説明

携帯電子機器

【課題】開閉状態によらず、表示部及び操作部を視認しながら操作が可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】
表示部4を備えた第1筐体1と、表裏をなす一方側および他方側の双方から操作が可能な操作部5を備えた第2筐体2と、第1筐体1と第2筐体2とが重畳する閉状態および該閉状態に比較して第1筐体1と第2筐体2とが重畳する面積が小さい開状態を取り得るように、両筐体を連結する連結部3と、を備え、開状態においては、操作部5の一方側と、表示部4とがともに同一方向から視認可能なように配置されており、且つ閉状態においては、操作部5の他方側と、表示部4とがともに同一方向から視認可能なように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表裏両面からの操作が可能な携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の複数のキーを有する携帯電子機器は、これら複数のキーのうちのどのキーが押下されたかを検出する操作部を備えている(例えば、特許文献1参照)。この操作部は、基板上に設けられたキーマトリクスと呼ばれる行方向及び列方向にそれぞれ複数の配線が配置された回路構成を有している。そして、複数のキーのうちのいずれかのキーが押下されると、行方向に配置された複数の配線のうちの所定の配線と、列方向に配置された複数の配線のうちの所定の配線とが電気的に接続される。操作部は、接続された配線の電流を検出することで、押下されたキーを特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−150121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の操作部は、一方側からしかキー操作ができないため、たとえば折りたたみ式の携帯電子機器に上記操作部を採用した場合、開閉状態の変化に伴って表示部と操作部とが並列的に視認できない閉状態になると、操作部は、表示部により被覆され、操作ができなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、開閉状態によらず、開閉状態によらず、表示部及び操作部を視認しながら操作が可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、表示部を備えた第1筐体と、表裏をなす一方側および他方側の双方から操作が可能な操作部を備えた第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体とが重畳する閉状態および該閉状態に比較して前記第1筐体と第2筐体とが重畳する面積が小さい開状態を取り得るように、両筐体を連結する連結部と、を備え、前記開状態においては、前記操作部の一方側と、前記表示部とがともに同一方向から視認可能なように配置されており、且つ前記閉状態においては、前記操作部の他方側と、前記表示部とがともに同一方向から視認可能なように配置されている。
【0007】
また、本発明の携帯電子機器は、制御部をさらに備え、前記制御部は、前記開状態においては、前記操作部の一方側からの入力を有効とし、前記閉状態においては、前記操作部の他方側からの入力を有効とする。
【0008】
また、本発明の携帯電子機器は、前記閉状態において、前記表示部は、前記操作部を有する第2筐体に設けられた窓部を介して視認可能に構成されている。
【0009】
また、本発明の携帯電子機器は、前記操作部が、一方側に露出する一方キーと、他方側に露出するともに、前記一方キーに対向して配置される他方キーと、前記一方キー或いは前記他方キーのいずれの押下によっても回路の電気的な接続がなされるキー回路部と、を備える。
【0010】
また、本発明の携帯電子機器は、前記キー回路部の前記一方キーが押下されたときの電流経路と、前記他方キーが押下されたときの電流経路とでは、他方キーが押下されたときの電流経路のほうが、その抵抗値が大きく設定されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開閉状態によらず、表示部及び操作部を視認しながら操作が可能な携帯電子機器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の携帯電話機の閉状態における斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機における開状態における斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話機におけるキー構造の一の実施例にかかる断面図である。
【図4】図1に示す携帯電話機におけるキー構造の他の実施例にかかる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好ましい一実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、携帯電話機の表示部側筐体1と操作部側筐体2とが閉じた状態を示す斜視図である。図2は、表示部側筐体1と操作部側筐体2とが開いた状態を示す斜視図である。図3は、操作部側筐体2のキー構造にかかる一の実施形態を示す断面図である。図4は、操作部側筐体2のキー構造にかかる他の実施形態を示す断面図である。
【0015】
携帯電話機は、概略的には、表示部側筐体1と、操作部側筐体2と、連結部3とを備える。表示部側筐体1と操作部側筐体2とは、ヒンジ機構を備える連結部3を介して連結される。詳細には、表示部側筐体1の右端部と操作部側筐体2の右端部とが連結部3を介して開閉可能に連結される。つまり、連結部3は、表示部側筐体1と操作部側筐体2とを図示しない開閉軸を中心に開閉可能に連結している。
【0016】
