説明

携帯電子機器

【課題】消費電力を抑制しつつ、多様な撮像モードを設定できる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値よりも大きい場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により立体画像を撮像する第1撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。一方、撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値以下の場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により2次元画像を撮像する第2撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像部を備える携帯電子機器が広く普及している。このような携帯電子機器において、複数の撮像部を備え、この複数の撮像部により通常の撮像とは異なる撮像モードで画像を撮像する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の携帯電子機器は、第1筐体と、第1筐体に折り畳み可能に連結された第2筐体と、第1筐体の表面に固定された第1撮像部と、前記第2筐体の背面に固定された第2撮像部と、を備え、第1筐体と第2筐体とを折り畳んだ状態で、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とが同一の方向を向き、かつ第1撮像部の光軸方向と第2撮像部の光軸方向とを第1筐体と第2筐体とが遮らないように構成されている。そして、特許文献1に記載の携帯電子機器は、第1撮像部及び第2撮像部により通常の撮像とは異なる態様で撮像が可能な撮像モードを設定できる。
【0004】
一方、近年、立体的な画像を撮像するために、2つの撮像部を備えた携帯電子機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−108883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、近年、通常の撮像とは異なる撮像モードを設定できる携帯電子機器が望まれている。また、立体的な画像を撮像する携帯電子機器では、常時立体的な画像を撮像するため、立体的な画像が必要ない場合には、携帯電子機器における電力の消費量が増加してしまっていた。
【0007】
本発明は、消費電力を抑制しつつ、多様な撮像モードを設定できる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、前記筐体に配置される第1撮像部及び第2撮像部と、被写体の明るさを検出する露出検出部と、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により撮像される被写体の画像の撮像モードを複数設定可能な撮像モード設定部と、前記撮像モード設定部により設定された前記撮像モードに基づいて前記被写体の画像を合成する画像合成部と、前記露出検出部から出力される露出出力信号が所定値よりも大きい場合には、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により立体画像を撮像する第1撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させ、前記露出検出部から出力される前記露出出力信号が所定値以下の場合には、前記第1撮像部又は前記第2撮像部により2次元画像を撮像する第2撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させる撮像制御部とを備える。
【0009】
また、前記筐体は、第1筐体及び第2筐体を有し、前記第1撮像部は、前記第1筐体に配置され、前記第2撮像部は、前記第2筐体に配置され、前記第1筐体と前記第2筐体とを回動可能に連結する連結部と、前記第1筐体と前記第2筐体との開状態及び閉状態を検出する開閉状態検出部と、を更に備え、前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により検出された所定の開状態に応じて、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記第1撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させることが好ましい。
【0010】
また、前記連結部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第1の所定角度に開かれた場合、前記第1撮像部と前記第2撮像部とは、略同一平面上に位置することが好ましい。
【0011】
また、前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、前記第1筐体及び前記第2筐体それぞれにおいて、前記連結部に近接して配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第2の所定角度で検出された場合、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記被写体の2次元画像を撮像する第2撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させることが好ましい。
【0013】
また、前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第3の所定角度で検出された場合、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記被写体の画像を撮像し、撮像した前記被写体の画像を前記画像合成部により所定の処理を用いて前記被写体の2次元画像を合成する第3撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させることが好ましい。
【0014】
また、前記画像合成部は、前記所定の処理として、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により撮像される前記被写体の画像それぞれを別方向に回転処理し、1つのパノラマ画像を合成することが好ましい。
【0015】
また、前記携帯電子機器は、前記第1筐体又は前記第2筐体のいずれか一方に配置される第1表示部と、前記第1筐体又は前記第2筐体のいずれか他方に配置される第2表示部と、を更に備え、前記撮像制御部は、前記撮像モード設定部により設定された前記撮像モードにおいて、前記画像合成部により合成される前記被写体の画像を前記第1表示部又は前記第2表示部に表示させることが好ましい。
【0016】
また、前記撮像制御部は、前記第1撮像部又は前記第2撮像部のいずれかにより前記被写体の画像を撮像する場合には、予め設定された前記第1撮像部又は前記第2撮像部により前記被写体の画像を撮像する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、消費電力を抑制しつつ、多様な撮像モードを設定できる携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機の外観斜視図を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】携帯電話機を背面側から視た場合の外観斜視図を示す図であり、(A)は開状態における携帯電話機を示す図、(B)は閉状態における携帯電話機を示す図である。
