説明

揮発性空気処理剤用容器のためのキャップ

【課題】車両の乗員コンパートメント内の空気の滅菌、殺菌、または脱臭を短時間でかつ簡単に、空気処理剤の拡散プロセスをトリガーできるようにする。
【解決手段】 透過性容器(1)および該容器(1)を閉じるキャップ(4)の内部に収容された揮発性処理剤を使用する空気処理装置において、キャップ(4)は、活性剤を含むリザーバ(12)を備えている。更にリザーバは、内側シールによって外部環境からシールされている。従って、リザーバには、活性剤を入れることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性容器の内部に収容された揮発性処理剤を使用する空気処理装置に関し、特にかかる装置のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
上記した装置は、特に暖房、換気、または空調システム、並びにより詳細には、車両の乗員コンパートメント内の空気の滅菌、殺菌、または脱臭を行うのに使用されている。本発明の目的は、かかるシステムを循環する空気を処理するための揮発性空気処理剤を含む容器のためのキャップにある。
【0003】
特定の時間にわたって、透過性容器の壁を通って、処理剤を徐々に拡散させるよう、透過性容器の内部に収容した揮発性処理剤を使用して、空気を処理する装置は公知である。この処理としては、例えば防カビ処理、抗菌、または防臭処理を挙げることができる。
【0004】
第1の公知の解決案においては、この処理剤は、ガス透過性かつ液体不透性パウチの内部に収容された液体であり、パウチ自身は、不透性容器内にパッケージされており、装置を使用するときに、容器を除くようになっている。このような装置を開示している例として、米国特許第4,961,493号をあげることができる。
【0005】
これとは逆に、別の公知の解決案においては、処理剤は、不透性パウチの内部に収容された液体であり、パウチ自身は、透過性容器内に収容されている。装置を使用するとき、透過性容器内の処理剤を解放するため、不透性パウチを破るようになっている。このような装置を開示している例として、米国特許第5,458,244号をあげることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、拡散プロセスをトリガーすることは、何回もの取り扱い段階が必要であるので、困難なことである。また、活性成分を含むパッケージを破らなければならない。このような作業により、装置が破損することがある。
【0007】
透過性容器に収容された揮発性処理剤を用いて、空気を処理するための装置も公知である。この装置は、処理剤を、満足できる状態で、安定的かつ連続的に拡散するが、同時に、最終的に容器全体の空間を小さくするよう、透過性容器を通して、処理剤を拡散させるために利用できる表面を最適化できる。
【0008】
しかし、この装置は、拡散プロセスのトリガーを制御できないという欠点を有する。実際に、透過性容器内に処理剤を一旦注入すると、拡散プロセスは作動状態となる。従って、空気処理剤は、使用しようとしている空気処理装置内に入れる前から、透過性容器の壁を通して、拡散し始めている。従って、空気処理装置内で最終的に使用するための空気処理剤の量が減少する。
【0009】
本発明の目的は、上に述べた欠点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、リザーバを形成する内側壁と底部とを備えるキャップを提案するものである。内側壁は、円筒形であることが好ましい。
【0011】
更にリザーバは、内側シールによって外部環境からシールされている。従って、リザーバには、活性剤を入れることができる。
【0012】
別の実施例によれば、内側壁と底部とは、処理剤が、リザーバの外側に向かって移動するのを防止しうる厚さを有する。
【0013】
また本発明は、上記特徴事項のうちの1つを有するキャップによって閉じられる透過性容器の内部に収容された揮発性処理剤を使用する空気処理装置をも、提供するものである。
【0014】
従って、本発明によると、処理プロセスのトリガーフェーズを、簡単かつ迅速に制御することができる。その理由は、トリガーは、透過性容器内にキャップを挿入した後に生じるからである。更に本発明によると、処理剤の処理能力を低下させる恐れなく、製品を保管することができる。
【0015】
本発明の別の第1の特徴によれば、リザーバは、内側シールによって閉じられている。
【0016】
