説明

携帯型電子機器

【課題】表示パネルユニットの外周部に設けられる防塵枠の機能を向上する。
【解決手段】防塵枠30は、表示パネルユニット20の前面の外周部上に位置する前枠部32を有している。また、防塵枠30は前枠部32からハウジング10の内面に向かって突出する凸部31を有している。防塵枠30には、凸部31に対してハウジング10の内面の押圧方向に位置する、凸部31に沿った隙間G1が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの外周部に防塵用の部材を有する携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングに収容される表示パネルを備える携帯型電子機器が利用されている(例えば下記特許文献1)。携帯型電子機器は、その持ち運びの際に、埃や塵に曝されることが多い。そのため、従来の携帯型電子機器には、表示パネルの外周部に弾性材からなる防塵枠が設けられたものがある。防塵枠は表示パネルを取り囲む枠状であり、ハウジングの内面と表示パネルの外周部とに挟まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2007/0202956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
十分な防塵機能を確保するために、防塵枠にハウジングの内面に向かって突出する凸部が形成される場合がある。しかしながら、そのような防塵枠を表示パネルの外周部とハウジングの内面とによって挟むと、防塵枠の凸部に永久歪みが生じてしまい、防塵枠が十分な弾性力を発揮しなくなる問題が生じる場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は防塵枠の防塵機能を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯型電子機器は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される表示パネルユニットと、前記表示パネルユニットの外周部に設けられる、弾性材料からなる防塵枠と、を備える。前記防塵枠は、前記表示パネルユニットの前面の外周部上に位置する前枠部を備える。さらに前記防塵枠は前記前枠部から前記ハウジングの内面に向かって突出し、前記表示パネルユニットの正面視で当該表示パネルユニットの表示領域を取り囲む枠形状を有し、前記ハウジングの内面によって前記表示パネルユニットに向けて押される凸部を有する。前記凸部に対して前記ハウジングの内面による押圧方向に、当該押圧方向への前記凸部の移動を許容する隙間が形成されている。本発明によれば、防塵枠の凸部に永久歪みが生じることを抑えることができ、防塵枠の弾性力が長期間に亘って維持できる。その結果、防塵枠の機能を向上できる。ここで、前記隙間はハウジングの内面を凸部に押し付ける前の状態において生じる隙間であり、ハウジングの内面を凸部に押し付けた状態では必ずしも存在していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型電子機器の正面図である。
【図2】図1に示すII−II線での断面図である。
【図3】上記電子機器が備える表示パネルユニットの正面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線での断面図である。
【図5】図3に示すV−V線での断面図である。
【図6】図4に示す第1凸部の拡大断面図である。
【図7】上記表示パネルユニットの背面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る携帯型電子機器が備える防塵枠を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る携帯型電子機器1の正面図である。図2は図1に示すII−II線での断面図である。図3は電子機器1が備える表示パネルユニット20の正面図である。図4は図3に示すIV−IV線での断面図である。図5は図3に示すV−V線での断面図である。以下の説明では、図1に示すZ1,Z2がそれぞれ上方,下方であり、X1,X2がそれぞれ右方向,左方向である。また、図2に示すY1,Y2がそれぞれ前方,後方である。
【0009】
