説明

携帯電子機器

【課題】高い防犯機能を有し、簡単な構成でより小型化することができる携帯電子機器を提供することにある。
【解決手段】防犯用の音声を生成する防犯用音源と、防犯用音源で生成された音声を出力するスピーカと、防犯用音源及びスピーカを内蔵する筐体と、光を射出させる発光部と、第1位置から第2位置に摺動可能な状態で筐体に取り付けられたスイッチ部材と、スイッチ部材が第1位置にあるか否かを検出する検出部と、検出部によりスイッチ部材が第1位置にあると検出された時は、防犯用音源を起動させず、検出部によりスイッチ部材が第1位置にあると検出されない場合は、防犯用音源を起動し、かつ、発光部から光を射出させる制御部と、を有し、発光部は、スイッチ部材が第1位置にあるときには、スイッチ部材に覆われ、スイッチ部材が第2位置にあるときにはスイッチ部材に覆われていない構成とすることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯電子機器、特に子供向けの携帯電話機には、誘拐等の犯罪に巻き込まれることを防ぐ目的で各種の防犯機能(セキュリティ機能)が搭載されている。ここで、防犯機能としては、防犯ブザー機能や、発光機能等がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、少なくとも警戒音を発生する音発生装置と、警戒音を発生する時を制御する防犯スイッチとを有する防犯用携帯電話が記載されている。また、特許文献1には、警戒音を発生させることに連動させて、携帯電話に付加された発光機能により発光させることも記載されている。また、発光機能として、携帯電話の録画機能に連動したフラッシュの発光機能を用いることも記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、全体の制御を行なう中央制御装置と、発着呼を行なう無線機と、警報音を鳴音するサウンダと、非常事態を報知する警報ランプと、緊急入力手段と、前記緊急入力手段からの緊急入力信号を検出する緊急入力検出手段とを備え、緊急入力検出手段による緊急入力信号の検出に応答してサウンダに警報音を鳴音させる手段と警報ランプを点灯あるいは点滅させる手段とを中央制御装置に設け、緊急入力があった場合に自動的に警報音を鳴音させると同時にまたは交互に、警報ランプを点灯あるいは点滅させる携帯電話装置が記載されている。また、特許文献2には、ストラップを引き抜くことで緊急入力検出手段が緊急入力信号を検出することも記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、アンテナが防犯スイッチとなっており、アンテナを本体から引き抜かれると防犯ブザーを鳴らし、また、高指向性ランプを点灯させる携帯電話機が記載されている。また、特許文献4にも、防犯ブザー、音声発生装置、点灯装置の少なくとも1つを有する携帯電話機が記載されている。さらに、特許文献5にも、防犯スイッチが操作されると、警報を発音させ、さらに、緊急連絡先に緊急事態発生を通報する携帯用防犯装置が記載されている。
【0006】
また、特許文献6には、携帯電話機としての機能を有さない防犯具として、電池と、警報音を発する発音部と、点滅する点滅発光部と、電池から供給される電力により発音部及び点滅発光部を同時に作動させる引き抜き式スイッチとを備える携帯用防犯具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3103743号公報
【特許文献2】特開平11−164057号公報
【特許文献3】特開2003−60753号公報
【特許文献4】特開2000−184033号公報
【特許文献5】特開2001−109976号公報
【特許文献6】特開平11−219483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜6に示すように、緊急事態発生時に防犯用の音声を発生させ、かつ、光を射出することで、不審人物を驚かせたり、周りに危険を知らせたりすることができ、危機を回避することができるが、より防犯機能を高め、不審人物からの危機回避能力を向上させることで、携帯電子機器としての有用性を高めることができる。しかしながら、防犯機能を高めるために、防犯機能部の構成を大きくしたり複雑化したりすると、携帯電子機器が大型化するため、携帯電子機器としての有用性が低くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い防犯機能を有し、簡単な構成でより小型化することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、防犯用の音声を生成する防犯用音源と、前記防犯用音源で生成された音声を出力するスピーカと、前記防犯用音源及び前記スピーカを内蔵する筐体と、光を射出させる発光部と、第1位置から第2位置に摺動可能な状態で前記筐体に取り付けられたスイッチ部材と、前記スイッチ部材が前記第1位置にあるか否かを検出する検出部と、前記検出部により前記スイッチ部材が前記第1位置にあると検出された時は、前記防犯用音源を起動させず、前記検出部により前記スイッチ部材が第1位置にあると検出されない場合は、前記防犯用音源を起動し、かつ、前記発光部から光を射出させる制御部と、を有し、前記発光部は、前記スイッチ部材が前記第1位置にあるときには、前記スイッチ部材に覆われ、前記スイッチ部材が前記第2位置にあるときには前記スイッチ部材に覆われていないことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記スイッチ部材は、前記第1位置にあるときに前記発光部を覆う箇所が、透光性を有する部材で構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記発光部と光軸方向を略等しくする撮影部をさらに備え、前記発光部は、前記撮影部の使用時に撮影補助光源として発光されることが好ましい。
