説明

携帯通信端末

【課題】 従来は、メール1件毎に保護の設定を行う手動操作の必要があり、操作性、利便性に問題がある。また、格納エリアの確保のため、保存しておきたかった既読のメールを消失してしまうことがある。
【解決手段】 送信元のアドレス、ドメイン及びメールの件名のうちの少なくともいずれか一の項目の中の任意の情報を保護又は削除のための項目として予め設定しておく。これにより、(C)の受信メール一覧表示において、件名が<★重要★>の受信メールを選択して「確定」ボタンを押下すると、表示画面が(D)に示すように、件名が<★重要★>の受信メールの、送信者、送信日時、件名、メール本文などが表示される。ここで、この受信メールの送信者のメールアドレスは、予めユーザが保護設定したメールアドレスと同一であるため、この受信メールが自動的に保護設定され、消去不可とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯通信端末に係り、特にメール送受信機能を有する携帯電話等の携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のメール機能の利便性が向上している昨今、受信するメールの件数も上がる傾向にある。一方、携帯電話機のメール件数は原資となるメモリ容量に限りがあるため、最大登録件数に至っている状態で新たにメールを受信する場合、未読のメールや保護設定をしているメールは自動で消去されることはないが、既読メールについてはタイムスタンプの古いものより順次自動的に消去を行い、格納エリアを確保する。また、より有用なメールの情報は「得たい、残したい」といった要求がある。
【0003】
そこで、従来の携帯電話機では、例えば、図7に示す設定手順で有用なメールの保護を行っている。すなわち、携帯電話機の表示部の画面に図7(A)に示すようにメール表示を表示させた状態で1番目の「受信メール」を選択して確定キーを押下すると、表示画面が図7(B)に示す受信フォルダ一覧表示に切り替わる。
【0004】
この受信フォルダ一覧では、例として未読メールが220件、既読メールが115件、保護メールが55件収納されていることがアイコン表示にて示されている。この受信フォルダ一覧の表示において、図7(B)に示すように「受信BOX」を選択して確定キーを押下すると、表示画面が図7(C)に示すように、受信したメールの一覧(ただし、ここでは、そのうちの4件)が表示される。
【0005】
ここでは、未読メールとして、件名が<★重要★>が選択されているが、この状態で更に確定キーを押下することで、図7(D)に示すように、その本文が表示される。上記の本文表示後に前の画面(受信したメールの一覧画面)に戻ると、図7(E)に示すように、未読メールの数は220件から219件に、既読メールの数は115件から116件に更新されている。
【0006】
一方、受信メールを保護設定する場合は、図7(C)に示す画面又は同図(D)に示す画面にて、「Menu」のボタンを選択すると、同図(F)に示すような受信メールメニューが表示される。この受信メールメニューの画面内の4番目の項目の「保護」を選択して確定キーを押下すると、画面は図7(G)に示すように、受信BOXの受信メール一覧の画面に切り替わるが、ここでは、未読メールの数は220件から219件に、保護メールの数は115件から116件に更新されており、また、件名が<★重要★>のメールは保護されている旨のアイコンが対応して表示されている。このようにして、この従来の携帯電話機では、有用なメールの保護を設定することはできる。
【0007】
一方、重要な電子メールを書き換え不可に原本として保管することにより、メールの消失を防止する機能を備えた携帯通信端末も従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の従来の携帯電話機によれば、メールの重要度、宛先、発信者、件名、発信日時、文書内容などからなるメール情報の重要度情報を参照して重要文書であれば、管理番号を取得して書き換え不可の状態で装置内に保管される。
【0008】
【特許文献1】特開平10−93620号公報(第4−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7と共に説明した従来の携帯通信端末では、メール1件毎に上記の画面遷移と保護の設定を行う手動操作の必要があり、操作性、利便性に問題がある。また、未読のメールや保護設定をしているメールは自動で消去されることはないが、この従来の携帯通信端末では、既読のメールはタイムスタンプの古いものより順次自動的に消去され、格納エリアの確保に充てられる。そのため、保存しておきたかった既読のメールを消失してしまうことがある。
【0010】
また、特許文献1記載の従来の携帯通信端末では、重要文書であるメールについては、管理番号を取得して書き換え不可の状態で装置内に保管されるようにしているため、メモリ容量に限りがある携帯通信端末では、最大登録件数に至っている状態で新たにメールを重要文書に指定することはできず、よって、登録されている重要文書の中から不要なメールを選択して消去を行い、格納エリアを確保しなければならず、その作業が面倒であり、また、手動のため利便性に難がある。また、受信メールの送信者のアドレス、ドメイン、件名などに基づいて受信者が設定することについての記載は全く存在しない。