図1及び図2に示すように、電子機器1は、その前面側に、矩形の表示パネル21を備えている。表示パネル21は例えば液晶表示パネルや有機ELパネルである。表示パネル21はガラス基板などの複数の板状部材21b,21c,21dと、これらの表面に貼付されるフィルム(例えば、位相差フィルム)21aと、を有している。また、この例の電子機器1は、図2に示すように、表示パネル21が載せられる板状の樹脂フレーム23と、表示パネル21と樹脂フレーム23とを収容する金属フレーム22とを有している。この例の金属フレーム22は表示パネル21の外周部を取り囲む枠状のフロントフレーム22Aと表示パネル21の背面に配置されフロントフレーム22Aと前後方向において組み合わされるバックフレーム22Bとによって構成されている。これら表示パネル21と、金属フレーム22と、樹脂フレーム23とによって表示パネルユニット20が構成されている。なお、表示パネルユニット20は、必ずしも、金属フレーム22と樹脂フレーム23のうち一方又は双方を備えていなくてもよい。
【0010】
ここで説明する電子機器1は携帯型のゲーム装置であり、図1に示すように、表示パネル21の右側及び左側に、ユーザが操作可能な複数の操作部材が設けられている。この例では、表示パネル21の右側に、複数(この例では4つ)の押しボタン2が設けられている。また、表示パネル21の左側には、十字キー3が設けられている。さらに、十字キー3の下方には操作スティック4が設けられている。操作スティック4は、電子機器1の前面から突出する姿勢の軸部を有し、その軸部を中心とする半径方向にスライドさせたり、傾けたり、傾けた状態で軸部の周方向に回転させることができる。
【0011】
図2に示すように、表示パネルユニット20はハウジング10に収容されている。この例のハウジング10はハウジング本体10aとフロントパネル11とを含んでいる。ハウジング本体10aは、表示パネル21と向き合う部分に、開口10bを有している。フロントパネル11は開口10bを閉じるように配置され、表示パネル21の前面を覆っている。すなわち、フロントパネル11は、表示パネル21の厚さ方向(この例では前後方向)において表示パネル21と対向している。フロントパネル11は光の透過性を有しており、ユーザはフロントパネル11を通して表示パネル21を見ることができる。フロントパネル11は樹脂やガラスによって形成される。
【0012】
図2及び図3に示すように、電子機器1は、エラストマーなどの弾性材料により一体的に成型された防塵枠30を有している。防塵枠30は表示パネルユニット20の外周部に設けられ、表示パネルユニット20の外周の全体を取り囲んでいる。防塵枠30は、表示パネルユニット20の前面の外周部上に位置する前枠部32を有している。この例では、前枠部32は表示パネルユニット20の外周部に設けられたフロントフレーム22Aの前面上に位置している。また、防塵枠30は凸部31を有している。凸部31は、表示パネルユニット20の正面視で当該表示パネルユニット20の表示領域Aを取り囲む枠形状を有している(図3参照)。図3及び図4に示すように、凸部31は、前枠部32からハウジング10の内面(この例ではフロントパネル11の内面)に向かって突出し、ハウジング10の内面によって表示パネルユニット20の外周部に向けて押されている。凸部31は防塵枠30の全周に形成されている。この例の凸部31は表示領域Aの上縁、左縁、右縁に沿って形成された第1凸部31Aと、表示領域Aの下縁に沿って形成された第2凸部31Bとを有し、これら2つの凸部31A,31Bとによって表示領域Aの全周が取り囲まれている。
【0013】
図4に示すように、第1凸部31Aに対してフロントパネル11の内面による押圧方向(表示パネル21の厚さ方向、この例では後方)には、第1凸部31Aに沿った方向に伸びた隙間G1が形成されている。隙間G1により、フロントパネル11による押圧方向への第1凸部31Aの移動が許容される(図2参照)。換言すると、防塵枠30は、隙間G1が形成されるように、第1凸部31Aに対して押圧方向に位置する部分が切り欠かれた形状を有している。図6は第1凸部31Aの拡大断面図である。同図を例にして説明すると、防塵枠30は、隙間G1が形成されるように、第1凸部31Aの後方に位置する部分Bが切り欠かれた形状を有している。前枠部32は第1凸部31Aが設けられた部分で、その厚さが減少し、これにより表示パネルユニット20との間に隙間G1が形成されている。