説明

携帯型決済端末

【課題】払戻機能を備え盗難による不正使用を防止可能な携帯型決済端末を提供する。
【解決手段】決済端末10は、予め所定の金額が増額された払戻用カードCrと、顧客用カードCcおよび払戻用カードCrと無線通信可能なICカード通信部30と、顧客用カードCcによる商品購入時の履歴情報を記憶するメモリ12と、メモリ12に記憶された履歴情報のうち払戻対象の購入情報を選択するための選択手段および返品時の払戻しに使用される顧客用カードCcが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段の両手段として機能する制御部11と、を備えている。そして、履歴選択処理により払戻対象の履歴情報が選択されると、ICカード通信部30を介して払戻対象に応じた払戻金額分を払戻用カードCrから減額するとともに当該払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金銭的価値情報を有する電子マネーを利用可能な携帯型決済端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金銭的価値情報を有する電子マネーを利用可能な携帯型決済端末に関する技術として、下記特許文献1に示すサービスシステムが知られている。このサービスシステムは、ユーザが操作し易い位置に取り付け可能で無線通信可能な電子回路チップと、この電子回路チップが登録されたPDAと、サービスを実施する改札機装置などの装置端末とを備えている。そして、電子回路チップおよびPDAを有するユーザが改札を通過するときに電子回路チップを装置端末による読み取り可能な空間に置くと、PDAと装置端末との間で相互認証が実施される。この認証が正当に完了すると、電子回路チップの付属IDに関する精算処理(決済処理)が実施されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−227203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような精算機能を有する携帯端末を、商品購入時の決済を行う決済端末として適用する場合には、商品の返品に応じた払戻処理が問題となる。すなわち、携帯型の決済端末に単に払戻機能を設けると、この携帯型決済端末が盗難された場合に不正にカードの残高が増額されてしまう。そのため、払戻機能を有しない携帯型決済端末を採用する場合、払戻時にはカードの残高が増額されずに現金が渡されることとなり、「現金を持たずに決済可能」という電子決済の利点が損なわれてしまうこととなる。また、不正使用を防止するため、店員用カード等を設けてこの店員用カード等が認識される場合のみ払戻処理できるようにしても、携帯型決済端末とともに店員用カード等が盗難されると、不正使用されてしまうこととなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、払戻機能を備え盗難による不正使用を防止可能な携帯型決済端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯型決済端末では、金銭的価値情報を有する電子マネーを利用可能な顧客用カードを所持する購入者による商品購入時に、前記顧客用カードの残高から購入金額を減額して決済する携帯型決済端末であって、前記電子マネーを利用可能であって予め所定の金額が増額された払戻用カードと、前記顧客用カードおよび前記払戻用カードと無線通信可能な通信手段と、前記顧客用カードによる商品購入時の購入情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち払戻対象の購入情報を選択するための選択手段と、返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段と、を備え、前記選択手段により前記払戻対象の購入情報が選択されるととともに前記判定手段により払戻可能と判定されると、前記通信手段を介して前記払戻対象に応じた払戻金額分を前記払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型決済端末において、前記払戻用カードの残高が前記払戻金額以上であるか否かを判定する残高判定手段を備え、前記選択手段により前記払戻対象の購入情報が選択されるととともに前記判定手段により払戻可能と判定されると、前記残高判定手段により前記払戻用カードの残高が前記払戻金額以上であると判定されるとき、前記通信手段を介して前記払戻対象に応じた払戻金額分を前記払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の携帯型決済端末において、前記商品に表示されている情報コードを光学的に読み取ることで前記購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第1読取手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の携帯型決済端末において、前記商品に付されている無線タグと無線通信することで前記購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第2読取手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記払戻用カードに関する情報が予め前記記憶手段に記憶されており、前記判定手段は、返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものであり、かつ、減額対象の払戻用カードに関する情報が前記記憶手段に記憶されている場合に払戻可能と判定することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の携帯型決済端末において、前記判定手段は、さらに、前記顧客用カードおよび前記払戻用カードが前記通信手段の通信範囲内に同時に存在し当該通信手段により無線通信可能となった場合に払戻可能と判定することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記記憶手段により記憶された前記購入情報を表示するための表示手段を備え、前記選択手段は、前記記憶手段により記憶された前記購入情報のうち、返品時の払戻しに使用される顧客用カードを用いて購入された購入情報が表示される前記表示手段から前記払戻対象の購入情報を選択させることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記記憶手段により記憶された前記購入情報を表示するための表示手段を備え、前記選択手段は、前記記憶手段により記憶された前記購入情報のうち、返品される商品に対応する購入情報が表示される前記表示手段から前記払戻対象の購入情報を選択させることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち前記払戻済情報が付与されていない購入情報のみを選択可能とすることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記選択手段により選択された前記払戻対象の購入情報に前記払戻済情報が付与されておらずかつ前記引落済情報が付与されている場合には、前記払戻用カードを減額することなく前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記払戻対象の購入情報には購入日時が含まれるとともに、前記引落済情報には前記払戻金額分が前記払戻用カードから減額された日時が含まれ、前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、前記引落済情報に含まれる日時が購入日時以前である購入情報を選択不可とすることを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、前記払戻対象の購入情報には購入日時が、前記引落済情報には前記払戻金額分が前記払戻用カードから減額された日時が、前記払戻済情報には前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高が増額された日時が、それぞれ含まれ、前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、前記払戻済情報に含まれる日時が引落済情報に含まれる日時より前である購入情報を選択不可とすることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の携帯型決済端末において、前記記憶手段には、予め登録された1または2以上の前記払戻用カードのみを当該携帯型決済端末に対して使用可能とするために、当該払戻用カードを特定するカード特定情報が記憶され、前記購入情報には、商品購入時において記憶手段に予め記憶されている前記カード特定情報が含まれ、前記選択手段は、さらに、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、当該記憶手段に予め登録されている前記カード特定情報が含まれる購入情報のみを選択可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、携帯型決済端末は、予め所定の金額が増額された払戻用カードと、顧客用カードおよび払戻用カードと無線通信可能な通信手段と、顧客用カードによる商品購入時の購入情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された購入情報のうち払戻対象の購入情報を選択するための選択手段と、返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段と、を備えている。そして、選択手段により払戻対象の購入情報が選択されるととともに判定手段により払戻可能と判定されると、通信手段を介して払戻対象に応じた払戻金額分を払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する。
