説明

携帯端末制御システム、制御装置及び制御方法並びに乗物

【課題】乗物内の携帯端末の動作制限を適切に行うことで、運転の安全性と携帯端末本来の利便性を確保すること。
【解決手段】携帯端末制御システムは、運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する携帯端末制御部と、乗物の周辺環境が撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定部と、を備え、携帯端末制御部は、乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、判定部により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、携帯端末の動作制限を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末制御システム、制御装置及び制御方法並びに乗物に関し、特に、自動車等の乗物の運転者が有する携帯端末の動作制限を行うための携帯端末制御システム、制御装置及び制御方法並びに乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の普及に伴い、自動車運転中の携帯端末操作による集中力の散漫が原因の自動車事故が増加している。これを対処すべく、自動車走行中において、自動車の速度を検知し、運転者による携帯端末の操作を制御する技術が、例えば、以下の特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1には、走行中の車両内での運転者の通話を制限するための車両内電話装置向送信装置及び車両内電話装置に関する技術が開示されている。特許文献1にかかる装置は、車両内電話装置向送信装置が車両の走行状態を検知すると、運転席近傍へ車両内電話装置の動作状態を制御する制御信号を無線で発信する。この信号を受信した運転者の車両内電話装置は、その呼状態が制限される。
【0004】
特許文献2には、自動車運転中での携帯端末の使用を制限するための携帯端末制御システム及び携帯端末制御方法に関する技術が開示されている。特許文献2に係る技術は、自動車内に搭載されている検出送信部が有する運転状態検出部が自動車の運転状態を検出すると、同様に前記検出送信部が有する制御情報送信部が制御信号を送信し、これを受けた運転者の携帯端末はディスプレイと送受信部のうち少なくとも一方の機能が制限される。この制御信号の無線通信は、電波の他、IC(Integrated Circuit)タグを用いたRFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信、等が利用される。また、運転者による携帯端末の使用の検知には、カメラによって取得した画像の画像認識技術も利用されている。
【0005】
特許文献3には、高速移動時における携帯電話の使用制限を行うための端末装置及び通信制御システムに関する技術が開示されている。特許文献3に係る技術は、電車、自動車及びその他の交通機関において、携帯電話のGPS(Global Positioning System)機能による位置差分情報を利用して前記交通機関が高速移動中かどうかを検出し、高速移動中であればこの携帯電話の使用を制限する。尚、この制限は、電車の座席とデッキ、また、自動車の運転席と同乗者席でそれぞれ異なる。また、前記交通機関が実際に停止しているのか又は一時停止中であるのかを、この携帯電話の停止前過去5分間移動速度が"0"であるか否かで検知し、一時停止中であれば、前記制限を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−200961号公報
【特許文献2】特開2005−236655号公報
【特許文献3】特開2004−242174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1〜3では、運転者が運転する自動車等の乗物が安全な場所に停止しているか又は単に路上等で一時停止中であるかの判定が不十分であるという問題点がある。その理由は、自動車の速度を検知して、検知されたことをトリガーとして携帯端末の動作を制御しているためである。これにより、本来、携帯端末の動作を解除してはならないケースに解除されてしまう恐れがある。これにより安全性が欠如する。また、逆に、必要以上に携帯端末の動作が制限されるケースがある。これにより携帯端末の本来の利便性が欠如する。以下、これらについて説明する。
【0008】
まず、自動車の速度が"0"だからといって、安全な場所に停止しているとは限らない。例えば、自動車が信号待ち、踏み切り待ち又は渋滞等のために一時的に停止した状態の場合、速度が"0"となる。しかし、この状態は運転中に当たるため、携帯端末の動作制限を解除することは好ましくない。例えば、特許文献1及び2の場合、車両等が走行中のときのみ制限されるため、車両等が一時停止している場合には携帯端末の動作が制限されない。つまり、一時停止の場合、携帯端末の操作が可能となってしまう。よって、このような場合に携帯端末を操作してしまうことで、集中力を欠いてしまい、安全性を欠くおそれがある。
【0009】
また、特許文献3では、交通機関の一時停止の検知方法が、速度"0"を検出してから5分経過してからでないと携帯端末の動作制限が解除されない。そのため、道路の路肩など、停止可能な場所に自動車を停止させた場合には、速度"0"であるが、停止直後には携帯端末を使用することができない。つまり、過剰に携帯端末の動作制限がかかるため、利便性が劣ってしまう。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、乗物内の携帯端末の動作制限を適切に行うことで、運転の安全性と携帯端末本来の利便性を確保するための携帯端末制御システム、制御装置及び制御方法並びに乗物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様にかかる携帯端末制御システムは、
運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する携帯端末制御部と、
