説明

携帯端末、その表示制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】ネットワークを通じた情報配信サービスの利用においても、携帯端末の電力消費を実効的に抑制できるようにする。
【解決手段】情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末であって、表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段と、携帯端末の電池残量を取得する取得手段と、取得手段で取得された電池残量と保持手段で保持された設定内容とに基づいて、バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御手段と、を有し、制御手段は、取得手段で取得された電池残量に応じて、情報配信サービスからの配信情報の表示部への表示を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、その表示制御方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に、消費電力の抑制に好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は多機能化しており、通話以外に、種々のアプリケーションが実行できるように構成されている。例えば、電子メール機能、ウエブ機能(インターネットに接続できる機能)、カメラ機能(デジタルカメラを内蔵して静止画を撮影できる機能)、動画機能(動画撮影ができる機能)、ダウンロードアプリ機能(アプリケーションをダウンロードして実行する機能)等を有するものがある。
【0003】
一方で、携帯電話機等の携帯端末においては、充電バッテリを用いて駆動されており、バッテリの消耗を少なくして使用時間の拡大を図る試みがなされている。
【0004】
例えば特許文献1では、バッテリ残量が少ない場合に、携帯用電子機器の駆動時間を重視して、バッテリから供給される電流を低減させるためにバックライトを消灯し、あるいはLCD(Liquid Crystal Display)や操作キーの照明を暗くするように制御するバッテリ搭載型携帯用電子機器が開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、バックライトの省電力化を図りつつ視認性の低下を防ぐものとして、入力されたコンテンツデータの文字色と背景色のコントラスト値がコントラスト基準値となるように文字色と背景色の明度を調節し、バックライトの輝度レベルを設定する制御を行うコントラスト制御方式が開示されている。
【0006】
また、例えば特許文献3では、LCDの見栄えを良好に保ったまま省電力を図るものとして、省電力モードにおいて、バックライトの輝度を通常レベルよりも低く設定すると同時に、液晶パネルのゲインを通常レベルよりも高く設定するように制御する再生表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−195990号公報
【特許文献2】特開2004−4372号公報
【特許文献3】特開2008−287175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、最近の情報処理技術や通信技術の発展に伴って、携帯電話機等の携帯端末は、ユーザがインターネット等のネットワークを介して接続した情報配信サーバやウエブサイトから種々のサービスを受けたり、様々な情報を取得したりすることができる。このような情報配信サービスでは、様々な情報が定期的に配信され、テロップやポップアップにて表示部に表示されることもある。このため、表示部における電力消費箇所が増え、全体として省電力が働きにくくなる。
【0009】
上述した特許文献1から3の技術は、確かに携帯端末の消費電力の抑制を図るものではあるが、端末単体での使用を前提としており、上記のようなネットワークを通じた情報配信サービスの利用において実効的な消費電力の抑制は困難である。
【0010】
そこで、本発明は、ネットワークを通じた情報配信サービスの利用においても、携帯端末の電力消費を実効的に抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯端末は、情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末であって、表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段と、携帯端末の電池残量を取得する取得手段と、取得手段で取得された電池残量と保持手段で保持された設定内容とに基づいて、バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御手段と、を有し、制御手段は、取得手段で取得された電池残量に応じて、情報配信サービスからの配信情報の表示部への表示を中止する。
【0012】
本発明の携帯端末の表示制御方法は、情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末の表示制御方法であって、携帯端末は、表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段を備え、携帯端末の電池残量を取得する取得ステップと、取得ステップで取得された電池残量と保持手段で保持された設定内容とに基づいて、バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御ステップと、を有し、制御ステップは、取得ステップで取得された電池残量に応じて、情報配信サービスからの配信情報の表示部への表示を中止する。
【0013】
本発明のプログラムは、情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末に用いられるプログラムであって、携帯端末は、表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段を備え、コンピュータに、携帯端末の電池残量を取得する取得処理と、取得処理で取得された電池残量と保持手段で保持された設定内容とに基づいて、バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御処理と、を実行させ、制御処理は、取得処理で取得された電池残量に応じて、情報配信サービスからの配信情報の表示部への表示を中止する。
【0014】
