説明

携帯電子機器、カメラおよび携帯電話機

【課題】投影画像を安定化できる携帯電子機器、カメラおよび携帯電話機を提供する。
【解決手段】投射部220から画像を投影する際に、撮像部120で撮像して得た画像の変化に基づいて、プロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成した。これにより、PJ付き電子カメラ10に触れなくてもプロジェクタ機能に関する操作ができるので、PJ付き電子カメラ10の位置が動いて投影画像の投影位置や調整済みの投影画像のピントがずれてしまうことを防止できる。したがって、投影画像を安定化して、観察者に違和感を与えることを防止できる。また、プロジェクタ機能に関する操作指示に対応するアイコン172〜175,192,193を液晶表示器107に表示するように構成した。これにより、アイコン172〜175,192,193がユーザ(操作者)に対するガイドとなるので、プロジェクタ機能に関する操作を向上できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の投影機能を有する携帯電子機器、カメラおよび携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体像の撮影機能と、画像の投影機能とを備えた電子機器として、プロジェクタを備えたカメラが知られている(たとえば、特許文献1参照)。プロジェクタはカメラ本体に組み込まれており、プロジェクタ用の投影光学系を用いて画像をスクリーンに投影するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−222547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プロジェクタによる画像投影中に操作ボタンを操作するためには、机上などに置かれたカメラ本体にユーザが直接触れなければならず、カメラの位置が動いて投影画像の投影位置がずれてしまうなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による携帯電子機器は、被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像装置と、光像形成素子に形成された像を投射するプロジェクタ装置と、画像信号の変化を検出する画像変化検出手段と、撮像装置による撮影範囲のうち、画像信号の変化が検出された領域に応じてプロジェクタ装置の動作に関する指示を行う指示手段と、撮像装置により撮像して得た画像を表示可能な表示装置と、表示装置に表示させる表示内容を制御し、指示に対応する表示を表示装置に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯電子機器において、表示制御手段は、撮像装置により撮像して得た画像を表示装置に表示させることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載の携帯電子機器において、表示制御手段は、光像形成素子に形成された像と同じ画像を表示装置に表示させることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1に記載の携帯電子機器において、表示制御手段は、光像形成素子に形成された像と同じ画像を撮像装置により撮像して得た画像に合成して表示装置に表示させることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯電子機器において、撮像装置は、プロジェクタ装置が投影する像の少なくとも一部を含む領域を撮像することを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項1に記載の携帯電子機器において、撮像装置は、プロジェクタ装置が投影する像を含まない領域を撮像することを特徴とする。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯電子機器において、撮像装置は、それぞれ異なる領域を撮像する第1および第2の撮像装置を有することを特徴とする。
(8) 請求項8の発明によるカメラは、請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯電子機器と、撮像装置で撮像して得た被写体像の画像信号を処理して記録する画像信号処理記録手段とを備えることを特徴とする。
(9) 請求項9の発明による携帯電話機は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯電子機器と、基地局との間で無線により通信可能な通信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、投影画像を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜11を参照して、本発明によるカメラの一実施の形態を説明する。図1は、本発明によるプロジェクタ付き電子カメラ(以下、PJ付き電子カメラと呼ぶ)を斜め前方から見た図である。図1において、PJ付き電子カメラ10の正面には、撮影レンズ11と、照明光窓12と、プロジェクタ投射窓13とが設けられている。PJ付き電子カメラ10の上面には、レリーズボタン14と、ズームスイッチ16と、モード切替ダイヤル15と、メインスイッチ22とが設けられている。
【0008】
図2は、図1のPJ付き電子カメラ10を斜め後方から見た図である。図2において、PJ付き電子カメラ10の背面には、液晶表示器17と、操作部材19と、スピーカ孔20とが設けられている。
【0009】
PJ付き電子カメラ10は、机上などに載置された状態でPJ付き電子カメラ10の正面側に配設されるスクリーンなどに向けて、内蔵する投射部(プロジェクタ)による画像などの投影情報をプロジェクタ投射窓13から投影する。PJ付き電子カメラ10はスピーカ孔20の裏側にスピーカ21を内蔵しており、音声などの情報をPJ付き電子カメラ10の後方へ向けて再生する。
【0010】
モード切り替えダイヤル15は、撮影モードや投影モードなどのPJ付き電子カメラ10の動作モードを切り替えるためのモード切り替え操作部材である。撮影モードは、被写体像を撮影し、撮影した画像データをメモリカードなどで構成される記録媒体に画像ファイルとして保存する動作モードである。撮影開始指示は、レリーズボタン14の押下操作に応じて出力される操作信号が対応する。PJ付き電子カメラ10は、撮影時に被写体を照明する照明装置を内蔵する。撮影モードでは、スピーカ21とともにスピーカ孔20の裏側に内蔵されているマイクによって音声を集音し、その音声データを記録媒体に保存することも可能に構成されている。
【0011】
投影モードは、撮影済みの画像データを記録媒体(たとえば、後述するメモリカード150や内部メモリ)から読出すなどして、画像データによる再生画像を投射部によってプロジェクタ投射窓13から投影する動作モードである。音声データが記録されている場合にはスピーカ21から音声再生も行う。投影ソースとしては、記録媒体に記録されているデータの他に、内部メモリに記録されているデータなどが選択可能である。投射部は、投影ソースの中から選択されたデータによる再生画像を投影する。複数のデータが選択された場合、投射部は、画像を順次切り替えて複数の画像データの再生画像を投影する。
【0012】
PJ付き電子カメラ10には、レンズ鏡筒Pをカメラ筐体内に沈胴させる沈胴機構が設けられているが、プロジェクタ投射窓13から投影された光が撮影レンズ11のレンズ鏡筒Pでけられることがないように構成されている。