前記乗物の周辺環境が撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記携帯端末制御部は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定部により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる携帯端末制御装置は、
運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する制御部と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部から出力された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様にかかる携帯端末制御方法は、
運転席からの指示に応じて走行する乗物に搭載された制御装置と撮影装置とを用いて、当該乗物内の携帯端末を制御する携帯端末制御方法であって、
前記制御装置が、前記乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定し、
前記撮影装置が、前記乗物の周辺環境を撮影し、
前記制御装置が、
前記撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様にかかる乗物は、
内部の運転席からの指示に応じて走行する乗物であって、
前記乗物の走行時に、前記運転席付近の携帯端末の動作制限を行う携帯端末制御装置と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影装置と、
前記撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定装置と、を備え、
前記携帯端末制御装置は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定装置により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、乗物内の携帯端末の動作制限を適切に行うことで、運転の安全性と携帯端末本来の利便性を確保するための携帯端末制御システム、制御装置及び制御方法並びに乗物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる携帯端末制御システムを含む乗物の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる携帯端末制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御システムを搭載した自動車の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる自動車における道路上の走行時と停止時の概念を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる撮影画像から停止不可能と判定する場合の例を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる撮影画像から停止可能と判定する場合の例を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる車体位置判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御信号発生処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0018】
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる携帯端末制御システム12を含む乗物1の構成を示すブロック図である。乗物1は、運転席11からの指示に応じて走行するものである。乗物1とは、例えば、自動車、バイク、船、列車、飛行機、宇宙船等の運転者により操縦される移動体である。つまり、乗物1は、運転者を含む乗員を移動させるための装置である。乗物1は、運転者(不図示)が乗物1を運転する場所である運転席11と、携帯端末制御システム12とを少なくとも備える。また、本実施の形態1にかかる運転者は、乗物1に乗る際に、携帯端末111を所持しており、運転時には携帯端末111が運転席11付近に存在するものとする。携帯端末111は、乗物1とは異なる電子的な端末装置であり、無線通信機能を備えるものとする。携帯端末111は、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等である。
【0019】
携帯端末制御システム12は、携帯端末111の機能や動作の制限を設定及び解除するための情報システムである。携帯端末制御システム12は、乗物1の走行状態と周辺環境の撮影画像2とに応じて携帯端末111の動作制限の設定及び解除を行う。携帯端末制御システム12は、単一の電子機器であってもよいし、複数の電子機器により構成されていてもよい。
【0020】
携帯端末制御システム12は、少なくとも携帯端末制御部121と、判定部122とを備える。携帯端末制御部121は、乗物1の走行時に、運転席11付近の携帯端末111の動作制限を設定する。判定部122は、乗物1の周辺環境が撮影された撮影画像2に基づき、乗物1が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する。そして、携帯端末制御部121は、乗物1が走行を停止したことを検出し、かつ、判定部122により乗物1が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、携帯端末111の動作制限を解除する。ここで、停止可能な位置とは、例えば、自動車であれば、道路の路肩付近や駐車可能エリア等である。
【0021】
尚、図1の携帯端末制御システム12は、携帯端末制御部121に対応する携帯端末制御装置と、判定部122に対応する判定装置と、により実現しても構わない。また、乗物1は、カメラ等の撮影装置(不図示)を備えていてもよい。そして、当該撮影装置が乗物1の周辺環境を撮影し、撮影画像2として判定部122へ出力するようにしてもよい。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる携帯端末制御処理の流れを示すフローチャートである。まず、携帯端末制御部121は、乗物1の走行時に、運転席11付近の携帯端末111の動作制限を設定する(ステップS11)。次に、携帯端末制御システム12は、周辺環境を撮影する(ステップS12)。例えば、上述した撮影装置が撮影画像2を撮影し、判定部122へ出力する。