【0013】
また、前記筐体は、前記発光部を覆う箇所が開放された開放部が設けられており、前記スイッチ部材は、前記第1位置にあるときには、前記開放部を覆い、前記第2位置にあるときには、前記開放部を覆わないことが好ましい。
【0014】
また、前記発光部は、前記スピーカの近傍に設けられており、前記筐体は、前記開放部の周縁に前記発光部を囲うリブ部材が設けられていることが好ましい。
【0015】
また、前記スイッチ部材は、携帯電子機器用のストラップ部材を取付可能な穴部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる携帯電子機器は、防犯動作時に前記発光部が前記スイッチ部材に覆われないようにすることで、より外部により強い光を射出でき、簡単な構成で防犯機能をより高くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の分解図である。
【図3】図3は、図1に示す携帯電子機器の背面図である。
【図4】図4は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図5】図5は、図1に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図6−1】図6−1は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す斜視図である。
【図6−2】図6−2は、図6−1に示す携帯電子機器のスイッチ部材を移動させた状態を示す斜視図である。
【図7−1】図7−1は、図6−1に示す携帯電子機器の部分拡大斜視図である。
【図7−2】図7−2は、図6−2に示す携帯電子機器の部分拡大斜視図である。
【図8−1】図8−1は、発光部とスイッチ部材との関係を模式的に示す断面図である。
【図8−2】図8−2は、図8−1に示すスイッチ部材を移動させた状態を示す断面図である。
【図9−1】図9−1は、携帯電子機器のスイッチ部材の他の実施形態の概略構成を示す背面図である。
【図9−2】図9−2は、図9−1に示す携帯電子機器のスイッチ部材を移動させた状態を示す背面図である。
【図10】図10は、携帯電子機器の他の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる携帯電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下に示す実施形態では、携帯電子機器が、いわゆる携帯電話機の場合として説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明の携帯電子機器は、ネットワークまたは外部の端末とデータの送受信を行う機能を有する種々の携帯電子機器、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、携帯ゲーム機や携帯テレビ等にも用いることができる。
【0019】
図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。また、図2は、図1に示す携帯電子機器の分解図であり、図3は、図1に示す携帯電子機器の背面図であり、図4は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。まず、携帯電子機器の構成を説明する。携帯電子機器1は、無線通信機能を備えた携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体1Cが第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。なお、図1、図4は、携帯電子機器1を開いた状態であり、図2及び図3は、携帯電子機器1を閉じた状態である。
【0020】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すメインディスプレイ2Mが設けられる。メインディスプレイ2Mは、所定の画像として、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、図1に示すように、第1筐体1CAには、携帯電子機器1の通話時に音声を発する第1スピーカ6が設けられている。
【0021】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー3が複数設けられ、また、メインディスプレイ2Mに表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー4が設けられる。なお、操作キー3及び方向及び決定キー4は、携帯電子機器1の操作部28を構成する。また、第2筐体1CBには、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取るマイク5が設けられている。