【0013】
図3は、PJ付き電子カメラ10の回路構成を説明するブロック図である。図3においてPJ付き電子カメラ10は、投射部220と、撮像部120と、CPU101と、メモリ102と、操作部材103と、液晶表示器104と、スピーカ105と、マイク106と、電源回路108とを有する。不図示のカードスロットには、メモリカード150が実装されている。メモリカード150は着脱可能である。また、不図示の電池ホルダに電池109が実装される。
【0014】
CPU101は、制御プログラムに基づいてPJ付き電子カメラ10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、PJ付き電子カメラ10の各部へ制御信号を送出することにより、撮影動作および投影動作の制御を行う。CPU101はASIC( Application Specific Integrated Circuit )より構成される。なお、制御プログラムはCPU101内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。
【0015】
メモリ102はCPU101の作業用メモリとして使用される。操作部材103は、図1におけるメインスイッチ22、レリーズボタン14、ズームスイッチ16、モード切り替えダイヤル15、および図2の操作部材19に対応する。操作部材103は、それぞれの操作内容に応じた操作信号をCPU101へ送出する。
【0016】
メモリカード150はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成され、CPU101からの指示により撮像部120で撮影された画像のデータ書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0017】
電源回路108は、CPU101からの指示によりオン/オフされ、オン時に電池109による電圧を各回路で必要な電圧に変換し、PJ付き電子カメラ10の各部へ電力を供給する。なお、CPU101は、電源回路108のオン/オフ状態にかかわらず、電池109が装填されると常に通電されるように構成されている。
【0018】
液晶表示器104(図2において符号17に対応)は、CPU101の指示により画像などの情報を表示する。なお、液晶表示器104は、撮像して得られた画像や各種のメニュー画面を表示する表示モニタとして働くほか、撮像時に、被写体の画像(スルー画)を表示する電子ファインダとして働く。スルー画は、本撮影の前段階として後述する撮像素子で繰り返し取得される予備撮影画像である。スピーカ105(図2において符号21に対応)は、CPU101から出力される音声データによる音声を再生する。
【0019】
マイク106は、集音した音声を電気信号に変換してCPU101へ送出する。音声信号のデータは、撮影モード時にメモリカード150に記録される。
【0020】
−−−撮像部−−−
撮像部120は、撮影光学系121(図1において符号11に対応)と、撮像素子122と、レンズ駆動部123と、撮影制御回路124と、鏡筒沈胴機構125とを含む。撮像素子122としては、たとえばCCDが用いられる。撮影制御回路124は、CPU101からの指示により撮像素子122およびレンズ駆動部123を駆動制御するとともに、撮像素子122から出力される撮像信号(蓄積電荷信号)に対して所定の画像処理を行う。
【0021】
撮影光学系121は、撮像素子122の撮像面上に被写体像を結像させる。撮影制御回路124は、撮影開始指示に応じて撮像素子122に撮像を開始させ、撮像終了後に撮像素子122から蓄積電荷信号を読出し、上記画像処理を施した上で画像データとしてCPU101へ送出する。
【0022】
レンズ駆動部123は、撮影制御回路124から出力されるフォーカス調節信号に基づいて、撮影光学系121を構成するフォーカスレンズ(不図示)を光軸方向に進退駆動する。また、レンズ駆動部123は、撮影制御回路124から出力されるズーム調節信号に基づいて、撮影光学系121を構成するズームレンズ(不図示)を光軸方向(望遠側もしくは広角側)へ進退駆動する。フォーカス調節量およびズーム調節量は、CPU101から撮影制御回路124へ指示される。
【0023】
−−−投射部−−−
投射部220は、投影光学系221と、液晶パネル222と、LED(発光ダイオード)光源223と、レンズ駆動部224と、投射制御回路225とを含む。投射制御回路225は電流可変回路部を有し、CPU101から出力される投影指示に応じてLED光源223へ供給される駆動電流の電流量を制御する。LED光源223は、供給電流に応じた明るさで液晶パネル222を照明する。
【0024】
投射制御回路225はさらに、CPU101から送出される画像データに応じて液晶パネル駆動信号を生成し、生成した駆動信号で液晶パネル222を駆動する。具体的には、液晶層に対して画像信号に応じた電圧を画素ごとに印加する。電圧が印加された液晶層は液晶分子の配列が変わり、当該液晶層の光の透過率が変化する。このように、画像信号に応じてLED光源223からの光を変調することにより、液晶パネル222が光像を生成(形成)する。
【0025】
投影光学系221は、液晶パネル222から射出される光像をスクリーンなどへ向けて投影する。レンズ駆動部224は、投射制御回路225から出力されるフォーカス調節信号に基づいて、投影光学系221を構成するフォーカスレンズ(不図示)を光軸方向へ進退駆動する。レンズ駆動部224はさらに、投射制御回路225から出力されるズーム調節信号に基づいて、投影光学系221を構成するズームレンズ(不図示)を光軸方向へ進退駆動する。フォーカス調節量およびズーム調節量は、CPU101から投射制御回路225へ指示される。
【0026】
−−−撮像機能を利用したプロジェクタ機能の操作について−−−
本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、操作部材103の操作の他、撮像部120の撮像範囲にユーザが指や手などを置くことで、以下のようにプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる。すなわち、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、撮像機能を利用してプロジェクタ機能に関して操作可能である。
【0027】
撮像機能を利用したプロジェクタ機能の操作についての具体的な説明に先立って、投射部220からの投影画像と撮像部120の撮像範囲との関係について説明する。図4は、PJ付き電子カメラ10の正面のスクリーン301に投射部220から画像を投射(投影)した状態を示す図である。図4において、311は投射部220からスクリーン301に投影された画像(投影画像の範囲)を示す。
【0028】
図5(a),(b)は、スクリーン301に投影された投影画像311と、広角側に設定された撮像部120による撮像範囲との関係を示す図であり、図5(a)はスクリーン301の側面から見たときの図であり、図5(b)はスクリーン301の正面から見たときの図である。図5(b)において、321は撮像部120の撮像範囲である。図5(a),(b)に示すように、広角側に設定されると、撮像部120の撮像画角が投射部220の投影画角よりも広くなるため、PJ付き電子カメラ10とスクリーン301とが所定の距離以上離れれば、撮像部120はスクリーン301に投影された投影画像311よりも広い範囲を撮像できる。なお、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、プロジェクタ投射窓13がレンズ鏡筒Pの上方に設けられているため、投影画像311の中心位置は、撮像範囲321の中心位置よりも高くなる。
