説明

搬送ハンド及び搬送ロボット

【課題】画像認識によるZ軸方向の位置情報に誤差がある場合であっても、搬送ハンド及び物品の損傷を防止するだけでなく、確実に物品を挟持することができ、搬送中に物品の姿勢を崩すことなく安全に搬送できる搬送ハンドを提供する。
【解決手段】画像認識によって得られた物品の3次元位置情報に基づいてその物品Wを搬送する搬送ロボット400に用いられ、ハンド本体4に設けられた複数の挟持体5の間隔を拡縮することによって物品Wを挟持又は解放する搬送ハンド3であって、挟持体5が収容部51と可動部52とからなり伸縮可能に構成され、物品Wを挟持した状態において、可動部52が、がたつきにより収容部51に対して傾いて収容部51の挟持方向の内面51aと接触する。一方、物品Wを開放した状態において、可動部52が、付勢部材53の弾性力により、収容部51の挟持方向の内面51aから離間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像認識によって得られた物品の3次元位置情報に基づいて、その物品を搬送する搬送ロボット及びこの搬送ロボットに用いられる搬送ハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品搬送装置に用いられる搬送ロボットとしては、特許文献1に示すように、予め定められた動作手順により制御(ティーチング制御)されるものが主流である。
【0003】
そして、近年では、例えば特許文献2に示すように、画像処理によって物品の3次元位置情報を取得し、その3次元位置情報に基づいて搬送ロボットを制御して、物品を挟持して搬送するものが考えられている。
【0004】
しかしながら、画像認識により3次元位置情報を取得する場合には、一般に搬送ハンドが昇降移動するZ軸方向(高さ方向)の位置精度が悪く、搬送ハンドにより物品を確実に挟持することができない、又は搬送ハンドが載置台に接触してしまい搬送ハンドが破損してしまうという問題がある。
【0005】
また、画像認識後に物品が動く等により、画像認識により取得した位置情報と、実際の物品の位置とが異なる場合には、搬送ハンドと物品とが接触してしまい物品又は搬送ハンドが破損してしまうという問題もある。
【0006】
さらに、例えば壁に立て掛けられた状態等のように傾いた状態の物品を挟持する場合には、搬送ハンドの指のいずれかが載置面又は壁の一方に先に接触してしまい、それ以上移動することができず、物品を挟持することができない又は物品の挟持が不十分になってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−5608号公報
【特許文献2】特開2006−130580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、画像認識によるZ軸方向の位置情報に誤差がある場合であっても、搬送ハンド又は物品の損傷を防止するだけでなく、確実に物品を挟持することができ、搬送中に物品の姿勢を崩すことなく安全に搬送できる搬送ハンドを提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る搬送ハンドは、画像認識によって得られた物品の3次元位置情報に基づいてその物品を搬送する搬送ロボットに用いられ、ハンド本体に設けられた複数の挟持体の間隔を拡縮することによって物品を挟持又は解放する搬送ハンドであって、前記挟持体が、前記ハンド本体に設けられ、物品を挟持する挟持方向に沿ってスライド移動する挟持体本体と、前記挟持体本体に挟持方向に略直交する方向に沿ってスライド移動可能にがたつきをもって収容される可動部と、前記挟持体本体及び前記可動部の間に介在して設けられ、前記可動部を開放方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記物品を挟持した状態において、前記可動部が、がたつきにより前記挟持体本体に対して傾いて前記挟持体本体の挟持方向の内面と接触して前記挟持体本体に対して固定され、物品を開放した状態において、前記付勢部材が、前記可動部を前記収容部の挟持方向の内面から離間させることにより、前記挟持体本体に対する前記可動部の固定を解除するものであることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、挟持体が挟持体本体及び可動部を備えて伸縮するので、画像認識によるZ軸方向の位置精度が悪く可動部が載置面に接触しても可動部が挟持体本体に対してスライド移動し、載置面との接触の衝撃を緩和して搬送ハンドの故障を防ぐことができる。また、画像認識の前後による物品の位置変化等により搬送ハンドが物品に接触しても可動部が挟持体本体に対してスライド移動するので、搬送ハンド及び物品を損傷することも防止することができる。さらに、挟持体本体が縮んだ状態で物品を挟持した際に可動部が挟持体本体に対して固定されているので、物品を挟持した後に可動部が挟持体本体に対してスライド移動して挟持した物品のバランスが崩れて落下してしまう等の問題も解決することができる。その上、可動部が挟持体本体に対してスライド移動するように構成されているので、画像認識によりZ軸方向の位置精度が悪い場合であっても、画像認識により得られたZ軸方向に所定値を加えた値に搬送ハンドを移動させるようにすれば、画像認識によるZ軸方向の位置精度に関係なく物品を確実に挟持することができる。
