脂質を、好ましくは特定のオイル/ノニオン性両親媒性脂質比で含む、水中油型ナノエマルション状態にある化粧料組成物を提供する。
【解決手段】水中油型ナノエマルションの状態にある化粧料組成物であって、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上のノニオン性両親媒性脂質、1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン及び該揮発性直鎖アルカン以外の1種又はそれ以上のオイルを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の揮発性直鎖アルカン、少なくとも1種のオイル及び少なくとも1種のノニオン性両親媒性脂質を、好ましくは特定のオイル/ノニオン性両親媒性脂質比で含む、水中油型ナノエマルション形状にある化粧料組成物、またさらには該組成物の毛髪のコンディショニングのための使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野において、水中油型ナノエマルションは、毛髪繊維の張度を喪失することのない、そのコンディショニング特性、例えば毛髪の櫛通り性及びその平滑性の特性のために公知である。
しかし、これは流体系であり、該コンディショニング特性のレベルを低下することなしに、安定化させることが困難である。
さらに、洗流し型又は放置型ヘアケア製品において、揮発性溶媒を使用することは公知の慣行である。これらの揮発性溶媒は、一般的にヘアケア製品の感触を、該製品の肌理を軽くすることにより改善することを可能とする。該溶媒は、さらに該ヘアケア製品の毛髪への適用を容易にする、柔らかい性質を該製品に与えることができる。
しかし、揮発性溶媒、例えば液状脂肪エステル、イソドデカン又はイソヘキサデカン型の炭化水素を主成分とするオイル、あるいはシクロメチコーン型のシリコーンオイルは、ナノエマルションにおいて特別な増粘作用をもたらさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、ナノエマルション形状にあり、増粘化されたコンシステンシーを持ち、即ちゲル形状であり得るが、同時に、特に柔軟性、輝き及び軽さに関して、満足なコンディショニング特性を持つ、化粧料組成物に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、驚いたことに、少なくとも1種の揮発性直鎖アルカン、該揮発性直鎖アルカン以外の、少なくとも1種のオイル、及び少なくとも1種のノニオン性両親媒性脂質を含む、水中油型ナノエマルション形状にある化粧料組成物が、上記従来技術の諸問題点を解決し、かつ前に述べた所望の効果を与えることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0005】
即ち、本発明の第一の局面によれば、水中油型ナノエマルション形状にある化粧料組成物が提供され、該組成物は、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上のノニオン性両親媒性脂質、1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン及び該揮発性直鎖アルカン以外の1種又はそれ以上のオイルを含む。
好ましくは、該オイルの量の該ノニオン性両親媒性脂質の量に対する質量基準での比は、7に等しいか又はそれ未満である。
【0006】
本発明の目的にとって、「ナノエマルション」なる用語は、350nm未満なるオイルの小滴径によって特徴付けられる、水中油型エマルションを意味し、該オイル小滴は、該オイル相/水性相界面において、場合によりラメラ型の液晶相を形成することのできる両親媒性脂質のクラウンによって安定化されている。特定の不透明化剤が存在しない場合には、これらエマルションの透明性は、該オイル小滴の径が小さいことによるものであり、ここでこの小さな径は、機械的なエネルギー及び特に高圧ホモジナイザーの使用によって得られる。ナノエマルションは、その構造により、マイクロエマルションとは区別される。具体的には、マイクロエマルションは、オイルにより膨潤した両親媒性脂質ミセルから形成される、熱力学的に安定な分散液である。さらに、マイクロエマルションは、その調製のために実質的な機械的エネルギーを必要とせず、これらは、その構成成分を単に接触させることにより、自発的に生成される。
好ましくは、本発明のナノエマルションは、1〜350nmなる範囲、より好ましくは5〜250nmなる範囲及びより一層好ましくは10〜150nmなる範囲の数平均径を持つ、小滴を含有する。
【0007】
該小滴の数平均径は、特に公知の準弾性光散乱法に従って測定することができる。この測定のために使用できる装置としては、SX 200光学ベッド(532nmのレーザーを備える)及びBI 9000コリレータを備えた、ブルックヘブン(Brookhaven)ブランドの装置を挙げることができる。この装置は、フォトン相関分光分析法(PCS)によって平均径の測定値を与え、該分光分析法は、多分散性ファクタから数平均径を決定することを可能とし、該ファクタも、この装置で測定することができる。
該ナノエマルションは、室温にて、ハッチ(Hach)社から入手できる、2100Pモデル濁度測定装置を用いる、NTU法に従って濁度を測定することによって特徴付けることも可能である。本発明のナノエマルションの該濁度は、一般的に400NTU単位未満、好ましくは10〜300NTU単位なる範囲、より好ましくは15〜250NTU単位なる範囲及びより具体的には20〜150NTU単位なる範囲にある。
該エマルションの濁度は、また600nmにおける透過率を測定することによって測定することも可能である。この透過率は、一般的に85%を越え、好ましくは90%を越え、またより特定的には94%を越える。
【0008】
本発明の組成物は、1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンを含む。該用語「1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン」とは、如何なる優先性もなしに、「1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンオイル」を意味する。
本発明において使用するのに適した揮発性直鎖アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下において液体である。
該用語「本発明において使用するのに適した揮発性直鎖アルカン」とは、室温(約25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下において、1時間未満の期間内に、皮膚と接触した際に蒸発し得る化粧料用の直鎖アルカンを意味し、該揮発性直鎖アルカンは、室温において液体であり、特に室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜15mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ液体である。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜3.5mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
より好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜1.5mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
より一層好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜0.8mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
さらに一層好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜0.3mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
さらに一層好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜0.12mg/cm2/分なる範囲の蒸発速度を持つ。
【0009】
本発明による揮発性アルカン(及びより一般的には、揮発性溶媒)の該蒸発速度は、特にWO 06/013413に記載されているプロトコールにより、及びより具体的には以下に記載するプロトコールによって評価することができる。
15gの揮発性炭化水素を主成分とする溶媒を、調節された温度(25℃)及び湿度(50%相対湿度)にて、約0.3m3のチャンバー内にある、秤上に置かれた結晶生成皿(径:7cm)内に配置する。
該液体を、攪拌することなしに、自由に蒸発させ、一方で、該揮発性炭化水素を主成分とする溶媒を含む該結晶生成皿上方の垂直位置に配置された、ファン(2700rpmにて回転する、参照番号8550Nのパプスト-モトーレン(PAPST-MOTOREN))によって換気する。ここで、ブレードは、該結晶生成皿の底部から20cm離れた位置において、該皿に向けられている。
該結晶生成皿内に残留している該揮発性炭化水素を主成分とする溶媒の質量を、規則的な時間間隔で測定する。
次いで、蒸発した該製品の量(mg/cm2単位)に関する曲線を、時間(分単位)の関数としてプロットすることによって、該溶媒の蒸発プロフィールを得る。
【0010】
次に、該蒸発速度を算出するが、これは、得られた該曲線の原点に対する正接に相当する。該蒸発速度は、単位表面積(cm2)当たり、かつ単位時間(分)当たりの、mg単位で表した、蒸発した該揮発性溶媒の量で表される。
好ましい一態様によれば、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、0でない室温における蒸気圧(飽和蒸気圧としても知られている)、特に0.3Pa〜6,000Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、0.3〜2,000Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、0.3〜1,000Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
より好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、0.4〜600Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、1〜200Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
より一層好ましくは、本発明で使用するのに適した該揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)において、3〜60Paなる範囲の蒸気圧を持つ。
【0011】
一態様によれば、本発明で使用するのに適した揮発性直鎖アルカンは、30〜120℃なる範囲及びより特定的には40〜100℃なる範囲にある引火点を持つことができる。該引火点は、特に標準規格ISO 3679に従って測定される。
一態様によれば、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、7〜15個の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、8〜14個の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、9〜14個の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、10〜14個の炭素原子の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
好ましくは、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、11〜14個の炭素原子を含む直鎖アルカンであり得る。
有利な一態様によれば、本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))下で、0.01〜3.5mg/cm2/分なる範囲の、上で定義した如き蒸発速度を持ち、かつ8〜14個の炭素原子を含む。
本発明で使用するのに適した該1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカンは、有利には植物を起源とするものであり得る。
【0012】
好ましくは、本発明の組成物において存在する該揮発性直鎖アルカン又は揮発性直鎖アルカンの混合物は、少なくとも一つの14C(炭素-14)炭素同位体を含む。特に、該14C炭素同位体は、1×10-16に等しいかこれを越える、好ましくは1×10-15に等しいかこれを越える、より好ましくは7.5×10-14に等しいかこれを越える及びより一層好ましくは1.5×10-13に等しいかこれを越える14C/12C同位体比にて存在し得る。好ましくは、同位体比14C/12Cは、6×10-13〜1.2×10-12なる範囲にある(同位体数を基準とする同位体比)。
該揮発性直鎖アルカン又は揮発性直鎖アルカンの混合物中の該14C同位体の量は、当業者には公知の方法、例えばリビー(Libby)計数法、液体シンチレーション分光測定法、又は加速型質量スペクトル法によって決定することができる。
このようなアルカンは、直接又は数段階で、植物原料物質、例えばオイル、バター、ワックス等から得ることができる。
