説明

携帯端末

【課題】表示部を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末を提供する。
【解決手段】情報を表示するとともに、視野角を変更可能に構成された表示部5を有する携帯電話(携帯端末)において、表示部5に対して、開閉可能に設けられた第2の筐体(蓋部)と、表示部5と第2の筐体との間の開き角度を変更させる回転機構と、開き角度を検出する開き角度検出部13と、開き角度検出部13からの検出結果に基づいて、開き方向での表示部5の視野角を変更する表示制御部(制御部)12を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯して使用可能に構成された携帯端末、特に情報を表示する表示部を有するとともに、開閉可能(折り畳み可能)に構成された携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが携帯可能な携帯端末では、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、あるいはゲーム機などの多種多様な製品が開発され、実用化されている。このような携帯端末には、文字、画像等の情報を表示する表示部が設けられており、さらには、薄型、軽量等の多くの特長を有するフラットな表示パネルである、液晶パネルが一般的に上記表示部に用いられている。
【0003】
また、従来の携帯端末には、例えば下記特許文献1に記載されているように、表示部を収納した上側筐体と、テンキーなどの操作部が設けられた下側筐体とを備えた携帯電話が提案されている。そして、この従来の携帯端末では、ヒンジ部を介して上側筐体及び下側筐体を互いに開閉可能(折り畳み可能)に構成することにより、これらの上側筐体及び下側筐体の閉状態、つまり携帯端末が使用されていない場合に、表示部及び操作部を相互に保護するとともに、当該携帯端末の小型化を図れるようになっていた。
【0004】
また、この従来の携帯端末では、上側筐体(表示部)が下側筐体に対して開かれた状態で、ユーザが所定のボタン操作を行うことによって、表示部の視野角を変更することが示されている。すなわち、この従来の携帯端末では、その通常の使用状態である、表示部が開かれている状態である場合において、下側筐体に設けられたサイドボタンを操作することで、表示部の視野角を広視野角モードまたは狭視野角モードに変更可能に構成されていた。そして、この従来の携帯端末では、表示部を狭視野角モードとすることにより、表示部の左右方向(上記ヒンジ部に設けられた回転軸と平行な方向)から、当該表示部に表示されている情報を第三者が覗き見するのを防止可能とされていた。
【特許文献1】特開2004−62094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の携帯端末では、ユーザの使用環境などによっては、表示部に表示されている情報を視認することができずに、その利便性が著しく低下するという問題点があった。
【0006】
具体的にいえば、従来の携帯端末では、下側筐体(蓋部)に対して、表示部を100%の開き角度で開くことができない場合において、当該表示部に表示されている情報を視認することができないことがあった。より具体的にいえば、従来の携帯端末では、表示部を小さい角度にて開いた場合、ユーザは当該表示部に表示されている情報を視認することができなかった。このため、従来の携帯端末では、ユーザが例えば電車などの交通機関や劇場の内部に居る場合、または会議中などである場合において、情報が送信されてきた場合でも、表示部を100%の開き角度で開くことができずに、その送信されてきた情報を確認することができないことがあった。このように、従来の携帯端末では、表示部の表示情報を視認することができずに、その利便性が著しく低下した。
【0007】
上記の課題を鑑み、本発明は、表示部を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる携帯端末は、情報を表示するとともに、視野角を変更可能に構成された表示部を有する携帯端末であって、
前記表示部に対して、開閉可能に設けられた蓋部と、
前記表示部及び前記蓋部が相対的に回転可能となるように、前記表示部及び前記蓋部の少なくとも一方が一体的に取り付けられた回転軸が設けられるとともに、前記表示部及び前記蓋部の少なくとも一方を回転させることによって、前記表示部と前記蓋部との間の開き角度を変更させる回転機構と、
前記開き角度を検出する開き角度検出部と、
前記開き角度検出部からの検出結果に基づいて、開き方向での前記表示部の視野角を変更する制御部とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
上記のように構成された携帯端末では、上記表示部と蓋部との間の開き角度を変更させる回転機構が設けられるとともに、上記開き角度を検出する開き角度検出部が設置されている。また、制御部は、開き角度検出部からの検出結果に基づいて、開き方向での表示部の視野角を変更する。これにより、上記従来例と異なり、表示部が蓋部に対して小さい開き角度で開かれた場合でも、表示部に表示されている情報を視認することができる。従って、表示部を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末を構成することができる。