この例の隙間G1と第1凸部31Aは、後において説明するように、前枠部32の内周縁に位置しており、隙間G1は表示パネルユニット20と平行な方向に凹んだ凹部となっている。なお、第1凸部31Aの下方に位置する部分Bは、必ずしも、部分Bを有する防塵枠30を成形した後に削除される部分ではない。つまり、防塵枠30を射出成形によって成形する場合には、その射出成形により部分Bが存在しないように防塵枠30が成形される。ここで、隙間G1はフロントパネル11を第1凸部31Aに押し付ける前の状態において生じる隙間であり、フロントパネル11を第1凸部31Aに押し付けた状態では必ずしも存在していなくてもよい。
【0014】
図5に示すように、第2凸部31Bに対してフロントパネル11の内面による押圧方向には、第2凸部31Bに沿った方向に伸びた隙間G2が形成されている。この隙間G2により、フロントパネル11による押圧方向への第2凸部31Bの移動が許容される。換言すると、防塵枠30は、隙間G2が形成されるように、第2凸部31Bに対して押圧方向に位置する部分が切り欠かれた形状を有している。前枠部32は第2凸部31Bが設けられた部分で、その厚さが減少し、これにより表示パネルユニット20との間に隙間G2が形成されている。この例では、後において説明するように、前枠部32に溝が形成され、この溝が隙間G2を生じさせている。ここで、隙間G2はフロントパネル11を第2凸部31Bに押し付ける前の状態において生じる隙間であり、フロントパネル11を第2凸部31Bに押し付けた状態では必ずしも存在していなくてもよい。
【0015】
第1凸部31Aと第2凸部31Bとがフロントパネル11の内面によって押されたとき、隙間G1,G2の存在によって前枠部32がフロントフレーム22Aに向けて撓む(図2参照)。その結果、フロントパネル11や表示パネル21にかかる負荷を軽減できる。また、防塵枠30の凸部31A,31Bに永久歪みが生じることを抑えることができ、防塵枠30の弾性力を長期間に亘って維持できる。その結果、第1凸部31Aとフロントパネル11との密着性と第2凸部31Bとフロントパネル11との密着性とが維持され、防塵機能が向上され得る。この例の第1凸部31Aと第2凸部31Bは、フロントパネル11の内面に向かって突出し、フロントパネル11とフロントフレーム22Aとによって挟まれている。そのため、ハウジング本体10aに形成された開口10b(図2参照)の内縁と、フロントパネル11との隙間から浸入した塵が表示パネル21の前面、すなわち表示領域Aに達することを、凸部31によって防ぐことができる。
【0016】
図4及び図5に示すように、隙間G1,G2は前枠部32の表示パネルユニット20側に形成されている。そのため、第1凸部31Aと第2凸部31Bとがフロントパネル11によって押されたときに、第1凸部31Aと第2凸部31Bの頂部を前枠部32の表面の高さに近づけることが可能となる。その結果、フロントパネル11と表示パネル21との間の隙間E(図2参照)を低減でき、電子機器1の厚さを低減できる。
【0017】
この例の第1凸部31Aは、図4に示すように、前枠部32の内周縁に形成されている。すなわち、第1凸部31Aは前枠部32の内周縁からフロントパネル11に向かって突出している。前枠部32の内周縁と表示パネルユニット20の前面(この例ではフロントフレーム22Aの前面)との間に隙間G1が形成されるように、前枠部32の内周縁の角は面取りされている。そのため、第1凸部31Aがフロントパネル11に押されると、前枠部32の内周部は、図4の矢印D1で示すように、フロントフレーム22Aに向けて弾性的に傾く。内周縁の角が面取りされたこのような構造によれば、隙間G1を形成することが容易となる。つまり、溝を前枠部32の内周縁から離れた位置に形成する構造、例えば隙間G1を隙間G2(図5参照)と同様に形成する構造では、その隙間G1に嵌る金型を使用する必要が有る。ところが、隙間G1を前枠部32の内周縁に設ける図4に示す構造によれば、そのような金型を使用する必要がなくなり、隙間G1を形成することが容易となる。
【0018】