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、有用なメールとそうでないメールを優先順位をつけることで分類し、キーワードの一致をもって優先順位の高いメールは保護設定を行い、優先順位の低いメールは必要に応じて自動的にメール削除を行うことで、利便性の向上及び限りのあるメールを格納するメモリの容量の確保を両立し得る携帯通信端末を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の他の目的は、受信者が所定の情報に基づいて、受信メールの保護設定を行い得る携帯通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、優先的に保護する受信メールの項目を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、優先的に削除する受信メールの項目を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、受信したメールの本文を確認した後、受信したメールの項目の内容が、保護メール項目設定手段により設定された受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールを自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、受信したメールの本文を確認した後、受信したメールの項目の内容が、削除メール項目設定手段により設定された受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールを自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
この発明では、予め設定した優先的に保護する受信メールの項目の内容と一致する項目の内容を有する受信メールは、メール本文確認後に自動的に保護設定し、予め設定した優先的に削除する受信メールの項目の内容と一致する項目の内容を有する受信メールは、メール本文確認後に自動的に削除設定することができる。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、優先的に保護する受信メールの項目を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、優先的に削除する受信メールの項目を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、受信したメールの項目の内容が、保護メール項目設定手段により設定された受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールの本文を確認する前に自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、受信したメールの項目の内容が、削除メール項目設定手段により設定された受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールの本文を確認する前に自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明では、予め設定した優先的に保護する受信メールの項目と一致する項目の内容を有する受信メールは、メール本文確認前に自動的に保護設定し、予め設定した優先的に削除する受信メールの項目の内容と一致する項目の内容を有する受信メールは、メール本文確認前に自動的に削除設定することができる。
【0017】
ここで、上記の削除設定手段は、予め任意に設定したタイミングで、削除設定した受信メールを削除するようにしてもよい。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の保護メール項目設定手段が設定する受信メールの項目、及び削除メール項目設定手段が設定する受信メールの項目は、送信元のアドレス、ドメイン及びメールの件名のうちの少なくともいずれか一の項目であり、上記の保護設定手段及び削除設定手段は、受信したメールの項目の内容が、設定された複数の受信メール項目の内容のどれか一つと一致するときは、その受信メールを自動的に保護設定又は削除設定することを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、優先的に保護する送信メールの項目を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、優先的に削除する送信メールの項目を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、送信するメールのデータが、保護メール項目設定手段により設定された送信メール項目及び内容と一致するときは、その送信メールを自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、送信するメールのデータが、削除メール項目設定手段により設定された送信メール項目及び内容と一致するときは、その送信メールを自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明では、送信メールのデータが、予め設定した優先的に保護する送信メールの項目と一致するときは、自動的に保護設定し、予め設定した優先的に削除する送信メールの項目と一致するときは、自動的に削除設定することができる。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、保護メール項目設定手段が設定する送信メールの項目、及び削除メール項目設定手段が設定する送信メールの項目は、送信先のアドレス、ドメイン及びメールの件名のうちの少なくともいずれか一の項目であり、保護設定手段及び削除設定手段は、送信するメールのデータが、設定された複数の送信メール項目及び内容のどれか一つと一致するときは、その送信メールを自動的に保護設定又は削除設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、予め設定した優先的に保護する受信メールの項目の内容と一致する項目の内容を含む受信メールは、メール本文確認後又は確認前に自動的に保護設定し、予め設定した優先的に削除する受信メールの項目の内容と一致する項目の内容を有する受信メールは、メール本文確認後又は確認前に自動的に削除設定するようにしたため、送受信するメールを記憶する記憶回路の容量に一定の制限がある携帯通信端末において、必要最小限のメールだけを記憶することができ、メールを格納するメモリの空き容量を確保することができ、また、保護設定や削除設定は自動的に行われるので利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる携帯通信端末の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、携帯通信端末の一実施の形態である携帯電話機10は、電話番号やメールアドレスの入力、メール本文の作成、送受信操作その他の各種の操作を行うために用いる複数のキー群からなるキーボードと、最寄りの基地局(図示せず)との間で無線通信するための無線系回路102と、送受信するメール本文の表示その他各種の画像の表示を行うためのディスプレイ103と、この携帯電話機10の全体を統括的に制御する制御系回路104と、制御系回路104に所要の動作を行わせるためのプログラムや、受信したメールや、電話帳データなどを格納する記憶回路105と、マイク107から送話音声信号の処理及び受信した音声信号をスピーカ108から発音させるための音声処理を行う音声系回路106と、マイク107及びスピーカ108と、時刻を計時する時計回路109とから構成されている。
【0024】
この実施の形態の携帯電話機10が網からメールを受信する場合、網から最寄りの基地局を介して無線系回路102にてメール信号である変調データを受信し、制御系回路104にてその変調データを復調して受信メールデータを取得し、その受信メールデータを記憶回路105に格納する。また、制御系回路104はディスプレイ103にメール受信を表示すると共に音声系回路106を介してメール受信を表す着信音をスピーカ108より鳴動する。ユーザはこのスピーカ108からの着信音によりメール受信を知ると、キーボード101にてディスプレイ103のガイダンスに従い受信したメールを読むことができる。
【0025】
一方、新規のメールを作成し、送信する際は時計回路109より時刻情報を取得し、送信時刻として宛先、件名、メール本文と共に記憶回路105に保存した後、作成した宛先、件名、メール本文、送信時刻等からなるメールデータを、所定の信号形態に変調した後、無線系回路102で送信信号に変換させて送信させる。
【0026】
この送信メールデータは、基地局から網へ伝送されて、例えばプロバイダの受信メールサーバで受信されて受信メールボックスに格納される。その後、そのメールデータの宛先の携帯通信端末がプロバイダへのアクセスを行い、自分宛のメールデータを受信してディスプレイに表示する。なお、ユーザは発信者の電話番号やメールアドレス及び操作に関する諸設定を記録回路105に保存することができる。
【0027】
次に、本発明における携帯通信端末の機能設定例について図面と共に説明する。まず、本実施の形態の携帯電話機によるメールの既読後に保護設定を行うための条件設定の手順について、図2と共に説明する。図1のディスプレイ103に表示されている受信フォルダの画面から、キーボード101を操作してメニューを選択すると、制御系回路104は記憶回路105に予め記憶されているプログラムに従い、ディスプレイ103に図2(A)に示す受信フォルダメニューを表示する。
【0028】
この受信フォルダメニュー画面の4番目の項目の「優先保護」を図2(A)に示すように反転表示して選択してから、キーボード101を操作して「確定」ボタンを押下すると、図2(B)に示すように、優先保護の画面がディスプレイ103に表示される。ここでは、「1」アドレス指定、「2」ドメイン指定、「3」件名キーワードの表示があり、ここでの設定条件と受信メールの各データに一部でも一致があった場合は、メールの本文確認に保護の設定が自動でかかる機能としている。
【0029】
ここでは、一例として図2(C)に示す1名のアドレスを指定して、そのアドレスの優先保護設定を行う場合が示されている。同様にして、ユーザが希望するドメインの優先保護設定も可能であり、また、ユーザが希望する件名キーワードの優先保護設定も、図2(B)に示す優先保護の画面から設定可能である。
【0030】
次に、本実施の形態の携帯電話機による図2(C)にて保護設定したメールアドレスを含んだ受信メールの本文を確認した際の保護動作について、図3と共に説明する。携帯電話機のディスプレイ103の画面に図3(A)に示すようにメール表示を表示させた状態で1番目の項目の「受信メール」を反転表示して選択してから、キーボード101を操作して表示されている「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図3(B)に示す受信フォルダ一覧表示に切り替わる。
【0031】
この受信フォルダ一覧では、例として未読メールが220件、既読メールが115件、保護メールが55件収納されていることがアイコン表示にて示されている。この受信フォルダ一覧の表示において、図3(B)に示すように「受信BOX」を選択して「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図3(C)に示すように、受信したメールの一覧(ただし、ここでは、そのうちの4件)が表示される。
【0032】
この受信メール一覧表示において、件名が<★重要★>の受信メールを反転表示して選択してから、表示されている「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図3(D)に示すように、件名が<★重要★>の受信メールの、送信者、送信日時、件名、メール本文などが表示される。以上の図3(A)〜(D)に示す操作及び画面の遷移は、図7(A)〜(D)に示した従来の携帯電話機の操作及び画面の遷移と同様であるが、本実施の形態では、この受信メールの送信者のメールアドレスは、図2(C)にて保護設定したメールアドレスと同一であるため、制御系回路104が記憶回路105に格納されているプログラムに従い、この受信メールが自動的に保護設定され、消去不可とされる。