【0029】
図6(a),(b)は、スクリーン301に投影された投影画像311と、望遠側に設定された撮像部120による撮像範囲との関係を示す図であり、図6(a)はスクリーン301の側面から見たときの図であり、図6(b)はスクリーン301の正面から見たときの図である。図6(a),(b)に示すように、望遠側に設定されると、撮像部120の撮像画角が投射部220の投影画角よりも狭くなるため、撮像部120はスクリーン301に投影された投影画像311の範囲よりも狭い範囲しか撮像できない。
【0030】
また、上述したように、投影画像311の中心位置が撮像範囲321の中心位置よりも高いため、PJ付き電子カメラ10とスクリーン301との距離が近いと(たとえば図6(a)の距離L1)、撮像部120は、投影画像311よりも下側の領域を主に撮像することになる。PJ付き電子カメラ10とスクリーン301との距離が図6(a)のL1,L2,L3・・・と離れるほど、撮像部120はスクリーン301に投影された投影画像311を主に撮像することになる。なお、図6(b)に示す図は、PJ付き電子カメラ10とスクリーン301との距離が図6(a)における距離L2に略等しい場合に相当する。
【0031】
−−−撮像画角が広角側に設定された場合−−−
本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、モード切り替えダイヤル15の操作によって投影モードに切り替えられ、かつ、撮像画角が広角側に設定されるとCPU101が次のように各部を制御する。CPU101は、操作部材103であるモード切り替えダイヤル15からの出力信号に基づいて、投影モードに切り替えられたと判断すると、たとえばメモリカード150に記録されている複数の画像のデータのうち、最も新しい画像のデータを読み込み、投射部220から画像を投影するよう各部を制御する。
【0032】
また、CPU101は、撮像部120を起動して、PJ付き電子カメラ10の前方を撮像させるとともに、撮像部120で撮像して得た画像(スルー画)を液晶表示器17に表示させる。また、CPU101は、操作部材103である不図示のズーム操作ボタンからの出力信号に基づいて、撮影光学系121を構成する不図示のズームレンズを光軸方向へ進退駆動するよう撮影制御回路124に制御信号を出力する。
【0033】
撮影制御回路124は、CPU101から受信した制御信号に基づいて、レンズ駆動部123にズーム調節信号を出力する。また、撮影制御回路124は、たとえば公知のコントラスト検出方式のAF制御演算を行い、ピント調節を行うようレンズ駆動部123に制御信号を出力する。なお、AF制御演算の方式はコントラスト検出方式に限らず、AF測距センサによる位相差検出方式や、コントラスト検出方式と位相差検出方式を組み合わせたハイブリッド方式など、様々な方式であってもよい。
【0034】
CPU101は、投射制御回路225から投影光学系221の投影画角に関する情報を取得する。またCPU101は、撮影制御回路124からAF制御演算によって得られた被写体(たとえばスクリーン301)までの距離に関する情報と、現在の撮像光学系121の撮像画角(以下、現在撮像画角Aと呼ぶ)の情報を取得する。そして、CPU101は、取得した投影画角に関する情報およびスクリーン301までの距離に関する情報に基づいて、スクリーン301に投影される画像の全体を撮像可能な撮像光学系121の撮像画角(以下、算出撮像画角Bと呼ぶ)を算出する。
【0035】
CPU101は、上述した現在撮像画角Aと算出撮像画角Bとを比較して、現在撮像画角Aが算出撮像画角Bよりも所定角度以上大きいか否かを判断する。すなわち、CPU101は、図5(a),(b)に示すように、スクリーン301に投影された投影画像311よりも所定範囲だけ広い範囲を(投影画像311よりもひと回り広い範囲を)撮像部120で撮像しているか否かを判断する。CPU101は、現在撮像画角Aが算出撮像画角Bよりも所定角度以上大きいと判断されると、図7(a),(b)に示すように、撮像部120で撮像して得た画像170と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン172〜175とを液晶表示器17に重畳的に表示させる。
【0036】
撮像部120で撮像して得た画像170には、スクリーン301に投影された投影画像311と、投影画像311の周囲とが含まれている。画像171は、画像170中の投影画像311の画像を指す。アイコン172は、画像171の右側に表示されて、投射部220から投影される画像の1コマ送りを意味する三角形状のアイコンである。アイコン173は、画像171の左側に表示されて、投射部220から投影される画像の1コマ戻しを意味する三角形状のアイコンである。アイコン174は、画像171の上側に表示されて、投射部220から投影される画像の拡大(投影画角の増加)を意味するアイコンである。アイコン175は、画像171の下側に表示されて、投射部220から投影される画像の縮小(投影画角の減少)を意味するアイコンである。
【0037】
本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、PJ付き電子カメラ10の前方で、撮像部120の撮像範囲内にたとえばユーザの指が置かれると、図8に示すように、その置かれた指(指F)が撮像素子122で撮像される。そして、投影画像311の画像171やアイコン172〜175とともに指Fの画像179が液晶表示器17に表示される。
【0038】
PJ付き電子カメラ10では、図8に示すようにアイコン172の近傍で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が1コマだけ送られる。同様に、アイコン173の近傍で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が1コマだけ戻される。また、アイコン174の近傍で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が拡大され、アイコン175の近傍で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が縮小される。
【0039】
すなわち、CPU101は、撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、撮像素子122から出力される画像信号の変化を検出する。そして、CPU101は、検出した画像信号の変化に基づいてスクリーン301に投影された投影画像311よりも右側部分の画像に変化があるか否かを判断する。たとえば撮像範囲内に指が置かれるなどして、スクリーン301に投影された投影画像311よりも右側部分の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、CPU101は、投射部220から投影される画像を1コマだけ送るよう、各部を制御する。
【0040】
同様に、スクリーン301に投影された投影画像311よりも左側部分の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、CPU101は、投射部220から投影される画像を1コマだけ戻すよう、各部を制御する。スクリーン301に投影された投影画像311よりも上側部分の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、CPU101は、投射部220から投影される画像を拡大するよう、各部を制御する。スクリーン301に投影された投影画像311よりも下側部分の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、CPU101は、投射部220から投影される画像を縮小するよう、各部を制御する。
