説明

搬送車システム

【課題】搬送車システムにおいて、搬送車システムの搬送効率を向上させる。
【解決手段】搬送車システムは、複数の搬送車3と、複数の搬送車3と順番に通信を行う搬送車コントローラ47とを備えている。搬送車コントローラ47は、優先的に通信を行う優先通信搬送車3を記憶する優先通信搬送車記憶部59を有しており、複数の搬送車3の全てと順番に一度ずつ通信する間に、優先通信搬送車3と複数回通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システム、特に、各搬送車が上位コントローラとポーリング通信する搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のステーションと、複数のステーション間で物品を搬送する複数の搬送車とを有する搬送車システムが知られている。ステーションと搬送車との間では、荷つかみ(搬送車にステーションから物品が積み込まれること)や、荷おろし(搬送車からステーションに物品が積み出されること)が行われる。
【0003】
搬送車システムの制御系は、例えば、製造コントローラと、物流コントローラと、ストッカコントローラと、搬送車コントローラとを有している。製造コントローラは、処理装置からの搬送要求を受け付ける。物流コントローラは、製造コントローラと同じ位のコントローラであるが、ストッカコントローラ及び搬送車コントローラより上位のコントローラである。物流コントローラは、ストッカコントローラ及び搬送車コントローラに各種指令を送信する。ストッカコントローラは、ストッカに出庫指令を送信する。搬送車コントローラは、搬送車に搬送指令を送信する。
【0004】
搬送車コントローラは、エリア内の複数の搬送車に対して、いわゆるポーリング通信を行う。具体的には、搬送車コントローラが全搬送車に対して一定順序で問い合わせを行い、それに対して搬送車が搬送車コントローラに返信を行う。それにより、搬送車コントローラは、搬送車への搬送指令を送信し、さらには搬送車から位置情報を得る。ポーリング通信では、全ての搬送車と通信を行う時間がポーリング周期であって、この周期はエリア内の搬送車数によって変動する(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−171088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、連続して走行する搬送車同士は互いに通信を行っており、互いの位置を把握している。それにより、適切な車間距離が維持され、両者の衝突が生じない。具体的には、先行搬送車は光信号送信機によって後方に向けて送光しており、後続搬送車は光信号受信機によって先行搬送車からの光通信を受光している。これにより、後続搬送車は先行搬送車との距離を把握している。先行車の光信号送信機は、直線走行時には角度は小さいが距離が長い狭域通信を行い、曲線走行時に角度は大きいが距離が短い広域通信を行う。
【0007】
2台の搬送車が曲線経路を搬送車間通信をしながら最適な車間距離で走行している場合に、曲線経路の出口付近で先行搬送車の光信号送信機が広域通信から狭域通信に切換える前に先行搬送車が直進加速すると、先行搬送車と後続搬送車の間の距離が長くなる。その結果、先行搬送車と後続搬送車との車間距離が広域通信の通信可能距離より長くなり、その結果、搬送車間通信が途切れることがある。
【0008】
上記の場合に、一般に、上位コントローラと後続搬送車との通信により、搬送車間通信補完機能が実現される。しかし、ポーリング周期により所定時間前の位置を受信してしまった場合には、後続搬送車において先行搬送車の位置情報更新が間に合わず、そのため後続搬送車は先行搬送車との距離が近い接近状態であると判断して、減速動作を行ってしまう。しかし、この減速動作は、本来は不要であり、システムの搬送能力を低下させる要因であった。
【0009】
本発明の課題は、搬送車システムにおいて、搬送車システムの搬送効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0011】
本発明の一見地に係る搬送車システムは、複数の搬送車と、複数の搬送車と順番に通信を行うコントローラとを備えている。コントローラは、優先的に通信を行う優先通信搬送車を記憶する優先通信搬送車記憶部を有しており、複数の搬送車の全てと順番に一度ずつ通信する間に、優先通信搬送車と複数回通信する。
このシステムでは、コントローラが複数の搬送車の全てと順番に一度ずつ通信する間に、優先通信搬送車と複数回通信するので、優先通信搬送車がコントローラと通信を行う周期は他の搬送車に比べて短くなる。これにより、従来のコントローラと搬送車の通信方法を大きく変えることなく、特定の搬送車の通信周期が短くなっている。その結果、例えば、搬送車間通信が途切れても、後続搬送車において先行搬送車の位置情報更新が遅れることがなく、その場合は、後続搬送車は適切な速度で走行を続けることができる。
【0012】
搬送車は、搬送車間で直接通信を行う直接通信装置と、走行位置を把握する走行位置把握部と、搬送車間で通信が困難な困難区間を記憶する区間記憶部と、位置把握部及び区間記憶部によって困難区間に接近することが分かると、コントローラに優先度向上を要求する優先度向上要求部と、を有していてもよい。