【0033】
このため、図3(D)の画面から受信BOXの画面に戻ると、図3(E)に示すように、未読メールの数は220件から219件に、既読メールの数は115件から116件に更新されており、また、件名が<★重要★>の受信メールの先頭のアイコンが、図3(C)に示した未読のアイコンから保護設定されたメールであること示すアイコンに変わっており、従来必要であった保護設定の操作をすること無しに自動的に保護設定となったことが分かる。
【0034】
次に、本実施の形態による受信BOXの一覧表示を行う際のアイコン表示の判定処理の一例について、図4のフローチャートと共に説明する。図1に示した制御系回路104は、ディスプレイ103に図3(D)に示した受信メールの本文を表示している状態において、表示されている既読の受信メールのステータスフラグ(メールフラグ)が「保護」を示しているか否か判定し(ステップS1)、既に「保護」の設定であった場合は、何もせずそのまま、処理を終了する。保護設定が無かった場合は、優先保護設定があるかどうかの判定を行う(ステップS2)。ここで、優先保護設定が何も無い場合は、ステータスフラグ(メールフラグ)を「既読」に設定し(ステップS12)、処理を終了する。
【0035】
一方、制御系回路104はステップS2で優先保護設定が何らかあると判定した場合は、アドレス指定があるか否か判定し(ステップS3)、アドレス指定があるときには、記憶回路105に設定されているアドレスと一致するかの照合及び一致判定を行い(ステップS4、S5)、一致していればステータスフラグ(メールフラグ)を「保護」に設定し(ステップS6)、処理を終了する。ステップS3でアドレス指定がないと判定された場合、又はステップS5でアドレスが一致しないと判定された場合は、制御系回路104はドメインの指定があるかどうか判定し(ステップS7)、ドメイン指定があるときには設定されているドメインと一致するかの照合及び一致判定を行い(ステップS8、S9)、一致していればステータスフラグ(メールフラグ)を「保護」に設定し(ステップS6)、処理を終了する。
【0036】
ステップS7でドメイン指定がないと判定された場合、又はステップS9でドメインが一致しないと判定された場合は、制御系回路104は記憶回路105に設定されている件名キーワードとステータスフラグ(メールフラグ)とを照合し(ステップS10)、設定されている件名キーワードと一致するか判定を行い(ステップS11)、一致していればステータスフラグ(メールフラグ)を「保護」に設定し(ステップS6)、処理を終了し、一致していなければ、ステータスフラグ(メールフラグ)を「既読」に設定し(ステップS12)、処理を終了する。
【0037】
このように、本実施の形態では、ディスプレイ103に本文が表示されている受信メールのステータスフラグにて「未読」、「既読」、「保護」に分類され、更に本文表示後は「既読」、「保護」のどちらかに分類される。これにより、ディスプレイ103に本文が表示されている受信メールが既に保護設定されている時は何もせず、保護設定されていないメールが表示されている場合に、アドレス指定、ドメイン指定又は件名キーワードにより保護設定した場合は、その表示メールのステータスフラグ(メールフラグ)に基づいて、保護設定したアドレス、ドメイン又は件名キーワードと一致する場合は、自動的に保護設定することができる。
【0038】
なお、上記の説明では、受信メールの既読後の自動保護について設定例を記載したが、「保護」を「削除」に置き換えることで、メールの削除についても同様の処理が実現できる。すなわち、重要なメールであっても、それを削除しないでいつまでも保存しておくと、保存するメール数が増加し、いつかは記憶回路105のメモリ容量をオーバーしてしまう。
【0039】
そこで、本実施の形態では、メモリ容量を確保するため、図2(A)に示した受信フォルダメニュー画面の5番目の項目の「優先削除」を選択してから、キーボード101を操作して「確定」ボタンを押下して、例えば、アドレス指定、ドメイン指定、及び件名キーワードのうちのいずれかで設定できるようにし、その設定条件と受信メールの各データに一部でも一致があった場合は、メールの本文確認後にそのメールを自動的に削除することができるようにしている。これにより、受信日時は新しくても、優先順位の低い受信メールを優先的に削除することができる。
【0040】
この場合、削除のタイミングは、メール本文確認後の削除設定により直ちに削除してもよいし、記憶回路105に記憶されているメールの容量が予め設定した閾値以上になってから、あるいはユーザに削除するか否かの選択画面表示後のユーザからの削除指示により削除するようにしてもよい。また、予め削除タイミングをユーザが任意に設定することも可能である。更に、複数の優先順位をつけて、優先順位が最も高いメールは直ちに削除し、優先順位が最も低いメールはできるだけ保存し、記憶回路105に記憶されているメールの容量が予め設定した閾値以上になった段階で削除するようにしてもよい。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、メール機能に有用なメールとそうでないメールを分類するために優先順位をつける機能を設け、保存しておきたい優先順位の高いメールについては、設定したメール項目(メールアドレス、ドメイン、件名キーワード)の一致をもって、当該メール本文開封後の他のメール本文への遷移又はメール機能終了と同時に自動で当該メールの保護設定を行い、また、優先順位の低いメールについても同様に、設定したメール項目(メールアドレス、ドメイン、件名キーワード)との一致をもって、当該メール本文開封後、他のメール本文への遷移又はメール機能終了と同時に自動でメールの削除を行う。
【0042】
