説明

搬送コンベア

【課題】作業者又は台車等が通行できる通路を形成すると共に、ワークの自重を動力源として利用して、安定してワークの搬送ができる搬送コンベアを提供すること。
【解決手段】搬送コンベア1は、送り側架台2と受け側架台6との間に通路用空間11を形成してなる。送り側架台2における載置コンベア部3は、送り側架台2上に待機する戻位置と、受け側架台6における受取コンベア部7に連結される出位置との間で移動可能である。搬送コンベア1は、載置コンベア部3に載置されたワーク8の自重によって、スライド部4が送り側架台2から突出して、載置コンベア部3を戻位置から出位置へ移動させ、載置コンベア部3から受取コンベア部7へワーク8が受け渡された後、付勢手段5による付勢力によってスライド部4が送り側架台2に収納されて、載置コンベア部3を出位置から戻位置へ復帰させるよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの自重を動力源として利用する搬送コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオートマチックトランスミッション(A/T)等の製品を製造するラインにおいては、その製品の構成部品又は完成品等のワークを搬送する搬送台車又は搬送コンベア等の搬送装置が使用されている。
前記搬送装置としては、電動又は油圧駆動のものが主流である。そして、比較的重量の大きな重量物であるA/T等を搬送しようとすると、その設備費用及びエネルギー費用等が多大となる。このことを改善すべく、特許文献1においては、ワークの自重を動力源として利用することができる搬送台車及びこれを含む搬送ラインが開示されている。
【0003】
この特許文献1の実施例1(図1〜図15)においては、ワークの荷重により前進力を発生させる前進力発生手段と、ワークの荷重により後進力を発生させる後進力発生手段とを備えた搬送台車が開示されている。そして、搬送台車にワークを載置したときには、前進力発生手段によって搬送台車を前進させ、搬送台車からワークを取り除いたときには、後進力発生手段によって搬送台車を後進させている。
【0004】
また、この特許文献1の実施例4(図22〜図24)においては、箱形の外フレームに、傾斜軌道としてのレールを配設し、ワークを搬送する搬送台車を前記レール上に配置している。また、搬送台車は、外フレームに配設したスプリングバランサによる付勢力を受けて、外フレームの後端側(上流側)に向けて付勢されている。
【0005】
そして、特許文献1の実施例4においては、搬送台車にワークを載置したときには、ワークの自重によって搬送台車がレール上を降下して、外フレームの先端側(下流側)へ前進する。その後、搬送台車からワークを取り除いたときには、スプリングバランサの付勢力によって、搬送台車が外フレームの後端側へ後退する。
このように、特許文献1の搬送台車によれば、搬送台車のイニシャルコスト及びランニングコストを低減させることができ、ひいてはワークとして搬送する製品の製造コストを低減させることもできる。
【0006】
ところで、工場内における敷地には制約があり、特に、搬送装置を工場内に配置したときでも、作業者又は別の台車(AGV(無人搬送車)、手動台車など)等の工場内における通行を妨げないようにすることが重要である。
しかしながら、特許文献1の実施例1においては、工場内の床面において、搬送台車が進退する場所には、常に搬送路(案内線部)が配設されている。そのため、作業者又は別の台車等が、案内線部を横切って通行するときには、この案内線部が通行の妨げになるおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の実施例4においては、搬送台車が進退する箇所には、常にレールを設けた外フレームが配設されている。そのため、作業者又は別の台車は、外フレームを横切って通行することが極めて困難である。
また、前記特許文献1における各搬送台車は、いずれも案内線部上又はレール上に車輪を転がして進退する構造を有している。そのため、例えば、案内線部上又はレール上に小さな異物等が蓄積し、この異物等が車輪とレールとの間に入ったときには、搬送台車の進退が困難になるおそれがある。
【0008】
【特許文献1】特開2004−331052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、作業者又は台車等が通行することができる通路を形成できると共に、ワークの自重を動力源として利用して、安定してワークの搬送を行うことができる搬送コンベアを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ワークが載置される載置コンベア部を備えた送り側架台と、ワークを受け取る受取コンベア部を備えた受け側架台とを有し、該受け側架台と前記送り側架台との間に通路用空間を形成してなる搬送コンベアであって、
前記送り側架台は、該送り側架台に対してスライド可能なスライド部と、該スライド部に配設した載置コンベア部とを有しており、
該載置コンベア部は、前記スライド部により、前記送り側架台上に待機する戻位置と、前記通路用空間上において前記受取コンベア部に連結される出位置との間で移動可能であると共に、前記送り側架台に配設した付勢手段によって前記戻位置に向けて付勢してあり、
前記載置コンベア部に載置された前記ワークの自重によって、前記スライド部が前記送り側架台から突出して、前記載置コンベア部を前記戻位置から前記出位置へ移動させ、前記載置コンベア部から前記受取コンベア部へ前記ワークが受け渡された後、前記付勢手段による付勢力によって前記スライド部が前記送り側架台に収納されて、前記載置コンベア部を前記出位置から前記戻位置へ復帰させるよう構成してあることを特徴とする搬送コンベアにある(請求項1)。
【0011】
本発明の搬送コンベアは、モータ又はシリンダー等の動力源を必要とせず、ワーク自体の自重を動力源として利用して、ワークを繰り返し搬送することができるものである。