【0020】
これにより、たとえ携帯型決済端末の装置本体が盗難されても払戻用カードまで盗難されていない場合には、減額対象のカード(すなわち払戻用カード)の残高を減額できないために、顧客用カード等のカードの残高を不正に増額することができない。したがって、払戻機能を備え盗難による不正使用を防止可能な携帯型の決済端末を構成することができる。
【0021】
請求項2の発明では、選択手段により払戻対象の購入情報が選択されるととともに判定手段により払戻可能と判定されると、残高判定手段により払戻用カードの残高が払戻金額以上であると判定されるとき、通信手段を介して払戻対象に応じた払戻金額分を払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する。
【0022】
これにより、携帯型決済端末の装置本体とともに払戻用カードが盗難された場合でも、不正に増額される金額は払戻用カードの残高が限度となるので、不正使用による被害額を払戻用カードの残高に抑えることができる。
【0023】
請求項3の発明では、商品に表示されている情報コードを光学的に読み取ることで購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第1読取手段を備えているため、払戻機能を有する携帯型決済端末であっても商品に関する情報を容易に読み取ることができる。
【0024】
請求項4の発明では、商品に付されている無線タグと無線通信することで購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第2読取手段を備えているため、払戻機能を有する携帯型決済端末であっても商品に関する情報を容易に読み取ることができる。
【0025】
請求項5の発明では、判定手段は、返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものであり、かつ、減額対象の払戻用カードに関する情報が記憶手段に記憶されている場合に払戻可能と判定する。このため、例えば、盗難された携帯型決済端末の装置本体に対して他の場所で盗難された払戻用カードを適用する場合でも、この払戻用カードに関する情報が記憶手段に記憶されていないことから、当該払戻用カードの残高を減額して顧客用カード等のカードの残高を不正に増額することができない。これにより、盗難による不正使用を確実に抑制することができる。
【0026】
請求項6の発明では、判定手段は、さらに、顧客用カードおよび払戻用カードが通信手段の通信範囲内に同時に存在し当該通信手段により無線通信可能となった場合に払戻可能と判定するため、セキュリティ性を向上させることができる。
【0027】
請求項7の発明では、記憶手段により記憶された購入情報を表示するための表示手段が設けられている。そして、選択手段は、記憶手段により記憶された購入情報のうち、返品時の払戻しに使用される顧客用カードを用いて購入された購入情報が表示される表示手段から払戻対象の購入情報を選択させる。これにより、表示手段には、返品を希望する顧客の顧客用カードを用いて購入された購入情報のみが表示されるので、払戻対象の購入情報を容易に選択することができる。
【0028】
請求項8の発明では、記憶手段により記憶された購入情報を表示するための表示手段が設けられている。そして、選択手段は、記憶手段により記憶された購入情報のうち、返品される商品に対応する購入情報が表示される表示手段から払戻対象の購入情報を選択させる。これにより、表示手段には、返品される商品に対応する購入情報のみが表示されるので、払戻対象の購入情報を容易に選択することができる。
【0029】
請求項9の発明では、払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して記憶手段に記憶する。そして、選択手段は、記憶手段に記憶された購入情報のうち払戻済情報が付与されていない購入情報のみを選択可能とする。これにより、既に払い戻された購入情報が選択手段により選択されることもないので、払い戻しの重複をなくすことができる。
【0030】
請求項10の発明では、払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して記憶手段に記憶するとともに、払戻金額分を払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して記憶手段に記憶する。そして、選択手段により選択された払戻対象の購入情報に払戻済情報が付与されておらずかつ引落済情報が付与されている場合には、払戻用カードを減額することなく払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する。
【0031】
払戻金額分を払戻用カードから減額した後に当該払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する払戻処理では、払戻用カードからの減額後であって顧客用カードの残高を増額する前にエラーが発生して処理が停止してしまうと、処理再開時に払戻用カードからの減額処理などが重複して実行される可能性がある。そこで、払戻済情報が付与されておらずかつ引落済情報が付与されている場合、すなわち、払戻用カードからの減額後であって顧客用カードの残高を増額する前にエラーが発生して処理が停止した場合には、払戻用カードを減額することなく払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額することにより、処理再開時の減額処理などの重複を確実になくすことができる。
【0032】
請求項11の発明では、払戻金額分を払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して記憶手段に記憶する。また、払戻対象の購入情報には購入日時が含まれるとともに、引落済情報には払戻金額分が払戻用カードから減額された日時が含まれる。そして、選択手段は、記憶手段に記憶された購入情報のうち、引落済情報に含まれる日時が購入日時以前である購入情報を選択不可とする。
【0033】
引落済情報に含まれる日時が購入日時以前である購入情報は不正な情報の可能性が高いため、このような購入情報を選択不可とすることにより、不正な情報の可能性が高い購入情報が選択されることをなくすことができる。
【0034】
請求項12の発明では、払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して記憶手段に記憶するとともに、払戻金額分を払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して記憶手段に記憶する。また、払戻対象の購入情報には購入日時が、引落済情報には払戻金額分が払戻用カードから減額された日時が、払戻済情報には払戻金額分に応じて顧客用カードの残高が増額された日時が、それぞれ含まれる。そして、選択手段は、記憶手段に記憶された購入情報のうち、払戻済情報に含まれる日時が引落済情報に含まれる日時より前である購入情報を選択不可とする。
【0035】
払戻金額分を払戻用カードから減額した後に当該払戻金額分に応じて顧客用カードの残高を増額する払戻処理では、払戻済情報に含まれる日時が引落済情報に含まれる日時より前である購入情報は不正な情報の可能性が高い情報である。このため、このような購入情報を選択不可とすることにより、不正な情報の可能性が高い購入情報が選択されることをなくすことができる。
【0036】
請求項13の発明では、記憶手段には、予め登録された1または2以上の払戻用カードのみを当該携帯型決済端末に対して使用可能とするために、当該払戻用カードを特定するカード特定情報が記憶される。また、購入情報には、商品購入時において記憶手段に予め記憶されているカード特定情報が含まれる。そして、選択手段は、上述の条件に加えてさらに、記憶手段に記憶された購入情報のうち、当該記憶手段に予め登録されているカード特定情報が含まれる購入情報のみを選択可能とする。
【0037】
このように、記憶手段に予め登録されているカード特定情報が含まれる購入情報のみを選択可能とすることにより、例えば、盗難された携帯型決済端末の装置本体に対して他の場所で盗難された払戻用カードを適用する場合には、払戻対象となる購入情報が1つも選択できなくなる。これにより、顧客用カード等のカードの残高を不正に増額できなくなり、盗難による不正使用を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態に係る決済端末10の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の制御部11における購入処理の流れを例示するフローチャートである。
【図3】メモリ12に記憶される商品データベースの状態を例示する説明図である。
