説明

携帯電話機

【課題】 従来は、メールを作成する時に、ア行、カ行などの同じ列を連続で入力する場合、一般的に数字(文字)キーの上部に配置されている右のボタンを押す必要があり、操作性に難がある。
【解決手段】 数字(文字)キーが前面に設けられている下部筐体部1の背面に左右ボタン10が設けられているため、ア行、カ行などの同じ列の文字を連続で入力する場合、数字(文字)キーを親指で操作してメール文を入力している途中で、同じ列の文字を続いて入力する場合は、親指を大きく移動させることなく、人差し指で左右ボタン10を操作して文字入力位置を一つ先に進めてから、親指により数字(文字)キーを操作して次の文字を入力することができる。このため、メール文字の入力の際の親指の移動量が少なく、従来に比べて作業性、操作性を大幅に向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に係り、特にキー操作部が設けられた筐体部が不使用時には他の筐体部により覆われ、使用時には他の筐体部から露出するようにされる折畳み型の携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、携帯性に優れ使用可能な範囲が広範囲であり、また、本来の音声電話機能だけでなく、メールやWeb(ウェブ)等の多種多様の機能が利用できるようになり、近年、益々広く普及するようになった。このような携帯電話機では、メールの文字入力はキー操作部を使用して表示画面を見ながら行うが、携帯性から携帯電話機の小型化が要求されることもあり、メールの文字入力は、携帯電話のキー操作部の構造上、不便な点が多い。
【0003】
そこで、従来は各種情報を表示する表示画面を、各種操作信号の入力操作を行う操作キーが配置された面とは異なる面に設けた携帯電話機が従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来の携帯電話機によれば、表示面とは異なる面にキー操作部が配置されるため、キー配置に左右されることなく、様々な情報を表示するための十分な大きさの表示画面を確保できる。
【0004】
また、キー操作部や送話器が内側面に設けられた下部筐体部と、表示部や受話器が内側面に設けられた上部筐体部とが、各々の一側端部同士がヒンジ部で回動自在に結合され、不使用時は内側面同士が互いにほぼ密接対向した閉状態(折畳み状態)とされ、使用時は互いの内側面が所定角度離間された開状態とされる折畳み型携帯電話機では、キー操作部と表示部とをそれぞれ十分な大きさに確保できる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−354085号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の従来の携帯電話機や折畳み型携帯電話機では、メールを作成する時に、ア行、カ行などの同じ列を連続で入力する場合、一般的に数字(文字)キーの上部に配置されている右のボタンを押す必要があり、操作性に難がある。
【0007】
例えば、メール中の文字として「電話」を入力する場合、最初に数字(文字)キー「4」を親指で4回連続して押した後、「#」キーを親指で押すことにより平仮名「で」を入力し、続いて、数字(文字)キー「0」を親指で3回連続して押すことにより平仮名「ん」を入力した後、「ん」と同じ列の「わ」を続いて入力するために、親指を数字(文字)キーから離して右ボタンを1回親指で押して入力位置を一つ進めてから、数字(文字)キー「0」を親指で1回押すことにより平仮名「わ」を入力する。
【0008】
この場合、全て親指で操作することになるが、右ボタンを押すために、一旦数字(文字)キー上から親指を離して、数字(文字)キーの上部に配置された右ボタン上方まで親指を大きく移動して、当該右ボタンを親指で押し、その後再び大きく移動して数字(文字)キー上に親指を戻す必要があり、メールの文字入力の操作性が悪い。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、特別な設計を考慮することなく、文字入力の操作性を向上し得る携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の目的を達成するため、キー操作部から入力したメール文を表示部に表示すると共に、該メール文を送受信する機能を備えた携帯電話機において、キー操作部が設けられた筐体部の背面に、少なくともメール文の文字の入力位置を一つ進めるための左右ボタンが配置されてなることを特徴とする。この発明では、キー操作部が設けられた筐体部の背面に左右ボタンが配置されているため、キー操作部を操作する指と異なる指で左右ボタンを操作することができる。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の左右ボタンをキー操作部内に設けられた左右ボタンと同一の機能を有する構成としたものである。この発明では、筐体部の背面に設けられた左右ボタンとキー操作部内の左右ボタンのうち、使用し易い方を使用できる。