また、本発明の搬送コンベアは、搬送コンベアの途中において、作業者又は台車等が通行することができる通路用空間を形成してなるものである。さらに、本発明の搬送コンベアは、送り側架台に対してスライド可能なスライド部を用いることにより、搬送コンベアに載置したワークを安定して搬送することができるものである。
【0012】
具体的には、前記搬送コンベアは、前記載置コンベア部を備えた送り側架台と、前記受取コンベア部を備えた受け側架台とを有している。そして、載置コンベア部が送り側架台上における戻位置に待機するときには、受け側架台と送り側架台との間に通路用空間が形成される。これにより、搬送コンベアが作動していないときには、作業者又は台車等は、通路用空間を利用して、搬送コンベアを横断することができる。そのため、搬送コンベアの周辺における作業者又は台車等の通行を円滑にすることができる。
【0013】
また、前記送り側架台は、前記スライド部及び付勢手段を有している。そして、送り側架台における載置コンベア部は、この載置コンベア部にワークが載置されていないときには、スライド部が送り側架台に収納されており、付勢手段による付勢力を受けて、送り側架台上の戻位置に維持されている。このとき、載置コンベア部には、送り側架台から受け側架台へのワークの搬送方向に向けて、載置コンベア部及びスライド部の自重による降下搬送力が作用している一方、前記搬送方向とは反対側の方向に向けて付勢手段による付勢力が作用している。そして、載置コンベア部には、載置コンベア部及びスライド部の自重による降下搬送力に比べて、付勢手段による付勢力が大きく作用していることにより、当該載置コンベア部は戻位置に維持されている。
【0014】
次いで、載置コンベア部にワークが載置されると、載置コンベア部には、前記ワークの搬送方向に向けて、ワークの自重による降下搬送力も作用する。そして、載置コンベア部には、付勢手段による付勢力に比べて、載置コンベア部、スライド部及びワークの自重による降下搬送力が大きく作用する。
これにより、ワーク等の自重による降下搬送力が、付勢手段による付勢力に打ち勝って、スライド部が送り側架台から受け側架台に向けて突出し、スライド部に配設された載置コンベア部を、受取コンベア部に連結する出位置まで移動させることができる。
【0015】
また、載置コンベア部から受取コンベア部にワークを受け渡したときには、再び、載置コンベア部には、載置コンベア部及びスライド部の自重による降下搬送力に比べて、付勢手段による付勢力が大きく作用する。
これにより、付勢手段による付勢力を受けて、スライド部が送り側架台に収納され、載置コンベア部を送り側架台上の戻位置まで復帰させることができる。
【0016】
このように、前記搬送コンベアによれば、モータ又はシリンダー等の動力源を使用することなく、ワーク自体の自重を利用して当該ワークを送り側架台から受け側架台へ搬送することができる。そして、搬送コンベアは、ワークを載置コンベアに載置する毎に、何度でも繰り返し送り側架台から受け側架台へ搬送することができる。
そのため、搬送コンベアのイニシャルコスト及びランニングコストを低減させることができる。
【0017】
さらに、前記のごとく、前記搬送コンベアは、スライド部を用いて載置コンベア部を移動させることができる。これにより、載置コンベア部を車輪を用いることなく移動させることができ、車輪とレールとの間に異物等が入って載置コンベア部の移動を妨げるようなことがない。そのため、載置コンベア部に載置されたワークを、安定して受取コンベア部へ搬送することができる。
【0018】
それ故、本発明の搬送コンベアによれば、作業者又は台車等が通行することができる通路を形成できると共に、ワークの自重を動力源として利用して、安定してワークの搬送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上述した本発明の搬送コンベアにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、前記スライド部は、ガイドレールと、このガイドレールに対して相対的にスライドするスライダーとを備えたリニアガイドによって構成することができる。この場合には、ガイドレール及びスライダーのいずれか一方を前記送り側架台に固定し、他方を前記スライド部として前記載置コンベア部に固定する。また、前記リニアガイドは、スライダー内に複数の鋼球を備えたものとすることができ、複数の鋼球をガイドレールに転がり接触させることによって、スライダーとガイドレールとを相対移動させるものとすることができる。
また、載置コンベア部の移動を円滑にすると共にその剛性を向上させるために、スライド部は、送り側架台に複数並列に配設することができる。
【0020】
また、前記付勢手段としては、スプリングバランサを用いることができる。このスプリングバランサは、ケース本体内に、ねじりコイルバネ及び引き出し可能なワイヤを巻回収納してなり、ワイヤの先端に取り付けたフックを引っ張ることによって、ねじりコイルバネがねじられて、ワイヤをケース本体内に引き戻そうとする付勢力を発生させるものとすることができる。
また、付勢手段としては、シリンダチューブ内に封入した高圧ガスの反力をバネとして活用して、ピストンロッドを移動させるガススプリングとすることもできる。
【0021】
また、前記スライド部は、前記送り側架台から前記受け側架台への前記ワークの搬送方向に向けて下降傾斜した状態で前記送り側架台に配設することが好ましい(請求項2)。
この場合には、スライド部の傾斜によって、載置コンベア部に載置したワークの自重を、容易に前記ワークの搬送方向に作用させることができる。そのため、簡単な構造の搬送コンベアにより、一層安定してワークの搬送を行うことができる。
【0022】
また、前記載置コンベア部及び前記受取コンベア部は、前記ワークに回転接触する複数の搬送ローラを有していると共に、前記搬送方向に向けて下降傾斜していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、載置コンベア部が前記出位置に移動したときには、載置コンベア部に載置されたワークは、前記搬送ローラを回転させながら、載置コンベア部上を前記搬送方向に向けて移動することができる。また、ワークは、受取コンベア部上においても、前記搬送ローラを回転させながら、前記搬送方向に向けて移動することができる。
