説明

携帯電話機用アンテナシステム構成

【課題】携帯電話機の拡散EM電界効果を低減する。
【解決手段】携帯電話機100は下部から延伸可能な半波長型アンテナ140を備える。アンテナ140は、延伸するとき、携帯電話機100の下部と同じ縦軸を共有しない。アンテナ140は、代わりに、携帯電話機100の上部から離れる方向にアンテナ140を延伸させる傾斜角αを形成し、スピーカ110とアンテナ140との間にさらに大きい分離距離Dを生み出す。アンテナ給電接点150はアンテナ140を携帯電話機100内でコンポーネントと結合する。アンテナ整合ネットワークが、GSM周波数帯域における動作を改善するようにアンテナ構成を同調させ、このアンテナ構成を減衰させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、補聴器は空中で音波を拾うためにマイクを用いて動作し、音波を電気信号に変換する。次いで、この信号は必要に応じて増幅され、ユーザの耳に聞こえるように元の可聴音に変換される。しかし、補聴器のマイクは、必ずしも携帯電話機ハンドセットのような音声装置と共に良好に動作するとは限らない。音声装置と補聴器との間で行われる音響接続は良好でない場合もあり、音の中に歪みを生み出す場合がある。さらに、ユーザエリアおける周囲のノイズが補聴器によって頻繁に拾われる場合が多く、所望の可聴周波数を妨害することになる。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、使用中、携帯電話機により生成される拡散EM電界において無線周波数(RF)の妨害が生じる可能性に起因して多くの補聴器と互換性を有していないことが多い。携帯電話機がそのネットワークと通信しているとき、携帯電話機のアンテナの周りには電磁場が存在している。携帯電話機を使用中のとき、この電磁場はパルスを出力する。補聴器のマイク又はテレコイル回路によって拾われ、ブンブンいう音(すなわち妨害)として聞こえることがあるのは、このパルス出力エネルギである。
【0003】
この状況を解決するために、米国連邦通信委員会(FCC)は補聴器互換性(HAC)規定を普及させて、携帯ハンドセットと補聴器間における妨害を最小化するようにした。2005年9月16日のものとして、携帯電話機ハンドセットメーカは、メーカの携帯電話機ハンドセット製品の少なくとも4〜25%がANSI(米国規格協会)補聴器互換性(HAC)規格を満たすか、この規格を超える提供製品を含むべきであるとした。
【0004】
FCCは、高周波(RF)放射(Mスケール)及びテレコイル結合(Tスケール)の2つのパラメータという観点から携帯電話機に対するHACを規定している。FCCの補聴器互換性規則を満たす携帯電話機は、テレコイル結合に対するRF放射及びT3のための最低限の評価を受け入れる必要がある。FCCは、全国規模のキャリアが、2005年9月から始まるマイク(M)モードに対するHAC規則、及び、2006年9月から始まる(T)テレコイルモードに対するHAC規則を満たす電話のレンジを提供することを要求している。
【0005】
補聴器互換性(HAC)評価の一部として、電磁界の近接場コンポーネントを測定する。かかるコンポーネントは電界および磁界を含む。表1及び表2はFCCのHAC規格に対する電磁M評価を示す。
【0006】
【表1】

【0007】
【表2】

【0008】
M3又はM4の補聴器互換性評価を受け入れるハンドセットは、連邦通信委員会によって採用されたようなANSI補聴器互換性規格を満たすか、これを超えたものとなる。M3評価は携帯電話機がANSI規格を満たしていることを示す。M4評価は携帯電話機がANSI規格を超えていることを示す。電話機がそのまま効率的に作動していると仮定した場合、携帯電話機が高いM評価を持てば持つほど、携帯電話機はより低い無線周波数(RF)放射レベルと、より高い信号品質とを補聴器に対して持つことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
「T」評価とは携帯電話機の結合能力を意味し、テレコイルモードでの補聴器との使用のために意図される評価である。「T」の数が大きくなればなるほど、ユーザは自分の電話機をテレコイルモードで補聴器と共に使用できる可能性がより高くなる。FCC規則は、2006年9月までにセルラ電話機がテレコイルで補聴器と共に使用できるように製造されることを要求している。しかしながら、本発明の目的としては、専らHACのM評価の側面のみが扱われる。
【0010】