本発明の第2の特徴によれば、本装置は、内側シールを穿孔できるようにする孔開け手段を備えている。
【0017】
別の実施例によれば、本装置は、処理剤を支持するための本体を備えている。
【0018】
本発明の別の特徴は、透過性容器が、本体のまわりを密にクランプするリブを備えていることである。
【0019】
キャップは、前記透過性容器に対する少なくとも1つの第1位置および第2位置を占めることもある。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、透過性容器は、少なくとも1つの割り出し溝を含む内側面を有する壁を備えている。
【0021】
この透過性容器は、透過性容器に対するキャップの種々の位置を定めるよう、割り出し溝と協動するキャップの外側壁に配置されたボスと結合することが好ましい。
【0022】
別の実施例によれば、透過性容器は、この透過性容器内にキャップを螺合させるよう、キャップの外側壁に形成されたネジと協動する雌ネジを含む内側面を有する壁を備えている。
【0023】
透過性容器に対し、キャップを横方向に変位させるか、または回転させることにより、第1位置から第2位置へのシフトが行われる。
【0024】
高位置と称される第1位置は、リザーバのシールを保持する位置であり、低位置と称される第2位置は、リザーバのシールを破壊する位置である。
【0025】
本発明では、孔開け手段により、リザーバのシールを破壊するようになっている。この孔開け手段は、上部に設けられた孔開け器、および透過性容器の内部に取り付けられた別の孔開け器から成る本体によって構成できる。
【0026】
この孔開け器は、透過性容器のリブに当接していることが好ましい。
【0027】
次の説明を読めば、本発明の上記以外の特徴が明らかとなると思う。次の説明は、単に説明のためのものであり、例として示したものであり、添付図面を参照しながら行うものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
まず第1に、処理剤により空気を処理するための装置を示す図1を参照する。
【0029】
本発明の装置は、透過性容器1の内部に収容された揮発性処理剤により、空気を処理するようになっている。
【0030】
本発明においては、この処理剤は、液相状態に維持すること、またはスポンジ状材料によって吸収され得る状態に維持することが好ましい。
【0031】
この処理剤は、透過性容器1の内部に収容される処理剤のための支持体として働くスポンジ状本体2の内部に吸着されて、パッケージされている。スポンジ状本体2は、処理剤を容易に吸収できる性質を有し、しかも、スポンジの特性を有する。
【0032】
スポンジ状本体2は、プラグのような構成の孔開け器から形成されており、プラグの容積は、透過性容器1の内部の中空部分によって形成されるチャンバ6の容積の少なくとも一部、例えばそのほとんどを占めている。
【0033】
スポンジ状本体2は、乾燥状態にあり、透過性容器1が含む嵌合チャンバ6に嵌合されている。嵌合後、スポンジ状本体は、液相状態にある処理剤、特にアリルイソシアネートによって湿潤させられる。
【0034】
スポンジ状本体2の形状は、スポンジ状本体2と透過性容器1の壁との間における空気の薄層を除き、透過性容器1の有効容積を最適とするよう、チャンバ6の形状に対して、ほぼ相補的となっていることが好ましい。
【0035】
この目的のために、透過性容器1の内側壁には、センタリング用リブ20が配置されている。このリブ20は、小さい回転角で配置されている。
【0036】
このような構造によって、透過性容器1の外側全体の寸法を小さくすることが可能となっている。この構造、および透過性容器1の剛性に起因し、容器を設置することが容易となっている。
【0037】
図示の実施例では、スポンジ状本体2は、円筒形プラグのような形状となっている。このスポンジ状本体2は、例えば繊維フェルトから形成される。
【0038】
チャンバ6の容積は、スポンジ状本体2の容積とほぼ等しいが、拡散プロセスのために、空気の薄い層を利用できるようにするために、リブ20によって、スポンジ状本体2と透過性容器1の側壁との間に、残留空間が形成されている。
【0039】
スポンジ状本体2を、液状に湿潤させた後、空気処理剤は、スポンジ状本体2と透過性容器1の側壁との間の残留空間内で、ガスに変化する。その結果、拡散プロセスによって、透過性容器1の側壁を通過する処理剤のガスの移動が可能となり、処理剤は、外部環境へ解放される。この透過性容器1により、特定の時間にわたり、処理剤を徐々に拡散することができる。
