説明

携帯端末

【課題】 防犯機能が動作した場合に、直ちに自動発信処理を行うことができる携帯端末を提供する。
【解決手段】 警報音を発音する発音手段と、前記発音手段から警報音を発音させるスイッチと、自動発信先の電話番号が予め記憶された電話番号記憶手段と、発信処理中の前記スイッチの状態に応じて発信処理中の発信を中止して、前記電話番号記憶手段に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して自動発信を行う自動発信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を搭載した携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、非常事態時に警報音を鳴らすとともに、自動発信連絡機能を備えた携帯電話端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、いつ起こるかわからない非常事態に早急に対応するために、使用者が所定の操作を行うと防犯アラームを鳴らすとともに、予め設定しておいた緊急連絡先に自動発呼し、予め設定しておいた緊急メッセージを送信するものである。
【特許文献1】特開平11−341567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す携帯電話端末にあっては、自動発信しようとする場合に、携帯電話端末が他の処理中であると、直ちに自動発信処理を行うことができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、防犯機能が動作した場合に、直ちに自動発信処理を行うことができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、警報音を発音する発音手段と、前記発音手段から警報音を発音させるスイッチと、自動発信先の電話番号が予め記憶された電話番号記憶手段と、発信処理中の前記スイッチの状態に応じて発信処理中の発信を中止して、前記電話番号記憶手段に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して自動発信を行う自動発信手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明は、前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対して、所定時間経過しても応答しない場合は、再発信することを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対して、所定時間経過しても応答しない場合は、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間以下である場合には、再発信することを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間以下である場合に、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間を超えた場合に、通話を切断して、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防犯機能が動作した場合に、予め登録された電話番号に対して直ちに自動発信することができるという効果が得られる。これにより、非常事態発生時において、的確な措置を講じることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による携帯端末を図面を参照して説明する。図1は同実施形態における携帯端末20の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、基地局との間で無線通信を行う無線部である。符号2は、携帯端末の処理動作を統括して制御する制御部である。符号3は、携帯端末が有している防犯機能が起動中であるか否かを切り替える防犯機能切替処理部である。符号4は、防犯機能が起動中であるか否かを記憶する防犯機能状態記憶部である。符号5は、携帯端末使用者がONにする操作を行うことにより、警報音を発音させることができる防犯スイッチであり、一度ON状態にすると、次に操作するまで、ON状態が持続する。符号6は、防犯スイッチ5のON/OFF状態を検出する防犯スイッチ検出部である。符号7は、発呼の経過時間や応答後の通話時間を計測するタイマ処理部である。符号8は、現時点で発信処理を行っている電話番号を記憶する発信電話番号記憶部である。符号9は、発信電話番号記憶部8に対して、現時点で発信処理を行っている電話番号の処理を行う発信電話番号処理部である。
【0013】
符号10は、自動発信が成功したと見なす通話時間、自動発信時の発呼を行う最大時間、自動発信が成功し、通話を自動的に切断するための通話切断時間等が予め記憶された経過時間記憶部である。符号11は、タイマ処理部7が計測した経過時間と経過時間記憶部10に記憶されている経過時間とを比較して、結果を出力する経過時間判定部である。符号12は、自動発信処理を継続するか終了するかの情報を記憶する自動発信情報記憶部である。符号13は、再発信処理を行うか否かを決定する自動発信処理決定部である。符号14は、着信音や警報音を発音させるスピーカである。符号15は、スピーカ14から着信音や警報音を発音させるための電気信号を発生させる発音処理部である。符号16は、防犯スイッチ5が操作された場合に、自動発信を行う発信先の電話番号が記憶される電話番号記憶部である。符号17は、電話番号記憶部16に自動発信先の電話番号を登録するとともに、防犯スイッチ5が操作された場合に自動発信処理を行う自動発信処理部である。符号18は、発信中の電話番号と自動発信先の電話番号を比較して、比較結果を出力する電話番号確認部である。符号19は、現在発信中の発信処理を中止する発信中止処理部である。
【0014】
