説明

搬送装置

【課題】例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を、カーブを含む軌道上で搬送する搬送装置において、カーブにある障害物との衝突を回避する。
【解決手段】搬送装置(20)は、カーブ用速度で走行すべきカーブした第1軌道区間、及び第1軌道区間に隣接し且つ第1軌道区間の上流側にあると共にカーブ用速度で走行すべき第2軌道区間を有する軌道に沿って、被搬送物を搬送する。搬送装置は、被搬送物が積載される積載部を有すると共に軌道上を走行する搬送手段(3)と、搬送手段が第2軌道区間に進入したか否かを判定する判定手段(6,10)と、第2軌道区間に進入したと判定された場合に、カーブ用速度で走行するように搬送手段を制御する走行制御手段(10)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を、カーブを含む軌道上で搬送する搬送装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送装置として、例えば各搬送手段が他の搬送手段と通信するための送受信手段を備え、一の搬送手段が一の軌道から合流部に進入する際に、他の軌道から合流部に進入しようとする他の搬送手段との間で通信を行うことで、他の搬送手段を優先的に合流部に進入させるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−44139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1によれば、複数の軌道から合流部に進入する複数の搬送手段について、合流部における相互間の衝突を防止できる。しかしながら、合流部で合流された合流軌道が、その下流側にある分岐部で、複数の軌道に再び分岐する場合に、分岐部を始点としてカーブする一の軌道を相前後して走行する複数の搬送手段について、相互間の衝突が生じ得る。
【0005】
具体的には、本発明者の研究したところによれば、次の問題点がある。即ち、例えば、分岐部で直進方向及び右方向に分岐する2つの軌道があって、相前後する2つの搬送手段(即ち、前方走行車、及びその後方を走行する後方走行車)の走行すべき軌道が共に右方向への軌道とする。この場合、前方走行車が分岐部を通過して、その前面が右方向に向けられている。一方、後方走行車が分岐部を通過しておらず、その前面が未だ直進方向に向けられている。この状況で、後方走行車において、障害物の検知が行われる。この際、検知領域について、前面が向けられている直進方向の検知距離が長く、走行すべき軌道に沿った右方向の検知距離が短くなってしまう。このため、上述したように、カーブする一の軌道に、前方走行車が渋滞等で停止している場合に、後方走行車が、カーブに比較的近い位置で、初めて、障害物である前方走行車を検知するために、制動のための距離が不足して、後方走行車が前方走行車に追突する等の衝突が生じかねないという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、カーブにある障害物との衝突を回避可能な搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は上記課題を解決するために、カーブ用速度で走行すべきカーブした第1軌道区間、及び該第1軌道区間に隣接し且つ該第1軌道区間の上流側にあると共に前記カーブ用速度で走行すべき第2軌道区間を有する軌道に沿って、被搬送物を搬送する搬送装置であって、前記被搬送物が積載される積載部を有すると共に前記軌道上を走行する搬送手段と、前記搬送手段が前記第2軌道区間に進入したか否かを判定する判定手段と、前記第2軌道区間に進入したと判定された場合に、前記カーブ用速度で走行するように前記搬送手段を制御する走行制御手段とを備える。
【0008】
本発明の搬送装置によれば、その動作時には、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物は、例えばOHT(Overhead Hoist Transport)、ビークル等の搬送手段によって、例えば天井又は床上に敷設されたレール等の軌道に沿って搬送される。
【0009】
