説明

搬送装置の積荷室監視システムおよび監視方法

たとえばトラック、飛行機、コンテナ等の搬送装置の積荷室の監視システムにおいて、一方では、堅牢な構成に好適であり、したがって好ましくない周囲条件の下でも信頼性のある使用に適しており、他方では、積荷室の監視において特に高い信頼性が保証されているように構成する。このため、監視システム(1)は、本発明によれば、搬送装置の現在の運動状態に対する特性値が供給され得る制御ユニット(4)を備え、該制御ユニット(4)は、データ入力側で複数個の運動検出器に接続され、データ出力側で複数個の画像検出器(2)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばトラック、飛行機、コンテナ等の搬送装置の積荷室を監視するためのシステムに関するものである。さらに本発明は、この種の搬送装置の積荷室を監視するための方法にも関わる。
【背景技術】
【0002】
たとえば電子機器、コンピュータシステム、移動電話、メモリチップ、或いは他のハイテク製品のような高価値の物品もしくは製品を搬送する際に、盗難による損害または紛失が増えてきている。特に、たとえばトラック、飛行機、船コンテナ等の適当な搬送装置で比較的大量のこの種の高価値商品をまとめて処理する搬送段階では、定置の建物内で機器を保管するのとは異なり、施錠機構等による防犯設備が限られているので、盗難による紛失が比較的高いことが認められる。
【0003】
たとえばトラックで高価値商品を搬送する際に盗難によるこの種の紛失に対処するため、トラックの積荷室のための監視システムを使用することができる。この種の監視システムにおいては、通常、トラックの後尾扉を密閉もしくは施錠し、補助的に不当な開錠が監視される。後尾扉がスケジュールどおりに開錠されない場合にこれを確認できるので、これから盗難行為を推定することができる。これに加えて、或いは、これとは択一的に、積荷室用の監視カメラが使用されることもある。監視カメラの場合、たとえば公共の建物のビデオ監視に対応して搬送装置の積荷室が継続的に監視され、その際に得られた画像データはたとえば磁気記録担体に記録され、アーカイビング用に使用される。
【0004】
しかしながら、上記のごとき監視システムには、たとえば搬送装置の側壁を破壊することによって、特にトラックのサイドパネルを破壊することによって積荷室に不当に接近するのを同時に検出するには、後尾扉の監視だけでは不十分であるという欠点がある。したがって、この種の監視システムの場合、当該システムに認知されずに積荷室へ不当に接近することが可能である。これに対し監視カメラの使用には、特に画像記録システムと連動させると監視カメラが衝撃や振動に敏感になり、好ましくない周囲条件の下でも安定して継続的に使用するには制限的にしか適していないという欠点がある。さらに、たとえばビデオカセットのような磁気記録担体の形態で画像データを記録しアーカイビングすると、比較的重要でない情報も記録され、よって比較的大量の情報が記録されるので、目的に応じた画像素材の評価が困難になる。
【0005】
それ故、高価値商品の防犯には、たとえばバーコードやトランスポンダー商品保全システムを使用したり、或いは、特別に教育を受けた人員が抜き取り検査を行なうか、商品に完全に付き添うなど、浪費的な、よって高コストの処置が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、一方では、堅牢な構成に好適であり、したがって好ましくない周囲条件の下でも信頼性のある使用に適しており、他方では、積荷室の監視において特に高い信頼性が保証されている搬送装置の積荷室監視システムを提供することである。さらに、この課題に特に適した搬送装置の積荷室監視方法を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、監視システムに関しては、搬送装置の現在の運動状態に対する特性値を供給可能で、データ入力側を複数個の運動検出器に接続され、データ出力側を複数個の画像検出器に接続されている制御ユニットを設けたことにより解決される。
【0008】