本発明において使用するのに適した揮発性直鎖アルカンの例としては、コグニス(Cognis)社による特許WO 2007/068371及びWO 2008/155059に記載されているアルカン(炭素原子数において少なくとも1異なる、様々なアルカンの混合物)を挙げることができる。これらアルカンは、脂肪アルコールから得られ、該脂肪アルコール自体はココナッツ油又はパーム油から得られる。
【0013】
本発明において使用するのに適した揮発性直鎖アルカンの例としては、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)及びn-テトラデカン(C14)、及びこれらの混合物を挙げることができる。特定の一態様によれば、該揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン及びn-テトラデカン並びにこれらの混合物から選択される。
好ましい一態様によれば、特に、コグニス(Cognis)社による特許出願WO 2008/155059の実施例1及び2において得られる、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物を、該直鎖アルカンの例として挙げることができる。
同様に、夫々サソール(Sasol)社により、パラフォル(PARAFOL) 12-97及びパラフォル(PARAFOL) 14-97なる参照名の下に市販されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにこれらの混合物を例示することもできる。
該揮発性直鎖アルカンは、単独で使用することもできる。
【0014】
あるいはまた、若しくは好ましくは、相互に炭素原子数nが少なくとも1異なる、2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物、特に相互に炭素原子数が1又は2個だけ異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用することもできる。
一態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、かつ相互に炭素原子数が少なくとも1異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用する。特に列挙することのできる該混合物の例は、C10/C11、C11/C12、又はC12/C13揮発性直鎖アルカン混合物を含む。
もう一つの態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、かつ相互に炭素原子数が少なくとも2異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用する。特に列挙することのできる該混合物の例は、偶数の炭素数nについては、C10/C12又はC12/C14揮発性直鎖アルカン混合物を、また奇数の炭素数nについては、C11/C13揮発性直鎖アルカン混合物を含む。
好ましい一態様によれば、10〜14個の炭素原子を含み、かつ相互に炭素原子数が少なくとも2異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物、及び特にC11/C13揮発性直鎖アルカン混合物又はC12/C14揮発性直鎖アルカン混合物を使用する。
【0015】
本発明によれば、2種を越える揮発性直鎖アルカンを組合せた他の混合物、例えば7〜15個の炭素原子を含み、かつ相互に炭素原子数が少なくとも1異なる、少なくとも3種の異なる揮発性直鎖アルカンの混合物も、本発明の一部をなすが、本発明によれば、2種の揮発性直鎖アルカン混合物が好ましく(2成分混合物)、該2種の揮発性直鎖アルカンの量は、好ましくは該混合物中の揮発性直鎖アルカンの全含有率の95質量%を越える量及びより一層好ましくは99質量%を越える量に相当する。
本発明の一特定の態様によれば、揮発性直鎖アルカンの混合物において、より少ない炭素原子数を持つ揮発性直鎖アルカンが、該混合物において支配的である。
本発明のもう一つの態様によれば、より大きな炭素原子数を持つ該揮発性直鎖アルカンが、該混合物において支配的である、揮発性直鎖アルカン混合物を使用する。
本発明において使用するのに適した混合物の例としては、特に以下に列挙する混合物を挙げることができる。即ち、該混合物中のアルカンの全質量に対して、
・50〜90質量%なる範囲、好ましくは55〜80質量%なる範囲及びより好ましくは60〜75質量%なる範囲の、7〜15なる範囲のnの値を持つ、Cn揮発性直鎖アルカン;
・10〜50質量%なる範囲、好ましくは20〜45質量%なる範囲及び好ましくは24〜40質量%なる範囲の、1に等しいかこれを越えるxの値を持ち、好ましくはx=1又はx=2であり、またn+xが、8〜14なる範囲にある、Cn+x揮発性直鎖アルカンを含む混合物。
【0016】
特に、本発明による該揮発性直鎖アルカン混合物は、該混合物中に、さらに以下のような成分をも含むことができる:
・2質量%未満及び好ましくは1質量%未満の、分岐炭化水素;及び/又は
・2質量%未満及び好ましくは1質量%未満の、芳香族炭化水素;及び/又は
・2質量%未満、好ましくは1質量%未満及びより好ましくは0.1質量%未満の不飽和炭化水素。
より詳しくは、本発明において使用するのに適した揮発性直鎖アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物として使用することができる。
特に、混合物中のアルカンの全質量に対して、以下のような割合で、以下のような成分を含む揮発性直鎖アルカン混合物を使用する:
・55〜80質量%なる範囲及び好ましくは60〜75質量%なる範囲のC11揮発性直鎖アルカン(n-ウンデカン)、及び
・20〜45質量%なる範囲及び好ましくは24〜40質量%なる範囲のC13揮発性直鎖アルカン(n-トリデカン)。
【0017】
特定の一態様によれば、該アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物である。特に、このような混合物は、WO 2008/155059の実施例1又は実施例2に従って得ることができる。
もう一つの特定の態様によれば、サソール(SASOL)社により、パラフォル(PARAFOL) 12-97なる参照名の下に市販されているn-ドデカンを使用する。
他の特定の態様によれば、サソール(SASOL)社により、パラフォル(PARAFOL) 14-97なる参照名の下に市販されているn-テトラデカンを使用する。
さらに別の態様によれば、n-ドデカンとn-テトラデカンとの混合物を使用する。特に、バイオシンディス(Biosynthis)社によりベジライト(Vegelight) 1214なる名称の下に市販されている、85/15なる質量比の該ドデカン/テトラデカン混合物を使用し得る。
本発明の組成物において、揮発性直鎖アルカンの量は、該組成物の全質量に対して、0.5〜50質量%なる範囲、特に1〜30質量%なる範囲、より好ましくは2〜15質量%なる範囲に相当する。
該揮発性直鎖アルカンは、単独で又は以下に列挙する1又はそれ以上の他の化合物と共に、本発明の組成物の液状脂肪相を形成する。
【0018】
前に説明した如く、本発明による組成物は、上記揮発性直鎖アルカン以外に、1種又はそれ以上の、これら揮発性直鎖アルカン以外のオイルを含む。
該用語「オイル(油)」とは、室温(25℃±3℃)及び大気圧(101,325Pa(760mmHg))にて液体であり、1質量%未満及び好ましくは0.5質量%未満の、25℃における水に対する溶解度を持つ、任意の非-水性媒体を意味する。本発明に従って使用される該オイルは、好ましくは少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも2つのシロキサン基を含む少なくとも一つの鎖を含み、また好ましくはカルボン酸官能基COOHをも含まないものである。
本発明において使用できる該オイルは、この定義に対応する全てのオイルである。これらは、特に植物油、動物油、鉱物油、合成油、液状脂肪アルコール、及びシリコーンオイル、並びにこれらの混合物から選択することができる。
特に例示することのできる植物油は、甘扁桃油;アルガン(argan)油;アボカド油;ピーナッツ油;ツバキ油;サフラワーオイル;ヤラボ油(beauty-leaf oil);菜種油;ココナッツ油;コリアンダー油;インゲン豆油;麦芽油;ホホバ油又は液状ホホバワックス;亜麻仁油;マカダミアナッツ油;玉蜀黍胚芽油;ヘーゼルナッツ油;クルミ油;ベルノニアオイル;杏仁油;オリーブオイル;マツヨイグサ油;パーム油;トケイソウ油;グレープシード油;ローズ油;ヒマシ油;ライムギ油;ゴマ油;米糠油;大豆油;及びヒマワリ油であり得る。
【0019】
特に例示できる動物油は、パーヒドロスクアレンである。
鉱物油としては、流動パラフィン又は流動ワセリンを使用することができる。
特に使用することのできる合成油は、脂肪エステル、脂肪エーテル、スクアラン、ポリ(α-オレフィン)、例えばポリデセン及びポリイソブテン、エステル交換された植物油及びハロゲン化オイル、特にフルオロオイルである。
ヘキサノールとエステル交換されたオリーブ油又はエタノールとエステル交換されたホホバワックスを、エステル交換された植物油として使用し得る。
同様に例示できるフルオロオイルの例は、BNFLフルオロケミカルズ(BNFL Fluorochemicals)社によりフルテック(Flutec) PC1TM及びフルテックPC3TMなる名称の下に市販されている、パーフルオロメチルシクロペンタン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;パーフルオロアルカン、例えば3M社によりPF 5050TM及びPF 5060TMなる名称の下に市販されている、ドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、あるいはまたアトケム(Atochem)社によりフォラルキル(ForalkylTM)なる名称の下に市販されている、ブロモパーフルオロオクチル(bromoperfluorooctyl);3M社によりMSX 4518TMなる名称の下に市販されている、ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;パーフルオロモルホリン誘導体、例えば3M社によりPF 5052TMなる名称の下に市販されている、4-トリフルオロメチル-パーフルオロモルホリン;部分的にフッ素化された炭化水素を主成分とするフルオロオイル、例えば文献JP-A-2,295,912に記載されているオイルを包含する。
【0020】
合成オイルとして使用できる脂肪エステルは、モノアルコール又はポリオールと、モノ-又は多酸とのエステルであり得、ここで該エステルにおける全炭素原子数は、10に等しいか又はこれを越えるものである。
好ましくは、該アルコール及び/又は酸の少なくとも一つは、炭素原子数7を越える少なくとも一つの鎖を含む。
より好ましく使用される脂肪エステルは、式:RaCOORbで表される化合物であり、ここでRaは、直鎖又は分岐した、ヒドロキシル化された又はヒドロキシル化されていない、飽和又は不飽和の、4〜29個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、またRbは、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和の、3〜30個の炭素原子を含む炭化水素を主成分とする鎖を表し、ここで該エステルにおける全炭素原子数は、10を越えるものである。特に列挙し得るその例は、パーセリンオイル(ステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、イソステアリルネオペンタノエート及びトリデシルネオペンタノエートを含む。
合成オイルとして使用できる脂肪エーテルは、特に式:RaORbで表される化合物であり、ここでRa及びRbは、上に与えられた意味を持ち、該エーテル中の全炭素原子数は、10を越えるものである。
【0021】
オイルとして使用することのできる脂肪アルコールは、特に8〜26個の炭素原子を含む液状脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール又はリノレニルアルコールである。
列挙可能なシリコーンオイルは、ポリオルガノシロキサン、特にウォルター(Walter)のNoll's Chemistry and Technology of Silicones (1968),アカデミックプレス(Academic Press)刊において定義されているものを含む。これらは揮発性であっても、また不揮発性であってもよい。
該揮発性ポリオルガノシロキサンは、60〜260℃なる範囲の沸点を持つものから選択され、及びより一層特定的には以下に列挙するものから選択される:
(i) 3〜7個及び好ましくは4〜5個なる範囲のケイ素原子を含む環状シリコーン。これらは、例えば特に、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社によりボラタイルシリコーン(Volatile Silicone) 7207なる名称の下に又はロディア(Rhodia)社によりシルビオン(Silbione) 70045V2なる名称の下に市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、ユニオンカーバイド社によりボラタイルシリコーン(Volatile Silicone) 7158及びロディア社によりシルビオン(Silbione) 70045V5なる名称の下に市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びこれらの混合物である。
また、以下の化学構造を持つ、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えばユニオンカーバイド社によりボラタイルシリコーン(Volatile Silicone) FZ3109をも例示することができる:
【0022】
【化1】