【0041】
具体的には、CPU101は、図9に示すように、撮像素子122で撮像して得られたスルー画のうち、画像171よりも右側の領域であって、アイコン172の周囲を破線で囲んだ領域(斜線部分)182の画像の変化を監視する。CPU101は、領域182の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ送るよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ新しい画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、領域182に上述のように変化があると判断された後、領域182の画像が元に戻り(たとえば指Fが撮像されなくなった)、その後再び領域182に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ新しい画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0042】
同様に、CPU101は、図9に示すスルー画のうち、画像171よりも左側の領域であって、アイコン173の周囲を破線で囲んだ領域(斜線部分)183の画像の変化を監視する。CPU101は、領域183の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ戻すよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ古い画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、領域183に上述のように変化があると判断された後、領域183の画像が元に戻り(たとえば指Fが撮像されなくなった)、その後再び領域183に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ古い画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0043】
CPU101は、図9に示すスルー画のうち、画像171よりも上側の領域であって、アイコン174の周囲を破線で囲んだ領域(斜線部分)184の画像の変化を監視する。CPU101は、領域184の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を拡大するよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、投影画角を広げるように投射制御回路225へ制御信号(画角拡大指示信号)を出力する。なお、CPU101は、領域184に所定の画素数以上の領域に変化があると判断されている間(たとえば指Fが撮像されている間)は、画角拡大指示信号を出力し続ける。
【0044】
同様に、CPU101は、図9に示すスルー画のうち、画像171よりも下側の領域であって、アイコン175の周囲を破線で囲んだ領域(斜線部分)185の画像の変化を監視する。CPU101は、領域185の画像のうち、所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を縮小するよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、投影画角を狭めるように投射制御回路225へ制御信号(画角縮小指示信号)を出力する。なお、CPU101は、領域185に所定の画素数以上の領域に変化があると判断されている間(たとえば指Fが撮像されている間)は、画角縮小指示信号を出力し続ける。
【0045】
上述の説明では、所定の画素数以上の領域に変化があるか否かを判断している。なお、これは、投影画像311の周囲にたとえば虫が飛んできたといった場合のように、画像171の周囲の領域の画像の予期せぬ僅かな変化によってプロジェクタ機能がユーザの意に反して操作されることを防止するようにしても構わない。
【0046】
なお、上述の説明では、ユーザ(操作者)がPJ付き電子カメラ10の背面に配設された液晶表示器17を見ながらPJ付き電子カメラ10の前面側の撮像範囲内に指Fを置くことになる。撮像部120のピントは、上述したピント調節機能により、被写体であるスクリーン301またはスクリーン301上に投影された投影画像311に合わされることとなる。そのため、スクリーン301までの距離が近ければ、すなわち、スクリーン301がユーザの指Fの届く範囲内にあれば、ユーザが指Fをスクリーン301上に置くことができるので、指Fが撮像部120で鮮明に撮像されることとなる。したがって、上述したように、CPU101は、所定の画素数以上の領域に変化があるか否かを判断できる。
【0047】
スクリーン301までの距離が遠ければ、すなわち、スクリーン301がユーザの指Fの届く範囲内になければ、ユーザが指Fをスクリーン301上に置くことができないので、指Fはぼやけた状態で撮像されることとなる。しかし、この場合であっても、ユーザが指Fを撮像部120の撮像範囲内に置くことで、図9に示したスルー画の各領域182〜185に所定の画素数以上の変化を与えることができる。したがって、スクリーン301がユーザの指Fの届く範囲内になくても、上述したように、CPU101は、所定の画素数以上の領域に変化があるか否かを判断できる。
【0048】
このように、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、PJ付き電子カメラ10の前方に指Fが置かれることなどによってプロジェクタ機能に関する操作を指示できる。また、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、当該指示に対応する表示(アイコン172〜175)を液晶表示器17に表示している。すなわち、液晶表示器17に表示されるアイコン172〜175と、プロジェクタ機能に関する操作内容とが一致しているので、指Fを置く位置や操作の内容が直感的に理解し易くなっている。
【0049】
−−−撮像画角が望遠側に設定された場合−−−
なお、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、モード切り替えダイヤル15の操作によって投影モードに切り替えられ、かつ、撮像画角が望遠側に設定されるとCPU101が次のように各部を制御する。CPU101は、操作部材103であるモード切り替えダイヤル15からの出力信号に基づいて、投影モードに切り替えられたと判断すると、上述の場合と同様に、たとえばメモリカード150に記録されている複数の画像のデータのうち、最も新しい画像のデータを読み込み、投射部220から画像を投影するよう各部を制御する。
【0050】
また、CPU101は、上述の場合と同様に、撮像部120を起動して、PJ付き電子カメラ10の前方を撮像させるとともに、撮像部120で撮像して得た画像(スルー画)を液晶表示器17に表示させる。また、CPU101は、操作部材103である不図示のズーム操作ボタンからの出力信号に基づいて、撮影光学系121を構成する不図示のズームレンズを光軸方向へ進退駆動するよう撮影制御回路124に制御信号を出力する。
【0051】
撮影制御回路124は、上述の場合と同様に、CPU101から受信した制御信号に基づいて、レンズ駆動部123にズーム調節信号を出力する。また、撮影制御回路124は、たとえば公知のコントラスト検出方式のAF制御演算を行い、ピント調節を行うようレンズ駆動部123に制御信号を出力する。