【0023】
ここで、携帯端末制御部121は、乗物1が走行を停止したか否かを判定する(ステップS13)。例えば、携帯端末制御部121は、乗物1の速度を監視し、速度が"0"となったか否かを判定する。ステップS13において乗物1が走行を停止したと判定した場合、判定部122は、乗物1が停止可能な位置に存在するか否かを判定する(ステップS14)。このとき、判定部122は、撮影画像2を解析し、撮影画像2内の周辺環境の形状等に基づき、乗物1が停止可能な位置に存在するか否かを判定する。尚、ステップS13及びS14の順序は、逆であっても、並列したものであってもよい。
【0024】
ステップS14において乗物1が停止可能な位置に存在すると判定した場合、携帯端末制御部121は、携帯端末111の動作制限を解除する(ステップS15)。
【0025】
以上のことから本実施の形態1では、周辺環境が撮影された撮影画像2から解析される情報に基づいて乗物1が停止可能な位置に存在するか否かを判定する。例えば、自動車が信号待ち等で一時停止している場合については、速度が0であっても停止可能な位置とは判定されない。そのため、この場合には、携帯端末111の動作制限を解除することがなく、運転の安全性を確保できる。また、路肩付近など自動車が停止可能な場所において停止、すなわち速度を0とした場合には、特許文献3と異なり、停止可能な位置と判定される。そのため、特許文献3と異なり、即座に携帯端末111の動作制限を解除することができ、携帯端末本来の利便性を確保することができる。
【0026】
つまり、乗物1内の携帯端末111の動作制限の設定及び解除を行う際に、乗物1の走行状態のみならず、撮影画像2を用いて停止位置の適切さを考慮することにより、乗物1が停止しているか否かの判定精度を高めることができる。よって、本実施の形態1では、動作制限の設定及び解除を適切に行うことで、運転の安全性と携帯端末本来の利便性を確保することができる。
【0027】
<発明の実施の形態2>
図3は、本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御システム4を搭載した自動車3の構成を示すブロック図である。自動車3は、一般的な自動車の機能に加え、携帯端末制御システム4と、携帯端末5とを備える。携帯端末制御システム4は、携帯端末制御信号発生装置41と、車体位置判定装置42とを備える。車体位置判定装置42は、自動車3の中心線上に設置され、携帯端末制御信号発生装置41とケーブルで接続されている。
【0028】
携帯端末制御信号発生装置41は、自動車3が走行中か否か、すなわち速度を持っているか否かを検出し、これに応じて携帯端末5の動作を制限する制御信号を運転席及びその近傍のみに指向性を持たせて発信する。尚、自動車の速度を検出して携帯端末5の動作を制限する信号発生装置は、公知のものであるため、詳細な説明を省略する。携帯端末制御信号発生装置41は、例えば、自動車3の運転席の真上の天井に設置されている。
【0029】
車体位置判定装置42は、自動車3の前方の周辺環境を撮影し、撮影画像から自動車3の停止可能エリアを検出する。ここで、停止可能エリアとは、道路における路側帯、路肩等や駐車エリア等を指す。また、走行エリアとは、例えば、道路内の走行車線等を指す。言い換えると、停止可能エリアとは、道路内の走行エリア以外の領域といえる。また、撮影画像は、走行エリアと停止可能エリアを含む道路並びに歩道及び自動車3の一部を含む画像である。
【0030】
そして、車体位置判定装置42は、当該停止可能エリアと自動車3との位置関係に応じて、自動車3が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する。そして、車体位置判定装置42は、判定結果を停止可否情報として携帯端末制御信号発生装置41へ送信する。
【0031】
また、車体位置判定装置42は、停止可能エリアのうち自動車3の走行エリアから最も遠い箇所と、撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、自動車3が停止可能な位置に存在していると判定する。走行エリアから最も遠い箇所とは、例えば、停止可能エリアの左側の境界であるとよい。撮影画像内の特定箇所とは、例えば、撮影画像に映る自動車3の左先端部分であるか、撮影画像の中心点等であるとよい。尚、停止可能エリアが車幅より狭い場合には、車幅の全てが停止可能エリア内に入ることができない。しかし、停止可能エリアの左端から所定距離であれば、停止可能な場合もある。そのため、上述した距離を用いることで、停止可能エリアの幅に限らず、停止位置が適切かの判定が可能となる。
【0032】
また、携帯端末制御信号発生装置41は、車体位置判定装置42から受信した停止可否情報に応じて、運転席及びその近傍へ同心円状に、携帯端末5の動作制限を設定及び解除するための制御信号を送信する。携帯端末5は、運転席にいる運転者により所持されているため、当該制御信号により動作制限の制御を行うことができる。尚、携帯端末5は、上述した携帯端末111と同等のものであればよい。
【0033】
図4は、本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御システム4の構成を示すブロック図である。携帯端末制御信号発生装置41は、速度検出部411と、制御信号送信制御部412と、制御信号送信部413と、停止可否情報受信部414と、停止可否情報記憶部415と、制御信号送信アンテナ416とを備える。速度検出部411は、速度センサー等により自動車の速度の有無を検出する。
【0034】
制御信号送信制御部412は、速度検出部411が速度を検出した場合、後述の制御信号送信部413へ携帯端末5の動作の制限を設定させる制御信号(制御設定信号)の発信を指示する。また、制御信号送信制御部412は、速度検出部411が自動車の停止(速度0)を検出したときに、後述の停止可否情報記憶部415から停止可否情報を取得し、停止可否情報が停止可能を示す場合、制御信号送信部413へ携帯端末5の動作の制限を解除させる制御信号(制御解除信号)の発信を指示する。停止可否情報が停止可能を示す場合とは、例えば、路側帯や駐車スペース等の自動車を停止させることができる場所に自動車が位置している場合である。一方、停止可否情報が停止不可能を示す場合とは、自動車の停止が信号待ちや踏み切り待ち、渋滞等による一時的な停止である場合である。
