説明

携帯端末装置

【課題】 電磁波の人体頭部への影響をできる限り少なくした携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 この携帯端末装置は、耳に当てて通話を行うための通話ユニット1と、胸ポケット等に所持され、基地局との通信を行う通信/制御ユニット2とから構成される。電話の通話時においては、マイクロフォン4の音声信号が音声処理部6によって圧縮されたディジタルデータに変換され、短距離通信部7、短距離通信部15を介して長距離通信部22へ送られ、この長距離通信部22から発信元へ送信される。また、発信元の音声データによって変調された電波が長距離通信部22において復調され、短距離通信部17、7を介して音声処理部6へ出力される。音声処理部6はこのデータを伸長し、アナログ信号に変換してイヤスピーカ5へ出力する。これにより、イヤスピーカ5から音声が発音される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯電話、PHS(登録商標)等の携帯端末装置に係り、特に、発生する電磁波の人体頭部への影響をできる限り少なくした携帯端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話等の携帯端末装置が種々開発され利用されている。この携帯端末装置は、図2に示すように、耳に当接して使用される。ところで、周知のように、携帯端末装置は電磁波によって基地局と交信するものであり、したがって、通話時において携帯端末装置からはある大きさの電磁波が放射される。そして、上述したように、携帯端末装置は、耳に当接して使用されるため、装置から放射される電磁波が、人体頭部に悪影響を与える恐れがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、電磁波の頭部への影響をできる限り少なくした携帯端末装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の課題を解決すべくなされたもので、請求項1に記載の発明は、頭部に当てて通話を行う通話ユニットと、無線基地局と通信を行う通信/制御ユニットと、前記通話ユニットおよび前記通信/制御ユニット間を接続する接続手段とからなり、前記通話ユニットは、マイクロフォンの出力信号を処理して、前記接続手段を介して前記通信/制御ユニットへ出力すると共に、前記通信/制御ユニットからの信号を処理してスピーカへ出力する音声処理部を具備し、前記通信/制御ユニットは、前記通話ユニットからの信号を無線基地局へ送信し、また、前記無線基地局からの信号を前記接続手段を介して前記通話ユニットへ出力する通信部を具備することを特徴とする携帯端末装置である。
【0005】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末装置において、前記接続手段は、無線通信手段であることを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末装置において、前記接続手段は、有線通信手段であることを特徴とする。また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末装置において、前記接続手段は、赤外線通信手段であることを特徴とする。
【0006】また、請求項5に記載の発明は、頭部に当てて通話を行う通話ユニットと、無線基地局と通信を行う通信/制御ユニットとからなり、前記通話ユニットは、マイクロフォンの出力信号を処理して第1の短距離通信部へ出力すると共に、前記第1の短距離通信部からの信号を処理してスピーカへ出力する音声処理部と、複数のキーを有し、操作されたキーを示すデータを前記第1の短距離通信部へ出力する操作部と、前記第1の短距離通信部からのデータを表示する表示部と、前記音声処理部または前記操作部からのデータを搬送波に乗せて送信すると共に、受信した信号を復調して前記音声処理部または前記表示部へ出力する前記第1の短距離通信部とを具備し、前記通信/制御ユニットは、前記通話ユニットからの信号を受信し、復調して出力すると共に、前記通話ユニットへ出力すべきデータを搬送波に乗せて送信する第2の短距離通信部と、前記第2の短距離通信部からのデータを無線基地局へ送信し、また、前記無線基地局からの受信信号を復調して前記短距離通信部へ出力する長距離通信部とを具備することを特徴とする携帯端末装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、この発明の一実施の形態について説明する。図1は同実施の形態による携帯端末装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、この携帯端末装置は、耳に当てて通話を行うための通話ユニット1と、基地局と通信を行うと共に各部の制御を行う通信/制御ユニット2とから構成される。通話ユニット1において、4はマイクロフォン、5はイヤスピーカ、6は音声処理部である。音声処理部6はマイクロフォン4からの音声信号をディジタル信号に変換し、さらに、圧縮して短距離通信部7へ出力する。また、短距離通信部7からの圧縮された音声データを伸長し、さらに、アナログ信号に変換し、イヤスピーカ5へ出力する。