【図4】第1実施形態においてメモリ12に記憶される履歴情報の状態を例示する説明図である。
【図5】払戻用カードCrの登録処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】第1実施形態の制御部11における払戻処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】第1実施形態の制御部11における履歴選択処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図8】第1実施形態の制御部11における履歴正否判定処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図9】第1実施形態における履歴情報の状態が表示された表示部13を示す正面図である。
【図10】顧客用カードCcおよび払戻用カードCrがICカード通信部30の通信範囲内に同時に存在する状態を例示する説明図である。
【図11】第1実施形態の変形例に係る決済端末10の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の制御部11における払戻処理の流れを例示するフローチャートである。
【図13】第2実施形態の制御部11における履歴選択処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図14】第2実施形態においてメモリ12に記憶される履歴情報の状態を例示する説明図である。
【図15】第3実施形態の制御部11における払戻処理の流れを例示するフローチャートである。
【図16】第3実施形態の制御部11における履歴正否判定処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図17】第3実施形態においてメモリ12に記憶される履歴情報の状態を例示する説明図である。
【図18】第4実施形態の制御部11における履歴選択処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図19】第4実施形態においてメモリ12に記憶される履歴情報の状態を例示する説明図である。
【図20】第4実施形態における履歴情報の状態が表示された表示部13を示す正面図である。
【図21】第5実施形態の制御部11における払戻処理の流れを例示するフローチャートである。
【図22】第5実施形態における履歴正否判定処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。
【図23】第5実施形態においてメモリ12に記憶される履歴情報の状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯型決済端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明に係る決済端末10は、例えば新幹線での車内販売員等に携帯されて商品の購入に関する決済を行う携帯型の決済端末であって、現金だけでなく金銭的価値情報を有する電子マネーを利用可能なICカード等(以下、顧客用カードCcという)を取り扱い可能に構成されている。
【0040】
図1に示すように、決済端末10の筐体内には、決済端末10全体を制御する制御部11が設けられている。この制御部11は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ12とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部11には、表示部13、キー操作部14、タイマ部15、通信インターフェース16などが接続されている。
【0041】
表示部13は、制御部11によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部11から後述する表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。また、キー操作部14は、制御部11に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部11は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。なお、表示部13は、特許請求の範囲に記載の「表示手段」の一例に相当する。
【0042】
タイマ部15は、制御部11からの指令に応じて演算処理等において所定の時間を計時する構成をなしている。通信インターフェース16は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体には、電源となるバッテリ17や電源部18が設けられており、これらによって制御部11や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0043】
また、制御部11には、商品情報読取部20およびICカード通信部30がそれぞれ接続されている。
商品情報読取部20は、購入者により購入される商品の情報等を光学的に取得する機能を有するもので、購入商品などの読取対象に付された情報コード(例えばバーコードなどの一次元コードやQRコードなどの二次元コード)を読み取るための画像認識モジュール21を備えている。この画像認識モジュール21は、照明光源や受光センサ(図略)等を備えており、照明光源からの照射光が情報コード(図1ではバーコードBとして例示する)にて反射され反射光が受光センサにて受光されると、この反射光に応じた受光信号を受光センサから制御部11に出力するように構成されている。制御部11では、この受光信号に基づいて購入商品の情報等が取得されることとなる。なお、商品情報読取部20は、特許請求の範囲に記載の「第1読取手段」の一例に相当する。
【0044】
ICカード通信部30は、ICカードリーダ制御部31とICカードリーダ通信部32とアンテナ33とを備えている。ICカードリーダ制御部31は、ICカードリーダ通信部32を制御することで当該ICカードリーダ通信部32およびアンテナ33を介して、顧客用カードCcおよび後述する払戻用カードCrとの間で電磁波による無線通信を行ない、各ICカードに記憶されるそのカードを特定するためのカード特定情報である固有番号や残高などのデータの読み取りや書込みを行なうように機能するものである。なお、ICカード通信部30は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当する。
【0045】
次に、決済端末10において制御部11により実施される購入処理について図2のフローチャートを参照して以下に説明する。
まず、図2のステップS101にて商品情報取得処理がなされる。この処理では、顧客用カードCcを有する購入者が所望の商品の購入を希望すると、購入商品に付された情報コードが商品情報読取部20によって読み取られることにより、商品名に相当する商品情報が取得される。
【0046】
次に、ステップS103にて商品DB参照処理がなされて、メモリ12に記憶されている商品データベースが参照されて、ステップS105において、ステップS101にて取得した商品情報が商品データベースにあるか否かについて判定される。具体的には、図3に例示する商品データベースが、商品情報に対してその商品名や価格などが関係付けられてメモリ12に記憶されており、読み取った商品情報が商品データベースにある場合には(S105でYes)、ステップS107にて商品価格取得処理がなされ、購入製品の価格が当該商品情報に応じてデータベースから取得される。続いて、ステップS109にて履歴情報作成処理がなされ、図4に例示するように、履歴情報として商品情報および価格がメモリ12に記憶される。そして、購入者による商品購入が終了するまでステップS113にてNoとの判定が繰り返される。
【0047】
一方、ステップS101にて取得した商品情報が商品データベースにないことからステップS105にてNoと判定されると、ステップS111において商品情報登録処理がなされる。この処理では、ステップS101にて取得した商品情報に応じた価格などの情報が使用者によるキー操作部14の操作に応じて入力されて、メモリ12に記憶される。
【0048】
そして、購入者が希望する商品情報の取得が終了すると(S113でYes)、ステップS115にて合計金額表示処理がなされて、購入商品全ての合計金額が表示部13に表示される。続いて、ステップS117にてカード読取処理がなされ、ICカード通信部30により通信範囲内に存在するICカードを読み取る処理がなされる。そして、上記通信範囲内に顧客用カードCcが1枚のみ存在すると(S119でYes)、ステップS121にてこの顧客用カードCcの固有番号がICカード通信部30を介して取得される。続いて、ステップS123にて当該顧客用カードCcの残高情報がICカード通信部30を介して取得される。
【0049】
そして、ステップS125において顧客用カードCcの残高がステップS115にて計算された合計金額以上であるか否かについて判定される。ここで、顧客用カードCcの残高が合計金額以上であれば(S125でYes)、ステップS127にて減額処理がなされて、ICカード通信部30により顧客用カードCcの残高が合計金額に応じて減額される。
【0050】
続いて、ステップS129にて現在日時が取得されると、ステップS131にて履歴情報作成処理がなされる。この処理では、ステップS109にて作成された履歴情報に対して、決済日時、顧客用カードの固有番号等が追加されてメモリ12に記憶される(図4参照)。