【0052】
CPU101は、投射制御回路225から投影光学系221の投影画角に関する情報を取得する。またCPU101は、撮影制御回路124からAF制御演算によって得られた被写体(たとえばスクリーン301)までの距離に関する情報と、現在撮像画角Aを取得する。そして、CPU101は、取得した投影画角に関する情報およびスクリーン301までの距離に関する情報に基づいて、図6(b)に示すように、スクリーン301に投影される画像311の下部の一部と、画像311よりも下側の部分とを撮像可能な撮像光学系121の撮像画角(以下、算出撮像画角Cと呼ぶ)を算出する。
【0053】
CPU101は、上述した現在撮像画角Aと算出撮像画角Cとを比較して、現在撮像画角Aが算出撮像画角Cを含む所定の角度範囲内に入っているか否かを判断する。すなわち、CPU101は、図6(b)に示すように、スクリーン301に投影される画像311の下部の一部と、画像311よりも下側の部分とを撮像しているか否かを判断する。CPU101は、現在撮像画角Aが算出撮像画角Cを含む所定の角度範囲内に入っていると判断されると、図10(a),(b)に示すように、撮像部120で撮像して得た画像170と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン192,193とを液晶表示器17に重畳的に表示させる。
【0054】
図10(b)は、図10(a)における液晶表示器17の表示部分の拡大図である。176は、画像311よりも下側の部分の画像である。アイコン192は、画像170の右側に重畳的に表示されて、投射部220から投影される画像の1コマ送りを意味する三角形状のアイコンである。アイコン193は、画像170の右側に重畳的に表示されて、投射部220から投影される画像の1コマ戻しを意味する三角形状のアイコンである。194は、液晶表示器17の表示部分の左右方向略中央に表示された中央線である。
【0055】
本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、PJ付き電子カメラ10の前方で、撮像部120の撮像範囲内にたとえばユーザの指が置かれると、図11に示すように、その置かれた指Fが撮像素子122で撮像される。そして、画像171やアイコン192,193などとともに指Fの画像179が液晶表示器17に表示される。
【0056】
PJ付き電子カメラ10では、中央線194の右側の領域で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が1コマだけ送られる。同様に、中央線194の左側の領域で指Fの画像179が表示されると、投射部220から投影される画像が1コマだけ戻される。
【0057】
具体的には、CPU101は、撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、スルー画の中央よりも右側部分(スルー画右側領域)に所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ送るよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ新しい画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、スルー画右側領域に上述のように変化があると判断された後、スルー画右側領域の画像が元に戻り(たとえば指Fが撮像されなくなった)、その後再びスルー画右側領域に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ新しい画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0058】
同様に、CPU101は、撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、スルー画の中央よりも左側部分(スルー画左側領域)に所定の画素数以上の領域に変化があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ戻すよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ古い画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、スルー画左側領域に上述のように変化があると判断された後、スルー画左側領域の画像が元に戻り(たとえば指Fが撮像されなくなった)、その後再びスルー画左側領域に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ古い画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0059】
このように、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、撮像画角が望遠側に設定された場合であっても、PJ付き電子カメラ10の前方に指Fを置くことなどによってプロジェクタ機能に関する操作を指示できる。また、本実施の形態のPJ付き電子カメラ10では、当該指示に対応する表示(アイコン192,193)を液晶表示器17に表示している。すなわち、液晶表示器17に表示されるアイコン192,193と、プロジェクタ機能に関する操作内容とが一致しているので、指Fを置く位置や操作の内容が直感的に理解し易くなっている。さらに、撮像画角が望遠側に設定されることによって、撮像範囲が狭まるので、投影画像311の左右や上方に動きのある被写体が存在していても、その被写体の動きによってプロジェクタ機能がユーザの意に反して操作されることを防止できる。
【0060】
なお、現在撮像画角Aが算出撮像画角Bよりも所定角度以上大きい場合や、現在撮像画角Aが算出撮像画角Cに近い場合について説明したが、それ以外の場合には従来どおり、操作部材19の操作によってコマ送り/コマ戻しや投影画像の拡大/縮小が行われる。
【0061】
上述したPJ付き電子カメラ10では、次の作用効果を奏する。
(1) 投射部220から画像を投影する際に、撮像部120で撮像して得た画像の変化に基づいて、プロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成した。これにより、PJ付き電子カメラ10に触れなくてもプロジェクタ機能に関する操作ができるので、PJ付き電子カメラ10の位置が動いて投影画像の投影位置や調整済みの投影画像のピントがずれてしまうことを防止できる。したがって、投影画像を安定化して、観察者に違和感を与えることを防止できる。
【0062】
(2) プロジェクタ機能に関する操作指示に対応するアイコン172〜175,192,193を液晶表示器107に表示するように構成した。これにより、アイコン172〜175,192,193がユーザ(操作者)に対するガイドとなるので、プロジェクタ機能に関する操作を向上できる。
【0063】
(3) 投射部220から投影する画像311を一部に含みつつ、画像311の周囲の領域を撮像部120で撮像するように構成し、画像311の周囲の領域に指Fなど置くことによってプロジェクタ機能に関する操作が可能となるように構成した。これにより、スクリーン301に投影される画像311に指Fなどの影を落とすことなくプロジェクタ機能に関する操作ができるので、画像311の観察者に違和感を与えない。
【0064】