本発明は、単に搬送装置の後尾扉を監視するのとは異なり、光学的な監視手段、特に画像検出器を使用することで、本来の積荷室監視の際に特に高い安全性と信頼性とを達成できるという考慮から出発している。このように監視システムの基本的構成を光学的監視手段に特定する際に作動的に特に高い堅牢性を特に必要なデータ記憶およびデータアーカイビングの点で可能にするには、監視システムは積荷室の画像データを必要に応じて検出するように合目的に構成されている必要がある。特に、検出した画像データを記憶する点に関しては、必要でないデータの記憶とアーカイビング(たとえば積荷面への不当な接近がありえないような時間での記憶とアーカイビング)を予め回避することにより、監視システムの簡潔化と、同時に堅牢な構成とを達成できる。これを達成するには、監視画像の検出を、検出の必要性が認められた状況に限定する必要がある。その結果、後で評価するにあたって重要であると見なされるデータのみがアーカイビングされることになる。
【0009】
これを可能にするため、監視手段として設けられるたとえば監視カメラのような画像検出器を基本的にいわゆる「スタンバイモード」で作動させ、監視の必要性が認められる場合だけフルに作動させる必要がある。このため、この種の状況で画像検出器を目的に応じて制御し、作動させる制御ユニットが設けられている。この場合、検出の必要性を見極めるため、制御ユニットの入力側に適当なデータが入力される必要がある。その際、通常盗難は搬送装置が停止している場合にだけ行われ、たとえばトラックまたは飛行機のドライバーがいる間は行なわれないという状況を考慮するため、制御装置に、搬送装置の運動状態に関するデータが入力される必要がある。他方、画像データ検出を行なうための判断基準として、監視対象である積荷室内で確認される動きを考慮に入れる必要がある。この場合、制御ユニットは好ましくは、搬送装置が停止状態にある場合および積荷室内での動きが認められる場合にだけ画像検出器を作動させるように構成されていてよい。
【0010】
搬送装置の運動状態に関する特性値(通常は自動的に求められる)を供給する代わりに、たとえば搬送装置が停止状態にある場合、または、盗難の可能性のある他の状態にある場合に、監視システムの作動をたとえば手動で行なうようにしてもよい。これは、搬送装置がコンテナである場合、たとえば船コンテナである場合に特に考慮することができる。
【0011】
運動検出器は、たとえば、特に積荷室内での人間の動きを検出できる市販の運動検出器のように構成されていてよい。これとは択一的に、或いは、これに加えて、運動検出器は、積荷室の加速度データを特に3空間軸で且つ方向に依存して提供することのできる複数個の加速度センサを有しているのが有利である。この種の加速度センサは、たとえばトラックの積荷面での人間の動きによって生じる振動および積荷面の位置変化を検知できるような感度で構成され得る。さらにこの種の加速度センサは、有利な構成では、走行中の積荷の移動を検知するためにも援用することができる。その結果このような構成では、監視システムをたとえば極端な振動、衝撃の負荷等による走行中の積荷の損傷を監視するためにも利用することができる。
【0012】
検出した画像データのデータ伝送および/またはその後の外部からの評価を可能にするため、前記画像検出器がメモリモジュールに接続されているのが有利である。特に有利な構成では、それぞれのメモリモジュールはデータをデジタルで記録するように構成され、好ましくはマルチメディアカードとして構成されている。なおマルチメディアカードとは、特に、たとえばデジタルカメラでも使用できるようなデジタルメモリカードである。この種のメモリカードは−25℃ないし+85℃の比較的広い温度範囲で使用でき、その結果比較的好ましくない周囲条件でも、検出した画像データを記憶する監視システムの信頼性のある作動を可能にしている。またこの種のメモリカードは、トラックの運転中に発生するショックおよび振動の負荷に対し特に抵抗力がある。さらに保守の必要がほとんどなく、必要なスペースが少なく、製造コストまたは調達コストが比較的低いことを特徴としている。本発明による監視システムにより必要な場合だけ監視画像を撮影することが達成されるが、これにより必要な記憶容量は著しく低減し、記録を目的とするには記憶容量が少なすぎることがなく、この種のメモリカードの利点を活用できる。
【0013】
有利には、メモリモジュールに、正当な積み込み位置および/または積み降ろし位置に対する特性値が格納されているのがよい。これにより、監視システムを必要に応じて作動させる場合の補助的な判断基準として、搬送装置が積み込み積み降ろしを想定した位置に実際あるかどうかを考慮することができ、したがって積み込み積み降ろしを想定した位置であれば、動きが確認された場合でも作動を見合わせることができる。
【0014】
