説明

携帯電子機器

【課題】回路基板に実装される電子部品の破損を防止できると共に、筐体の内部に効率的に部材を配置できる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電子機器1は、筐体2と、筐体2の内部に配置された回路基板70と、一方の面70a側に実装される第1電子部品73と、一方の面70aにおける第1電子部品73の近傍に形成された接点77と、一方の面70a側に回路基板70から離間して配置される第2電子部品75と、第2電子部品75に電気的に接続される端子部材と、一方の面70a側に、第1電子部品73の周縁の少なくとも一部に沿って固定される帯板状のガード部741と、ガード部741の一端側に設けられ、接点77に当接すると共に端子部材に接触して配置される第1端子部743と、を有するガード部材74と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器としての携帯電話機には、筐体の内部に電子部品が実装された回路基板が収容されている。また、携帯電話機の小型化及び薄型化に伴い、筐体の内部に複数の部材を効率的に配置するために、回路基板の形状は複雑化されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−294652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電話機の落下等により、外部から負荷が加わった場合、この負荷により回路基板がたわみ、回路基板に実装された電子部品が破損してしまう場合があった。特に、形状が複雑化された回路基板において、この回路基板が幅の狭くなった領域を有する場合には、回路基板に加わる負荷は、この幅の狭くなった領域に集中する。そのため、回路基板において、負荷に対する強度の弱い電子部品(例えば、セラミックパッケージ)の配置は制限されていた。
【0005】
本発明は、回路基板に実装される電子部品の破損を防止できると共に、筐体の内部に効率的に部材を配置できる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体の内部に配置された回路基板と、前記回路基板の一方の面側に実装される第1電子部品と、前記回路基板の一方の面における前記第1電子部品の近傍に形成された接点と、前記回路基板の一方の面側に該回路基板から離間して配置される第2電子部品と、前記第2電子部品に電気的に接続される端子部材と、前記回路基板の一方の面側に、前記第1電子部品の周縁の少なくとも一部に沿って固定される帯板状のガード部と、前記ガード部の一端側に設けられ、前記接点に当接すると共に前記端子部材に接触して配置される第1端子部と、を有するガード部材と、を備える携帯電子機器に関する。
【0007】
また、前記回路基板は、該回路基板の幅が狭く形成された幅狭領域を有し、前記第1電子部品は、前記幅狭領域に実装されることが好ましい。
【0008】
また、前記ガード部材は、前記ガード部の他端側に設けられる第2端子部を更に備えることが好ましい。
【0009】
また、前記ガード部材は、前記ガード部と前記第1端子部との間、及び前記ガード部と前記第2端子部との間に、それぞれ、前記第1端子部及び前記第2端子部よりも幅の細い細幅部を更に備え、前記ガード部と前記第1端子部、及び前記ガード部と前記第2端子部とは、前記細幅部を介して接続されることが好ましい。
【0010】
また、前記第1端子部の表面及び前記第2端子部の表面は、前記ガード部材よりも導電率が高い部材により被覆されていることが好ましい。
【0011】
また、前記ガード部材は、帯状の板金部材が折り曲げられて構成され、前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記板金部材が折り曲げられる前の状態において、前記板金部材の長手方向における一端側及び他端側に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記板金部材は、一枚の平板部材から複数の該板金部材が幅方向に並列に分離裁断して構成され、前記平板部材には、複数の前記板金部材における複数の前記第1端子部は、前記平板部材の一方の側縁に沿って並び、複数の前記板金部材における複数の前記第2端子部は、前記平板部材の他方の側縁に沿って並ぶことが好ましい。
【0013】
また、前記平板部材における前記一方の側縁及び前記他方の側縁は、それぞれ、前記平板部材よりも導電率の高い部材により被覆されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の携帯電子機器によれば、回路基板に実装される電子部品の破損を防止できると共に、筐体の内部に効率的に部材を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機を開状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯電話機の閉状態を操作部側筐体の背面側から視た斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話機における表示部側筐体の分解斜視図である。