これにより、受信メールの保護については、一度設定しておけば該当する条件のメールについては解除するまで保護するため、保存した有用なメールを消失してしまわずに済む。また、自動で保護をするため、ユーザの利便性も確保できる。同様に、削除についても優先的に行われるため、仮に未保護の既読メールの中に、有用なメールが存在していても削除の優先順位が相対的に下がるため、ユーザに有益である。
【0043】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。上記の実施の形態では、受信メールについての保護設定、削除設定するようにしたが、送信メールも記憶回路105に記憶する。そこで、この実施の形態では送信メールに関して、上記の実施の形態と同等の処理にて保護、削除の処理を実現するものである。
【0044】
まず、本実施の形態の携帯電話機による送信メールに保護設定を行うための条件設定の手順について、図5と共に説明する。図1のディスプレイ103に表示されている送信フォルダの画面から、キーボード101を操作してメニューを選択すると、制御系回路104は記憶回路105に予め記憶されているプログラムに従い、ディスプレイ103に図5(A)に示す送信フォルダメニューを表示する。
【0045】
この送信フォルダメニュー画面の3番目の項目の「優先保護」を図5(A)に示すように反転表示して選択してから、キーボード101を操作して「確定」ボタンを押下すると、図5(B)に示すように、優先保護の画面がディスプレイ103に表示される。ここでは、「1」アドレス指定、「2」ドメイン指定、「3」件名キーワードの表示があり、ここでの設定条件と送信メールの各データに一部でも一致があった場合は、メールの本文確認に保護の設定が自動でかかる機能としている。
【0046】
ここでは、一例として図5(C)に示す1名のメール宛先のアドレスを指定して、そのアドレスの優先保護設定を行う場合が示されている。同様にして、ユーザが希望するドメインの優先保護設定も可能であり、また、ユーザが希望する件名キーワードの優先保護設定も、図5(B)に示す優先保護の画面から設定可能である。
【0047】
次に、本実施の形態の携帯電話機による図5(C)にて保護設定したメールアドレスを含んだ送信メールの本文を確認した際の保護動作について、図6と共に説明する。携帯電話機のディスプレイ103の画面に図6(A)に示すようにメール表示を表示させた状態で2番目の項目の「送信メール」を反転表示して選択してから、キーボード101を操作して表示されている「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図6(B)に示す送信フォルダ一覧表示に切り替わる。
【0048】
この送信フォルダ一覧では、例として未送信メールが50件、保護メールが5件収納されていることがアイコン表示にて示されている。この送信フォルダ一覧の表示において、図6(B)に示すように「送信BOX」を選択して「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図6(C)に示すように、送信するメールの一覧(ただし、ここでは、そのうちの4件)が表示される。
【0049】
この送信メール一覧表示において、件名が<★重要★>の送信メールを反転表示して選択してから、表示されている「確定」ボタンを押下すると、表示画面が図6(D)に示すように、件名が<★重要★>の送信メールの、宛先、送信日時、件名、メール本文などが表示されると共に、そのメールが送信される。本実施の形態では、この送信メールの宛先のメールアドレスは、図5(C)にて保護設定したメールアドレスと同一であるため、自動的に保護設定がされ、制御系回路104が記憶回路105に格納されている複数の送信メールが、例えば送信日時の古い方から順に消去される場合でも、消去されないように自動的に保護される。
【0050】
このため、図6(D)の画面から送信BOXの画面に戻ると、図6(E)に示すように、未送信メールの数は50件から49件に更新されており、また、件名が<★重要★>の送信メールの先頭のアイコンが、図5(C)に示した未送信のアイコンから保護設定されたメールであること示すアイコンに変わっており、従来必要であった保護設定の操作をすること無しに自動的に保護設定となったことが分かる。
【0051】
なお、図5及び図6では、送信メールの保護設定に関して手順を示しているが、削除についても同様の手順で設定ができ、制御系回路104が記憶回路105に格納されている複数の送信メールが、例えば送信日時の古い方から順に消去される場合でも、優先して削除される。また、保護設定を行う条件は送信メールを表示後に行われる手順を示したが、優先条件が一致すれば、送信後直ちに保護設定、又は削除設定を行うことも可能である。
【0052】
また、以上の実施の形態では、メールアドレス、ドメイン及び件名の3つのパラメータと受信メール又は送信メールのそれとが一致するか否かにより保護設定又は削除設定を行うようにしたが、これら3つのパラメータのどれか一つ又はどれか二つの組み合わせと、受信メール又は送信メールのそれとが一致するか否かにより保護設定又は削除設定を行うようにしてもよい。
【0053】
また、以上の実施の形態では、携帯電話機について説明したが、本発明は、これに限らず、簡易型携帯電話機(PHS)、携帯型情報端末(PDA)その他の携帯通信端末に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の携帯通信端末の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態の受信メール優先設定機能操作手順例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態の受信メールの表示操作手順とメールステータスフラグの表示遷移例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態における受信メールのメールステータスの保護、既読の設定のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態の送信メール優先設定機能操作手順例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態の送信メールの表示操作手順とメールステータスフラグの表示遷移例を示す図である。
