説明

携帯式調理機器

【課題】食材を焼いた際の臭いや煙を周囲に充満させないようにできる携帯式調理機器を提供する。
【解決手段】 調理機器1のケース5に食材を焼く調理部6を設ける。調理部6の周囲に吸気口7を設ける。ケース5に排気口8を設ける。吸気口7が連通して排気口8に至る排気通路9をケース5内に設ける。排気通路9に、吸気口7から吸気して排気口8から排気させるファン11と、煙や臭いを除去するフィルタ10を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を焼いて調理するための携帯式調理機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食材を焼いて調理するための携帯式調理機器としては、たとえばカセットコンロや七輪等が知られているが、これら調理機器は、携帯を可能にする軽便性を重視して食材を焼くことに特化した構造となっており、すなわち食材を焼いた際に発生する煙や臭いの処理についての配慮は為されておらず、食材を焼いた際に発生する煙や臭いが調理機器の周囲に充満してしまう、という問題が生じてしまう。
【0003】
なお、携帯式調理機器の使用形態としては、その軽便性を生かして屋外のみならず屋内の任意の場所でも使用することが多々あるのであり、屋内の任意の場所で使用した場合には、食材を焼いた際の煙や臭いが周囲に充満してしまうことが、大きな問題となる。
【特許文献1】特開2003−130359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、食材を焼いた際の臭いや煙を周囲に充満させないようにできる携帯式調理機器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1に係る携帯式調理機器にあっては、調理機器1のケース5に食材を焼く調理部6を設けると共に、この調理部6の周囲に吸気口7を設け、ケース5に排気口8を設けると共に、吸気口7が連通して排気口8に至る排気通路9をケース5内に設け、この排気通路9に、吸気口7から吸気して排気口8から排気させるファン11と、煙や臭いを除去するフィルタ10を配設したことを特徴とする。
【0006】
これによると、調理部6で食材を焼いた際に発生する臭いや煙を、調理部6の周囲の吸気口7からファン11によってケース5内の排気通路9に吸引させ、フィルタ10によって除去させることができるのであり、たとえ携帯式調理機器1を室内で使用しても食材を焼いた際に発生する臭いや煙が周囲に充満することを防止できる。
【0007】
また、請求項2に係る携帯式調理機器にあっては、請求項1において、外部から供給したガスを燃焼させるバーナ4を備えて調理部6を構成したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る携帯式調理機器にあっては、請求項1において、加熱燃料26を収納する加熱燃料収納部27を備えて調理部6を構成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る携帯式調理機器にあっては、請求項1乃至3のいずれか一項において、排気通路9の吸気口7側からフィルタ10、ファン11を順に配設したことを特徴とする。これによると、ファン11を通過する前にフィルタ10によって臭いや煙を除去できるため、煙に含まれる油分等のファン11への付着を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、携帯式調理機器の周囲に食材を焼いた際の臭いや煙を充満させないようにできる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
室外や室内を問わす任意の箇所で使用できる携帯式調理機器1として、たとえばカセットコンロ1aが挙げられる。本例のカセットコンロ1aは、函状のケース5の一側部にガスボンベ2を脱着可能に装填するボンベ装着部3が備えられると共に、ケース5の略中央の部位に食材を焼く調理部6が備えられている。ボンベ装着部3は、ガスボンベ収納空間12を開閉自在にする開閉蓋13を有し、ガスボンベ2のガス供給口が接続されてバーナ4の混合管部4bにガスを供給するためのノズル14が設けられている。ノズル14にはケース5の側面に設けた操作つまみ15にて操作される流量調節弁が備えられ、またノズル14の先端はバーナ4の混合管部4bの吸入口4b1に臨むように配置されている。バーナ4の混合管部4bの吸入口4b1からはガスの流量に応じた一次空気が吸入可能にしてある。
【0013】
バーナ4は混合管部4bとヘッド部4aとを有したブンゼン式のバーナ4である。バーナ4は、ケース5内に内装されるのであるが、混合管部4bの吸入口4b1がボンベ装着部3に臨んで配置され、ヘッド部4aが調理部6に位置するように配置されている。すなわち、本例の調理部6にあっては、ボンベ装着部3に装填したガスボンベ2から供給したガスを燃焼させるバーナ4のヘッド部4が備えられ、このガスの燃焼によって食材を焼くことができるようにされている。なお、バーナ4は、本例ではリング状に形成されたヘッド部4aの内周部でガスを燃焼させる内炎式のバーナ4を用いたが、ヘッド部4aの外周部でガスを燃焼させる外炎式のバーナ4を用いてもよい。