【0035】
制御信号送信部413は、制御信号送信制御部412から携帯端末5への制御信号の発信指示を受け、処理した制御信号を制御信号送信アンテナ416へ送る。制御信号送信アンテナ416は、この制御信号を運転席及びその近傍へ発信する。停止可否情報受信部414は、後述する車体位置判定装置42の停止可否情報送信部424から停止可否情報を受信した場合に、停止可否情報記憶部415へ格納する。停止可否情報記憶部415は、揮発性又は不揮発性の記憶装置であり、停止可否情報を保存することができる。そして、停止可否情報記憶部415は、制御信号送信制御部412からの指示によりこの情報を出力する。
【0036】
車体位置判定装置42は、カメラ421と、画像識別部422と、停止可否判定部423と、停止可否情報送信部424とを備える。カメラ421は、自動車前方の停止可能エリアを監視し、撮影画像として取得する。画像識別部422は、カメラ421により取得された画像データを解析し、停止可能エリアを検出し、停止可否判定部423へ出力する。尚、画像識別部422は、例えば、撮影画像から道路のラインの形状や、道路標識、道路と歩道の境界、歩道の手すり又はフェンスや路肩等の形状等を検出することにより、停止可能エリアを検出することが可能である。または、画像識別部422は、撮影画像から道路の走行車線のライン等から走行エリアを検出し、走行エリアから左側かつ歩道でない領域を停止可能エリアとして検出してもよい。但し、画像識別部422による停止可能エリアの検出処理は、一般的な画像認識技術を用いても構わない。
【0037】
停止可否判定部423は、停止可能エリアに基づいて、自動車が走行車線を外れて停止可能エリアの左側の境界にどれだけ寄ったかを識別する。例えば、停止可否判定部423は、撮影画像内の停止可能エリアの左側の境界の一点と、撮影画像内の中心点から自動車3の車幅の半分の距離の一点との距離を算出する。そして、停止可否判定部423は、算出した距離が規定値以下になっているか否かを判定する。そして、停止可否判定部423は、判定結果に応じて、停止可否情報を停止可能又は停止不可能を示す値に更新する。停止可否情報とは、例えば、"0"又は"1"の二値のいずれかにより表現される値であってもよい。
【0038】
尚、車体位置判定装置42は、内部に記憶部(不図示)を有し、停止可否判定部423は、更新した停止可否情報を当該記憶部に格納する。そして、停止可否情報送信部424は、記憶部に格納された停止可否情報が更新された場合、当該停止可否情報を携帯端末制御信号発生装置41の停止可否情報受信部414へ送信する。
【0039】
図5は、本発明の実施の形態2にかかる携帯端末5の構成を示すブロック図である。携帯端末5は、本実施の形態2にかかる自動車3の運転席付近に配置されているものとする。例えば、運転席に座っている運転者が所持している携帯電話等である。携帯端末5は、表示部51と、操作部52と、制御信号受信アンテナ53と、制御信号受信部54と、携帯端末動作制御部55と、電源部56と、携帯端末データ記憶部57とを備える。
【0040】
電源部56は、携帯端末5の各構成要素へ電力を供給する。これにより、各構成要素が動作する。携帯端末データ記憶部57は、プログラムデータや画像データ等が保存された揮発性又は不揮発性の記憶装置である。携帯端末動作制御部55は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置であり、演算処理及び各構成要素の制御処理を実行する。表示部51は、携帯端末動作制御部55により処理されたプログラムデータや画像データを出力する表示装置である。操作部52は、操作者からの入力を受け付け、携帯端末動作制御部55へ出力する。携帯端末動作制御部55は、例えば、操作部52から入力された情報をもとに、携帯端末データ記憶部57に対してデータの書き込みや読み出しを実施する。また、携帯端末動作制御部55は、そのデータを演算し、結果を表示部51へ表示させる。
【0041】
制御信号受信アンテナ53は、携帯端末制御信号発生装置41の制御信号送信アンテナ416から送信された携帯端末5の制御信号を受信し、これを制御信号受信部54へ出力する。制御信号受信部54は、制御信号受信アンテナ53から制御信号を受け取り、処理した制御信号を携帯端末動作制御部55へ出力する。携帯端末動作制御部55は、制御信号受信部54から受け付けた制御信号に応じて各構成要素の動作を制御する。例えば、携帯端末動作制御部55は、制御信号が動作制限の設定を示す制御設定信号である場合、操作部52の機能を停止して、操作者からの操作を受け付けないようにする。また、携帯端末動作制御部55は、制御信号が動作制限の解除を示す制御解除信号である場合、上述した操作部52の機能を元に戻す。
【0042】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる自動車における道路上の走行時と停止時の概念を説明するための図である。まず、道路A0は、停止可能エリアA1と、走行エリアA2とが定められているものとする。停止可能エリアA1と走行エリアA2の境界は、例えば、道路上のライン等で一般的な画像認識手法により認識可能であるものとする。同様に、停止可能エリアA1と道路A0外(例えば、歩道)との境界についても、路肩の形状等で一般的な画像認識手法により認識可能であるものとする。
【0043】
ここで、自動車3aは、走行エリアA2上を走行していることを示す。仮に、自動車3aの位置にて自動車3aが走行を一時停止した場合、この位置からカメラ421により自動車3aの前方の周辺環境を撮影することとなる。
【0044】
