説明

携帯情報機器用保持具

【課題】 掌で握持する代わりに手に装着する携帯情報機器の保持具を提供する。
【解決手段】 伸縮性を有するゴムと繊維とを帯状に紡織した帯状伸縮性織物の保持手段の伸縮バンドの両端に、接続手段の連結部材で携帯情報機器に掛着する掛止手段の略U字形や略L字形の掛止フックを接続して保持具を形成する。
保持具を使用する時は、該保持具の両端の掛止フックを携帯情報機器の裏面側上部と裏面側底部とに掛着し、該携帯情報機器裏面と伸縮バンドとの間に人差し指や中指、薬指を挟持して該携帯情報機器を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報機器の使用時に、手で把持する代わりに使用する伸縮ベルト式の携帯情報機器の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報機器の携帯電話機は、常に本体の一方の側面を親指で、他方の側面を中指や人差指、薬指で押さえ掌で包み込むように把持していなければならなかった。
特に近来の高機能携帯電話機は従来の携帯電話機と比べ横幅が広く、手の小さい女性には片手での把持は負担となっており、常に滑落等の対策のためハンドストラップを指に絡めたりする対応が必要であった。
【0003】
そのような携帯情報機器の把持補助具として、携帯電話機の裏面の上下両端にベルトを係着する係着手段を一対設け、この一対の係着手段間に保持手段としての伸縮性を有するベルトを係着し、携帯電話機の裏面と該ベルトの間に指を挿入して携帯電話機を保持するベルト保持具付携帯電話機の技術が公開されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、親指による入力時に使用し、携帯端末の底部を把持する第一の支持部と、第一の支持部に対向する位置で携帯端末を支持する第二の支持部を連接する連接部を設け、携帯端末に装着して連接部と携帯端末との間に指を挿入して携帯端末を支持することで、携帯端末での親指によるデータ入力を容易にする携帯端末用ベルトおよび携帯端末の技術が公開されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、弾性変形可能な一対の支持部材に取り付けられた装着具本体が、携帯機器の筐体の裏面に対して略垂直方向に引きつけられるように筐体に取り付けられる携帯機器用装着具の技術が公開されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2006−279907号公報
【特許文献2】 特開2006−140575号公報
【特許文献3】 特開2009−124652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは次のような問題点があった。
携帯電話機でのメール等の文字入力時のボタンの操作には、本来支えていなければならない親指を使用しての操作となるため、親指は把持を担うことに加え、ボタン操作との両方に神経を集中させていなければならないという問題があった。
【0008】
特許文献1のベルト保持具付携帯電話機の技術は、ベルトを係着する係着手段のリングを携帯電話機の裏面に一対設けなければならないために、携帯電話機本体が厚くなり携帯性が損なわれるのと、携帯電話機の裏面と固定されたベルト間が狭く指を挿通し難いという問題があった。
【0009】
特許文献2の携帯端末用ベルトおよび携帯端末の技術は、電波の受信感度の技術的な向上に伴いアンテナが携帯電話機の本体に内蔵されたものとなり、突出したアンテナが無くなる傾向となる中で、第二の支持部をアンテナ等の突出部に引っ掛けることができないという問題があった。
【0010】
特許文献3の携帯機器用装着具の技術は、一対の支持部材が携帯機器の筐体のボタン操作部の一部を突出した状態で覆うため、支持部材を装着した状態で折りたたみ式やスライド式等の携帯機器を終了することができないという問題と、携帯機器の使用開始時に、装着具本体と一体化された一対の支持部材を携帯機器筐体のボタン操作部のボタンを避けるように取り付けなければならず、携帯機器を頻繁に使用するユーザーにとっては操作性や利便性に問題があった。
【0011】
近来の携帯情報機器は、メールでの文字入力や通話以外に携帯情報機器の高機能化に伴う操作や使用形態が、カメラ機能や動画やテレビ機能の付加等で多機能化され変化する中で、手で持つ感覚から手に装着する感覚で保持が可能で、携帯電話機の操作に集中することができ、滑落等を意識する必要の無い保持具の潜在的なニーズがあった。