本発明の記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネットワークを通じた情報配信サービスの利用においても、携帯端末の電力消費を実効的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における表示制御処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における表示制御パラメータの例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯電話機を利用した情報配信サービスを説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態における表示制御処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明の第1の実施形態として携帯電話機の構成を示したブロック図である。本実施形態の携帯電話機100は、無線部10、制御部20、操作部30、表示部40、メモリ50、電池60を有する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21及び電池レベル制御部22を備える。操作部30は操作部用バックライト31を、表示部40は表示部用バックライト41をそれぞれ備える。
【0018】
制御部20のCPU21は、携帯電話機100を制御する。また、制御部20の電池レベル制御部22は、電池60の電圧値から電池レベルをA/D(Analog to Digital)変換することで電池レベル残量を算出する。メモリ50は、任意に書込み/読出しが可能なRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成され、携帯電話機100を動作させるための各種プログラムや、ユーザのID情報、電話帳データ、着信音等を記憶している他、電池残量レベル等のデータを記憶している。
【0019】
操作部30は、ユーザ操作により、文字等の入力や項目の選択といった各種操作を行う。表示部40は、液晶表示装置や表示部用バックライト41等で構成され、制御部20の制御により、各種表示を行う。無線部10は、制御部20の制御により、通話や電子メールの送受信などの動作を行う。
【0020】
図2は、本実施形態における表示制御処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部20のCPU21は、電池レベル制御部22の算出した電池レベル残量から、電池残量の閾値レベルが変化したことを検出する(ステップS201)。電池残量の閾値は携帯電話機ごとにあらかじめ定められているデータで、本実施形態では、図3(a)に示すように3段階の閾値レベルで設定されている。
【0021】
次いで、制御部20のCPU21は、携帯電話機100において自動省電力設定がなされているか判定する(ステップS202)。そして、自動省電力設定がなされている場合(ステップS202/YES)、制御部20のCPU21は、表示部40に対して、表示部用バックライト41の輝度レベルを下げる省電力設定を行う(ステップS203)。また同様に、制御部20のCPU21は、操作部部30に対して、操作部用バックライト31の輝度レベルを下げる省電力設定を行う(ステップS204)。
【0022】
自動省電力設定は、電池残量に応じて表示部や操作部のバックライトの輝度設定を自動的に変更する機能の設定で、自動省電力機能は、本実施形態において、図3(a)に示すような、電池残量レベルと輝度レベルとの対応テーブルからなるバックライト輝度設定に基づいて実現される。
【0023】
例えば、電池残量がレベル3からレベル2に変化した場合、表示部40に対して、表示部用バックライト41の輝度レベルをレベル3に設定するとともに、操作部30に対して、操作部用バックライト31の輝度レベルをレベル3に設定する。これにより、携帯電話機の省電力(電力消費の抑制)を実現する。
【0024】
なお、図3(a)に示したバックライト輝度設定は、一例であって、電池残量に合わせた各バックライトの設定はユーザにより任意に設定可能である。図3(b)にバックライト輝度設定の可能範囲の例を示す。
【0025】
フローに戻って説明すると、自動省電力設定がなされていない場合(ステップS202/NO)、制御部20のCPU21は、自動省電力設定でない通常の設定に従って、表示部や操作部のバックライトを点灯させる(ステップS205)。
【0026】
従来は、周辺照度などに応じて表示部や操作部の輝度を変更することで省電力設定を実施することはあったが、本実施形態では、電池残量レベルに応じて省電力設定を実施することができるため、電池の残量が少なくなってしまったときに、さらに省電力化にすることで使用時間を長くすることが可能となる。
【0027】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態では、図4の示すような情報配信サービスの利用中において、携帯端末の電力消費を実効的に抑制可能な表示制御を行うものである。本実施形態の携帯電話機は、図1に示す実施形態1と同様の構成を有する。
【0028】
図4(a)に示すように、通信事業者等が提供している自動情報配信サービスを利用中は、登録している地域情報に応じた様々な情報が定期的に配信される。その際、配信情報を定期的に無線部10にて受信し、かつ図4(b)のように配信情報をテロップやポップアップで表示部40に表示しているため、電力消費箇所が増えてくる。そこで、本実施形態では、電池残量に応じて配信情報の画面表示を一時的に停止し、携帯電話機の電力消費を実効的に抑制する。
【0029】
図5は、本実施形態における表示制御処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部20のCPU21は、電池レベル制御部22の算出した電池レベル残量から、電池残量の閾値レベルが変化したことを検出する(ステップS501)。電池残量の閾値は携帯電話機ごとにあらかじめ定められているデータで、実施形態1と同様に3段階の閾値レベルで設定されている(図3)。
【0030】
次いで、制御部20のCPU21は、携帯電話機100において自動省電力設定がなされているか判定する(ステップS502)。そして、自動省電力設定がなされている場合(ステップS502/YES)、制御部20のCPU21は、情報配信サービスを利用中か判定し(ステップS503)、情報配信サービスが利用中の場合(ステップS503/YES)には、配信情報の画面表示を一時的に停止する処理を行う(ステップS504)。
【0031】
そして、配信情報の一時停止後、制御部20のCPU21は、電池レベル制御部22から充電による電池レベル残量の増加を検出すると(ステップS505)、表示分40に対して、配信情報の画面表示を再開する処理を行う(ステップS506)。
