説明

携帯機器及び携帯機器の係合機構

【課題】 携帯機器及び携帯機器の係合機構に関し、携帯機器の外観を好適なデザインにするとともに、情報機器としての操作性を向上する。
【解決手段】 キーボードユニットと、ディスプレイユニットと、前記キーボードユニットに内蔵された可動式結合機構と、前記ディスプレイユニットに設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器及び携帯機器の係合機構に関するもので、例えば、ディスプレイ部とキーボード部が着脱可能な携帯電話やスマートフォン等の携帯機器における分離したディスプレイ部をキーボード部に再結合させる係合機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の携帯機器において、ディスプレイ部をキーボード部から着脱可能にした分離型携帯機器が開発されている。図17は分離型携帯機器の一例を示す構成説明図であり、図17(a)はクローズ状態の斜視図であり、図17(b)は、スライド状態の斜視図であり、図17(c)は分離状態の斜視図である。
【0003】
この分離型携帯機器60は、図17(c)に示すようにキーボード部61とディスプレイ部64が着脱自在に結合されている。また、キーボード部61はテンキー部62とQWERTYキー部63とからなり、テンキー部62とQWERTYキー部63とは図17(b)に示すようにスライド自在に結合されている。
【0004】
ディスプレイ部64は着脱ボタン65を押すことによってディスプレイ部64をキーボード部61から分離できる。なお、図における符号66は着脱ボタン65に接続する凸状係合部材(図示は省略)と係合する係合部である。また、符号67は、ディスプレイ部64の裏面に取り付けられたカメラ(図示は省略)のカメラ収容部である。
【0005】
ディスプレイ部64をキーボード部61から分離した状態では、キーボード部61に内蔵の電話で通話しながら、ディスプレイ部64にスケジュール表を表示させる。或いは、インターネットにアクセスして必要な情報を表示させたりすることが可能になるので、携帯機器としての使い勝手が向上する。
【0006】
ところで、分離状態でQWERTYキー部63を使用するときは両手でキーを操作するので、ディスプレイ部64をどこかへ置く必要がある。分離状態でディスプレイ部64をテンキー部62あるいはQWERTYキー部63の側面に再結合できれば、携帯機器としての操作性が向上して望ましい。
【0007】
一方、携帯情報端末に対して外部キーボードを結合することが提案されている。この提案においては、ディスプレイ部を備えた携帯情報端末の側面に対して、外部テンキーボードや外部QWERTYキーボードを適宜選択して接続コネクタを利用して結合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−186427号公報
【特許文献2】特開2001−067141号公報
【特許文献3】特開2003−168874号公報
【特許文献4】特開2004−319225号公報
【特許文献5】特開平10−083863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の提案においては、携帯情報端末と外部キーボードとの接続はコネクタ接続のため、携帯情報端末と外部キーボードとは平面的な接続となる。したがって、携帯情報端末の表示内容を見易くするために、携帯情報端末のディスプレイ部をチルトさせる場合には、追加の機構が必要になり、構成が複雑化するという問題がある。
【0010】
また、外部キーボードである外部テンキーボードや外部QWERTYキーボードに実装されている接続コネクタは常時外部へ露出しており、面一の外観が望まれる携帯機器としてはデザイン上好ましくないという問題がある。
【0011】
さらに、特許文献1の提案においては、ディスプレイ部を備えた携帯情報端末と外部キーボードとは別体構成であり、非使用時に両者を一体化して携行するものではないので、使い勝手が悪いという問題がある。
【0012】
したがって、本発明は、携帯機器の外観を好適なデザインにするとともに、情報機器としての操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示する一観点からは、キーボードユニットと、ディスプレイユニットと、前記キーボードユニットに内蔵された可動式結合機構と、前記ディスプレイユニットに設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部とを有することを特徴とする携帯機器が提供される。
【0014】