このシステムでは、搬送車同士は直接通信装置によって搬送車間通信を行いながら走行する。後続搬送車は、搬送車間で通信が困難な困難区間に接近すると、優先通信搬送車は他の搬送車に比べて短い周期でコントローラと通信を行うことになる。その結果、例えば、困難区間において搬送車間通信が途切れても、後続搬送車において先行搬送車の位置情報更新が遅れることがなく、後続車は適切な速度で走行を続けることができる。
特に、コントローラが搬送車の優先度を向上させるトリガーは、搬送車からの優先度向上要求なので、コントローラの負担が低減されている。
【0013】
優先通信搬送車記憶部は複数の優先通信搬送車を記憶可能であり、コントローラは、複数の優先通信搬送車に対して連続して通信を行ってもよい。
このシステムでは、コントローラは複数の優先通信搬送車と連続して通信を行うことになるので、全搬送車と通信を行う順序を大きく変更する必要がない。したがって、コントローラの負担が低減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る搬送車システムでは、搬送車システムの搬送効率が向上している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送車システムのレイアウトを示す部分平面図。
【図2】搬送車の平面図。
【図3】搬送車システムの制御系を示すブロック図。
【図4】搬送車コントローラと搬送車の制御系を示すブロック図。
【図5】制御部内の機能構成を示すブロック図。
【図6】搬送車の制御部によるカーブ走行時の優先要求動作及び優先解除要求動作を示すフローチャート。
【図7】搬送車コントローラによる優先通信搬送車の登録動作及び削除動作を示すフローチャート。
【図8】搬送車順序テーブル、優先通信搬送車テーブル、及び通信順番テーブル。
【図9】曲線経路を走行する2台の搬送車の位置関係を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)搬送車システムの基本構造
本発明の一実施形態としての搬送車システム1は、定められた軌道上に複数の搬送車3を走行させるためのシステムである。搬送車3は、軌道上を一方向に走行し、上位のコントローラ(後述)によって割り付けられる搬送指令に従い、目的の場所から物品を積み込み、次に搬送先の場所まで走行して物品を搬送先の場所に積み出す。搬送車の種類は、天井搬送車、無軌道で走行する無人搬送車や有軌道台車のいずれであっても良い。
【0017】
図1を用いて搬送車システム1を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る搬送車システムのレイアウトを示す部分平面図である。搬送車システム1は、複数の周回走行路5と、複数の周回走行路5を結ぶ基幹走行路7とを有している。基幹走行路7は全体で一つの周回経路となっている。周回走行路5に沿って複数の処理装置9が設けられ、基幹走行路7に沿って複数のストッカ11が設けられている。ストッカ11は、周回走行路5における処理装置9群間でのバッファの機能を実現している。
【0018】
処理装置9及びストッカ11等の設備には、設備内に物品を搬入するための入庫ポート13と、設備から搬送車3に物品を荷つかみするための出庫ポート15とが設けてある。なお入庫ポートと出庫ポートとは兼用されていてもよい。
【0019】
(2)搬送車
図2を用いて、搬送車3の構造を説明する。図2は、搬送車の平面図である。
搬送車3は、床面上に敷設されたレール19上を走行する車両である。搬送車3の機体中心はレール19の左右側方(本実施形態では左方)に位置しており、つまり搬送車3はレール19に対して左右に偏った位置を走行する。また、直線形状や曲線形状の種々のレール19を組み合わせた全体により、搬送車3の移動可能な範囲である周回走行路5及び基幹走行路7が構成されている。
【0020】
搬送車3は、平面視矩形の本体21を有している。搬送車3の本体21には、右端部の前後に駆動ユニット23が配置されると共に、左端部の前後に従動ユニット25が配置されている。
駆動ユニット23は、レール19の上面に接触して回転する駆動輪29と、レール19の両側面に弾性的に当接する四つのガイド輪31と、駆動モータ33と、を有している。駆動モータ33の駆動によって、駆動輪29が回転して搬送車3が走行する。
従動ユニット25は、一対の自由回転する車輪25aにより構成されており、車輪25aは、床面上に接触して、搬送車3の走行に伴って従動回転する。搬送車3は、駆動ユニット23と従動ユニット25とにより、床面若しくはレール19上に、四点で支持される構成となっている。
【0021】
搬送車3には、搬送車3同士で通信するための手段として、光信号送信機35及び光信号受信機37が備えられている。光信号送信機35は、搬送車3の後端部の左右一側(本実施形態では左側)に配置されている。また、光信号受信機37は、搬送車3の前端部の左右一側(本実施形態では左側)に配置されている。そして、同一経路上を走行する一対の搬送車3間で、先行する搬送車3の光信号送信機35より発せられた光信号が、後続する搬送車3の光信号受信機37に受信される。つまり、光信号送信機35及び光信号受信機37は、先行搬送車3から後続搬送車3に対して信号を送信するための手段である。
【0022】