【0023】
また、環状シリコーンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)混合物及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物を挙げることもできる。
(ii) 2〜9個のケイ素原子を含み、かつ25℃において、5×10-6m2/sに等しいかそれ未満の粘度を持つ、直鎖揮発性シリコーン。その一例は、特にトーレシリコーン(Toray Silicone)社によりSH 200なる名称の下に市販されているデカメチルテトラシロキサンである。この範疇に属するシリコーンは、またCosmetics and Toiletries, Vol. 91,1月,76,pp. 27-32, Todd & Byers,「化粧品用の揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに)」おいて公開された論文に記載されている。
不揮発性ポリオルガノシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、有機官能基により変性されたポリオルガノシロキサン、(A-B)n型で、n>3のポリシロキサン(A)-ポリオキシアルキレン(B)線状ブロックコポリマー;非-シリコーン性有機骨格を持ち、シリコーンを含まない、有機モノマーから形成された有機主鎖からなる、グラフト化シリコーンポリマー、ここで該主鎖は、その内部及び場合によってはその少なくとも一つの端部において、少なくとも一つのポリシロキサンマクロモノマーがグラフとされている;非-シリコーン型有機モノマーでグラフトされたポリシロキサン骨格を持ち、ポリシロキサン主鎖内及び場合によりその端部の少なくとも一つにおいて、シリコーンを含まない、少なくとも一つの有機マクロモノマーがグラフとされている、該ポリシロキサン主鎖を含む、グラフト化シリコーンポリマー;及びこれらの混合物から選択することができる。
【0024】
特に列挙し得るポリアルキルシロキサンの例は、トリメチルシリル末端基を含み、5×10-6m2/s〜2.5m2/sなる範囲、好ましくは1×10-5m2/s〜1m2/sなる範囲の25℃における粘度を持つポリジメチルシロキサンを包含する。該シリコーンの粘度は、例えば25℃において、標準規格ASTM 445、アペンディックス(Appendix) Cに従って測定される。
これらのポリアルキルシロキサンとしては、非-限定的に、以下のような市販の製品を挙げることができる:
・ローヌプーラン(Rhone-Poulenc)社によるシルビオン(Silbione)オイル47及び70 047シリーズ又はミラシル(Mirasil)オイル、例えばオイル70 047V 500 000;
・ローヌプーラン社により市販されているミラシル(Mirasil)シリーズのオイル;
・ダウコーニング社から入手できる200シリーズのオイル、例えばより具体的には60,000cStなる粘度を持つDC200;及び
・ゼネラルエレクトリック(General Electric)社から入手できるビスカシル(Viscasil)オイル及びゼネラルエレクトリック社から入手できるSFシリーズの幾つかのオイル(SF 96、SF 18)。
【0025】
また、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン(CTFA名によればジメチコノール(Dimethiconol))、例えばローヌプーラン社から入手できる48シリーズのオイルを挙げることができる。
該ポリアルキルアリールシロキサンは、特に25℃において、1×10-5m2/s〜5×10-2m2/sなる範囲の粘度を持つ、直鎖及び/又は分岐したポリジメチルメチルフェニルシロキサン及びポリジメチルジフェニルシロキサンから選択される。
これらのポリアルキルアリールシロキサンのうち、例として、以下の名称の下に市販されている製品を挙げることができる:
・ローヌプーラン社から入手できる、70 641シリーズのシルビオン(Silbione)オイル;
・ローヌプーラン社から入手できる、ロドルシル(Rhodorsil) 70 633及び763シリーズのオイル;
・ダウコーニング社から入手できるダウコーニング556コスメティックグレードフルード(Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid)オイル;
・ゼネラルエレクトリック社から入手できるSFシリーズの幾つかのオイル、例えばSF1023、SF1154、SF1250及びSF1265。
【0026】
同様に使用できるシリコーンオイルは、有機変性シリコーンを含み、これらは前に定義したようなシリコーンであり、これらはその構造内に、炭化水素を基本とする基を介して結合した、1又はそれ以上の有機官能基を含む。
本発明に従って使用することのできる該有機変性シリコーンとしては、以下に列挙する様な基を含むポリオルガノシロキサンを挙げることができる:
・置換又は無置換のアミノ基;
・チオール基;
・アルコキシ基;
・ヒドロキシル基;
・アシルオキシアルキル基;
・ヒドロキシアシルアミノ基。
本発明による組成物において特に好ましい該オイルは、特に植物オイル及びより特定的にはオリーブオイル、及び液状ホホバワックス;シリコーンオイル及びより特定的には線状又は環式ポリジメチルシロキサン;及び鉱物油、特に例えば流動ワセリンである。
該オイルは、有利には本発明による該組成物の全質量に対して、1〜40質量%なる範囲及び好ましくは2〜15質量%なる範囲の量で、該組成物中に存在する。
【0027】
前に説明したように、本発明による組成物は、1種又はそれ以上のノニオン性両親媒性脂質(又は界面活性剤)を含む。
本件特許出願において、該用語「両親媒性脂質」及び「界面活性剤」は、互換的に使用されるであろう。
本発明で使用する該ノニオン性両親媒性脂質は、好ましくは以下に列挙するものから選択される:
1) シリコーン界面活性剤;
2) 45℃に等しいかそれ未満の温度にて流体の、両親媒性脂質であって、1〜60個のエチレンオキサイド単位を含むポリエチレングリコール、ソルビタン、2〜30個のエチレンオキサイド単位を含むグリセロール、及び2〜15個のグリセロール単位を含むポリグリセロールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐したC8-C22アルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸とのエステルから選択されるもの;
3) C8-C22脂肪酸又はC8-C22脂肪アルコールと、カルボン酸及びグリセロールとの混合エステル;
4) 糖の脂肪酸エステル及び糖の脂肪アルキルエーテル;
【0028】
5) 45℃に等しいかそれ未満の温度にて固体の界面活性剤であって、グリセロールの脂肪エステル、ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシエチレン化脂肪エステル、エトキシル化脂肪エーテル及びエトキシル化脂肪エステルから選択されるもの;
6) エチレンオキサイド(A)とプロピレンオキサイド(B)とのブロックコポリマー。
本発明に従って使用することのできる1)シリコーン界面活性剤は、少なくとも一つのオキシエチレン鎖:-OCH2CH2-及び/又はオキシプロピレン鎖:-OCH2CH2CH2-を含むシリコーン化合物である。本発明に従って使用できるシリコーン界面活性剤としては、文献US-A-5 364 633及びUS-A-5 411 744において記載されているこのような界面活性剤を挙げることができる。
好ましくは、本発明に従って使用されるシリコーン界面活性剤は、以下の一般式(I)で表される化合物であり得る:
【0029】
【化2】