また、開示する別の観点からは、携帯機器の第1の筐体に内蔵された可動式結合機構と、前記第1の筐体に対して着脱自在に結合する第2の筐体に設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部とを有することを特徴とする携帯機器の係合機構 が提供される。
【発明の効果】
【0015】
開示の携帯機器及び携帯機器の係合機構によれば、携帯機器の外観を好適なデザインにするとともに、情報機器としての操作性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の分離型携帯機器の構成説明図である。
【図2】本発明の実施例1の分離型携帯機器のクローズ状態、スライド状態及び分離状態の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の分離型携帯機器の再結合状態及びフルキーボード状態の斜視図である。
【図4】本発明の実施例1の分離型携帯機器の再結合動作を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例1の可動式結合機構及び結合機構接続部の途中までの状態の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の可動式結合機構及び結合機構接続部の図5以降の状態の説明図である。
【図7】本発明の実施例1の再結合動作における可動式結合機構の動作の説明図である。
【図8】本発明の実施例1の分離型携帯機器の再結合状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例2の分離型携帯機器のクローズ状態、スライド状態及び分離状態の斜視図である。
【図10】本発明の実施例2の分離型携帯機器の再結合状態及びフルキーボード状態の斜視図である。
【図11】本発明の実施例2の分離型携帯機器の再結合動作を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例2の可動式結合機構及び結合機構接続部の途中までの状態の説明図である。
【図13】本発明の実施例2の可動式結合機構及び結合機構接続部の図12以降の状態の説明図である。
【図14】本発明の実施例2の再結合動作における可動式結合機構の動作の説明図である。
【図15】本発明の実施例2のレバーの構成説明図である。
【図16】本発明の実施例2の分離型携帯機器の再結合状態を示す断面図である。
【図17】従来の分離型携帯機器の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、図1を参照して、本発明の実施の形態の分離型携帯機器を説明する。図1は本発明の実施の形態の分離型携帯機器の構成説明図であり、図1(a)は分離状態の斜視図であり、図1(b)は、再結合動作時の斜視図であり、図1(c)は再結合状態の要部切断斜視図である。
【0018】
この分離型携帯機器は、キーボードユニット1とディスプレイユニット4が着脱自在に結合されている。また、キーボードユニット1はテンキー部2と文字キー部3とからなり、テンキー部2と文字キー部3とはスライド自在に結合されている。なお、文字キー部3は、典型的には上段左側にQ,W,E,R,T,Y・・・が配列されたQWERTYキー部からなる。
【0019】
また、テンキー部2には可動結合プレート6を備えた可動式結合機構5がテンキー部2の側面に面一の状態で内蔵されており、一方、ディスプレイユニット4には、可動式結合機構5に結合する溝8を備えた結合機構接続部7が設けられている。なお、図における符号9は着脱ボタン(図示は省略)と係合する係合部である。
【0020】
図1(a)に示すように、ディスプレイユニット4は着脱ボタンを押すことによってディスプレイユニット4をキーボードユニット1から分離できる。
【0021】
ディスプレイユニット4をキーボードユニットに再結合させる場合には、まず、図1(b)に示すように、可動式結合機構5を構成するL字状の可動結合プレート6をキーボードユニット1の側面から押出機構(図示は省略)によって押し出す。
【0022】
この場合の押出機構は、一対の平行リンク部材とレバーと、再結合時に可動結合プレート6を筐体側に引き戻すバネ部材とにより構成しても良い。平行リンク部材は、一端がキーボードユニット1に固定され且つ他端が可動結合プレート6に結合されるとともに、互いに平行に配置される。また、レバーは、一方の平行リンク部材のキーボードユニット1に対する固定部を回転軸として回動自在に一方の平行リンク部材と一体に形成されている。
【0023】
また、バネ部材は、一端がキーボードユニット1に固定され、他端が、可動結合プレート6に結合される。なお、このバネ部材は、一対の平行リンク部材の間に配置することが回動をスムーズに行うために望ましい。
