説明

携帯端末

【課題】表示画面を1つとできると共に、多機能化に適切に対応できる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、第1筐体10、第2筐体20、第3筐体30の順に下から上へと重ねられてなる。第1筐体10と第2筐体20とをスライド可能に連結するスライド部40と、第2筐体20と第3筐体30とを第1回転軸C1を中心として回転可能に連結する第1ヒンジ部50と、第3筐体30を、第1回転軸C1に対して略直交する第2回転軸C2を中心として第2筐体20に対して回転可能とする第2ヒンジ部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機、PDA、スマートフォン等の携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスマートフォン等によって代表されるように、携帯端末に多機能が要求されるようになっている。従来の携帯端末の中には、ディスプレイユニットが長手方向にのみにスライド移動して開閉されるものがあるが、このような構成の場合、機能の多様化に対応し難いといった問題があった。
【0003】
このような問題を解消すべく、特許文献1においては、上下方向にスライド移動すると共に左右方向に折り畳まれるようにして、多様な機能を満たすことができる携帯端末が開示されている。図8は、従来の携帯端末の構成を示す概略斜視図で、図8(a)は携帯端末が閉じた状態、図8(b)は第2筐体が第1筐体に対してスライド移動することによって開かれた状態、図8(c)は第1筐体が第2筐体に対してヒンジを用いた回転を行うことによって開かれた状態を示している。
【0004】
図8に示すように、従来の携帯端末100は、第1筐体110と第2筐体120とを備える。第1筐体110は、前面にフロントディスプレイ113を有する上部筐体111と、上部筐体111に装着されてリアディスプレイ114を有する下部筐体112とから構成される。第2筐体120は、前面にキーパッド123を有する上部筐体121と、上部筐体121に装着されてバッテリが収納される下部筐体122とから構成される。
【0005】
第1筐体110と第2筐体120との間には、スライドモジュール(図8には、その一部のみが示されている)が備えられており、これにより、図8(b)や図8(c)の開いた状態が実現されるようになっている。なお、スライドモジュールは、第1筐体110のヒンジ連結部115に回転可能に連結されるヒンジ部材131と、ヒンジ部材131が固定されるスライド部材(図示せず)と、スライド部材がスライド移動可能に装着されて第2筐体120に固定されるスライドレール(図示せず)とから構成される。
【0006】
このような構成の場合、携帯端末100を通信モードで使用する場合にはスライド機構を用いてキーパッド123の一部を露出させた状態(図8(b)の状態)とし、動画像鑑賞やゲームモードで使用する場合にはヒンジを用いた回転動作により全てのキーパッド123を露出させた状態(図8(c)の状態)とするといった使い方ができる。このために、従来の携帯端末100は多様な機能を満たすことができるといった利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−116709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成の場合、次のような点で改善の余地があると考えられる。
【0009】
従来の携帯端末100において、図8(b)と図8(c)の開いた状態では、使用時のディスプレイ113、114の向きが異なるものと考えられる。すなわち、図8(b)の状態ではディスプレイ113を縦長の状態で使用し、図8(c)の状態ではディスプレイ114を横長の状態で使用するものと考えられる。にもかかわらず、図8(b)と図8(c)の状態でキーパッド123を共用する構成となっているため、いずれかの状態でキーパッド123が使用し難くなると考えられる。
【0010】