【0030】
ここで、
R1、R2及びR3は、各々独立に、C1-C6アルキル基、又は基:-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4を表し、R1、R2又はR3の少なくとも一つは、アルキル基ではなく;R4は、水素原子、C1-C6アルキル基又はアシル基を表し;
Aは、0〜200なる範囲内の整数であり;
Bは、0〜50なる範囲内の整数であり、但しA及びBが、同時に0となることはないことを条件とし、
xは、1〜6なる範囲内の整数であり;
yは、1〜30なる範囲内の整数であり;
zは、0〜5なる範囲内の整数である。
本発明の好ましい一態様によれば、該一般式(I)の化合物において、アルキル基は、メチル基であり、xは2〜6なる範囲の整数であり、またyは4〜30なる範囲内の整数である。
例示できる該一般式(I)のシリコーン界面活性剤の例は、以下の一般式(II)で表される化合物を包含する:
【0031】
【化3】

【0032】
ここで、Aは20〜105なる範囲の整数であり、Bは2〜10なる範囲の整数であり、またyは10〜20なる範囲の整数である。
同様に、例示できる該一般式(I)のシリコーン界面活性剤の例は、以下の一般式(III)で表される化合物を包含する:
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
ここで、A'及びyは、10〜20なる範囲の整数である。
シリコーン界面活性剤、例えばダウコーニング社により特にDC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667なる名称の下で市販されているものを使用することができる。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、夫々一般式(II)において、Aが22であり、Bが2であり、かつyが12である化合物;及びAが103であり、Bが10であり、かつyが12である化合物;及びAが27であり、Bが3であり、かつyが12である化合物である。
該化合物Q4-3667は、上記式(III)において、Aが15であり、かつyが13である化合物である。
45℃に等しいかそれ未満の温度にて流体の該両親媒性脂質2)は、特に以下に列挙するものである:
【0033】
-ユニケマ(Uniquema)社によりPEG 400なる名称の下に市販されている、分子量400のポリエチレングリコールイソステアレート;
-ジグリセリルイソステアレート、特にソルベイ(Solvay)社により市販されている製品;
-ソルベイ(Solvay)社により市販されている、2個のグリセロール単位を含むグリセリルラウレート;
-ソルビタンオレエート、特にICI社により、スパン(Span) 80なる名称の下に市販されている製品;
-ソルビタンイソステアレート、特にニッコウ(Nikko)社により、ニッコウ(Nikko) SI 10Rなる名称の下に市販されている製品;
-α-ブチルグルコシドココエート又はα-ブチルグルコシドカプレート、特にユリス(Ulice)社により市販されているもの。
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できるC8-C22脂肪酸又はC8-C22脂肪アルコールと、カルボン酸及びグリセロールとの混合エステル3)は、特に、8〜22個の炭素原子を含むアルキル鎖を持つ脂肪酸又は脂肪アルコール、及びα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸とグリセロールとの混合エステルからなる群から選択することができる。該α-ヒドロキシ酸は、例えばクエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸及びこれらの混合物であり得る。
【0034】
本発明の組成物において使用できる上記混合エステルが誘導される、該脂肪酸又は脂肪アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖、及び飽和又は不飽和のアルキル鎖であり得る。これらは、特にステアレート、イソステアレート、リノレエート、オレエート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレート、イソステアリル、ステアリル、リノレニル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリル鎖、及びこれらの混合物であり得る。
本発明の組成物において使用できる該混合エステルの例としては、ヒュルス(Huls)社によりインビター(Imwitor) 375なる名称の下に市販されているグリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:グリセリルシトレート/ラクテート/リノレエート/オレエート);ヒュルス社によりインビター(Imwitor) 780Kなる名称の下に市販されているコハク酸及びイソステアリルアルコールとグリセロールとの混合エステル(CTFA名:イソステアリルジグリセリルサクシネート);ヒュルス社によりインビラー(Imwitor) 370なる名称の下に市販されているクエン酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:グリセリルステアレートシトレート);ダニスコ(Danisco)社によりラクトダン(Lactodan) B30又はリロ(Rylo) LA30なる名称の下に市販されている乳酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:グリセリルステアレートラクテート)を挙げることができる。
【0035】
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できる糖の脂肪酸エステル4)は、好ましくは45℃に等しいかそれ未満の温度にて固体であり、特にスクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとC8-C22脂肪酸とのエステル又はその混合物、及びC14-C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はその混合物からなる群から選択することができる。
本発明の組成物において使用できる該エステルの脂肪単位を構成する該C8-C22又はC14-C22脂肪酸は、夫々8〜22個又は14〜22個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の線状アルキル鎖を含む。該エステルの脂肪単位は、特にステアレート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、及びカプレート、及びこれらの混合物から選択される。特に、ステアレートが使用される。
列挙可能なスクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースと脂肪酸とのエステル又はその混合物の例は、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート及びスクローストリステアレート、並びにこれらの混合物、例えばクロダ(Croda)社により夫々クロデスタ(Crodesta) F50、F70、F110及びF160なる名称の下に市販されている、夫々5、7、11及び16なるHLB(親水性-親油性バランス)値を持つ製品を含み;また列挙可能な脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はその混合物の1例は、ゴールドシュミット(Goldschmidt)社によりテゴケア(Tegocare) 450なる名称の下に市販されているメチルグルコースポリグリセリル-3ジステアレートである。同様に、グルコース又はマルトースのモノエステル、例えばメチルO-ヘキサデカノイル-6-D-グルコシド及びO-ヘキサデカノイル-6-D-マルトシドを挙げることもできる。
【0036】
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できる糖の脂肪アルキルエーテルは、45℃に等しいかそれ未満の温度にて固体であり、また特にC8-C22脂肪アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はその混合物、及びC14-C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はその混合物を含む群から選択することができる。これらは、特にアルキルポリグルコシドである。
本発明の組成物において使用できる該エーテルの脂肪単位を構成する該C8-C22又はC14-C22脂肪アルコールは、夫々8〜22個又は14〜22個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の線状アルキル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、特にデシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイル単位及びこれらの混合物、例えばセテアリル単位から選択することができる。