そのため、載置コンベア部から受取コンベア部へのワークの受け渡しを一層円滑に行うことができる。
【0023】
また、前記スライド部は、前記送り側架台に対してスライド可能なスライド連結部に対してスライド可能であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、送り側架台に対してスライド連結部をスライドさせ、スライド連結部に対してスライド部をスライドさせることによって、載置コンベア部を戻位置と出位置との間で移動させることができる。これにより、スライド連結部に対するスライド部のストローク及び送り側架台に対するスライド連結部のストロークを小さくすることができる。そのため、載置コンベア部を移動させる際のスライド部の剛性を高く維持することができ、載置コンベア部の移動を一層円滑にすることができる。
【0024】
また、前記載置コンベア部は、前記搬送方向における後方側端部に、前記送り側架台に設けた送り側係止部に係合する後方ロック部を有しており、該後方ロック部が前記送り側係止部に係合することにより、前記戻位置に維持されるよう構成することが好ましい(請求項5)。
この場合には、前記付勢手段による付勢力に加えて、後方ロック部が送り側係止部に係止されることにより、載置コンベア部を一層安定して戻位置に維持することができる。
【0025】
また、前記後方ロック部は、前記送り側係止部に係合する後方係合爪と、該後方係合爪の前記送り側係止部に対する係合状態が不意に外れたときに、該送り側係止部に係合する予備後方係合爪とを有していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、載置コンベア部が戻位置にあるときに、万が一、後方ロック部における後方係合爪の送り側係止部に対する係合が外れたときでも、後方ロック部における予備後方係合爪が送り側係止部に係合することができる。これにより、戻位置に維持された載置コンベア部が、不意に出位置に向けて移動してしまうことを防止することができる。
【0026】
また、前記載置コンベア部は、該載置コンベア部に設けた送り側回動支点部を中心にして回動し、前記送り側係止部に対する前記後方ロック部の係合状態を解除するための後方ロック解除バーを有しており、該後方ロック解除バーの前方側端部には、前記載置コンベア部に載置された前記ワークに回転接触する送り側ローラドッグが設けてあり、当該後方ロック解除バーの後方側端部には、前記後方ロック部に当接する送り側解除部が設けてあることが好ましい(請求項7)。
【0027】
この場合には、載置コンベア部に載置されたワークは、後方ロック解除バーにおける送り側ローラドッグに当接して、当該後方ロック解除バーを送り側回動支点部を中心に回動させる。このとき、後方ロック解除バーにおける送り側解除部が、後方ロック部の送り側係止部に対する係合状態を解除する。これにより、前記スライド部がワークの自重によって送り側架台から突出して、載置コンベア部が戻位置から出位置に向けて移動することができる。
そのため、載置コンベア部に載置されたワークを利用して、後方ロック部の送り側係止部に対する係合状態を容易に解除することができる。
【0028】
また、前記載置コンベア部は、該載置コンベア部における前記ワークの移動を阻止するための送り側ワークストッパを有しており、該送り側ワークストッパは、前記載置コンベア部が前記出位置に移動したときに前記受け側架台に設けたストッパ解除部によって押し下げられて、前記載置コンベア部における前記ワークの移動の妨げにならない位置に退避するよう構成してあることが好ましい(請求項8)。
【0029】
この場合には、送り側ワークストッパによって載置コンベア部におけるワークの移動を阻止した状態で、前記スライド部を送り側架台から突出させて、載置コンベア部を戻位置から出位置に向けて移動させることができる。
また、載置コンベア部が出位置に移動したときには、送り側ストッパが載置コンベア部におけるワークの移動の妨げにならない位置に退避することにより、載置コンベア部から前記受取コンベア部に向けてワークを容易に受け渡すことができる。
【0030】
また、前記載置コンベア部は、前記搬送方向における前方側端部に、前記受け側架台に設けた受け側係止部に係合する前方ロック部を有しており、該前方ロック部が前記受け側係止部に係合することにより、前記出位置に維持されるよう構成することが好ましい(請求項9)。
この場合には、前方ロック部が受け側係止部に係止されることにより、載置コンベア部を安定して出位置に維持することができる。
【0031】
また、前記前方ロック部は、前記受け側係止部に係合する前方係合爪と、該前方係合爪の前記受け側係止部に対する係合状態が不意に外れたときに、該受け側係止部に係合する予備前方係合爪とを有していることが好ましい(請求項10)。
この場合には、載置コンベア部が出位置にあるときに、万が一、前方ロック部における前方係合爪の受け側係止部に対する係合が外れたときでも、前方ロック部における予備前方係合爪が受け側係止部に係合することができる。これにより、出位置に移動した載置コンベア部が、不意に戻位置に向けて復帰してしまうことを防止することができる。
【0032】
また、前記受取コンベア部は、該受取コンベア部に設けた受け側回動支点部を中心にして回動し、前記受け側係止部に対する前記前方ロック部の係合状態を解除するための前方ロック解除バーを有しており、該前方ロック解除バーの前方側端部には、前記受取コンベア部に移動した前記ワークに回転接触する受け側ローラドッグが設けてあり、当該前方ロック解除バーの後方側端部には、前記前方ロック部に当接する受け側解除部が設けてあることが好ましい(請求項11)。
【0033】
この場合には、受取コンベア部に載置されたワークは、前方ロック解除バーにおける受け側ローラドッグに当接して、当該前方ロック解除バーを受け側回動支点部を中心に回動させる。このとき、前方ロック解除バーにおける受け側解除部が、前方ロック部の受け側係止部に対する係合状態を解除する。これにより、前記スライド部が前記付勢手段による付勢力によって送り側架台に収納され、載置コンベア部が出位置から戻位置へ復帰することができる。