【0051】
また、この履歴情報には、当該決済端末10に予め登録されている払戻用カードCrの固有番号も同様に記憶される。この払戻用カードCrは、予め所定の電子マネーが増額されており、後述する払戻処理時に使用するカードである。このようにして、図4に示す履歴情報が作成される。
【0052】
ここで、予め登録された1または2以上の払戻用カードCrのみを当該決済端末10に対して使用可能とするための払戻用カードCrの登録処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、図5のステップS201にてカード読取処理がなされ、ICカード通信部30により通信範囲内に存在するICカードを読み取る処理がなされる。そして、上記通信範囲内に払戻用カードCrが1枚のみ存在すると(S203でYes)、ステップS205にてこの払戻用カードCrの固有番号がICカード通信部30を介して取得される。そして、ステップS207にて固有番号登録処理がなされ、この固有番号が当該決済端末10に予め登録されている払戻用カードCrの固有番号としてメモリ12に記憶される。
【0053】
なお、上述したステップS119にて通信範囲内のカードが1枚でない場合(S119でNo)、または、ステップS125にて顧客用カードCcの残高が合計金額以上でない場合(S125でNo)には、ステップS133にて購入中止か否かについて判定され、購入が中止される場合には(S133でYes)、ステップS135において、ステップS109にて作成した履歴情報がメモリ12から削除される。一方、購入が中止されない場合には(S133でNo)、ステップS117からの処理が再びなされることとなる。
【0054】
次に、決済端末10において制御部11により実施される払戻処理について説明する。
本第1実施形態では、電子マネーを取り扱う携帯型の決済端末の利便性を向上させるため、決済端末10に、本発明の特徴的部分である払戻機能を設けている。
【0055】
従来技術では、携帯型の決済端末に単に払戻機能を設けると、この決済端末が盗難された場合に不正にカードの残高が増額されてしまう。そのため、払戻機能を有しない携帯型決済端末を採用する場合、払戻時にはカードの残高が増額されずに現金が渡されることとなり、「現金を持たずに決済可能」という電子決済の利点が損なわれてしまうこととなる。また、不正使用を防止するため、店員用カード等を設けてこの店員用カード等が認識される場合のみ払戻処理できるようにしても、携帯型決済端末とともに店員用カード等が盗難されると、不正使用されてしまうこととなる。
【0056】
そこで、本第1実施形態では、払い戻しを実施するために決済端末10に予め登録されたICカードである払戻用カードCrを採用し、商品の返品に応じた払い戻しを実施するときに、払戻用カードCrの残高以内でのみ払い戻しを可能とする。
具体的な読取処理について、図6〜図8のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0057】
まず、商品購入時に当該決済端末10に対して顧客用カードCcを用いて電子決済した顧客により、購入直後または購入してしばらく時間が経過した後に購入商品に関する払い戻しが要求されると、図6のステップS301において、履歴選択処理のサブルーチンが実施される。なお、履歴選択処理のサブルーチンを実行する制御部11は、特許請求の範囲に記載の「選択手段」の一例に相当する。
【0058】
この履歴選択処理のサブルーチンを図7のフローチャートを用いて説明すると、ステップS401において、メモリ12に購入履歴が記憶されているか否かを判定し、図4に例示するように購入履歴がメモリ12に記憶されている場合には(S401でYes)、ステップS403にてカード読取処理がなされ、ICカード通信部30により通信範囲内に存在するICカードを読み取る処理がなされる。そして、上記通信範囲内に顧客用カードCcが1枚のみ存在すると(S405でYes)、ステップS407にてこの顧客用カードCcの固有番号がICカード通信部30を介して取得される。なお、購入履歴がない場合(S401でNo)、上記通信範囲内のICカードCcが1枚でない場合(S405でNo)には、購入履歴が選択されることなく当該サブルーチンを含めた払戻処理が終了する。
【0059】
次に、ステップS409において、返品情報取得処理がなされる。この処理では、返品対象の商品に付された情報コードを商品情報読取部20によって読み取ることにより、当該返品対象の商品情報(返品情報)が取得される。なお、商品情報読取部20による読み取りに代えて、キー操作部14の操作により返品対象の商品に関する情報を制御部11に直接入力するようにしてもよい。
【0060】
そして、ステップS411にてメモリ12に記憶された1番目の履歴情報(図4の最上段の履歴情報)が抽出されると、ステップS413において、この抽出履歴情報における顧客用カードCcに相当する固有番号がステップS407にて取得した固有番号に一致するか否かについて判定される。そして、固有番号が一致する場合(S413でYes)、ステップS415において、この抽出履歴情報における商品情報がステップS409にて取得した返品情報に一致するか否かについて判定される。そして、商品情報が一致する場合(S415でYes)、ステップS417にて履歴候補設定処理がなされる。この処理では、抽出履歴情報の「履歴候補情報」(図4参照)が「有」に設定されることで、当該抽出履歴情報が履歴候補の1つとして設定されてメモリ12に記憶される。
【0061】
なお、ステップS413では、抽出履歴情報における顧客用カードCcに相当する固有番号がステップS407にて取得した固有番号に一致するか否かについて判定され、一致する場合に履歴候補の1つとして設定されることから、当該ステップS413は、返品時の払戻しに使用される顧客用カードCcが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段として機能することとなる。なお、ステップS413を実行する制御部11は、特許請求の範囲に記載の「判定手段」の一例に相当する。
【0062】
そして、ステップS419にて全ての履歴情報を確認したか否かについて判定されて、全ての履歴が確認されていなければ(S419でNo)、ステップS421にて当該抽出履歴情報に対して次の履歴情報(図4の2段目の履歴情報)が抽出され、ステップS413からの処理が繰り返される。なお、固有番号が一致しない場合(S413でNo)、または、商品情報が一致しない場合(S415でNo)には、ステップS419にてNoとの判定のもと、当該抽出履歴情報が履歴候補として設定されることなく次の履歴情報が抽出されてステップS413からの処理が繰り返される。
【0063】
上述の繰り返し処理により全ての履歴情報が確認され(S419でYes)、該当する履歴情報が1つも設定されない場合には(S423でNo)、購入履歴が選択されることなく当該サブルーチンを含めた払戻処理が終了する。一方、全ての履歴情報が確認されて1または2以上の履歴情報が履歴候補として設定されると(S423でYes)、ステップS425にて当該決済端末10に予め登録された払戻用カードCrの固有番号が取得される。
【0064】
そして、ステップS427において、ステップS417にて順次メモリ12に記憶された各履歴候補のうち1番目の履歴候補が抽出されると、ステップS429において、この1番目の履歴候補について履歴正否判定処理のサブルーチンが実施される。なお、1番目の履歴候補とは、「履歴候補情報」が「有」に設定された履歴情報のうち、履歴情報番号が最も小さいものとする。この履歴正否判定処理のサブルーチンを図8のフローチャートを用いて説明すると、ステップS501にて後述するフラグFを初期化するためにF=0(ゼロ)に設定されると、ステップS502において、決済日時取得処理がなされ、当該履歴候補の決済日時が取得されると、ステップS503にてYesと判定される。
【0065】
続いて、ステップS513にて現在日時が取得されると、ステップS515にて履歴が現在日時よりも前か、具体的には、例えば、ステップS502にて取得した決済日時が現在日時よりも前か否かについて判定される。ここで、決済日時が現在日時よりも前であれば、当該履歴候が正しいデータであるとしてステップS515にてYesと判定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0066】
一方、ステップS503にて決済日時がないとの判定(S503でNo)がなされる場合には、当該履歴候補は不正な情報である可能性が高いため、ステップS519にてフラグFが不正な情報を示すF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0067】
また、ステップS515にて履歴が現在日時よりも前でない場合には(S515でNo)、ステップS517の警告処理にて当該決済端末10の日時設定の修正を促す警告がなされた後に、ステップS519にてF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0068】
上述のように履歴正否判定処理のサブルーチンが終了すると、図7のステップS431にてフラグFがF=1であるか否かについて判定される。ここで、履歴候補が不正な情報である可能性が高いことからフラグFがF=1に設定されている場合には(S431でYes)、ステップS433にて警告情報記憶処理がなされて、当該履歴候補が不正な情報である旨が記憶される。続いて、ステップS435にて選択不可処理がなされて、当該履歴候補が選択できないように設定される。