列挙可能な糖の脂肪アルキルエーテルの例は、アルキルポリグルコシド、例えばヘンケル(Henkel)社により、夫々プランタレン(Plantaren) 2000及びプランタレン(Plantaren) 1200なる名称の下に市販されている、デシルグルコシド及びラウリルグルコシド;例えばセピック(SEPPIC)社によりモンタノブ(Montanov) 68なる名称の下に、ゴールドシュミット社によりテゴケア(Tegocare) CG90なる名称の下に、及びヘンケル社によりエマルゲード(Emalgade) KE3302なる名称の下に市販されている、場合によりセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシド;さらにはセピック(SEPPIC)社によりモンタノブ(Montanov) 202なる名称の下に市販されている、例えばアラキジル及びベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形状にある、アラキジルグルコシドを含む。
【0037】
より具体的には、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクローストリステアレート及びこれらの混合物、メチルグルコースポリグリセリル-3ジステアレート及びアルキルポリグルコシドが、糖の脂肪酸エステル及び糖の脂肪アルキルエーテルとして使用される。
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できるグリセロールの脂肪エステル5)は、45℃に等しいかそれ未満の温度にて固体であり、また16〜22個の炭素原子を含む飽和直鎖アルキル鎖及び1〜10個のグリセロール単位を含む少なくとも1種の酸から形成されるエステルを含む群から選択することができる。1種又はそれ以上のこれらグリセロールの脂肪エステルは、本発明の組成物において使用することができる。
これらのエステルは、特にステアレート、ベヘネート、アラキデート及びパルミテート及びこれらの混合物から選択することができる。ステアレート及びパルミテートが、好ましく使用される。
本発明の組成物において使用できるグリセロールの脂肪エステルの例としては、デカグリセリルモノステアレート、ジステアレート、トリステアレート及びペンタステアレート(CTFA名:ポリグリセリル-10ステアレート、ポリグリセリル-10ジステアレート、ポリグリセリル-10トリステアレート及びポリグリセリル-10ペンタステアレート)、例えばニッコウ(Nikko)社により夫々ニッコールデカグリン(Nikkol Decaglyn) 1-S、2-S、3-S及び5-Sなる名称の下に市販されている製品及びジグリセリルモノステアレート(CTFA名:ポリグリセリル-2ステアレート)、例えばニッコウ社によりニッコール(Nikkol) DGMSなる名称の下に市販されている製品を挙げることができる。
【0038】
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できるソルビタンの脂肪エステルは、45℃に等しい温度にて固体であり、また特にC16-C22脂肪酸とソルビタンとのエステル及びC16-C22脂肪酸とソルビタンとのオキシエチレン化されたエステルから選択される。これらは、夫々16〜22個の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和直鎖アルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化されたソルビトールとから形成される。該オキシエチレン化されたエステルは、一般的に1〜100なるグリコール単位及び好ましくは2〜40個のエチレンオキサイド(EO)単位を含む。
これらのエステルは、特にステアレート、ベヘネート、アラキデート及びパルミテート、並びにこれらの混合物から選択される。ステアレート及びパルミテートが、好ましく使用される。
本発明の組成物において使用できるソルビタンの脂肪エステルの例としては、ICI社によりスパン(Span) 60なる名称の下に市販されているソルビタンモノステアレート(CTFA名:ソルビタンステアレート)、ICI社によりスパン(Span) 40なる名称の下に市販されているソルビタンモノパルミテート(CTFA名:ソルビタンパルミテート)、及びICI社によりツイーン(Tween) 65なる名称の下に市販されているソルビタン20 EOトリステアレート(CTFA名:ポリソルベート(Polysorbate) 65)を挙げることができる。
【0039】
45℃に等しい温度にて固体であり、また本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できる該エトキシル化された脂肪エーテルは、好ましくは1〜100個のエチレンオキサイド単位と、16〜22個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪アルコール鎖とから生成されるエーテルである。該エーテルの脂肪鎖は、特にベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチル単位、及びこれらの混合物、例えばセテアリルから選択することができる。列挙可能なエトキシル化された脂肪エーテルの例は、5、10、20及び30個のエチレンオキサイド単位を含むベヘニルアルコールエーテル(CTFA名:ベヘネス(beheneth)-5、ベヘネス-10、ベヘネス-20、ベヘネス-30)、例えばニッコウ社によりニッコール(Nikkol) BB5、BB10、BB20及びBB30なる名称の下に市販されている製品、及び2個のエチレンオキサイド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス(steareth)-2)、例えばICI社によりブリー(Brij) 72なる名称の下に市販されている製品を含む。
45℃に等しいかそれ未満の温度にて固体であり、また本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できる該エトキシル化された脂肪エステルは、1〜100個のエチレンオキサイド単位と、16〜22個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪酸の鎖とから生成されるエステルである。該エステルの脂肪鎖は、特にステアレート、ベヘネート、アラキデート及びパルミテート単位、及びこれらの混合物から選択することができる。列挙可能なエトキシル化された脂肪エステルの例は、40個のエチレンオキサイド単位を含むステアリン酸エステル、例えばICI社によりMyrj52(CTFA名:PEG-40ステアレート)なる名称の下に市販されている製品、及び8個のエチレンオキサイド単位を含むベヘン酸エステル(CTFA名:PEG-8ベヘネート)、例えばガットフォッセ(Gattefosse)社によりコンプリトール(Compritol) HD5 ATOなる名称の下に市販されている製品を含む。
【0040】
本発明の組成物におけるノニオン性両親媒性脂質として使用できる、エチレンオキサイド(A)とプロピレンオキサイド(B)とのブロックコポリマーは、特に以下の式(IV)で表されるブロックコポリマー及びこれらの混合物、及びより具体的には2〜16なる範囲のHLB値を持つ式(IV)のブロックコポリマーから選択することができる:
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (IV)
ここで、x、y及びzは、x+zが2〜100なる範囲にあり、かつyが14〜60なる範囲とするような整数である。
これらのブロックコポリマーは、特にポロキサマー(poloxamers)及びとりわけポロキサマー231、例えばICI社により、式(IV)においてx=z=6、y=39(HLB=2)のプルロニック(Pluronic) L81なる名称の下に市販されている製品;ポロキサマー282、例えばICI社により、式(IV)においてx=z=10、y=47(HLB=6)のプルロニックL92なる名称の下に市販されている製品;及びポロキサマー124、例えばICI社により、式(IV)においてx=z=11、y=21(HLB=16)のプルロニックL44なる名称の下に市販されている製品から選択することができる。
好ましく使用される該ノニオン性両親媒性脂質は、以下に列挙するものである:
-ポリエチレングリコールイソステアレート(エチレンオキサイド単位8モル);
-ジグリセリルイソステアレート;
-10個のグリセロール単位を含む、ポリグリセリルモノラウレートモノステアレート;
-ソルビタンオレエート;及び
-ソルビタンイソステアレート。
【0041】
該ノニオン性両親媒性脂質の量は、一般的に本発明の組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%なる範囲、好ましくは0.5〜20質量%なる範囲及びより好ましくは1〜10質量%なる範囲の量に相当する。
該脂質の特性に依存して、より親水性の高い又はより親油性の高いノニオン性両親媒性脂質を、本発明のナノエマルションの水性相又は油相に導入することができる。
該オイルの量の該ノニオン性両親媒性脂質の量に対する質量比は、好ましくは7に等しいかそれ未満、好ましくは0.5〜7なる範囲及びより好ましくは5に等しいかそれ未満、及びさらに一層好ましくは0.5〜5なる範囲にある。該用語「オイルの量」とは、ここでは該組成物中に存在するオイルの全量を意味するが、該ノニオン性両親媒性脂質の量又は上記揮発性直鎖アルカンの量は含まない。
本発明の一特定の態様によれば、本発明の組成物は、また1種又はそれ以上のカチオン性及び/又はアニオン性両親媒性脂質をも含むことができる。該カチオン性及び/又はアニオン性両親媒性脂質は、該オイルの量対該ノニオン性両親媒性脂質の量の質量比の評価のための該オイルの量には含まれない。
従って、本発明の組成物は、また1種又はそれ以上のカチオン性両親媒性脂質をも含むことができる。
本発明の組成物中に存在し得るカチオン性両親媒性脂質は、好ましくは四級アンモニウム塩及び脂肪アミン、及びこれらの塩からなる群から選択される。
四級アンモニウム塩の例は以下に列挙するものを包含する:
・以下の一般式(V)で表される四級アンモニウム塩:
【0042】
【化4】