図5に示すように、隙間G2は前枠部32のフロントフレーム22A側の面に形成されている。換言すると、前枠部32のフロントフレーム22A側の面に第2凸部31Bに沿った方向に伸びる溝が形成され、この溝により隙間G2が生じている。隙間G2と第2凸部31Bは、隙間G1と第1凸部31Aとは異なり、前枠部32の内周縁から前枠部32の外周縁32aに向けて離れて位置している。これにより、隙間G2と第2凸部31Bの位置が表示領域Aから遠くなる。そのため、フロントパネル11によって第2凸部31Bが押されたときに表示領域Aにかかる負荷を、さらに低減することができる。
【0019】
表示パネル21を構成する板状部材21c(例えばガラス基板)は他の板状部材21b,21dよりも表示パネル21の外側に、すなわち下方に張り出している。そして、その張り出した部分には表示パネル21を駆動するための駆動回路21eが実装されている。そのため、フロントフレーム22Aの下部22a(表示パネル21の下縁を覆う部分)の幅W4は、フロントフレーム22Aの他の部分(すなわち、上部、左側部分及び右側部分)の幅よりも大きい。このような構造において第2凸部31Bを前枠部32の内周縁に形成すると、第2凸部31Bがフロントパネル11によって押されたときにフロントフレーム22Aの下部22aに他の部分に比べて大きなモーメントが生じる。その結果、フロントフレーム22Aの下部22aを通して表示パネル21に大きな負荷がかかる。隙間G2と第2凸部31Bを、前枠部32の内周縁から離れて位置させることにより、そのようなモーメントの発生を軽減できる。
【0020】
図4及び図5に示すように、第1凸部31Aと第2凸部31Bの頂部の表面は、弧状の断面を有している(ここで断面は、第1凸部31Aと第2凸部31Bの延伸方向に直交する面を切断面とする断面である)。特にこの例では、これらの頂部の断面は円弧状である。この構造によれば、第1凸部31Aと第2凸部31Bの頂部の表面が平らな断面を有する構造に比べて、第1凸部31Aと第2凸部31Bが変形し易くなる。そのため、フロントパネル11から前枠部32にかかる負荷がさらに低減され得る。また、上述したように、第1凸部31Aがフロントパネル11によって押されたときに、前枠部32の内周部はフロントフレーム22Aに向けて傾斜する。この例では、第1凸部31Aの頂部の表面は、弧状の断面を有しているので、前枠部32が傾斜した場合に第1凸部31Aの頂部の表面とフロントパネル11との接触面積の変化がすることを、抑えることができる。
【0021】
図2に示すように、フロントパネル11の内面は、第1凸部31Aが当る部分に、平らな面を有している。すなわち、フロントパネル11の、第1凸部31Aに対向する位置に、第1凸部31Aが嵌る凹部が形成されていない。そのため、第1凸部31Aは、フロントパネル11によって押されたときに円滑にフロントフレーム22Aに向けて倒れることができる。なお、フロントパネル11の内面は、第2凸部31Bが当る部分にも、平らな面を有している(図5参照)。そのため、第2凸部31Bの位置がフロントパネル11によって制限されないため、表示パネルユニット20にとって適切な位置に第2凸部31Bを位置させることができる。
【0022】
図6に示すように、第1凸部31Aの突出量hは前枠部32の厚さTより小さい。そのため、前枠部32の厚さ方向(表示パネルユニット20の厚さ方向、この例では前後方向)における隙間G1の幅W1を第1凸部31Aにとって適切な大きさに確保し易くなる。すなわち、第1凸部31Aが傾くために必要な幅W1を確保し易くなる。同様に、第2凸部31Aの突出量も前枠部32の厚さTより小さい。そのため、隙間G2の深さを、第2凸部31Bにとって適切な大きさに確保し易くなる。
【0023】
なお、この例では、図6に示すように、前枠部32と平行な方向での第1凸部31Aの幅W3は突出量hよりも大きい。同様に、前枠部32と平行な方向での第2凸部31Bの幅もその突出量よりも大きい。さらに、この例の第1凸部31Aと第2凸部31Bは前枠部32の厚さ方向において真っ直ぐ突出している。そのため、これら2つの凸部31A,31Bを前枠部32の厚さ方向に対して斜めに突出させる構造に比べて、防塵枠30の製造工程において凸部31A,31Bを成形し易くなる。
【0024】
図6に示すように、前枠部32の内周縁は、その端面に、内周縁の面取りによって形成される斜面32cと、前枠部32の厚さ方向に平行な鉛直面32dとを有している。この鉛直面32dの存在により、第1凸部31Aと前枠部32の基部との角と、斜面32cとの距離D2を確保し易くなる。その結果、第1凸部31Aと前枠部32の内周縁との強度を確保でき、防塵枠30を成形し易くなる。