HAC対応電話機の場合、電話機は米国のすべての携帯電話機用動作周波数帯域において対応しなければならない。これらの動作周波数帯域は850MHzと1900MHzの帯域とを含む。さらに、携帯電話機は、これらの動作帯域において、デジタル無線携帯電話機からのRF放射が、Hフィールドに対して−11.9dBA/m、かつ、Eフィールドに対して38.6dBV/mを超えないことを意味するM3評価を最低限示す必要がある。
【0011】
本願発明者の知るかぎりにおいて、850MHz及び1900MHzの動作周波数帯域において同時にM3評価を満たす携帯電話機は今まで存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの実施形態によれば、携帯電話機の上部フリップ部分の天面部の近くにスピーカコンポーネントを含むフリップ型携帯電話機用の延伸位置にあるアンテナ構成が提供される。このアンテナ構成は、フリップ型携帯電話機がアクティブな補聴器の比較的近くで動作するとき、補聴器互換性(HAC)M3評価又はこの評価よりも高い評価に従って、アクティブな補聴器に対して妨害を引き起こす可能性のあるいずれの拡散EM電界効果も低減するように設計される。
【0013】
上記アンテナ構成はフリップ型携帯電話機の下部から外へ延伸することができる半波長型アンテナを備える。アンテナは、延伸位置にある場合、フリップ型携帯電話機の下部と同じ縦軸を共有しない。代わりにアンテナは、フリップ型携帯電話機の上部から離れる方向にアンテナを延伸させる傾斜角(α)を形成する。これによって、アンテナがフリップ型携帯電話機の下部と同じ縦軸に沿って延伸した場合よりも大きな分離距離がスピーカとアンテナとの間に生み出されることになる。アンテナをRFコンポーネントと結合するためのアンテナ給電接点がフリップ型携帯電話機内に含まれている。
【0014】
上記アンテナ構成は、アンテナ給電接点とアンテナとの間で結合されたアンテナ整合ネットワークを含むこともできる。アンテナ整合ネットワークは、850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHzのGSM周波数帯域で動作するようにアンテナ構成を同調させるためのものである。アンテナ整合ネットワークは、850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHzのGSM周波数帯域において別のアンテナ性能の動作を極大化するために、このネットワークの個別のコンポーネントの値に基づいてEM電磁場の強さをアンテナ構成から減衰させることもできる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、携帯電話機の上部フリップ部分の天面部の近くにあるスピーカコンポーネントを含むフリップ型携帯電話機用の、収納位置にあるアンテナ構成が提供される。このアンテナ構成は、フリップ型携帯電話機がアクティブな補聴器の比較的近くで動作するとき、補聴器互換性(HAC)M3評価又はこの評価よりも高い評価に従って、アクティブな補聴器に対して妨害を引き起こす可能性のあるいずれの拡散EM電界効果も低減するように設計される。このアンテナ構成は携帯電話機の下部フリップ部分の中へ収納可能な半波長型アンテナを備える。アンテナ給電接点は収納位置にあるアンテナと直接接触しない。アンテナは、アンテナとアンテナ給電接点との間で達成される結合効果を介して容量的に給電される。アンテナアース接点がアンテナの底部チップから上方の距離xのところに配置され、収納位置にあるとき、アンテナと接触する。距離xはアンテナ構成の同調要件に基づいて決定され、850MHzのGSM周波数帯域における効率を極大化する。
【0016】
アンテナ給電接点とアンテナとの間で結合されるアンテナ整合ネットワークを含めることも可能である。アンテナ整合ネットワークは、850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHzのGSM周波数帯域で動作するための同調アンテナ構成用のネットワークである。アンテナ整合ネットワークもその個別のコンポーネントに基づいてアンテナ構成を減衰させ、850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHzのGSM周波数帯域において別のアンテナ性能の動作を極大化する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話機から発する電磁(EM)場が最も厄介な問題となる近接場走査領域の輪郭を示す典型的フリップ型又はクラムシェル型携帯電話機を示す図である。