【0043】
該一般式(V)において、基R1〜R4は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐鎖の、1〜30個の炭素原子を含む脂肪族基又は芳香族基、例えばアリール又はアルキルアリール基を表し、少なくとも一つの該基R1〜R4は、8〜30個の炭素原子及び好ましくは12〜24個の炭素原子を含む。該脂肪族基は、ヘテロ原子、特に例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子を含むことができる。該脂肪族基は、例えば約1〜30個の炭素原子を含む、アルキル、アルコキシ、ポリオキシ(C2-C6)アルキレン、アルキルアミド、(C12-C22)アルキルアミド(C2-C6)アルキル、(C12-C22)アルキルアセテート、及びヒドロキシアルキル基から選択され、X-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C2-C6)アルキルサルフェート、アルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートからなる群から選択されるアニオンである;
・イミダゾリニウムの四級アンモニウム塩、例えば以下の一般式(VI)で表されるもの:
【0044】
【化5】

【0045】
該一般式(VI)において、基R5は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基、例えば牛脂の脂肪酸誘導体を表し、基R6は、水素原子、C1-C4アルキル基、又は8〜30個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基を表し、基R7は、C1-C4アルキル基を表し、基R8は、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し、またX-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート又はアルキルアリールスルホネートからなる群から選択されるアニオンを表す。R5及びR6は、好ましくは12〜21個の炭素原子を含む、アルケニル又はアルキル基の混合物、例えば牛脂の脂肪酸誘導体を表し、R7は、メチル基を表し及びR8は、水素原子を表す。このような製品は、例えばレボ(Rewo)社によりレボカット(Rewoquat) W75なる名称の下に市販されている;
・以下の式(VII)で示されるジ-四級化アンモニウム塩:
【0046】
【化6】

【0047】
該一般式(VII)において、基R9は約16〜30個の炭素原子を含む脂肪族基を表し、基R10、R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なっていてもよく、水素原子及び1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、またX-は、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート及びメチルサルフェートからなる群から選択されるアニオンを表す。このようなジ-四級化アンモニウム塩は、特にプロパン牛脂ジアンモニウムジクロリドを含む;
・少なくとも一つのエステル官能基を含む四級アンモニウム塩:
本発明に従って使用できる、少なくとも一つのエステル官能基を含むこの四級アンモニウム塩は、例えば以下の一般式(VIII)で表されるもの:
【0048】
【化7】

【0049】
該一般式(VIII)において、
基R15は、C1-C6アルキル基及びC1-C6ヒドロキシアルキル基又はジ-ヒドロキシアルキル基から選択され;
基R16は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0050】
【化8】

【0051】
-直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1-C22炭化水素を基本とする基R20;及び
-水素原子;
基R18は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0052】
【化9】

【0053】
-直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC1-C6炭化水素を基本とする基R22;及び
-水素原子;
R17、R19及びR21は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC7-C21炭化水素を基本とする基から選択され;
n、p及びrは、同一又は異なっていてもよく、各々2〜6なる範囲の整数であり;
yは、1〜10なる範囲の整数であり;
x及びzは、同一又は異なっていてもよく、各々0〜10なる範囲の整数であり;
X-は、単一又は複合型の、有機又は無機アニオンであり;
但し、和:x+y+zは、1〜15なる範囲にあり、xが0である場合には、R16はR20を表し、またzが0である場合には、R18はR22を表すことを条件とする。
【0054】
該アルキル基R15は、直鎖又は分岐したものであり得るが、より特定的には直鎖アルキル基であり得る。
基R15は、好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチル又はジヒドロキシプロピル基を表し、またより特定的にはメチル又はエチル基を表す。
有利には、上記の和x+y+zは、1〜10なる範囲内にある。
R16が、炭化水素を基本とする基R20である場合、該基は長鎖であり得、また12〜22個の炭素原子を含むことができ、あるいは短鎖であり得、また1〜3個の炭素原子を含むことができる。
R18が、炭化水素を基本とする基R22である場合、該基は、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。
有利には、R17、R19及びR21は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC11-C21炭化水素を基本とする基から選択され、またより特定的には直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC11-C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
【0055】
好ましくは、x及びzは、同一又は異なっていてもよく、0又は1に等しい。
有利には、yは1に等しい。
好ましくは、n、p及びrは、同一又は異なっていてもよく、各々2又は3に等しく、及びより一層特定的には2に等しい。
上記のアニオンX-は、好ましくはハライド(クロリド、ブロミド又はアイオダイドアニオン)又はアルキルサルフェート、より特定的にはメチルサルフェートである。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸由来のアニオン、例えばアセテート又はラクテート、又はエステル官能基を含むアンモニウムと相溶性のある任意の他のアニオンを使用することも可能である。
該アニオンX-は、より一層特定的には、クロリド又はメチルサルフェートである。
より特定的には、上記式(VIII)のアンモニウム塩を使用することができ、該式(VIII)において、
・R15は、メチル又はエチル基を表し;
・x及びyは、1に等しく;
・zは、0又は1に等しく;
・n、p及びrは、2に等しく;
・R16は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0056】
【化10】

【0057】
-メチル、エチル又はC14-C22炭化水素を基本とする基;及び
-水素原子;
・R18は、以下に列挙する基から選択され:
-以下の式で表される基:
【0058】
【化11】