【0069】
一方、履歴候補が正しいデータである可能性が高いことからフラグFがF=1に設定されていない場合には(S431でNo)、ステップS433,S435の処理を実施することなくステップS437にて全ての履歴候補を確認したか否かについて判定される。ここで、全ての履歴候補が確認されていなければ(S437でNo)、ステップS439にて次の履歴候補が抽出されて、上記ステップS429からの処理が繰り返される。
【0070】
そして、全ての履歴候補の確認が終了すると(S437でYes)、ステップS441において、履歴候補表示処理がなされる。この処理では、正しいデータである可能性が高い履歴候補の各情報が、図9に例示するように、表示部13にそれぞれ表示される。具体的には、例えば、ステップS407にて取得された顧客用カード固有番号が「FEDC0002」であり、ステップS409にて取得された商品情報が「012345000004」である場合には、図4に例示するようにメモリ12に記憶される履歴情報のうち、顧客用カード固有番号が「FEDC0002」、商品情報が「012345000004」であるものが表示部13にそれぞれ表示される。なお、図4に示す商品情報「012345000004」は、表示部13での表示の都合上、例えば、図9に示す商品情報「商品004」のように短縮して表示される。なお、ステップS435にて選択不可と設定された履歴候補は、ステップS433に応じた警告表示とともに表示部13に表示してもその選択ができないように設定してもよいし、例えば、選択不可と設定された履歴候補を表示しないように設定してもよい。また、履歴候補の払戻用カードの固有番号が登録された払戻用カードの固有番号に一致しない場合には、その履歴候補を表示部13に表示しても選択できないようにしてもよいし、例えば、表示しないようにしてもよい。
【0071】
続いて、ステップ443にて履歴選択処理がなされ、表示部13に払戻可能として表示された各履歴候補のうち返品対象となる商品情報が、使用者によるキー操作部14の操作に応じて選択される。そして、ステップS445にて履歴候補解除処理がなされ、各履歴候補の「履歴候補情報」(図4参照)が「無」に戻されて、当該履歴選択処理のサブルーチンが終了する。
【0072】
上述のように返品対象となる商品情報がメモリ12の履歴情報から選択されると、図6のステップS303において、カード読取処理がなされ、ICカード通信部30により通信範囲内に存在するICカードを読み取る処理がなされる。そして、図10に例示するように、上記通信範囲内に2枚のICカードが同時に存在すると(S305でYes)、ステップS307において、図7のステップS443にて選択された履歴情報の払戻用カードの固有番号が取得される。そして、この履歴情報の払戻用カードの固有番号が通信範囲内に存在する2枚のカードのうち一方の固有番号に一致することから、一方のカードが履歴情報に記憶された払戻用カードである場合には、ステップS309にてYesと判定される。
【0073】
続いて、ステップS311において、ステップS443にて選択された履歴情報の顧客用カードの固有番号が取得される。そして、この履歴情報の顧客用カードの固有番号が通信範囲内に存在する2枚のカードのうち一方の固有番号に一致することから、一方のカードが履歴情報に記憶された顧客用カードである場合には、ステップS313にてYesと判定される。
【0074】
そして、ステップS315において、通信範囲内にある払戻用カードCrの残高がICカード通信部30により取得されると、ステップS317において、ステップS443にて選択された履歴情報の価格が払戻金額として設定される。続いて、ステップS319において、払戻用カードCrの残高が払戻金額以上であるか否かについて判定される。
【0075】
ここで、払戻用カードCrの残高が払戻金額以上である場合には(S319でYes)、ステップS321にて減額処理がなされて、ICカード通信部30により払戻用カードCrの残高が払戻金額に応じて減額される。なお、ステップS319を実行する制御部11は、特許請求の範囲に記載の「残高判定手段」の一例に相当する。
【0076】
続いて、ステップS325にて増額処理がなされて、ICカード通信部30により顧客用カードCcの残高が払戻金額に応じて増額される。
【0077】
なお、上記通信範囲内に2枚のICカードが同時に存在しない場合(S305でNo)、上記通信範囲内のカードの1つが払戻用カードCrでない場合(S309でNo)、上記通信範囲内のカードの1つが顧客用カードCcでない場合(S313でNo)、払戻用カードCrの残高が払戻金額以上でない場合(S319でNo)のいずれかの場合には、払い戻しを実施することなく当該払戻処理が終了する。
【0078】
以上説明したように、本第1実施形態に係る決済端末10は、予め所定の金額が増額された払戻用カードCrと、顧客用カードCcおよび払戻用カードCrと無線通信可能なICカード通信部30と、顧客用カードCcによる商品購入時の履歴情報を記憶するメモリ12と、メモリ12に記憶された履歴情報のうち払戻対象の購入情報を選択するための選択手段および返品時の払戻しに使用される顧客用カードCcが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段の両手段として機能する制御部11と、を備えている。そして、履歴選択処理(S301)により払戻対象の履歴情報が選択されると、ICカード通信部30を介して払戻対象に応じた払戻金額分を払戻用カードCrから減額するとともに当該払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する。
【0079】
これにより、たとえ決済端末10の装置本体が盗難されても払戻用カードCrまで盗難されていない場合には、減額対象のカード(すなわち払戻用カードCr)の残高を減額できないために、顧客用カードCc等のカードの残高を不正に増額することができない。したがって、払戻機能を備え盗難による不正使用を防止可能な携帯型の決済端末を構成することができる。
【0080】
また、本第1実施形態に係る決済端末10では、履歴選択処理(S301)により払戻対象の購入情報が選択されると、払戻用カードCrの残高が払戻金額以上であると判定されるとき、ICカード通信部30を介して払戻対象に応じた払戻金額分を払戻用カードCrから減額するとともに当該払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する。
【0081】
これにより、決済端末10の装置本体とともに払戻用カードCrが盗難された場合でも、不正に増額される金額は払戻用カードCrの残高が限度となるので、不正使用による被害額を払戻用カードCrの残高に抑えることができる。
【0082】
さらに、本第1実施形態に係る決済端末10では、商品に表示されている情報コードを光学的に読み取ることで購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る商品情報読取部20を備えているため、払戻機能を有する携帯型の決済端末であっても商品に関する情報を容易に読み取ることができる。
【0083】
また、本第1実施形態に係る決済端末10では、返品時の払戻しに使用される顧客用カードCcが当該商品購入時に使用したものであり、かつ、減額対象の払戻用カードCrに関する情報がメモリ12に記憶されている場合に払戻可能となる。このため、例えば、盗難された決済端末の装置本体に対して他の場所で盗難された払戻用カードを適用する場合でも、この払戻用カードに関する情報がメモリ12に記憶されていないことから、当該払戻用カードの残高を減額して顧客用カード等のカードの残高を不正に増額することができない。これにより、盗難による不正使用を確実に抑制することができる。
【0084】
さらに、本第1実施形態に係る決済端末10では、顧客用カードCcおよび払戻用カードCrがICカード通信部30の通信範囲内に同時に存在し当該ICカード通信部30により無線通信可能となった場合に払戻可能とするため、セキュリティ性を向上させることができる。
【0085】
また、本第1実施形態に係る決済端末10では、メモリ12に記憶された履歴情報(購入情報)を表示するための表示部13が設けられている。そして、メモリ12により記憶された履歴情報のうち、返品時の払戻しに使用される顧客用カードCcを用いて購入された履歴情報が表示される表示部13から払戻対象の履歴情報を選択させる(S413参照)。この場合には、表示部13には、返品を希望する顧客の顧客用カードCcを用いて購入された履歴情報のみが表示されるので、払戻対象の履歴情報を容易に選択することができる。
【0086】
さらに、本第1実施形態に係る決済端末10では、メモリ12により記憶された履歴情報(購入情報)のうち、返品される商品に対応する履歴情報が表示される表示部13から払戻対象の履歴情報を選択させる(S415参照)。この場合には、表示部13には、返品される商品に対応する履歴情報のみが表示されるので、払戻対象の履歴情報を容易に選択することができる。
【0087】
図11は、第1実施形態の変形例に係る決済端末10の電気的構成を示すブロック図である。