搬送車3は、光信号受信機37の配置される側が走行方向の前側、光信号送信機35の配置される側が走行方向の後側となっている。そして、図2の矢視Aで示す方向(図1の紙面上方向)へ走行する。
【0023】
図2を用いて、光信号送信機35について説明する。光信号送信機35は、直後方に向かって光信号を発信する一方向送信ユニット35aと、一定の広角にわたって光信号を発信する広角送信ユニット35b、35cと、から構成されている。一方向送信ユニット35aと広角送信ユニット35b、35cとでは、光軸範囲(光信号を発信する方向の広がり)と、光信号の有効到達距離(光信号として有効な強度で到達可能な距離)と、光信号の周波数とが相違する。また、光信号の周波数の相違により、光信号受信機37では、一方向送信ユニット35aより発信された光信号と、広角送信ユニット35b、35cより発信された光信号とを区別して認識することが可能である。つまり、広角送信ユニット35b、35cの光軸範囲Tb、Tcと一方向送信ユニット35aの光軸範囲Taとが重複しても、受信側では問題がない。
【0024】
一方向送信ユニット35aは、先行搬送車3及び後続搬送車3の双方が直線経路上を走行している際に、先行搬送車3から後続搬送車3に光信号を発信するための手段である。一方向送信ユニット35aは、光軸範囲Taが、直後方を向く略一方向のみとなっているが、広角送信ユニット35b、35cよりも光信号の有効到達距離が長くなるように構成されている。
【0025】
広角送信ユニット35b、35cは、先行搬送車3及び後続搬送車3の少なくとも一方が曲線経路上を走行していて、先行搬送車3の直後方から後続搬送車3が外れている際に、先行搬送車3から後続搬送車3に光信号を発信するための手段である。広角送信ユニット35b、35cは、一方向送信ユニット35aよりも光信号の有効到達距離が短いが、光軸範囲Tb、Tcが広角となっている。本実施の形態では、広角送信ユニット35b、35cの光軸範囲Tb及びTcは、それぞれ140度及び130度程度の広角にわたっている。また、広角送信ユニット35b、35cの光軸範囲Tb、Tcは一部(60度程度)重なりながら隣り合うように配置されており、両光軸範囲Tb、Tcを合わせると210度程度の広角にわたるものとなる。特に、広角送信ユニット35bは、光軸範囲Tbが搬送車3の直後方を中心として扇形状に広がっている。また、広角送信ユニット35cは、光軸範囲Tcが搬送車3の側方へ扇形状に広がっている。
【0026】
光信号受信機37について説明する。光信号受信機37には、一方向受信ユニット37a、広角受信ユニット37b、37cが配置されている。一方向受信ユニット37aは、先行搬送車3の一方向送信ユニット37aから発信された光信号を受信する手段である。また、広角受信ユニット37b及び37cは、先行搬送車3の広角送信ユニット35b、35cから発信された光信号を受信する手段である。前述したように、一方向送信ユニット35aからの光信号と、広角受信ユニット37b、37cからの光信号とは、周波数が相違する。このため、一方向受信ユニット37aは一方向送信ユニット37aからの光信号のみを特定して受信でき、広角受信ユニット37b、37cは、広角送信ユニット35b、35cからの光信号のみを特定して受信できる。
【0027】
一方向受信ユニット37aの受光範囲Raは、直前方を向く略一方向の周辺の狭い角度範囲となっている。一方、広角受信ユニット37b、37cの受光範囲Rb、Rcは、それぞれ、150度程度の広角にわたっている。また、受光範囲Rb、Rcは一部(60度程度)重なりながら隣り合うように配置されており、両受光範囲Rb、Rcを合わせると240度程度の広角にわたるものとなる。加えて、広角受信ユニット37bの受光範囲Tbは、搬送車3の直前方を中心として広がっている。広角受信ユニット37cの受光範囲Tcは、搬送車3の直左方を中心として広がっている。
【0028】
ここで、搬送車3の前側より進入してくる光信号は、当該搬送車3の先行搬送車3の広角送信ユニット35bからの光信号の場合もあれば、先行搬送車3の広角送信ユニット35cからの光信号の場合もある。つまり、先行搬送車3及び後続搬送車3の少なくとも一方がカーブを走行する場合など、先行搬送車3と後続搬送車3との位置関係が変化する場合に、先行搬送車3の広角送信ユニット35cからの光信号が、後続搬送車3の広角受信ユニット37bに受信されることもある。
【0029】
同様に、搬送車3の左側より進入してくる光信号は、当該搬送車3の先行搬送車3の広角送信ユニット35bからの光信号の場合もあれば、先行搬送車3の広角送信ユニット35cからの光信号の場合もある。
【0030】
次に、搬送車3に備える送受信手段の作動切換えについて説明する。
一方向送信ユニット35aは、先行搬送車3及び後続搬送車3が共に直線経路上を走行している際に作動状態になっている。一方向送信ユニット35aは、例えば、曲線経路から直線経路に移行したときに、停止状態から作動状態に切換えられる。一方、広角送信ユニット35b、35cは、先行搬送車3及び後続搬送車3の少なくとも一方が曲線経路上を走行している際に作動状態になっている。例えば、直線経路から曲線経路に移行したときに、広角送信ユニット35b、35cの少なくとも一方が停止状態から作動状態に切換えられる。
【0031】