【0059】
-及び水素原子;
・R17、R19及びR21は、同一又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC13-C17炭化水素を基本とする基から選択され、また好ましくは直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される。
該炭化水素を基本とする基は、有利には直鎖のものである。
上記式(VIII)で表される化合物の列挙可能な例は、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム及びモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩(特に、クロライド又はメチルサルフェート)、及びこれらの混合物を含む。該アシル基は、好ましくは14〜18個の炭素原子を含み、またより特定的には植物オイル、例えばパーム油又はヒマワリ油から得られる。該化合物が数個のアシル基を含む場合、これらの基は同一又は異なっていてもよい。
【0060】
これらの製品は、例えば場合によりオキシアルキレン化されていてもよい、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンの、植物又は動物起源の脂肪酸又は脂肪酸混合物による直接的エステル化により、あるいはこれらのメチルエステルのエステル交換によって得られる。このエステル化は、アルキル化剤、例えばアルキルハライド(好ましくはメチル又はエチルはライド)、ジアルキルサルフェート(好ましくはジメチル又はジエチルサルフェート)、メチルメタンスルホネート、メチルp-トルエンスルホネート、グリコールクロルヒドリン又はグリセロールクロルヒドリンを用いた四級化を伴う。
このような化合物は、例えばヘンケル(Henkel)社によりデハイカート(Dehyquart)なる名称、ステパン(Stepan)社によりステパンカット(Stepanquat)なる名称、セカ(CECA)社によりノキサミウム(Noxamium)なる名称、又はレボ-ウイトコ(Rewo-Witco)社によりレボカット(Rewoquat) WE 18なる名称の下に市販されている。
本発明による組成物は、好ましくは式(V)で表される四級アンモニウム塩を含む。
上記式(V)の四級アンモニウム塩として、好ましく使用されるものは、一方では、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例えばジアルキルジメチルアンモニウムクロリド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(ここで該アルキル基は約12〜22個の炭素原子を含み)、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドであり、あるいは他方では、バンダイク(Van Dyk)社によりセラフィル(Ceraphyl) 70なる名称の下に市販されているステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロリドである。
【0061】
本発明によれば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド及びセチルトリメチルアンモニウムクロリドが、具体的に最も好ましい該四級アンモニウム塩である。
本発明の組成物は、また1種又はそれ以上のアニオン性両親媒性脂質をも含むことができる。
本発明の組成物中に存在し得る該アニオン性両親媒性脂質は、特に以下に列挙するものから選択することができる:
・アルキルエーテルシトレート;
・アルコキシル化アルケニルサクシネート;
・アルコキシル化グルコースアルケニルサクシネート;
・アルコキシル化メチルグルコースアルケニルサクシネート;
・ジセチル及びジミリスチルホスフェートのアルカリ金属塩;
・コレステリルサルフェートのアルカリ金属塩;
・コレステリルホスフェートのアルカリ金属塩;
・リポアミノ酸及びその塩、例えば一ナトリウム及び二ナトリウムアシルグルタメート、例えばアジノモト(Ajinomoto)社により、アシルグルタメート(Acylglutamate) HS21なる名称の下に市販されている、N-ステアロイル-Lグルタミン酸の二ナトリウム塩;
・ホスファチジン酸のナトリウム塩;
・リン脂質;及び
・アルキルスルホン酸又はアルキルエーテルスルホン酸誘導体。
【0062】
本発明の組成物においてアニオン性両親媒性脂質として使用することのできる該アルキルエーテルシトレートは、特に8〜22個の炭素原子を含み、かつ3〜9個のエトキシル基を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖を含有する、少なくとも1種のオキシエチレン化脂肪アルコールとクエン酸とから形成されるモノエステル、ジエステル又はトリエステル、及びこれらの混合物を含む群から選択される。1種又はそれ以上のこれらシトレートの混合物は、本発明の組成物において有効に使用し得る。
これらのシトレートは、例えば3〜9個のエトキシル基を含むエトキシル化ラウリルアルコールとクエン酸との、モノ-、ジ-及びトリ-エステルから選択することができ、これらは、ウイトコ(Witco)社によりウイトコノール(Witconol) EC、特にウイトコノール(Witconol) EC 2129(これは、支配的にジラウレス-9シトレートである)、及びウイトコノール(Witconol) EC 3129(これは支配的にトリラウレス-9シトレートである)なる名称の下に市販されている。
界面活性剤として使用される該アルキルエーテルシトレートは、好ましくは約7なるpHまで中和された状態で使用され、その際の中和剤は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はアンモニア、及び有機塩基、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチル-1,3-プロパンジオール、又はN-メチルグルカミン、及び塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0063】
本発明の組成物におけるアニオン性両親媒性脂質として使用することのできる、上記アルケニルサクシネートは、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体であり、また好ましくは以下の一般式(IX)又は(X)で表される化合物から選択される:
HOOC-(HR)C-CH2-COO-E (IX)
HOOC-(HR)C-CH2-COO-E-O-CO-CH2-C(HR')-COOH (X)
ここで、
基R及びR'は、6〜22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐したアルケニル基から選択され;
Eは、式:(C2H4O)nで示されるオキシエチレン化された鎖(ここで、nは2〜100なる範囲の値である)、式:(C3H6O)n'で示されるオキシプロピレン化された鎖(ここで、n'は2〜100なる範囲の値である)、式:(C2H4O)nで示されるオキシエチレン化された鎖及び式:(C3H6O)n'で示されるオキシプロピレン化された鎖を、n及びn'が2〜100なる範囲となるように含む、ランダム又はブロックコポリマーから選択され、ここでオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化グルコース基は、ヒドロキシル基全体に渡り分配された、平均して4〜100個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含み、またオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化メチルグルコース基は、ヒドロキシル基全体に渡り分配された、平均して4〜100個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含む。
【0064】
前記式(IX)及び(X)において、n及びn'は平均値であり、従って必ずしも整数である必要はない。nに対しては、5〜60なる範囲及びより一層好ましくは10〜30なる範囲の値が有利に選択される。
有利には、該基R及び/又はR'は、8〜22個の炭素原子及び好ましくは14〜22個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基から選択される。これは、例えば16個の炭素原子を含むヘキサデセニル基又は18個の炭素原子を含むオクタデセニル基であり得る。
上記式(IX)及び(X)で表され、そこでEが、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖及びオキシエチレン鎖とオキシプロピレン鎖とを含むコポリマー鎖から選択される、上記化合物は、文献:WO-A-94/00508、EP-A-107199及びGB-A-2,131,820中に与えられた説明に従って製造できる。これら文献を参考としてここに組入れる。
該一般式(IX)及び(X)で示されるアニオン性両親媒性脂質の酸官能基:-COOHは、一般に本発明の組成物において、中和剤で中和された形状にて存在し、ここで該中和剤は、例えば無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はアンモニア、及び有機塩基、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチル-1,3-プロパンジオール、又はN-メチルグルカミン、及び塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0065】
本発明の組成物において使用できるアニオン性両親媒性脂質の例としては、ヘキサデセニルサクシネート18 EO(一般式Iの化合物であって、R=ヘキサデセニル基、E=(C2H4O)n、n=18)、ヘキサデセニルサクシネート45 EO(一般式Iの化合物であって、R=ヘキサデセニル基、E=(C2H4O)n、n=45)、ジヘキサデセニルサクシネート18 EO(一般式IIの化合物であって、R=R'=ヘキサデセニル基、E=(C2H4O)n、n=18)、グルコースジヘキサデセニルサクシネート10 EO(一般式IIの化合物であって、R=R'=ヘキサデセニル基、E=10個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化グルコース)、グルコースジヘキサデセニルサクシネート20 EO(一般式IIの化合物であって、R=R'=ヘキサデセニル基、E=20個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化グルコース)、メチルグルコースジオクタデセニルサクシネート20 EO(一般式IIの化合物であって、R=R'=オクタデセニル基、E=20個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化メチルグルコース)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明の組成物中に存在し得る該カチオン性及び/又はアニオン性両親媒性脂質は、該組成物の全質量に対して、0.1〜15質量%なる範囲及び好ましくは0.2〜5質量%なる範囲の量に相当する。
好ましくは、本発明の組成物は、1又はそれ以上のカチオン性両親媒性脂質を含む。
【0066】
本発明の組成物は、また1種又はそれ以上のポリマーをも含むことができる。
該ポリマーは、天然、植物、鉱物及び/又は合成起源のポリマーであり得る。
本発明の目的にとって、該用語「ポリマー」とは、モノマーと呼ばれる少なくとも1種の化合物を由来とする単位を少なくとも2つ繰返して含む化合物を意味する。従って、該ポリマーは、2〜10なる範囲の繰返し単位数を持つオリゴマーを包含する。
該天然起源のポリマーは、ペクチン、セルロース、アルギネート、ガラクトアラビナン、トラガカンスゴム、デンプン及びスクロースから選択することができる。
植物起源の合成的に変性されたポリマーは、例えばデンプン誘導体、例えばカルボキシメチルデンプン及びリン酸二-デンプン、及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースから選択することができる。
該ポリマーは、カチオン性、アニオン性、両性及びノニオン性ポリマーから選択することができる。
【0067】
好ましくは、該イオン性ポリマーは、カチオン特性を持つポリマーである。
本発明の目的にとって、該用語「カチオン性ポリマー」とは、カチオン性の基及び/又はカチオン性の基へとイオン化し得る基を含む任意のポリマーを意味する。
本発明に従って使用できる該カチオン性ポリマーは、好ましくは、該ポリマー鎖の一部をなし、あるいはこれに直接結合した一級、二級、三級及び/又は四級アミノ基を含み、また500〜約5,000,000なる範囲及び好ましくは1,000〜3,000,000なる範囲の数平均分子量をもつポリマーから選択される。
これらポリマーとしては、より具体的には、以下に列挙するカチオン性ポリマーを挙げることができる:
(1) アミン官能性を持ち、かつ以下の式で表される単位を少なくとも一つ含む、アクリル酸又はメタクリル酸エステル又はアミド:
【0068】
【化12】