【0014】
ケース5の内部は底板5aから立設した縦壁によって適宜いくつかの空間に仕切られている。たとえば縦壁としては後述する排気通路9とボンベ装着部3のガスボンベ収納空間12とを仕切るボンベ空間仕切壁16がある。また、上記縦壁としてはケース5の略中央に設けた筒状壁17がある。この筒状壁17の筒内空間はケース5の上方に開口しており、つまりこの部位はケース5の上面から凹没したような、筒状壁17で周囲が囲まれた凹所18となっている。この凹所18は、バーナ4のヘッド部4aが配置されて上記食材を焼く調理部6となっている。詳しくは、凹所18には、バーナ4のヘッド部4aの上方に食材を載置するたとえば金網19aや孔空き鉄板のような食材載置用部材19が着脱自在に架設され、ヘッド部4aと共に調理部6を構成している。なお、調理部6は食材の焼き作業を容易にするためにケース5の上面の近傍部位(すなわちケース5の上面部)に位置されているのは言うまでもない。また、本例では凹所18の底面には食材を焼いた際に滴る焼き汁を受ける受け皿20が着脱自在に設けられている。受け皿20はケース5に対して適度な隙間を備えて取り付けられ、この隙間によってガスの燃焼に使用する二次空気のケース5の下方空間からの流入を確保している。なお、このケース5の下方空間は、カセットコンロ1aがケース5の下面の四隅部から垂設した脚部25を介してテーブル等の任意のコンロ載置面に載置されることで、確保されている。脚部25は個々、高さ調節自在にされている。
【0015】
また、ケース5内の空間である筒状壁17の筒外空間は、調理部6で食材を焼いた際に発生する煙や臭いを調理部6の周囲に設けた吸気口7から排気させる排気通路9となっている。本例の吸気口7は、凹所18における調理部6よりも上方部位にその周囲に亙って設けられており、具体的には、凹所18を囲む筒状壁17の周面に亙って列設された多数の貫通孔7aによって構成されている。この排気通路9はボンベ装着部3と反対側のケース5の側方に設けた排気口8に至るように形成されており、この排気通路9の吸気口7から排気口8の途中には、吸気口7側から順に、フィルタ10、ファン11が配設されている。
【0016】
ファン11は吸気口7から吸気して排気通路9を介して排気口8から排気させるためのものであり、公知の軸流ファンや遠心ファンなどを適用することができる。なお本例では、軸方向を排気通路9の幅方向と同方向としてその軸方向長さを排気通路9の略全幅に亙るように形成したドラム型ファン11a(横流れファン)が用いられており、排気通路9外(すなわちケース5の側面外方)に配置した駆動部21によってその回転駆動が可能にされている。なお駆動部21は乾電池を電源として回転するモータで構成されている。
【0017】
フィルタ10は煙や臭いを除去するためのものであり、公知の活性炭フィルタやグリスフィルタなどを適用することができる。詳しくは、フィルタ10は、通過させた煙や臭いを除去するろ過材10bが矩形状の枠材10aに張設されて形成されており、ケース5に設けたフィルタ取替口22から取替え自在に排気通路9内に配置可能にされている。本例ではフィルタ取替口22はケース5の上面に設けられている。そして、フィルタ10は、その両幅端部が排気通路9の両幅に配置したレール材23に上下にスライド自在に嵌合され、その下縁がケース5の底板5a上に載置されるようにして、排気通路9を塞ぐように配置されている。このようにフィルタ10を排気通路9に配置した状態では、フィルタ取替口22内にフィルタ10の上縁の枠材10aが位置してフィルタ取替口22が閉塞可能になっており、排気通路9からの煙等の漏れが生じないようにされている。
【0018】
なお、ケース5の上面を構成する天板5bは、ケース5の本体部分(底板5aや側板)に対して取り外し自在にされている。しかして、天板5bを取り外すことで排気通路9は上方に開放されるのであって排気通路9の内壁面やファン11の掃除やメンテナンスが行い易くなっている。また、排気通路9におけるファン11よりも下流側の部位は、下流側(排気口8側)ほど流路面積を絞った絞りダクト部24となっており、排気口8からの排気の排出方向に指向性を持たせるようにしている。この絞りダクト部24は、必要に応じてケース5に設けるようにしてもよく(つまりケース5の絞りダクト部24以外の部位に対して着脱自在にしてもよく)、また図示はしないが蛇腹状のダクト形状等にして排気口8の開口方向(排気の排出方向)を任意に設定できるようにしてもよい。
【0019】
上記のように構成されたカセットコンロ1aにあっては、調理部6で食材を焼いた際に発生する臭いや煙を、調理部6の周囲の吸気口7からファン11によってケース5内の排気通路9に吸引させ、フィルタ10によって除去させることができるのであり、排気口8から出る空気に臭いや煙をほとんど含ませないようにできる。したがって、カセットコンロ1aをたとえ室内で使用しても食材を焼いた際に発生する臭いや煙が周囲に充満することを防止できるのである。
【0020】
しかも、本例のカセットコンロ1aにあっては、調理部6がケース5の上面から凹没した凹所18内に配設されていると共に、吸気口7が凹所18における調理部6より上方部位の周面に亙って設けられているので、調理部6で食材を焼いた際に立ち昇る臭いや煙をほとんど逃すことなく吸気口7から排気通路9へ吸気できてフィルタ10にて除去することができるのであり、したがって臭いや煙の除去を効果的に行うことができたものである。