【図2】延伸位置にあるアンテナを示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機の従来技術による単純化された側面図である。
【図3】本発明の実施形態に従う延伸位置にあるアンテナを示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機の単純化された側面図である。
【図4】図2に例示のアンテナと共に使用するアンテナ整合ネットワークである。
【図5】携帯電話機が動作中のときの、図2に例示のアンテナ用電圧定在波比(VSWR)を示すグラフである。
【図6】収納位置にあるアンテナを示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機の従来技術による単純化された側面図である。
【図7】本発明の実施形態に従う収納位置にあるアンテナを示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機の側面図である。
【図8】携帯電話機が動作中のときの図7に示すアンテナに対する電圧定在波比(VSWR)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、補聴器に対する拡散EM電界効果を低減する携帯電話機用アンテナシステム又は構成を開示するものである。詳細には、本発明はM3の米国連邦通信委員会(FCC)のRF放射最小評価を満たすように設計される。
【0019】
補聴器内のノイズは携帯電話機から発する電磁(EM)場によって生成される。これらのEM電磁場は、アンテナから及び携帯電話機のPCBの中で流れる誘起されたアース電流に起因して生成される電磁場から直接生じる。低い850MHz周波数帯域では、このアース電流は、補聴器へ向かって伝播する強い電磁場を生み出す強い電流になる場合がある。
【0020】
図1は、スピーカ110の周りの頂部フリップにおいて近接場走査領域130の輪郭を示す典型的なフリップ型携帯電話機100を示し、携帯電話機のディスプレイ120を部分的に含む例図である。これは最大の関心領域である。というのは、この領域は補聴器を付けたユーザがEM拡散効果に最も近いプロキシミティとなるポイントであるからである。
【0021】
図2は、フリップ型又はクラムシェル型携帯電話機100の従来技術による単純化された側面図であり、延伸位置にあるアンテナ140を示す。アンテナはアンテナ給電接点150と結合されて、携帯電話機100内の関連するコンポーネントと電気的接続を確立する。スピーカ110(又はスピーカ配置)もこの側面図に示されている。アンテナ140は、携帯電話機100の底部フリップ部分と同じ縦軸にあるその延伸位置で示されている。アンテナ140を携帯電話機100の底部フリップ部分と同じ縦軸に保持することによって、アンテナを延伸したり、収納したりするタスクはシンプルに保たれる。しかし、この構成に関する問題点として、スピーカ110の周りのアンテナと近接場走査領域130との間の実際の距離(d)が最小化されるという点が挙げられる。これは重大な問題である。というのは、この距離は近接場走査領域130におけるEM場の強さに対して明らかな影響を与えるからである。この距離が短ければ短いほど、近接場走査領域130におけるEM場の強さは大きくなる。
【0022】
図3はフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機の単純化された側面図であり、本発明の実施形態による延伸位置にあるアンテナを示す。図3は、アンテナ140が携帯電話機100の底部フリップ部分と同じ縦軸内にない角度で外へ向かって延伸するということを除いて図2と同様の図である。アンテナ140は携帯電話機100の底部フリップ部分から外へ向かって延伸し、それによって、アンテナが携帯電話機100の底部フリップ部分と同じ縦軸において延伸した場合に形成される角度よりも大きい傾斜角(α)を携帯電話機100の頂部フリップ部分に対して形成する。図3の傾斜角(α)は、アンテナ140と、スピーカ110の周りの近接場走査領域130との間にさらに大きな分離(D)を生み出すことになる。図3の距離(D)は図2の距離(d)よりも大きくなる。
【0023】
上記傾斜角は、近接場走査領域130におけるEM場の強さを小さくする本発明の1つの側面である。別の側面はアンテナの種類の選択を含む。このアンテナの種類はプリント配線基板上で流れるアース電流が最小化されるように選択される。半波長アンテナはこのような振舞いを示す。これらの種類のアンテナには半波長モノポールと半波長先端負荷型モノポールとが含まれる。