既存の記憶容量を特に必要に応じて利用し、且つ画像の検出を実際に重要であると見なされる状況に合目的に絞るため、前記画像検出器は、作動後、制御ユニットにより、予め設定可能な数量の画像を記録するように構成されているのが有利であり、その後画像検出器を再び非作動状態にさせる。したがって制御ユニットは、検出した入力データに基づいてたとえば積荷面上での動きにより重要な状況であると認められた後に、画像検出をスタートさせる。画像検出がスタートした後は、無制限に画像検出を行なうのではなく、予め設定可能なデータ量に制限されている。この場合、たとえば予め設定可能な観察時間または予め設定可能な個々の記録画像の数量を、画像検出に対する制限事項として設定することができる。この制限事項を達成した後は、それぞれの画像検出器を非作動状態にさせる。この場合画像検出器を自動的に非作動状態にさせるか、或いは、中央の制御ユニットにより非作動状態にさせてもよい。
【0015】
監視システムの基本構成により、重要な画像データを特に凝縮して必要なだけアーカイビングすることが可能であり、とりわけ、得られたデータ素材のその後の評価が容易になる。さらに、保全処置がアクティブにされているような形式で積荷を盗難から保護することに役立つように、特に有利な他の構成では、監視システムは、盗難行為と認められた場合にアラームを発生させる手段を備えている。監視システムの構成をたとえば運動検出器を用いて盗難行為を検知した後の処置の合目的な導入に利用するため、この情報は必要に応じて画像を検出させるために用いられるばかりでなく、アラーム報知等を発生させるためにも用いることができる。このため、監視システムの制御ユニットがデータ出力側でワイヤレスデータ伝送用の送信機に接続され、該送信機を介して必要な場合にたとえばアラーム報知を送るようにするのが有利である。このため、特に、たとえば積荷面上での動きを検知してこれをドライバーの移動電話または中央ステーションへ知らせることのできる移動無線(GSMモジュールまたはたとえばINMARSATを介して衛星で支援されるモジュール)が設けられ得る。
【0016】
他の有利な構成では、監視システムはGPS(Global-Positioning-System)ユニットを備えている。その結果搬送装置の、たとえばトラックの現在位置に関するデータが補助的に提供される。この位置情報は検出した画像データとともに記憶させることができ、その結果、場合によっては日付および時刻を補助的に記憶させて、検出した画像データの正確な場所的割り当てを行うことができる。さらに、位置データをアラーム報知とともに或いは他のデータとともにたとえばセンターのような外部の受信機に送るようにしてもよい。その結果、リアルタイムで積荷面上の過程を追跡することが可能であり、同時に位置の特定が可能である。また、これにより、たとえば後方支援センターのような外部ユニットからいつでも搬送装置の位置と作動状態とを問い合わせ、外部から画像を伝送させることが可能である。他方、特に有利なことは、その際に得られたデータをメモリユニットに格納されている位置特性値と組み合わせて利用できることである。位置特性値には積み込み積み降ろし過程が予め設定され、したがっていずれにしても搬送装置内での動きが考慮されている。
【0017】
有利には、制御ユニットがデータ入力側で搬送装置の情報システムに接続されているのがよい。この情報システムとは、トラックの場合、たとえばタコメータのような現在の走行状態に関する情報システムである。したがって、車両の現在の走行状態を検知してこれに関する情報を適宜転送することが特に簡単に可能である。この場合、画像検出器またはその他の手段の作動を、車両速度が記録されない場合だけ、すなわち車両が停止状態にある場合だけ行なうようにして、盗難をほとんどカバーできるようにしてもよい。これとは択一的に、或いは、これに加えて、制御ユニットをトラックのイグニッションスイッチと接続させて、アラーム過程または検知過程を、イグニッションスイッチが操作されておらず、よってドライバーが車両内にいない場合だけ開始させるようにしてよい。
【0018】
監視システムの機能性をさらに拡大させるため、他の有利な構成では、制御ユニットはたとえばバーコードスキャナまたは商品保全システムのような他の機能要素を必要に応じて接続するための複数個のインターフェースを備えている。これによって得られる情報も電子的またはデジタルで記憶させることができる。これにより、特に、たとえば積み込み積み降ろしの際に積荷を目的に応じて追跡するための商品識別システムの接続が可能である。