【0010】
また、上記携帯端末において、前記開き角度検出部にて検出された前記開き角度が10°以上30°以下の範囲の値であることが判別されると、前記制御部は、前記回転軸に垂直な方向から前記表示部を見たときに、当該表示部に表示されている情報が視認可能となるように、前記開き角度検出部にて検出された前記開き角度の値に応じて、前記開き方向での前記表示部の視野角を変更することが好ましい。
【0011】
この場合、表示部が上記蓋部に対して上記10°以上30°以下の範囲の開き角度で開かれた場合でも、当該表示部に表示されている情報を視認することができる。
【0012】
また、上記携帯端末において、前記開き角度検出部には、前記回転軸の回転角度を、前記開き角度として検出する角度センサが含まれてもよい。
【0013】
この場合、開き角度検出部は角度センサによって開き角度を精度よく検出することができる。
【0014】
また、上記携帯端末において、前記開き角度検出部には、前記回転軸の外周面側で当該回転軸と一体回転可能に設置されたブリッジ部材と、前記回転軸の外周外方で当該回転軸の周方向に沿って互いに異なる位置に設けられるとともに、前記ブリッジ部材に電気的に接触可能に設置された複数組の一対の接点部材とが含まれてもよい。
【0015】
この場合、開き角度検出部はブリッジ部材に電気的に接触した一対の接点部材の位置に基づいて、上記開き角度を精度よく検出することができる。
【0016】
また、上記携帯端末において、前記表示部には、情報を表示する情報表示用の表示装置と、視野角を制御する視野角制御用の視野角制御装置とが含まれていることが好ましい。
【0017】
この場合、上記制御部が視野角制御装置を制御することにより、表示部の視野角を確実に変更することができ、携帯端末の利便性も確実に向上させることができる。
【0018】
また、上記携帯端末において、前記表示装置及び前記視野角制御装置には、各々液晶パネルが用いられていることが好ましい。
【0019】
この場合、コンパクトで高性能な携帯端末を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示部を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の携帯端末の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を携帯電話に適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0022】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる携帯電話を示す斜視図である。図2(a)は通常表示モードで情報表示を行っている場合での上記携帯電話の側面図であり、図2(b)は覗き見表示モードで情報表示を行っている場合での上記携帯電話の側面図である。
【0023】
図1において、本実施形態の携帯電話1は、第1の筐体2と、第2の筐体3を備えており、これら第1及び第2の筐体2、3は、携帯電話1の中央部に設けられた回転機構4を介して相対的に回転可能に構成されている。すなわち、本実施形態の携帯電話1では、第1の筐体2の端部2aと第2の筐体3の端部3aは回転機構4に設けられた回転軸4a(図2)に一体的に取り付けられており、これらの第1及び第2の筐体2、3は、ヒンジ構造に構成された回転機構4の回転軸4aを中心にして回転可能になっている。そして、本実施形態の携帯電話1は、回転機構4を介して第1及び第2の筐体2、3を互いに開閉可能(折り畳み可能)になっている。
【0024】
具体的にいえば、本実施形態の携帯電話1では、図2(a)に示すように、第1及び第2の筐体2、3が所定の開き角度θ1で開かれた状態で使用されるようになっている。この開き角度は、第1の筐体2の表面と第2の筐体3の表面との間での角度であり、開き角度θ1の具体的な値は、例えば150°である。また、携帯電話1では、第1及び第2の筐体2、3が開き角度θ1で開かれている場合に、後述の表示部では、通常表示モードが選択されて、情報表示が行われるようになっている。
【0025】
また、携帯電話1では、図2(b)に示すように、第1及び第2の筐体2、3が所定の角度範囲内の値である、開き角度θ2で開かれている場合に、覗き見表示モードが選択されて、開き方向での上記表示部の視野角が制御され、情報表示が行われるようになっている(詳細は後述。)。
【0026】
さらに、携帯電話1では、開き角度の値が0°のとき、つまり第1の筐体2の表面と第2の筐体3の表面とが互いに接するように、これら第1及び第2の筐体2、3が閉状態(折り畳み状態)とされた場合に、携帯電話1は、使用されていない状態となる。
【0027】