【0011】
挟持体本体に対する可動部の固定を一層確実にするためには、挟持体本体の挟持方向の内面に、前記可動部のスライド移動を防止するスライド防止構造が形成されていることが望ましい。このとき、スライド防止構造としては、例えば挟持方向の内面に形成された凹凸であっても良いし、粘着性を有する部材を設けることによって構成しても良い。
【0012】
物品の解放後などにおいて、挟持体本体に対して可動部を押し出し易くするためには、前記可動部を前記挟持体本体の先端側に付勢する付勢部材をさらに備えていることが望ましい。
【0013】
物品の解放後などにおいて、挟持体本体に対して可動部を押し出しやすくするとともに、構成の簡単化及び部品点数の削減を図るためには、前記付勢部材が、前記可動部を開放方向に付勢するとともに、前記挟持体本体の先端側に付勢するように配置されていることが望ましい。
【0014】
付勢部材が挟持体本体の解放方向に付勢するものであり、物品を挟持していない状態では、可動部が挟持体本体の解放方向の内面に接触した状態となり得る。このとき、可動部を挟持体本体に対してスライド移動し易くするためには、前記挟持体本体の解放方向の内面に、前記可動部がスライド自在に接触するスライド許容構造が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、挟持体本体及び可動部の間のがたつきを積極的に利用して、画像認識によるZ軸方向の位置情報に誤差がある場合であっても、搬送ハンド及び物品の損傷を防止するだけでなく、確実に物品を挟持することができ、搬送中に物品の姿勢を崩すことなく安全に搬送できる搬送ハンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る物品搬送装置の構成を示す模式図である。
【図2】搬送ハンドの構成を示す模式図である。
【図3】物品を挟持した状態における図2中の左側の挟持体の模式的断面図である。
【図4】物品を挟持していない状態における図2中の左側の挟持体の模式的断面図である。
【図5】可動部の変形例を示す図である。
【図6】挟持体の変形例を示す図である。
【図7】挟持体の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る物品搬送装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る物品搬送装置100は、図1に示すように、例えば上部に開口を有する箱体Cに収容された複数の物品Wの画像を取得する撮像部200と、当該撮像部200により得られた画像データを処理して画像認識する画像認識部300と、前記箱体Cに収容された物品Wを搬送するための搬送ロボット400と、前記画像認識部300により得られた画像認識データから物品の3次元位置情報を取得し、前記搬送ロボットを制御するCPU、メモリ等を有する制御部500と、を備えている。なお、本実施形態の物品Wは、概略直方体形状をなすものであるが、これに限られない。
【0019】
なお、画像認識方法としては、例えば撮像部200が1つであって物品Wの形状が予め分かっている場合には透視ひずみ法が用いられる。その他、2つの撮像部200を用いたステレオ法、又はレーザ切断法など種々の方法を用いることもできる。
【0020】
本実施形態の搬送ロボット400は多関節型搬送ロボットであり、少なくともX軸、Y軸、Z軸に自由度を有する多関節を有する搬送アーム2と、当該搬送アーム2の先端に固定される搬送ハンド3と、を備えている。なお搬送ロボット400は、直交ロボット又はスラカロボット等を用いても良い。この搬送アーム2は、制御部500からの制御信号により、搬送ハンド3の中心軸Lと物品Wの上面の中心とが一致して、その上面の垂直方向に沿って昇降移動するように搬送ハンド3を移動させる。
【0021】
しかして本実施形態の搬送ハンド3は、図2に示すように、ハンド本体4に設けられた複数の挟持体5の間隔を拡縮することによって物品Wを挟持又は解放するものである。
【0022】
ハンド本体4は、概略直方体形状をなすものであり、その下面に複数の挟持体5が延設されており、その挟持体5を拡縮移動させるためのレール(不図示)と、当該レール上で挟持体5をスライド移動させるための駆動機構(不図示)と、を備えている。なお、本実施形態ではハンド本体4の上面に搬送アーム2が接続される。
【0023】