【0022】
ここで、図2に示すように、第2筐体1CBは、基部11とカバー部12とで構成されている。また、基部11とカバー部12との間には、携帯電子機器1の各種機能を実行する制御部(後述するCPU22やメモリ24)等を支持する基板13が設けられている。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、第2筐体1CBの背面(操作キー3や方向及び決定キー4が設けられる面の裏側(反対側)の面)には、第2筐体1CBに対して摺動可能なスイッチ部材10が設けられている。スイッチ部材10には、開口が形成されその開口に透光性を有する材料がはめ込まれた窓50と、摺動方向にスイッチ部材10を牽引するためのストラップ等を繋げるための穴部52とが形成されている。スイッチ部材10は、外形線が第2筐体1CBと略同一となる位置から、第2筐体1CBから飛び出した状態となる位置まで移動する。
【0024】
さらに、第2筐体1CBの背面には、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等で構成され画像を撮影する撮像素子34や、着信音や、アラーム等の音声を発する第2スピーカ36が設けられている。
【0025】
また、図2及び図3に示すように、第2筐体1CBのスイッチ部材10に覆われている部分には、光を発光する発光部37が設けられている。発光部37は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、電力が供給されることで発光する発光素子である。この発光部37は、上述したように基板13上に配置されており、カバー部12の発光部37に対向する部分には、開口(開放部)12aが形成されている。つまり、発光部37は筐体1CBの内部に設けられているが、光の射出する方向は、開口12aにより開放されており、スイッチ部材10と対面している。なお、発光部37から射出された光は、開口12aを通り、スイッチ部材10の窓50から射出される。また、発光部37は、撮像素子34により撮影される方向に光を射出するように配置されている。つまり、発光部37は、撮像素子34と、光軸方向が略同一方向になる向きで配置されている。
【0026】
さらに、第2筐体1CBのスイッチ部材10近傍には、スイッチ部材10の位置を検出するスイッチ位置検出部38が設けられている。スイッチ位置検出部38は、クリック部材60と、クリック部材60をスイッチ部材10に固定するボルト62と、基板13に固定されている突起部64とで構成されている。クリック部材60は、ボルト62によりスイッチ部材10に固定されており、スイッチ部材10と共に移動する。また、突起部64は、クリック部材60に対向した位置に配置されている。ここで、スイッチ部材10が、その外形線が第2筐体1CBと略同一となる位置にある場合、クリック部材60と突起部64とは接触し、スイッチ部材10が、その外形線が第2筐体1CBから飛び出した状態となる位置まで移動している場合は、クリック部材60と突起部64とは非接触となる。スイッチ位置検出部38は、クリック部材60と突起部64が接触しているか非接触であるかを検出することで、スイッチ部材10の位置を検出し、検出結果を後述するCPU22に送信する。なお、クリック部材60と突起部64とが接触しているか否かを判定する方法としては、種々の方法を用いることができ、例えば、両方の部材を金属で構成し、両者が接触している場合は、所定の回路に電流が流れ、非接触となったら所定の回路に電流が流れないようにすることで検出することができる。
【0027】
また、図4に示すように、本実施形態において、第2筐体1CBの一つの側部(操作キー3や方向及び決定キー4が設けられる面と略直交する面のうちの一つ)には、通信用端子16が設けられる。通信用端子16は、第2筐体1CB内に設けられるメモリに第2筐体1CBの外部から情報を保存したり、前記メモリに保存される情報を第2筐体1CBの外部へ取り出したりする際に用いられる。前記メモリに保存される情報は、例えば、携帯電子機器1の制御に用いるソフトウェアや画像データ、あるいは音声データ等である。
【0028】
また、第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、ヒンジ18で連結されている。これによって、第1筐体1CA及び第2筐体1CBは、ヒンジ18を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向(図4の矢印Rで示す方向)に回動できるように構成される。第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると携帯電子機器1が開き、第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに接近する方向に回動すると携帯電子機器1が閉じる。
【0029】