そのため、受取コンベア部へ移動したワークを利用して、前方ロック部の受け側係止部に対する係合状態を容易に解除することができる。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明の搬送コンベアにかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の搬送コンベア1は、図1、図2に示すごとく、ワーク8が載置される載置コンベア部3を備えた送り側架台2と、ワーク8を受け取る受取コンベア部7を備えた受け側架台6とを有し、受け側架台6と送り側架台2との間に通路用空間11を形成してなる。
前記送り側架台2は、載置コンベア部3を移動させるためのスライド部4を有しており、載置コンベア部3は、スライド部4によって、図1、図2に示すごとく、送り側架台2上に待機する戻位置301と、図3、図4に示すごとく、通路用空間11上において受取コンベア部7に連結される出位置302との間で移動可能である。また、送り側架台2は、載置コンベア部3を戻位置301に向けて付勢する付勢手段5を有している。
【0035】
そして、図1〜図4に示すごとく、搬送コンベア1は、載置コンベア部3に載置されたワーク8の自重によって、スライド部4が送り側架台2から突出して、載置コンベア部3を戻位置301から出位置302へ移動させるよう構成してある。また、搬送コンベア1は、載置コンベア部3から受取コンベア部7へワーク8が受け渡された後、付勢手段5による付勢力によってスライド部4が送り側架台2に収納されて、載置コンベア部3を出位置302から戻位置301へ復帰させるよう構成してある。
【0036】
以下に、本例の搬送コンベア1につき、図1〜図15と共に詳説する。
図1〜図4に示すごとく、本例の搬送コンベア1は、モータ又はシリンダー等の動力源を必要とせず、ワーク8自体の自重を動力源として利用して、ワーク8を繰り返し搬送することができるものである。また、本例の搬送コンベア1は、搬送コンベア1の途中において、作業者又は台車(AGV(無人搬送車)、手動台車など)等が通行することができる通路用空間11を形成してなるものである。さらに、本例の搬送コンベア1は、伸縮可能なスライド部4を用いることにより、搬送コンベア1に載置したワーク8を安定して搬送することができるものである。
【0037】
また、図5〜図7に示すごとく、本例のワーク8は、ベースプレート81上に、搬送部品85を保持してなる搬送パレット8である。この搬送パレット8は、ベースプレート81上に搬送部品85を保持するための保持部82を配設してなる。また、本例の搬送部品85は、オートマチックトランスミッション(A/T)又はこのA/Tを構成する部品である。
そして、搬送パレット8は、保持部82によって搬送部品85を保持した状態で、搬送パレット8におけるベースプレート81が、各コンベア部25、3、7における搬送ローラ251、35、75を回転させることにより搬送される。
【0038】
本例のスライド部4は、ガイドレールと、このガイドレールに対して相対的にスライドするスライダーとを備えたリニアガイドによって構成してある。このリニアガイドは、スライダーとガイドレールとの間に複数の鋼球(図示略)を備えている。そして、スライダーとガイドレールとは、複数の鋼球がこれらに接触して転がることにより、摩擦を小さくした状態で相対移動することができる。
【0039】
また、本例のスライド部4は、載置コンベア部3を移動させる際のスライド部4の剛性を高く維持するために、送り側架台2に対してスライド可能なスライド連結部に対してスライド可能である。
具体的には、図9に示すごとく、本例のリニアガイド40は、ガイドレール42の一方側のレール表面421に第1スライダー41をスライド可能に配設すると共に、ガイドレール42の一方側のレール表面421とは反対側のレール表面422に第2スライダー43をスライド可能に配設してなるダブルスライド方式のものである。
【0040】
そして、本例においては、スライド部4は第2スライダー43であり、スライド連結部は、ガイドレール42である。また、第1スライダー41は、送り側架台2に固定してあると共に、スライド部4としての第2スライダー43は、載置コンベア部3に固定してある。また、スライド連結部としてのガイドレール42は、第1スライダー41と第2スライダー43とを連結している(図3参照)。
【0041】
こうして、本例においては、ガイドレール42が第1スライダー41に対してスライドし、スライド部4としての第2スライダー43がガイドレール42に対してスライドすることにより、載置コンベア部3を戻位置301と出位置302との間で移動させることができる。そして、このスライドの際に、第1スライダー41と第2スライダー43とが、ガイドレール42との間に複数の鋼球を転がしながらスライドすることにより、スライド部4が載置コンベア部3を移動させる際の摩擦抵抗を小さく維持することができる。
また、図6、図7に示すごとく、本例のリニアガイド40は、送り側架台2に複数本(2本)並列に配設してある。
【0042】
また、図1、図3、図5に示すごとく、本例のスライド部4は、送り側架台2から受け側架台6へのワーク8の搬送方向Lに向けて下降傾斜した状態で送り側架台2に配設してある。本例においては、第1スライダー41を傾斜させた状態で送り側架台2に配設しており、ガイドレール42及び第2スライダー43を、傾斜させた状態で送り側架台2から突出させることができる。また、本例のスライド部4の配設傾斜角度θは、1〜5°の範囲内に設定されている(図5参照)。
なお、スライド部4は、固定部41を第1ガイドレールとし、スライド連結部42を、対向する一対の表面にガイドレールをスライドさせるスライダーとし、スライド部43を第2ガイドレールとして構成することもできる。
【0043】