【0019】
本発明による監視システムは、たとえば飛行機、船コンテナまたは他のコンテナのような、場合によっては積荷の盗難を考慮しなければならないような種々の搬送装置での使用に適している。しかし、特に有利な構成では、本発明による監視システムはトラックで使用するように構成されている。
【0020】
前記課題は、方法に関しては、搬送装置の現在の運動状態と積荷室内で確認された動きとに応じて複数の画像検出器を作動させることにより解決される。これにより、画像検出は重要と認められた状況でのみ行なわれ、その結果データ処理およびデータアーカイビングが特に簡単になるよう保証されている。
【0021】
有利には、積荷室内での動きを搬送装置の加速度データを用いて確認するのがよい。この場合、特に、搬送装置の停止状態で積荷面での人間の用心深い動きでさえも積荷面に生じる振動に基づいて検知できるような感度に構成された加速度センサを使用することができる。
【0022】
検出した画像データをデジタルで、特にマルチメディアカードで記憶させるのが有利である。
【0023】
有利には、前記画像検出器は、その作動後、予め設定可能な数量の画像を記録し、その後非作動状態にさせるのがよい。この場合システムは電流を節約する監視作動へ移行するので、記録した画像の数量は無条件に必要な量に低減され、同時に電源、特に車両バッテリーに無理が生じない。特に、この種の「スタンバイモード」での電力消費量がわずかほぼ40mAであるように監視システムを構成してよい。
【0024】
積荷を補助的に防護するため、画像検出器の作動後、監視システムに付設される送信機に警告報知を送るのが有利である。これによりドライバーまたは中央センターへたとえば移動無線通知を行うことができる。さらに、画像検出器の作動後、付加的に搬送装置の位置を特定し、場合によっては一緒にアーカイビングするか一緒に伝送するのも有利である。
【0025】
本発明により得られる利点は、特に、画像検出器を必要に応じて作動させることにより、積荷室監視において少ないメモリ必要量およびアーカイビング必要量で高信頼性を達成できる点である。特に、所定の監視時間経過後に、或いは、予め設定される監視画像最大数量を検出した後に、画像検出器が非作動状態になるよう予め設定する構成との組み合わせで、メモリ必要量を特に少なくさせることができ、その結果重要な情報を紛失することなく、特に安定したフレキシブルに使用可能な記憶技術に依存した構成が可能になっている。したがって本発明による監視システムは資源にやさしく作動させることができ、この場合特に監視モードまたは「スタンバイ」モードでのシステムの作動も特に資源、電流を節減して行うことができる。必要な場合にだけ、すなわち積荷面での不当な動きと認定された場合にだけ、適宜電力消費量を増大させてシステムの完全な作動を行なう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。なお、両図において同一の部材には同一の符号が付されている。
【0027】
図1の監視システム1は、搬送装置の積荷室に保管されている荷物を盗難から守るために設けられている。搬送装置は特にトラック、飛行機、たとえば船コンテナのようなコンテナであり、監視システム1は、たとえば高価な荷物を一緒に搬送する際に盗難を考慮しなければならないような上記以外の搬送装置での使用にも適している。監視システム1は積荷室を実質的に光学的に監視するために構成されたものであり、複数個の画像検出器2を含んでいる。画像検出器2は特に高感度ビデオカメラとして実施され得る。画像検出器2により、監視対象である積荷室での諸経過を光学的に記録することが可能であり、その際に得られた評価用のデータを用いて場合によっては人間等の識別が可能になる。
【0028】
監視システム1は、得られた光学的情報のためのメモリ必要量が特に小さい場合に稼動高安定性が得られるように構成されている。このため、監視システム1の画像検出器2はアクティブモードで連続的に画像データを検出するのではなく、必要に応じて、必要とみなされた場合にだけ画像検出を行なうようになっている。このため監視システム1は、中間接続したマルチプレクサ6またはミキサを介してデータ出力側で画像検出器2に接続されている制御ユニット4を含んでいる。制御ユニット4は、画像検出器2が必要な場合にだけ作動して画像データの検出を始めるように構成されている。
【0029】