また、図1に示すように、第1の筐体2には、文字や画像等の情報を表示する上記表示部5が収納されている。この表示部5には、回転軸4a(図2)に対して垂直な方向に設けられた表示面5aが含まれており、表示面5aに情報が表示されるようになっている。また、表示部5には、後に詳述するように、情報を表示する情報表示用の表示装置と、視野角を制御する視野角制御用の視野角制御装置とが含まれており、視野角を変更(制御)可能に構成されている。また、第1の筐体2には、スピーカ6が設けられており、ユーザに対して、音声を出力するようになっている。
【0028】
また、第2の筐体3は、表示部5に対して、開閉可能に設けられた蓋部を構成しており、この第2の筐体3には、テンキー(数字キー)や電源ボタン等の所定の操作ボタン7aを有する操作部7が設けられている。また、第2の筐体3には、マイク8が設置されており、ユーザの音声を入力するようになっている。
【0029】
また、本実施形態の携帯電話1では、上記開き角度が後述の開き角度検出部によって自動的に検出されるようになっており、検出された開き角度に応じて、通常表示モード及び覗き見表示モードが選択されるようになっている。具体的には、図2(a)に示すように、第1及び第2の筐体2、3が開き角度θ1で開かれている場合、表示部5では、通常表示モードが選択されて、表示面5aに表示されている情報は、同図2(a)に矢印aにて例示するように、当該表示面5aからユーザに視認されるようになっている。また、この通常表示モードでは、上記視野角制御装置は停止状態とされて、表示部5の視野角は変更されていない。
【0030】
また、第1及び第2の筐体2、3が開き角度θ2で開かれている場合、表示部5では、覗き見表示モードが選択されて、表示面5aに表示されている情報は、同図2(b)に矢印bにて例示するように、当該表示面5aからユーザに視認されるようになっている。また、携帯電話1において、覗き見表示モードが選択される上記所定の角度範囲(つまり、上記開き角度θ2の具体的な角度範囲)は、例えば10°以上30°以下の角度範囲に設定されている。また、覗き見表示モードでは、後に詳述するように、上記視野角制御装置は動作状態とされ、開き角度θ2の値に応じて、開き方向での表示部5の視野角が変更されるようになっている。
【0031】
ここで、図3〜図6を参照して、本実施形態の携帯電話1について具体的に説明する。
【0032】
図3は上記携帯電話の要部構成を説明するブロック図であり、図4は図3に示した表示部の具体的な構成例を説明する図である。図5は、図3に示した表示制御部の具体的な構成例を示すブロック図である。図6(a)は図3に示した開き角度検出部の具体的な構成例を説明する図であり、図6(b)は図6(a)に示したスリット付き円盤の構成を示す平面図である。
【0033】
まず図3を用いて、本実施形態の携帯電話1の要部構成について説明する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態の携帯電話1は、主制御部9と、各種データを記憶するメモリを含んだ記憶部10と、スピーカ6及びマイク8に接続され、音声を送受信する送受信部11を備えている。また、携帯電話1には、表示部5の駆動制御を行う表示制御部12、及び第1及び第2の筐体2、3の間の上記開き角度を検出する開き角度検出部13が設けられている。
【0035】
主制御部9は、CPUやMPUなどによって構成されており、携帯電話1の各部の駆動制御を統括的に行うようになっている。また、主制御部9は、記憶部10に予め記憶されているプログラムを用いて、携帯電話1に付与されている所定のアプリケーションを実行するようになっている。具体的には、主制御部9は、操作部7を介して指示されたユーザの要求に従って、記憶部10から対応するプログラムを読み出して、電話機能、電子メール機能、及びインターネット機能等の所定のアプリケーションを行わせる。尚、記憶部10は、図示しないアンテナ及び送受信部11を介してダウンロードされたプログラム等のデータを適宜保持できるようになっており、主制御部9は、ダウンロードされたデータに基づいて、携帯電話1の各部を駆動制御できるようになっている。
【0036】
表示制御部12は、主制御部9からの指示信号に基づき、表示部5の駆動制御を行うように構成されている。また、表示制御部12は、開き角度検出部13からの検出結果に基づいて、開き方向での表示部5の視野角を変更する制御部を構成しており、開き角度検出部13によって検出された上記開き角度を基に通常表示モードまたは覗き見表示モードを選択する。
【0037】
さらに、表示制御部12は、開き角度検出部13にて検出された開き角度が10°以上30°以下の範囲の値であることが判別されて覗き見表示モードを選択した場合には、回転軸4aに垂直な方向から表示部5を見たときに、当該表示部5に表示されている情報が視認可能となるように、開き角度検出部13にて検出された開き角度の値に応じて、開き方向での表示部5の視野角を変更する。
【0038】
開き角度検出部13は、後に詳述するように、回転軸4aの回転角度を、前記開き角度として検出する角度センサが含まれている。そして、開き角度検出部13は、回転機構4によって第1及び第2の筐体2、3の間の開き角度が変更された場合に、その開き角度を検出して、主制御部9に出力する。
【0039】