また、機能の多機能化の傾向から、キーパッド123のキー数をなるべく増やすことが望まれるが、従来の携帯端末100ではキー数を更に増やすことは難しい。また、従来の携帯端末100は、高価なディスプレイ113、114を2つ搭載する構成であり、コスト面で不利である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、表示画面を1つとできると共に、多機能化に適切に対応できる携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の携帯端末は、第1筐体、第2筐体、第3筐体の順に下から上へと重ねられてなる携帯端末であって、前記第1筐体と前記第2筐体とをスライド可能に連結するスライド部と、前記第2筐体と前記第3筐体とを第1回転軸を中心として回転可能に連結する第1ヒンジ部と、前記第3筐体を、前記第1回転軸に対して略直交する第2回転軸を中心として前記第2筐体に対して回転可能とする第2ヒンジ部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
本構成では、携帯端末が3つの筐体を備えると共に、スライド部によるスライド移動、及び、2種類のヒンジ部による回転動作が可能となっている。このために、3つの筐体のうち、2つを入力キーが設けられる筐体とし、残り1つを表示画面が1つ設けられる筐体とすることで、複数の状態への切り換えが可能な多機能の携帯端末を実現できる。そして、本構成の携帯端末は入力キーが設けられる筐体を2つとできるために、多機能化に対応して入力キーの数を増やし易いと共に、表示画面を使用する向きの変化(表示画面を縦長で使用するか、横長で使用するか)に対しても対応しやすい。
【0014】
上記構成の携帯端末において、前記第1回転軸は、前記スライド部のスライド方向に略平行であるのが好ましい。
【0015】
上記構成の携帯端末において、前記第1筐体には、前記スライド部を利用したスライド移動によって、隠された状態と露出された状態とを切換可能な第1入力キー群が設けられ、前記第2筐体には、前記第1ヒンジ部を利用した回転によって、隠された状態と露出された状態を切換可能な第2入力キー群が設けられ、前記第3筐体には表示画面が設けられることとしてもよい。
【0016】
更に上記構成の携帯端末において、前記表示画面は略長方形状であり、前記スライド部によるスライド方向、及び、前記第1回転軸は、前記表示画面の長手方向に略平行であることとしてもよい。
【0017】
このように構成した携帯端末は、例えば次のような使用方法ができる。すなわち、本構成の携帯端末は、長手方向へのスライド移動によって、例えばテンキーとして構成される第1入力キー群を露出させて電話として使用できる。また、本構成の携帯端末は、第1ヒンジ部による回転によって第2筐体に対して第3筐体を開いて、例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)のフルキーボードと同様の構成とされる第2入力キー群を露出させ、たくさんの文字を入力する作業(メール作成作業等)を行える。なお、第3筐体は第2筐体に対して回転可能であるために、この回転動作を利用して、文字の入力作業中も表示画面を見られるようにできる。更に、携帯端末の入力キー群及び表示画面を隠した状態とし、コンパクト且つ表示画面が保護された状態で携帯端末を持ち運ぶといった使い方もできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表示画面を1つとできると共に、多機能化に適切に対応できる携帯端末を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の携帯端末の概略構成を示す分解斜視図
【図2】本実施形態の携帯端末の第1使用形態を示す概略斜視図
【図3】本実施形態の携帯端末の第2使用形態を示す概略斜視図
【図4】本実施形態の携帯端末の第3使用形態を示す概略斜視図
【図5】本実施形態の携帯端末の第4使用形態を示す概略斜視図
【図6】本発明の他の実施形態を説明するための図
【図7】本発明の他の実施形態を説明するための図
【図8】従来の携帯端末の構成を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の携帯端末の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の携帯端末は、例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、PC(Personal Computer)、携帯型ゲーム機などとして実現される。
【0021】