次に、携帯電子機器1の機能と制御部との関係を説明する。図5は、図1に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図5に示すように携帯電子機器1は、CPU(Central Processing Unit)22と、メモリ24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、撮像素子34と、第2スピーカ36と、発光部37と、スイッチ位置検出部38と、を有する。なお、携帯電子機器1は、上記構成の他にも携帯電子機器として有する各種構成を有している。
【0030】
CPU22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する処理部である。すなわち、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部28の操作や携帯電子機器1のメモリ24に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26、表示部32等の動作を制御する。携帯電子機器1の各種の処理としては、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧等がある。また、通信部26、音声処理部30、表示部32等の動作としては、例えば、通信部26による信号の送受信、音声処理部30による音声の入出力、表示部32による画像の表示等がある。また、撮像素子34の動作としては、画像の撮影があり、発光部37の操作としては、発光がある。
【0031】
CPU22は、メモリ24に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。CPU22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processor Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、CPU22は、メモリ24に保存されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0032】
CPU22は、複数のアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。CPU22が実行するアプリケーションプログラムとしては、例えば、撮像素子により画像を撮影する撮影アプリケーションプログラム、緊急事態発生を知らせる信号を検出したら設定された動作を行う防犯アプリケーションプログラム、各種ゲームを作動させるゲームアプリケーションプログラム等の複数のアプリケーションプログラムがある。
【0033】
メモリ24には、CPU22での処理に利用されるソフトウェアやデータが保存されており、上述した、撮影アプリケーションプログラムを作動させる撮影タスク40、防犯アプリケーションプログラムを作動させる防犯処理タスク42が保存されている。防犯処理タスク42について、後ほど詳述する。また、メモリ24には、これらのタスク以外に、例えば、通信、ダウンロードされた画像データや音声データ等、あるいはメモリ24に対する制御にCPU22が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等を保存し、管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が保存されている。なお、ソフトウェアの処理過程で用いられるコンピュータプログラムや一時的なデータは、CPU22によってメモリ24に割り当てられた作業領域へ一時的に保存される。メモリ24は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0034】
操作部28は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられた操作キー3と、方向及び決定キー4とで構成され、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、ユーザの指示としてCPU22へ入力される。
【0035】
音声処理部30は、マイク5に入力される音声信号や第1スピーカ6及び第2スピーカ36から出力される音声信号の処理を実行する。すなわち、音声処理部30は、マイク5から入力される音声を増幅し、AD変換(Analog Digital変換)を実行した後さらに符号化等の信号処理を施して、ディジタルの音声データに変換してCPU22へ出力する。また、CPU22から送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、第1スピーカ6及び/または第2スピーカ36へ出力する。
【0036】
表示部32は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネル(上述したメインディスプレイ2M等)を備え、CPU22から供給される映像データに応じた映像、画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。なお、表示部32は、メインディスプレイ2Mに加え、例えば、筐体を閉じた状態でも外部に露出している位置にサブディスプレイを設けてもよい。なお、撮像素子34、発光部37及びスイッチ位置検出部38は、上記で説明したので、その詳細な説明は、省略する。