【0040】
透過性容器1の側壁の厚さおよび表面積は、側壁を透過する移動により、空気処理剤の最適な拡散を保証するように定められている。
【0041】
壁の厚さを、特に0.5mm〜2mmの間の範囲とすることによって、最適な拡散を保証することができる。特に40℃の一定温度で、処理剤、例えば、アリルイソシアネートを、年間にわたって、1日当たり45mgを拡散させるためには、4200mm2±10%の全表面積に対し、0.9mm±20%の厚さを、透過性容器1が有していることが好ましい。
【0042】
しかし、これらの寸法は、周辺の外部環境に応じて決められる。より詳細には、これらの寸法は、拡散プロセスの温度、および必要とされる拡散強度に基づいて決められる。
【0043】
透過性容器1には、チャンバ6を塞ぐためのキャップ4が設けられている。本発明によれば、このキャップ4は、処理剤を含むリザーバ12を備えている。キャップ4内に処理剤が貯蔵されており、この処理剤は、スポンジ状本体2から分離されている。
【0044】
透過性容器1は、剛質であり、透過性プラスチック材料、例えば20%のタルクが充填されたポリプロピレンから形成されている。
【0045】
別の実施例によれば、透過性容器1は、突条8を備え、この突条8により、適当なクランプまたはクリップを用いて、フィルタ媒体または周辺エッジに、空気処理装置を取り付けることが可能となっている。更に暖房装置、換気装置、または空調装置に、透過性容器1を取り付けることも可能となっている。
【0046】
図2は、本発明の一実施例を示す。この構造においては、キャップ4は、処理剤を含むリザーバ12を備え、このリザーバ12は、空気処理装置の機能を最適にするよう、スポンジ状本体2を含浸するのに充分な量の処理剤を含んでいる。
【0047】
このリザーバ12は、キャップ4の内壁14と底部16を備えている。このリザーバ12は、2ミリリットル〜10ミリリットルの範囲の容積を有している。リザーバ12は、4.4ミリリットルの容積を有していることが好ましい。しかし、この容積は、気流の処理のニーズ、特に処理装置の所望するサービス寿命、および透過性容器1を囲む気象条件に対応して変わる。
【0048】
内壁14は、円筒形であることが好ましい。しかし、別の内部形状を有するリザーバを設けることも可能である。
【0049】
キャップ4は、プラスチック、特にポリプロピレンから製造されている。しかし、壁14および16の厚さは、キャップ4によって、処理剤がキャップ4の外部に移動できないようにするように定められている。
【0050】
リザーバ12は、内側シール18により外部環境から遮断されるように、シールされている。内側シール18は、リザーバ12の内部と外部環境の間の完全なシールとなっている。このようにして、空気処理剤が、キャップ4の外部に向かって移動できないようになっている。
【0051】
このような構成のキャップ4は、内部から漏れるのを完全に防止するように絶縁された一定の量の処理剤を含んでいる。従って、壁14および16、または内側シール18を通過する制御されない移動に起因して、処理剤の量が減少することを防止し、しかも、長時間にわたって、このキャップ4を保管することが可能となっている。
【0052】
内側シール18は、例えば接着または溶着により、キャップ4の内壁14に強固に締結されたアルミシートであることが好ましい。しかし、この内側シール18は、多層のアルミ膜であってもよい。
【0053】
図2では、この装置は、第1位置にある。キャップ4は、透過性容器1の高位置に挿入されている。
【0054】
透過性容器1は、側壁22を備えている。実施例によれば、この側壁22は、円筒形となっており、側壁22の内径は、キャップ4の外径と同一である。このような組立体によって、キャップ4と透過性容器1とが完全に嵌合することが保証されている。このようにして、キャップ4と透過性容器1とは完全にシールされている。
【0055】
側壁22は、内側面に割り出し溝24および26を備え、溝36は、溝24の上に配置されている。溝24と26との間の距離は、キャップ4の高位置と低位置との配置をそれぞれ定めている。
【0056】
この割り出し溝24および26は、キャップ4の外壁17に配置されたボス28と協動するようになっている。このボス28は、高位置では割り出し溝26と協動し、低位置では割り出し溝24と協動するようになっている。ボス28は、割り出し溝24および26に挿入されるインデックスとして働く。
【0057】