図7は、自動車3aの位置で撮影された撮影画像について、横軸方向の一ラインのみを模式的に表現した図である。そして、図7は、停止不可能と判定する場合の例を説明するための図である。当該撮影画像は、全体の幅が撮影画像幅LIの長さとなる。そして、中点Pは、当該撮影画像の中心である。つまり、撮影画像内のカメラ421の位置を示す。そして、ここでは、カメラ421(車体位置判定装置42)が自動車3aの中心線上に設置されているため、車幅LC1は、中点Pから等幅である。そのため、カメラ421(車体位置判定装置42)が自動車3a内で固定されている場合、撮影画像内の車幅LC1の位置関係は、固定したものとする。または、撮影画像内の車幅LC1の位置関係は、撮影画像内に映る自動車3aの先端の形状等により容易に識別できる。
【0045】
このとき、画像識別部422は、撮影画像を解析して、停止可能エリア幅LA1及び走行エリア幅LA2を検出する。画像識別部422は、停止可能エリア幅LA1及び走行エリア幅LA2を、上述した通り各種画像認識手法を用いて検出可能である。自動車3aは、道路A0内の走行エリアA2の範囲内に位置しているため、撮影画像においても、車幅LC1が走行エリア幅LA2の範囲内であることとなる。そして、停止可否判定部423は、停止可能エリア幅LA1の歩道側の末端の点と、車幅LC1の左側の点との距離Laを算出する。尚、距離Laは、当該末端の点と、中点Pやその他、撮影画像内の任意の一点との距離であってもよい。
【0046】
そして、停止可否判定部423は、距離Laが所定値以下であるか否かを判定する。所定値は、例えば、停止可能エリア幅LA1の半分以下であり、停止可能エリアA1に自動車が停止したときに十分に幅寄せされたと認識される程度が望ましい。例えば、所定値は、50cmである。ここでは、距離Laは、停止可能エリア幅LA1より長いため、停止可否判定部423は、停止不可能と判定する。
【0047】
また、末端の点を用いることの理由は以下の通りである。停止可能エリア幅LA1が車幅LC1より十分に長い場合には、単に、車幅LC1が停止可能エリア幅LA1内に位置するか否かの判定で十分である。しかし、一般に、道路上の停止可能エリアは、走行車線である走行エリアに比べて狭く、乗用車の車幅よりも狭いことが多い。そこで、末端の点を用いることで、停止可能エリア幅LA1の長さに関わらず、妥当な判定が可能となる。
【0048】
図6に戻り説明する。自動車3bは、走行エリアA2上から停止可能エリアA1へ向けて移動し、停止したことを示す。そして、この位置からカメラ421により自動車3bの前方の周辺環境を撮影することとなる。
【0049】
図8は、自動車3bの位置で撮影された撮影画像について、横軸方向の一ラインのみを模式的に表現した図である。そして、図8は、停止可能と判定する場合の例を説明するための図である。当該撮影画像は、図7と同様に、全体の幅が撮影画像幅LIの長さとなり、中点Pは、当該撮影画像の中心であり、カメラ421(車体位置判定装置42)の位置を示す。そのため、中点Pから車幅LC1が定まる。つまり、図7と図8において、中点Pと車幅LC1の位置関係は同じとなる。
【0050】
しかし、停止可能エリア幅LA1と走行エリア幅LA2については、自動車3b上からの撮影画像では、全体的に右寄りとなる。つまり、車幅LC1の一部、あるいは全部は、停止可能エリア幅LA1内となる。ここで、停止可否判定部423は、停止可能エリア幅LA1の歩道側の末端の点と、車幅LC1の左側の点との距離Lbを算出する。このとき、距離Lbが所定値より短い場合、停止可否判定部423は、停止可能と判定する。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態2にかかる車体位置判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、カメラ421は、周辺環境を撮影する(ステップS21)。次に、画像識別部422は、撮影画像から停止可能エリアを検出する(ステップS22)。
【0052】
そして、停止可否判定部423は、上述したように停止可能か否かを判定する(ステップS23)。例えば、算出された距離が50cm以下か否かを判定する。停止可能と判定した場合、停止可否判定部423は、停止可否情報が停止不可能であったならば、これを停止可能として更新する(ステップS24)。また、停止不可能と判定した場合、停止可否判定部423は、停止可否情報が停止可能であったならば、これを停止不可能として更新する(ステップS25)。その後、停止可否情報送信部424は、記憶部から停止可否情報を読み出して、停止可否情報を停止可否情報受信部414へ送信する(ステップS26)。これに伴い、停止可否情報受信部414は、停止可否情報を受信し、停止可否情報記憶部415に格納する。
【0053】
尚、カメラ421は、自動車3の速度に関わらず、定期的にステップS21を実行してもよい。または、別途、携帯端末制御信号発生装置41から速度が0となった旨の通知を受信した場合に、ステップS21〜S26の処理をおこなってもよい。
【0054】
図10は、本発明の実施の形態2にかかる携帯端末制御信号発生処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、速度検出部411は、自動車3の速度を検出する(ステップS31)。次に、制御信号送信制御部412は、検出した速度が"0"であるか否かを判定する(ステップS32)。検出した速度が"0"でないと判定した場合、つまり、自動車3が走行中である場合、制御信号送信部413は、携帯端末5の動作制限を設定するための制御設定信号を送信する(ステップS33)。尚、既に制御設定信号を送信済みの場合は、送信しなくてもよい。
【0055】
ステップS32において、検出した速度が"0"であると判定した場合、制御信号送信制御部412は、停止可否情報記憶部415に格納された停止可否情報を参照する(ステップS34)。そして、制御信号送信制御部412は、停止可否を判定する(ステップS35)。停止可否情報が停止可能を示す場合、制御信号送信部413は、携帯端末5の動作制限を解除するための制御解除信号を送信する(ステップS36)。一方、停止可否情報が停止不可能を示す場合、処理をしない。この場合は、既に一旦、携帯端末5の動作制限が設定済みであるためである。尚、制御信号送信部413は、制御設定信号を送信しても構わない。
【0056】
ここでは、携帯端末制御信号発生装置41の速度検出部411と車体位置判定装置42のカメラ421とは、それぞれ並行して動作しているものとする。この場合、カメラ421は、定期的に撮影画像を取得し、都度、停止可否情報を携帯端末制御信号発生装置41へ送信することとなる。しかし、携帯端末制御信号発生装置41は、速度が0の時に停止可否情報を確認するため、処理負荷を軽減することができる。