また、一方向受信ユニット37aは、直線経路走行時に、作動状態になっている。一方向受信ユニット37aは、例えば曲線経路から直線経路に移行したときに、停止状態から作動状態に切換えられる。一方、広角受信ユニット37b、37cは、カーブ走行時に作動状態になっている。例えば、直線経路から曲線経路に移行したときに、広角受信ユニット37b、37cの少なくとも一方が停止状態から作動状態に切換えられる。
【0032】
カーブ走行時において、広角送信ユニット35b、35c及び広角受信ユニット37b、37cは、すべてが同時に作動状態になっているのではなく、光通信に必要な最小限の手段のみが作動状態になっている。そして、送信元たる先行搬送車3より、送信先たる後続の後続搬送車3だけでなく、それ以外の他の搬送車3にも光信号が到達して、相互干渉を発生させてしまうような事態の発生を防止している。このため、広角送信ユニット35b、35c及び広角受信ユニット37b、37cは、それぞれ、基本的には択一的に切換えられて用いられる。
【0033】
広角送信ユニット35b、35c又は広角受信ユニット37b、37cが同時に作動状態になるのは、送信源を広角送信ユニット35bから広角送信ユニット35cに切換える際又は、受信源を広角受信ユニット37bから広角受信ユニット37cに切換える際である。このような切換え時は、先行搬送車3又は後続搬送車3の姿勢変化が激しいときであり、択一的に送受信手段を切換えると、切換えに際して瞬間的に送信・受信が途絶えてしまうおそれがある。そこで、切換え時点を挟む前後の一定時間の間、広角送信ユニット35b、35cや広角受信ユニット37b、37cを同時に作動させることで、切換えに際して送信・受信が途絶えてしまうような不具合の発生を防止している。
【0034】
(3)搬送車システムの制御系
図3を用いて、搬送車システム1の制御系39を説明する。図3は、搬送車システムの制御系を示すブロック図である。制御系39は、製造コントローラ41と、物流コントローラ43と、ストッカコントローラ45と、搬送車コントローラ47とを有している。
物流コントローラ43は、ストッカコントローラ45及び搬送車コントローラ47の上位のコントローラである。搬送車コントローラ47は、複数の搬送車3を管理し、これらに搬送指令を割り付ける割り付け機能を有している。なお、「搬送指令」は、走行に関する指令や、荷つかみ位置と荷おろし位置に関する指令を含んでいる。
【0035】
製造コントローラ41は、各処理装置9との間で通信することができる。処理装置9は、処理が終了した物品の搬送要求(荷つかみ要求・荷おろし要求)を製造コントローラ41に送信する。製造コントローラ41は、処理装置9からの搬送要求を物流コントローラ43に送信し、物流コントローラ43は報告を製造コントローラ41に送信する。
【0036】
物流コントローラ43は、製造コントローラ41から搬送要求を受けると、ストッカ11での入庫や出庫が伴っている場合、所定のタイミングで入庫や出庫指令をストッカコントローラ45へ送信する。そして、ストッカコントローラ45は、これに応じて入庫指令や出庫指令をストッカ11へ送信する。物流コントローラ43は、さらに、製造コントローラ41から搬送要求を受け取ると、それを搬送指令に変換し、搬送車3への搬送指令割付け動作を行う。
【0037】
(4)搬送車コントローラと搬送車の制御系
図4を用いて、搬送車コントローラと搬送車3の関係について説明する。図4は、搬送車コントローラと搬送車の制御系を示すブロック図である。
搬送車コントローラ47は、制御部51と、記憶部53と、通信部55とを有している。制御部51は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)によって構成される。CPUは、種々の演算を行い、プログラムを実行できる。ROMには、CPUが動作するために必要なプログラム及びデータが格納されている。RAMには、プログラムの実行に際して作成される一時的なデータ及びプログラムが格納されている。CPUがROM等の記憶媒体内のプログラムを読み出して実行することによって、制御部51の様々な機能が実現される。
【0038】
制御部51は、記憶部53にデータを書き込み、さらに記憶部53からデータを読み出すことができる。
図示していないが、記憶部53は、ルートマップを保存している。ルートマップとは、走行ルートの配置、原点の位置、原点を基準とする基準位置や移載位置の座標を記載したマップである。座標は、原点からの走行距離を搬送車3のエンコーダ67の出力パルス数などに換算したものである。制御部51は、記憶部53からルートマップを読み出し可能である。
記憶部53は、搬送車記憶部57と、優先通信搬送車記憶部59とを有している。搬送車記憶部57には、搬送車コントローラ47が管理するエリア内を走行する搬送車3のポーリング通信を行う順番を登録した搬送車順序テーブル71(図8)が記憶されている。例えば、32台の搬送車3が走行している場合には、連続した登録番号1〜32が記憶されている。各登録番号は号機番号であり、ポーリング通信の際に搬送車3を特定する情報である。優先通信搬送車記憶部59には、優先的に通信を行う搬送車3の優先通信搬送車テーブル73(図8)が記憶されている。
【0039】
制御部51は、搬送車記憶部57に登録された搬送車3とポーリング方式で通信を行う。具体的には、制御部51は、通信部55を介して、各搬送車3に対して順次問い合わせを送信、さらに搬送車3からの返信を受信している。
【0040】