尚、上記の説明以外に、主制御部9が開き角度検出部13からの検出結果を基に通常表示モードまたは覗き見表示モードを選択して、表示制御部12に選択したモードを指示する構成でもよい。また、表示制御部12と開き角度検出部13を接続して、開き角度検出部13からの検出結果が表示制御部12に直接的に入力される構成でもよい。
【0040】
次に、図4を用いて、表示部5の具体的な構成について説明する。
【0041】
図4に示すように、表示部5は、上記表示装置としての液晶表示装置14と、液晶表示装置14に一体的に設けられるとともに、表示面5a(図1)側に設置された上記視野角制御装置15と、液晶表示装置14に対し、所定の照明光を出射する照明装置16を備えている。
【0042】
液晶表示装置14には、表示用の液晶パネル14aと、液晶パネル14aの表示面側及び非表示面側にそれぞれ設けられた一対の偏光板14b及び14cが設けられている。上記液晶パネル14aは、文字及び画像を含んだ情報を表示して、上記表示面5aを実質的に構成する表示面を具備している。また、この液晶パネル14aには、カラーフィルタ(図示せず)が設けられており、カラー表示を行えるようになっている。
【0043】
また、液晶パネル14aの液晶モードや画素構造は任意である。また、液晶パネル14aの駆動モードも任意である。すなわち、液晶パネル14aとしては、情報を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。それ故、図4においては液晶パネル14aの詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。
【0044】
視野角制御装置15には、偏光板14b上に載置される視野角制御用の液晶パネル15aと、この液晶パネル15a上に順次積層された位相差板15b及び偏光板15cとが設けられている。
【0045】
液晶パネル15aには、液晶層と、この液晶層を狭持する一対の透光性基板とを備えている(図示せず)。また、この液晶パネル15aでは、上記液晶パネル14aと異なり、画素単位に液晶層を駆動する必要がないため、電極構造に関しては制限がない。つまり、液晶パネル15aでは、表示面全体で一様なスイッチングを行うために、上記透光性基板の全面に一様な透明電極が形成された構成としても良いし、他の任意の電極構造を取り得る。
【0046】
また、視野角制御装置15では、液晶表示装置14の偏光板14bと協働して、開き方向での表示部5の視野角を変更可能に構成されている。すなわち、偏光板15cと偏光板14bとは、それぞれの偏光透過軸が略直交(例えば、80°〜100°の範囲)するように配置されている。
【0047】
具体的にいえば、視野角制御装置15では、その液晶パネル15aにおいて電圧印加が行われた場合、その電圧印加の大きさに応じて、当該液晶パネル15aに設けられた液晶層内の液晶分子(図示せず)が傾動動作を行う。これにより、表示部5では、開き方向での視野角が変更されて、ユーザは第1及び第2の筐体2、3が上記所定の角度範囲(10°以上30°以下)内の小さい開き角度θ2で開かれている場合でも、表示部5に表示されている情報を視認して読みとることができる。つまり、ユーザが図2(b)に矢印bの方向とは正反対の方向で表示部5を視認する場合でも、視野角制御装置15が表示部5の視野角を適切に制御(変更)することによって、ユーザは表示部5に表示されている情報を判別することができる。
【0048】
一方、液晶パネル15aにおいて電圧印加を行わない場合は、当該液晶パネル15aにおいて、表示面5aから全方位に対して良好な表示が得られるような十分な複屈折が生じることにより、表示部5を広視野角とすることができる。
【0049】
以上のとおり、本実施形態の表示部5では、液晶パネル15aへの電圧の印加/無印加を切替えることにより、開き方向での表示部5の視野角を変更することが可能となる。
【0050】
照明装置16は、例えば光源としてのLED(図示せず)、及びこのLEDからの光を所定方向に導きつつ、液晶表示装置14側に照明光として出射する導光板(図示せず)を有するエッジライト型のバックライトにて構成されている。
【0051】
次に、図5を用いて、表示制御部12の具体的な構成について説明する。
【0052】
図5に示すように、表示制御部12には、主制御部9(図3)から画像信号、調光指示信号、及び角度情報が入力されるようになっている。また、表示制御部12は、所定の画像処理を行う画像処理部12aと、入力された画像信号に含まれた1フレーム分の表示データを記憶可能なフレームバッファ12bとを備えている。そして、表示制御部12では、画像処理部12aが入力された画像信号に対して所定の画像処理を行うことにより、液晶表示装置14の液晶パネル14a(図4)への指示信号を生成して出力する。これにより、液晶パネル14aでは、画像信号に応じた情報表示が行われる。
【0053】