(4) 撮像部120で撮像して得たスルー画と、アイコン172〜175,192,193とを重畳的に液晶表示器107に表示するように構成した。これにより、液晶表示器107を観察することで操作者がどこに指Fを置けばよいか、また、置いた指Fが実際にはどのように撮像されているのかを直感的に理解できるので、プロジェクタ機能に関する操作を容易化できる。
【0065】
(5) 撮像画角が望遠側に設定された場合であっても、PJ付き電子カメラ10の前方に指Fを置くことなどによってプロジェクタ機能に関する操作を指示できるように構成した。撮像画角が望遠側に設定されることによって、撮像範囲が狭まるので、投影画像311の左右や上方に動きのある被写体が存在していても、その被写体の動きによってプロジェクタ機能がユーザの意に反して操作されることを防止できる。
【0066】
(6) 撮像画角が望遠側に設定された際には、スクリーン301に投影される画像311の下部の一部と、画像311よりも下側の部分とを撮像している場合に、撮像画像の右半分側、または左半分側に指Fが置かれると、投影される画像のコマ送り/コマ戻しが行われるように構成した。これにより、たとえば、周囲が暗く、指Fの位置が分かり難い場合に、投影画像の投影画角内に僅かに指を入れて、投射部220からの投射光によって指Fを照らすことができるので、操作性が向上する。また、撮像画角が望遠側に設定されることで、置かれた指Fを液晶表示器107に大きく表示できるので、操作性が向上する。
【0067】
(7) 撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、スルー画の所定の領域に所定の画素数以上の領域に画像の変化があると判断されると、プロジェクタ機能に関する指示がされたものと判断するように構成した。すなわち、指Fを置くことなどをしなければ画像にほとんど変化がないと判断される領域の画像を監視して、当該領域に所定の画素数以上の領域に変化があるか否かを判断するように構成した。これにより、画像解析処理のように、対象物を特定するなどの複雑な処理を行わなくてもよいので、CPU101の処理負荷を低減できる。したがって、処理のアルゴリズムを簡略化できるので、処理の信頼性を高めることができる。また、必要以上に高スペックのCPUを採用しなくても済むので、製造コストを抑制できる。
【0068】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、撮像部120の撮像範囲に指Fを置くことでプロジェクタ機能に関する操作を行うように構成しているが、本発明はこれに限定されない。指Fは一例であり、指Fの代わりにペンや鉛筆などを置いてもよく、撮像素子122で撮像される所定の画素数以上の領域に変化があるように何らかの物を置いてもよい。また、撮像部120の撮像範囲に指Fなどを置く代わりに、レーザポインタなどでスクリーン301上に照射された光を撮像素子122で撮像することで、プロジェクタ機能に関する操作が行われるようにしてもよい。この場合には、たとえば、CPU101が、図9に示す領域182に所定の輝度以上の高輝度の点が出現したと判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ送るよう指示されたものと判断するなど、高輝度の点の有無を判断してプロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成してもよい。
【0069】
(2) 上述の説明では、撮像部120の撮像範囲に指Fなどが置かれたか否かを判断するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、撮像部120の撮像範囲に指Fなどが置かれただけではなく、その指Fなどが所定時間以上動いていると判断されたときにプロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成してもよい。すなわち、撮像素子122で撮像される所定の画素数以上の画素で所定時間以上動きが検出されたときにプロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成してもよい。
【0070】
(3) 上述の説明では、撮像画角が広角側に設定された場合および撮像画角が望遠側に設定された場合の双方で、撮像部120の撮像範囲に指Fを置くことでプロジェクタ機能に関する操作を行うように構成しているが、撮像画角が広角側に設定された場合および撮像画角が望遠側に設定された場合のいずれか一方のみであってもよい。
【0071】
(4) 上述の説明では、撮像画角が望遠側に設定されることで撮像範囲を狭めているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、撮像画角が広角側に設定された状態であっても、撮像されて得られた画像の一部を切り出して、たとえば、図10(a),(b)に示すように液晶表示器107に表示させ、撮像画角が望遠側に設定された場合と同様にプロジェクタ機能に関する操作が行われるように構成してもよい。
【0072】
(5) 上述の説明では、撮像部120の撮像範囲に指Fなどを置くことで操作可能なプロジェクタ機能の一例として、コマ送り/コマ戻しや投影画像の拡大/縮小を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されない。コマ送り/コマ戻しや投影画像の拡大/縮小以外にも、たとえば、投影開始や投影終了の操作を行うように構成してもよく、投影画像のピント調整や明るさ調整などの投影機能に関する調整を行うように構成してもよい。
【0073】
(6) 上述の説明では、PJ付き電子カメラ10における投射部220の投影方向と、撮像部120の撮像方向(被写体が存在する方向)がいずれもPJ付き電子カメラ10の前方であるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、投射部220の投影方向と、撮像部120の撮像方向とが異なっていてもよい。すなわち、投射部220の投影する画像を含まない領域を撮像部120が撮像するように構成してもよい。この場合であっても、操作者は、撮像部120の撮像範囲に指Fなどを置くことでプロジェクタ機能に関する操作が可能であり、操作者から液晶表示器107を視認可能であれば、置いた指Fが実際にはどのように撮像されているのかを直感的に理解できるので、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0074】
また、投射部220の投影方向と、撮像部120の撮像方向とが異なっている場合には、画像の投影時に撮像部120の撮像方向に向けて補助光を照射するようにしてもよい。画像の投影時に撮像部120の撮像方向に向けて補助光を照射することで、周囲が暗い環境下でも、指Fがはっきりと撮像されるので確実にプロジェクタ機能に関する操作ができる。なお、この場合の補助光の光源として、赤外線などのように、撮像素子122が感度を有する不可視光を発する光源を用いれば、投影画像の観察者に違和感を与えることがない。
【0075】
(7) 上述の説明では、PJ付き電子カメラ10は、いわゆるコンパクトタイプのデジタルカメラであるが、一眼レフタイプのデジタルカメラであってもよい。また、図12,13に示すように、カメラボディに対して撮像光学系を回動可能に構成したいわゆるスイバルタイプのデジタルカメラであってもよい。スイバルタイプのデジタルカメラ500は、本体部510と鏡筒部520とを有している。本体部510と鏡筒部520とは、不図示の連結機構により回転可能に連結されている。図12(a)は、本体部510に対して鏡筒部520を回転させていない状態の非使用状態を示している。図12(b)は、本体部510に対して鏡筒部520を90度回転した撮影/投射状態を示している。