【0024】
或いは、レバーとレバー接続部材と、再結合時に可動結合プレート6を筐体側に引き戻すバネ部材によって押出機構を構成しても良い。この場合、レバーは、キーボードユニット1に固定された回転軸を有するとともに、可動結合プレートに対してレバー接続部材によって回転軸を中心に回動自在に結合されている。また、バネ部材は、一端がレバーに固定され且つ他端がキーボードユニット1に固定されている。なお、レバー接続部材は、可動結合プレートの中心線上または中心線から±5mm以内の近傍に配置するのが望ましい。
【0025】
次いで、図1(c)に示すように、ディスプレイユニット4に形成した結合機構接続部を構成する溝8とL字状の可動結合プレート6の切り起こし部とを嵌め合わせることで再結合が完成する。なお、再結合した状態では、可動結合プレート6は、可動結合プレート6に結合されているバネ部材(図示は省略)により筐体側に引き戻されるので再結合状態が安定になる。
【0026】
この場合のディスプレイユニット4のキーボードユニット1に対する傾斜角は0°〜90°とし、主要な使用目的に応じて溝8の掘り込み角度を設定する。なお、傾斜角が0°〜45°の場合には、溝8はディスプレイユニット4の裏面に形成し、傾斜角が45°〜90°の場合には、溝8はディスプレイユニット4の側面に形成することになる。
【0027】
このように、本発明の実施の形態においては、使用状態においては、ディスプレイユニット4をキーボードユニット1に対して所定角度で取り付けているので、ディスプレイユニット4の表示内容が見易くなるとともに、情報機器としての操作性が向上する。
【0028】
また、非使用時には、非分離型の携帯機器と同様にキーボードユニット1とキーボードユニット1を一体にしており、且つ、結合機構が筐体に対して面一の状態で収容されているので、良好な外観を維持することができる。
【実施例1】
【0029】
以上を前提として、次に、図2乃至図8を参照して、本発明の実施例1の分離型携帯機器を説明する。図2及び図3は本発明の実施例1の分離型携帯機器の構成説明図であり、図2(a)はクローズ状態の斜視図であり、図2(b)はスライド状態の斜視図であり、図2(c)は分離状態の斜視図である。また、図3(a)は、再結合状態の斜視図であり、図3(b)はフルキーボード状態の斜視図である。
【0030】
本発明の実施例1の分離型携帯機器10は、図2に示すようにキーボード部11とディスプレイ部16が着脱自在に結合されている。また、キーボード部11はテンキー部12とQWERTYキー部15とからなり、テンキー部12とQWERTYキー部15とは図2(b)に示すようにスライド自在に結合されている。なお、テンキー部12にはカーソルキー13とテンキー14が設けられている。
【0031】
ディスプレイ部16は着脱ボタン17を押すことによって、図2(c)に示すように、ディスプレイ部16をキーボード部11から分離できる。QWERTYキー部15には、着脱ボタン17に接続する凸状係合部材(図示は省略)と係合する係合部18が設けられている。また、キーボード部11にはQWERTYキー部15まで貫通するカメラ収容部19が設けられており、ディスプレイ部16の裏面に取り付けられたカメラ(図示は省略)を収容する。
【0032】
また、後述するようにテンキー部12には、可動式結合機構20が面一の状態で内蔵されており、可動式結合機構20を構成するレバー24の一部がカメラ収容部19から覗いており、ここでレバー24を操作する。また、ディスプレイ部16には、可動式結合機構20と係合する結合機構接続部30が設けられている。
【0033】
この分離型携帯機器を分離後に再結合させる場合には、図3(a)に示すように、可動式結合機構20と結合機構接続部30とを係合させる。次いで、フルキーボードスタイルで使用する場合には、図3(b)に示すように、QWERTYキー部15をスライドさせて、テンキー部12に設けたカーソルキー13とテンキー14とを露出させ、両手でキーを操作する。
【0034】
図4は、再結合動作を示す斜視図である。キーボード部11とディスプレイ部16とを再結合させる場合には、まず、図4(a)に示すように、可動式結合機構20を構成するL字状の可動結合プレート21をキーボード部11の側面から後述する押出機構によって押し出す。
【0035】
次いで、図4(b)に示すように、ディスプレイ部16に形成した結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート21の切り起こし部とを嵌め合わせることで再結合が完成する。なお、再結合した状態では、可動結合プレート21は、後述するように可動結合プレート21に結合されているバネ部材により筐体側に引き戻されるので再結合状態が安定になる。なお、図4(c)は係合状態を理解しやすくした要部切断斜視図である。