また、表示制御部12には、主制御部9から入力された角度情報(つまり、開き角度検出部13の検出結果)に基づいて、視野角制御装置15(図4)の駆動制御を行う視野角制御部12cが設けられている。すなわち、この視野角制御部12cは、開き角度検出部13によって検出された上記開き角度を基に通常表示モードまたは覗き見表示モードを選択するとともに、覗き見表示モードを選択した場合には、視野角制御部12cは、検出された開き角度の値に応じて、開き方向での表示部5(図1)の視野角が変更されるように、視野角制御装置15を駆動制御する。
【0054】
さらに、表示制御部12には、主制御部9から入力された調光指示信号に基づき、照明装置16の駆動制御を行う照明駆動部12dが設置されている。つまり、この照明駆動部12dは、入力された調光指示信号に従って、照明装置16から出射される照明光の輝度を変更するよう構成されており、ユーザが所望する輝度で表示部5での情報表示を行えるようになっている。
【0055】
次に、図6を用いて、開き角度検出部13の具体的な構成について説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、開き角度検出部が10°、20°、30°、及び150°の4つの開き角度を段階的に検出する場合を例示して説明する(後掲の第2の実施形態でも同様。)。
【0056】
図6(a)において、開き角度検出部13では、レーザー光Lを利用した角度センサが含まれており、当該角度センサによって回転軸4aの回転角度が上記開き角度として検出されるよう構成されている。具体的にいえば、開き角度検出部13は、図6(b)も参照して、回転軸4aに一体的に取り付けられるとともに、4つのスリット(貫通孔)13aa、13ab、13ac、13adが形成されたスリット付き円盤13aを具備している。また、開き角度検出部13には、レーザー光Lを照射する投光部13bと、レーザー光Lを入射する受光部13cと、受光部13cの受光結果に基づいて受光位置を検出する受光位置検出センサ13dとが設けられている。また、投光部13bと受光部13cとは、スリット付き円盤13aを挟んだ状態で、互いに対向するように配置されている。
【0057】
スリット付き円盤13aでは、図6(b)に示すように、4つの各スリット13aa〜13adは回転軸4aの中心Oからの距離が互いに異なる位置で、スリット付き円盤13aの厚さ方向(図の紙面に垂直な方向)に当該スリット付き円盤13aを貫通することによって形成されている。すなわち、スリット付き円盤13aでは、スリット13aaの中心と上記中心Oとの間の半径ra、スリット13abの中心と上記中心Oとの間の半径rb、スリット13acの中心と上記中心Oとの間の半径rc、及びスリット13adの中心と上記中心Oとの間の半径rdは、この順番で値が小さくなるように、定められている。また、スリット付き円盤13aでは、例えば開き角度10°、20°、30°、及び150°であるときに、レーザー光Lはそれぞれスリット13aa、13ab、13ac、及び13adを通過するように構成されている。
【0058】
以上の構成により、開き角度検出部13では、回転軸4aの回転角度、つまり上記開き角度が検出可能に構成されている。すなわち、開き角度検出部13では、投光部13bがレーザー光Lを照射したとき、そのレーザー光Lが通過したスリット13aa〜13adに応じて、受光部13cで受光されるレーザー光Lの受光位置が変化する。それ故、受光位置検出センサ13dが受光部13cでのレーザー光Lの受光位置を検出することによって、当該レーザー光Lが通過したスリットが判別され、開き角度が検出される。
【0059】
具体的にいえば、受光位置検出センサ13dがスリット13aaをレーザー光Lが通過したことを判別すると、受光位置検出センサ13dは開き角度が10°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部13から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が10°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0060】
また、受光位置検出センサ13dがスリット13abをレーザー光Lが通過したことを判別すると、受光位置検出センサ13dは開き角度が20°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部13から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が20°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0061】
また、受光位置検出センサ13dがスリット13acをレーザー光Lが通過したことを判別すると、受光位置検出センサ13dは開き角度が30°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部13から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が30°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0062】