図1は、本実施形態の携帯端末の概略構成を示す分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態の携帯端末1は、簡易操作部筐体10と、簡易操作部筐体10の上に重ねられる繁雑操作部筐体20と、繁雑操作部筐体20の上に重ねられる表示部筐体30と、を備えている。なお、簡易操作部筐体10、繁雑操作部筐体20、表示部筐体30は、順に、本発明の第1筐体、第2筐体、第3筐体の実施形態である。
【0022】
簡易操作部筐体10は例えば合成樹脂や金属によって形成され、その形状は略直方体形状となっている。この簡易操作部筐体10の上面10aの略半分の領域には、第1入力キー群11が設けられている。ユーザは、この第1入力キー群11を用いて、比較的少ない情報量の入力を行えばよい簡易操作を行えるようになっている。
【0023】
なお、図1に示す第1入力キー群11の構成は一例であり、携帯端末1が有する機能に合わせて、第1入力キー群11の構成は適宜変更してよい。
【0024】
繁雑操作部筐体20は例えば合成樹脂や金属によって形成され、その形状は略直方体形状となっている。本実施形態の携帯端末1においては、簡易操作部筐体10及び繁雑操作部筐体20を上方から平面視した場合、いずれも略長方形状であり、その縦及び横の長さは略同一となっている。
【0025】
この繁雑操作部筐体20の上面20aの大部分の領域には、第2入力キー群21が設けられている。この第2入力キー群21が有する入力キーの数は、簡易操作部筐体10に設けられる第1入力キー群11が有する入力キーの数より多くなっている。ユーザは、この第2入力キー群11を用いて、比較的多くの情報量を入力する繁雑操作を行えるようになっている。
【0026】
表示部筐体30は例えば合成樹脂や金属によって形成され、その形状は略直方体形状となっている。本実施形態の携帯端末1においては、上方から平面視した場合に、この表示部筐体30も簡易操作部筐体10と、その縦及び横の長さが略同一となっている。表示部筐体30には、その一面30aに略長方形状の表示画面31が配置されるように、例えば液晶ディスプレイ等で構成される表示ユニットが搭載されている。
【0027】
簡易操作部筐体10と繁雑操作部筐体20との間には、簡易操作部筐体10と繁雑操作部筐体20とを互いにスライド可能に連結するスライド部40が配置されている。スライド部40は、簡易操作部筐体10の短手方向に平行な方向の両端部に、平面視略コの字状に形成される係合凹部41aが形成される第1プレート41を有する。また、スライド部40は、第1プレート41の係合凹部41aに対応するように、2つの端部に係合突起42aが形成される第2プレート42とを有する。
【0028】
第2プレート42の係合突起42aを第1プレート41の係合凹部41aに嵌め込むことによって、第1プレート41と第2プレート42とは互いにスライド可能に連結される。第1プレート41は、簡易操作部筐体上面10aの第1入力キー群11が設けられない略半分の領域に固定配置される。また、第2プレート42は、繁雑操作部筐体20の下面20bの広い範囲に亘って固定配置される。このため、簡易操作部筐体10と繁雑操作部筐体20とは、互いにスライド可能に連結されることになる。スライド範囲については、例えば適当な位置にストッパー部材を配置することで調整すればよい。
【0029】
なお、閉じた状態から開いた状態へ、或いは開いた状態から閉じた状態へとスライド移動にて形態変更する構成を採用するにあたっては、開又は閉方向に押すと、その後は自動でスライド移動するといった構成にするのが好ましい。このため、スライド部40には、このような自動スライドを可能とする付勢ユニットが含まれるのが好ましい。なお、ここでは、閉じた状態とは繁雑操作部筐体20によって第1入力キー群11が隠された状態を指し、開いた状態とは第1入力キー群11が露出された状態を指している。
【0030】
繁雑操作部筐体20の長手方向の一側面には、略円柱状の第1軸部51が設けられている。この第1軸部51は繁雑操作部筐体20に対して固定状態であればよく、繁雑操作部筐体20と一体的に設けてもよいし、別部材を繁雑操作部筐体20に固定配置してもよい。
【0031】