【図3】携帯電話機の機能を示す機能ブロック図である。
【図4】立体画像モードで被写体を撮像する状態を示す模式図である。
【図5】立体画像モードで撮像された被写体の画像である。
【図6】第1パノラマ撮像モードで被写体を撮像する状態を示す模式図である。
【図7】第1パノラマ撮像モードで撮像された被写体の画像である。
【図8】第2パノラマ撮像モードで被写体を撮像する状態を示す模式図である。
【図9】第2パノラマ撮像モードで撮像された被写体の画像である。
【図10】本実施形態に係る携帯電話機により被写体の画像を撮像する際の処理について示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る携帯電子機器の他の実施形態である携帯電話機の外観斜視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の外観斜視図を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して、回転軸を中心に回動可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能に構成される。
【0021】
つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して開いた状態(開状態。図1参照)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して互いに重なり合う(折り畳まれた)状態(閉状態。図2(B)参照)とに変更可能に構成されている。ここで、閉状態とは、両筐体2,3が互いに重なるように配置された状態である。開状態とは、両筐体2,3が互いに重ならないか、あるいは両筐体2,3の重なる程度が小さくなるように配置された状態である。
【0022】
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ、フリップタイプ、図11参照)でもよい。
【0023】
図1に示すように、操作部側筐体2の外面は、前面2a側を形成するフロントケース21及び背面2b側を形成するリアケース22により構成される。操作部側筐体2は、フロントケース21側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。
【0024】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15とにより構成される。
【0025】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、あるいは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0026】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1の開状態において一方の外端部側に配置される。
【0027】
表示部側筐体3の外面は、前面3a側を形成するフロントケース30aと、背面3b側を形成するリアケース30bとから構成される。表示部側筐体3は、フロントケース30a側に、各種情報を表示するためのメイン表示部34と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部31とが露出するように配置されて構成される。
【0028】
図2は、携帯電話機1を背面2b側から視た場合の外観斜視図を示す図であり、(A)は開状態における携帯電話機1を示す図、(B)は閉状態における携帯電話機1を示す図である。図2(A)に示すように、表示部側筐体3は、リアケース30b側に、各種情報を表示するためのサブ表示部35と、第1撮像部46とが露出するように配置されて構成される。
【0029】
また、図1(B)及び図2(A)に示すように、携帯電話機1は、連結部4により操作部側筐体2の長手方向と表示部側筐体3との長手方向とが略一致するように回動することができる。つまり、携帯電話機1は、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度が略180°となるように開くことが可能である。また、携帯電話機1は、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度が180°以上となるように、つまり背面2bと背面3bとが近接するように開くことが可能であってもよい。
【0030】
第1撮像部46は、操作部側筐体2の背面2bに配置され、第2撮像部47は、表示部側筐体3の背面3bに配置される。すなわち、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度が略180°に開かれた場合、第1撮像部46と第2撮像部47とは、略同一平面上に位置することになる。また、照度センサ49は、表示部側筐体3の背面3bに配置される。
【0031】
図11は、本発明に係る携帯電話機1の変形例を示す図である。図11に示すように、ストレートタイプの携帯電話機1の背面3bに第1撮像部46及び第2撮像部47が配置されていてもよい。このようなストレートタイプの携帯電話機1であっても、第1撮像部46と第2撮像部47とが略同一平面上に位置することにより、後述する立体画像を撮像することが可能となる。
【0032】
図3は、携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話機1は、例えば、図3に示すように、操作キー群11と、音声入力部12と、アンテナ40と、RF回路部41と、表示制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部45と、第1撮像部46と、開閉状態検出部48と、照度センサ49と、が操作部側筐体2に備えられる。携帯電話機1は、音声出力部31と、ドライバIC33と、メイン表示部34と、サブ表示部35と、第2撮像部47と、が表示部側筐体3に備えられている。
【0033】
アンテナ40は、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)に対応できるデュアルバンド対応構成である。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であってもよい。また、アンテナ40は、第1の使用周波数帯で外部装置と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯に対応できるアンテナを別途設けてもよい。
【0034】
RF回路部41は、アンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部45に供給する。そして、RF回路部41は、制御部45から供給された信号を変調処理し、アンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、RF回路部41は、アンテナ40によって受信している信号の強度を制御部45へ通知を行う。