【0057】
さらに、制御信号送信制御部412は、速度が0でなければ、携帯端末5の制御設定信号を送信するため、停止不可能を示す停止可否情報は必須ではない。そのため、停止可否判定部423が、自動車3が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、車体位置判定装置42が携帯端末制御信号発生装置41へ当該判定結果を送信するようにしてもよい。これにより、車体位置判定装置42から携帯端末制御信号発生装置41への送信データ量を削減することができる。
【0058】
<その他の発明の実施の形態>
上述した本発明の実施の形態2では、車体位置判定装置42が撮影画像内の特定箇所間の距離により、停止可否の判定を行っていたが、これに限定されない。例えば、車体位置判定装置42は、撮影画像内に占める停止可能エリアA1の割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定するようにしてもよい。
【0059】
尚、本実施の形態2にかかる携帯端末制御信号発生装置41と車体位置判定装置42は、一体とした装置としても構わない。その場合、車体位置判定装置42内の記憶部(不図示)を停止可否情報記憶部415とし、停止可否判定部423が直接停止可否情報記憶部415へ停止可否情報を格納するようにすればよい。
【0060】
また、実施の形態2にかかる車体位置判定装置42は、自動車3の中心線上に設置されていたが、設置位置はこれに限定されない。さらに、カメラ421については、自動車3の左側面向けに設置しても構わない。この場合、撮影画像内の停止可能エリアA1との奥行きを求めることで、停止可否の判定が可能である。
【0061】
尚、カメラ421を左側面向けに設置した場合、路肩等、停止可能エリアA1を特定するための形状が撮影されない場合も考えられる。そこで、カメラ421を自動車3の前方や左前方に向けることで、停止可能エリアA1を特定するための形状を撮影することが可能となり、より判定精度を高めることができる。
【0062】
さらに、実施の形態2にかかる車体位置判定装置42は、自動車3の車内に設置されていたが、これに限定されない。例えば、自動車3の停止位置が既に停止中の車の直後であった場合、車内から自動車3の前方を撮影したのでは、十分に停止可能エリアA1を特定するための形状が撮影されない場合も考えられる。そこで、カメラ421を例えばバンパーの下部に設置することで、より路肩等の形状を撮影でき、停止可能エリアA1と自動車3との位置関係をより正確に検出できる。
【0063】
尚、本発明の実施の形態1及び2は、次のように言い換えることもできる。すなわち、自動車の速度を検知し、携帯端末の動作を制御するとともに、自動車の車体の存在位置を認識し、自動車が車道から逸れて停止した場合、「通常の停止」と判断し、車道で停止した場合には「一時停止」と判断する。そして、速度が0であり、かつ、「通常の停止」と判断した場合に携帯端末の動作制限を解除する。
【0064】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)を用いてコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0065】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0067】
(付記1) 運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する携帯端末制御部と、
前記乗物の周辺環境が撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記携帯端末制御部は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定部により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御システム。
【0068】
(付記2) 前記判定部は、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする付記1に記載の携帯端末制御システム。
【0069】
(付記3) 前記判定部は、
前記停止可能エリアのうち当該乗物の走行エリアから最も遠い箇所と、前記撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記2に記載の携帯端末制御システム。
【0070】
(付記4) 前記判定部は、
前記撮影画像内に占める前記停止可能エリアの割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記2に記載の携帯端末制御システム。
【0071】
(付記5) 前記判定部は、
当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、前記携帯端末制御部へ当該判定結果を送信し、
前記携帯端末制御部は、
前記判定部から受信した判定結果を記憶する記憶部を有し、
前記乗物が走行を停止したことを検出した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に格納された判定結果が、当該乗物が停止可能な位置に存在していることを示す場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末制御システム。
【0072】
(付記6) 前記判定部は、
前記乗物の周辺環境が定期的に撮影される場合に、撮影画像ごとに前記判定を行い、
当該判定による判定結果が直前の判定結果と異なる場合に、前記携帯端末制御部へ当該判定による判定結果を送信する
ことを特徴とする付記5に記載の携帯端末制御システム。
【0073】
(付記7) 運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する制御部と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部から出力された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御装置。
【0074】