上に説明した実施例は、2つの割り出し溝24および26を備え、必要に応じ、特に高い位置と低い位置との間に、いくつかの中間位置を設けるために、2つよりも多い数の割り出し溝を設けることもある。
【0058】
同じように、実施例を簡略化するよう、1つの割り出し溝だけを設けることもある。このような構造では、1つの割り出し溝は、高位置、または低位置のいずれかに位置する。
【0059】
透過性容器1の内面には、リブ20も配置されている。このリブは、周辺に均一に、理想的には、小さい回転角で分散されている。
【0060】
リブ20によって、スポンジ状本体2のセンタリングが保証されるので、スポンジ状本体は、透過性容器1の内部で、完全にセンタリングされる。更にリブ20を小さい回転角位置にわたって周辺に分散してあるので、スポンジ状本体2と透過性容器1との間に空間を設け、かつチャンバ6に、スポンジ状本体2を挿入することが容易となっている。
【0061】
この空間を空気層が占め、この空気層によって、処理剤を拡散することが可能となり、処理剤の解放が促進される。
【0062】
別の実施例によれば、リブ20は、キャップ4およびリザーバ12に対するスポンジ状本体2のセンタリングを保証するよう、透過性容器1の高さの一部にわたって、好ましくは透過性容器1の上部に配置されている。
【0063】
スポンジ状本体2は、透過性容器1のチャンバ6の内部に挿入される乾燥した安定化材料である。本発明によれば、この安定化材料は、例えばフェルトから製造されたスポンジ本体である。しかし、この安定化材料を、鉱物、植物または動物性材料とすることも可能である。
【0064】
本体2の役割は、液相をした処理剤と、透過性容器1の側壁2との直接接触を防止することにある。反対に、処理剤と側壁22とが接触すると、壁22を通過する処理剤の移動経路に影響があり、従って、処理剤の拡散レートが変わることになる。
【0065】
スポンジ状本体2の上部には、孔開け器30が設けられている。この実施例によれば、孔開け器30は、安定化材料から製造されている。この孔開け器30は、円錐形となることが理想的である。
【0066】
孔開け器30の役割は、リザーバ12の開口を保証し、キャップ4が低位置にあるときに、内側シール18を穿孔することにより、処理剤を解放することにある。
【0067】
図2の構造では、キャップ4は、透過性容器2上の高位置に位置している。この高位置は、空気処理装置、例えば暖房、換気、または空調システムに最終的に設置する前の空気処理装置の保管位置と対応している。このような構造では、ボス28は、割り出し溝26と協動し、孔開け器30が、内側シール18から離間しているので、リザーバ12は、内側シール18によってハーメチックシール状態となっている。
【0068】
図3は、第1実施例の装置の第2位置にある状態を示す。この場合には、透過性容器1の低位置に、キャップ4が挿入されている。
【0069】
この低位置は、内側シール18の開口により、処理剤を拡散するプロセスをトリガーできるようにする位置である。
【0070】
図2に記載されている高位置と比較すると、キャップは、透過性容器1の軸線に沿って、キャップ4を横方向に移動することにより押し込まれているので、ボス28は、割り出し溝24と協動できるようになっている。
【0071】
図2および図3は、異なる2つの位置にある同一装置を示す。従って、双方の図に共通する部品には、図2を参照して説明した部品と同じ符号を付してある。
【0072】
このような高位置と低位置との間の移行段階では、孔開け器30の先端32と内側シール18との間の距離は、徐々に短くなる。孔開け器30の先端32が、内側シール18に接触すると、この先端がシール18を突き刺し、開口部34を形成する。
【0073】
内側シール18によってシールされたリザーバ12内に存在する処理剤が、このようにして解放され、次に処理剤は、毛細作用による引き寄せ力によって、スポンジ状本体2を含浸し、安定化材料内に拡散される。このように、スポンジ状本体2の全容積が、処理剤を含むことになる。
【0074】
この位置では、開口部34は最大の開口状態にある。従って、処理剤の拡散が最適状態となる。
【0075】
次に、拡散プロセスが開始し、処理剤は、透過性容器1の側壁22を通過するガスとして移動し、外部環境へ解放される。
【0076】
本発明によれば、孔開け器30は、スポンジ状本体2の安定化材料から製造されている。スポンジ状本体2は、内側シール18の穿孔を保証するような寸法となっている。このようにするために、キャップ4に対する既知の圧力条件のもとで、内側シール18を穿孔できるように、寸法、形状、硬度、および剛性が選択されている。