また、携帯電話機が普及し高齢者にも使用されるようになり、握力等が衰えてきた高齢者や手に障害のある人への簡便な携帯情報機器用の保持具が切望されていた。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
伸縮性を有するゴムと繊維とを帯状に紡織した帯状伸縮性織物の保持手段の伸縮バンドの両端に、携帯情報機器に一対の掛止手段の略U字形や略L字形の掛止フックを、接続手段の連結部材で固着して保持具を形成する。
本発明は、以上の構成よりなる携帯情報機器用保持具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、携帯情報機器である携帯電話機の一方の側面を把持する親指の保持的な役割からの完全な開放に伴い、携帯電話機でのメールで多用される親指によるボタンの操作性が向上し、近来、携帯電話機で動画機能やカメラ機能等が付加され多機能化される中で、長時間の動画の視聴やカメラ操作にも不意の滑落を全く意識すること無く携帯情報機器の操作に集中できストレスを感じない使用が可能となる。
また、形状が大きく片手で把持することが困難な大型な多機能携帯情報機器に対応し、補助的保持具として片手での安全な保持が可能となる。
特に本発明は、握力等が衰えてきた高齢者や、手に障害のある人の長時間保持可能なユニバーサルな携帯情報機器の補助具としても使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の側面図である。
【図2】 図1の携帯情報機器への装着実施例の側面図である。
【図3】 図2の携帯情報機器への装着実施例の裏面図である。
【図4】 多機能携帯情報機器への装着実施例の側面図である。
【図5】 図4の多機能携帯情報機器への装着実施例の裏面図である。
【図6】 他の実施例の側面図である。
【図7】 他の実施例の掛止フックの正面図である。
【図8】 携帯情報機器への他の装着実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
伸縮性を有するゴムと繊維とを帯状に紡織した帯状伸縮性織物の織りゴムや編みゴムから成る伸縮バンドの両端に、側面形状が略U字形や略L字形の掛止フックの凹面部を対置するように固着して保持具を形成する。
また図6に示すように、掛止フックの一方を支持板構造とし、該支持板に伸縮バンドが挿通可能な矩形の貫孔を設け、該貫孔に該伸縮バンドを可動可能に挿通し、該伸縮バンドに固着した一対の面ファスナーで該伸縮バンドを調節可能に面着できるようにする。
当保持具を使用する時は、図2の側面図および図3の裏面図に示すように、該保持具の両端の掛止フックを携帯情報機器の裏面側上部と裏面側底部とに掛着し、該携帯情報機器と伸縮バンドとの間に人差し指や中指、薬指を挟持して該携帯情報機器を保持する。
【実施例1】
【0016】
図2の側面図および図3の裏面図は、PDA(Personal Digital Assistant)やスマートフォン(高機能携帯電話)等に本発明の保持具20を掛着した装着実施例を示すが、この実施例について説明する。
図1の本発明の側面図に示すように、伸縮性を有するゴムと繊維とを帯状に紡織した帯状伸縮性織物の織りゴムや編みゴムから成る伸縮バンド21の両端に、側面形状が略U字形の掛止フック23の凹面部を対置し、該伸縮バンド21と該掛止フック23を連結部材22で固着する。
掛止フック23の凹面部の携帯情報機器10との接触面には、柔軟性と弾性を有する樹脂や天然ゴムを緩衝部材24として着設し、該携帯情報機器10の上部および底部との接触面での緩衝と該携帯情報機器10の保持安定性を向上するようにしている。
【0017】
携帯情報機器10を一方の掌で把持する場合、親指は該携帯情報機器10の一方の側面を支持し、人差し指と中指と薬指の三指は該携帯情報機器10の裏面から他方の側面を支持するようになるが、この様な様態で他方の手で掛止フック23の一方を該携帯情報機器10の筐体上部に掛着する。
次に、掛止フック23の他方を伸縮バンド21の弾性伸縮力を利用して牽引して伸長し、携帯情報機器10を人差し指と中指と薬指の三指を挟むように外側から該携帯情報機器10の筐体底部に掛着させる。
また別の方法として、図2および図3に示すように、携帯情報機器10の筐体裏面上部と筐体裏面底部に掛止フック23を掛着後、伸縮バンド21を他方の手指で摘持して隙間をつくり、その隙間に指を挿入するようにしてもよい。
【0018】
従来、携帯情報機器10の片手での把持には、側面の一方を親指の拇指球部で、他方は中指を中心として人差し指と薬指の三指とで該携帯情報機器10を把持する役割を担っていたが、該携帯情報機器10への保持具20の装着で親指を含めた三指が把持行為から開放され、該携帯情報機器10は伸縮バンド21の収縮力により該携帯情報機器10の裏面と人差し指と中指と薬指の三指とが一体化されることで、該携帯情報機器10を把持することを意識しない使用が可能となる。