【図4】図1に示す携帯電話機における操作部側筐体の分解斜視図である。
【図5】図1に示す携帯電話機における主回路基板を第1面側から視た部分拡大斜視図である。
【図6】図1に示す携帯電話機における主回路基板を第1面側から視た部分拡大平面図である。
【図7】図1に示す携帯電話機における主回路基板7を図6に示すX方向から視た側面図である。
【図8A】本実施形態の携帯電話機におけるガード部材74を構成する板金部材を示す平面図である。
【図8B】一枚の平板部材に、複数の板金部材が幅方向に並列して形成された状態を示す平面図である。
【図8C】一枚の平板部材がロール状にされた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の基本構造について、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の携帯電話機1を開状態で示す斜視図である。図2は、携帯電話機1の閉状態を操作部側筐体2の背面2b側から視た斜視図である。図3は、表示部側筐体3の分解斜視図であり、図4は、操作部側筐体2の分解斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、折り畳み型の携帯電話機1であって、略直方体形状の筐体としての操作部側筐体2と、略直方体形状の表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、を備える。
【0018】
操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して開閉可能に連結される。つまり、連結部4は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とを開閉軸を中心に開閉可能に連結する。携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とが相対的に回転(回動)されることにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態、図1参照)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態、図2参照)に変形される。
【0019】
まず、操作部側筐体2について説明する。図1及び図2に示すように、操作部側筐体2は、外郭を形成するフロントケース21及びリアケース22を備える。フロントケース21は、操作部側筐体2の前面2a側を構成する。操作部側筐体2の前面2aは、携帯電話機1が折り畳まれた状態で表示部側筐体3と向かい合う面である。リアケース22は、操作部側筐体2における前面2aと反対側の面である背面2b側を構成する。
【0020】
フロントケース21は、操作キー群11が前面2aに露出するように構成される。操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、を有する。
【0021】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーがユーザにより押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0022】
操作部側筐体2の前面2aには、携帯電話機1のユーザが通話時に発した音声が入力される音声入力部12が配置される。音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4とは反対側の端部(下端部)の近傍に配置される。
【0023】
操作部側筐体2の背面2bには、後述のスピーカ75(図5参照)から出力された音声が出力されるスピーカ孔部24が形成される。スピーカ孔部24は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側に配置される。
【0024】
操作部側筐体2の側面には、例えば、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェースや、ヘッドホン/マイク端子、着脱可能な外部メモリのインターフェースや、バッテリを充電するための充電端子等が設けられる。
操作部側筐体2の内部構造については、後述する。
【0025】
次に、表示部側筐体3について説明する。図1及び図3に示すように、表示部側筐体3は、外郭を形成するフロントケース30a、カバー部材33及びリアケース30bを備える。フロントケース30a及びカバー部材33は、表示部側筐体3の前面3a側を構成する。表示部側筐体3の前面3aは、携帯電話機1が折り畳まれた状態で操作部側筐体2と向かい合う面である。リアケース30bは、表示部側筐体3における前面3aと反対側の面である背面3b側を構成する。
【0026】
フロントケース30aには、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31が配置される。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の端部側に配置される。