(付記8) 前記制御部は、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする付記7に記載の携帯端末制御装置。
【0075】
(付記9) 前記制御部は、
前記停止可能エリアのうち当該乗物の走行エリアから最も遠い箇所と、前記撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記8に記載の携帯端末制御装置。
【0076】
(付記10) 前記制御部は、
前記撮影画像内に占める前記停止可能エリアの割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記8に記載の携帯端末制御装置。
【0077】
(付記11) 前記制御部による判定結果を格納する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、
前記乗物が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、当該判定結果を記憶部へ格納し、
前記乗物が走行を停止したことを検出した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に格納された判定結果が、当該乗物が停止可能な位置に存在していることを示す場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする付記7乃至10のいずれか1項に記載の携帯端末制御装置。
【0078】
(付記12) 前記撮影部は、前記乗物の周辺環境を定期的に撮影し、
前記制御部は、
前記定期的に撮影された撮影画像のそれぞれについて、前記撮影部による撮影順に前記判定を行い、
当該判定による判定結果が直前の判定結果と異なる場合に、判定結果を当該判定による判定結果とする
ことを特徴とする付記11に記載の携帯端末制御装置。
【0079】
(付記13) 運転席からの指示に応じて走行する乗物に搭載された制御装置と撮影装置とを用いて、当該乗物内の携帯端末を制御する携帯端末制御方法であって、
前記制御装置が、前記乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定し、
前記撮影装置が、前記乗物の周辺環境を撮影し、
前記制御装置が、
前記撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御方法。
【0080】
(付記14) 前記制御装置が、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする付記13に記載の携帯端末制御方法。
【0081】
(付記15) 前記制御装置が、
前記停止可能エリアのうち当該乗物の走行エリアから最も遠い箇所と、前記撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記14に記載の携帯端末制御方法。
【0082】
(付記16) 前記制御装置が、
前記撮影画像内に占める前記停止可能エリアの割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記14に記載の携帯端末制御方法。
【0083】
(付記17) 前記制御装置による判定結果を格納する記憶部をさらに備え、
前記制御装置が、
前記乗物が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、当該判定結果を記憶部へ格納し、
前記乗物が走行を停止したことを検出した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に格納された判定結果が、当該乗物が停止可能な位置に存在していることを示す場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする付記13乃至16のいずれか1項に記載の携帯端末制御方法。
【0084】
(付記18) 前記撮影装置が、前記乗物の周辺環境を定期的に撮影し、
前記制御装置が、
前記定期的に撮影された撮影画像のそれぞれについて、前記撮影装置による撮影順に前記判定を行い、
当該判定による判定結果が直前の判定結果と異なる場合に、判定結果を当該判定による判定結果とする
ことを特徴とする付記17に記載の携帯端末制御方法。
【0085】
(付記19) 内部の運転席からの指示に応じて走行する乗物であって、
前記乗物の走行時に、前記運転席付近の携帯端末の動作制限を行う携帯端末制御装置と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影装置と、
前記撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定装置と、を備え、
前記携帯端末制御装置は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定装置により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする乗物。
【0086】
(付記20) 前記判定装置は、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする付記19に記載の乗物。
【0087】
(付記21) 前記判定装置は、
前記停止可能エリアのうち当該乗物の走行エリアから最も遠い箇所と、前記撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記20に記載の乗物。
【0088】
(付記22) 前記判定装置は、
前記撮影画像内に占める前記停止可能エリアの割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする付記20に記載の乗物。
【0089】
(付記23) 前記判定装置は、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、前記携帯端末制御装置へ当該判定結果を送信し、
前記携帯端末制御装置は、
前記判定装置から受信した判定結果を記憶する記憶部を有し、