【0036】
次に、図5乃至図8を参照して再結合動作を説明するが、図5及び図6は可動式結合機構及び結合機構接続部の説明図であり、図7は再結合動作における可動式結合機構の動作の説明図である。図5(a)は収容状態の可動式結合機構20を示す斜視図であり、可動結合プレート21と、可動結合プレート21を筐体側面から押し出す押出機構からなる。この時、図7(a)に示すように可動結合プレート21は、テンキー部12の側面に設けられた収容凹部26に面一の状態で収容される。
【0037】
図7(a)に示すように、押出機構は、一対の平行リンク部材22,23とレバー24と、再結合時に可動結合プレート21を筐体側に引き戻す引張バネ部材25とからなる。平行リンク部材22,23は、一端が固定部材22,23によりテンキー部12に固定され且つ他端が固定部材22,23により可動結合プレート21に結合されるとともに、互いに平行に配置される。
【0038】
また、レバー24は、その先端部が一方の平行リンク部材22を兼ねており、テンキー部12に対する固定部材22により、これを回転軸として回動自在に結合されている。また、引張バネ部材25は、一端がテンキー部12に固定部材25により固定され、他端が、可動結合プレート21に固定部材25に結合されて一対の平行リンク部材22,23の間に配置される。
【0039】
図5(b)及び図7(b)に示すように、再結合時には、レバー24を図において押し上げる。すると、平行リンク部材22は固定部材22を回転軸として回動し、それとともに平行リンク部材23も平行状態を保ったままに回動して可動結合プレート21を筐体の側面から回動するように押し出す。
【0040】
次いで、図6(a)及び図7(c)に示すように、ディスプレイ部16に形成した結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート21の切り起こし部とを嵌め合わせることで再結合が完成する。なお、再結合した状態では、可動結合プレート21は、可動結合プレート21に結合されている引張バネ部材25の引張力により筐体側に引き戻される。図6(b)は再結合状態を理解しやすくした要部切断斜視図である。
【0041】
図8は、再結合状態を示す断面図であり、図8(a)に示すように再結合させる場合には、可動結合プレート21を押し出した状態で、結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート21の切り起こし部とを位置合わせする。次いで、図8(b)に示すように、結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート21の切り起こし部とを嵌め合わせる。
【0042】
この状態でレバー24を放すと、図8(c)に示すように、引張バネ部材25の作用により、ディスプレイ部16は、可動結合プレート21とともに、筐体の側面に引き付けられて、溝31の掘り込み角度に応じた傾斜角で再結合する。
【0043】
この時、ディスプレイ部16の側面に設けられた小突起32が収容凹部26の上端部に嵌っているためディスプレイ部16が可動結合プレート21から上方へ抜けることはない。また、分離型携帯機器10全体を上下逆さまにしてもディスプレイ部16は落下しない。
【0044】
なお、再分離する場合には、再びレバー24を操作して可動結合プレート21を筐体の側面から押し出し、この状態でディスプレイ部16を可動結合プレート21から引き抜いて係合を解除すれば良い。
【0045】
このように、本発明の実施例1の分離型携帯機器は、ディスプレイ部16をキーボード部11に傾斜させて再結合できるので、QWERTYキー操作時にディスプレイ部16とキーボード部11が一体化しており、情報機器としての操作性が向上する。また、横画面でワンセグ等の映像を視聴する場合には、ディスプレイ部11を傾斜した状態で机上等に安定に置くことができ、見易さも向上する。
【0046】
さらに、ディスプレイ部16を再結合した状態でQWERTYキー部15をスライドしてフルキーボード化した場合には、QWERTYキー部15のアルファベットキーに加えてテンキー部12のテンキー14とカーソルキー13も合わせて使用することができる。
それによって、QWERTYキー部15だけで文字入力する場合に比べて、文字入力操作が容易になる。
【0047】
また、本発明の実施例1においては、可動式結合機構20を一対の平行リンク部材22,23を利用して形成しているので、可動結合プレート21を筐体の側面から押し出す場合に、可動結合プレート21と収容凹部26の側面が擦れることがない。したがって、可動結合プレート21が変形することがないので、可動式結合機構20が劣化することがない。