次に、図2を参照して、携帯端末20が動作する環境について説明する。この図において、符号21は、携帯端末20を公衆回線へ接続するための基地局である。符号22は、携帯端末20が属する通信会社の移動通信網である。符号23は、携帯端末20と同じ通信会社に属する携帯端末24と移動通信網22とを接続する基地局である。符号25は、固定電話機26と携帯端末20を接続するための固定電話網である。符号27は、携帯端末20と異なる通信会社の移動通信網である。符号28は、携帯端末20と異なる通信会社の携帯端末29と移動通信網27とを接続する基地局である。電話番号記憶部16には、図2に示す携帯端末24、固定電話機26及び携帯端末29等の電話番号が登録可能である。
【0015】
次に、図3、図4を参照して、図1に示す携帯端末20の動作を説明する。
初めに、図3を参照して、防犯スイッチ5が操作された場合に、動作中の処理を中止して、自動発信処理を行う動作を説明する。まず、携帯端末使用者が防犯スイッチをONにする。防犯スイッチ検出部6は、防犯スイッチ5がONになったことを検出する(ステップS1)と、制御部2に対して、防犯スイッチ5がONになったことを通知する。これを受けて制御部2は、防犯機能切替処理部3に対して、防犯スイッチがON状態となったことを通知するとともに、発音処理部15に対して警報音を鳴らすように指示する。これを受けて防犯機能切替処理部3は、防犯機能状態記憶部4に「起動中」であること示す情報を記憶する。また、発音処理部15は、スピーカ14から警報音を発音させる(ステップS2)。
【0016】
次に、制御部2は、現時点で発信中であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、発信中であれば、制御部2は、発信電話番号処理部9に対して、現在発信中の電話番号を問い合わせる。これを受けて、発信電話番号処理部9は、発信電話番号記憶部8に記憶されている電話番号を読み出して、制御部2へ応答する。
【0017】
次に、制御部2は、電話番号確認処理部18に対して、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号を読み出すように指示する。これを受けて、電話番号確認処理部18は、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号を読み出して、制御部2へ通知する。続いて、制御部2は、発信電話番号処理部9から通知された電話番号と、電話番号確認処理部18から通知された電話番号(自動発信先の電話番号)と同一であるか否かを判定する(ステップS4)。この判定の結果、自動発信先の電話番号の中に現在発信中の電話番号と同一の番号が存在すれば、そのまま発信動作を継続する(ステップS5)。
【0018】
一方、現在発信中の電話番号が自動発信先の電話番号と同一でない場合、制御部2は、発信中止処理部19に対して、現在発信中の処理を中止するように指示する。これを受けて、発信中止処理部19は、発信処理を中止する(ステップS6)。そして、制御部2は、自動発信処理部17に対して、自動発信処理を行うように指示する。自動発信処理部17は、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して、自動発信処理を行う(ステップS7)。また、制御部2は、現時点で発信処理中でない場合は、直ちに自動発信処理部17に対して、自動発信処理を行うように指示する。
【0019】
なお、図3においては、発信中である場合に、発信処理を中止するようにしたが、防犯スイッチ5がONになった場合は、警報音を発音させる以外の処理全てを中止するようにしてもよい。
【0020】
このように、防犯スイッチ5がON状態であることを検出した場合に、警報音を発音する処理を除く動作中の処理をすべて中止して、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して自動発信を行うようにしたため、緊急事態が発生した場合に、直ちに自動発信処理を行うことができる。
【0021】
次に、図4を参照して、防犯スイッチ5が操作され、自動発信が行われた場合に、自動発信による通知を確実に行うようにする動作を説明する。まず、携帯端末使用者が防犯スイッチ5をONにする。防犯スイッチ検出部6は、防犯スイッチ5がONになったことを検出する(ステップS11)と、制御部2に対して、防犯スイッチ5がONになったことを通知する。これを受けて制御部2は、防犯機能切替処理部3に対して、防犯スイッチがON状態となったことを通知するとともに、発音処理部15に対して警報音を鳴らすように指示する。これを受けて防犯機能切替処理部3は、防犯機能状態記憶部4に「起動中」であること示す情報を記憶する。また、発音処理部15は、スピーカ14から警報音を発音させる。
【0022】
次に、制御部2は、自動発信処理部17に対して、自動発信処理を行うように指示する。自動発信処理部17は、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して、自動発信処理を行う(ステップS12)。
【0023】
次に、制御部2は、発信先の相手が応答したか否かを判定し(ステップS13)、未だ応答していない場合は、この自動発信が失敗したか否かを判定する(ステップS14)。そして、発信が失敗していなければ応答するまで発信動作を継続する。一方、発信が失敗であった場合、制御部2は、自動発信処理部17に対して、自動発信処理を行うように指示する。自動発信処理部17は、電話番号記憶部16に記憶されている電話番号のうち、発信を失敗した電話番号以外の新たな電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して、自動発信処理を行う(ステップS12)。
【0024】
次に、自動発信に対して、相手が応答した場合、制御部2は、タイマ処理部7に対して経過時間の計測を指示する。これを受けて、タイマ処理部7は、タイマをスタートさせる(ステップS15)。制御部2は、通話終了したか否かを判定する(ステップS16)。そして、通話が終了した場合、制御部2は、タイマ処理部7に対して、経過時間を問い合わせる。これを受けて、タイマ処理部7は、タイマをストップさせて、通話の経過時間を制御部2へ応答する。
【0025】