この通信によって、搬送車コントローラ47は、各搬送車3の位置データを得ている。例えば、制御部51は、エンコーダ67によって得られたポイントを通過してからの走行距離を、搬送車コントローラ47へ位置データとして送信する。
搬送車コントローラ47は、各搬送車3から現在位置情報が定期的に送信されているので、全搬送車3の現在位置を把握している。制御部51は、各搬送車3に向けて、適宜、その搬送車3についての先行搬送車3や後続搬送車3の位置情報を送信している。このため、各搬送車3は、搬送車コントローラ47から配信される情報からでも、先行搬送車3や後続搬送車3の位置を把握できる。
【0041】
なお、搬送車コントローラ47と各搬送車3との間の通信は、例えば、経路に沿って敷設した通信線を介して行われる。各搬送車3は、通信線へ電磁誘導を利用して信号を送信する。この通信線は搬送車コントローラ47に接続されていて、通信線に送信された情報が搬送車コントローラ47に伝達される。
【0042】
搬送車3には、制御部63が搭載されている。制御部63は、通信部65を介して、搬送車コントローラ47と通信するようになっている。また、制御部63は、通信線を介して制御部51とも通信可能である。
制御部63には、光信号送信機35と光信号受信機37が接続されている。制御部63は、光信号送信機35及び光信号受信機37を作動状態と停止状態とで切り替え可能である。制御部63は、光信号送信機35に自機の走行位置情報及び走行状態に関する情報(例えば、走行速度、停止距離、カーブ情報)を送信させることができる。さらに、制御部63は、光信号受信機37から先行搬送車3の位置情報を受信可能である。さらに、制御部63は、駆動モータ33とエンコーダ67とに接続されており、駆動信号を駆動モータ33に送信可能であり、さらに速度情報及び位置情報をエンコーダ67から受信可能である。
【0043】
搬送車3は、記憶部69にルートマップを有しており、ルートマップに記載の座標と自機の内部座標(エンコーダ67によって求めた座標)とを比較しながら走行を続ける。ルートマップには、経路の全体形状及び経路各部の詳細情報、さらには各ポイントの位置情報が含まれている。記憶部69に保存されたルートマップは、さらに、走行車間通信が困難になる困難区間の情報、例えば曲線経路の開始点及び終了点又はそれら近傍の位置に関する情報を含んでいる。
制御部51は、エンコーダ67からのカウント数に基づいて、基準となる任意のポイントからの走行距離を算出する機能を有しており、さらに、前述の走行距離とルートマップとに基づいて現在位置を把握する機能を有している。さらに、制御部51は、現在位置情報と困難区間情報とに基づいて、自機が前述の困難区間に接近、進入、離脱をしているか否かを判断できる。
【0044】
図5を用いて、制御部51の機能を詳細に説明する。図5は、制御部内の機能構成を示すブロック図である。 制御部51は、要求判断部81と、全数把握部83と、優先通信搬送車数把握部85と、優先通信搬送車増加判断部87と、優先通信搬送車登録部89と、均等分割部91と、挿入部93と、を有している。要求判断部81は搬送車3から優先通信搬送車として登録されることが要求されているか否かを判断する。全数把握部83は、エリア内に存在する搬送車3の台数を把握しており、より具体的には、全数把握部83は、搬送車記憶部57に保存された搬送車順序テーブル71(図8)を把握可能である。優先通信搬送車数把握部85は、エリア内に存在する搬送車3の中における優先通信搬送車の数を把握しており、より具体的には、優先通信搬送車記憶部59に保存された優先通信搬送車テーブル73(図8)を把握可能である。優先通信搬送車登録部89は、優先通信搬送車記憶部59に新たに搬送車3の番号を登録し、又は。優先通信搬送車記憶部59から搬送車3の登録データを削除する。均等分割部91は、搬送車順序テーブル71を分割して記憶することができ、特に、できる限り均等に分割して記憶することができる。挿入部93は、優先通信搬送車テーブル73を分割された搬送車順序テーブル71の分割位置に挿入することで、通信順番テーブル75(図8)を作成可能である。
【0045】
(5)制御動作
図6〜図9を用いて、搬送車3の制御動作について説明する。
図6は、搬送車の制御部によるカーブ走行時の優先登録要求動作及び優先解除要求動作を示すフローチャートである。図7は、搬送車コントローラによる優先通信搬送車の登録動作及び削除動作を示すフローチャートである。図8は、搬送車順序テーブル、優先通信搬送車テーブル、及び通信順番テーブルである。図9は、曲線経路を走行する2台の搬送車の位置関係を示す概略平面図である。
【0046】
図6及び図7において、信号の送受信はポーリング通信として行われていてもよいし、それとは別の通信として行われていてもよい。
【0047】
図6では、搬送車3が曲線経路を走行していくときの、搬送車3の制御動作を説明する。
ステップS1では、搬送車3の制御部63は、エンコーダ67からの位置情報を用いて搬送車3が曲線経路に接近したか否かを判断する。Yesになると、プロセスはステップS2に移行する。
ステップS2では、制御部63は、搬送車コントローラ47に対して、自機を優先通信搬送車として登録することの要求を送信する。