図5、図6に示すごとく、本例の付勢手段5は、ケース本体51内に、ねじりコイルバネ(図示略)及び引き出し可能なワイヤ52を巻回収納してなるスプリングバランサ5である。このスプリングバランサ5は、ワイヤ52の先端にフック521を備えており、このフック521を引っ張ることによって、ねじりコイルバネがねじられて、ワイヤ52をケース本体51内に引き戻そうとする付勢力を発生させるものである。
【0044】
本例のスプリングバランサ5は、ケース本体51が送り側架台2に配設してあり、ワイヤ52の先端におけるフック521が載置コンベア部3に取り付けてある。また、ワイヤ52は、送り側架台2に設けたプーリ22を介して載置コンベア部3に取り付けてある。
そして、図3、図4に示すごとく、載置コンベア部3が戻位置301から出位置302に向けて移動するときには、ワイヤ52がケース本体51内から引き出される。このとき、ケース本体51内におけるねじりコイルバネがねじられ、ワイヤ52をケース本体51内に引き戻そうとする引戻し力が発生する。そして、この引戻し力が、載置コンベア部3を戻位置301に向けて付勢する付勢力として作用する。
【0045】
図5、図6に示すごとく、本例の送り側架台2は、載置コンベア部3にワーク8を送り出すための送出コンベア部25を有している。この送出コンベア部25は、前記ワーク8の搬送方向Lにおいて載置コンベア部3の上流側に配設してある。
また、図6、図8に示すごとく、送出コンベア部25、載置コンベア部3及び前記受取コンベア部7は、ワーク8に回転接触する複数の搬送ローラ251、35、75をそれぞれ有して構成されている。各コンベア部25、3、7において、複数の搬送ローラ251、35、75は、搬送方向Lに沿って複数個並べて配設されて搬送ローラ列252、351、751を形成しており、この搬送ローラ列252、351、751は、各コンベア部25、3、7の左右に配設されている。
本例の搬送ローラ251、35、75は、軸部材の外周側にローラリングを配設し、ローラリングと軸部材との間に複数の鋼球を配設してなる。
【0046】
また、図5、図10に示すごとく、載置コンベア部3は、前記搬送方向Lに向けて下降傾斜している第2スライダー43に取り付けてあることにより、搬送方向Lに向けて下降傾斜している。また、受取コンベア部7は、搬送方向Lに向けて下降傾斜した状態で受け側架台6に配設してある。
そして、図8、図11に示すごとく、載置コンベア部3は、その配設傾斜角度を調節可能な状態で第2スライダー43に取り付けてあり、受取コンベア部7は、その配設傾斜角度を調節可能な状態で受け側架台6に配設してある。
【0047】
また、送出コンベア部25における搬送ローラ251の配設高さと、載置コンベア部3における最も上流側に位置する搬送ローラ35の配設高さとが略同一になっている。また、載置コンベア部3における最も下流側に位置する搬送ローラ35の配設高さと、受取コンベア部7における最も上流側に位置する搬送ローラ75の配設高さとが略同一になっている。
【0048】
また、本例の搬送コンベア1は、載置コンベア部3を戻位置301及び出位置302において安定して維持することにより、ワーク搬送を安定させる工夫を行っている。
すなわち、図10に示すごとく、載置コンベア部3は、搬送方向Lにおける後方側端部に、送り側架台2に設けた送り側係止部21に係合する後方ロック部32を有している。そして、載置コンベア部3は、後方ロック部32が送り側係止部21に係合することにより、戻位置301に維持されるよう構成してある。
【0049】
また、図10、図12に示すごとく、本例の後方ロック部32は、載置コンベア部3に設けた後方回動中心部321を中心に回動可能であり、バネ324による付勢力を受けて、送り側架台2に設けた送り側係止部21に係合するよう構成してある。また、後方ロック部32は、送り側係止部21に係合する後方係合爪322と、送り側係止部21に対する後方係合爪322の係合が不意に外れたときに、送り側係止部21に係合する予備後方係合爪323とを有している。
【0050】
後方係合爪322と予備後方係合爪323とは、搬送方向Lに向けて並べて形成されている。また、後方係合爪322及び予備後方係合爪323は、後方ロック部32の上方に向けて形成してある。そして、前記バネ324は、後方ロック部32を送り側係止部21に係合する方向(上方)に向けて付勢している。また、送り側係止部21は、後方係合爪322及び予備後方係合爪323を係止することができる送り側係止突起211を、受け側係止部61の下方に向けて形成してなる。
【0051】
また、図10、図12に示すごとく、載置コンベア部3は、この載置コンベア部3に設けた送り側回動支点部331を中心にして回動し、送り側係止部21に対する後方ロック部32の係合状態を解除するための後方ロック解除バー33を有している。そして、後方ロック解除バー33は、その前方側端部に、載置コンベア部3に載置されたワーク8に回転接触する送り側ローラドッグ332を有すると共に、その後方側端部に、後方ロック部32に当接する送り側解除部333を有している。
【0052】
また、図5、図6に示すごとく、載置コンベア部3は、この載置コンベア部3におけるワーク8の移動を阻止するための送り側ワークストッパ34を有している。この送り側ワークストッパ34は、図14に示すごとく、載置コンベア部3が出位置302に移動したときに、受け側架台6に設けたストッパ解除部62によって押し下げられて、載置コンベア部3におけるワーク8の移動の妨げにならない位置に退避するよう構成してある。
【0053】
また、送り側ワークストッパ34は、ワーク8の移動を阻止するワーク移動阻止部341と、このワーク移動阻止部341に配設した衝撃吸収用のショックアブソーバ342と、ストッパ解除部62に当接するストッパ当接部343とを有している。また、送り側ワークストッパ34は、ストッパ解除部62によって押されて下方にスライド可能であり、バネ344によって上方に向けて付勢されている。
【0054】