【0077】
実施例では、孔開け器30は、円錐形となっている。しかし、孔開け器30を、ピラミッド形状または傾斜した平面に沿って切頭された円錐形、または中心のずれた円錐形とすることも可能である。孔開け器30により、内側シール18にかかる圧力に応じ、小径の円筒体または断面の小さい平行六面体を使用することも可能である。
【0078】
次に、装置の第2実施例を示す図4を参照する。図4の実施例は、これまで説明した実施例と多くの類似点を有する。双方の実施例で共通する部品には、再び同じ符号を付けてある。
【0079】
図4では、装置は第1位置で示されている。この構造では、キャップ4は、透過性容器1内の高位置に挿入されている。
【0080】
図4の実施例は、キャップ4が移動しているという点で、図2で説明した実施例とは異なっている。ボス28と割り出し溝24および26を含む割り出し機構は、ネジ25と置換されている。
【0081】
図4および図5は、図2および図3を参照して説明した装置と同じ装置を示すが、組み立て手段が異なっている。従って、これら図で共通する部品には、図2および図3を参照して説明した実施例に対するのと同じ符号が付けられている。
【0082】
キャップ4の外側壁17には、溝が切られているが、壁22の内側面には、タップが切られている。従って、透過性容器1へのキャップ4の取り付けは、ネジとナットタイプの組み立てによって行われる。
【0083】
高位置は、組立体が選択された数のネジと係合するように、キャップ4の回転数によって定められる。
【0084】
低位置も、キャップ4の回転数によって定められるが、ネジが内部ネジ内のストッパーに当接すると、低位置に達するようにすることもできる。
【0085】
ねじ切りされた組立体には、孔開け器30に対するキャップ4の位置をより正確に定めることができるという利点がある。従って、スポンジ状本体2への処理剤の流量を制御することが可能である。実際に、キャップ4の移動に応じ、孔開け器30が内側シールを穿孔し、開口部34を形成する。こうして、開口部34を通ってスポンジ状本体2の安定化材料内に処理剤が拡散される。
【0086】
孔開け器30の形状および孔開け器30の先端32の進入路の結果として、開口部をより大きくしたり、小さくしたりし、スポンジ状本体2の安定化材料の処理剤の拡散を、大きくしたり、小さくしたりすることができる。
【0087】
図5は、第2位置にある第2実施例の装置を示す。この構造では、透過性容器1内の低位置に、キャップ4が挿入されている。
【0088】
この位置では、開口部34は、最大の開口度となっており、従って、処理剤の拡散が最適状態となっている。
【0089】
高位置と低位置の間の移行段階では、孔開け器30の先端32と内側シール18との間の距離は、徐々に短くなる。先端32が内側シール18に接触すると、先端は、シールを引き裂き、開口部34を形成する。
【0090】
こうして、内側シール18によってシールされているリザーバ12内に存在する処理剤が解放される。次に、処理剤は、毛細管現象による引き寄せ力によって、スポンジ状本体2を含浸し、安定化材料内に拡散する。こうして、スポンジ状本体2の全容積は処理剤を含むことになる。
【0091】
次に拡散プロセスが開始され、処理剤は、ガスとしてキャップ3の内側壁22を通って移動し、外部環境へ放出される。
【0092】
本発明によれば、孔開け器30は、スポンジ状本体2の安定化材料2から形成されており、内側シール18の孔開けを保証するような大きさとされている。このような孔開けを行うために、キャップ4にかかる既知の圧力条件下で、内側シール18を穿孔するように寸法、形状、硬度および剛性が選択されている。
【0093】
実施例では、孔開け器30は円錐形となっている。しかし、孔開け器30を、ピラミッド形状、または傾斜した平面に沿って切頭された円錐形、または中心のずれた円錐形とすることも可能である。更に孔開け器30により、内側シール18にかかる圧力に応じ、小径の円筒体または断面の小さい平行六面体を使用することも可能である。
【0094】
図6および図7は、それぞれ高位置および低位置にある本装置の第3実施例を示す。図6および図7の別の実施例は異なる孔開け手段を有する図2および図3を参照して説明した装置と極めて類似する装置を示している。従って、これら図2において共通する部品には、図2および図3を参照して説明した部品に使用したものと同じ符号を付けてある。