【0019】
携帯情報機器10への保持具20の使用を終了する時は、該携帯情報機器10の底部に掛着の掛止フック23を摘み牽引し、伸縮バンド21を伸長させて該携帯情報機器10より離脱させ、続いて該携帯情報機器10より上部該掛止フック23を取り外す。
【0020】
保持具20の未使用時の自然長は伸縮バンド21の収縮力によるが、携帯情報機器10の長さに対して僅かに短いものを使用するようにすることで、掛止フック23が該携帯情報機器10を上下で確実に掛止できるのと、緩衝部材24により緩みのない安定した装着を可能にする。
また、本発明に使用される織りゴムは、一定の幅を有する帯状ため局部的に指を圧迫することも少なく、長時間の使用にも圧迫感や疲労感を感ずるようなことも無い。
【0021】
本発明では、伸縮バンド21と掛止フック23とは連結部材22で接続されるが、この接続には鋲着や圧着、可能ならば縫着や接着剤による接着でもよく、これ等を組み合わせたものでもよい。
また、当実施例の図1および図2に示すように、伸縮バンド21の両端に接続される掛止フック23は同一の大きさと形状とすることで、一方が携帯情報機器10の筐体上部の該掛止フック23として使用される時は、他方は筐体底部の該掛止フック23として使用され、携帯情報機器10の上下どちらにも掛着でき使い勝手が良い。
【0022】
大型の多機能携帯情報機器11への保持に対応した装着実施例について説明する。
図4の側面図および図5の裏面図は、大型の多機能携帯情報機器11であるタブレット型情報機器やiPad(アップルコンピュターの登録商標)等に保持具20を掛着した状態を示すが、このような大型の情報機器を左手で保持する場合、多機能携帯情報機器11を人差し指と中指と薬指と小指の四指で該多機能携帯情報機器11の裏面を支持し、親指で筐体上部を押さえるようにして該多機能携帯情報機器11を図5の裏面図に示すように保持する様態となる。
図5のような様態での使用は、保持具20が多機能携帯情報機器11の中央より手で保持する側に寄った様態での掛着となり、該多機能携帯情報機器11を縦長で使用して比較的軽量な情報機器に適する。
【0023】
また、上記の多機能携帯情報機器11を横長にして使用する場合、図示せぬが、保持具20を該多機能携帯情報機器11の中央近傍に位置して掛着し、親指を含めた手の甲を伸縮バンド21と該多機能携帯情報機器11の裏面とに挿入し、手の甲で該保持具20の該伸縮バンド21を受ける様態で安定した保持が可能となる。
この様な様態での使用は、伸縮バンド21の幅が広く手の甲に掛かる力が分散されるため、多機能携帯情報機器11を横長で使用して比較的重量のある機器に適するが、軽量な情報機器に使用してもよい。
【0024】
従来、大型の多機能携帯情報機器11は両手で保持していたが、滑落を意識する事無く大型の該多機能携帯情報機器11を長時間片手での保持が可能なため、左手で該多機能携帯情報機器11を保持し、右手でキーボードや画面等の操作を行うことが可能となる。
【0025】
図4の側面図に示す実施例は、掛止フック23の側面形状を略L字形としたものであるが、略L字形は突出部少なくフラットな形状となるため、特に大型の多機能携帯情報機器11への使用に適するが、小型の携帯情報機器10への使用も可能である。
【0026】
本発明の保持具20は、携帯情報機器10に掛止フック23を掛止させた状態にしておくことも可能で、その時は該携帯情報機器10を他方の手で持ち、伸縮バンド21と該携帯情報機器10との間から指のみを引き抜くことで可能となる。
携帯情報機器10の未使用時に、掛止フック23を該携帯情報機器10に掛止しておくことで保持具20の紛失も防げ、ポケットやバッグへの出し入れ時にも該保持具20の該携帯情報機器10への装着が支障を来たすこともなく、使用の度に該保持具20の該携帯情報機器10への掛着が不要となるため再使用時の利便性が良くなる。
【0027】
保持具20の掛止フック23は、携帯情報機器10の上下ほぼ中央近傍に掛着させるのが望ましいが、携帯情報機器10の裏面に既設の機能(カメラ機能等)を避けるためや、好みや保持性等の理由で該掛止フック23の上下どちらかの一方を左右にずらして襷掛けとしても違和感の無い使用が可能である。
【実施例2】
【0028】
伸縮バンド21の長さ調節が自在な実施例について説明する。
当実施例は、図7に示すように、掛止フック231の一方を支持板25構造とし、該支持板25に該伸縮バンド21が挿通可能な矩形の貫孔26を設ける。