また、図11、図12、図14に示すごとく、本例のストッパ解除部62は、軸部材の外周側にリング部材を回転可能に配設してなる回転ローラ62であり、本例のストッパ当接部343は、回転ローラ62に当接する傾斜面343である。そして、送り側ワークストッパ34は、回転ローラ62が回転しながら傾斜面343に当接することによって押し下げられ、載置コンベア部3におけるワーク8の移動の妨げにならない位置に退避することができる。
【0055】
また、図10に示すごとく、載置コンベア部3は、搬送方向Lにおける前方側端部に、受け側架台6に設けた受け側係止部61に係合する前方ロック部31を有している。そして、載置コンベア部3は、前方ロック部31が受け側係止部61に係合することにより、出位置302に維持されるよう構成してある。
【0056】
図10、図13に示すごとく、本例の前方ロック部31は、載置コンベア部3に設けた前方回動中心部311を中心に回動可能であり、当該前方ロック部31自体の自重によって降下して、受け側架台6に設けた受け側係止部61に係合するよう構成してある。また、前方ロック部31は、受け側係止部61に係合する前方係合爪312と、受け側係止部61に対する前方係合爪312の係合が不意に外れたときに、受け側係止部61に係合する予備前方係合爪313とを有している。
前方係合爪312と予備前方係合爪313とは、搬送方向Lに向けて並べて形成されている。また、前方係合爪312及び予備前方係合爪313は、前方ロック部31の下方に向けて形成してある。また、受け側係止部61は、前方係合爪312及び予備前方係合爪313を係止することができる受け側係止突起611を、上方に向けて形成してなる。
【0057】
また、図8、図11に示すごとく、受取コンベア部7は、この受取コンベア部7に設けた受け側回動支点部731を中心にして回動し、受け側係止部61に対する前方ロック部31の係合状態を解除するための前方ロック解除バー73を有している。この前方ロック解除バー73は、その前方側端部に、受取コンベア部7に移動したワーク8に回転接触する受け側ローラドッグ732を有すると共に、その後方側端部に、前方ロック部31に当接する受け側解除部733を有している。
また、受け側架台6には、受取コンベア部7におけるワーク8の移動を阻止するための受け側ワークストッパ74が設けてある。
【0058】
次に、前記搬送コンベア1の動作及び作用効果につき説明する。
図1、図2に示すごとく、載置コンベア部3に搬送部品85を保持した搬送パレット(ワーク)8が搬送(載置)されていないときには、載置コンベア部3は、送り側架台2上における戻位置301に待機しており、受け側架台6と送り側架台2との間には通路用空間11が形成されている。
このとき、図5、図6、図10に示すごとく、載置コンベア部3は、付勢手段5によって戻位置301に付勢されており、送り側係止部21の送り側係止突起211に、後方ロック部32の後方係合爪322が係合している。また、送り側係止突起211に対する後方係合爪322の係合状態が不意に外れてしまったときでも、予備後方係合爪323が送り側係止突起211に係合して、載置コンベア部3を戻位置301に維持できるようになっている。
【0059】
こうして、搬送コンベア1が作動していないときには、作業者又は台車(AGV(無人搬送車)、手動台車など)等は、通路用空間11を利用して、搬送コンベア1を横断することができる。そのため、搬送コンベア1の周辺における作業者又は台車等の通行を円滑にすることができる。
【0060】
また、載置コンベア部3が送り側架台2上の戻位置301に維持されているときには、載置コンベア部3には、搬送方向Lに向けて、載置コンベア部3及びスライド部4の自重による降下搬送力が作用している一方、搬送方向Lとは反対側の方向に向けて付勢手段5による付勢力が作用している。そして、載置コンベア部3には、載置コンベア部3及びスライド部4の自重による降下搬送力に比べて、付勢手段5による付勢力が大きく作用していることにより、当該載置コンベア部3を戻位置301に安定して維持することができる。
【0061】
次いで、図10に示すごとく、送出コンベア部25に搬送部品85を保持した搬送パレット8が載置されると、この搬送パレット8は、送出コンベア部25における複数の搬送ローラ251によって載置コンベア部3に送り出される。そして、載置コンベア部3に送り出された搬送パレット8は、載置コンベア部3における複数の搬送ローラ35によって載置コンベア部3上を移動する。
【0062】
そして、図12に示すごとく、送出コンベア部25から載置コンベア部3へ搬送パレット8が受け渡されたときには、この搬送パレット8におけるベースプレート81の前方端部が、後方ロック解除バー33における送り側ローラドッグ332に当接する。このとき、送り側ローラドッグ332が押し下げられ、後方ロック解除バー33が、送り側回動支点部331を中心に回動する。これにより、後方ロック解除バー33における送り側解除部333が、送り側係止突起211に対する後方係合爪322の係合状態を解除する。そして、スライド部4が搬送パレット8の自重によって送り側架台2から突出し、載置コンベア部3が出位置302に向けて移動を開始する。
【0063】
また、図12に示すごとく、搬送パレット8によって後方ロック解除バー33が回動し、送り側係止突起211に対する後方係合爪322の係合状態が解除されたときには、送り側ワークストッパ34によって載置コンベア部3上における搬送パレット8の移動が阻止される。
こうして、スライド部4が送り側架台2から突出する際には、スライド連結部42が固定部41に対してスライドすると共に、スライド部43がスライド連結部42に対してスライドし、載置コンベア部3が出位置302に向けて移動する。
【0064】
また、載置コンベア部3が出位置302に向けて移動するときには、載置コンベア部3には、搬送方向Lに向けて、搬送部品85を保持した搬送パレット8の自重による降下搬送力も作用する。そして、載置コンベア部3には、付勢手段5による付勢力に比べて、載置コンベア部3、スライド部4及び搬送パレット8の自重による降下搬送力が大きく作用する。
これにより、図3、図4に示すごとく、搬送パレット8等の自重による降下搬送力が、付勢手段5による付勢力に打ち勝って、スライド部4が送り側架台2から受け側架台6に向けて突出し、スライド部4に配設された載置コンベア部3を、受取コンベア部7に連結する出位置302まで移動させることができる。