【実施例2】
【0048】
次に、図9乃至図16を参照して、本発明の実施例2の分離型携帯機器を説明する。図9及び図10は本発明の実施例2の分離型携帯機器の構成説明図であり、図9(a)はクローズ状態の斜視図であり、図9(b)はスライド状態の斜視図であり、図9(c)は分離状態の斜視図である。また、図10(a)は、再結合状態の斜視図であり、図10(b)はフルキーボード状態の斜視図である。
【0049】
本発明の実施例2の分離型携帯機器40は、上記の実施例1の分離型携帯機器10と同様に、キーボード部11とディスプレイ部16が着脱自在に結合されている。また、キーボード部11はテンキー部12とQWERTYキー部15とからなり、テンキー部12とQWERTYキー部13とは図9(b)に示すようにスライド自在に結合されている。なお、テンキー部12にはカーソルキー13とテンキー14が設けられている。
【0050】
ディスプレイ部16は着脱ボタン17を押すことによって、図9(c)に示すように、ディスプレイ部16をキーボード部11から分離できる。QWERTYキー部15には、着脱ボタン17に接続する凸状係合部材(図示は省略)と係合する係合部18が設けられている。また、キーボード部11にはQWERTYキー部15まで貫通するカメラ収容部19が設けられており、ディスプレイ部16の裏面に取り付けられたカメラ(図示は省略)を収容する。
【0051】
また、後述するようにテンキー部12には、可動式結合機構50が面一の状態で内蔵されており、可動式結合機構50を構成するレバー52の一部がカメラ収容部19から覗いており、ここでレバー52を操作する。また、ディスプレイ部16には、可動式結合機構50と係合する結合機構接続部30が設けられている。
【0052】
この分離型携帯機器を分離後に再結合させる場合には、図10(a)に示すように、可動式結合機構50と係結合機構接続部30とを係合させる。次いで、フルキーボードスタイルで使用する場合には、図10(b)に示すように、QWERTYキー部15をスライドさせて、テンキー部12に設けたカーソルキー13とテンキー14とを露出させ、両手でキーを操作する。
【0053】
図11は、再結合動作を示す斜視図である。キーボード部11とディスプレイ部16とを再結合させる場合には、まず、図11(a)に示すように、可動式結合機構50を構成するL字状の可動結合プレート51をキーボード部11の側面から後述する押出機構によって押し出す。
【0054】
次いで、図11(b)に示すように、ディスプレイ部16に形成した結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート51の切り起こし部とを嵌め合わせることで再結合が完成する。なお、再結合した状態では、可動結合プレート51は、後述するように可動結合プレート51に結合されている引張バネ部材57により筐体側に引き戻されるので再結合状態が安定になる。なお、図11(c)は係合状態を理解しやすくした要部切断斜視図である。
【0055】
次に、図12乃至図16を参照して再結合動作を説明するが、図12及び図13は可動式結合機構及び結合機構接続部の説明図であり、図14は再結合動作における可動式結合機構の動作の説明図であり、図15はレバーの構成説明図である。図12(a)は収容状態の可動式結合機構20を示す斜視図であり、可動結合プレート51と、可動結合プレート51を筐体側面から押し出す押出機構からなる。この時、図14(a)に示すように可動結合プレート51は、テンキー部12の側面に設けられた収容凹部58に面一の状態で収容される。
【0056】
図14(a)に示すように、押出機構は、レバー52と、再結合時に可動結合プレート51を筐体側に引き戻す引張バネ部材57によって構成する。図15に示すように、レバー52は操作棹部53と先端の駆動部54からなり、接続ピン55により、接続ピン55を回転軸として、回動自在に結合されている。また、レバー52の駆動部54はレバー接続ピン56により可動結合プレート51に結合されている。
【0057】
また、図14(a)に示すように、引張バネ部材57は、一端が固定部材57によりレバー52の駆動部54に結合され、他端が固定部材57によりテンキー部12に固定されている。なお、レバー接続ピン56は、可動結合プレート51の中心線上または中心線から±5mm以内の近傍に配置するのが望ましい。
【0058】
図12(b)及び図14(b)に示すように、再結合時には、レバー52の操作棹部53を図において押し下げる。レバー52の駆動部54は接続ピン55を回転軸として回転レバー接続ピン56で結合された可動結合プレート51をテンキー部12の底板に設けられたガイド部59に沿って筐体の側面に対して垂直方向に押し出す。