【図7】従来の携帯電話の受信メールの表示操作手順とメールステータスフラグの表示遷移例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 携帯電話機
101 キーボード
102 無線系回路
103 ディスプレイ
104 制御系回路
105 記憶回路
106 音声系回路
107 マイク
108 スピーカ
109 時計回路







【特許請求の範囲】
【請求項1】
メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、
優先的に保護する受信メールの項目を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、
優先的に削除する受信メールの項目を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、
受信したメールの本文を確認した後、該受信したメールの項目の内容が、前記保護メール項目設定手段により設定された前記受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールを自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、
受信したメールの本文を確認した後、該受信したメールの項目の内容が、前記削除メール項目設定手段により設定された前記受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールを自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段と
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、
優先的に保護する受信メールの項目を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、
優先的に削除する受信メールの項目を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、
受信したメールの項目の内容が、前記保護メール項目設定手段により設定された前記受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールの本文を確認する前に自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、
前記受信したメールの項目の内容が、前記削除メール項目設定手段により設定された前記受信メール項目の内容と一致するときは、その受信メールの本文を確認する前に自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段と
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】
前記削除設定手段は、予め任意に設定したタイミングで、削除設定した受信メールを削除することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記保護メール項目設定手段が設定する前記受信メールの項目、及び前記削除メール項目設定手段が設定する前記受信メールの項目は、送信元のアドレス、ドメイン及びメールの件名のうちの少なくともいずれか一の項目であり、前記保護設定手段及び前記削除設定手段は、前記受信したメールの項目の内容が、前記設定された複数の前記受信メール項目の内容のどれか一つと一致するときは、その受信メールを自動的に保護設定又は削除設定することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項5】
メール送受信機能を備えた携帯通信端末において、
優先的に保護する送信メールの項目及び内容を予め任意に設定する保護メール項目設定手段と、
優先的に削除する送信メールの項目及び内容を予め任意に設定する削除メール項目設定手段と、
送信するメールのデータが、前記保護メール項目設定手段により設定された前記送信メール項目及び内容と一致するときは、その送信メールを自動的に保護設定して消去不可とする保護設定手段と、
送信するメールのデータが、前記削除メール項目設定手段により設定された前記送信メール項目及び内容と一致するときは、その送信メールを自動的に削除設定して消去可とする削除設定手段と
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項6】
前記保護メール項目設定手段が設定する前記送信メールの項目、及び前記削除メール項目設定手段が設定する前記送信メールの項目は、送信先のアドレス、ドメイン及びメールの件名のうちの少なくともいずれか一の項目であり、前記保護設定手段及び前記削除設定手段は、前記送信するメールのデータが、前記設定された複数の前記送信メール項目と内容のどれか一つと一致するときは、その送信メールを自動的に保護設定又は削除設定することを特徴とする請求項5記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−227898(P2006−227898A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40673(P2005−40673)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】