【0035】
表示制御部42は、制御部45の制御に従って、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC33に出力する。ドライバIC23は、表示制御部32から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングでメイン表示部34及び/又はサブ表示部35に出力する。
【0036】
音声処理部43は、制御部45の制御に従って、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号を音声出力部31又はスピーカ(図示せず)に出力する。音声出力部31又はスピーカは、音声処理部43から供給された信号を外部に出力する。
【0037】
また、音声処理部43は、制御部45の制御に従って、音声入力部12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をアンテナ40に出力する。
【0038】
メモリ44は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部45による演算処理に利用される。また、メモリ44には、複数のアプリケーションや当該アプリケーションが必要とする各種のテーブル等が記憶されている。また、メモリ44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0039】
制御部45は、携帯電話機1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。
【0040】
第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれは、レンズ、CCD(Charge Coupled Device)、駆動機構、DSP(Digital Signal Processor)等を含むカメラモジュールを備える。第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれは、被写体の画像を撮像して、画像データを生成する。そして、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれは、生成した画像データを制御部45に出力する。また、第1撮像部46及び第2撮像部47は、被写体の明るさを検出し、検出した被写体の明るさを露出出力信号として制御部45へ出力する。
【0041】
開閉状態検出部48は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度を検出する。そして、開閉状態検出部48は、検出した角度を含む信号を制御部45に出力する。開閉状態検出部48としては、例えば、角度検出センサ、加速度センサ、磁気センサ等を用いることができる。照度センサ49は、受光した光により周囲の照度(明るさ)を検出する。照度センサ24は、第1撮像部46及び第2撮像部47による被写体の撮像時における照度を検出することができる。また、上述した露出出力信号は、フレーム信号データや、照度センサ49により検出された照度を含んでもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る携帯電話機1により被写体の画像を撮像する際の処理について説明する。
制御部45は、撮像モード設定部451と、画像合成部452と、撮像制御部453と、を備える。
【0043】
撮像モード設定部451は、第1撮像部46及び第2撮像部47により撮像される被写体の画像の撮像モードを複数設定可能である。例えば、撮像モード設定部451は、通常撮像モード、立体画像モード(第1撮像モード)、第1パノラマ撮像モード(第2撮像モード)、第2パノラマ撮像モード(第3撮像モード)等の撮像モードを設定可能である。
【0044】
画像合成部452は、撮像モード設定部451により設定された撮像モードに基づいて被写体の画像を合成する。
【0045】
撮像制御部453は、メイン表示部、サブ表示部、撮像モード設定部451及び画像合成部452に対して所定の制御を行う。
【0046】
具体的には、撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値(所定値)よりも大きい場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により立体画像(例えば、ステレオ画像、3D画像等)を撮像する第1撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
【0047】
一方、撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値以下の場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により2次元画像(例えば、パノラマ画像)を撮像する第2撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
【0048】
更に、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが120°から180°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の立体画像を撮像する立体画像モードに撮像モード設定部451を設定させる。なお、操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して互いに重なり合う状態(閉状態)を0°とする。角度θは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して開いていくに従って増加する。
【0049】
図4は、立体画像モードで被写体Aを撮像する状態を示す模式図である。図4に示すように、撮像モード設定部451により立体画像モードに設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47の被写体Aに対する光軸は、実質的に同一の方向に向いているため、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれは、被写体Aの画像を撮像することができる。
【0050】
ここで、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが略180°に開かれた場合における第1撮像部46と第2撮像部47との距離は、人間の両目の距離と略一致することが好ましい。また、第1撮像部46及び第2撮像部47は、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおいて、連結部4に近接して配置されることが好ましい。
【0051】
図5は、立体画像モードで撮像された被写体Aの画像F1である。図5に示すように、画像合成部452は、撮像モード設定部451により立体画像モードが設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれにより撮像された被写体Aの2枚の画像を合成して、1つの立体画像を生成する。
【0052】