また、図6の側面図に示すように、伸縮バンド21の外側面中間部に短小のループ状のB面ファスナー28を固着し、同一の外側面先端部には長大のフック状のA面ファスナー27が固着される。
【0029】
当実施例の保持具20を使用する時は、図6に示すように、図7に示す支持板25構造の掛止フック231を伸縮バンド21の他方に固着された掛止フック23の凹面部と対置し、該掛止フック231の凹面部側の貫孔26より伸縮バンド21を挿通して折り返し、携帯情報機器10に合わせた適切な長さに調節してA面ファスナー27をB面ファスナー28に面着する。
なお、一度掛止フック231の貫孔26に挿通され、面ファスナー部が面着された伸縮バンド21は、長さ調節以外の操作は不要である。
【0030】
当実施例は、携帯情報機器10への使用でB面ファスナー28へのA面ファスナー27の面着位置を変更することで、伸縮バンド21の伸縮力を好みにあわせた調節が可能で、この調節は該携帯情報機器10に掛止フック231を掛着した状態で操作可能である。
また、前述した大型の多機能携帯情報機器11を縦長で使用する場合と、横長で使用する場合で該多機能携帯情報機器11の長さの差異に対し、面ファスナーの面着位置を変更することで、縦横の長さに対応させた使用が容易に可能となる。
【0031】
当実施例では、伸縮バンド21に面ファスナーを固着するが、一般的な面ファスナーは伸縮性が乏しいため、B面ファスナー28を該伸縮バンド21の中間部分に固着すると、該伸縮バンド21に固着された部分の伸縮力が十分に生かせなくなるが、この中間部分に固着される該B面ファスナー28は短小で該伸縮バンド21の一部を占めるのみのため、該伸縮バンド21の伸縮への影響も少なく一定の面着力も確保できる。
なお、B面ファスナー28に伸縮性を有するものを使用するようにすることで、A面ファスナー27と該B面ファスナー28の面着面を広くすることができ、違和感の少ない装着と十分な面着力が得られるようになる。
【0032】
当実施例では、伸縮バンド21に異なるA面ファスナー27とB面ファスナー28を固着するが、これを、A面とB面が混織する面ファスナーとしてもよい。
なお、伸縮バンド21への面ファスナーの固着には縫着や接着剤による接着が適するが、これ等を組み合わせたものでもよい。
【0033】
当保持具20を折りたたみ式携帯電話機12に装着する実施例について説明する。
図8は保持具20を折りたたみ式携帯電話機12に装着した様態を示すが、該折りたたみ式携帯電話機12のディスプレイ表示部を開いた使用状態で、長めの伸縮バンド21を使用して該保持具20の掛止フック23をキー操作部の裏面底部と、該ディスプレイ表示部の裏面上部に掛着するようにすることで使用が可能となる。
この折りたたみ式携帯電話機12に掛止した保持具20を使用する時は、キー操作部の裏面と伸縮バンド21との間に指を挿入して使用する。
【0034】
当発明の保持具20は、携帯型の情報機器への使用に限定されるものではなく、電子書籍端末や携帯型のゲーム機器への使用も可能とするものである。
特に本発明は、握力等が衰えてきた高齢者や、手に障害のある人への長時間保持可能なユニバーサルな携帯情報機器の保持補助具として使用を可能とするものである。
【符号の説明】
【0035】
10 携帯情報機器
11 多機能携帯情報機器
12 折りたたみ式携帯電話機
20 保持具
21 伸縮バンド
22 連結部材
23 231 掛止フック
24 緩衝部材
25 支持板
26 貫孔
27 A面ファスナー
28 B面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報機器を掌で把持する代わりに該携帯情報機器の筐体裏面に着脱自在に掛着する保持具において、帯状伸縮性織物の伸縮バンドの両端に、側面形状を略U字形や略L字形とする掛止フックの凹面部を対置し、該伸縮バンドと該掛止フックとを連結部材で固着したことを特徴とする携帯情報機器用保持具。
【請求項2】
携帯情報機器の保持具で、帯状伸縮性織物の伸縮バンドと掛止フックとが連結部材で固着される保持具において、該掛止フックの一方を支持板構造とし、該支持板に矩形の貫孔を設け、該貫孔に該伸縮バンドを可動可能に挿通し、該伸縮バンドに固着された一対の面ファスナーで調節自在に面着できるようにしたことを特徴とする携帯情報機器用保持具。
【請求項3】
上記掛止フックの携帯情報機器との凹面部接触面に緩衝部材を着設したことを特徴とする請求項1および2に記載の携帯情報機器用保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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