また、受光位置検出センサ13dがスリット13adをレーザー光Lが通過したことを判別すると、受光位置検出センサ13dは開き角度が150°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部13から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、視野角制御装置15の電圧印加を停止させる。これにより、表示部5では、視野角制御装置15によって視野角が変更されることなく、液晶表示装置14による情報表示が行われる。
【0063】
以上のように構成された本実施形態の携帯電話1では、表示部5を収納した第1の筐体2と第2の筐体(蓋部)3との間の開き角度を変更させる回転機構4が設けられるとともに、上記開き角度を検出する開き角度検出部13が設置されている。また、本実施形態の携帯電話1では、開き角度検出部13からの検出結果に基づいて、開き方向での表示部5の視野角を変更する表示制御部(制御部)12が設置されている。これにより、本実施形態の携帯電話1では、上記従来例と異なり、表示部5が第2の筐体3に対して小さい開き角度で開かれた場合でも、表示部5に表示されている情報を視認することができる。従って、本実施形態では、表示部5を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末1を構成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、開き角度検出部13には、回転軸4aの回転角度を、開き角度として検出する角度センサが含まれているので、開き角度検出部13は角度センサによって開き角度を精度よく検出することができる。
【0065】
また、本実施形態では、情報を表示する情報表示用の液晶表示装置(表示装置)14と、視野角を制御する視野角制御用の視野角制御装置15とが、表示部5に含まれている。これにより、本実施形態では、表示制御部12が視野角制御装置15を制御することによって、表示部5の視野角を確実に変更することができ、携帯電話1の利便性も確実に向上させることができる。
【0066】
尚、上記の説明では、レーザー光を利用した角度センサを開き角度検出部に含めた場合について説明したが、本実施形態の角度センサはこれに限定されるものではなく、例えばレーザー光に代えて、発光ダイオードからの光を利用した角度センサを用いることもできる。また、回転軸の回転角度(すなわち、開き角度)に応じて、出力が変化する磁気センサなどの他のセンサを角度センサに使用することもできる。
【0067】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる携帯電話に用いられた開き角度検出部の具体的な構成例を説明する図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、角度センサに代えて、スイッチ式の開き角度検出部を用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0068】
つまり、図7に示すように、本実施形態の携帯電話1では、開き角度検出部23に、スイッチ式の角度検出機構が用いられている。具体的にいえば、開き角度検出部23は、回転軸4aに一体的に設けられた円盤23aと、回転軸4aと一体回転可能となるように円盤23aの外周面上に設けられたブリッジ部材23bを備えている。また、開き角度検出部23には、回転軸4aの外周外方で当該回転軸4aの周方向に沿って互いに異なる位置に設けられるとともに、ブリッジ部材23bに電気的に接触可能に設置された複数組、例えば4組の一対の接点部材23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2とが設けられている。これら一対の接点部材23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、及び23f1、23f2は、例えば開き角度10°、20°、30°、及び150°であるときに、ブリッジ部材23bに電気的に接触するように、回転軸4aの外周外方に設置されている。
【0069】
さらに、開き角度検出部23は、各接点部材23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2に接続されるとともに、ブリッジ部材23bに電気的に接触している、いずれか一組の接点部材23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2を検出する位置検出部23gを備えている。
【0070】
以上の構成により、開き角度検出部23では、回転軸4aの回転角度、つまり上記開き角度が検出可能に構成されている。すなわち、開き角度検出部23では、位置検出部23gが全ての一対の接点部材23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、及び23f1、23f2に対して、図示しない電源から電流供給を行い、ブリッジ部材23bを経て電流が流れた一対の接点部材を検出することによって、当該ブリッジ部材23bに電気的に接触している一対の接点部材の位置を判別し、開き角度を検出する。
【0071】