ステップS3では、制御部63は、搬送車コントローラ47から登録承認通知を受信したか又は登録拒否通知を受信したかを判断する。登録承認通知であればプロセスはステップS4に移行し、登録拒否通知であればプロセスは終了する。登録拒否通知を受信するのは、搬送車コントローラ47が優先通信搬送車の新たな登録を認めなかった場合である。
ステップS4では、制御部63は、エンコーダ67からの位置情報を用いて、搬送車3が曲線経路から離脱したか否かを判断する。
ステップS5では、制御部63は、搬送車コントローラ47に対して自機を優先通信搬送車としての登録を解除することの要求を送信する。
ステップS6では、制御部63は、搬送車コントローラ47から登録解除通知を受信したか否かを判断する。YesであればプロセスはステップS5に戻り、Noであればプロセスは終了する。
以上に述べたように、搬送車3は、曲線経路に接近すると搬送車コントローラ47に対して優先通信搬送車として登録することを要求し、曲線経路から離脱すると搬送車コントローラ47に対して優先通信搬送車としての登録解除を要求する。このように、優先通信搬送車の登録及び登録解除のトリガーは、搬送車3が生成している。
【0048】
図7において、搬送車コントローラ47の要求受信制御動作を説明する。
ステップS11では、制御部51の要求判断部81は、搬送車3から優先通信搬送車として登録されることが要求されているか否かを判断する。YesであればプロセスはステップS12に移行し、NoであればプロセスはステップS13に移行する。
ステップS12では、制御部51が1台の優先通信搬送車を登録してよいか否かを判断する。具体的には、全数把握部83が搬送車記憶部57にある搬送車順序テーブル71を読み込んで、さらに優先通信搬送車数把握部85が優先通信搬送車記憶部59にある優先通信搬送車テーブル73を読み込んで、さらに優先通信搬送車増加判断部87がそれらの数に基づいて1台の優先通信搬送車を登録してよいか否かを判断する。NoであればプロセスはステップS14に移行し、YesであればプロセスはステップS15に移行する。なお、Noになる場合は、優先通信搬送車記憶部59に保存された優先通信搬送車の数が設定最大値になっている場合である。
ステップS14では、制御部51は、通信部55を介して、搬送車3に登録拒否通知を送信する。
ステップS15では、制御部51の優先通信搬送車登録部89は、優先通信搬送車記憶部59に新たに搬送車3の番号を登録する。
ステップS16では、制御部51は、通信部55を介して、搬送車3に登録承認通知を送信する。
ステップS13では、制御部51は、搬送車3から優先通信搬送車としての登録を解除することが要求されているか否かを判断する。NoであればプロセスはステップS11に戻り、YesであればプロセスはステップS17に移行する。
ステップS17では、制御部51の優先通信搬送車登録部89は、優先通信搬送車記憶部59から当該搬送車3の登録データを削除する。
ステップS18では、制御部51は、通信部55を介して、搬送車3に登録解除通知を送信する。ステップS18が終了すれば、プロセスはステップS11に戻る。
【0049】
図8を用いて、搬送車記憶部57及び優先通信搬送車記憶部59に記憶された各テーブルを用いた、搬送車コントローラ47と搬送車3との間のポーリング通信を説明する。
図8は、搬送車記憶部57に保存された搬送車順序テーブル71を示している。搬送車順序テーブル71には、合計32個の搬送車3の番号が順番に並べられている。この順番が、搬送車コントローラ47が搬送車3とポーリング通信を行う順番である。
図8は、さらに、優先通信搬送車記憶部59に保存された優先通信搬送車テーブル73を示している。優先通信搬送車テーブル73には、合計3個の搬送車3の番号が順番に並べられている。優先通信搬送車テーブル73は、図6及び図7を用いて説明したように、搬送車3からの要求に従って更新される。具体的には、登録要求にしたがってデータの追加が行われ、登録解除要求にしたがってデータの削除が行われる。また、優先通信搬送車テーブル73は、最大登録数が設定されている。これにより、搬送車全てに通信を行う周期が著しく長くなることはない。
図8は、さらに、搬送車コントローラ47が、搬送車順序テーブル71に優先通信搬送車テーブル73を組み合わせて、実際に各搬送車3にポーリング通信を行う順番を示した通信順番テーブル75を示している。通信順番テーブル75は、実際にデータとして記憶部53に記憶されていてもよいし、仮想的なものであってもよい。
図8から明らかなように、通信順番テーブル75を用いた実際の通信では、搬送車順序テーブル71は均等分割部91によって4分割され、その間の4ヶ所に挿入部93によって優先通信搬送車テーブル73が挿入されている。その結果、1ポーリング周期において、優先通信搬送車テーブル73に登録されていない搬送車3の通信回数が合計1回であるのに対して、優先通信搬送車テーブル73に登録された搬送車3の通信回数が合計5回になっている。このように、優先通信搬送車記憶部59に登録された搬送車3は、通信周期が短くなっており、つまり搬送車コントローラ47との通信が切れる時間が短くなっている。
【0050】
具体的には、優先通信搬送車が全く登録されていない場合のポーリング周期が約3秒であるとすれば、上記のような場合の実際のポーリング周期(図8の通信順番テーブル75を用いた場合)は4.125秒となり、若干長くなる。つまり、優先通信搬送車として登録されていない搬送車3にとっては、ポーリング周期は若干長くなってしまう。一方、優先通信搬送車として登録された搬送車3にとっては、ポーリング周期は平均0.825秒となり、大幅に短縮される。