【0008】操作部8は、テンキー、ファンクションキー等と、各キーの出力をディジタル信号に変換して短距離通信部7へ出力するエンコーダとから構成される。表示部9は液晶表示器および表示コントローラから構成され、短距離通信部7から供給される表示データに基づく表示を行う。短距離通信部7は音声処理部6または操作部8から供給されるデータを微弱な搬送波に乗せアンテナ10から送信する。また、アンテナ10を介して受信した信号を復調して元のディジタルデータに戻し、音声処理部6または表示部9へ出力する。この短距離通信部7から放射される電波は、ユーザの耳から胸ポケットまでの距離程度の通信ができればよい極めて微弱な電波である。
【0009】次に、通信/制御ユニット2において、11はCPU(中央処理装置)、12はCPU11のプログラムが記憶されたROM(リードオンリメモリ)、13はデータ記憶用のRAM(ランダムアクセスメモリ)である。このRAM13には、フラッシュメモリが使用されている。15は短距離通信部であり、CPU11のバスライン16を介して供給されるデータを微弱な搬送波に乗せアンテナ17から放射する。また、アンテナ17を介して受信した電波を復調してもとのディジタル信号に戻し、バスライン16に出力する。この短距離通信部15から放射される電波も、ユーザの耳から胸ポケットまでの距離程度の通信ができればよい極めて微弱な電波である。
【0010】20は着信音形成部であり、CPU11からバスライン16を介して供給される着信音発生指令を受けて着信音信号を形成し、マイクロフォン21へ出力する。長距離通信部22はキャリアの無線基地局と通信を行うためのもので、バスライン16を介して供給されるデータを搬送波に乗せ、アンテナ23から放射し、また、アンテナ23を介して受信した信号を復調して元のディジタル信号に戻し、バスライン16へ出力する。この長距離通信部22から放射される電波は、無線基地局まで到達するような強さの電波である。
【0011】次に、上述した携帯端末装置の動作を説明する。まず、電話の着信時は、アンテナ23を介して受信した着信信号を長距離通信部22が復調し、これにより得られた着信データをCPU11へ出力する。CPU11はこの着信データを受け、この着信データに含まれる発信元の電話番号をRAM13に記憶させ、次いで、着信音発生指令を着信音形成部20へ出力する。着信音形成部20はこの指令を受け、着信音信号を形成し、スピーカ21へ出力する。これにより、スピーカ21から着信音が発生する。
【0012】携帯端末装置のユーザがこの着信メロディを聞き、通信ユニット1の操作部8の受信ボタンを押すと、操作部8から受信ボタン・オンを示すデータが短距離通信部7へ出力される。短距離通信部7はこのデータを搬送波に乗せ、アンテナ10から放射する。放射された電波はアンテナ17を介して短距離通信部15によって受信される。短距離通信部15は受信した電波を元のディジタルデータに復調し、バスライン16を介してCPU11へ出力する。CPU11はそのデータに基づいて受信ボタンがオンとされたことを検知し、着信音停止指令を着信音形成部20へ出力すると共に、長距離通信部22へ回線接続指示を出力する。以後、発信元と回線が接続され、これにより、マイクロフォン4およびイヤスピーカ5を用いた通話が行われる。すなわち、マイクロフォン4の音声信号が音声処理部6によって圧縮されたディジタルデータに変換され、短距離通信部7、短距離通信部15を介して長距離通信部22へ送られ、この長距離通信部22から発信元へ送信される。
【0013】また、発信元の音声データによって変調された電波が長距離通信部22において復調され、短距離通信部17、7を介して音声処理部6へ出力される。音声処理部6はこのデータを伸長し、アナログ信号に変換してイヤスピーカ5へ出力する。これにより、イヤスピーカ5から音声が発音される。