【0065】
次いで、図13に示すごとく、載置コンベア部3が受け側架台6に接近すると、前方ロック部31の前方係合爪312が受け側係止部61の受け側係止突起611に係合する。このとき、受け側係止突起611は、まず、予備前方係合爪313に当接して前方ロック部31を回動させながら持ち上げた後、前方係合爪312を係止する。こうして、載置コンベア部3が、通路用空間11上において受取コンベア部7に連結される出位置302に維持される。また、受け側係止突起611に対する前方係合爪312の係合状態が不意に外れてしまったときでも、予備前方係合爪313が受け側係止突起611に係合して、載置コンベア部3を出位置302に維持できるようになっている。
【0066】
また、図14に示すごとく、受け側係止突起611が前方係合爪312を係止するときには、送り側ワークストッパ34が、受け側架台6におけるストッパ解除部62に当接して押し下げられ、載置コンベア部3におけるワーク8の移動の妨げにならない位置、すなわち複数の搬送ローラ35の上端よりも下方に退避する。これにより、載置コンベア部3に載置された搬送パレット8が、その自重によって受取コンベア部7に向けて移動する。また、搬送パレット8は、載置コンベア部3における搬送ローラ35及び受取コンベア部7における搬送ローラ75によって、載置コンベア部3から受取コンベア部7に向けて移動する。
【0067】
そして、図15に示すごとく、載置コンベア部3から受取コンベア部7へ搬送パレット8が受け渡されたときには、この搬送パレット8におけるベースプレート81の前方端部が、前方ロック解除バー73における受け側ローラドッグ732に当接する。このとき、受け側ローラドッグ732が押し下げられ、前方ロック解除バー73が、受け側回動支点部731を中心に回動する。これにより、前方ロック解除バー73における受け側解除部733が、受け側係止突起611に対する前方係合爪312の係合状態を解除する。
【0068】
また、載置コンベア部3から受取コンベア部7へ搬送パレット8が受け渡されたときには、載置コンベア部3には、載置コンベア部3及びスライド部4の自重による降下搬送力に比べて、付勢手段5による付勢力が大きく作用する。これにより、付勢手段5による付勢力を受けて、スライド部43がスライド連結部42に対してスライドすると共に、スライド連結部42が固定部41に対してスライドし、載置コンベア部3が戻位置301に向けて移動する。
【0069】
こうして、図1、図2に示すごとく、スライド部4が送り側架台2に収納され、載置コンベア部3を送り側架台2上の戻位置301まで復帰させることができる。
また、図10に示すごとく、送り側架台2における送り側係止部21の送り側係止突起211に、後方ロック部32の後方係合爪322が再び係合し、載置コンベア部3を戻位置301に安定して維持することができる。
【0070】
このように、前記搬送コンベア1によれば、モータ又はシリンダー等の動力源を使用することなく、搬送部品85を保持した搬送パレット(ワーク)8自体の自重を利用して当該搬送パレット8を送り側架台2から受け側架台6へ搬送することができる。そして、搬送コンベア1は、搬送パレット8を載置コンベア部3に載置する毎に、何度でも繰り返し送り側架台2から受け側架台6へ搬送することができる。
そのため、搬送コンベア1のイニシャルコスト及びランニングコストを低減させることができる。
【0071】
さらに、前記のごとく、搬送コンベア1は、スライド部4を用いて載置コンベア部3を移動させることができる。これにより、載置コンベア部3を車輪を用いることなく移動させることができ、車輪とレールとの間に異物等が入って載置コンベア部3の移動を妨げるようなことがない。そのため、載置コンベア部3に載置されたワーク8を、安定して受取コンベア部7へ搬送することができる。
【0072】
それ故、本例の搬送コンベア1によれば、作業者又は台車等が通行することができる通路を形成できると共に、搬送部品85を保持した搬送パレット(ワーク)8の自重を動力源として利用して、安定して搬送パレット8の搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例における、載置コンベア部が戻位置にある状態の搬送コンベアを示す正面図。
【図2】実施例における、載置コンベア部が戻位置にある状態の搬送コンベアを示す平面図。
【図3】実施例における、載置コンベア部が出位置にある状態の搬送コンベアを示す正面図。
【図4】実施例における、載置コンベア部が出位置にある状態の搬送コンベアを示す平面図。
【図5】実施例における、送り側架台を示す正面図。
【図6】実施例における、送り側架台を示す平面図。
【図7】実施例における、送り側架台を示す側面図。
【図8】実施例における、受け側架台を示す正面図。
【図9】実施例における、スライド部を構成するリニアガイドを示す斜視図。
【図10】実施例における、戻位置に待機する状態の載置コンベア部を示す正面図。
【図11】実施例における、受取コンベア部を示す正面図。
【図12】実施例における、戻位置から出位置へ移動する状態の載置コンベア部を示す正面図。
【図13】実施例における、戻位置から出位置へ移動した状態の載置コンベア部を示す正面図。
【図14】実施例における、戻位置から出位置へ移動した状態の載置コンベア部を示す正面図。
【図15】実施例における、載置コンベア部からワークを受け取った状態の受取コンベア部を示す正面図。
【符号の説明】
【0074】
1 搬送コンベア
11 通路用空間
2 送り側架台
21 送り側係止部
3 載置コンベア部
301 戻位置
302 出位置
31 前方ロック部
311 前方回動中心部
312 前方係合爪
313 予備前方係合爪
32 後方ロック部
321 後方回動中心部
322 後方係合爪
323 予備後方係合爪
33 後方ロック解除バー
331 送り側回動支点部
332 送り側ローラドッグ
333 送り側解除部
34 送り側ワークストッパ
35 搬送ローラ