【0051】
ここで、搬送車順序テーブル71の分割数をAとすると、トータルのポーリング周期は以下の式で求められる。
トータルのポーリング周期=(搬送車順序テーブル71のデータ数に対応する時間)+(優先通信搬送車テーブル73のデータ数×分割数A)に対応する時間
また、優先通信搬送車に対するポーリング周期は以下の式で求められる。
優先通信搬送車に対するポーリング周期=((搬送車順序テーブル71のデータ数に対応する時間)+(優先通信搬送車テーブル73のデータ数に対応する時間×分割数A))/(分割数A+1)
この結果、ポーリング周期において、優先通信搬送車テーブル73に登録されている搬送車3の通信回数は、分割数A+1となっている。
前述のように、優先通信搬送車テーブル73のデータ数は、前述のように、設定された最大登録数Bまでとなっている。また、分割数Aを大きくすれば、優先通信搬送車テーブル73に登録された搬送車3に対してはポーリング周期を短くできるが、全体のポーリング周期は長くなってしまい、優先エリア以外の搬送車3の挙動が阻害される。そこで、分割数Aと最大登録数Bは、システム要件に応じて最適化されていることが好ましい。また、分割数Aと最大登録数Bは、状況に応じて動的に決定されてもよい。
【0052】
以上より、例えば、図9に示すように、曲線経路19Aから直線経路19Bに向かう先行搬送車3Aと後続搬送車3Bが曲線経路19Aを搬送車間通信をしながら最適な車間距離で走行しているとする。曲線経路19Aの出口19C付近で先行搬送車3Aの光信号送信機35が広域通信から狭域通信に切換える前に、先行搬送車3Aが直進加速すると、先行搬送車3Aと後続搬送車3Bの間の距離が長くなる。その結果、先行搬送車3Aと後続搬送車3Bの車間距離が広域通信の通信可能距離Tより長くなり、その結果、搬送車間通信が途切れる。
しかし、上記の場合に、搬送車コントローラ47と後続搬送車3Bとの通信によって、搬送車間通信補完機能が働く。そして、本実施形態では、図6及び図7に示す制御によって、後続搬送車3Bは曲線経路19Aに入る前から優先通信搬送車3として登録されているので、短い周期で搬送車コントローラ47と通信を行う。その結果、後続搬送車3Bにおいて、先行搬送車3Aの位置情報更新が間に合い、その結果、後続搬送車3Bは先行搬送車3Aとの距離が十分に離れてることを把握できる。以上の結果、搬送車3は不要な減速・停止動作を行わず、したがってシステムの搬送能力が低下しない。
【0053】
(6)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である
(A)搬送車システム1は、複数の搬送車3と、複数の搬送車3と順番に通信を行う搬送車コントローラ47とを備えている。搬送車コントローラ47は、優先的に通信を行う優先通信搬送車3を記憶する優先通信搬送車記憶部59を有しており、複数の搬送車3の全てと順番に一度ずつ通信する間に、優先通信搬送車3と複数回通信する。
この搬送車システム1では、搬送車コントローラ47が複数の搬送車3の全てと順番に一度ずつ通信する間に、優先通信搬送車3と複数回通信するので、優先通信搬送車3が搬送車コントローラ47と通信を行う周期は他の搬送車3に比べて短くなる。これにより、従来の搬送車コントローラ47と搬送車3の通信方法を大きく変えることなく、特定の搬送車3の通信周期が短くなっている。その結果、例えば、搬送車間通信が途切れても、後続搬送車3において先行搬送車3の位置情報更新が遅れることがなく、その場合は後続搬送車3は適切な速度で走行を続けることができる。
【0054】
(B)搬送車3は、搬送車3間で直接通信を行う光信号送信機35及び光信号受信機37(直接通信装置)と、走行位置を把握する制御部63と、搬送車3間で通信が困難でありしたがって搬送車コントローラ47と優先的に通信を行うことが必要な優先区間を記憶する記憶部69とを有している。制御部63は、エンコーダ67及び記憶部69によって優先区間に接近することが分かると、搬送車コントローラ47に優先度向上を要求する。
この搬送車システム1では、搬送車3同士は光信号送信機35及び光信号受信機37によって搬送車間通信を行いながら走行する。後続搬送車3は、搬送車間で通信が困難な優先区間に接近すると、優先通信搬送車3は他の搬送車3に比べて短い周期で搬送車コントローラ47と通信を行うことになる。その結果、例えば、優先区間において搬送車間通信が途切れても、後続搬送車3において先行搬送車3の位置情報更新が遅れることがなく、後続搬送車3は適切な速度で走行を続ける。
特に、搬送車コントローラ47が搬送車3の優先度を向上させるトリガーは、搬送車3からの優先度向上要求なので、搬送車コントローラ47の負担が低減されている。
【0055】
(C)優先通信搬送車記憶部59は複数の優先通信搬送車3を記憶可能であり、搬送車コントローラ47は、複数の優先通信搬送車3に対して連続して通信を行う。
この搬送車システム1では、搬送車コントローラ47は複数の優先通信搬送車3と連続して通信を行うことになるので、全搬送車3と通信を行う順序を大きく変更する必要がない。したがって、搬送車コントローラ47の負担が低減されている。
【0056】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)