図11に示すように、商品情報読取部20に代えて、商品情報読取部20aを採用してもよい。この商品情報読取部20aは、RFIDタグリーダ制御部22とRFIDタグリーダ通信部23とアンテナ24とを備えている。RFIDタグリーダ制御部22は、RFIDタグリーダ通信部23を制御することで当該RFIDタグリーダ通信部23およびアンテナ24を介して、商品に付されている無線タグTとの間で電磁波による無線通信を行ない、各無線タグTに記憶される当該商品に関する情報を読取可能に構成されている。このように構成されても、商品に関する情報を容易に読み取ることができる。なお、商品情報読取部20aは、特許請求の範囲に記載の「第2読取手段」の一例に相当する。
【0088】
[第2実施形態]
次に、本発明の携帯型決済端末を具現化した第2実施形態について説明する。
本第2実施形態に係る決済端末10では、上述した払戻処理において図6,図7,図8のフローチャートに代えて図12,図13,図8のフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係る携帯型決済端末と異なる。
【0089】
以下、本第2実施形態に係る制御部11による払戻処理について、主に図12および図13のフローチャートを参照して説明する。
図12のステップS301において、後述する図13のフローチャートに基づいて履歴選択処理のサブルーチンが実施されると、ステップS325の増額処理まで、上記第1実施形態と同様の処理がなされた後、ステップS327において、払戻済情報付与処理がなされる。この処理では、ステップS301にて選択された履歴情報に対して払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額したことから、当該履歴情報に対して払戻済情報が有りとの情報が付与されて(図14の3段目の履歴情報参照)、当該払戻処理が終了する。
【0090】
次に、履歴選択処理のサブルーチンを図13のフローチャートを参照して説明する。
図12のステップS301にて履歴選択処理のサブルーチンが実施されることにより、まず、図13のステップS401からステップS429までの処理が上記第1実施形態と同様に実施される。そして、ステップS429における履歴正否判定処理のサブルーチンが終了し、抽出された1つの履歴候補に関する正否判定が終了すると、ステップS431にてフラグFがF=1であるか否かについて判定され、F=1であれば(S431でYes)上述したステップS433からの処理がなされる。
【0091】
一方、ステップS431にてF=1でないことからNoと判定されると、ステップS434において、抽出された履歴候補に払戻済情報が無いか否かについて判定される。ここで、図14の3段目の履歴情報のように、図12のステップS327において払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額したことから当該払戻対象の購入情報に払戻済情報が付与されている場合には(S434でNo)、ステップS434aにおいて警告情報記憶処理がなされ、当該履歴候補が払戻済である旨が記憶されて、ステップS435にて選択不可処理がなされて、当該履歴候補が選択できないように設定される。一方、当該履歴候補に払戻済情報が無い場合には(S434でYes)、上述したステップS437の判定処理がなされる。
【0092】
そして、全ての履歴候補が確認されると(S437でYes)、ステップS441にて履歴候補表示処理がなされ、正しいデータである可能性が高い履歴候補の各情報が、表示部13にそれぞれ表示される。このとき、払戻済情報が有る履歴候補は、その旨が備考欄に表示されるとともに選択不可と設定される。
【0093】
以上説明したように、本第2実施形態に係る決済端末10では、メモリ12に記憶された購入情報のうち払戻済情報が付与されていない購入情報のみを選択可能とする。これにより、既に払い戻された購入情報が選択されることもないので、払い戻しの重複をなくすことができる。
【0094】
[第3実施形態]
次に、本発明の携帯型決済端末を具現化した第3実施形態について説明する。
本第3実施形態に係る決済端末10では、上述した払戻処理において図12,図13,図8のフローチャートに代えて図15,図13,図16のフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第2実施形態に係る携帯型決済端末と異なる。
【0095】
以下、本第3実施形態に係る制御部11による払戻処理について、主に図15および図16のフローチャートを参照して説明する。
図15のステップS301にて履歴選択処理のサブルーチンが実施されることから、図13のステップS401からステップS427までの処理がなされると、ステップS429の履歴正否判定処理のサブルーチンが図16に示すフローチャートに基づいて実施される。具体的には、ステップS501にてフラグFを初期化するためにF=0(ゼロ)に設定された後に、ステップS502において、決済日時取得処理がなされ、当該履歴候補の決済日時が取得されると、ステップS503にてYesと判定される。
【0096】
続いて、ステップS505にて当該履歴候補に関して後述する引落済情報を取得する処理がなされるとともに、ステップS507にて当該履歴候補に関して払戻済情報を取得する処理がなされる。そして、当該履歴候補に払戻済情報が付与されていない場合(S509でNo)、または、当該履歴候補に払戻済情報が既に付与されており(S509でYes)かつ当該履歴候補に引落済情報が既に付与されている(S511でYes)場合には、ステップS513にて現在日時が取得される。
【0097】
続いて、ステップS515にて履歴が現在日時よりも前か、具体的には、例えば、ステップS502にて取得した決済日時が現在日時よりも前か否かについて判定される。ここで、決済日時が現在日時よりも前であれば、当該履歴候が正しいデータであるとしてステップS515にてYesと判定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0098】
一方、ステップS503にて決済日時がないとの判定(S503でNo)、または、ステップS509にて払戻済情報があるとの判定(S509でYes)の後にステップS511にて引落済情報がないとの判定(S511でNo)がなされる場合には、当該履歴候補は不正な情報である可能性が高いため、ステップS519にてフラグFが不正な情報を示すF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0099】
また、ステップS515にて履歴が現在日時よりも前でない場合には(S515でNo)、ステップS517の警告処理にて当該決済端末10の日時設定の修正を促す警告がなされた後に、ステップS519にてF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0100】
上述のように履歴正否判定処理のサブルーチンが終了すると、図13のステップS431以降の処理が上記第2実施形態と同様になされて返品対象となる商品情報がメモリ12の履歴情報から選択されることで、履歴選択処理のサブルーチンが終了する。
【0101】
続いて、図15のステップS303からステップS311までの処理がなされて、ステップS313にてYesと判定されると、ステップS314において、ステップS301にて選択された返品対象の履歴情報に引落済情報が付与されているか否かについて判定される。この引落済情報は、ステップS321における減額処理後にステップS323の落済情報付与処理にて、当該返品対象の履歴情報に付与される情報である。
【0102】
ここで、ステップS301にて選択された履歴情報に対して、既に払戻金額分に応じて払戻用カードCrの残高を減額したことから、図17の3段目の履歴情報のように、ステップS323にて引落済情報が有りとの情報が付与されている場合には(S314でNo)、ステップS315からステップS323までの処理を実施することなく、ステップS325にて顧客用カードCcの残高が払戻金額に応じて増額される。一方、ステップS301にて選択された履歴情報に対して、引落済情報が有りとの情報が付与されていない場合には(S314でYes)、上述したステップS315からの処理がなされるとともに、ステップS323にて引落済情報付与処理がなされる。
【0103】
上述のように処理する理由について以下に説明する。
払戻金額分を払戻用カードCrから減額した後に当該払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する払戻処理では、払戻用カードCrからの減額後であって顧客用カードCcの残高を増額する前にエラーが発生して処理が停止してしまうと、処理再開時に払戻用カードCrからの減額処理などが重複して実行される可能性がある。そこで、払戻済情報が付与されておらずかつ引落済情報が付与されている場合、すなわち、払戻用カードCrからの減額後であって顧客用カードCcの残高を増額する前にエラーが発生して処理が停止した場合には、払戻用カードCrを減額することなく払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額することにより、処理再開時の減額処理などの重複を確実になくすことができる。
【0104】
[第4実施形態]
次に、本発明の携帯型決済端末を具現化した第4実施形態について説明する。
本第4実施形態に係る決済端末10では、上述した払戻処理において図15,図13,図16のフローチャートに代えて図15,図18,図16のフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第3実施形態に係る携帯型決済端末と異なる。