挟持体5は、ハンド本体4の下面に設けられ、物品Wを挟持する挟持方向(図2の矢印Aに示す内向き方向)に沿ってスライド移動する挟持体本体51と、その挟持体本体51に挟持方向に略直交する方向(Z軸方向)に沿ってスライド移動可能にがたつきをもって収容される可動部52と、挟持体本体51及び可動部52の間に介在して設けられ、可動部52を解放方向(図2の矢印Bに示す外向き方向)に付勢する付勢部材53と、を備えている。
【0024】
挟持体本体51は、ハンド本体4に垂直に延設された概略直方体形状をなす中空箱体であり、下部に開口を有しこの開口から可動部52が下方に延設されている。また、挟持体本体51の側壁には、後述する可動部52の突起52Pがスライドするスライド長孔51Hが形成されている。このスライド長孔51Hは、可動部52の移動範囲を規定するものである。
【0025】
可動部52は、概略平板状をなし挟持面が平面状をなすものである。また、可動部52は、挟持体本体51内に収容されて当該挟持体本体51の軸方向(挟持方向Aに略直交する方向)に沿ってスライド移動する。この可動部52は、挟持体本体51内にがたつきをもって収容されており、物品Wを挟持した状態(図3参照)と、物品Wを挟持していない状態(図4参照)とで挟持体本体51に対する姿勢が異なる。可動部52の各状態については後述する。なお、可動部52の側面には、図2に示すように、挟持体本体51に形成されたスライド長孔51Hに係合して可動部52を案内するための突起52Pが設けられている。この突起52Pは、スライド長孔51Hにがたつきをもって係合している。
【0026】
付勢部材53は、可動部52に対して解放方向Bに弾性力を付勢するとともに、挟持体本体51の先端側(図2等においてZ軸方向下向き)に弾性力を付勢するように配置された弾性部材である。具体的には、弾性部材であるスプリング53が、可動部52のスライド方向(Z軸方向)に対して傾斜して設けられており、その一端が、挟持体本体51の下端部の解放方向側に接続され、他端が、可動部52の突起52Pに接続されている。
【0027】
しかして本実施形態では、図3及び図4に示すように、挟持体本体51の挟持方向の内面51aにはスライド防止構造511が設けられ、挟持体本体51の解放方向の内面51bにはスライド許容構造512が設けられている。
【0028】
スライド防止構造511は、物品Wを挟持した状態において可動部52の挟持体本体51に対するZ軸方向のスライド移動を防止するものであり、図3等に示すように、挟持体本体51の挟持方向の内面51aに形成された凹凸である。詳細には、スライド防止構造511は断面概略鋸歯状をなす凹凸である。なお、スライド防止構造511としては、物品Wを挟持した際に物品Wから受ける鉛直方向の力、弾性部材53から受ける鉛直方向の弾性力、及び可動部52にかかる重力によって可動部52がスライド移動しない程度の摩擦係数を有する構造であれば良い。スライド防止構造511としては、凹凸形状の他に、粘着性を有する部材を用いて構成しても良い。
【0029】
スライド許容構造512は、物品Wを開放した状態(弾性部材53により可動部52が挟持体本体51の解放方向内面51bに接触した状態)において可動部52の挟持体本体51に対するZ軸方向のスライド移動を許容するものであり、スライド防止構造511よりも摩擦係数が小さく、例えば表面処理によって滑り易くすることにより構成されている。なお、解放方向の内面51b上に回転自在に設けられた複数のローラによって構成しても良い。このとき各ローラの回転軸は、可動部52のスライド方向に略直交するように設けられている。
【0030】
図3に示すように物品Wを挟持した状態で、可動部52は、物品Wから解放方向Bを向く力を受ける。これにより可動部52は、挟持体本体51内のがたつきにより所定位置を回転中心として回転し、可動部52の挟持体本体51に収容されている部分は、挟持方向Aに向かって移動し、可動部52は挟持体本体51の中心軸Cに対して挟持方向側に傾く。これにより可動部52の上端部は挟持体本体51の挟持方向内面51aのスライド防止構造511に接触する。これにより、可動部52が挟持体本体51に対してスライド移動しないように固定される。
【0031】
一方で、図4に示すように物品Wを挟持していない状態で、可動部52の挟持体本体51に収容されている部分は、弾性部材53から解放方向Bを向く力を受ける。これにより可動部52は、挟持体本体51内のがたつきにより所定位置を回転中心として回転し、中心軸Cに対して解放方向側に傾く。これにより可動部52の上端部は、スライド防止構造511から離間すると共に、スライド許容構造512に接触する。また、可動部52は、弾性部材53から挟持方向Aに略直交する方向(鉛直方向下向き)を向く力を受け、可動部52は挟持体本体51から下方にスライド移動して延び出る。なお、可動部52が伸び出る範囲は、前述したスライド長孔51Hの下面に可動部52に設けた突起52Pが接触するまでである。
【0032】
このように構成した物品搬送装置100の動作について説明する。