(a−1)前記実施形態では優先度制御は常に実行されていたが、コントローラが渋滞状況に応じて優先度制御の適否を切り替えてもよい。また、コントローラが渋滞状況に応じて分割数A及び最大登録数Bを適宜変更するようにしてもよい。
(a−2)前記実施形態では優先通信搬送車テーブルは1つであったが、複数設けてもよい。その場合に、各テーブルに優先度を設けて、さらに、優先度の高いテーブルの挿入回数を多くすることができる。
(a−3)前記実施形態では搬送車の曲線経路走行について説明したが、他の搬送車システムにおいて分岐・合流部又は曲線経路走行のブロッキング制御にも本発明を適用できる。上位のコントローラと搬送車のポーリング通信において、ブロッキングエリアの搬送車(ブロッキング待ち搬送車又はブロッキングエリア走行中搬送車)についての優先度を上げることで、それら搬送車の待ち時間を短縮できる。
(a−4)前記実施形態では搬送車の走行制御における優先度向上を説明したが、本発明は移載制御にも適用できる。例えば、移載ステーションが密集しているエリアを優先エリアとすることで、優先エリア内にある搬送車に与える搬送指令が素早く与えられるようになる。これにより、搬送車コントローラ搬送指令の要求元ステーションに近い搬送車に搬送指令を割り付けた場合に、搬送車に搬送指令を通信する前に搬送車が要求元ステーションを通過することが生じにくい。
(a−5)前記実施形態では搬送車はエンコーダからの情報に基づいて走行位置を把握していたが、位置センサによって絶対位置を把握してもよいし、両者を組み合わせて用いてもよい。
(b)
(b−1)前記実施形態では搬送車同士が通信を行っていたが、本発明(請求項1)は搬送車同士が通信を行わない搬送車システムにも適用可能である。
(b−2)前記実施形態では、搬送車コントローラが搬送車からの優先要求又は解除要求を受けて優先通信登録又は解除を行っていたが、搬送車コントローラが各搬送車の走行位置を把握することで優先通信登録又は解除を行ってもよい。
(c)
(c−1)前記実施形態では、複数の優先通信搬送車に対しては連続して通信されるように1つのセットとして扱われていたが、実際のポーリング通信では別個バラバラに通信されるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、各搬送車が上位コントローラとポーリング通信する搬送車システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 搬送車システム
3 搬送車
3A 先行搬送車
3B 後続搬送車
5 周回走行路
7 基幹走行路
9 処理装置
11 ストッカ
13 入庫ポート
15 出庫ポート
19 レール
19A 曲線経路
19B 直線経路
19C 出口
21 本体
23 駆動ユニット
25 従動ユニット
25a 車輪
29 駆動輪
31 ガイド輪
33 駆動モータ
35 光信号送信機(直線通信装置)
35a 一方向送信ユニット
35b 広角送信ユニット
35c 広角送信ユニット
37 光信号受信機(直線通信装置)
37a 一方向受信ユニット
37b 広角受信ユニット
37c 広角受信ユニット
39 制御系
41 製造コントローラ
43 物流コントローラ
45 ストッカコントローラ
47 搬送車コントローラ
51 制御部
53 記憶部
55 通信部
57 搬送車記憶部
59 優先通信搬送車記憶部
63 制御部
65 通信部
67 エンコーダ(走行位置把握部)
69 記憶部(区間記憶部)
71 搬送車順序テーブル
73 優先通信搬送車テーブル
75 通信順番データ
81 要求判断部
83 全数把握部
85 優先通信搬送車数把握部
87 優先通信搬送車数増加判断部
89 優先通信搬送車登録部
91 均等分割部
93 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送車と、
前記複数の搬送車と順番に通信を行うコントローラとを備え、
前記コントローラは、優先的に通信を行う優先通信搬送車を記憶する優先通信搬送車記憶部を有しており、前記複数の搬送車の全てと順番に一度ずつ通信する間に、前記優先通信搬送車と複数回通信する、搬送車システム。
【請求項2】
前記搬送車は、
前記搬送車間で直接通信を行う直接通信装置と、
走行位置を把握する走行位置把握部と、
前記搬送車間で通信が困難な困難区間を記憶する区間記憶部と、
前記位置把握部及び前記区間記憶部によって前記困難区間に接近することが分かると、前記コントローラに優先度向上を要求する優先度向上要求部と、を有している、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記優先通信搬送車記憶部は複数の優先通信搬送車を記憶可能であり、
前記コントローラは、前記複数の優先通信搬送車に対して連続して通信を行う、請求項1又は2に記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−99033(P2012−99033A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248093(P2010−248093)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】