一対の軸受け部52a、及び、この一対の軸受け部52aを連結する連結部52bからなる回転部材52は、一対の軸受け部52aが第1軸部51の両端に嵌め込まれることによって、第1軸部51に対して回転可能に支持されている。なお、この回転部材52は、第1軸部51の中心を通る第1回転軸C1を中心として回転可能となっている。
【0032】
また、回転部材52の連結部52bには、表示部筐体30に固定配置される第2軸部53が、その中心を通る第2回転軸C2を中心として回転可能に支持されている。第2軸部53は、表示部筐体30と一体的に設けられてもよいし、表示部筐体30とは別部材としてもよい。なお、第2軸部53の中心を通る第2回転軸C2が第1回転軸C1に対して略直交するように第2軸部53は設けられている。
【0033】
このため、繁雑操作部筐体20と表示部筐体30とは、第1軸部51と回転部材52とを用いて構成される第1ヒンジ部50によって、第1回転軸C1を中心として回転可能に連結された状態となっている。また、表示部筐体30は、第2軸部53と回転部材52とを用いて構成される第2ヒンジ部60によって、第2回転軸C2を中心として繁雑操作部筐体20に対して回転可能となっている。
【0034】
なお、本実施形態では、第1ヒンジ部50及び第2ヒンジ部60を用いた繁雑操作部筐体20に対する表示部筐体30の回転範囲は、いずれも略180°の範囲としているが、この回転範囲は適宜変更可能である。回転範囲については、例えば適当な位置にストッパー部を設けて調整すればよい。
【0035】
また、第1ヒンジ部50は、繁雑操作部筐体20に対する表示部筐体30の角度を任意の位置で止められるフリーストップ機能を有する構成とするのが好ましい。第2ヒンジ部60によって繁雑操作部筐体20に対して回転される表示部筐体30は、回転角が0°と180°の位置で使うのが通常であるため、必ずしもフリーストップ機能は必要ない。ただし、ユーザが支えなくても回転角が0°及び180°の位置を維持できるように、第2ヒンジ部60を構成するのが好ましい。
【0036】
ところで、本実施形態の携帯端末1においては、簡易操作部筐体10及び繁雑操作部筐体20に設けられる入力キー群11、21によって入力された情報を表示部筐体30に送る必要がある。このために、簡易操作部筐体10内に設けられる電子回路(図示せず)をフレキブルプリント基板(図示せず)で繁雑操作部筐体20内に設けられる電子回路(図示せず)に電気的に接続している。また、繁雑操作部筐体20内に設けられる電子回路を、その一部が第1ヒンジ部50及び第2ヒンジ部60に組み込まれるフレキシブルプリント基板(図示せず)で表示部筐体30内に設けられる電子回路(図示せず)に電気的に接続している。
【0037】
次に、以上のように構成される本実施形態の携帯端末1の各種使用形態を示しながら、その動作について説明する。
【0038】
図2は、本実施形態の携帯端末の第1使用形態を示す概略斜視図である。この第1使用形態では、簡易操作部筐体10の四隅と繁雑操作部筐体20の四隅とが平面視略同一位置となるように重ねられ、簡易操作部筐体10に設けられる第1入力キー群11は繁雑操作部筐体20によって覆い隠された状態となっている。また、繁雑操作部筐体20の四隅と表示部筐体30の四隅とについても同様に重ねられ、繁雑操作部筐体20に設けられる第2入力キー群21が表示部筐体30によって覆い隠された状態となっている。なお、表示部筐体30は、表示画面31が設けられる面30a(図1参照)の裏面30bが外面に向けられた状態(表示画面31と第2入力キー群21が対向した状態)となっている。
【0039】
この第1使用形態は、入力キー群11、21が覆い隠された状態であり、例えば携帯端末1を使用せずに持ち運ぶ場合等に便利な状態である。この第1使用形態は表示画面31が内側に隠された状態であるために、持ち運び時に表示画面31を保護できるといった利点も有する。
【0040】
図3は、本実施形態の携帯端末の第2使用形態を示す概略斜視図である。この状態は、図2に示す第1使用形態から、表示部筐体30を繁雑操作部筐体20に対して第1回転軸C1(図1参照)を中心として回転することによって得られる。換言すると、この回転動作は、第1軸部51に対して、表示部筐体30が連結される回転部材52を回転させることによって得られる。すなわち、この回転動作は、第1軸部51及び回転部材52を用いて構成される第1ヒンジ部50によって可能となる。
【0041】