【0037】
次に、携帯電子機器1の動作について説明する。まず、撮影アプリケーションプログラムによる撮影動作について説明する。ユーザにより操作部28が操作され、カメラ起動の指示が入力されたら、CPU22は、メモリ24から撮影タスク40を読み出し、デコードし、撮影アプリケーションプログラム(以下「撮影アプリ」ともいう。)を立ち上げる。CPU22は、撮影アプリを立ち上げたら、撮影アプリに基づいて、撮像素子34を起動させる。さらにCPU22は、発光部37に電力を供給し、発光部37から光を射出させる。発光部37から射出された光の一部は、窓50を透過して外部に射出される。また、CPU22は、必要に応じて、表示部32に撮影画像が撮影した画像を表示させる。
【0038】
このように撮像素子34により画像を取得している間に、シャッターボタン(画像取得指示のボタン)が押されたら、CPU22は、撮影した画像を記録し、静止画像として表示部32に表示させる。その後、保存指示が入力されたら、取得した画像のデータをメモリ24に記憶させる。その後、CPU22は、撮影終了の指示が入力されたら、撮影アプリを終了させる。
【0039】
次に、防犯処理アプリケーションプログラムによる防犯動作について説明する。ここで、図6−1は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す斜視図であり、図6−2は、図6−1に示す携帯電子機器のスイッチ部材を移動させた状態を示す斜視図である。また、図7−1は、図6−1に示す携帯電子機器の部分拡大斜視図であり、図7−2は、図6−2に示す携帯電子機器の部分拡大斜視図である。さらに、図8−1は、発光部とスイッチ部材との関係を模式的に示す断面図であり、図8−2は、図8−1に示すスイッチ部材を移動させた状態を示す断面図である。
【0040】
まず、図6−1及び図7−1に示すように、スイッチ部材10が、その外形線が第2筐体1CBと略同一となる位置(以下「第1位置」ともいう。)にある場合は、クリック部材60と突起部64とは接触している。スイッチ位置検出部38は、クリック部材60と突起部64が接触している間は、スイッチ部材10が第1位置にあることを示す情報をCPU22に送り続ける。CPU22は、スイッチ部材10が第1位置にある場合は、通常通り各部の動作の制御を行う。
【0041】
次に、ユーザに非常事態(不審人物に襲われる等)が発生し、ユーザが穴部52に接続されたストラップ等を牽引すると、スイッチ部材10は、図6−2及び図7−2に示すように、その外形線が第2筐体1CBから飛び出した状態となる位置(以下「第2位置」ともいう。)まで移動される。つまり、スイッチ部材10が第2筐体1CBに対して移動される。スイッチ部材10が第2位置に移動される、つまり、スイッチ部材10が第1位置でなくなると、スイッチ位置検出部38のクリック部材60と突起部64とが非接触状態となり、スイッチ位置検出部38は、非接触状態であることを示す信号をCPU22に出力する。
【0042】
CPU22は、スイッチ位置検出部38から非接触状態であることを示す信号を受信したら、メモリ24から防犯処理タスク42を読み出し、デコードし、防犯処理アプリケーションプログラム(以下「防犯アプリ」ともいう。)を立ち上げる。つまり、CPU22は、スイッチ部材10の移動をトリガーとして、ユーザに非常事態が発生したと判断し、防犯処理を開始する。CPU22は、防犯アプリにより種々の防犯動作を行う。具体的には、第2スピーカ36から大音量の音声(ブザー)を出力させ、さらに、発光部37から光を射出させる。
【0043】
ここで、通常使用時、つまり、スイッチ部材10が第1位置にある場合、図8−1に示すように、発光部37から射出された光は、窓50を透過して外部に射出される。これに対して、スイッチ部材10が第1位置にない、つまり、第2位置に移動されると、図8−2に示すように、発光部37に対向する位置のスイッチ部材10が無くなり(正確には、スイッチ部材10は発光部37に対向する領域に重ならない位置まで移動され)、発光部37から射出された光は、直接外部に射出される。これにより、発光部37から射出される光を、スイッチ部材10により遮断、低減させることなく、外部に射出させることができる。具体的には、発光部37から射出される光のうち、窓50以外の部分により遮断されていた光の他に、窓50により低減されていた光も、外部に射出することが可能となり、より強度が強く、かつ広角な光を射出することができる。
【0044】
このように、携帯電子機器1は、通常使用時は発光部37をスイッチ部材10により覆い、緊急事態発生時は、発光部37をスイッチ部材10に覆われていない状態にできることで、緊急事態発生時に、発光部37から射出される光をより強く外部に射出させることができ、緊急事態が発生していることをより確実に周囲に知らせることができる。また、強い光を射出させることで、周囲が暗い等により第2スピーカ36から出力させる音では、位置が特定できない場合も発見されやすくすることができる。
【0045】
また、通常使用時は、スイッチ部材10により覆うようにすることで、発光部37を保護することができ、また、必要以上の光量が射出されないようにすることができる。このように、発光部37を保護することで、通常使用している間に発光部37が故障することを抑制でき、さらに、発光部37から外部に射出される光を通常使用に必要な光量とすることができる。これにより、上述したように通常使用時は、発光部を通常の光源として使用する光源として使用することができる。