【0024】
さらに、2つの目的のためにアンテナ整合ネットワーク400が含まれた。第1の目的はアンテナ140を注目周波数に同調させることである。この場合、アンテナ140は、すべての4つのGSM帯域(850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHz)において動作するように設計される。第2の目的は、前述したアンテナ傾斜角(α)がHAC要件を満たすことができない場合、出力電力を減衰させるためにアンテナ整合ネットワーク400を使用することである。アンテナ整合ネットワーク400は、減衰を必要としない動作帯域において電力を減衰させないようにしながら、必要な場合に出力電力をさらに減衰させるように設計することができる。図4の例に示される個別のコンポーネントの値に基づいて、アンテナ整合ネットワーク400は、1800MHzと1900MHzとを減衰させないようにしながら、850MHz帯域を減衰させる。アンテナ整合ネットワーク400は、アンテナ140と1つの端部において結合されたインダクタ420から構成される比較的単純な回路である。第2のインダクタ430は、一方の端部においてアースと結合され、第1のインダクタ420とキャパシタ440との間で他方の端部において結合される(分路される)。キャパシタはまたアンテナ給電接点150と結合される。
【0025】
図5は、図3に例示されているように、延伸位置にあるアンテナ140用の注目GSM動作帯域の両端にわたる電圧定在波比(VSWR)の値を示す。結果が、携帯電話機100の頂部フリップ部分とアンテナ140との間に37度の傾斜角(α)を持つシェル型電話機のプロトタイプを用いて、延伸位置にあるアンテナ140に関して測定された。アンテナ140は、高さ9.5mm、直径6mm及びピッチ分離幅2.5mmのヘリカル・パーツを持つ長さ85mmの半波長直線モノポールから構成された先端負荷型モノポールである。アンテナ整合回路は、図4に示す個別のコンポーネントの値を持つT−ネットワーク型構成である。
【0026】
VSWRは、携帯電話機のRFフロントエンドとのアンテナインピーダンス整合を示す性能指数である。1に等しいVSWRは完全な整合であり、不整合に伴う損失は生じない。3以下のVSWRは一般に良好なVSWR値である。図5のグラフによれば、図3に例示のアンテナ構成は、延伸位置で4つのすべてのGSM周波数帯域(850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHz帯域)において動作することが可能である。
【0027】
HAC性能を評価するための、本明細書に記載のようなアンテナ構成を有するプロトタイプ携帯電話機における電磁場の測定が、FCCにより概略が示されている仕様に従って測定処理手順に従って行われた。電話機が良好な放射性能を有することを示すために、自由空間環境における総放射電力(TRP)も全てのGSM帯域において測定された。
【0028】
表3は延伸位置にあるアンテナに関する結果を要約する表である。表内のHAC評価値は、要求されるM3評価に従うdBでのマージン値を表わす。携帯電話機の伝導電力は、850MHzと900MHz帯域に対しては32dBmで、また、1800MHzと1900MHz帯域に対しては30.0dBmで較正されるため、総アンテナ効率は表3に示すように計算することができる。
【0029】
【表3】

【0030】
表3は、本発明の延伸アンテナ構成を用いるシェル型又はフリップ型携帯電話機が、良好な放射性能をそのまま保持しながら、合衆国のすべての動作帯域においてM3評価によるHAC要件に従うものであることを示す表である。
【0031】
図6は、収納位置にあるアンテナ140を示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機100の従来技術による単純化された側面図である。アンテナ140は天面部がアンテナ給電接点150と接触し、底面部がアース接点160と接触するように携帯電話機100内に収納される。
【0032】
図7は、本発明の実施形態による収納位置にあるアンテナ140を示すフリップ型又はクラムシェル型携帯電話機100の単純化された側面図である。図7は、アンテナ140が収納されたとき、異なる位置でアース接点160と接触するということを除いて、図6の場合と同様の図である。アンテナ140が収納位置にあるとき、アンテナ140はアンテナ給電接点150と直接接触しない。この場合、給電メカニズムはアンテナ給電接点150からアンテナ140への結合効果を介して達成される。さらに、収納位置において、その底部チップから或る一定の距離xに位置するアンテナ140の一部がアース160と直接接触される。これはアンテナが850MHz帯域において有効に動作することを可能にする。アンテナ140が収納位置にあるとき、そのときの位置に配置されたアース接点160がなければ、携帯電話機100は850MHz帯域において良好に動作しないことになる。