また、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが0°から90°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体のパノラマ画像を撮像する第1パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
【0053】
図6は、第1パノラマ撮像モードで被写体A及びBを撮像する状態を示す模式図である。図6に示すように、撮像モード設定部451により第1パノラマ撮像モードに設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47の被写体A及びBに対する光軸は、異なる方向に向いており、通常撮像モード及び立体画像モードよりも広い画角を有している。そのため、第1撮像部46は、被写体Aの画像を撮像することができ、第2撮像部47は、被写体Bの画像を撮像することができる。
【0054】
図7は、第1パノラマ撮像モードで撮像された被写体A及びBの画像F2である。図7に示すように、画像合成部452は、撮像モード設定部451により第1パノラマ撮像モードが設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれにより撮像された被写体Aの画像及び被写体Bの画像を合成して、1つのパノラマ画像を生成する。
【0055】
また、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが90°から120°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の2つの画像を撮像し、撮像した被写体の画像を前記画像合成部により所定の処理を用いて被写体のパノラマ画像を合成する第2パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
【0056】
ここで、画像合成部452は、所定の処理として、第1撮像部46及び第2撮像部47により撮像される被写体の2つの画像それぞれを別方向に回転処理し、1つのパノラマ画像を合成する。
【0057】
図8は、第2パノラマ撮像モードで被写体A及びBを撮像する状態を示す模式図である。図8に示すように、携帯電話機1本体が図4及び6に示す状態から90°回転し、かつ撮像モード設定部451により第2パノラマ撮像モードに設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47の被写体A及びBに対する光軸は、異なる方向に向いている。更に、第1撮像部46及び第2撮像部47は、図6に示すパノラマ撮像モードとは撮像する際の画角がそれぞれ90°回転している。そのため、第1撮像部46は、被写体Aが左方向に90°回転した画像を撮像することができ、第2撮像部47は、被写体Bが右方向に90°回転した画像を撮像することができる(図9参照)。
【0058】
図9は、第2パノラマ撮像モードで撮像された被写体A及びBの画像F3である。図9に示すように、撮像モード設定部451により第2パノラマ撮像モードが設定されている場合、第1撮像部46は、被写体Aが左方向に90°回転した画像F3を撮像し、第2撮像部47は、被写体Bが右方向に90°回転した画像F4を撮像する。そして、画像合成部452は、第1撮像部46により撮像された画像F3を右方向に90°回転させ、かつ第2撮像部47により撮像された画像F4を左方向に90°回転させて、1つのパノラマ画像F5を合成する。
【0059】
また、撮像制御部453は、撮像モード設定部451により設定された各撮像モードにおいて、画像合成部452により合成される被写体の画像をメイン表示部34又はサブ表示部35に表示させてもよい。
【0060】
また、撮像制御部453は、撮像モード設定部451により通常撮像モードに設定されている場合には、予め設定された第1撮像部46又は第2撮像部47のいずれかにより被写体の画像を撮像する。例えば、撮像制御部453は、第1撮像部46が被写体の左側に位置し、かつ第2撮像部47が被写体の右側に位置している場合であって、ユーザの利き目が右目である場合には、第2撮像部47のみによって被写体の画像を撮像するように設定する。これにより、携帯電話機1は、ユーザの効き目に応じた画像を撮像することができる。
【0061】
図10は、本実施形態に係る携帯電話機1により被写体の画像を撮像する際の処理について示すフローチャートである。
ステップS1において、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により検出された操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが0°、つまり操作部側筐体2と表示部側筐体3とが閉状態であるか否かを判定する。閉状態である場合(YES)には、ステップS2へ進む。閉状態でない場合(NO)には、ステップS4へ進む。
【0062】
ステップS2において、撮像制御部453は、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の画像を撮像する通常撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
ステップS3において、撮像制御部453は、任意に選択された第1撮像部46又は第2撮像部47のいずれかにより被写体を撮像する。そして、撮像制御部453は、撮像された画像を、メモリ44に記憶したり、メイン表示部34又はサブ表示部35に表示させたりした後、処理を終了する。
【0063】
ステップS4において、撮像制御部453は、第1撮像部46及び第2撮像部47により出力された露出出力信号を取得する。更に、露出出力信号には、フレーム信号データや、照度センサ49により検出された周囲の照度が含まれてもよい。また、露出出力信号には、予め閾値が設定されている。
【0064】
ステップS5において、撮像制御部453は、取得した露出出力信号が設定された閾値よりも大きいか否かを判定する。閾値よりも大きい場合(YES)には、ステップS6へ進む。閾値よりも小さい場合(NO)には、ステップS10へ進む。なお、撮像制御部453は、閾値を判定する際に、1回取得した露出出力信号を用いてもよく、複数回(N回)取得した露出出力信号を用いてもよい。
【0065】
ステップS6において、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により検出された操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが120°から180°の範囲内(第1範囲内)であるか否かを判定する。第1範囲内である場合(YES)には、ステップS7へ進む。第1範囲内でない場合(NO)には、ステップS10へ進む。
【0066】
ステップS7において、撮像制御部453は、立体画像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
ステップS8において、撮像制御部453は、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の画像を撮像する。
【0067】