【0025】
図2に示すように、この例のフロントパネル11は、その外周部に、フロントパネル11に平行に広がるフランジ部11aを有している。フロントパネル11はハウジング本体10aの開口10bの内側に嵌められ、フランジ部11aはハウジング本体10aの内面に沿って配置される。開口10bの内縁は防塵枠30の第1凸部31Aよりも内側に位置している。一方、フランジ部11aの外周縁は第1凸部31Aよりも外側に位置している。そのため、外部の塵が開口10bの内縁とフロントパネル11との間を通って表示パネル21の前面に達することをより効果的に抑えることができる。同様に、開口10bの内縁は第2凸部31Aよりも内側に位置し、フランジ部11aの外周縁は第2凸部31Bよりも外側に位置している。
【0026】
上述したように、電子機器1はボタン2、十字キー3、及び操作スティック4を有している。ハウジング本体10aには、表示パネル21の外周の外側に、すなわち、表示パネル21の右側及び左側に、穴が形成されており、ボタン2、十字キー3、及び操作スティック4は穴からそれぞれ突出している。この穴と各操作部材との隙間から浸入した塵が表示パネル21の前面に達することを、第1凸部31Aと第2凸部31Bとによって防ぐことができる。
【0027】
図7は防塵枠30が取り付けられた表示パネルユニット20の背面図である。同図に示すように、防塵枠30は表示パネルユニット20を保持する形状を有している。詳細には、防塵枠30は、上述した前枠部32から表示パネルユニット20の側面に沿って形成される側面部33を有している(図2、図4及び図5参照)。また、防塵枠30は、側面部33の縁から内側に張り出し表示パネルユニット20の裏面側に位置する裏面部34を有している(図4及び図7参照)。防塵枠30は、前枠部32と側面部33と裏面部34とによって、表示パネルユニット20の外周部を保持している。
【0028】
上述したように防塵枠30はエラストマーなどの弾性材料によって形成されている。側面部33の内側のサイズは、表示パネルユニット20の外周のサイズよりも僅かに小さく設定されている。また、前枠部32と裏面部34との距離は表示パネルユニット20の厚さよりも僅かに小さく設定されている。そのため、防塵枠30は表示パネルユニット20に密着している。
【0029】
前枠部32や側面部33は、表示パネルユニット20の全周に亘って設けられている。一方、裏面部34は表示パネルユニット20の角部にのみ設けられている。すなわち、防塵枠30は、4つの裏面部34を有し、裏面部34は表示パネルユニット20の角部の裏面側にそれぞれ位置している(図7参照)。図4に示すように、ハウジング10は、その内部に、表示パネルユニット20が載せられるベース部12を有している。ベース部12は裏面部34をハウジング10の内面(この例ではフロントパネル11の内面)に向けて押している。
【0030】
裏面部34は表示パネルユニット20の角部にのみ設けられているため、防塵枠30が裏面部34を通してベース部12から受ける負荷は、凸部31の角部に作用し易い。凸部31の角部は、その屈曲形状により、凸部31の他の部分よりも高い強度を有している。そのため、裏面部34で表示パネルユニット20を支持するこの構造によれば、防塵枠30の耐久性を増すことができる。また、裏面部34を防塵枠30の角部にのみ設けるこのような形状によれば、防塵枠30の成型を容易化できる。
【0031】
この例では、図4に示すように、ベース部12は、裏面部34に対応する位置に、支持部12aを有している。この支持部12aは、ベース部12の他の部分に対して凹んでいるものの、その深さは裏面部34の厚さよりも小さい。そのため、裏面部34は支持部12aによってフロントパネル11の内面に向けて押され、表示パネルユニット20の裏面とベース部12との間には僅かなクリアランスが設けられる。
【0032】
図2に示すように、第1凸部31Aと第2凸部31Bとがフロントパネル11によって押されフロントフレーム22Aの前面に接した状態では、フロントパネル11(この例ではフランジ部11a)は前枠部32に接している。つまり、防塵枠30が取り付けられた表示パネルユニット20を支持する支持部12aから、フロントパネル11までの距離D3(図4参照)は、表示パネルユニット20に取り付けられた防塵枠30の厚さに相当している。特にこの例では、距離D3は、電子機器1に組み込まれる前の表示パネルユニット20に取り付けられた防塵枠30の厚さよりも僅かに小さく設計されている。そのため、電子機器1の外部の塵等は、凸部31だけでなく、前枠部32によっても、表示領域Aへの浸入が防がれる。