【0027】
図3に示すように、フロントケース30aとリアケース30bとの間には、表示部側回路基板35と、この表示部側回路基板35のフロントケース30a側に配置されるメイン液晶モジュール34と、表示部側回路基板35のリアケース30b側に配置されるサブ液晶モジュール36とが内蔵される。
メイン液晶モジュール34の一方の面(フロントケース30a側の面)には、メイン表示部34aが設けられ、このメイン表示部34aには、各種情報が表示される。メイン表示部34aは、全部又は一部が透明なカバー部材33を介して、表示部側筐体3の前面3a側から視認可能となっている。
【0028】
サブ液晶モジュール36の一方の面(リアケース30b側の面)には、サブ表示部36aが設けられ、このサブ表示部36aには、各種情報が表示される。サブ表示部は、リアケース30bの透明部分(図示せず)を介して、表示部側筐体3の背面3b側から視認可能となっている。
【0029】
メイン液晶モジュール34及びサブ液晶モジュール36それぞれは、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する駆動回路と、液晶パネルの背面側から光を照射するバックライトとを有する。
【0030】
続けて、図4を参照しながら、操作部側筐体2の内部構造について説明する。
図4に示すように、フロントケース21とリアケース22とは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース21とリアケース22との間には、キー構造部40と、キー基板50と、シールドケース60と、回路基板としての主回路基板70とが挟まれるようにして内蔵される。
【0031】
フロントケース21には、携帯電話機1の閉状態において表示部側筐体3のメイン表示部34aと対向する内側面に、キー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出する。
【0032】
キー基板50は、複数の絶縁層(絶縁フィルム)の間に配線を挟み込んで形成されるフレキシブル基板である。キー基板50は、シールドケース60における後述の平板部61に載置される。キー基板50は、機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15にそれぞれ対応してキー構造部40側に形成される複数のキースイッチ51、52、53を備える。キースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して、電気的に導通するように構成される。
【0033】
キー構造部40は、キー基板50に対向して配置される。キー構造部40は、複数のキースイッチ51、52、53を押圧可能な押し子と、操作キー群11の押圧面を有するキートップとが、弾性を有するシリコンゴム等で構成された基体シートに設けられて構成される。キー構造部40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、キー基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、フロントケース21に形成されるキー孔13a、14a、15aから露出するように配置される。
【0034】
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。シールドケース60は、キー基板50の載置面となる平板部61と、平板部61における開口側の面に略垂直に形成されるリブ62と、を備える。リブ62は、主回路基板70における後述の第2面70bに実装される各種電子部品のうち最も高い電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるように形成される。リブ62は、平板部61の周縁及び内側に、主回路基板70における基準電位部を構成する基準電位パターン層79に対応するように形成される。具体的には、リブ62は、シールドケース60が主回路基板70に載置された状態で、基準電位パターン層79上に配置されるように形成される。
【0035】
シールドケース60は、リブ62の底面が基準電位パターン層79に当接されることで、基準電位パターン層79と電気的に接続される。シールドケース60は、基準電位パターン層79と電気的に導通して基準電位パターン層79と同じ大きさの電位を有するようになる。
なお、シールドケース60は、その全体を金属から構成することができる他、その骨格を樹脂から形成し、この骨格の表面に導体膜を形成して構成することもできる。
【0036】
図5は、主回路基板70を第1面70a側から視た部分拡大斜視図であり、図6は、主回路基板70を第1面70a側から視た部分拡大平面図である。図7は、図6に示す主回路基板70をX方向から視た側面図である。
主回路基板70には、各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、主回路基板70には、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0037】