【0014】また、呼発信時には、ユーザが操作部8によって相手先の電話番号を入力し、次いで、送信ボタンをオンとすると、入力された電話番号および送信ボタン・オンを示すディジタルデータが短距離通信部7へ出力される。短距離通信部7はこれらのデータを搬送波に乗せ送信する。送信された信号は短距離通信部15によって受信され、元のデータに復調され、CPU11へ出力される。CPU11はその電話番号を一旦RAM3に書き込み、次いで、長距離通信部22へ出力する。長距離通信部22はその電話番号を搬送波に乗せて発信する。発信された電話番号が無線基地局、電話交換網を介して相手先に到達し、回線接続が行われると、以後、長距離通信部22、短距離通信部15,7、音声処理部6を介してマイクロフォン4、スピーカ5による通話が相手先と行われる。
【0015】このように、上記の実施形態によれば、携帯端末装置が通話ユニット1と通信/制御ユニット2とに分かれている。したがって、比較的強い電波を放射する通信/制御ユニット2を胸のポケット等に入れれば、電波の頭部への悪影響を最小限とすることが可能となる。
【0016】なお、上記実施形態は通話ユニット1と通信/制御ユニット2との間を電波によって接続しているが、これに代えて、赤外線通信によって接続してもよく、また、ワイヤによって直接接続してもよい。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、頭部に当てて通話を行う通話ユニットと、無線基地局と通信を行う通信/制御ユニットとを分離し、両者間を無線または有線または赤外線による接続手段によって接続したので、比較的強い電波を発生する通信部を頭部に近づけることなく通話を行うことができ、これにより、電磁波の頭部への影響を最小限とすることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 従来の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1…通話ユニット、2…通信/制御ユニット、4…マイクロフォン、5…イヤスピーカ、6…音声処理部、7…短距離通信部、8…操作部、11…CPU、12…ROM、13…RAM、15…短距離通信部、22…長距離通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 頭部に当てて通話を行う通話ユニットと、無線基地局と通信を行う通信/制御ユニットと、前記通話ユニットおよび前記通信/制御ユニット間を接続する接続手段とからなり、前記通話ユニットは、マイクロフォンの出力信号を処理して、前記接続手段を介して前記通信/制御ユニットへ出力すると共に、前記通信/制御ユニットからの信号を処理してスピーカへ出力する音声処理部を具備し、前記通信/制御ユニットは、前記通話ユニットからの信号を無線基地局へ送信し、また、前記無線基地局からの信号を前記接続手段を介して前記通話ユニットへ出力する通信部を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】 前記接続手段は、無線通信手段であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】 前記接続手段は、有線通信手段であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】 前記接続手段は、赤外線通信手段であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項5】 頭部に当てて通話を行う通話ユニットと、無線基地局と通信を行う通信/制御ユニットとからなり、前記通話ユニットは、マイクロフォンの出力信号を処理して第1の短距離通信部へ出力すると共に、前記第1の短距離通信部からの信号を処理してスピーカへ出力する音声処理部と、複数のキーを有し、操作されたキーを示すデータを前記第1の短距離通信部へ出力する操作部と、前記第1の短距離通信部からのデータを表示する表示部と、前記音声処理部または前記操作部からのデータを搬送波に乗せて送信すると共に、受信した信号を復調して前記音声処理部または前記表示部へ出力する前記第1の短距離通信部と、を具備し、前記通信/制御ユニットは、前記通話ユニットからの信号を受信し、復調して出力すると共に、前記通話ユニットへ出力すべきデータを搬送波に乗せて送信する第2の短距離通信部と、前記第2の短距離通信部からのデータを無線基地局へ送信し、また、前記無線基地局からの受信信号を復調して前記短距離通信部へ出力する長距離通信部と、を具備することを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−125055(P2003−125055A)
【公開日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−320939(P2001−320939)
【出願日】平成13年10月18日(2001.10.18)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】