【0032】
他方、自動省電力設定がなされていない場合(ステップS502/NO)や、情報配信サービスが利用中でない場合(ステップS503/NO)には、通常の設定に従って表示部40の画面表示を行う。
【0033】
従来、情報配信サービス利用時において、電池残量が残り少なくなっているときに情報配信頻度が多い機会に遭遇してしまうと、電池消費が増大して電池が減ってしまうということがあったが、本実施形態では、電池残量に応じて一時的に情報表示を停止することで、実効的に電力消費を抑えることが可能となる。
【0034】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。すなわち、本発明が適用される携帯端末は、上記実施形態の携帯電話機のほか、PDA(Personal Digital Assistant)やPC(Personal Computer)といった携帯性のある小型端末であってもよい。
【0035】
また、本実施形態における携帯電話機で実行されるプログラムは、先に述べた各手段(取得手段、制御手段)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウエアを用いて具体的手段を実現する。すなわち、コンピュータ(CPU)が所定の記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段が主記憶装置上にロードされて生成される。
【0036】
本実施形態における携帯電話機で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供あるいは配布するように構成してもよい。
【0037】
また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD、不揮発性のメモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムは、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。
【0038】
この場合、上記記録媒体から読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【符号の説明】
【0039】
10 無線部
20 制御部
21 CPU
22 電池レベル制御部
30 操作部
31 操作部用バックライト
40 表示部
41 表示部用バックライト
50 メモリ
60 電池
100 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末であって、
前記表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する前記携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段と、
前記携帯端末の電池残量を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された電池残量と前記保持手段で保持された設定内容とに基づいて、前記バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記取得手段で取得された電池残量に応じて、前記情報配信サービスからの配信情報の前記表示部への表示を中止することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記携帯端末の充電開始が検出された場合に、中止されている前記表示部への前記配信情報の表示を再開することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記取得手段で取得された電池残量が所定の値になった場合に、前記省電力設定が行われているかを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記取得手段で取得された電池残量が所定の値になり、前記省電力設定が行われている場合に、前記携帯端末が前記情報配信サービスを利用中か判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記取得手段で取得された電池残量が所定の値になり、前記省電力設定が行われており、前記携帯端末が前記情報配信サービスを利用中である場合に、前記表示部への前記配信情報の表示を中止することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末の表示制御方法であって、
前記携帯端末は、前記表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する前記携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段を備え、
前記携帯端末の電池残量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された電池残量と前記保持手段で保持された設定内容とに基づいて、前記バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップは、前記取得ステップで取得された電池残量に応じて、前記情報配信サービスからの配信情報の前記表示部への表示を中止することを特徴とする携帯端末の表示制御方法。
【請求項7】
情報配信サービスから配信情報を取得して表示部に表示する携帯端末に用いられるプログラムであって、
前記携帯端末は、前記表示部及び操作部を照明するバックライトの輝度と該輝度に対応する前記携帯端末の電池残量とを設定内容として保持する保持手段を備え、
コンピュータに、
前記携帯端末の電池残量を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得された電池残量と前記保持手段で保持された設定内容とに基づいて、前記バックライトの輝度を設定する省電力設定を行う制御処理と、
を実行させ、
前記制御処理は、前記取得処理で取得された電池残量に応じて、前記情報配信サービスからの配信情報の前記表示部への表示を中止することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−272938(P2010−272938A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120847(P2009−120847)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】