本発明では、搬送手段による搬送中に、判定手段によって、搬送手段が第2軌道区間に進入したと判定される。ここに「判定手段」は、例えば、搬送手段に取り付けられたバーコードリーダ等の走行位置を検出する手段を少なくとも含んでおり、搬送手段或いは搬送装置に備えられ、コントローラ、メモリ等を含んでなる制御手段の少なくとも一部である。「第2軌道区間」は、例えば、直進する軌道区間であって、該第2軌道区間の最も上流側に、例えばバーコード等の識別マークが付けられている。具体的には、走行中に、例えば、バーコードリーダにより識別マークが読み取られると、判定手段によって、搬送手段の第2軌道区間への進入が確認される。
【0010】
続いて、走行制御手段によって、カーブ用速度で走行するように搬送手段が制御される。ここに「走行制御手段」は、例えば、搬送手段或いは搬送装置に備えられ、コントローラ、メモリ等を含んでなる制御手段の少なくとも一部である。このような走行制御手段は、例えば、搬送手段におけるモータ等の駆動系を制御する。「カーブ用速度」は、例えば、第1軌道区間を安定して走行するための走行速度であって、第2軌道区間を除いた、直進する軌道区間を走行する時より低速である。このようなカーブ用速度でカーブを走行しても、搬送手段の回動軸、或いは積載部に積載される被搬送物がぶれることはない。
【0011】
本発明では、カーブ用速度で走行すべき軌道区間が、第1軌道区間の上流側に、第2軌道区間分延長されている。具体的には、走行制御手段によって、例えば、搬送手段が第2軌道区間から第1軌道区間までの軌道区間をカーブ用速度で走行するように、駆動系が制御される。これにより、搬送手段の走行速度が、第2軌道区間で十分に低減され、比較的直前(即ち、第2軌道区間を走行中)に、第1軌道区間で障害物が検知された場合でも、搬送手段を障害物の手前で停止させる。
【0012】
このように、カーブ用速度で走行する軌道区間を、カーブが開始される軌道位置から上流側に延長することによって、カーブにある障害物との衝突を回避することが可能となる。
【0013】
本発明の搬送装置の他の態様では、前記第2軌道区間は、前記カーブ用速度、前記カーブの状況、前記搬送手段の走行状態、前記搬送手段の制動状態、及び前記積載部の積載状態のうち、少なくとも一つに基づいて、予め設定される。
【0014】
この態様によれば、第2軌道区間は、例えば、カーブ用速度が高速である程、又はカーブ半径が小さい程、又は搬送手段の走行速度が高速である程、又は搬送手段の制動に係る負荷が小さい程、又は積載部上の被搬送物の荷重が軽量である程、軌道上の距離が長くなるように、予め設定されている。このように、カーブや搬送手段に係る既知の情報に基づいて、第2軌道区間が切り替わることによって、走行速度が第2軌道区間で十分に低減され、カーブにある障害物との衝突を回避することが可能となる。尚、第2軌道区間は、例えば、搬送工程が開始される前に、又は開始された直後に設定される。また、第2軌道区間に係る情報(例えば、軌道上の距離)は、例えば、制御手段内のメモリ等の記憶手段、或いは外部記憶手段に記憶される、又は記憶されている。
【0015】
本発明の搬送装置の一態様では、前記搬送手段が前記軌道上における前記第2軌道区間の上流側を走行中に、前記カーブ用速度、前記カーブの状況、前記搬送手段の走行状態、前記搬送手段の制動状態、及び前記積載部の積載状態、並びに前記軌道が有する分岐を経て前記カーブへ至る予定であるか否かのうち、少なくとも一つに基づいて、前記第2軌道区間を設定する区間設定手段を更に備える。
【0016】
この態様によれば、区間設定手段によって、搬送手段が第2軌道区間の上流側を走行中に、第2軌道区間が設定される。ここに「区間設定手段」は、例えば、搬送手段或いは搬送装置に備えられ、コントローラ、メモリ等を含んでなる制御手段の少なくとも一部である。第2軌道区間は、例えば、カーブ用速度が高速である程、又はカーブ半径が小さい程、又は搬送手段の走行速度が高速である程、又は搬送手段の制動に係る負荷が小さい程、又は積載部上の被搬送物の荷重が軽量である程、又は搬送手段がカーブへ向かう予定である場合に、軌道上の距離が長くなるように、設定される。
【0017】
具体的には、例えば、判定手段によって、搬送手段が第1軌道区間から上流側に所定の距離とった位置を通過したと判定される。すると、区間設定手段によって、カーブや搬送手段に係る現行の情報に基づいて、リアルタイムで、第2軌道区間が切り替わる。これにより、走行速度が第2軌道区間で確実に低減され、カーブにある障害物との衝突を回避することが可能となる。
【0018】
本発明の搬送手段の一態様では、前記第2軌道区間は、前記搬送手段が前記第2軌道区間から前記第1軌道区間へ進入する位置で停止するための制動長さを有するように設定される。