【0076】
通常、ユーザは、本体部510のグリップ部分を握ってカメラ500を保持し、カメラ背面に設けられた液晶表示器17(図13参照)を見ながら撮影を行う。図13はカメラ500の背面側を示す図である。本体部510の背面には、液晶表示器17の他に、種々の操作を行うための操作ボタン502が設けられている。図12,13に示したカメラ500では、鏡筒部520に撮像部120と投射部220とを備え、上述したPJ付き電子カメラ10と同様に、投射部220は撮像部120で撮像する被写体の位置する方向と同じ方向に画像を投影(投射)する。そのため、上述した作用効果を同様の作用効果を奏する。
【0077】
図14は、カメラ500とは投射部220の画像投影方向が異なるスイバルタイプのデジタルカメラ600の外観を示す図である。カメラ600は、撮像部120で撮像する被写体の位置する方向とは反対の方向に投射部220が画像を投影する。図14(a)は、カメラ600の前方を撮像(後方に画像を投影)するように鏡筒部520を回動させた状態を示す図であり、図14(b)は、カメラ600の後方を撮像(前方に画像を投影)するように鏡筒部520を回動させた状態を示す図である。このカメラ600の場合には、図14(b)に示すように鏡筒部520を回動させて、図15(a)〜(d)に示すように、カメラ600の前方に画像を投影させ、カメラ600の後方に位置するユーザが、液晶表示器17の表示を見ながらプロジェクタ機能に関して操作できる。なお、図15(a),(c)は、カメラ600およびカメラ600の後方に位置するユーザを上方から見たときの図である。図15(b)は、図15(a)の場合における液晶表示器17の表示内容を示す図であり、図15(d)は、図15(c)の場合における液晶表示器17の表示内容を示す図である。
【0078】
たとえば図15(a)に示すように、カメラ600の後方で、たとえばカメラ600の近くに位置するユーザの胸部から腹部辺りを撮像するように、撮像画角がたとえば広角側に設定されると、図15(b)に示すように、撮像部120で撮像して得た画像の鏡像570と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン192,193と、中央線194とが液晶表示器17に重畳的に表示される。カメラ600では、図15(a),(b)に示すように、中央線194の右側の領域に表示されている右手RHがたとえば上下に動かされると、投射部220から投影される画像が1コマだけ送られる。同様に、図15(c),(d)に示すように、中央線194の左側の領域に表示されている左手LHがたとえば上下に動かされると、投射部220から投影される画像が1コマだけ戻される。
【0079】
具体的には、CPU101は、撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、スルー画の中央よりも左側部分(スルー画左側領域)で所定の画素数以上の領域に所定時間以上動く領域があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ送るよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ新しい画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、上述の判断の後、スルー画左側領域の画像に動く領域がなくなり(たとえば右手RHが動かされなくなった)、その後再びスルー画左側領域に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ新しい画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0080】
同様に、CPU101は、撮像素子122で撮像して得られたスルー画を順次読み込んで、スルー画の中央よりも右側部分(スルー画右側領域)に所定の画素数以上の領域に所定時間以上動く領域があると判断されると、投射部220から投影される画像を1コマだけ戻すよう指示されたものと判断する。そして、CPU101は、たとえば、メモリカード150から画像データを読み込んで投射部220から画像を投影している場合、現在投影している画像のデータよりも1コマだけ古い画像のデータをメモリカード150から読み込んで、投射部220から画像を投影するように各部を制御する。なお、CPU101は、上述の判断の後、スルー画右側領域の画像に動く領域がなくなり(たとえば左手LHが動かされなくなった)、その後再びスルー画右側領域に上述のように変化があると判断されると、さらに1コマだけ古い画像を投射部220から投影するように各部を制御する。
【0081】
なお、撮像部120で撮像して得た画像と、液晶表示器17で表示される画像(鏡像570)とは、左右が反転している。したがって、CPU101でスルー画左側領域で所定の画素数以上の領域に変化があると判断された場合の動作、および、スルー画右側領域で所定の画素数以上の領域に変化があると判断された場合の動作は、上述した実施の形態における「撮像画角が望遠側に設定された場合」とは逆の動作となる。
【0082】
このように、カメラ600では、上述した実施の形態における「撮像画角が望遠側に設定された場合」と同様の作用効果を奏する。さらに、カメラ600では、ユーザが、カメラ600の背面の液晶表示器17を見ながら、カメラ600の前方に手を伸ばして差し出すような動作をしなくてもよい。すなわち、自分の腹部近傍など、手を持っていきやすいところに手を持っていて動かすだけでプロジェクタ機能に関する操作を行えるので、楽な姿勢で簡単に操作ができ、操作性を向上できる。
【0083】
(8) 上述の説明では、メモリカード150や内部メモリから画像データを読み出して
投射部220から画像を投影しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、外部の機器と接続可能なインターフェースを設け、このインターフェースを介してPJ付き電子カメラ10の外部から供給される画像データなどを投影するように構成してもよい。
【0084】
(9) 上述の説明では、カメラについて説明したが、本発明はカメラに限定されず、被写体像の撮像機能と、画像の投影機能とを備えた各種の携帯電子機器であれば、たとえば、携帯電話機や、PDAなど、様々な携帯電子機器に適用できる。なお、携帯電話機やPDAなどでは、それぞれ異なる範囲を撮像するメインカメラおよびサブカメラが設けられたものがある。このような携帯電話機やPDAの場合には、メインカメラおよびサブカメラのいずれか一方で指Fや手などを撮像することでプロジェクタ機能に関する操作を行うようにしてもよく、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。また、メインカメラおよびサブカメラの双方で指Fや手などを撮像することでプロジェクタ機能に関する操作が可能となるように構成すれば、たとえば本体の背面側に位置するユーザと、たとえば本体の正面側に位置する観察者との双方でプロジェクタ機能に関する操作が可能となる。
【0085】