【0033】
上記構成は、収納位置で使用するとき、HACのM3要件を満たすために用いることができる。先端負荷型半波長モノポールアンテナがそのヘリカルスタブ(helical stub)の底部において容量的に給電される(非接触給電)。延伸位置にあるアンテナのように、整合ネットワークをアンテナ給電に追加して、アンテナ動作周波数を同調させるか、出力電力を減衰させるかの少なくともいずれかを必要な場合に行うことができる。この実施形態の鍵となる重要な特徴は、その底部チップにおけるアンテナの接地とは対照的に、その底部チップからの距離xにおけるアンテナの接地である。xを変えることによって、低帯域における周波数同調の制御を行うことが可能となる。さらに、アース160とのアンテナ接点と、さらに細かな周波数同調用アースとの間に図4の整合回路のような整合回路を含めるようにしてもよい。
【0034】
図8は、図7に例示されているように、収納位置にあるアンテナ140に対する注目GSM動作帯域の両端にわたるVSWR値を示す。収納位置にあるアンテナ140の場合、アンテナ底部チップから19mmの地点でアンテナ140と接触するアンテナアース接点160の結果が測定された。
【0035】
拡張されたシナリオの場合と全く同じように、アンテナ140は先端負荷型モノポールであり、このモノポールは高さ9.5mm、直径6mm及びピッチ分離幅2.5mmのヘリカル・パーツを持つ長さ85mmの半波長直線モノポールから構成される。アンテナ整合回路は、図4に示す個別のコンポーネントの値を持つT−ネットワーク型構成である。
【0036】
図8のグラフによれば、図7に例示のアンテナ構成は、収納位置で4つのすべてのGSM周波数帯域(850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHz帯域)において動作することが可能である。
【0037】
表4は収納位置にあるアンテナに関する結果を要約する表である。表内のHAC評価値は、要求されるM3評価に従うdBでのマージン値を表わす。携帯電話機の伝導電力は、850MHzと900MHz帯域に対しては32dBmで、また、1800MHzと1900MHz帯域に対しては30.0dBmで較正されるため、総アンテナ効率は表4に示すように計算することができる。
【0038】
【表4】

【0039】
表4は、本発明の収納されたアンテナ構成を用いるシェル型又はフリップ型携帯電話機が、良好な放射性能をそのまま保持しながら、合衆国のすべての動作帯域においてM3評価によるHAC要件に従うものであることを示す表である。
【0040】
本明細書で使用されている用語法は特定の実施形態について単に説明することを目的とするものであって、本発明の限定を意図するものではない。本明細書で使用されているように、文脈が別様に示していない限り、単数形を示す「a」、「an」及び「the」は複数形も同様に含むことを意図するものである。「備える(comprises)」と、「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、上述の特徴、数値、ステップ、処理、要素とコンポーネントの少なくともいずれかの存在を特定する用語であるが、1以上の他の特徴、数値、ステップ、処理、要素及びこれらのグループの少なくともいずれかの存在又は追加を除外するものではないことをさらに理解されたい。
【0041】
特定の実施形態についてここに図示して説明したが、当業者が認識するように、図示された特定の実施形態の代わりに同じ目的を達成するよう考慮された任意の構成を用いてもよく、また本発明は別の環境において別のアプリケーションを有するようにしてもよい。本願は本発明の全ての適用又は変形をカバーするものである。特許請求の範囲は、本発明の範囲を上述した特定の実施形態に限定する意図は全くない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機の上部フリップ部分の天面部の近くにスピーカコンポーネント110を含むフリップ型携帯電話機100用の延伸位置にあるアンテナ構成であって、