画像検出器2を上記構成にしたがって必要に応じて作動させることができるようにするため、制御ユニット4はデータ入力側で複数個の運動検出器に接続されている。本実施形態では、運動検出器として複数個の加速度センサ8が設けられている。加速度センサ8は測定値を比較的感度よく検出するよう構成され、全部で3つの空間方向における現在の加速度データ(x値、y値、z値)を提供する。加速度センサ8を監視対象である積荷面と固定結合させると、加速度センサ8は積荷面上にいる人間によって発生する振動をも検出することができ、その結果加速度センサ8を用いて人がいるかどうかを判定することができる。これとは択一的に、或いは、これに加えて、監視対象である積荷室内に人がいるかどうかを、従来の運動検出器を用いて検出するようにしてもよい。
【0030】
さらに、画像検出器2を必要に応じて作動させることができるようにするため、特定の場合だけ、監視対象である積荷面上に人がいるかどうかの判定を行なう必要はないという認識を活用する。これには、特に、盗難行為は通常搬送装置の静止モードまたは停止モードでのみ行われるので、搬送装置の移動中の盗難は除外できるということが前提になっている。画像検出器2を必要に応じて作動させる場合にこの点を考慮できるように、制御ユニット4はデータ入力側をインターフェース10を介して搬送装置の情報システム、たとえば飛行機または自動車の電子システムに接続可能である。したがってインターフェース10を介して制御ユニット4には、たとえば自動車のタコパルスに相当するような、搬送装置の現在の運動状態に対する特性値を送ることができる。
【0031】
検出した画像データを後で評価できるようにするため、或いは、データアーカイビングをも行うことができるようにするため、画像検出器2と制御ユニット4とはメモリユニット12と接続されている。メモリユニット12は、たとえばデジタルカメラでも使用できるような、データをデジタルで記録するのに適しているメモリモジュール14を有している。このメモリカードはメモリユニット12から取り出して、たとえばパーソナルコンピュータのような他の適当な周辺機器で処理することができる。この場合、たとえばアーカイビングのためのデータ伝送またはデジタル画像評価等をも行うことができる。改ざん防止のため、メモリモジュール14の記録事項は適当にコード化されており、その結果適正な評価が保証されている。さらに、メモリモジュールの情報をたとえばJPEG2000のような適当な方式に従って圧縮して、メモリ必要量を特に小さくさせることもできる。
【0032】
さらに制御ユニット4は、外部センサを接続するためのインターフェース16と、たとえばワイヤレスでデータを伝送するための送信機、GPS受信機等の他の機能ユニットを接続するための他のインターフェース18とを備えている。
【0033】
制御ユニット4とメモリユニット12と画像検出器2とは付設のマルチプレクサ6を介して共通の電源20に接続されている。電源20はその入力側で搬送装置用の電源、特に自動車の車載電源に接続されている。本実施形態では、制御ユニット4とマルチプレクサ6と加速度センサ8とメモリユニット12とは共通のハウジング22の内部に配置されている。主要な機能要素は集積チップ技術で実施されているので、ハウジング22はその外寸の点で比較的コンパクトにすることができる。
【0034】
図2の図示からわかるように、監視システム1は特にトラック30に組み込まれ、その積荷室32を監視するために用いることができる。画像検出器2は積荷室32内部の適当な位置、特に端部側に取り付けられ、その結果積荷室32の内部空間全体を立体的に監視することが可能である。制御ユニット4は入力側でトラック30の車載電気系統34と接続されており、その結果特にタコパルスおよび/または点火装置の通電に関する情報を、情報処理の際に一緒に考慮することができる。さらに、図2の実施形態では、制御ユニット4は補助的な測定センサ36と接続されている。この測定センサ36は積荷室32の現在の運動状態に関する他の情報を与えることができるとともに、そのほかの得られた測定値の後調整を可能にする周囲圧、周囲温度等に関する補助的な情報をも提供することができる。さらに、図2の実施形態では、制御ユニット4はGPSおよび移動無線用のアンテナシステム38と接続されている。
【0035】