この第2使用形態は、多くの入力キーを有する第2入力キー群21が露出された状態であり、更に表示画面31を見ることもできる。このため、この第2使用形態は、例えば正面にある表示画面31(横長状態の表示画面)を見ながら手前にある第2入力キー群21を用いて、長文のメールを作成するといった使い方等に便利な状態である。このために、本実施形態の携帯端末1においては、第2入力キー群21を、例えばパーソナルコンピュータのフルキーボードと同様の入力キー群とするのが好ましい。
【0042】
図4は、本実施形態の携帯端末の第3使用形態を示す概略斜視図である。この状態は、図3に示す第2使用形態から、表示部筐体30を繁雑操作部筐体20に対して第2回転軸C2(図1参照)を中心として180°回転し、その後、表示部筐体30を繁雑操作部筐体20に対して第1回転軸C1を中心として回転して閉じた状態とすることによって得られる。ここで、閉じた状態とは、繁雑操作部筐体20の四隅と表示部筐体30の四隅とが平面視略同一位置となるように重ねられ、繁雑操作部筐体20に設けられる第2入力キー群21が覆い隠された状態を指している。
【0043】
上述の回転動作を別の表現で説明すると、第2使用形態から、まず、回転部材52に対して、表示部筐体30に固定される第2軸部53(図1参照)を180°回転させる。その後、第1軸部51に対して、表示部筐体30が連結される回転部材52を閉じた状態となる方向に回転させることによって、第3使用形態は得られる。すなわち、第2使用形態から第3使用形態を得るにあたっては、第2軸部53及び回転部材52を用いて構成される第2ヒンジ部60(図1参照)、第1軸部51及び回転部材52を用いて構成される第1ヒンジ部50の機能を順に使用することになる。
【0044】
この第3使用形態では、ユーザは表示画面31を見ることはできるが、入力キー群11、21は隠された状態であるために入力操作はできない。この第3使用形態は、例えば、携帯端末1を使用しない待機状態として使用したり、動画像鑑賞の場合のように入力キー群11、21を隠した状態で表示画面31を見たりするといった使い方に便利な状態である。
【0045】
図5は、本実施形態の携帯端末の第4使用形態を示す概略斜視図である。この状態は、図4に示す第3使用形態から、簡易操作部筐体10を繁雑操作部筐体20に対して(繁雑操作部筐体20を簡易操作部筐体10に対して、と言い換えてもよい)長手方向にスライド移動することによって得られる。換言すると、このスライド動作は、簡易操作部筐体10に固定される第1プレート41を、繁雑操作部筐体20に固定される第2プレート42に対して長手方向にスライド移動することによって得られる。すなわち、このスライド動作は、第1プレート41及び第2プレート42を用いて構成されるスライド部40によって可能となる。
【0046】
この第4使用形態は、比較的少ない入力キーを有する第1入力キー群11が露出された状態であり、更に表示画面31を見ることもできる。このため、この第4使用形態は、例えば、表示画面31(縦長状態の表示画面)を見ながら手前にある第1入力キー群11を用いて、電話をかけたり、携帯端末1の設定変更をしたりといった使い方に便利な状態である。第1入力キー群11は簡易操作のために備えられるものであるために、例えばテンキーのような形態としてもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態の携帯端末1は、入力キー群が設けられる筐体を2つ有するために、携帯端末の機能の多機能化に合わせて入力キー数を増やし易い。そして、2つの筐体に設けられる入力キー群を異なる方法で隠された状態から露出された状態とする構成であるために、表示画面31が縦長状態で使用される場合と、横長状態で使用される場合とのそれぞれに対応した入力キー群を用意しやすい。また、携帯端末1が有する表示画面が1つであるにもかかわらず、多様な使用ができるといった利点も有する。
【0048】
以上に示した実施形態は本発明が適用される携帯端末の例示であって、本発明が適用される携帯端末の実施形態は以上に示した構成に限定されないのは言うまでもない。
【0049】
例えば、携帯端末1は、以上に示した4つの使用形態に加えて、次のような使用形態に切り換えられるようにしてもよい。すなわち、図3に示す第2使用形態において、簡易操作部筐体10を繁雑操作部筐体20に対してスライド移動して、第1入力キー群11を露出させた形態に切り換えられるようにしてもよい。これにより、多数の入力キーを用いて行う繁雑操作の幅が広がる。
