説明

携帯端末

【課題】筺体の外面に施されたデザインを損ねることなく、筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済むようにする。
【解決手段】アンテナを介して無線通信を行う携帯端末であって、アンテナの少なくとも一部分が当該携帯端末の筺体外面に貼付され、アンテナの筺体外面に貼付された部分が透明である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
770MHz以下の低周波数の電波に対応したアンテナでは、高周波数の電波に対応したアンテナに比べて長い素子長が必要となる。
【0003】
例えばデジタルテレビ放送の電波の下限周波数である470MHzに対応するアンテナの場合、1/4波長のモノポールアンテナで160mm程度の素子長が必要となる。また、FM放送の下限周波数である76MHzに対応するアンテナの場合、1/4波長のモノポールアンテナで990mm程度の素子長が必要となる。
【0004】
低周波数の電波に対応したアンテナを携帯電話機等の携帯端末に設ける場合、携帯端末の筺体内に内蔵される内蔵アンテナと、引き出し形の単一または多段のロッドアンテナとを組み合わせる。なお、ロッドアンテナは、収納時には携帯端末の筐体内に格納される。そのため、内蔵アンテナ用のスペースとロッドアンテナの収納用のスペースとを携帯端末の筺体内に確保する必要がある。
【0005】
ところが、近年、携帯端末の小型化が進んできており、アンテナ用のスペースを携帯端末の筺体内に確保することが難しくなってきている。
【0006】
筺体内に確保するアンテナ用のスペースをできるだけ小さくするために、素子に誘電体短縮を利用したり、素子を折り返す等コンパクト化したりすることが行われている。それでも、筺体の大きさに対して相対的に大きなスペースをアンテナ用として筺体内に確保する必要がある。
【0007】
そこで、携帯端末の筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済むようにするための技術が求められ、このような技術が例えば特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1に開示されている技術では、小型携帯機器の外装筺体に、導電層からなる平面アンテナを形成している。これにより、携帯端末の筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済むようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−221610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1に開示されている技術では、装飾フィルムによって平面アンテナを隠蔽している。この場合、装飾フィルムによって携帯端末の筺体の外面に施されたデザインを損ねてしまうという問題点がある。
【0011】
本発明は、筺体の外面に施されたデザインを損ねることなく、筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済む携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の携帯端末は、アンテナを介して無線通信を行う携帯端末であって、
前記アンテナの少なくとも一部分が当該携帯端末の筺体外面に貼付され、
前記アンテナの前記筺体外面に貼付された部分が透明である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上説明したように構成されているので、筺体の外面に施されたデザインを損ねることなく、筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済むようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯端末の実施の一形態の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の携帯端末の実施の一形態の構成を説明するための図であり、(a)は携帯端末である携帯電話機の外観を示す斜視図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0017】
なお、ここでは、折りたたみ式の携帯電話機を携帯端末の一例として説明するが、携帯電話機は、折りたたみ式に限定されない。
【0018】
また、携帯端末は携帯電話機に限定されない。携帯端末としては携帯電話機以外にも例えば、無線通信機能を有する小型のゲーム機及び音楽再生装置や、PDA(Personal Data Assistants)等が考えられる。
【0019】
本実施形態では図1(a)に示すように、携帯電話機10の筺体の外面に透明フィルム11が貼付されている。そして、透明フィルム11上には、図1(b)に示すように、アンテナとして機能する透明電極12が形成され、透明フィルム11と透明電極12とから透明電極フィルム13が構成されている。
【0020】
透明フィルム11は例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルムである。
【0021】
透明電極12としては例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性を有する透明電極材料が用いられている。
【0022】
また、透明電極12は、メアンダ状に形成されている。メアンダ状とは、クランク状に蛇行させた形状のことである。アンテナをメアンダ状にすることにより、アンテナを小型化することができる。但し、透明電極12は必ずしもメアンダ状に形成されていなくてもよく、アンテナを小型化でき、無線通信の性能を劣化させない形状であれば、透明電極12を他の形状に形成してもよい。
【0023】
また、透明電極12の給電点は、携帯電話機10の筺体内にあり、筺体内の回路基板(不図示)等とピン(不図示)等によって接続される。これにより、透明電極12へ給電される。
【0024】
ここでは、アンテナの全ての部分を透明電極で形成して携帯電話機10の筺体の外面に貼付した場合について説明したが、アンテナの一部分だけを透明電極で形成し、透明電極で形成された部分だけを携帯電話機10の筺体の外面に貼付してもよい。
【0025】
このように本実施形態では、アンテナの少なくとも一部分が携帯電話機10の筺体外面に貼付され、筺体外面に貼付された部分が透明となっている。
【0026】
これにより、筺体の外面に施されたデザインを損ねることなく、筺体内にアンテナ用の大きなスペースを確保しなくても済むようになる。特に、770MHz以下の低周波数の電波に対応したアンテナを備えた携帯端末において顕著な効果が期待できる。
【符号の説明】
【0027】
10 携帯電話機
11 透明フィルム
12 透明電極
13 透明電極フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して無線通信を行う携帯端末であって、
前記アンテナの少なくとも一部分が当該携帯端末の筺体外面に貼付され、
前記アンテナの前記筺体外面に貼付された部分が透明である携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記アンテナの前記筺体外面に貼付された部分がメアンダ状に形成された携帯端末。

【図1】
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【公開番号】特開2012−65034(P2012−65034A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205794(P2010−205794)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】