【0105】
以下、本第4実施形態に係る制御部11による払戻処理について、主に図18のフローチャートを参照して説明する。
上記第3実施形態と同様に、ステップS431までの処理が実施されて、抽出された1つの履歴候補がF=1に設定されておらず(S431でNo)、この履歴候補に払戻済情報が付与されていない場合には(S434でYes)、ステップS434bにおいて、固有番号取得処理がなされる。この処理では、履歴候補に含まれる払戻用カードCrの固有番号が取得される。そして、ステップS434cにおいて、ステップS434bにて取得した固有番号が、当該決済端末10に予め登録されている払戻用カードCrの固有番号に一致するか否かについて判定される。ここで、両固有番号が一致する場合には(S434cでYes)、上述したステップS437の判定処理がなされる。
【0106】
一方、両固有番号が一致しない場合には(S434cでNo)、ステップS434dにて警告情報登録処理がなされ、当該履歴候補は払戻用カードCrの固有番号が一致しない旨が記憶されて、ステップS435にて選択不可処理がなされて、当該履歴候補が選択できないように設定される。
【0107】
そして、全ての履歴候補が確認されると(S437でYes)、ステップS441にて履歴候補表示処理がなされ、正しいデータである可能性が高い履歴候補の各情報が、表示部13にそれぞれ表示される。具体的には、例えば、ステップS407にて取得された顧客用カード固有番号が「FEDC0002」であり、ステップS409にて取得された商品情報が「012345000004」である場合には、図19に例示するようにメモリ12に記憶される履歴情報のうち、顧客用カード固有番号が「FEDC0002」、商品情報が「012345000004」であるものが表示部13にそれぞれ表示される。このとき、当該決済端末10に予め登録されている払戻用カードCrの固有番号が「ABCD0002」である場合では、払戻用カードCrの固有番号が一致しない履歴候補(図19の4段目の履歴情報)は、図20に例示するように、その旨が備考欄に表示されるとともに選択不可と設定される(図20の2段目参照)。なお、図19の3段目の履歴情報は、引落済情報が「有」、払戻済情報が「有」に設定されているため、この履歴情報に対応する図20の1段目の履歴情報では、「払戻済」が備考欄に表示されるとともに選択不可と設定される。
【0108】
以上説明したように、本第4実施形態に係る決済端末10では、購入情報には、商品購入時においてメモリ12に予め記憶されている払戻用カードCrの固有番号(カード特定情報)が含まれる。そして、履歴選択処理では、上述の条件に加えてさらに、メモリ12に記憶された購入情報のうち、当該決済端末10(メモリ12)に予め登録されている固有番号が一致する購入情報のみを表示部13に表示して選択可能とする。
【0109】
このように、メモリ12に予め登録されている払戻用カードCrの固有番号に一致する購入情報のみを選択可能とすることにより、例えば、盗難された携帯型の決済端末の装置本体に対して他の場所で盗難された払戻用カードを適用する場合には、払戻対象となる購入情報が1つも選択できなくなる。これにより、顧客用カード等のカードの残高を不正に増額できなくなり、盗難による不正使用を確実に抑制することができる。
【0110】
[第5実施形態]
次に、本発明の携帯型決済端末を具現化した第5実施形態について説明する。
本第5実施形態に係る決済端末10では、上述した払戻処理において図15,図18,図16のフローチャートに代えて図21,図18,図22のフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第4実施形態に係る携帯型決済端末と異なる。
【0111】
以下、本第5実施形態に係る制御部11による払戻処理について、主に図21および図22のフローチャートを参照して説明する。
図21のステップS301において、履歴選択処理のサブルーチンが実施されるとともに、上記第4実施形態と同様にステップS321までの処理が実施されると、ステップS322にて現在日時が取得されるとともに、ステップS323aにて引落済情報付与処理がなされ、当該返品対象の履歴情報に対して、図23に例示するように、ステップS322にて取得された現在日時を引落日時とした引落済情報が付与される。続いて、ステップS325にて増額処理が実施された後、ステップS326にて現在日時が取得されるとともに、ステップS327aにて払戻済情報付与処理がなされ、当該返品対象の履歴情報に対して、図23に例示するように、ステップS326にて取得された現在日時を払戻日時とした払戻済情報が付与される。
【0112】
上述のように設定される引落日時および払戻日時は、図22の履歴正否判定処理において、履歴候補の正否を判断するために用いるものであり、以下に詳細に説明する。
ステップS301の履歴選択処理のサブルーチンが実施されると、図18のステップS401からステップS427までの処理が上記第4実施形態と同様に実施される。
【0113】
続いて、ステップS429の履歴正否判定処理のサブルーチンが図22に示すフローチャートに基づいて実施される。具体的には、上記第4実施形態と同様にステップS503までの処理が実施されると、ステップS505にて当該履歴候補に関して引落済情報を取得する処理がなされた後に、ステップS506において、当該履歴候補に引落済情報が付与されているか否かについて判定される。
【0114】
ここで、当該履歴候補に引落済情報が付与されていると(S506でYes)、ステップS506aにてこの引落済情報の引落日時が当該履歴候補の決済日時より後か否かについて判定される。ここで、引落日時が決済日時より後である場合には(S506aでYes)、ステップS507にて払戻済情報取得処理がなされ、ステップS509にて当該履歴候補に払戻済情報が付与されているか否かについて判定される。ここで、当該履歴候補に払戻済情報が付与されていなければ(S509でNo)、上述したステップS513の処理がなされる。また、当該履歴候補に引落済情報が付与されていなければ(S506でNo)、上述したステップS506aの判定処理をすることなくステップS507の処理がなされる。
【0115】
一方、当該履歴候補に払戻済情報が付与されていると(S509でYes)、ステップS511aにてこの払戻済情報の払戻日時が当該履歴候補の引落済情報の引落日時以後か否かについて判定される。ここで、払戻日時が引落日時以後である場合には(S511aでYes)、ステップS513の処理がなされる。
【0116】
そして、ステップS513にて現在日時が取得されると、ステップS515aにて履歴が現在日時よりも前か、具体的には、例えば、ステップS502にて取得した決済日時と、ステップS505にて取得した引落日時と、ステップS507にて取得した払戻日時との全てが現在日時よりも前か否かについて判定される。ここで、決済日時、引落日時および払戻日時の全てが現在日時よりも前であれば、当該履歴候が正しいデータであるとしてステップS515aにてYesと判定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0117】
一方、ステップS503にて決済日時がないとの判定(S503でNo)がなされる場合には、当該履歴候補は不正な情報である可能性が高いため、ステップS519にてフラグFが不正な情報を示すF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0118】
また、ステップS506にて引落済情報があるとの判定(S506でYes)の後にステップS506aにて引落日時が決済日時より後でないとの判定(S506aでNo)がなされる場合には、引落日時が決済日時以前である履歴情報は不正な情報の可能性が高いことから当該履歴情報の選択を不可とするため、ステップS519にてフラグFが不正な情報を示すF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0119】
また、ステップS509にて払戻済情報があるとの判定(S509でYes)の後にステップS511aにて払戻日時が引落日時以後でないとの判定(S511aでNo)がなされる場合には、払戻日時が引落日時より前である履歴情報は不正な情報の可能性が高いことから当該履歴情報の選択を不可とするため、ステップS519にてフラグFが不正な情報を示すF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0120】
また、ステップS515aにて履歴が現在日時よりも前でない場合には(S515aでNo)、ステップS517の警告処理にて当該決済端末10の日時設定の修正を促す警告がなされた後に、ステップS519にてF=1に設定されて、当該履歴正否判定処理のサブルーチンが終了する。
【0121】
以上説明したように、本第5実施形態に係る決済端末10では、払戻金額分を払戻用カードCrから減額する場合には、当該払戻対象の履歴情報(購入情報)に引落済情報が付与されてメモリ12に記憶される。この引落済情報には払戻金額分が払戻用カードCrから減額された日時である引落日時が含まれる。そして、メモリ12に記憶された履歴情報のうち、引落済情報に含まれる引落日時が決済日時(購入日時)以前である履歴情報が選択不可とされる。
【0122】
このように、引落済情報に含まれる引落日時が決済日時以前である履歴情報は不正な情報の可能性が高いため、このような履歴情報を選択不可とすることにより、不正な情報の可能性が高い履歴情報が払戻対象として選択されることをなくすことができる。