次に、制御部2は、タイマ処理部7から得た経過時間を経過時間判定部11へ通知して、自動発信成功通話時間の判定を依頼する。これを受けて、経過時間判定部11は、経過時間記憶部10に記憶されている自動発信が成功したと見なす通話時間(例えば、20秒)と、制御部2から通知された通話終了までの経過時間とを比較する(ステップS17)。この結果、制御部2から通知された通話終了までの経過時間が、自動発信が成功したと見なす通話時間を超えていた場合は、自動発信が成功したと見なして処理を終了する。また、制御部2から通知された通話終了までの経過時間が、自動発信が成功したと見なす通話時間より短い場合、制御部2は、自動発信処理部17に対して、直前の発信時と同一の電話番号に対して再び自動発信処理を行うように指示する。自動発信処理部17は、直前に発信した電話番号と同一の電話番号に対して再び自動発信を行う(ステップS12)。
【0026】
一方、ステップS16において、通話が終了していないと判定された場合、制御部2は、タイマ処理部7に対して、経過時間を問い合わせる。これを受けて、タイマ処理部7は、現時点までの通話の経過時間を制御部2へ応答する。続いて、制御部2は、タイマ処理部7から得た経過時間を経過時間判定部11へ通知して、通話切断時間の判定を依頼する。これを受けて、経過時間判定部11は、経過時間記憶部10に記憶されている通話切断時間(例えば、60秒)と、制御部2から通知された通話の経過時間とを比較して(ステップS18)、比較結果を制御部2へ応答する。この結果、通話の経過時間が、通話切断時間を超えていない場合、制御部2は、通話が終了するか、通話切断時間を超えるまで待機する。また、通話の経過時間が、通話切断時間を超えている場合、制御部2は、通話を自動的に切断し(ステップS19)、自動発信処理部17に対して、直前の発信時の電話番号とは異なる電話番号に対して新たに自動発信処理を行うように指示する。これを受けて、自動発信処理部17は、直前に発信した電話番号とは異なる電話番号を電話番号記憶部16から読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信を行う(ステップS12)。
【0027】
このように、防犯スイッチ5がON状態であることを検出した場合の自動発信時において、応答した後の通話時間が自動発信が成功したと見なす通話時間(例えば、20秒)を超えなかった場合に、同一の電話番号に対して、再び自動発信を行うようにしたため、緊急事態であることを確実に通知することが可能となる。また、自動発信が成功した後の通話時間が通話切断時間(例えば、60秒)を超えた場合は、自動的に通話を切断して、新たな電話番号に対して、自動発信を行うようにしたため、緊急事態であることを複数の相手先へ通知することが可能となる。
【0028】
なお、自動発信処理部17は、自動発信した発呼に対して、所定時間経過しても応答しない場合(発信が失敗した場合)は、この発呼を中止し、中止した発呼と同一の電話番号に対して再発信するようにしてもよい。また、自動発信した発呼に対する応答後の通話時間が所定時間以下である場合に、直前に発信した電話番号に対して再発信するようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明の携帯端末は、移動通信を使用した携帯電話機や移動通信機能を有した携帯情報端末(PDA)などを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す携帯端末20の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す携帯端末20の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1・・・無線部、2・・・制御部、3・・・防犯機能切替処理部、4・・・防犯機能状態記憶部、5・・・防犯スイッチ、6・・・防犯スイッチ検出部、7・・・タイマ処理部、8・・・発信電話番号記憶部、9・・・発信電話番号処理部、10・・・経過時間記憶部、11・・・経過時間判定部、12・・・自動発信情報記憶部、13・・・自動発信処理決定部、14・・・スピーカ、15・・・発音処理部、16・・・電話番号記憶部、17・・・自動発信処理部、18・・・電話番号確認処理部、19・・・発信中止処理部、20・・・携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報音を発音する発音手段と、
前記発音手段から警報音を発音させるスイッチと、
自動発信先の電話番号が予め記憶された電話番号記憶手段と、
発信処理中の前記スイッチの状態に応じて発信処理中の発信を中止して、前記電話番号記憶手段に記憶されている電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して自動発信を行う自動発信手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対して、所定時間経過しても応答しない場合は、再発信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、
前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対して、所定時間経過しても応答しない場合は、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間以下である場合には、再発信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、
前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間以下である場合に、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記電話番号記憶手段には、複数の電話番号が記憶されており、
前記自動発信手段は、自動発信した発呼に対する通話時間が所定時間を超えた場合に、通話を切断して、前記電話番号記憶手段から異なる電話番号を読み出して、この読み出した電話番号に対して新たに自動発信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−67460(P2006−67460A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250318(P2004−250318)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】