【0046】
このように、1つの発光部を、カメラが起動していることを知らせる目印や、被写体を照明するための光源として用いる発光部と、非常事態を知らせるための発光部とに用いることができるため、携帯電子機器1の装置構成をより簡単にすることができ、さらに緊急事態発生時には、より強い光を射出させることが可能となる。また、発光部を通常使用にも用いることで、発光部が故障していることを容易に発見することができる。
【0047】
また、本実施形態のように、スイッチ部材10を撮像素子34の近傍に設けることで、撮影に用いる発光部をスイッチ部材10に覆われた部分に設けることができ、かつ、撮影時により適切な光で被写体を照明することができる。なお、本実施形態のように撮影時に使用する発光部を、緊急事態時に使用する発光部として用いることが好ましいが、緊急事態時に使用する発光部は、これに限定されない。いずれの発光部を用いる場合であっても、非常事態時にスイッチ部材で覆われないようにすることで、通常使用時よりもより強い光を射出させることができる。
【0048】
ここで、携帯電子機器1では、スイッチ部材10を第2筐体1CBの一部に設けたが、スイッチ部材の大きさ、位置は特に限定されず、筐体1Cと相対移動し、かつ、移動することで、発光部37を覆っている状態から覆っていない状態にできればよい。ここで、図9−1は、携帯電子機器のスイッチ部材の他の実施形態の概略構成を示す背面図であり、図9−2は、図9−1に示す携帯電子機器のスイッチ部材を移動させた状態を示す背面図である。例えば、図9−1及び図9−2に示すように、携帯電子機器100の第2筐体1CBの背面側の面の全面をスイッチ部材102としてもよい。このように、スイッチ部材102を大きくした場合も、スイッチ部材102を第2位置に移動させた場合にスイッチ部材102により覆われなくなる部分に発光部37を設ければよい。これにより、上述した場合と同様に、スイッチ部材102が第2位置に移動されたとき、発光部37から射出される光を、スイッチ部材102により遮断され低減されることなく、外部に射出させることができる。これにより、緊急事態発生時は、より強い光を射出させることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、いずれも、スイッチ部材を所定方向に牽引することで、スイッチ部材を第1位置から第2位置に移動する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スイッチ部材を所定方向に押し込むことで、スイッチ部材を第1位置から第2位置に移動するようにしてもよく、また、スイッチ部材を回転させることで、スイッチ部材を第1位置から第2位置に移動するようにしてもよい。
【0050】
なお、携帯電子機器は、スイッチ位置検出部で、スイッチ部材が第1位置にあるか否かを検出し、スイッチ部材が第1位置に無い場合は、防犯機能を起動させるようにすればよい。従って、スイッチ部材は、第1位置と第2位置との間を移動する構成に限定されず、スイッチ部材が筐体から外れるようにしてもよい。この場合は、スイッチ部材が筐体から取り外された状態が、スイッチ部材が第1位置にない状態、つまり第2位置となる。ここで、スイッチ部材が第1位置にあるか否かを判定する境界は、スイッチ部材が発光部を覆っている位置にあるときは第1位置にあると判定し、スイッチ部材が発光部を覆っていない位置にあるときは第1位置にないと判定するように設定すればよい。
【0051】
また、上記実施形態では、スイッチ部材にストラップと接続するための穴部を設け、この穴部に接続されたストラップを引っ張ることで、スイッチ部材を移動させたが、スイッチ部材を移動させる方法は、これに限定されず、ユーザが手動で押したり、引っ張ったりする機構としてもよい。
【0052】
ここで、発光部の周囲を囲う位置の第2筐体と基板との間には、リブを設けることが好ましい。以下、図10を用いて説明する。図10は、携帯電子機器の他の実施形態の概略構成を示す断面図である。図10に示す携帯電子機器200は、第2筐体200CBのカバー部204と基板13との間に発光部37の周囲を囲うリブ210を有する。リブ210を設けることで、スイッチ部材10が第2位置に移動された場合も、第2筐体200CBと基板13との間の空間が外部と繋がらないようにすることができる。つまり、基板13上に設けられている発光部37以外の部材が新たに外部と繋がらないようにすることができる。これにより、第2スピーカ36から出力される音声が第2筐体200CBと基板13との間を通り、第2筐体200CBの発光部37に対向する開口204aを通って外部に出力されることを防止できる。これにより、第2スピーカ36から出力される音声の音響特性が変化することを抑制することができ、緊急事態発生時も第2スピーカ36から外部に適切に出力することができる。特に、第2スピーカ36と発光部37とが近接して設けられている場合、つまり、第2スピーカ36の近傍に発光部37がある場合は、リブ210を設けることで、第2スピーカ36から外部により適切に音声を出力させることができる。
【0053】