【0019】
この態様によれば、例えば、走行制御手段によって、第2軌道区間の最も上流側の位置で、制動(即ち、走行速度が零となる制御)が開始されると、第2軌道区間の最も下流側の位置で、制動が終了される、即ち、搬送手段が停止される。このように、第2軌道区間を制動長さに対応させ、カーブにある障害物との衝突を確実に回避することが可能となる。
【0020】
本発明の搬送手段の一態様では、前記搬送手段及び前記被搬送物の少なくとも一部が接触する可能性のある障害物を検知する障害物検知手段を更に備え、前記走行制御手段は、前記第1軌道区間において前記障害物が検知された場合に、前記第2軌道区間を走行する間に、走行速度を零とするように前記搬送手段を制御する。
【0021】
この態様によれば、例えば、第2軌道区間又はこれより上流側の軌道区間を走行中に、障害物検知手段によって、第1軌道区間に障害物があると判定される。ここに「障害物検知手段」は、例えば、搬送手段に取り付けられ、障害物センサ等の障害物を検知する手段を少なくとも含む。続いて、走行制御手段によって、搬送手段が第2軌道区間を走行する間に、走行速度が零になるように徐徐に減速される。これにより、第1軌道区間にある障害物の手前で搬送手段が停止され、カーブにある障害物との衝突を確実に回避することが可能となる。
【0022】
本発明の搬送手段の一態様では、前記走行制御手段は、前記第1軌道区間において前記障害物が検知されない場合に、前記カーブ用速度で、前記第2軌道区間及び前記第1軌道区間を走行するように前記搬送手段を制御する。
【0023】
この態様によれば、例えば、第2軌道区間又はこれより上流側の軌道区間を走行中に、障害物検知手段によって、第1軌道区間に障害物はないと判定される。すると、走行制御手段によって、搬送手段が、第2軌道区間から第1軌道区間までの軌道区間を、カーブ用速度で継続して走行する。これにより、搬送手段の走行速度が、第2軌道区間で十分に低減され、軌道を横切ろうと突出する、例えば搬送装置管理者等との衝突を回避することが可能となる。
【0024】
本発明の搬送システムの一態様では、前記走行制御手段は、前記第2軌道区間の上流側を走行中に、走行速度を前記カーブ用速度に近付けるように前記搬送手段を制御する。
【0025】
この態様によれば、第2軌道区間の上流側を走行中に、走行制御手段によって、搬送手段の走行速度が、カーブ用速度に近付けられる。本発明に係る「第2軌道区間の上流側」にある軌道区間は、例えば、「第3軌道区間」として、通常の走行速度からカーブ用速度に減速するための制動長さを有する。具体的には、例えば、走行時に、判定手段によって、搬送手段が第3軌道区間に進入したと判定される。すると、走行制御手段によって、搬送手段が第3軌道区間を走行する間に、走行速度がカーブ用速度になるように、搬送手段の走行が制御される。即ち、搬送手段が、第3軌道区間の最も上流側の位置で、例えば比較的高速で走行し、第3軌道区間の最も下流側の位置(即ち、第2軌道区間の最も上流側の位置)で、カーブ用速度で走行することによって、走行速度が第2軌道区間の直前で急激に減速されることがない。従って、搬送手段において、制動による過大な負荷が生じることがなく、カーブ走行時の搬送効率の低下を抑制することが可能となる。
【0026】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0028】
先ず、実施形態に係る搬送装置を適用する搬送システムの構成について説明する。ここに図1は、実施形態に係る搬送装置の構成を機能的に示し、図2は、図1の搬送手段及び前方走行車の一状態を模式的に示すと共に、搬送手段の走行位置に対応する走行速度をグラフに示す。
【0029】
図1において、搬送システム100は、軌道1、バーコードBCx、及び搬送装置20を備えており、搬送装置20は、ビークル3及び搬送コントローラ11を有する。軌道1は、ビークル3が走行するためのレールである。
【0030】