前記アンテナ構成は、前記フリップ型携帯電話機100が動作中の補聴器の比較的近くで動作するとき、補聴器互換性(HAC)M3評価又はこの評価より良好な評価に従って、動作中の補聴器に対して妨害を引き起こす可能性がある拡散EM電界効果を低減するように設計され、
前記フリップ型携帯電話機の下部から外へ延伸し、それによってアンテナ140は、延伸されたとき、前記フリップ型携帯電話機の前記下部と同じ縦軸を共有せずに、代わりに傾斜角(α)を形成し、前記フリップ型携帯電話機の上部から離れた方向に前記アンテナ140を延伸して、前記アンテナ140が前記フリップ型携帯電話機100の下部と同じ縦軸に沿って延伸した場合よりも大きな分離距離を前記スピーカ110と前記アンテナ140との間に生み出すことができる半波長型アンテナ140と、
前記フリップ型携帯電話機100内において前記アンテナ140をRFコンポーネントと結合するためのアンテナ給電接点150と
を備えることを特徴とするアンテナ構成。
【請求項2】
前記アンテナ140と前記アンテナ給電接点150との間で結合されるアンテナ整合ネットワーク400であって、850MHz、900MHz、1800MHz及び1900MHzのGSMの周波数帯域において動作するように前記アンテナ構成を同調させるためのアンテナ整合ネットワーク400をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構成。
【請求項3】
前記アンテナ整合ネットワーク400はまた、850MHz、900MHz、1800MHz及び1900MHzのGSMの周波数帯域においてアンテナ性能の動作をさらに極大化するために、該ネットワークの個別のコンポーネントの値に基づいて前記アンテナ構成を減衰させることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ構成。
【請求項4】
前記携帯電話機の前記上部フリップ部分の頂部の近くにスピーカコンポーネント110を含むフリップ型携帯電話機100用の、収納位置におけるアンテナ構成であって、
前記フリップ型携帯電話機100が、前記アクティブな補聴器の比較的近くで動作するとき、補聴器互換性(HAC)M3評価又はこの評価より良好な評価に従って、アクティブな補聴器に対して妨害を引き起こす可能性がある拡散EM電界効果を低減するように設計されたアンテナ構成であって、
前記携帯電話機の下部フリップ部分の中へ収納可能な半波長型アンテナ140と、
前記アンテナ140と前記アンテナ給電接点150との間で達成される結合効果を介して前記アンテナ140が容量的に給電されるようになっている、前記収納位置における前記アンテナ140と直接接触しないアンテナ給電接点150と、
前記アンテナ140の底部チップから上方の距離xのところに配置され、該アンテナ140が前記収納位置にあるとき、前記アンテナ140に接触するアンテナアース接点160と
を備えることを特徴とするアンテナ構成。
【請求項5】
前記距離xは、850MHzのGSM周波数帯域において効率を極大化する前記アンテナ構成の同調要件に基づいて決定されることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ構成。
【請求項6】
前記アンテナ給電接点150と前記アンテナ140との間で結合されたアンテナ整合ネットワーク400であって、850MHz、900MHz、1800MHz及び1900MHzのGSM周波数帯域において動作するように前記アンテナ構成を同調させるためのアンテナ整合ネットワーク400をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構成。
【請求項7】
前記アンテナ整合ネットワーク400はまた、850MHz、900MHz、1800MHz及び1900MHzのGSM周波数帯域においてアンテナ性能の動作をさらに極大化するために、該ネットワークの個別のコンポーネントの値に基づいて前記アンテナ構成を減衰させることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−105301(P2012−105301A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−276094(P2011−276094)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2008−557256(P2008−557256)の分割
【原出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】