前記乗物が走行を停止したことを検出した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に格納された判定結果が、当該乗物が停止可能な位置に存在していることを示す場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする付記19乃至22のいずれか1項に記載の乗物。
【0090】
(付記24) 前記撮影装置は、前記乗物の周辺環境を定期的に撮影し、
前記判定装置は、
前記定期的に撮影された撮影画像のそれぞれについて、前記撮影装置による撮影順に前記判定を行い、
当該判定による判定結果が直前の判定結果と異なる場合に、前記携帯端末制御装置へ当該判定による判定結果を送信する
ことを特徴とする付記23に記載の乗物。
【符号の説明】
【0091】
1 乗物
11 運転席
111 携帯端末
12 携帯端末制御システム
121 携帯端末制御部
122 判定部
2 撮影画像
3 自動車
4 携帯端末制御システム
41 携帯端末制御信号発生装置
411 速度検出部
412 制御信号送信制御部
413 制御信号送信部
414 停止可否情報受信部
415 停止可否情報記憶部
416 制御信号送信アンテナ
42 車体位置判定装置
421 カメラ
422 画像識別部
423 停止可否判定部
424 停止可否情報送信部
5 携帯端末
51 表示部
52 操作部
53 制御信号受信アンテナ
54 制御信号受信部
55 携帯端末動作制御部
56 電源部
57 携帯端末データ記憶部
3a 自動車
3b 自動車
La 距離
Lb 距離
A0 道路
A1 停止可能エリア
A2 走行エリア
LA1 停止可能エリア幅
LA2 走行エリア幅
LC1 車幅
LI 撮影画像幅
P 中点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する携帯端末制御部と、
前記乗物の周辺環境が撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記携帯端末制御部は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定部により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末制御システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記停止可能エリアのうち当該乗物の走行エリアから最も遠い箇所と、前記撮影画像内の特定箇所との距離を算出し、当該距離が所定値以下である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末制御システム。
【請求項4】
前記判定部は、
前記撮影画像内に占める前記停止可能エリアの割合が所定値以上である場合に、当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末制御システム。
【請求項5】
前記判定部は、
当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定した場合に、前記携帯端末制御部へ当該判定結果を送信し、
前記携帯端末制御部は、
前記判定部から受信した判定結果を記憶する記憶部を有し、
前記乗物が走行を停止したことを検出した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に格納された判定結果が、当該乗物が停止可能な位置に存在していることを示す場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末制御システム。
【請求項6】
前記判定部は、
前記乗物の周辺環境が定期的に撮影される場合に、撮影画像ごとに前記判定を行い、
当該判定による判定結果が直前の判定結果と異なる場合に、前記携帯端末制御部へ当該判定による判定結果を送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯端末制御システム。
【請求項7】
運転席からの指示に応じて走行する乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定する制御部と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影部から出力された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記撮影画像から当該乗物の停止可能エリアを検出し、
当該停止可能エリアと当該乗物との位置関係に応じて、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯端末制御装置。
【請求項9】
運転席からの指示に応じて走行する乗物に搭載された制御装置と撮影装置とを用いて、当該乗物内の携帯端末を制御する携帯端末制御方法であって、
前記制御装置が、前記乗物の走行時に、当該乗物上の運転席付近の携帯端末の動作制限を設定し、
前記撮影装置が、前記乗物の周辺環境を撮影し、
前記制御装置が、
前記撮影された撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定し、
前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする携帯端末制御方法。
【請求項10】
内部の運転席からの指示に応じて走行する乗物であって、
前記乗物の走行時に、前記運転席付近の携帯端末の動作制限を行う携帯端末制御装置と、
前記乗物の周辺環境を撮影し、撮影画像として出力する撮影装置と、
前記撮影画像に基づき、当該乗物が停止可能な位置に存在しているか否かを判定する判定装置と、を備え、
前記携帯端末制御装置は、前記乗物が走行を停止したことを検出し、かつ、前記判定装置により当該乗物が停止可能な位置に存在していると判定された場合に、前記携帯端末の動作制限を解除する
ことを特徴とする乗物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−186541(P2012−186541A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46522(P2011−46522)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】