また、リブ210の発光部37側の面(つまり、内周面)は、反射する材料で形成することが好ましい。このように、リブ210の内周面を反射材料で形成することで、発光部から射出された光をより多く外部に射出させることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、発光部として1つの発光素子(LED)のみを示したが、発光素子の数は特に限定されず、2つ以上の発光素子を配置してもよい。また、スイッチ部材を第2位置に移動させたときに覆われない位置に、複数の発光部を設けるようにしてもよい。なお、LEDとしては、緊急事態発生時により広い範囲に光を射出できるため、広角LEDを用いることが好ましい。また、本実施形態では、発光素子としてLEDを用いたが、本発明はこれに限定されず、キセノンフラッシュや、EL(Electroluminescence)素子等も用いることができる。
【0055】
また、携帯電子機器1では、防犯アプリによる動作としては、第2スピーカ36から音声を出力させ、発光部37から光を射出させたが、本発明の防犯動作はこれに限定されない。例えば、GPS機能により現在位置を検出するGPS受信部を設け、所定の通信端末にGPS位置情報を定期送信するようにしてもよい。具体的には、GPS受信部によりGPS衛星から携帯電子機器1の緯度経度情報(つまり、位置情報)を取得し、通信部26を用いて取得した位置情報を設定された端末に送信する。この位置情報の取得と、予め設定された端末への送信を一定時間間隔で繰り返す。なお、この時間間隔、及び送信する端末は、操作者により予め設定すればよい。また、撮影アプリを起動させ、可能な限り、画像を取得するようにしてもよい。ランダムな状態でも、画像を撮影することで、不審人物を驚かせることができ、さらに、不審人物を特定することも可能となる。また、メール機能により特定の相手にメッセージが届くようにしても、警察等に自動的に電話を掛けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる携帯電子機器は、防犯のために用いることに有用であり、特に、より光で周囲に緊急事態が発生していること知らせることに適している。
【符号の説明】
【0057】
1、100、200 携帯電子機器
1C 筐体
1CA 第1筐体
1CB、200CB 第2筐体
2M メインディスプレイ
3 操作キー
4 方向及び決定キー
5 マイク
6 第1スピーカ
10 スイッチ部材
11 基部
12、204 カバー部
12a、204a 開口
13 基板
16 通信用端子
18 ヒンジ
22 CPU
24 メモリ
26 通信部
28 操作部
30 音声処理部
32 表示部
34 撮像素子
36 第2スピーカ
37 発光部
38 スイッチ位置検出部
40 撮影タスク
42 防犯処理タスク
50 窓
52 穴部
60 クリック部材
62 ボルト
64 突起部
210 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯用の音声を生成する防犯用音源と、
前記防犯用音源で生成された音声を出力するスピーカと、
前記防犯用音源及び前記スピーカを内蔵する筐体と、
光を射出させる発光部と、
第1位置から第2位置に摺動可能な状態で前記筐体に取り付けられたスイッチ部材と、
前記スイッチ部材が前記第1位置にあるか否かを検出する検出部と、
前記検出部により前記スイッチ部材が第1位置にあると検出された時は、前記防犯用音源を起動させず、前記検出部により前記スイッチ部材が前記第1位置にあると検出されない場合は、前記防犯用音源を起動し、かつ、前記発光部から光を射出させる制御部と、を有し、
前記発光部は、前記スイッチ部材が第1位置にあるときには、前記スイッチ部材に覆われ、前記スイッチ部材が前記第2位置にあるときには前記スイッチ部材に覆われていないことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記スイッチ部材は、前記第1位置にあるときに前記発光部を覆う箇所が、透光性を有する部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記発光部と光軸方向を略等しくする撮影部をさらに備え、
前記発光部は、前記撮影部の使用時に撮影補助光源として発光されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記筐体は、前記発光部を覆う箇所が開放された開放部が設けられており、
前記スイッチ部材は、前記第1位置にあるときには、前記開放部を覆い、前記第2位置にあるときには、前記開放部を覆わないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記発光部は、前記スピーカの近傍に設けられており、
前記筐体は、前記開放部の周縁に前記発光部を囲うリブ部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記スイッチ部材は、携帯電子機器用のストラップ部材を取付可能な穴部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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