【0033】
以上説明したように、防塵枠30は、表示パネルユニット20の前面の外周部上に位置する前枠部32を有している。また、防塵枠30は凸部31を有している。凸部31は前枠部32からフロントパネル11の内面に向かって突出し、表示パネルユニット20の正面視で表示領域Aを取り囲む枠形状を有し、フロントパネル11の内面によって表示パネルユニット20に向けて押される。さらに、凸部31に対してフロントパネル11の内面による押圧方向には、当該押圧方向への凸部31の移動を許容する隙間G1,G2が形成されている。そのため、防塵枠30に永久歪みが生じることを抑えることができ、防塵枠30の弾性力を長期間に亘って維持でき、防塵機能を向上できる。
【0034】
また、隙間G1,G2は前枠部32の表示パネルユニット20側に位置している。そのため、第1凸部31Aがフロントパネル11によって押されたときに凸部31の頂部を前枠部32の高さに近づけることが、可能となる。その結果、フロントパネル11と表示パネルユニット20との間の隙間Eを低減できる。
【0035】
また、第1凸部31Aは前枠部32の内周縁に形成されている。そして、前枠部32の内周縁と表示パネルユニット20の前面(フロントフレーム22Aの前面)との間に隙間G1が形成されるように、前枠部32の内周縁の角は面取りされている。この構造によれば、隙間G1を形成することが容易となる。
【0036】
また、第2凸部31Bと隙間G2は前枠部32の内周縁から離れて位置している。この構造によれば、表示パネル21に係る負荷を軽減できる。
【0037】
また、前枠部32の表示パネルユニット20側の面に、隙間G2を生じさせる溝が形成されている。この構造によれば、隙間G2を生じさせるために表示パネルユニット20を加工する必要がないので、表示パネルユニット20の製造が容易となる。
【0038】
また、第1凸部31Aと第2凸部31Bの頂部の表面は、弧状の断面を有している。この構造によれば、第1凸部31Aと第2凸部31Bとが変形し易くなるので、表示パネル21に係る荷重を抑えることができる。また、フロントパネル11によって押されたときに斜めに動く第1凸部31Aについては、第1凸部31Aが斜めに動くことによる接触面積(フロントパネル11との接触面積)の変化を抑えることができる。
【0039】
また、ハウジング10の内面、この例では、フロントパネル11の内面は、第1凸部31Aが当る部分に、平らな面を有している。そのため、第1凸部31Aはフロントパネル11によって押されたときに円滑に動くことができる。
【0040】
また、第1凸部31Aと第2凸部31Bの突出量は前枠部32の厚さTより小さい。そのため、隙間G1の幅W1と隙間(溝)G2の深さを、第1凸部31Aと第2凸部31Bにとって適切な大きさに確保し易くなる。
【0041】
また、ハウジング10の内面は、この例では、フロントパネル11の内面は前枠部32に接している。この構造によれば、防塵機能をさらに向上できる。
【0042】
また、ハウジング10には、表示パネルユニット20の外周の外側に位置する穴が形成され、この穴にユーザによって操作される操作部材2,3,4が配置されている。この構造によれば、穴と操作部材との隙間から浸入する塵が表示パネル21の前面に達することを、凸部31によって防ぐことができる。
【0043】
図8は本発明の他の実施形態に係る電子機器が備える表示パネルユニット20の断面図である。図8の切断面は図3に示すV−V線で示される切断面と同様である。図8では、これまで説明した箇所と同一箇所には同一符合を付している。以下では、これまで説明した電子機器1と異なる事項について説明し、説明のない事項は電子機器1と同様である。
【0044】
図8に示すように、この例の電子機器は、表示パネルユニット20の外周部に設けられる防塵枠130を有している。防塵枠130も、表示パネルユニット20の前面の外周部上に位置する前枠部32を有している。また、防塵枠130は凸部131を有している。凸部131は防塵枠30の全周に亘って形成され、表示パネルユニット20の正面視で当該表示パネルユニット20の表示領域Aを取り囲む枠形状を有している。凸部31は、前枠部32からハウジング10の内面(この例ではフロントパネル11の内面)に向かって突出し、ハウジング10の内面によって表示パネルユニット20の外周部に向けて押される。