【0069】
ここで、
R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、各々水素原子又は1〜6個の炭素原子を持つアルキル基を表し;
R3は、水素原子又は基:CH3を表し;
Aは、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基又は1〜4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基を表し;
R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を持つアルキル基又はベンジル基を表し;
X-は、メトサルフェートアニオン又はハライド、例えばクロリド又はブロミドを表す。
この群(1)のコポリマーは、1種又はそれ以上のコモノマー単位をも含み、該コモノマー単位は、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子において低級(C1-4)アルキル基、アクリル酸又はメタクリル酸又はそのエステル由来の基で置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム、及びビニルエステルを由来とするものからなる群から選択することができる。
【0070】
従って、該群(1)のこれらコポリマーとしては、以下に列挙するものを挙げることができる:
・アクリルアミドと、ジメチルサルフェート又はジメチルハライドにより四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、例えばハーキュルス(Hercules)社によりハーコフロック(HercoflocTM)なる名称の下に市販されている製品;
・例えば、特許出願EP-A-080,976に記載されており、またチバガイギー(Ciba Geigy)社によりビナカット(Bina Quat) P100なる名称の下に市販されている、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー;
・アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとのコポリマー、例えばハーキュルス社によりレテン(Reten)なる名称の下に市販されている製品;
・四級化された又は四級化されていない、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、例えばISP社によりガフカット(GafquatTM)なる名称の下に市販されている製品、例えばガフカット(GafquatTM) 734又はガフカット(GafquatTM) 755、又はコポリマー(CopolymerTM) 845、958及び937として知られている製品。これらのポリマーは、フランス特許第2,077,143号及び同第2,393,537号に詳しく記載されている;
・ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、例えばISP社によりガフィックス(GaffixTM) VC713なる名称の下に市販されている製品;及び
・四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、例えばISP社によりガフカット(GafquatTM) HS100なる名称の下に市販されている製品;
【0071】
・メタクリロイルオキシ(C1-C4)アルキルトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム塩の架橋ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートのホモ重合により、あるいはアクリルアミド及び塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合により得られるポリマー、これらのホモ重合又は共重合は、オレフィン系不飽和化合物、特にメチレンビスアクリルアミドによる架橋を伴う。より具体的には、架橋されたアクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(質量比:20/80)を、50質量%の該コポリマーを含む鉱油分散液として使用することもできる。この分散液は、チバ社によりサルケア(SalcareTM) SC92なる名称の下に市販されている。架橋されたメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーを、約50質量%の該ホモポリマーを鉱油中又は液状エステル中に含む分散液として使用することも可能である。これらの分散液は、夫々、チバ社によりサルケア(SalcareTM) SC95及びサルケア(SalcareTM) SC96なる名称の下に市販されている。
【0072】
(2) カチオン性多糖類、及び特に以下に列挙するものから選択される多糖:
a) 特許FR 1,492,597に記載されている四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体。これらのポリマーは、またCTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応させた、ヒドロキシエチルセルロースの四級アンモニウムとして定義されている;
b) 四級アンモニウムを含む水溶性モノマーでグラフトされ、また特に米国特許第4,131,576号に記載されているセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例えば特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルセルロース。
この定義に相当する市販の製品は、より具体的には、ナショナルスターチ(National Starch)社により、セルカット(Celquat) L200及びセルカット(Celquat) H100なる名称の下に市販されている製品である。
C) 米国特許第3,589,578号及び同第4,031,307号に記載されているもの等のカチオン性ポリガラクトマンナン、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム。このような製品は、特にメイホール(Meyhall)社によりジャガー(Jaguar) C13 S、ジャガー(Jaguar) C15及びジャガー(Jaguar) C17なる商品名の下に市販されている。
【0073】
(3) ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールの四級コポリマー。
(4) ジアルキルジアリルアンモニウムハライドホモポリマー又はコポリマー及び特にナルコ(Nalco)社によりマーカット(Merquat) 100、マーカット(Merquat) 7SPR及びマーカット(Merquat) 550なる名称の下に市販されている化合物;
(5) キトサン又はその塩;使用できる該塩は、特にキトサンアセテート、ラクテート、グルタメート、グルコネート又はピロリドンカルボキシレートである。
これらの化合物としては、90.5質量%なる脱アセチル化度を持つ、アーバーテクノロジーズ(Aber Technologies)社により、キタンブルットスタンダード(Kytan Brut Standard)なる名称の下に市販されているキトサン、及びアマーコール(Amerchol)社によりキタマー(KytamerTM) PCなる名称の下に市販されている、キトサンピロリドンカルボキシレートを挙げることができる。
該ポリマーの量は、一般的に、本発明の組成物の全質量に対して、0〜20質量%なる範囲及び好ましくは0.2〜10質量%なる範囲の量に相当する。
本発明による組成物は、化粧学的に許容される媒体を含む。
この媒体は、好ましくは水性であり、即ち該媒体は水単独、又は水と少なくとも一つの溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプロパノール、グリセロール、グリコールエーテル、例えばモノ-、ジ-又はトリ-プロピレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-又はトリ-エチレングリコール、又はジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される溶媒との混合物を含む。
【0074】
本発明の組成物は、また本発明の用途の分野において使用できる任意の添加剤をも含むことができる。
本発明のエマルションは、化粧学的又は皮膚-薬学的活性を持つ、水溶性又は油溶性の活性薬剤を含むことができる。該油溶性活性薬剤は、該エマルションにおけるオイル小滴内に存在し、一方該水溶性活性薬剤は、該エマルションの水性相中に存在する。列挙可能な活性薬剤の例は、ビタミン類及びその誘導体、例えばビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンC及びそのエステル、ビタミンB、ビタミンAアルコール又はレチノール、ビタミンA酸又はレチノイン酸及びその誘導体、プロビタミン、例えばパンテノール、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド、エルゴカルシフェロール、酸化防止剤、湿潤剤、シリコーン型又は非-シリコーン型サンスクリーン、保存剤、金属イオン封鎖剤、柔軟剤、染料、粘度調節剤、発泡調節剤、気泡安定剤、真珠光沢剤、顔料、モイスチャライザー、フケ防止剤、脂漏防止剤、タンパク質、セラミド、擬似セラミド、直鎖又は分岐したC16-C40鎖を含む脂肪酸、例えば18-メチルエイコサン酸、可塑剤、ヒドロキシ酸、電解質及び香料を包含する。
【0075】
本発明のナノエマルションは、上記水性相と油相とを、激しく攪拌しつつ、45℃以下の周囲温度にて一緒に混合し、次いで高圧均質化を、5×107Pa、好ましくは6×107Pa〜18×107Paなる範囲の圧力下にて実施することを特徴とする方法により得ることができる。このような方法は、室温にて、熱に敏感な活性化合物と相溶性であり、かつ多量のオイル及び特に脂肪物質を含む香料を、これらを変性することなしに含むことのできるナノエマルションを製造することを可能とする。
該ナノエマルションは、また特許出願FR 2,847,831に記載されているような希釈方法によって得ることもできる。
本発明の課題は、また前に定義したような、毛髪をコンディショニングするための、上記組成物の使用にある。
【実施例】
【0076】
本発明は、以下に与えられる実施例によって説明される。
実施例1
ナノエマルション形状にある様々な組成物を調製した。これらの処方を以下の表1に与えた。該含有率は、各組成物100g当たりの、成分自体のグラム数で表されている。
組成物1は、本発明による組成物ではない。
組成物2は、本発明の組成物である。
【0077】
【表1】

【0078】
該組成物1及び2の粘度は、25℃にて、ブルックフィールド(Brookfield) DVII+Proビスコメータを用いて測定した。測定値は、1分後に読み取った。これらの結果は、cps単位にて以下の表2に与える。
【0079】
【表2】

【0080】
上記揮発性直鎖アルカンは、従来使用されていた他の溶媒、例えばシクロペンタジメチルシロキサンよりも高い増粘性を与える。
実施例2
ナノエマルション形状にある、様々な組成物を調製した。これらの処方を以下の表3に与えた。該含有率は、各組成物100g当たりの、成分自体のグラム数で表されている。
組成物3及び4は、本発明による組成物である。
【0081】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型ナノエマルションの形状にある化粧料組成物であって、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上のノニオン性両親媒性脂質、1種又はそれ以上の揮発性直鎖アルカン及び該揮発性直鎖アルカン以外の1種又はそれ以上のオイルを含むことを特徴とする、前記化粧料組成物。
【請求項2】
前記揮発性直鎖アルカンが、7〜15個の炭素原子、好ましくは8〜14個の炭素原子及びより一層好ましくは11〜14個の炭素原子を含む直鎖アルカンである、請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記揮発性直鎖アルカンが、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びこれらの混合物から選択され、及び好ましくはn-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びこれらの混合物から選択され、またさらに一層好ましくはn-ウンデカン/n-トリデカン混合物から選択される、請求項1〜2の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記揮発性直鎖アルカンの量が、前記組成物の全質量に対して、0.5〜50質量%なる範囲、好ましくは1〜30質量%なる範囲及びより一層好ましくは2〜15質量%なる範囲の量に相当する、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記ノニオン性両親媒性脂質が、以下に列挙するものから選択される、請求項1〜4の何れか1項に記載の化粧料組成物:
1) シリコーン界面活性剤;
2) 45℃に等しいか、又はそれ未満の温度にて流体であり、また1〜60個のエチレンオキサイド単位を含むポリエチレングリコール、ソルビタン、2〜30個のエチレンオキサイド単位を含むグリセロール、及び2〜15個のグリセロール単位を含むポリグリセロールよりなる群から選択される少なくとも1種のポリオールと、少なくとも一つの飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐したC8-C22アルキル鎖を含む、少なくとも1種の脂肪酸とのエステルから選択される両親媒性脂質;
3) C8-C22脂肪酸又はC8-C22脂肪アルコールと、カルボン酸及びグリセロールとの混合エステル;
4) 糖の脂肪酸エステル及び糖の脂肪アルキルエーテル;
5) 45℃に等しいか、又はそれ未満の温度にて固体であり、またグリセロールの脂肪エステル、ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシエチレン化脂肪エステル、エトキシル化脂肪エーテル及びエトキシル化脂肪エステルから選択される界面活性剤;及び
6) エチレンオキサイド(A)と、プロピレンオキサイド(B)とのブロックコポリマー。
【請求項6】
前記ノニオン性両親媒性脂質の量が、前記組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%なる範囲、好ましくは0.5〜20質量%なる範囲及びより一層好ましくは1〜10質量%なる範囲の量に相当する、請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記オイルが、植物油、動物油、鉱物油、合成油、液状脂肪アルコール及びシリコーン油、及びこれらの混合物から選択され、また好ましくは植物油、及びより具体的にはオリーブオイル及び液状ホホバワックス;シリコーンオイル及びより具体的には直鎖又は環状ポリジメチルシロキサン;及び鉱物油、例えば流動ワセリンから選択される、請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記オイルの量が、前記組成物の全質量に対して、1〜40質量%なる範囲及び好ましくは2〜15質量%なる範囲の量に相当する、請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記オイルの量の前記ノニオン性両親媒性脂質の量に対する質量基準での比が、7に等しいか又はそれ未満であり、好ましくは0.5〜7なる範囲内にあり、より好ましくは5に等しいか又はそれ未満であり、及びより一層好ましくは0.5〜5なる範囲内にある、請求項1〜8の何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の前記化粧料組成物の、毛髪のコンディショニングのための使用。

【公開番号】特開2011−132238(P2011−132238A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−294802(P2010−294802)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】