4 スライド部(第2スライダー)
40 リニアガイド
41 固定部(第1スライダー)
42 スライド連結部(ガイドレール)
5 付勢手段
6 受け側架台
61 受け側係止部
62 ストッパ解除部
7 受取コンベア部
73 前方ロック解除バー
731 受け側回動支点部
732 受け側ローラドッグ
733 受け側解除部
75 搬送ローラ
8 ワーク(搬送パレット)
81 ベースプレート
85 搬送部品
L 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載置される載置コンベア部を備えた送り側架台と、ワークを受け取る受取コンベア部を備えた受け側架台とを有し、該受け側架台と前記送り側架台との間に通路用空間を形成してなる搬送コンベアであって、
前記送り側架台は、該送り側架台に対してスライド可能なスライド部と、該スライド部に配設した載置コンベア部とを有しており、
該載置コンベア部は、前記スライド部により、前記送り側架台上に待機する戻位置と、前記通路用空間上において前記受取コンベア部に連結される出位置との間で移動可能であると共に、前記送り側架台に配設した付勢手段によって前記戻位置に向けて付勢してあり、
前記載置コンベア部に載置された前記ワークの自重によって、前記スライド部が前記送り側架台から突出して、前記載置コンベア部を前記戻位置から前記出位置へ移動させ、前記載置コンベア部から前記受取コンベア部へ前記ワークが受け渡された後、前記付勢手段による付勢力によって前記スライド部が前記送り側架台に収納されて、前記載置コンベア部を前記出位置から前記戻位置へ復帰させるよう構成してあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項2】
請求項1において、前記スライド部は、前記送り側架台から前記受け側架台への前記ワークの搬送方向に向けて下降傾斜した状態で前記送り側架台に配設してあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項3】
請求項2において、前記載置コンベア部及び前記受取コンベア部は、前記ワークに回転接触する複数の搬送ローラを有していると共に、前記搬送方向に向けて下降傾斜していることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記スライド部は、前記送り側架台に対してスライド可能なスライド連結部に対してスライド可能であることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記載置コンベア部は、前記搬送方向における後方側端部に、前記送り側架台に設けた送り側係止部に係合する後方ロック部を有しており、該後方ロック部が前記送り側係止部に係合することにより、前記戻位置に維持されるよう構成してあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項6】
請求項5において、前記後方ロック部は、前記送り側係止部に係合する後方係合爪と、該後方係合爪の前記送り側係止部に対する係合状態が不意に外れたときに、該送り側係止部に係合する予備後方係合爪とを有していることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記載置コンベア部は、該載置コンベア部に設けた送り側回動支点部を中心にして回動し、前記送り側係止部に対する前記後方ロック部の係合状態を解除するための後方ロック解除バーを有しており、
該後方ロック解除バーの前方側端部には、前記載置コンベア部に載置された前記ワークに回転接触する送り側ローラドッグが設けてあり、当該後方ロック解除バーの後方側端部には、前記後方ロック部に当接する送り側解除部が設けてあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、前記載置コンベア部は、該載置コンベア部における前記ワークの移動を阻止するための送り側ワークストッパを有しており、
該送り側ワークストッパは、前記載置コンベア部が前記出位置に移動したときに前記受け側架台に設けたストッパ解除部によって押し下げられて、前記載置コンベア部における前記ワークの移動の妨げにならない位置に退避するよう構成してあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、前記載置コンベア部は、前記搬送方向における前方側端部に、前記受け側架台に設けた受け側係止部に係合する前方ロック部を有しており、該前方ロック部が前記受け側係止部に係合することにより、前記出位置に維持されるよう構成してあることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項10】
請求項9において、前記前方ロック部は、前記受け側係止部に係合する前方係合爪と、該前方係合爪の前記受け側係止部に対する係合状態が不意に外れたときに、該受け側係止部に係合する予備前方係合爪とを有していることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項11】
請求項9又は10において、前記受取コンベア部は、該受取コンベア部に設けた受け側回動支点部を中心にして回動し、前記受け側係止部に対する前記前方ロック部の係合状態を解除するための前方ロック解除バーを有しており、
該前方ロック解除バーの前方側端部には、前記受取コンベア部に移動した前記ワークに回転接触する受け側ローラドッグが設けてあり、当該前方ロック解除バーの後方側端部には、前記前方ロック部に当接する受け側解除部が設けてあることを特徴とする搬送コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−306587(P2006−306587A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132387(P2005−132387)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】