【0045】
また、防塵枠130には凸部131に沿った方向に伸びる隙間(溝)G3が設けられている。隙間G3は凸部131に対してフロントパネル11の押圧方向に位置し、すなわち、隙間G3は凸部131の後方に位置し、押圧方向への凸部131の移動を許容する。換言すると、防塵枠130は隙間G3が形成されるように、凸部131の後方に位置する部分が切り欠かれた形状を有している。この例の凸部131は、上述した凸部31とは異なり、フロントパネル11の内面に向かって表示パネル21の厚さ方向に対して斜めに突出している。特にこの例では、凸部131は表示パネルユニット20の外周の外側に向かって斜めに突出している。そのため、隙間G3は凸部131と前枠部32との間に位置している。凸部131はフロントパネル11に当ると、この隙間G3の存在によりフロントフレーム22A側に弾性的に傾く。その結果、フロントパネル11や表示パネル21にかかる負荷を軽減できる。また、防塵枠130に永久歪みが生じることを抑えることができ、防塵枠130の弾性力を長期間に亘って維持できる。その結果、凸部131とフロントパネル11との密着性が維持され、防塵機能が向上され得る。ここで、隙間G3はフロントパネル11を凸部131に押し付ける前の状態において生じる隙間であり、フロントパネル11を凸部131に押し付けた状態では必ずしも存在していなくてもよい。
【0046】
凸部131の頂部の表面は、上述した凸部31と同様に、弧状の断面を有している。この構造によれば、凸部131はフロントパネル11によって押されたときに円滑に倒れることができる。また、上述したように、フロントパネル11の内面は、凸部131が当る部分に、平らな面を有している。そのため、凸部131はさらに円滑に倒れることができる。
【0047】
上述したように、凸部131は、表示パネル21の外周の外側に向けて斜めに突出している。特にこの例では、凸部131は前枠部32の内周縁から斜めに突出している。そして、凸部131と前枠部32との間に上述した隙間G3が形成される。その結果、ハウジング10内に浸入した塵は、前枠部32上に達した場合であっても、隙間G3の内側に留まることとなり、当該塵が表示パネル21の前面に達することを、より効果的に防ぐことができる。
【0048】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、以上の説明では、ハウジング10はフロントパネル11を有していた。しかしながら、ハウジング10はフロントパネル11を有していなくてもよい。この場合、ユーザはハウジング本体10aに形成された開口10bを通して表示パネル21の表示画面を見ることができる。
【0050】
また、以上の説明では、防塵枠30,130は側面部33と裏面部34とを有していた。しかしながら、防塵枠30は側面部33と裏面部34を有していなくてもよい。この場合、防塵枠30の前枠部32が表示パネルユニット20の表面、例えばフロントフレーム22Aの前面に接着されてもよい。
【0051】
また、以上の説明では、電子機器1は、表示パネル21の右側及び左側に操作部材を有するゲーム装置であった。しかしながら、電子機器1は、このような操作部材を有していなくてもよい。また、本発明は、携帯電話など、他の携帯型電子機器に適用されてもよい。
【0052】
また、防塵枠130の凸部131は前枠部32からフロントパネル11に向かって斜め外側に突出していた。しかしながら、防塵枠130の凸部131は前枠部32からフロントパネル11に向かって斜め内側に突出してもよい。この場合、凸部131と表示パネルユニット20との間に隙間が形成される。
【0053】