【0050】
ただし、このような使い方をする場合には、第1入力キー群11について、表示画面31を横長状態とした場合と縦長状態とした2つの場合に対応する構成とする必要がある。具体的には、例えば、入力キー上、或いは、入力キー間に、表示画面31の縦長及び横長に対応した表示を施す等の構成を採用することが挙げられる。
【0051】
また、以上に示した実施形態では、スライド部40を用いた筐体のスライド方向と、筐体が第1ヒンジ部50によって回転される際の回転軸(第1回転軸C1)とが、略平行である構成とした。しかし、図6に示す携帯端末2のように、筐体のスライド方向Sと第1回転軸C1とが、略直交する構成としても構わない。
【0052】
また、本発明の第1ヒンジ部の構成は、以上に示した実施形態に限定されない。すなわち、図7に示すように、第1ヒンジ部50は、繁雑操作部筐体20に固定配置される一対の軸受け部54と、この一対の軸受け部54に対して回転可能に支持される軸部材55とを用いて構成してもよい。この場合、第2ヒンジ部60は、図7に示すように、表示部筐体30に固定される軸部56(本実施形態の第2軸部53と同様)と、この表示部筐体30に固定される軸部56を回転可能に支持する、第1ヒンジ部60を構成する上述の軸部材55と、を用いて構成すればよい。
【0053】
また、以上に示した実施形態では、第1ヒンジ部50を繁雑操作部筐体20の長手方向の一側面に設ける構成としたが、この第1ヒンジ部50を繁雑操作部筐体20の短手方向に設ける構成としても構わない。この場合は、繁雑操作部筐体20に対する簡易操作部筐体10のスライド方向は短手方向としてよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば携帯電話機、PDA、スマートフォン等のモバイル機器に代表される携帯端末に対して好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 携帯端末
10 簡易操作部筐体(第1筐体)
11 第1入力キー群
20 繁雑操作部筐体(第2筐体)
21 第2入力キー群
30 表示部筐体(第3筐体)
31 表示画面
40 スライド部
41 第1プレート(スライド部の一部)
42 第2プレート(スライド部の一部)
50 第1ヒンジ部
51 第1軸部(第1ヒンジ部の一部)
52 回転部材(第1ヒンジ部の一部、且つ、第2ヒンジ部の一部)
53 第2軸部(第2ヒンジ部の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体、第2筐体、第3筐体の順に下から上へと重ねられてなる携帯端末であって、
前記第1筐体と前記第2筐体とをスライド可能に連結するスライド部と、
前記第2筐体と前記第3筐体とを第1回転軸を中心として回転可能に連結する第1ヒンジ部と、
前記第3筐体を、前記第1回転軸に対して略直交する第2回転軸を中心として前記第2筐体に対して回転可能とする第2ヒンジ部と、を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第1回転軸は、前記スライド部のスライド方向に略平行であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1筐体には、前記スライド部を利用したスライド移動によって、隠された状態と露出された状態とを切換可能な第1入力キー群が設けられ、
前記第2筐体には、前記第1ヒンジ部を利用した回転によって、隠された状態と露出された状態を切換可能な第2入力キー群が設けられ、
前記第3筐体には表示画面が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記表示画面は略長方形状であり、
前記スライド部のスライド方向、及び、前記第1回転軸は、前記表示画面の長手方向に略平行であることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66477(P2011−66477A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212807(P2009−212807)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】