監視システム1は、それぞれの搬送装置、特にトラック30の停止状態で、積荷室32の運動または積荷室32内での動きが起こっているかどうかを加速度センサ8またはその他の運動検出器を用いて検出するように実質的に調整されている。たとえば衝撃および/または振動によるこの種の重要な運動が検知されると、制御ユニット4は画像検出器2を作動させる。画像検出器2の作動後、該画像検出器2は予め設定可能な数量の画像を記録し、その後再び非作動状態になる。これにより、検出された画像とこれら画像によって検出されたデータとは特に少ないデータ量に低減され、しかも重要なデータのみが評価されるよう保証されている。したがって、稼動高安定性と、特に少ないメモリ必要量とが保証されている。
【0036】
重要なものとして検出された積荷面32上での動きが積み込み、積み降ろし(正当な積み出しまたは盗難による不正な積み降ろし)或いは積荷の損傷または破損と判定されると、予め決められた数量の画像を画像検出器2によって記録し、次に画像をメモリモジュール14にデジタル形式で記憶させる。この過程はたとえば赤外線運動検出器、ドアコンタクト等の外部のセンサによっても発動させることができる。記憶された画像には出来事の日付と時刻が自動的に挿入され、一緒に記憶され、その結果次に行なう検出データの評価と関連付けが特に容易になる。
【0037】
補助的にGPSシステムが接続されている場合には、このGPSシステムを介して、出来事が起きた正確な場所を画像と一緒に記憶させることができる。さらに、これにより、正当な積み降ろし位置(たとえばセントラルユニットに記憶されている)と不当な位置とを識別し、よって同様に接続可能な移動無線ユニット(INMARSAT等を介して衛星で支援されるGSMモデム、UMTSモデム)を介してアラームを自動的に発生させることが可能である。これによって、検出した場所の伝送が可能である。また、たとえば後方支援センターのような外部ユニットからいつでもトラック30の位置と作動状態とを問い合わせし、画像を伝送させることが可能である。加えて、互いに連結されている搬送装置から上位のユニットへ(たとえばトレーラーから無線送信機を介して牽引車へ)画像を伝送するようにしてもよい。荷降ろしの際の積荷を追跡するために商品識別システム(バーコードスキャナー、商品電子調達システム等)を接続してもよい。この情報も電子データメモリにファイルされる。さらに、測定センサを適当に接続して温度および湿度等の物理学的量を監視し、記録するようにしてもよい。
【0038】
監視システム1の上記構成により、特に必要に応じて画像検出器2を作動させることが可能であり、したがって特に資源節約的な作動が可能である。トラック30が停止状態にあっても適当なセンサを介して動きを検知する場合には、画像検出器2を作動させ、使用者が決定することのできる数量の画像をメモリモジュール14に記録する。記録後、積荷室32内で次の動きが検知されるまで、電流を節約できるスタンバイモードに監視システム1を切換える。この場合の消費電力はほぼ40mAにすぎない。
【0039】
このように、監視システム1により積荷室32を絶えず監視して、重要と思われる画像をアーカイビングすることが可能である。運動検出器または加速度センサ8を適宜な感度を持つように構成することにより、積荷室32内での極めて小さな動きを記録することも可能である。個々の構成要素が精選されているため、高耐熱性と、−25℃ないし+85℃の可能な周囲温度での広い使用範囲が保証されている。さらに、監視システム1は振動またはショックの負荷に対して強く、また検出した画像の改ざんは不可能になっている。
【0040】
これとは択一的に、監視システム1をたとえば船コンテナのようなコンテナの監視のために構成してもよい。この場合、特に、この種の適用例の場合、比較的長期間電源から切り離されることがあり、その結果監視システムの消費電力が少なく、特に有意義であることが考慮される。この種の適用例に対しては、監視システムの個々の機能要素を海水または塩水に耐えうるように構成したハウジング22内に配置するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】監視システムの概略図である。
【図2】図1の監視システムを備えたトラックを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 監視システム
2 画像検出器
4 制御ユニット
6 マルチプレクサ
8 加速度センサ
10 インターフェース
12 メモリユニット
14 メモリモジュール
16,18 インターフェース
20 電源
30 トラック
32 積荷室
34 車載電気系統
36 測定センサ