また、隙間G1,G2,G3は、表示パネルユニット20の表面(以上の例ではフロントフレーム22の表面)に形成される溝によって生じてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯型電子機器、2 押しボタン、3 十字キー、4 操作スティック、A 表示領域、10 ハウジング、10a ハウジング本体、11 フロントパネル、12 ベース部、20 表示パネルユニット、21 表示パネル、22 金属フレーム、22A フロントフレーム、22B バックフレーム、23 樹脂フレーム、30 防塵枠、31 凸部、31A 第1凸部、31B 第2凸部、32 前枠部、33 側面部、34 裏面部、G1,G2,G3 隙間、130 防塵枠、131 凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される表示パネルユニットと、
前記表示パネルユニットの外周部に設けられる、弾性材料からなる防塵枠と、を備え、
前記防塵枠は、
前記表示パネルユニットの前面の外周部上に位置する前枠部と、
前記前枠部から前記ハウジングの内面に向かって突出し、前記表示パネルユニットの正面視で当該表示パネルユニットの表示領域を取り囲む枠形状を有し、前記ハウジングの内面によって前記表示パネルユニットに向けて押される凸部と、を有し、
前記凸部に対して前記ハウジングの内面による押圧方向に、当該押圧方向への前記凸部の移動を許容する隙間が形成されている、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子機器において、
前記隙間は前記前枠部の前記表示パネルユニット側に位置している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯型電子機器において、
前記凸部は前記前枠部の内周縁に形成されており、
前記前枠部の内周縁と前記表示パネルユニットの前記前面との間に前記隙間が形成されるように、前記前枠部の前記内周縁の角は面取りされている、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の携帯型電子機器において、
前記凸部と前記隙間は前記前枠部の内周縁から離れて位置している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型電子機器において、
前記前枠部の前記表示パネルユニット側の面に、前記隙間を生じさせる溝が形成されている、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の携帯型電子機器において、
前記凸部の頂部の表面は、弧状の断面を有している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯型電子機器において、
前記ハウジングの前記内面は、前記凸部が当る部分に、平らな面を有している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記凸部の突出量は前記前枠部の厚さより小さい、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記ハウジングの内面は前記前枠部に接している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項10】
請求項1に記載の携帯型電子機器において、
前記凸部は前記前枠部から前記ハウジングの内面に向かって斜めに突出しており、
前記隙間は前記凸部と前記前枠部との間に形成されている、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項11】
請求項10に記載の携帯型電子機器において、
前記ハウジングの前記内面は、前記凸部が当る部分に、平らな面を有している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の携帯型電子機器において、
前記凸部の頂部の表面は、弧状の断面を有している、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記ハウジングには、前記表示パネルユニットの外周の外側に位置する穴が形成され、
前記穴にはユーザによって操作される操作部材が配置される、
ことを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11771(P2013−11771A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144946(P2011−144946)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】