【0095】
この第3実施例におけるキャップ4の移動は、図2および図3に示した割り出し装置、または図4および図5に示したネジ装置のいずれかによって実行できる。
【0096】
図6の実施例は、内側シール18を孔開けする機能を有するスポンジ状本体2の上部を削除した点で、前の実施例と異なっている。
【0097】
実際に、使用される安定化材料によっては、孔開け器30の剛性は、内側シール18内に侵入し、これを穿孔するのに十分でないことが有り得る。
【0098】
図6および図7の別の実施例は、孔開け器40が透過性容器1の内側に配置された別部品となっている構造を示す。
【0099】
この孔開け器40は、これに十分な剛性を与え、内側シール18の孔開けを保証する金属から製造することが好ましい。
【0100】
図8に示すように、孔開け器40は、ベースを構成するリング38を備え、ベースからアーチ42が立ち上がっている。このアーチ42は、先端36を有する孔開けヘッド44を支持している。
【0101】
孔開けヘッド44は、リブ46をも有する。このリブ46は、孔開けヘッド44の平滑な表面に、カッティングエッジを形成するように働く。これらリブの役割は、内側シール18と孔開けヘッド44の分離を促進し、処理剤が、スポンジ状本体2の安定化材料に向かって容易に流れるようにすることにある。
【0102】
図6および図7に示すように、孔開け器40のベース38は、透過性容器1のセンタリングリブ20に当接している。ベース38の外径は、透過性容器1の内径よりも若干小さくなっている。これにより、孔開け器を、透過性容器1に容易に挿入することが可能となっている。
【0103】
処理剤の拡散をトリガーするプロセスは、図2〜図5を参照して説明したプロセスと同一である。
【0104】
図6および図7の実施例は、処理剤によって空気を処理するための装置の広い標準化を行うものである。この装置は、透過性容器1に挿入される、処理剤で予め含浸されたスポンジ状本体2を含んでいてもよいし、または本発明のように、乾燥した処理剤スポンジ状本体2および処理剤を含むキャップ4を備えていてもよい。
【0105】
どの方法にせよ、本装置を、これまでに説明したものと置換するか、またはリフィル、すなわち再充填することが可能である。
【0106】
実際には、リフィルしたい装置が、処理剤によって予め含浸されたスポンジ状本体2を含む場合、現在のスポンジ状本体2を維持し、最初のキャップを、本発明に係わるキャップと置換し、孔開け器40のような別の孔開け器を挿入し、装置を再び作動できる状態にすることも可能である。
【0107】
リフィルしたい装置が、乾燥した処理剤スポンジ状本体2、およびキャップ4のタイプのリザーバを有するキャップを備えている場合、現在のスポンジ状本体2を維持し、処理剤のなくなったキャップを、ある量の処理剤を含む本発明に係わる新しいキャップに交換することが可能である。このようにすることにより、装置を再び作動できる状態にし、空気の処理を延長することが可能となる。
【0108】
本発明の実施例によれば、孔開け手段は、安定化材料から製造されたスポンジ状本体の特別な幾何学的形状、または安定化材料から製造されたスポンジ状本体とキャップとの間に挟持された別の部品のいずれかから成っている。
【0109】
これまでに説明した種々の実施例により、キャップ4および透過性容器1を、一体的に組み立てることが可能である。この組み立ては、キャップ4と透過性容器1との完全な嵌合を保証するように実施される。このように、これら2つの部品の間で、完全なシールが生じる。キャップ4と透過性容器1とを組み立てるためのステップのすべてにおいて、特に液相状態の処理剤は、外部環境から絶縁される。
【0110】
実際に孔開け手段30または40により、内側シール18を孔開けする前では、リザーバ12内に液相の処理剤が存在し、この処理剤は、内側シール18と、内側壁14と、底部16の組み合わせによる外部環境から絶縁されており、これらシール、壁および底部の厚さは、処理剤がリザーバの外側に向かって移動しないように定められている。
【0111】
孔開け手段30または40により、内側シール18を孔開けした後に、液相状態で処理剤が拡散し、スポンジ状本体2を含浸する。キャップ4と透過性容器との間の完全嵌合によって、これら部品間の完全なシールが保証されると共に、液相状態の処理剤が、外部環境から絶縁されるのを保証している。
【0112】
しかし、キャップのリザーバを閉じる内側シールを穿孔できるようにする他の手段によって、孔開け手段を設計することもできる。