携帯電話機は、連結部3を介して連結された表示部側筐体1と操作部側筐体2とを相対的に回転(回動)することにより、表示部側筐体1と操作部側筐体2とを互いに開いた状態(開状態)にしたり、表示部側筐体1と操作部側筐体2とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。ここで、閉状態とは、両筐体がほぼ互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体がほぼ互いに重ならないように配置された状態である。或いは、開状態は、閉状態に比較して重畳する面積が小さい状態とも表現できる。なお、図示しないが、連結部3には開閉状態を検出する開閉検出部が配置されている。
【0017】
表示部側筐体1は、外面がフロントケース及びリアケースを主体として構成される。表示部側筐体1には、各種情報を表示するためのLCDやOLED等からなる表示部4、さらに表示部4や操作部を制御する制御部(図示せず)等が配置される。
【0018】
表示部4は、外面が露出する液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部(いずれも図示せず)とを備える。表示部4には、携帯電話機の各種機能に応じて数字、文字、画像等が表示される。
【0019】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース及びリアケースを主体として構成される。操作部側筐体2には、その主面の一方側及び他方側に、操作部5(5A,5B)と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしてのスピーカと、携帯電話機の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとがそれぞれ露出するように構成される。
【0020】
操作部5(5A,5B)は、閉状態においては、操作部5の一方側5Aが外部に露出し、開状態においては、操作部5の他方側5Bが外部に露出する。操作部5は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作機能を備えて構成される。
【0021】
そして、操作部側筐体2には窓部6が設けられている。この窓部6は所定の大きさの貫通孔からなり、或いはガラス等の透明な部材が配されてなり、閉状態においても表示部4の一部が視認できる様になっている。これによりユーザーは、表示部4の表示内容を確認しながら、操作部の一方側5Aにて操作ができる。また、開状態においては、ユーザーは、表示部4全体を視認しながら、操作部5の他方側5Bにて必要な操作ができる。
【0022】
そして、図示しないが、表示部側筐体1の内部或いは操作部側筐体2の内部には、これら表示部4、操作部、通信にかかる処理等の制御をなす制御部が配置されている。
【0023】
制御部は、連結部3に設けられた開閉状態検出部による開閉状態に関する情報に基づき、操作部5の一方側5Aと他方側5Bのいずれの入力を有効として扱い、或いは無効として扱うかを決定している。
すなわち、閉状態においては、操作部の一方側5Aからの入力操作を有効とし、他方側5Bからの入力操作を無効とする。逆に、開状態においては、操作部の一方側5Aからの入力操作を無効とし、他方側5Bからの入力操作を有効とする。これにより、特に一方側・他方側の双方が露出する開状態において、ユーザーによる保持のための動作を、入力操作がなされたとして誤検出する恐れが低くなる。また、制御部は、閉状態においては、表示部の一部、すなわち窓部6から露出する部分だけを表示するように制御する。一方、開状態においては、表示部全体を用いて必要な情報を表示すればよい。
【0024】
次に、操作部5の構造について図3を基に説明する。
図3に示すように、操作部5は、操作部側筐体2の一方側・他方側のそれぞれの面から露出する一方キー7Aと、他方キー7Bとが対向して配置されている。
そして、これら一方キー7Aと、他方キー7Bとの間には、キー回路部8が配置されている。
【0025】
キー回路部8は、FPC等の可撓性のキー基板9と、金属パターンからなるキー回路10と、絶縁性のドーム11と、金属製の導通部12とを備えている。そして、キー基板9上にはキー回路10がパターン化して形成されており、キー回路10は、一方キー7A及び他方キー7Bとの対向領域内において断線されている断線領域を持つ。
また、当該キー回路10の断線領域を覆うようにして、キー基板9上には、ドーム11が配置されている。ドーム11の天井部には、キー回路10の断線領域に対応して、導通部12が配置されている。
【0026】
そして、一方キー7Aが押下されると、一方キー7Aは、ドーム11を押圧して、ドーム11を撓ませ、これによりドーム11の天井部に配置された導通部12が、キー回路10に接触し、キー回路は導通状態となる。
【0027】
制御部は、通常、キー回路に所定の電圧を印加した状態にしつつ、キー回路の電圧の変化を監視しているため、導通状態となることで生じる電圧の変化を検出することができる。この電圧の変化がキーの押下として検出される。
【0028】
また、他方キー7Bが押下されると、他方キー7Bは、キー基板9及びキー回路10を押圧して撓ませる。そして、撓んだキー基板9及びキー回路10は、ドーム11を一方キー7A側に押圧する。そして、一方キー7Aとキー基板9及びキー回路10とによりドーム11が撓み、これにより先ほどと同様に、ドーム11の天井部に配置された導通部12が、キー回路10に接触し、キー回路10は導通状態となる。
【0029】
また、上述したように、制御部は、開閉検出部からの現在の開閉状態に関する情報を有している。したがって、当該導通状態が検出されたときに、一方キー7A或いは他方キー7Bのいずれのキーの押下を、有効な操作として扱うか予め設定できる。したがって、導通状態によるキー押下を検出したときに、有効となっている一方キー7Aあるいは他方キー7Bのいずれかの押下があったものとして、それぞれのキーに割り付けられた所定の操作処理を実行することができる。
【0030】
次に、操作部5の他の実施携帯にかかる構造について図4を基に説明する。
図4に示すように、操作部5は、操作部側筐体2の一方側・他方側のそれぞれの面から露出する一方キー7Aと、他方キー7Bとが対向して配置されている。
一方キー7Aと、他方キー7Bのそれぞれは、その内部側の先端部に金属製の一方側導通部12A、金属製の他方側導通部12Bを備えている。