図2において、軌道1は、本軌道1a及び支軌道1bを含む。本軌道1aには、上流側から順に、バーコードBC1,BC2,BC3が配置されており、支軌道1bには、バーコードBC4が配置されている。本軌道1aは、バーコードBC3の下流に設けた分岐点P1で直進方向、及び走行方向に対して右方向に分岐される。支軌道1bは、本発明に係る「第1軌道区間」の一部として、右方向に分岐した後、右方にカーブする軌道区間(以下、「カーブ区間」と言う)を含んでいる。本実施形態では特に、軌道1上のカーブ区間の上流側に、カーブ前区間及び減速区間の2つの軌道区間を設定している。カーブ前区間は、本発明に係る「第2軌道区間」の一例として、カーブ区間に隣接しており、軌道1上のカーブ区間の上流側にある。カーブ前区間は、例えば数十cm〜数百cmの軌道距離L1を有する。減速区間は、本発明に係る「第3軌道区間」の一例として、カーブ前区間に隣接しており、軌道1上のカーブ前区間の上流側にある。減速区間は、例えばカーブ前区間の二倍〜数倍の軌道距離L2を有する。
【0031】
バーコードBCxは、軌道1上の所定の軌道位置に配置されている。バーコードBC1〜BC4は夫々、自らに固有の識別番号を示す。固有の識別番号は、バーコード自らが付けられた軌道位置を示すアドレスや座標などの位置情報や、自らの軌道位置にて実行されるべき制御内容(例えば、制御コード等)を示すように構成してもよい。バーコードBCxは、後述するバーコードリーダ6に読み取られる。
【0032】
図1において、ビークル3は、本発明に係る「搬送手段」の一例として、軌道1に沿って走行すると共に、不図示の製造装置やストッカにFOUPを搬送する。ビークル3は、本体部3a、複数の車輪4、バーコードリーダ6、障害物センサ7、及び制御部10を備える。本体部3aは、下面の前後両側に一対の車輪4を二組配置しており、下面の中央にバーコードリーダ6を配置している。
【0033】
バーコードリーダ6は、本発明に係る「判定手段」の一部として機能し、ビークル3の走行に伴ってバーコードBCxを読み取る。読み取られたバーコードBCxは、ビークル3の走行位置を示す。バーコードリーダ6は、読み取ったバーコードBCx(又は、固有の識別番号)を示す信号を制御部10に送る。
【0034】
障害物センサ7は、本発明に係る「障害物検知手段」の一例として、本体部3aの前面に取り付けられている。障害物センサ7は、ビークル3の走行に伴って、所定の領域について、後述する前走ビークル3x(即ち、図2に示される)を含む障害物を検知する。障害物センサ7は、超音波を発し、発された超音波の反射波を受け取ることで、走行時に障害となる障害物の有無を検出する超音波センサである。障害物センサ7は、反射波を受け取った場合に、障害物がある旨の信号を制御部10に送る。本実施形態では、障害物センサ7は、ビークル3の走行位置がカーブ前区間の始点(即ち、最も上流側の軌道位置P0(図2に示される))より下流側にある場合に、カーブ区間について障害物を検知可能とする。
【0035】
図2において、軌道1上には、ビークル3の他に、前走ビークル3xが存在している。前走ビークル3xは、ビークル3と同一に構成されている。前走ビークル3xは、本実施形態に係る「障害物」の一例である。
【0036】
制御部10は、搬送コントローラ11からの搬送指示に従って、ビークル3の各部を制御する。制御部10は、メモリ10aを備える。
【0037】
メモリ10aは、軌道1に係る情報(即ち、軌道情報)を格納する。軌道情報は、軌道1を構成する複数の軌道区間の状態を示す。軌道区間の状態は、例えば「カーブ区間」、「カーブ前区間」、及び「減速区間」等に分類される。メモリ10aは、支軌道1bのカーブC1(図2に示される)に対応する軌道区間を「カーブ区間」とし、カーブ区間の始点を示す分岐点P1から上流側に軌道距離L1をとった軌道区間を「カーブ前区間」とし、カーブ前区間の始点を示す軌道位置P0から上流側に軌道距離L2をとった軌道区間を「減速区間」として、格納する。
【0038】
制御部10は、本発明に係る「判定手段」及び「区間設定手段」の一例として、後述するメモリ11aに格納される既知のカーブ情報、予め設定された走行状態、及び予め測定された制動距離に基づいて、ビークル3に対応する軌道情報を生成する。この軌道情報の生成は、搬送工程が開始される前、又は搬送工程が開始された後にも、ビークル3の現行の走行速度、積み荷の状況に応じて適宜行われてもよい。制御部10は、生成した軌道情報をメモリ10aに記憶する。
【0039】
制御部10は、本発明に係る「走行制御手段」の一例として、カーブに係るビークル3の走行を制御する。制御部10は、カーブC1(即ち、カーブ区間)を走行する場合に、安定して走行するためのカーブ用速度V1を設定する。制御部10は、設定したカーブ用速度V1で、カーブ区間の他にカーブ前区間も走行するように、走行を制御する。制御部10は、カーブ前区間もカーブ用速度V1で走行するために、減速区間で徐徐に減速する減速走行を行う。