具体的にいえば、位置検出部23gが一対の接点部材23c1、23c2に電流が流れたことを判別すると、位置検出部23gは開き角度が10°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部23から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が10°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0072】
また、位置検出部23gが一対の接点部材23d1、23d2に電流が流れたことを判別すると、位置検出部23gは開き角度が20°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部23から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が20°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0073】
また、位置検出部23gが一対の接点部材23e1、23e2に電流が流れたことを判別すると、位置検出部23gは開き角度が30°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部23から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、表示部5の視野角が30°の開き角度に対応した視野角となるように、視野角制御装置15を制御する。
【0074】
また、位置検出部23gが一対の接点部材23f1、23f2に電流が流れたことを判別すると、位置検出部23gは開き角度が150°であることを検出する。その後、この開き角度の検出結果は、開き角度検出部23から主制御部9を経て表示制御部12に通知され、視野角制御部12cは、視野角制御装置15の電圧印加を停止させる。これにより、表示部5では、視野角制御装置15によって視野角が変更されることなく、液晶表示装置14による情報表示が行われる。
【0075】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、開き角度検出部23はブリッジ部材23bに電気的に接触した一対の接点部材の位置に基づいて、上記開き角度を精度よく検出することができる。
【0076】
尚、上記の説明では、回転軸に一体的に設けられた円盤の外周面上にブリッジ部材を設けた構成について説明したが、このブリッジ部材は回転軸の外周面側で当該回転軸と一体回転可能に設置されたものであればよく、例えば円盤を設けることなく、回転軸の外周面上にブリッジ部材を直接的に設ける構成でもよい。
【0077】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
例えば、上記の説明では、本発明を携帯電話に適用した場合について説明したが、本発明の携帯端末はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の携帯端末は、情報を表示するとともに、視野角を変更可能に構成された表示部を有する携帯端末において、表示部に対して、開閉可能に設けられた蓋部と、表示部及び蓋部が相対的に回転可能となるように、表示部及び蓋部の少なくとも一方が一体的に取り付けられた回転軸が設けられるとともに、表示部及び蓋部の少なくとも一方を回転させることによって、表示部と蓋部との間の開き角度を変更させる回転機構と、開き角度を検出する開き角度検出部と、開き角度検出部からの検出結果に基づいて、開き方向での表示部の視野角を変更する制御部とを備えているものであれば何等限定されない。具体的には、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末や携帯型のゲーム機や電子辞書などの各種携帯端末に本発明を適用することができる。
【0079】
また、上記の説明では、表示部を収納した第1の筐体の端部及び操作部が設けられた第2の筐体(蓋部)の端部を回転機構の回転軸に一体的に取り付けた構成について説明したが、本発明の携帯端末はこれに限定されるものではなく、表示部及び蓋部が相対的に回転可能となるように、表示部及び蓋部の少なくとも一方を回転軸に一体的に取り付けたものであればよい。
【0080】
また、上記の説明では、開き角度検出部が10°、20°、30°、及び150°の4つの開き角度を段階的に検出して、表示部の視野角を適宜変更する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば開き角度を連続的に検出可能なロータリエンコーダなどを開き角度検出部に含めるとともに、検出された開き角度に応じて、開き方向での表示部の視野角を徐々に変更する構成でもよい。
【0081】
また、上記の説明では、表示部に、情報を表示する情報表示用の表示装置と、視野角を制御する視野角制御用の視野角制御装置とを含めるとともに、これらの表示装置及び視野角制御装置に各々液晶パネルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、例えば有機EL(Electronic Luminescence)素子などの他の表示パネルを含んだ表示装置を用いることもできる。また、視差バリアやレンチキュラーレンズを含んだ視差素子を用いた視野角制御装置を使用することもできる。