【0113】
特に車両用の暖房、換気、または空調システムの内部に装置を使用し、設置する制限、特に装置に求められる全体の可能な最小の寸法、処理剤の信頼性、持続性および安定性、システム内部に装置を設定するための容易な手順だけでなく、装置の使用を延長できる場合において、装置を交換するための手順、または反対の場合において、処理剤を交換するための手順に関する制限を考慮し、暖房、換気または空調システムに、本発明の装置を適用することができる。
【0114】
本発明に係わる空調装置は、暖房、換気、または空調装置の内部に設置するようになっている。特に、例えばこの処理装置は、車両の乗員コンパートメントのための粒状タイプ、活性炭タイプ、またはこれらの2つの組み合わせのフィルタ媒体に締結し、暖房、換気、または空調装置を通って、より詳細には蒸発器およびフィルタを通って循環する気流内に配置されるようになっている。
【0115】
後者のフィルタは、プリーツ状のフィルタ媒体を保持する周辺エッジ、または剛性もしくは変形可能なフレームから成っている。
【0116】
この空気処理装置は、フィルタの周辺エッジにも締結できる。
【0117】
暖房、換気、または空調システム内部に設置されるフィルタ上の空気処理装置の位置によって、このシステム内部で生じ得る微生物および臭いを、破壊することが可能である。
【0118】
従って、本発明により、保管段階において、処理剤を漏れのない状態に維持することが保証できる。更に、拡散中、処理剤のための支持体として働くスポンジ状本体が含浸されることはない。そのため、長期間にわたって、装置の活性能力を維持することが可能である。
【0119】
本発明に係わる装置は、車両の乗員コンパートメントのフィルタを換えるごとに交換できるようになっており、また、新しいフィルタ媒体またはシステムの壁に配置し直すことによって再使用できるようになっている。従って、この装置は、特にメーカーの自動車修理チェーン店または独立した販売後のチェーン店で使用するのに適している。
【0120】
本発明は、空気流に関係する機器、処理すべき壁、および部品のいずれにも適用できる。
【0121】
当然ながら、本発明は、単に説明のために示した上記の実施例に限定されるものではなく、当業者が特許請求の範囲で予測できる他の別の実施例も、含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係わる処理剤により空気を処理するための装置の分解図である。
【図2】本発明の装置の第1実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図3】本発明の装置の第1実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図4】本発明の装置の第2実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図5】本発明の装置の第2実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図6】本発明の装置の第3実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図7】本発明の装置の第3実施例における閉鎖キャップの断面図である。
【図8】本発明の装置の第3実施例における閉鎖キャップのための孔開け器の平面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 透過性容器
2 スポンジ状本体
4 キャップ
6 チャンバ
12 リザーバ
14 内側壁
16 底部
18 内側シール
20 リブ
22 側壁
24、26 溝
28 ボス
30 孔開け器
36 先端
38 ベース
40 孔開け器
42 アーチ
44 ヘッド
46 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁(14)と底部(16)とを備える容器(1)のためのキャップ(4)において、前記内側壁(14)と前記底部(16)とは、リザーバ(12)を形成していることを特徴とするキャップ(4)。
【請求項2】
前記内側壁(14)は、円筒形であることを特徴とする、請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
内側シール(18)により、前記リザーバ(12)が外部環境からシールされていることを特徴とする、請求項1または2記載のキャップ(4)。