【0040】
搬送コントローラ11は、搬送工程に従って、各ビークル3(前走ビークル3xを含む)に相異なる搬送指示を示す信号を送り、複数のビークル3を総括的に制御する。搬送コントローラ11は、メモリ11aを有する。メモリ11aは、カーブ情報を格納する。カーブ情報は、軌道1における各カーブの位置、曲率、及びカーブ用速度を示す。
(第1カーブ走行制御処理)
【0041】
次に、本実施形態に係る搬送装置の第1カーブ走行制御処理について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の第1カーブ走行制御処理を示すフローチャートである。尚、図3に示される処理において、図2に示すように、支軌道1bのカーブC1に停止する前走ビークル3xに向かって、ビークル3が走行する場合を想定する。また、図3の処理で使用される「カーブ区間」、「カーブ前区間」、及び「減速区間」を示す軌道情報は、メモリ10a内に予め格納されている。
【0042】
図3において、先ず、バーコードリーダ6によって、減速区間に進入したか否かが判定される(ステップS51)。この判定は、減速区間に進入するまで繰り返して実行される(ステップS51:NO)、。
【0043】
ステップS51の判定の結果により、減速区間に進入すると(ステップS51:YES)、制御部10によって、走行速度が減速される(ステップS52)。続いて、バーコードリーダ6によって、カーブ前区間に進入したか否かが判定される(ステップS53)。この判定は、カーブ前区間に進入するまで繰り返して実行される(ステップS53:NO)。
【0044】
ここで一方、ステップS53の判定の結果により、カーブ前区間に進入すると(ステップS53:YES)、制御部10によって、ビークル3の走行速度がカーブ用速度V1に設定される(ステップS54)。続いて、障害物センサ7によって、前走ビークル3xがカーブ区間に存在しているか否かが判定される(ステップS55)。この判定の結果、前走ビークル3xに存在していない場合に(ステップS55:NO)、バーコードリーダ6によって、カーブ区間が終了したか否かが判定される(ステップS56)。この判定の結果、カーブ区間が終了した場合に(ステップS56:YES)、一連の処理が終了される。
【0045】
一方、ステップS56の判定の結果により、カーブ区間が未だ終了していない場合に(ステップS56:NO)、制御部10によって、ビークル3が継続してカーブ用速度V1に設定され(ステップS57)、ステップS55の処理が再び行われる。
【0046】
一方、ステップS55の判定の結果により、前走ビークル3xがカーブ区間に存在している場合に(ステップS55:YES)、制御部10によって、ビークル3の走行が停止される(ステップS58)。これにより、ビークル3が前走ビークル3xの停止位置より上流側に停止される。従って、前走ビークル3xとの衝突が回避され、一連の走行制御処理が終了される。
【0047】
このように、カーブ用速度V1で走行する軌道区間を、カーブC1が開始される軌道位置P1から上流側に軌道距離L1分延長することによって、カーブC1に停止する前方ビークル3xとの衝突を回避することが可能となる。
【0048】
尚、図3に示される第1カーブ走行制御処理では、予め、軌道情報がメモリ10aに格納されているが、カーブC1に差し掛かる度に、リアルタイムで、ビークル3の走行状態、及びFOUPの積載の有無に対応する軌道情報を生成してもよい。
(第2カーブ走行制御処理)
【0049】
次に、本実施形態に係る搬送手段の第2カーブ走行制御処理について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の第2カーブ走行制御処理を示すフローチャートである。尚、図4に示される処理において、図3の場合と同様にして、カーブC1に停止する前走ビークル3xに向かって、ビークル3が走行する場合を想定する。
【0050】
図4において、先ず、バーコードリーダ6によって、カーブ区間(カーブC1)に接近している旨を示すバーコードBCxが読み取られたか否かが判定される(ステップS61)。この判定は、該バーコードBCxが読み取られるまで繰り返して実行される(ステップS61:NO)。
【0051】