そして、これら一方キー7Aと、他方キー7Bとの間には、キー回路部8が配置されている。
【0031】
キー回路部8は、ユーザーのキー押下によっても大きく変形しないキー基板9と、金属パターンからなるキー回路10とを備えている。そして、キー基板9上にはキー回路10がパターン化して形成されており、キー回路10は、一方キー7A及び他方キー7Bとの対向領域内において、その一部が断線されている。
なお、キー回路10は、キー基板9の一方側主面で、且つ一方側導通部12Aに対向する領域に形成される一方側の断線領域と、キー基板9のスルーホールを介して引き回され、キー基板9の他方側主面で、且つ他方側導通部12Bに対向する領域に形成される他方側の断線領域とを備えている。
【0032】
そして、一方キー7Aが押下されると、一方キー7Aに配置された一方側導通部12Aが、キー基板9の一方側主面のキー回路10に接触し、キー回路10の一方側の断線領域は導通状態となる。なお、キー基板9は、押下によっても大きく変形しない素材、たとえばガラスエポキシ樹脂材からなる基板や所定厚みのセラミック基板等からなるため、上述した一の実施形態の場合とは異なり、キー基板9が撓む等して他方側の断線領域が導通することはない。
【0033】
制御部は、通常、キー回路に所定の電圧を印加した状態にしていると同時に、キー回路の電圧の変化を検出するため、導通状態となることで生じる電圧の変化を捉えることができる。この電圧の変化がキーの押下として検出される。
【0034】
また、他方キー7Bが押下されると、他方キー7Bに配置された他方側導通部12Bが、キー基板9の他方側主面のキー回路10に接触し、キー回路10の他方側の断線領域は導通状態となる。なお、このとき、キー基板9が撓む等して一方側の断線領域が導通することはない。
【0035】
また、上述したように、制御部は、開閉検出部からの現在の開閉状態に関する情報を有している。したがって、当該導通状態が検出されたときに、一方キー7A或いは他方キー7Bのいずれのキーの押下を、有効な操作として扱うか予め設定できる。したがって、導通状態によるキー押下を検出したときに、有効となっている一方キー7Aあるいは他方キー7Bのいずれかの押下があったものとして、それぞれのキーに割り付けられた所定の操作処理を実行することができる。
【0036】
なお、上述では、導通状態の検出として電圧の変化を検出する場合を例にしたが、電流値の変化を検出するものでもよい。
電流値を検出する場合は、たとえば、他方側主面のキー回路10と他方側導通部12Bの接触を阻害しない領域にチップ抵抗等の抵抗器13を配しておくと、開閉状態に関する情報が得られなくとも、一方或いは他方のいずれのキーが押下されたかが検出できる。すなわち、一方キー7Aが押下されたときの電流経路と、他方キー7Bが押下されたときの電流経路とでは、抵抗器13を通過する他方側のほうが、経路の抵抗値が大きくなるようにすればよい。このため、制御部は、高い電流値が検出された場合に、一方キー7Aの押下と判定し、低い電流値が検出された場合に、他方キー7Bの押下と判定すればよい。
なお、抵抗器13の配置に換えて、一方側導通部12Aの抵抗値を他方側導通部12Bの抵抗値に比較して小さくしてもよい。これによっても、一方キー7Aと他方キー7Bとの押下において流れる電流値の差が検出でき、同様の効果が得られる。
【0037】
なお、本発明は、上述の実施例に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1 表示部側筐体
2 操作部側筐体
3 連結部
4 表示部
5 操作部
6 窓部
7 キー
8 キー回路部
9 キー基板
10 キー回路
11 ドーム
12 導通部
13 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えた第1筐体と、表裏をなす一方側および他方側の双方から操作が可能な操作部を備えた第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体とが重畳する閉状態および該閉状態に比較して前記第1筐体と第2筐体とが重畳する面積が小さい開状態を取り得るように、両筐体を連結する連結部と、を備え、
前記開状態においては、前記操作部の一方側と、前記表示部とがともに同一方向から視認可能なように配置されており、且つ前記閉状態においては、前記操作部の他方側と、前記表示部とがともに同一方向から視認可能なように配置されている携帯電子機器。
【請求項2】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記開状態においては、前記操作部の一方側からの入力を有効とし、
前記閉状態においては、前記操作部の他方側からの入力を有効とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記閉状態において、前記表示部は、前記操作部を有する第2筐体に設けられた窓部を介して視認可能に構成されている請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記操作部は、一方側に露出する一方キーと、他方側に露出するともに、前記一方キーに対向して配置される他方キーと、前記一方キー或いは前記他方キーのいずれの押下によっても回路の電気的な接続がなされるキー回路部と、を備える請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記キー回路部は、前記一方キーが押下されたときの電流経路と、前記他方キーが押下されたときの電流経路とでは、他方キーが押下されたときの電流経路のほうが、その抵抗値が大きく設定されている請求項4に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−155327(P2011−155327A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13763(P2010−13763)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】