ステップS9において、画像合成部452は、撮像モード設定部451により立体画像モードが設定されている場合、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれにより撮像された被写体Aの2枚の画像を合成して、1つの立体画像を生成する。そして、撮像制御部453は、生成された立体画像を、メモリ44に記憶したり、メイン表示部34又はサブ表示部35に表示させたりした後、処理を終了する。
【0068】
ステップS10において、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により検出された操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが0°から90°の範囲内(第2範囲内)であるか否かを判定する。第2範囲内である場合(YES)には、ステップS11へ進む。第2範囲内でない場合(NO)には、ステップS14へ進む。
【0069】
ステップS11において、撮像制御部453は、第1パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
ステップS12において、撮像制御部453は、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の画像を撮像する。
【0070】
ステップS13において、画像合成部452は、第1撮像部46及び第2撮像部47それぞれにより撮像された被写体Aの2枚の画像を合成して、1つのパノラマ画像を生成する。そして、撮像制御部453は、生成された立体画像を、メモリ44に記憶したり、メイン表示部34又はサブ表示部35に表示させたりした後、処理を終了する。
【0071】
ステップS14において、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により検出された操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが90°から120°の範囲内(第3範囲内)であるか否かを判定する。第3範囲内である場合(YES)には、ステップS15へ進む。第3範囲内でない場合(NO)には、ステップS2へ戻る。
【0072】
ステップS15において、撮像制御部453は、第2パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。
ステップS16において、撮像制御部453は、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の画像を撮像する。
【0073】
ステップS17において、画像合成部452は、第1撮像部46により撮像された画像を右方向に90°回転させ、かつ第2撮像部47により撮像された画像を左方向に90°回転させて、1つのパノラマ画像を合成する。そして、撮像制御部453は、合成されたパノラマ画像を、メモリ44に記憶したり、メイン表示部34又はサブ表示部35に表示させたりした後、処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話機1によれば、撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値(所定値)よりも大きい場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により立体画像(例えば、ステレオ画像、3D画像等)を撮像する第1撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。一方、撮像制御部453は、第1撮像部46、第2撮像部47及び照度センサ49から出力される露出出力信号が閾値以下の場合には、第1撮像部46及び第2撮像部47により2次元画像(例えば、パノラマ画像)を撮像する第2撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。これにより、携帯電話機1は、立体画像だけでなく、2次元画像も撮像するため、常時立体画像を撮像する場合と比べて、被写体の画像を撮像する際の消費電力を低減することができる。
【0075】
また、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが120°から180°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の立体画像を撮像する立体画像モードに撮像モード設定部451を設定させる。これにより、携帯電話機1は、通常の撮像による画像だけでなく、立体画像も撮像可能になる。更に、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度に応じて撮像モードが選択されるため、例えば操作メニューからユーザの操作により撮像モードを設定する場合に比して、迅速に撮像モードを設定することができる。
【0076】
また、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度が略180°に開かれた場合、第1撮像部46と第2撮像部47とは、略同一平面上に位置することが好ましい。これにより、携帯電話機1は、複数の撮像モード(通常モード、立体画像モード、第1パノラマ撮像モード及び第2パノラマ撮像モード)に対応する画像を好適に撮像することができる。
【0077】
また、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが略180°に開かれた場合における第1撮像部46と第2撮像部47との距離は、人間の両目の距離と略一致することが好ましい。更に、第1撮像部46及び第2撮像部47は、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおいて、連結部4に近接して配置されることが好ましい。これにより、携帯電話機1は、立体画像を好適に撮像することができる。
【0078】
また、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが0°から90°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体のパノラマ画像を撮像する第1パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。これにより、携帯電話機1は、通常の撮像及び立体画像に加えて、パノラマ画像も撮像可能となり、より多様な撮像モードを設定することができる。
【0079】
また、撮像制御部453は、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度θが90°から120°の範囲内で検出された場合、第1撮像部46及び第2撮像部47により被写体の2つの画像を撮像し、撮像した被写体の画像を前記画像合成部により所定の処理を用いて被写体のパノラマ画像を合成する第2パノラマ撮像モードに撮像モード設定部451を設定させる。これにより、携帯電話機1は、より多様な撮像モードを設定することができる。
【0080】
また、画像合成部452は、所定の処理として、第1撮像部46及び第2撮像部47により撮像される被写体の2つの画像それぞれを別方向に回転処理し、1つのパノラマ画像を合成する。これにより、携帯電話機1は、撮像形態の異なる2つのパノラマ画像を撮像可能となり、より多様な撮像モードを設定することができる。