ここで一方、ステップS61の判定の結果により、カーブ区間に接近している旨のバーコードBCxが読み取られると(ステップS61:YES)、制御部10によって、ビークル3の走行速度及びFOUPの積載の有無に基づいて、「カーブ前区間」及び「減速区間」を示す軌道情報が生成され、メモリ10aに記憶される(ステップS62)。この後、メモリ10aに記憶された軌道情報を使用して、図3における第1カーブ走行制御処理と同様の処理(ステップS51〜ステップS58)が行われる。
【0052】
このように、カーブC1やビークル3に係る現行の情報に基づいて、カーブ前区間及び減速区間が切り替わることによって、走行速度がカーブ前区間で確実に低減され、カーブC1にある前走ビークル3xとの衝突を回避することが可能となる。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態に係る搬送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の搬送手段及び前方走行車の一例を示す模式図、及び走行位置に対する走行速度を示すグラフである。
【図3】実施形態に係るカーブ走行制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係るカーブ走行制御処理の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…軌道、3…ビークル、6…バーコードリーダ、7…障害物センサ、10…制御部、11…搬送コントローラ、100…搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブ用速度で走行すべきカーブした第1軌道区間、及び該第1軌道区間に隣接し且つ該第1軌道区間の上流側にあると共に前記カーブ用速度で走行すべき第2軌道区間を有する軌道に沿って、被搬送物を搬送する搬送装置であって、
前記被搬送物が積載される積載部を有すると共に前記軌道上を走行する搬送手段と、
前記搬送手段が前記第2軌道区間に進入したか否かを判定する判定手段と、
前記第2軌道区間に進入したと判定された場合に、前記カーブ用速度で走行するように前記搬送手段を制御する走行制御手段と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第2軌道区間は、前記カーブ用速度、前記カーブの状況、前記搬送手段の走行状態、前記搬送手段の制動状態、及び前記積載部の積載状態のうち、少なくとも一つに基づいて、予め設定されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送手段が前記軌道上における前記第2軌道区間の上流側を走行中に、前記カーブ用速度、前記カーブの状況、前記搬送手段の走行状態、前記搬送手段の制動状態、及び前記積載部の積載状態、並びに前記軌道が有する分岐を経て前記カーブへ至る予定であるか否かのうち、少なくとも一つに基づいて、前記第2軌道区間を設定する区間設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2軌道区間は、前記搬送手段が前記第2軌道区間から前記第1軌道区間へ進入する位置で停止するための制動長さを有するように設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送手段及び前記被搬送物の少なくとも一部が接触する可能性のある障害物を検知する障害物検知手段を更に備え、
前記走行制御手段は、前記第1軌道区間において前記障害物が検知された場合に、前記第2軌道区間を走行する間に、走行速度を零とするように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記走行制御手段は、前記第1軌道区間において前記障害物が検知されない場合に、前記カーブ用速度で、前記第2軌道区間及び前記第1軌道区間を走行するように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記走行制御手段は、前記第2軌道区間の上流側を走行中に、走行速度を前記カーブ用速度に近付けるように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−265731(P2009−265731A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111130(P2008−111130)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】