主回路基板70は、平面視において略矩形形状を有する。この主回路基板70には、図4及び図5に示すように、長手方向に沿う一対の側縁のうちの一方に、切り欠き部71が形成されている。主回路基板70は、切り欠き部71が形成された部分に、この切り欠き部71が形成されていない部分よりも幅の狭い幅狭領域72を有している。
【0038】
図5〜図7に示すように、主回路基板70におけるリアケース22側に位置する一方の面である第1面70aには、第1電子部品73、及びこの第1電子部品73の一部を囲むガード部材74が配置される。また、この第1面70a側には、図7に示すように、主回路基板70から離間した状態で第2電子部品としてのスピーカ75と、このスピーカ75に電気的に接続されて給電を行うための端子部材としての第1スピーカ端子751(図7参照)及び第2スピーカ端子(図示せず)と、が配置される。また、第1面70aには、絶縁性部材で被覆された配線76と、この配線76の一部が露出した接点としての第1接点(第1ランドパッド)77(図7参照)及び第2接点(第2ランドパッド、図示せず)と、が形成される。
【0039】
第1電子部品73は、主回路基板70の第1面70aにおける幅狭領域72に実装される。この第1電子部品73は、厚さの薄い略直方体形状を有している。
第1ランドパッド77及び第2ランドパッドは、第1電子部品73の周縁近傍に形成される。
【0040】
ガード部材74は、主回路基板70の第1面70aに、例えば、半田付けによって取り付けられる。このガード部材74は、図5〜図7に示すように、帯板状のガード部741と、このガード部741の一端側及び他端側にそれぞれ設けられた細幅部742と、この細幅部742の先端側にそれぞれ設けられた第1端子部743及び第2端子部744と、を備える。
ガード部741は、このガード部741の幅方向が主回路基板70の第1面70aに対して略垂直となるように配置される。また、ガード部741の高さは、第1電子部品73の高さよりも高く構成されている。
ガード部741は、第1電子部品73の3つの側縁に沿って配置されるガード部本体741aと、このガード部本体741aの一端側及び他端側においてガード部本体741aに対して所定角度で折り曲げられて形成された一対の折曲部741bと、を備える。
ガード部本体741aは、第1電子部品73における主回路基板70の長手方向に沿って配置された一対の側縁にそれぞれ沿うと共に、主回路基板70の幅方向に沿って配置された一対の側縁のうちの一方の側縁に沿って配置されている。つまり、ガード部本体741aは、主回路基板70における幅狭領域72及び幅狭領域72以外の領域に亘って配置されている。
一対の折曲部741bは、それぞれ、折曲部741bの先端側が外側を向くように、ガード部本体741aに対して略直角に折り曲げられている。
【0041】
細幅部742は、折曲部741bの先端側にそれぞれ設けられる。この細幅部742は、板状に構成されており、平面方向が第1面70aと略平行に配置されている。細幅部742の幅は、ガード部741の幅、第1端子部743の幅、及び第2端子部744の幅よりも狭く構成されている。
【0042】
第1端子部743は、図7に示すように、折曲部を有する板状に構成されている。この第1端子部743は、細幅部742よりも幅広に構成されており(図6参照)、ガード部741側に配置される第1接触片743aと、この第1接触片743aの先端側に配置される第2接触片743bと、を備える。
第1接触片743aは、細幅部742の先端側に設けられる。この第1接触片743aは、主回路基板70の第1面70aに形成された第1ランドパッド77に当接している。より具体的には、第1接触片743aは、半田付けによって第1ランドパッド77に接合されている。
第2接触片743bは、第1端子部743が第1接触片743aの先端で所定角度に折り曲げられて形成される。この第2接触片743bは、主回路基板70から離間するように主回路基板70の厚さ方向に所定角度を有して延びている。第2接触片743bの先端側は、折曲部により折り曲げられており、主回路基板70の第1面70aと略平行になっている。第2接触片743bの先端側は、主回路基板70から離間した位置において、第1スピーカ端子751に接触している。この第2接触片743bは、第1スピーカ端子751に接触した状態で、第1スピーカ端子751側に付勢されている。
【0043】
第2端子部744の構成は、第1端子部743の構成と同様である。具体的には、第2端子部744は、図6に示すように、ガード部741側に配置される第1接触片744aと、この第1接触片744aの先端側に配置される第2接触片744bと、を備える。
第1接触片744aは、細幅部742の先端側に設けられる。この第1接触片744aは、細幅部742よりも幅広に構成されており、主回路基板70の第1面70aに形成された第2ランドパッド(図示せず)に当接している。より具体的には、第1接触片744aは、半田付けによって第2ランドパッドに接合されている。