【0059】
次いで、図13(a)及び図14(c)に示すように、ディスプレイ部16に形成した結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート51の切り起こし部とを嵌め合わせることで再結合が完成する。なお、再結合した状態では、可動結合プレート51は、可動結合プレート51に結合されている引張バネ部材57の引張力により筐体側に引き戻される。図13(b)は再結合状態を理解しやすくした要部切断斜視図である。
【0060】
図16は、再結合状態を示す断面図であり、図16(a)に示すように再結合させる場合には、可動結合プレート51を押し出した状態で、結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート51の切り起こし部とを位置合わせする。次いで、図16(b)に示すように、結合機構接続部30を構成する溝31とL字状の可動結合プレート51の切り起こし部とを嵌め合わせる。
【0061】
この状態でレバー52を放すと、図16(c)に示すように、引張バネ部材57の作用により、ディスプレイ部16は、可動結合プレート51とともに、筐体の側面に引き付けられて、溝31の掘り込み角度に応じた傾斜角で再結合する。
【0062】
この時、ディスプレイ部16の側面に設けられた小突起32が収容凹部58の上端部に嵌っているためディスプレイ部16が結合プレート51から上方へ抜けることはない。また、分離型携帯機器10全体を上下逆さまにしてもディスプレイ部16は落下しない。
【0063】
なお、再分離する場合には、再びレバー52を操作して可動結合プレート51を筐体の側面から押し出し、この状態でディスプレイ部16を可動結合プレート51から引き抜いて係合を解除すれば良い。
【0064】
このように、本発明の実施例2の分離型携帯機器は、実施例1の分離型携帯機器と同様に、ディスプレイ部16をキーボード部11に傾斜させて再結合できる。QWERTYキー操作時にディスプレイ部16とキーボード部11が一体化しているので情報機器としての操作性が向上する。また、横画面でワンセグ等の映像を視聴する場合には、ディスプレイ部11を傾斜した状態で机上等に安定に置くことができ、見易さも向上する。
【0065】
さらに、ディスプレイ部16を再結合した状態でQWERTYキー部15をスライドしてフルキーボード化した場合には、QWERTYキー部15のアルファベットキーに加えてテンキー部12のテンキー14とカーソルキー13も合わせて使用することができる。
それによって、QWERTYキー部15だけで文字入力する場合に比べて、文字入力操作が容易になる。
【0066】
なお、本発明の実施例2においては、可動結合プレート51をテンキー部12の底面に設けたガイド部59に沿って移動させているので、可動結合プレート51とガイド部59の側面が擦れる虞がある。
【0067】
ここで、実施例1及び実施例2を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1) キーボードユニットと、ディスプレイユニットと、前記キーボードユニットに内蔵された可動式結合機構と、前記ディスプレイユニットに設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部とを有することを特徴とする携帯機器。
(付記2) 前記可動式結合機構が、可動結合プレートと、一端が前記キーボードユニットに固定され且つ他端が前記可動結合プレートに結合されるとともに、互いに平行に配置された一対の平行リンク部材と、一方の前記平行リンク部材の前記キーボードユニットに対する固定部を回転軸として回動自在に前記一方の平行リンク部材と一体に構成されたレバーと、一端が前記キーボードユニットに固定されるとともに他端が前記可動結合プレートに結合されたバネ部材とを有することを特徴とする付記1に記載の携帯機器。
(付記3) 前記バネ部材が、前記一対の平行リンク部材の間に配置されたことを特徴とする付記2に記載の携帯機器。
(付記4) 前記可動式結合機構が、可動結合プレートと、前記キーボードユニットに固定された回転軸を有するとともに、前記可動結合プレートに対してレバー接続部材によって前記回転軸を中心に回動自在に結合されたレバーと、一端が前記レバーに結合され且つ他端が前記キーボードユニットに固定されたバネ部材とを有することを特徴とする付記1に記載の携帯機器。
(付記5) 前記レバー接続部材を前記可動結合プレートの中心線上または中心線から±5mm以内の近傍に配置することを特徴とする付記4に記載の携帯機器。