(10) 上述の説明では、撮像部120で撮像して得たスルー画(画像170)と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン172〜175,192,193とを液晶表示器17に重畳的に表示させているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図16(a)に示す、投射部220から投影される画像と同じ画像312(すなわちメモリカード150から読み込んだデータに基づく画像)と、図16(b)に示す、アイコン172〜175の画像とを合成して、図16(c)に示すように、液晶表示器17に表示させてもよい。このように構成した場合には、撮像部120で撮像して得たスルー画は液晶表示器17には表示されないため、ユーザの指Fなどは、液晶表示器17には表示されない。しかし、液晶表示器17に表示されている画像312とアイコン172〜175との位置関係から、スクリーン301上の投影画像311の近傍でプロジェクタ機能の操作のために指Fなどをどこに置くべきかが直感的に理解できるので、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0086】
また、図17(a)に示す、撮像部120で撮像して得たスルー画(画像170)から、図17(b)に示すように投影画像311の画像(画像171)を削除した画像170aのデータを生成する。そして、この画像170aに対して、画像171の存在していた領域に、投射部220から投影される画像と同じ画像312(図17(c))をメモリカード150から読み込んだデータに基づいて合成する。また、画像170aに対して、図17(d)に示す、アイコン172〜175の画像を合成する。このようにして、図17(e)に示すように、投影画像311の画像(画像171)の代わりに、メモリカード150から読み込んだデータに基づく画像312を液晶表示器17に表示するように構成してもよい。このように構成した場合には、撮像部120で撮像して得たスルー画のうち、投影画像311の周囲の領域については液晶表示器17に表示されるため、ユーザの指Fなどは、液晶表示器17に表示されることとなる。したがって、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0087】
(11)上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像装置と、光像形成素子に形成された像を投射するプロジェクタ装置と、画像信号の変化を検出する画像変化検出手段と、撮像装置による撮影範囲のうち、画像信号の変化が検出された領域に応じてプロジェクタ装置の動作に関する指示を行う指示手段と、撮像装置により撮像して得た画像を表示可能な表示装置と、表示装置に表示させる表示内容を制御する表示制御手段とを備え、表示制御手段は、指示に対応する表示を表示装置に表示させることを特徴とする各種構造の携帯電子機器を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明によるプロジェクタ付き電子カメラ(PJ付き電子カメラ)10を斜め前方から見た図である。
【図2】PJ付き電子カメラ10を斜め後方から見た図である。
【図3】PJ付き電子カメラ10の回路構成を説明するブロック図である。
【図4】PJ付き電子カメラ10の正面のスクリーン301に投射部220から画像を投影した状態を示す図である。
【図5】スクリーン301に投影された投影画像311と、広角側に設定された撮像部120による撮像範囲との関係を示す図である。
【図6】スクリーン301に投影された投影画像311と、望遠側に設定された撮像部120による撮像範囲との関係を示す図である。
【図7】撮像画角が広角側に設定された場合の、撮像部120で撮像して得た画像170と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン172〜175とについて説明する図である。
【図8】プロジェクタ機能の操作について説明する図である。
【図9】アイコン172〜175の周囲の領域182〜185について説明する図である。
【図10】撮像画角が望遠側に設定された場合の、撮像部120で撮像して得た画像170と、プロジェクタ機能の操作に関するアイコン192,193とについて説明する図である
【図11】プロジェクタ機能の操作について説明する図である。
【図12】変形例を示す図である。
【図13】変形例を示す図である。
【図14】変形例を示す図である。
【図15】変形例におけるプロジェクタ機能の操作について説明する図である。
【図16】変形例を示す図である。
【図17】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10 プロジェクタ付き電子カメラ(PJ付き電子カメラ)
11 撮影レンズ 13 プロジェクタ投射窓
17 液晶表示器 101 CPU
120 撮像部 122 撮像素子
124 撮影制御回路 150 メモリカード
220 投射部 222 液晶パネル
225 投射制御回路
172〜175,192,193 アイコン
500,600 デジタルカメラ(カメラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像装置と、
光像形成素子に形成された像を投射するプロジェクタ装置と、
前記画像信号の変化を検出する画像変化検出手段と、
前記撮像装置による撮影範囲のうち、前記画像信号の変化が検出された領域に応じて前記プロジェクタ装置の動作に関する指示を行う指示手段と、
前記撮像装置により撮像して得た画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置に表示させる表示内容を制御し、前記指示に対応する表示を前記表示装置に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
前記表示制御手段は、前記撮像装置により撮像して得た画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
前記表示制御手段は、前記光像形成素子に形成された像と同じ画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
前記表示制御手段は、前記光像形成素子に形成された像と同じ画像を前記撮像装置により撮像して得た画像に合成して前記表示装置に表示させることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯電子機器において、
前記撮像装置は、前記プロジェクタ装置が投影する像の少なくとも一部を含む領域を撮像することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
前記撮像装置は、前記プロジェクタ装置が投影する像を含まない領域を撮像することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯電子機器において、
前記撮像装置は、それぞれ異なる領域を撮像する第1および第2の撮像装置を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯電子機器と、
前記撮像装置で撮像して得た前記被写体像の画像信号を処理して記録する画像信号処理記録手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯電子機器と、
基地局との間で無線により通信可能な通信手段とを備えることを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−298819(P2008−298819A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141442(P2007−141442)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】