制御部500は、画像認識部300により得られた物品Wの3次元位置情報と、搬送ハンド3の位置情報とを比較して、搬送ハンド3を物品Wまで移動するように搬送アーム2を制御する。このとき、物品W上面に垂直な高さ方向に関しては、物品Wと搬送ハンド3との高さ方向の距離に所定値を加えた値を移動距離として、搬送アーム2を制御する。ここで所定値とは、画像認識による高さ方向の位置情報の精度誤差の範囲であり、例えば1cm程度である。これにより画像認識による物品Wの高さ方向の位置に誤差が生じている場合であっても、確実に搬送ハンド3を高さ方向に対して物品Wまで移動させることができる。このように制御された搬送ハンド3は、物品Wの載置面に接触する。このとき搬送ハンド3の挟持体5は可動部52により伸縮移動するので、載置面に接触しても搬送ハンド3が損傷することはない。また、物品Wに接触しても搬送ハンド3及び物品Wが損傷することが無い。
【0033】
なお、挟持体本体51内に接触センサ等を設け、可動部52が挿入される上限を定めておき、搬送ハンド3を下げすぎた場合を検出するようにしても良い。これにより搬送ハンド3の故障を防止することができる。また、制御部500は、接触センサからの検出信号を受信して、搬送ハンド3を下げすぎた場合には、エラーと判断して再度画像認識により3次元位置情報を取得し、搬送ロボット2を制御する。
【0034】
上記のように移動された搬送ハンド3により物品Wを挟持すると、可動部52が挟持体本体51に対して傾き、スライド防止構造511により可動部52が挟持体本体51に対して固定される。これにより、挟持後搬送中に可動部52が挟持体本体51に対してスライドすることを防止し、物品Wが落下してしまうことを防止できる。搬送後物品Wを解放した後には、可動部52はスプリング53によりスライド防止構造511から離間して挟持体本体51に対する固定が解除される。同時に、可動部52はスライド許容構造512に接触すると共に、重力及びスプリング53の弾性力によって挟持体本体51の先端側に移動する。つまり可動部52が挟持体本体51から伸び出る。
【0035】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る物品搬送装置100によれば、挟持体5が挟持体本体51及び可動部52からなり伸縮するので、画像認識によるZ軸方向の位置精度が悪く可動部52が載置面に接触しても可動部52が挟持体本体51に対してスライド移動するので、載置面との接触の衝撃を緩和して搬送ハンド3の故障を防ぐことができる。
【0036】
また、画像認識の前後による物品Wの位置変化により搬送ハンド3が物品Wに接触しても可動部52が挟持体本体51に対してスライド移動するので、搬送ハンド3及び物品Wを損傷することも防止することができる。
【0037】
さらに、挟持体5が縮んだ状態で物品Wを挟持した場合においては、可動部52が挟持体本体51に対して固定されているので、搬送中に物品Wの姿勢が変化せず、物品Wを挟持した後に可動部52が挟持体本体51に対してスライド移動することを防止し、挟持した物品Wのバランスが崩れて落下してしまう等の問題も解決することができる。
【0038】
その上、可動部52が挟持体本体51に対してスライド移動するように構成されているので、画像認識によりZ軸方向の位置精度が悪い場合であっても、画像認識により得られたZ軸方向に所定値を加えた値に搬送ハンド3を移動させるようにすれば、画像認識によるZ軸方向の位置精度に関係なく物品Wを確実に挟持することができるだけでなく、挟持後において可動部52が挟持体本体51に固定されるので、物品Wの姿勢を変化させることなく搬送することができる。
【0039】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、図5に示すように、可動部52の挟持面に複数の収容部521を設け、当該収容部521に挟持方向に沿って進退移動可能な複数の突起片522を設けるようにしても良い。この突起片522は、収容部521に対してがたつきをもって収容されており、その後端部はスプリング523により先端側に付勢されている。また、収容部521の上部内面には、前記実施形態と同様のスライド防止構造524が設けられており、収容部521の下部内面には、スライド許容構造525が設けられている。
【0041】
物品Wを挟持した状態では、突起片522が物品Wから鉛直下向きに力を受けることにより、収容部521内の突起片522は上部に移動してスライド防止構造524に接触する。一方、物品Wを解放した状態では、スプリング523による復帰力により突起片522がスライド防止構造524から離間するとともに、スプリング523の弾性力により収容部521から最も伸び出た状態となる。
【0042】
このように可動部52に進退動可能な突起片522を設けることによって、傾いた姿勢の物品Wをそのままの状態で挟持することができるようになる。また、被挟持面が凹凸である等、平面状の挟持面では挟持しにくい物品Wであっても、突起片522が被挟持面の形状に合わせて移動して挟持するので、物品Wを確実に保持することができる。