第2接触片744bは、第2端子部744が第1接触片744aの先端で所定角度に折り曲げられて形成される。この第2接触片744bは、主回路基板70から離間するように主回路基板70の厚さ方向に所定角度を有して延びている。第2接触片744bの先端側は、折曲部により折り曲げられており、主回路基板70の第1面70aと略平行になっている。第2接触片744bの先端側は、主回路基板70から離間した位置において、第2スピーカ端子(図示せず)に接触している。この第2接触片744bは、第2スピーカ端子に接触した状態で、第2スピーカ端子側に付勢されている。
【0044】
以上の第1端子部743及び第2端子部744は、ガード部材74よりも導電性の高い部材により被覆されている。具体的には、第1端子部743の表面及び第2端子部744の表面には、金メッキ処理が施されている。
【0045】
スピーカ75は、図5〜図7に示すように、略円板形状を有し、第1電子部品73と厚さ方向に重なる位置に配置されている。このスピーカ75は、例えば、リアケース22の内面に設けられた係合部(図示せず)に係合されることで、主回路基板70から離間した状態で操作部側筐体2の内部に配置される。
図7に示すように、第1スピーカ端子751及び第2スピーカ端子は、スピーカ75の主回路基板70側に位置する底面に設けられる。
第1スピーカ端子751は、スピーカ75に接触するスピーカ接触部751aと、スピーカ75の底面から離間するように延びて先端側で第1端子部743の第2接触片743bに接触する端子片接触部751bと、を備える。端子片接触部751bの先端側は、主回路基板70側に凸となるように湾曲して形成されている。この端子片接触部751bは、第2接触片743bに接触した状態で、第1端子部743側に付勢されている。
第2スピーカ端子は、第1スピーカ端子751と同様の構成を有している。即ち、第2スピーカ端子は、スピーカ75に接触するスピーカ接触部と、スピーカ75の底面から離間するように延びて先端側で第2端子部744の第2接触片744bに接触する端子片接触部と、を備える。端子片接触部の先端側は、主回路基板70側に凸となるように湾曲して形成されている。この端子片接触部は、第2接触片744bに接触した状態で、第2端子部744側に付勢されている。
【0046】
図4に示すように、主回路基板70におけるシールドケース60側に位置する第2面70bには、上述の各種電子部品の他、基準電位部を構成する基準電位パターン層79が形成される。基準電位パターン層79は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層79は、主回路基板70の第2面70bの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
【0047】
図4に示すように、リアケース22の一端側には、取り外し可能なバッテリリッド23が設けられている。バッテリリッド23は、バッテリQをリアケース22の外側から収納した後、リアケース22に装着される。また、リアケース22における一端側には、ユーザの音声を入力する音声入力部12のマイク(図示せず)が収容される。
【0048】
次に、本実施形態におけるガード部材74の製造方法について、図8A〜図8Cを参照しながら説明する。
図8Aは、平板部材100から分離された一つの板金部材110を示す平面図である。図8Bは、平板部材100に複数の板金部材110が幅方向に並列して形成された状態を示す平面図である。図8Cは、一枚の平板部材100がロール状にされた状態を示す斜視図である。
【0049】
本実施形態の携帯電話機1におけるガード部材74は、図8Aに示すように、帯状の板金部材110が折り曲げられて形成される。この板金部材110において、第1端子部743及び第2端子部744は、板金部材110が折り曲げられる前の状態において、この板金部材110の長手方向における一端側及び他端側に配置されている。
【0050】
この板金部材110は、図8Bに示すように、一枚の金属製の平板部材100から分離されて形成される。具体的には、一枚の平板部材100には、複数の板金部材110が幅方向に並列して形成される。この状態では、複数の板金部材110における複数の第1端子部743は、平板部材100の長手方向に沿う一方の側縁に沿って配置されている。また、複数の板金部材110における複数の第2端子部744は、平板部材100の長手方向に沿う他方の側縁に沿って配置されている。
【0051】
複数の板金部材110が形成される平板部材100は、図8Cに示すように、ロール状にされた状態で保管される。より詳細には、平板部材100は、長手方向に沿う一対の側縁近傍(第1端子部743及び第2端子部744に相当する部分)に金メッキ処理が施された状態で、ロール状にされて保管される。そして、ガード部材74を製造する場合には、一対の側縁に金メッキ処理が施されロール状になった平板部材100を平板状に延ばした状態で、複数の板金部材110が形成され、個々の板金部材110に分離される。そして、分離された板金部材110が折り曲げられてガード部材74が形成される。
【0052】
次に、板金部材110を折り曲げてガード部材74形成する折り曲げ工程を、図8Aを参照しながら説明する。ガード部材74は、板金部材110を以下のように折り曲げて形成される。