【0082】
但し、上記の各実施形態のように、液晶パネルを表示装置及び視野角制御装置に各々用いる場合の方が、コンパクトで高性能な携帯端末を容易に構成することができる点で好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、表示部を小さい角度にて開いた場合でも、情報を視認することができる利便性に優れた携帯端末に対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる携帯電話を示す斜視図である。
【図2】(a)は通常表示モードで情報表示を行っている場合での上記携帯電話の側面図であり、(b)は覗き見表示モードで情報表示を行っている場合での上記携帯電話の側面図である。
【図3】上記携帯電話の要部構成を説明するブロック図である。
【図4】図3に示した表示部の具体的な構成例を説明する図である。
【図5】図3に示した表示制御部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図6】(a)は図3に示した開き角度検出部の具体的な構成例を説明する図であり、(b)は(a)に示したスリット付き円盤の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる携帯電話に用いられた開き角度検出部の具体的な構成例を説明する図である。
【符号の説明】
【0085】
1 携帯電話(携帯端末)
2 第1の筐体
3 第2の筐体(蓋部)
4 回転機構
4a 回転軸
5 表示部
12 表示制御部(制御部)
13 開き角度検出部
13a スリット付き円盤(角度センサ)
13b 投光部(角度センサ)
13c 受光部(角度センサ)
13d 受光位置検出センサ(角度センサ)
14 液晶表示装置(表示装置)
14a 液晶パネル
15 視野角制御装置
15a 液晶パネル
23 開き角度検出部
23b ブリッジ部材
23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2 一対の接点部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示するとともに、視野角を変更可能に構成された表示部を有する携帯端末であって、
前記表示部に対して、開閉可能に設けられた蓋部と、
前記表示部及び前記蓋部が相対的に回転可能となるように、前記表示部及び前記蓋部の少なくとも一方が一体的に取り付けられた回転軸が設けられるとともに、前記表示部及び前記蓋部の少なくとも一方を回転させることによって、前記表示部と前記蓋部との間の開き角度を変更させる回転機構と、
前記開き角度を検出する開き角度検出部と、
前記開き角度検出部からの検出結果に基づいて、開き方向での前記表示部の視野角を変更する制御部と
を備えていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記開き角度検出部にて検出された前記開き角度が10°以上30°以下の範囲の値であることが判別されると、前記制御部は、前記回転軸に垂直な方向から前記表示部を見たときに、当該表示部に表示されている情報が視認可能となるように、前記開き角度検出部にて検出された前記開き角度の値に応じて、前記開き方向での前記表示部の視野角を変更する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記開き角度検出部には、前記回転軸の回転角度を、前記開き角度として検出する角度センサが含まれている請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記開き角度検出部には、前記回転軸の外周面側で当該回転軸と一体回転可能に設置されたブリッジ部材と、前記回転軸の外周外方で当該回転軸の周方向に沿って互いに異なる位置に設けられるとともに、前記ブリッジ部材に電気的に接触可能に設置された複数組の一対の接点部材とが含まれている請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記表示部には、情報を表示する情報表示用の表示装置と、視野角を制御する視野角制御用の視野角制御装置とが含まれている請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記表示装置及び前記視野角制御装置には、各々液晶パネルが用いられている請求項5に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−130639(P2010−130639A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306535(P2008−306535)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】