(付記6) 前記結合機構接続部が、前記可動式結合機構を構成する可動結合プレートに係合する溝を有することを特徴とする付記2乃至付記5のいずれか1に記載の携帯機器。
(付記7) 前記ディスプレイ部を、前記キーボード部に対して、0°〜90°のチルト角で結合されるように、前記可動結合プレートに係合する溝の傾斜角度を設定することを特徴とする付記6に記載の携帯機器。
(付記8) 前記キーボードユニットの側面に、前記可動式結合機構を構成する可動結合プレートを収容する窪み形状の結合プレート収納部を有することを特徴とする付記2乃至付記7のいずれか1に記載の携帯機器。
(付記9) 前記結合機構接続部が、前記結合プレート収納部と係合する突起を有することを特徴とする付記8に記載の携帯機器。
(付記10) 前記キーボードユニットが、テンキー部と文字キー部とからなり、前記文字キー部が前記テンキー部に摺動自在に結合されており、前記可動式結合機構が、前記テンキー部に内蔵されていることを特徴とする付記2乃至付記9のいずれか1に記載の携帯機器。
(付記11) 携帯機器の第1の筐体に内蔵された可動式結合機構と、前記第1の筐体に対して着脱自在に結合する第2の筐体に設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部とを有することを特徴とする携帯機器の係合機構。
【符号の説明】
【0068】
1 キーボードユニット
2 テンキー部
3 文字キー部
4 ディスプレイユニット
5 可動式結合機構
6 可動結合プレート
7 結合機構接続部
8 溝
9 係合部
10,40 分離型携帯機器
11 キーボード部
12 テンキー部
13 カーソルキー
14 テンキー
15 QWERTYキー部
16 ディスプレイ部
17 着脱ボタン
18 係合部
19 カメラ収容部
20,50 可動式結合機構
24,52 レバー
21,51 可動結合プレート
22,23 平行リンク部材
22,23,22,23,25,25,57,57 固定部材
25,57 引張バネ部材
26,58 収容凹部
30 結合機構接続部
31 溝
32 小突起
53 操作棹部
54 駆動部
55 接続ピン
56 レバー接続ピン
59 ガイド部
60 分離型携帯機器
61 キーボード部
62 テンキー部
63 QWERTYキー部
64 ディスプレイ部
65 着脱ボタン
66 係合部
67 カメラ収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードユニットと、
ディスプレイユニットと、
前記キーボードユニットに内蔵された可動式結合機構と、
前記ディスプレイユニットに設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部と
を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記可動式結合機構が、
可動結合プレートと、
一端が前記キーボードユニットに固定され且つ他端が前記可動結合プレートに結合されるとともに、互いに平行に配置された一対の平行リンク部材と、
一方の前記平行リンク部材の前記キーボードユニットに対する固定部を回転軸として回動自在に前記一方の平行リンク部材と一体に構成されたレバーと、
一端が前記キーボードユニットに固定されるとともに他端が前記可動プレートに結合されたバネ部材と
を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
前記可動式結合機構が、
可動結合プレートと、
前記キーボードユニットに固定された回転軸を有するとともに、前記可動結合プレートに対してレバー接続部材によって前記回転軸を中心に回動自在に結合されたレバーと、
一端が前記レバーに結合され且つ他端が前記キーボードユニットに固定されたバネ部材と
を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項4】
前記結合機構接続部が、前記可動式結合機構を構成する可動結合プレートに係合する溝を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の携帯機器。
【請求項5】
携帯機器の第1の筐体に内蔵された可動式結合機構と、
前記第1の筐体に対して着脱自在に結合する第2の筐体に設けられ、前記可動式結合機構に着脱自在に係合できる結合機構接続部と
を有することを特徴とする携帯機器の係合機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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