【請求項4】
前記リザーバ(12)は、処理剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項5】
前記内側壁(14)および前記底部(16)は、前記リザーバの外側に向かう前記処理剤の移動を防止するような厚さを有することを特徴とする、請求項4記載のキャップ(4)。
【請求項6】
透過性容器(11)およびキャップ(4)の内部に収容された揮発性処理剤を使用する空気処理装置において、
請求項1〜5のいずれかに記載のキャップ(4)を備えることを特徴とする空気処理装置。
【請求項7】
前記リザーバ(12)は、内側シール(18)によって閉じられていることを特徴とする、請求項6記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記内側シール(18)に穿孔しうる孔開け手段(30)(40)を含むことを特徴とする、請求項7記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記処理剤を支持するための本体(2)を備えることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記透過性容器(1)は、前記本体(2)のまわりに密にクランプするリブ(20)を備えていることを特徴とする、請求項9記載の空気処理装置。
【請求項11】
前記キャップ(4)は、前記透過性容器(1)に対する少なくとも第1位置および第2位置を占めていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項12】
前記透過性容器(1)は、少なくとも1つの割り出し溝(24)(26)を含む内側面を有する壁(22)を備えることを特徴とする、請求項6〜11のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項13】
前記キャップ(4)は、前記透過性容器(1)に対する、前記キャップ(4)の種々の位置を定めるよう、前記割り出し溝(24)(26)と協動するボス(28)を有する外側壁(17)を含むことを特徴とする、請求項12記載の空気処理装置。
【請求項14】
前記透過性容器(1)は、前記キャップ(4)を前記透過性容器(1)内に螺合するよう、前記キャップ(4)の外側壁(17)に形成されたネジと協動する雌ネジを含む内側面を有する壁(22)を備えることを特徴とする、請求項6〜11のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項15】
前記透過性容器(1)に対し、前記キャップ(4)を横方向に変位させることにより、前記第1位置から前記第2位置へのシフトを行うようになっていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項16】
前記透過性容器(1)に対し、前記キャップ(4)を回転することにより、前記第1位置から前記第2位置へのシフトを行うようになっていることを特徴とする、請求項14記載の空気処理装置。
【請求項17】
高位置と称する前記第1位置は、前記リザーバ(12)のシールを保持する位置であり、低位置と称す前記第2位置は、前記リザーバ(12)のシールを破壊する位置であることを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項18】
前記リザーバ(12)のシールは、孔開け手段(30)(40)によって破壊されるようになっていることを特徴とする、請求項17記載の空気処理装置。
【請求項19】
前記孔開け手段は、その上部に設けられた孔開け器(30)を含む本体(2)からなっていることを特徴とする、請求項17記載の空気処理装置。
【請求項20】
前記孔開け手段は、前記透過性容器(1)内に取り付けられた別の孔開け器(40)からなっていることを特徴とする、請求項17記載の空気処理装置。
【請求項21】
前記孔開け器(40)は、前記透過性容器(1)のリブ(20)に当接していることを特徴とする、請求項20記載の空気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−62847(P2007−62847A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231749(P2006−231749)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】