まず、板金部材110の長手方向の中央側に形成された一対の第1折れ線111において、一端側及び他端側を、それぞれ同じ方向に略直角に折り曲げる。次に、一対の第1折れ線111の外側に形成された一対の第2折れ線112において、一端側及び他端側を、第1折れ線111における折り曲げ方向と反対の方向に略直角に折り曲げる。次に、一対の第2折れ線112の外側に形成された一対の第3折れ線113において、一端側及び他端側を、第2折れ線112における折り曲げ方向と同じ方向に折り返すように(180度)折り曲げる。次に、一対の第3折れ線113の外側に形成された一対の第4折れ線114において、一端側及び他端側を、第3折れ線113における折り曲げ方向と反対の方向に略直角に折り曲げる。次に、一対の第4折れ線114の外側に形成された一対の第5折れ線115において、一端側及び他端側を、第4折れ線114における折り曲げ方向と同じ方向に略30度折り曲げる。次に、一対の第5折れ線115の外側に形成された一対の第6折れ線116において、一端側及び他端側を、第5折れ線115における折り曲げ方向と反対の方向に略30度折り曲げる。これにより、ガード部材74が形成される(図5及び図6参照)。
【0053】
以上の携帯電話機1によれば、以下のような効果を奏する。
ガード部材74を、第1電子部品73の周縁の一部を囲むガード部741と、このガード部741の一端側に設けられ第1ランドパッド77に当接する第1端子部743と、を含んで構成した。そして、第1端子部743の第2接触片743bを、主回路基板70から厚さ方向に離間して配置されたスピーカ75の第1スピーカ端子751に接触させた。
これにより、第1電子部品73を保護するガード部材74の一部である第1端子部743を、スピーカ75に電流を供給する給電端子として利用できる。よって、主回路基板70に実装される第1電子部品73の破損を防止できると共に、操作部側筐体2の内部に効率的に部材を配置できる。
【0054】
また、第1端子部743の第2接触片743b及び第1スピーカ端子751の端子片接触部751bを、互いに近づく方向に付勢させた。これにより、第1端子部743と第1スピーカ端子751との接触を強化できる。よって、主回路基板70から厚さ方向に離間して配置されたスピーカ75に、主回路基板70から確実に電流を供給できる。
【0055】
また、主回路基板70の幅狭領域72に実装された第1電子部品73の一部に沿ってガード部材74を配置した。これにより、外部からの負荷がかかりやすい主回路基板70の幅狭領域72におけるたわみを低減できる。よって、幅狭領域72に衝撃に弱い第1電子部品を配置できるので、操作部側筐体2に収容される部材のレイアウトの効率を向上できる。
【0056】
また、ガード部741と第1端子部743との間、及びガード部741と第2端子部744との間に、それぞれ、細幅部742を設けた。これにより、第1端子部743及び第2端子部744を流れる電流がガード部741側に流れることを防止できる。よって、第1端子部743及び第2端子部744の給電端子からスピーカ75に確実に電流を供給できる。
【0057】
また、第1端子部743の表面及び第2端子部744の表面に金メッキ処理を施した。これにより、第1端子部743及び第2端子部744の導電性が、ガード部741及び細幅部742の導電性よりも高くなるので、第1端子部743及び第2端子部744を流れる電流がガード部741側に流れることをより防止できる。よって、第1端子部743及び第2端子部744の給電端子からスピーカ75により確実に電流を供給できる。
【0058】
また、ガード部材74を、帯状の板金部材を折り曲げられて構成した。これにより、複数の板金部材を溶接することなく、単一の板金部材によりガード部材74を形成できる。よって、単一の板金部材によりガード部741、第1端子部743及び第2端子部744を有するガード部材74を構成できるので、携帯電話機1の製造に係る工数を低減できる。また、一枚の平板部材から作成できるガード部材74の取り数を増加できるので、携帯電話機1の製造に係るコストを低減できる。
【0059】
また、一枚の平板部材100に、複数の板金部材110を幅方向に並列させて形成した。そして、第1端子部743及び第2端子部744を、平板部材100の一方の側縁及び他方の側縁にそれぞれ並べて配置させた。これにより、平板部材100の一方の側縁及び他方の側縁に金メッキ処理を施すことで、容易に複数の第1端子部743の表面及び複数の第2端子部744の表面に金メッキ処理を施せるので、携帯電話機1の製造に係るコストを低減できる。
【0060】
また、一枚の平板部材100の一方の側縁及び他方の側縁に金メッキ処理を施した後に、この平板部材100をロール状にして保管できる。よって、携帯電話機1の製造に用いられる部材の保管効率を向上できる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、ガード部741を、第1電子部品73の3つの側縁に沿って配置させたがこれに限らない。即ち、ガード部741を、第1電子部品の2つの側縁に沿って配置させてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、第1電子部品73として略直方体状の電子部品を用いたがこれに限らない。即ち、第1電子部品として、例えば円板形状の電子部品を用いてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、第1端子部743の表面及び第2端子部744の表面に金メッキ処理を施したがこれに限らない。即ち、第1端子部の表面及び第2端子部の表面に、ガード部材74を構成する板金部材よりも導電性の高い導電性塗料の塗装を施してもよい。