【0021】
また、排気通路9にはその吸気口7側からフィルタ10、ファン11が順に配設されているので、排気通路9に吸気された煙や臭いがファン11を通過する前にフィルタ10によって除去されるのであり、煙に含まれる油分等のファン11への付着を防止できるようになっている。なお、フィルタ10より上流側の排気通路9の内壁面には煙に含まれる油分等が付着することとなるが、叙述のようにケース5の天板5bを外して排気通路9を上方に開放させた状態にできるから、掃除が行い易く、つまり良好なメンテナンス性も確保されている。
【0022】
なお、携帯式調理機器1として、特に図示はしないが、たとえばプロパンガスのボンベや都市ガスからのガスを燃焼させて食材を焼くタイプの卓上ガスコンロが挙げられる。卓上ガスコンロは、先例のカセットコンロ1aのボンベ装着部3の代わりに、プロパンガスのボンベや都市ガスのガス供給源から延設されたガス供給ホースを接続するためのガス接続口を備え、このガス接続口にノズル14が連設されたものである。
【0023】
また、携帯式調理機器1として、特に図示はしないが、たとえば電熱コイルに給電して発熱させて食材を焼く卓上電気コンロも挙げられる。卓上電気コンロは、先のカセットコンロ1aや卓上ガスコンロにおけるバーナ4を備えて成る調理部6の代わりに、給電により発熱する電熱コイルを備えて成る調理部6を有している。
【0024】
また、携帯式調理機器1として、図3のように、炭などの固形の加熱燃料26を燃焼させて食材を焼く七輪のような卓上コンロ1bも挙げられる。この卓上コンロ1bは、先のカセットコンロ1aや卓上ガスコンロにおけるバーナ4を備えて成る調理部6の代わりに、加熱燃料26を収納する加熱燃料収納部27を備えて成る調理部6を有している。加熱燃料収納部27は、良好な耐熱性を備えたセラミックにて成形された上方に開口せるお椀形状の容器27aで形成されており、ケース5に設けた凹所18の下部域に配設されている。なお、加熱燃料収納部27への加熱燃料26の配置は食材載置用部材19を外して凹所18の上方から入れることで行う。また、加熱燃料収納部27を構成する容器27aには加熱燃料26の燃焼に用いる空気の空気流通孔28が適宜穿設されており、また、凹所18の底部には凹所18内にケース5の下方空間から空気を導入するための空気導入孔29が穿設されている。特に図示はしないが、空気導入孔29に開度調節機構を設けることで、加熱燃料26の燃焼の強弱を制御することができる。
【0025】
このような各種の携帯式調理機器1にあっても、先例のカセットコンロ1aと同様に、ケース5内の排気通路9にファン11やフィルタ10を設けることで、たとえ室内で使用しても食材を焼いた際に発生する臭いや煙が周囲に充満することを有効に防止できるようになるのは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の例であるカセットコンロの一部を透視した斜視図である。
【図2】同上のカセットコンロの概略の側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他例である卓上コンロの概略の側断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 携帯式調理機器
1a カセットコンロ
5 ケース
6 調理部
7 吸気口
8 排気口
9 排気通路
10 フィルタ
11 ファン
26 加熱燃料
27 加熱燃料収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機器のケースに食材を焼く調理部を設けると共に、この調理部の周囲に吸気口を設け、ケースに排気口を設けると共に、吸気口が連通して排気口に至る排気通路をケース内に設け、この排気通路に、吸気口から吸気して排気口から排気させるファンと、煙や臭いを除去するフィルタを配設したことを特徴とする携帯式調理機器。
【請求項2】
外部から供給したガスを燃焼させるバーナを備えて調理部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯式調理機器。
【請求項3】
加熱燃料を収納する加熱燃料収納部を備えて調理部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯式調理機器。
【請求項4】
排気通路の吸気口側からフィルタ、ファンを順に配設したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の携帯式調理機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−121914(P2008−121914A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303132(P2006−303132)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(506374579)
【出願人】(506374731)株式会社楽住 (1)
【Fターム(参考)】