38 アンテナシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置の積荷室(32)のための監視システム(1)において、搬送装置の現在の運動状態に対する特性値が供給され得る制御ユニット(4)を備え、該制御ユニット(4)は、データ入力側で複数個の運動検出器に接続され、データ出力側で複数個の画像検出器(2)に接続されている前記監視システム。
【請求項2】
運動検出器が複数個の加速度センサ(8)を有している、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像検出器(2)がメモリモジュール(14)に接続されている、請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記メモリモジュール(14)が、データをデジタルで記録するため、特にマルチメディアカードとして構成されている、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
メモリモジュール(14)に、正当な積み込み位置および/または積み降ろし位置に対する特性値が格納されている、請求項3または4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記画像検出器(2)は、作動後、制御ユニット(4)により、予め設定可能な数量の画像を検出し、その後自動的に非作動状態になるように構成されている、請求項1から5までのいずれか一つに記載の監視システム。
【請求項7】
制御ユニット(4)がデータ出力側でワイヤレスデータ伝送用の送信機に接続されている、請求項1から6までのいずれか一つに記載の監視システム。
【請求項8】
制御ユニット(4)がGPS受信機に接続されている、請求項1から7までのいずれか一つに記載の監視システム。
【請求項9】
制御ユニット(4)がデータ入力側で搬送装置の情報システムに接続されている、請求項1から8までのいずれか一つに記載の監視システム。
【請求項10】
制御ユニット(4)が他の機能要素を必要に応じて接続するための複数個のインターフェース(16,18)を備えている、請求項1から9までのいずれか一つに記載の監視システム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一つに記載の監視システム(1)を具備する積荷室を備えた動力車両(30)。
【請求項12】
搬送装置の積荷室(32)を監視するための方法において、搬送装置の現在の運動状態と積荷室(32)内で確認された動きとに応じて複数の画像検出器(2)を作動させるようにした方法。
【請求項13】
積荷室(32)内での動きを搬送装置の加速度データを用いて確認するようにした、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検出した画像データをデジタルで、特にマルチメディアカードに記憶させるようにした、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像検出器(2)は、その作動後、予め設定可能な数量の画像を検出し、その後非作動状態にさせるようにした、請求項12から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
画像検出器(2)の作動後、警告を送信機に出力するようにした、請求項12から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
画像検出器(2)の作動後、搬送装置の位置をも特定するようにした、請求項12から16までのいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−514222(P2007−514222A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543456(P2006−543456)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013909
【国際公開番号】WO2005/056350
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506198676)ハース + ブス ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (1)
【Fターム(参考)】