【0064】
また、本発明の携帯電子機器は、前記実施形態のような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式の携帯電子機器であってもよい。また、本発明の携帯電子機器は、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)の携帯無線装置であってもよい。
【0065】
本発明は、携帯電話機以外の携帯電子機器に適用することができる。携帯電話機以外の携帯電子機器としては、例えば、PHS(登録商標:Personal Handy phone System)、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコンが挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
70 主回路基板(回路基板)
70a 第1面(一方の面)
73 第1電子部品
74 ガード部材
75 スピーカ(第2電子部品)
76 配線
77 第1ランドパッド(接点)
741 ガード部
742 細幅部
743 第1端子部
744 第2端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置された回路基板と、
前記回路基板の一方の面側に実装される第1電子部品と、
前記回路基板の一方の面における前記第1電子部品の近傍に形成された接点と、
前記回路基板の一方の面側に該回路基板から離間して配置される第2電子部品と、
前記第2電子部品に電気的に接続される端子部材と、
前記回路基板の一方の面側に、前記第1電子部品の周縁の少なくとも一部に沿って固定される帯板状のガード部と、前記ガード部の一端側に設けられ、前記接点に当接すると共に前記端子部材に接触して配置される第1端子部と、を有するガード部材と、を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記回路基板は、該回路基板の幅が狭く形成された幅狭領域を有し、
前記第1電子部品は、前記幅狭領域に実装される請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記ガード部材は、前記ガード部の他端側に設けられる第2端子部を更に備える請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記ガード部材は、前記ガード部と前記第1端子部との間、及び前記ガード部と前記第2端子部との間に、それぞれ、前記第1端子部及び前記第2端子部よりも幅の細い細幅部を更に備え、
前記ガード部と前記第1端子部、及び前記ガード部と前記第2端子部とは、前記細幅部を介して接続される請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第1端子部の表面及び前記第2端子部の表面は、前記ガード部材よりも導電率が高い部材により被覆されている請求項3又は4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記ガード部材は、帯状の板金部材が折り曲げられて構成され、
前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記板金部材が折り曲げられる前の状態において、前記板金部材の長手方向における一端側及び他端側に配置される請求項3から5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記板金部材は、一枚の平板部材から複数の該板金部材が幅方向に並列に分離裁断して構成され、
前記平板部材には、複数の前記板金部材における複数の前記第1端子部は、前記平板部材の一方の側縁に沿って並び、複数の前記板金部材における複数の前記第2端子部は、前記平板部材の他方の側縁に沿って並ぶ請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記平板部材における前記一方の側縁及び前記他方の側縁は、それぞれ、前記平板部材よりも導電率の高い部材により被覆されている請求項7に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2010−258819(P2010−258819A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107109(P2009−107109)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】