【0123】
また、本第5実施形態に係る決済端末10では、払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する場合には、当該払戻対象の履歴情報(購入情報)に払戻済情報が付与されてメモリ12に記憶される。この払戻済情報には払戻金額分に応じて顧客用カードの残高が増額された日時である払戻日時が含まれる。そして、メモリ12に記憶された履歴情報のうち、払戻済情報に含まれる払戻日時が引落済情報に含まれる日時より前である購入情報が選択不可とされる。
【0124】
払戻金額分を払戻用カードCrから減額した後に当該払戻金額分に応じて顧客用カードCcの残高を増額する払戻処理では、払戻日時が引落日時より前である履歴情報は不正な情報の可能性が高い情報である。このため、このような履歴情報を選択不可とすることにより、不正な情報の可能性が高い履歴情報が払戻対象として選択されることをなくすことができる。
【0125】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記各実施形態では、1つの購入製品が返品対象となる場合を例に説明しているが、これに限らず、複数の購入品が返品対象となる場合であってもよい。
【0126】
(2)同じエリアで複数の決済端末10を使用する場合、各決済端末10のメモリ12に記憶されている履歴情報を共有化することで、他の決済端末10で購入した商品の返品を別の決済端末10で払い戻しするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
10…決済端末(携帯型決済端末)
11…制御部(選択手段,判定手段,残高判定手段)
12…メモリ(記憶手段)
13…表示部(表示手段)
20…商品情報読取部(第1読取手段)
20a…商品情報読取部(第2読取手段)
30…ICカード通信部(通信手段)
B…バーコード(情報コード)
Cc…顧客用カード
Cr…払戻用カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金銭的価値情報を有する電子マネーを利用可能な顧客用カードを所持する購入者による商品購入時に、前記顧客用カードの残高から購入金額を減額して決済する携帯型決済端末であって、
前記電子マネーを利用可能であって予め所定の金額が増額された払戻用カードと、
前記顧客用カードおよび前記払戻用カードと無線通信可能な通信手段と、
前記顧客用カードによる商品購入時の購入情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された購入情報のうち払戻対象の購入情報を選択するための選択手段と、
返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものである場合に払戻可能と判定する判定手段と、
を備え、
前記選択手段により前記払戻対象の購入情報が選択されるととともに前記判定手段により払戻可能と判定されると、前記通信手段を介して前記払戻対象に応じた払戻金額分を前記払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする携帯型決済端末。
【請求項2】
前記払戻用カードの残高が前記払戻金額以上であるか否かを判定する残高判定手段を備え、
前記選択手段により前記払戻対象の購入情報が選択されるととともに前記判定手段により払戻可能と判定されると、前記残高判定手段により前記払戻用カードの残高が前記払戻金額以上であると判定されるとき、前記通信手段を介して前記払戻対象に応じた払戻金額分を前記払戻用カードから減額するとともに当該払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする請求項1に記載の携帯型決済端末。
【請求項3】
前記商品に表示されている情報コードを光学的に読み取ることで前記購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第1読取手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型決済端末。
【請求項4】
前記商品に付されている無線タグと無線通信することで前記購入金額を含めた当該商品に関する情報を読み取る第2読取手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型決済端末。
【請求項5】
前記払戻用カードに関する情報が予め前記記憶手段に記憶されており、
前記判定手段は、返品時の払戻しに使用される顧客用カードが当該商品購入時に使用したものであり、かつ、減額対象の払戻用カードに関する情報が前記記憶手段に記憶されている場合に払戻可能と判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項6】
前記判定手段は、さらに、前記顧客用カードおよび前記払戻用カードが前記通信手段の通信範囲内に同時に存在し当該通信手段により無線通信可能となった場合に払戻可能と判定することを特徴とする請求項5に記載の携帯型決済端末。
【請求項7】
前記記憶手段により記憶された前記購入情報を表示するための表示手段を備え、
前記選択手段は、前記記憶手段により記憶された前記購入情報のうち、返品時の払戻しに使用される顧客用カードを用いて購入された購入情報が表示される前記表示手段から前記払戻対象の購入情報を選択させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項8】
前記記憶手段により記憶された前記購入情報を表示するための表示手段を備え、
前記選択手段は、前記記憶手段により記憶された前記購入情報のうち、返品される商品に対応する購入情報が表示される前記表示手段から前記払戻対象の購入情報を選択させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項9】
前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち前記払戻済情報が付与されていない購入情報のみを選択可能とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項10】
前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記選択手段により選択された前記払戻対象の購入情報に前記払戻済情報が付与されておらずかつ前記引落済情報が付与されている場合には、前記払戻用カードを減額することなく前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項11】
前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記払戻対象の購入情報には購入日時が含まれるとともに、前記引落済情報には前記払戻金額分が前記払戻用カードから減額された日時が含まれ、
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、前記引落済情報に含まれる日時が購入日時以前である購入情報を選択不可とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項12】
前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高を増額する場合には、当該払戻対象の購入情報に払戻済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記払戻金額分を前記払戻用カードから減額する場合には、当該払戻対象の購入情報に引落済情報を付与して前記記憶手段に記憶し、
前記払戻対象の購入情報には購入日時が、前記引落済情報には前記払戻金額分が前記払戻用カードから減額された日時が、前記払戻済情報には前記払戻金額分に応じて前記顧客用カードの残高が増額された日時が、それぞれ含まれ、
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、前記払戻済情報に含まれる日時が引落済情報に含まれる日時より前である購入情報を選択不可とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。
【請求項13】
前記記憶手段には、予め登録された1または2以上の前記払戻用カードのみを当該携帯型決済端末に対して使用可能とするために、当該払戻用カードを特定するカード特定情報が記憶され、
前記購入情報には、商品購入時において記憶手段に予め記憶されている前記カード特定情報が含まれ、
前記選択手段は、さらに、前記記憶手段に記憶された購入情報のうち、当該記憶手段に予め登録されている前記カード特定情報が含まれる購入情報のみを選択可能とすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の携帯型決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−54004(P2011−54004A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203335(P2009−203335)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】