【0043】
また、前記実施形態のスプリング53は、可動体52に対して解放方向Bに弾性力を付勢すると共に挟持体本体51の先端側に弾性力を付勢するように配置されているが、図6に示すように、可動体52に対して解放方向Bに弾性力を付勢する第1スプリング53aと、可動体52に対して挟持体本体51の先端側に弾性力を付勢する第2スプリング53bとを設けるようにしても良い。このとき第1スプリング53aは、解放方向Bに沿って(水平方向に沿って)配置され、第2スプリング53bは、解放方向に略直交する方向に沿って(鉛直方向に沿って)配置される。
【0044】
さらに、前記実施形態では挟持体5が左右2本のものであったが、3本以上有するものであっても良い。
【0045】
その上、前記実施形態の挟持体本体は、可動部52の周方向全体を収容するように構成されているが、図7に示すように、可動部52の側面に直線状の突条部52Tを設け、当該突条部52Tを挟持体本体51に設けた収容溝51M内にがたつきをもって収容し案内するように構成しても良い。このとき、可動部52は、第1スプリング53aにより解放方向に弾性力が付勢され、第2スプリングにより挟持体本体51の先端側に弾性力が付勢される。
【0046】
加えて、前記実施形態では、挟持方向内面51aにスライド防止構造を設けているが、物品を挟持した際に可動部の上端部が挟持体本体の挟持方向内面に押圧接触されることによりスライド移動が生じない場合には、スライド構造を設けなくても良い。
【0047】
さらに加えて、前記実施形態の付勢部材は、スプリング等の弾性部材を用いているが、その他、付勢部材としてクラッチ付きモータを用いても同様の効果を得ることができる。
【0048】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
100・・・物品搬送装置
200・・・撮像部
300・・・画像認識部
400・・・搬送ロボット
500・・・制御部
3 ・・・搬送ハンド
4 ・・・ハンド本体
5 ・・・挟持体
51 ・・・挟持体本体
51a・・・挟持体本体の挟持方向の内面
51b・・・挟持体本体の解放方向の内面
511・・・スライド防止構造
512・・・スライド許容構造
52 ・・・可動部
53 ・・・付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像認識によって得られた物品の3次元位置情報に基づいてその物品を搬送する搬送ロボットに用いられ、ハンド本体に設けられた複数の挟持体の間隔を拡縮することによって物品を挟持又は解放する搬送ハンドであって、
前記挟持体が、
前記ハンド本体に設けられ、物品を挟持する挟持方向に沿ってスライド移動する挟持体本体と、
前記挟持体本体に挟持方向に略直交する方向に沿ってスライド移動可能にがたつきをもって収容される可動部と、
前記挟持体本体及び前記可動部の間に介在して設けられ、前記可動部を開放方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記物品を挟持した状態において、前記可動部が、がたつきにより前記挟持体本体に対して傾いて前記挟持体本体の挟持方向の内面と接触し、前記挟持体本体に対して固定され、
物品を開放した状態において、前記付勢部材が、前記可動部を前記挟持体本体の挟持方向の内面から離間させることにより、前記挟持体本体に対する前記可動部の固定を解除するものであることを特徴とする搬送ハンド。
【請求項2】
前記挟持体本体の挟持方向の内面に、前記可動部のスライド移動を防止するスライド防止構造が形成されている請求項1記載の搬送ハンド。
【請求項3】
前記可動部を前記挟持体本体の先端側に付勢する付勢部材をさらに備えている請求項1又は2記載の搬送ハンド。
【請求項4】
前記付勢部材が、前記可動部を開放方向に付勢するとともに、前記挟持体本体の先端側に付勢するように配置されている請求項1又は2記載の搬送ハンド。
【請求項5】
前記挟持体本体の解放方向の内面に、前記可動部がスライド自在に接触するスライド許容構造が形成されている請求項1、2、3又は4記載の搬送ハンド。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送用ハンドを有する搬送ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−56595(P2011−56595A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205780(P2009−205780)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(507183066)株式会社ケー・デー・イー (3)
【Fターム(参考)】