【0081】
また、撮像制御部453は、撮像モード設定部451により設定された各撮像モードにおいて、画像合成部452により合成される被写体の画像をメイン表示部34又はサブ表示部35に表示させてもよい。また、連結部4により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度が略180°に開かれた場合、第1撮像部46と第2撮像部47とは、略同一平面上に位置しない場合であっても、第1撮像部46及び第2撮像部47により撮像された画像に対してソフトウェア処理を行うことにより、第1撮像部46と第2撮像部47とが略同一平面上に位置した場合と同様の画像を生成できるようにしてもよい。
【0082】
また、図11に示すようなストレートタイプの携帯電話機1の場合には、開閉状態検出部48により操作部側筐体2と表示部側筐体3とのなす角度を検出せずに、撮像モード設定部451により予め第1撮像モードに設定されてもよく、加速度センサ等により筐体5の向きに応じて第1撮像モードと通常モードとを切り替えてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上述した実施形態において、携帯電子機器としての携帯電話機1について説明したが、他の電子機器にも適用可能である。例えば、本発明の携帯電子機器は、デジタルカメラ、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、パソコン、ノートパソコン、携帯ゲーム装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体(第1筐体)
3 表示部側筐体(第2筐体)
4 連結部
34 メイン表示部(第1表示部)
35 サブ表示部(第2表示部)
45 制御部
46 第1撮像部
47 第2撮像部
451 撮像モード設定部
452 画像合成部
453 撮像制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配置される第1撮像部及び第2撮像部と、
被写体の明るさを検出する露出検出部と、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部により撮像される被写体の画像の撮像モードを複数設定可能な撮像モード設定部と、
前記撮像モード設定部により設定された前記撮像モードに基づいて前記被写体の画像を合成する画像合成部と、
前記露出検出部から出力される露出出力信号が所定値よりも大きい場合には、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により立体画像を撮像する第1撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させ、前記露出検出部から出力される前記露出出力信号が所定値以下の場合には、前記第1撮像部又は前記第2撮像部により2次元画像を撮像する第2撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させる撮像制御部とを備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、第1筐体及び第2筐体を有し、
前記第1撮像部は、前記第1筐体に配置され、
前記第2撮像部は、前記第2筐体に配置され、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動可能に連結する連結部と、
前記第1筐体と前記第2筐体との開状態及び閉状態を検出する開閉状態検出部と、を更に備え、
前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により検出された所定の開状態に応じて、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記第1撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させる請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記連結部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第1の所定角度に開かれた場合、前記第1撮像部と前記第2撮像部とは、略同一平面上に位置する請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、前記第1筐体及び前記第2筐体それぞれにおいて、前記連結部に近接して配置される請求項2又は3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第2の所定角度で検出された場合、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記被写体の2次元画像を撮像する第2撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させる請求項2から4のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記撮像制御部は、前記開閉状態検出部により前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が第3の所定角度で検出された場合、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により前記被写体の画像を撮像し、撮像した前記被写体の画像を前記画像合成部により所定の処理を用いて前記被写体の2次元画像を合成する第3撮像モードに前記撮像モード設定部を設定させる請求項2から5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記画像合成部は、前記所定の処理として、前記第1撮像部及び前記第2撮像部により撮像される前記被写体の画像それぞれを別方向に回転処理し、1つのパノラマ画像を合成する請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記第1筐体又は前記第2筐体のいずれか一方に配置される第1表示部と、
前記第1筐体又は前記第2筐体のいずれか他方に配置される第2表示部と、を更に備え、
前記撮像制御部は、前記撮像モード設定部により設定された前記撮像モードにおいて、前記画像合成部により合成される前記被写体の画像を前記第1表示部又は前記第2表示部に表示させる請求項2から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記撮像制御部は、前記第1撮像部又は前記第2撮像部のいずれかにより前記被写体の画像を撮像する場合には、予め設定された前記第1撮像部又は前記第2撮像部により前記被写体の画像を撮像する請求項1から8のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−114859(P2012−114859A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264358(P2010−264358)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】