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、内側面に各種のキーからなるキー操作部とマイクとが設けられた下部筐体部と、内側面に表示部とスピーカが設けられた上部筐体部とが、ヒンジ部により各々の一側端部を支点として回動自在に結合されており、使用時には下部筐体部と上部筐体部とが、互いの内側面が所定角度離間された開状態とされ、不使用時には下部筐体部と上部筐体部とが、互いの内側面がほぼ密接して対向配置された閉状態とされ、メール送受信機能を備えた折畳み型携帯電話機において、下部筐体部の外側面に、キー操作部を使用して作成するメール文の文字の入力位置を一つ進めるために少なくとも使用される左右ボタンを設けたことを特徴とする。この発明では、折畳み型携帯電話機において、キー操作部を操作する指と異なる指で左右ボタンを操作することができる。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、上記の折畳み型携帯電話機の左右ボタンは、ユーザがキー操作部の任意のキーを親指で操作できるように下部筐体部を持ったときに、ユーザの人差し指で操作可能なヒンジ部の位置に配置されていることを特徴とする。この発明では、キー操作部を親指で操作しながら左右ボタンを人差し指で操作できるので、キー操作部内で異なる位置にある数字(文字)キーと左右ボタンとを親指だけで操作する場合よりも親指の移動量を少なくできる。
【0014】
ここで、上記の折畳み型携帯電話機の左右ボタンは、キー操作部内に設けられた左右ボタンと同一の機能を有することを特徴とする。また、上記の折畳み型携帯電話機に代えて、上部筐体部と下部筐体部とは、互いの内側面がほぼ密接対向する全閉状態から互いの内側面が完全に露出する全開状態までの範囲内で、内側面と平行な水平方向にスライド自在に互いの一部が結合されている構成の携帯電話機に適用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、キー操作部を操作する指(例えば、親指)と異なる指(例えば、人差し指)で、キー操作部が設けられた筐体部の背面の左右ボタンを操作することができるようにしたため、携帯電話機の操作性を向上できる。特に、メール文を作成する場合、キー操作部を親指で操作しながら左右ボタンを人差し指で操作できるので、キー操作部内で異なる位置にある数字(文字)キーと左右ボタンとを親指だけで操作する場合よりも親指の移動量を少なくでき、スムーズに文字を入力することができると共に、作業性及び操作性を大幅に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる携帯電話機の一実施の形態の背面側の外観斜視図、図2は本発明になる携帯電話機の一実施の形態の前面側の外観斜視図、図3は本発明になる携帯電話機の一実施の形態のブロック図である。各図中、同一構成部分には同一符号を付してある。
【0017】
図1及び図2において、本実施の形態は折畳み型携帯電話機で、下部筐体部1と上部筐体部2とがヒンジ部3により、各々の一側端部を支点として回動自在に結合されている。下部筐体部1の内側面(前面)には、図2に示すように、各種のキーからなるキー操作部4とマイク5とが設けられ、上部筐体部2の内側面(前面)には、大型液晶表示部6とスピーカ7が設けられ、上部筐体部2の上端部にはアンテナ8が植立している。キー操作部4内には左右ボタンも含まれる。
【0018】
また、図1に示すように、上部筐体部2の外側面(背面)には小型液晶表示部9が設けられ、ヒンジ部3の背面側には、キー操作部4内に設けられている左右ボタンと同様の機能を持つ左右ボタン10が設けられている。この左右ボタン10は、ユーザが親指でキー操作部4を操作できるように下部筐体部1を自然に持ったときに、人差し指で操作できる位置に配置されている。
【0019】
図1及び図2は、下部筐体部1と上部筐体部2とが互いの内側面が所定角度離間された開状態を示しており、このときキー操作部4、マイク5、大型液晶表示部6、スピーカ7などが使用可能状態となる。また、携帯電話機の不使用時は下部筐体部1と上部筐体部2とは、ユーザの手動により互いの内側面がほぼ密接して対向配置された閉状態(折畳み状態)とされ、キー操作部4、マイク5、大型液晶表示部6、スピーカ7などが他方の筐体部で保護される。なお、ヒンジ部3の背面側の左右ボタン10は、開状態時及び閉状態時のいずれも使用可能である。
【0020】
この折畳み型携帯電話機は、次のように動作する。図3において、マイク5により収音された送話音声は、マイク5により電気信号である音声信号に変換された後、音声処理部14、信号処理部13を通して所定の信号形態に変換された後、無線部12で無線信号とされてアンテナ8を介して最寄りの基地局(図示せず)へ無線送信される。基地局は上位の公衆網に接続されており、受信した信号を携帯電話機の相手端末へ出力する。
【0021】
一方、相手端末からの音声信号は、基地局を介して無線送信され、アンテナ8で受信され、無線部12で受信処理された後、信号処理部13及び音声処理部14により所定の信号処理が施されて復調され、スピーカ7に供給され電気−音響変換されて受話音声として発音される。
【0022】
また、キー操作部4により入力された電話番号やメール文などは、制御部11を介して表示駆動部15に供給され、ここで表示に適した信号に変換されて大型液晶表示部6と小型液晶表示部9に表示される一方、送信処理をしたときには制御部11を介して信号処理部13に供給され、所定のデータフォーマットとされた後、無線部12及びアンテナ8を介して無線送信される。また、アンテナ8で受信したメール文は、無線部12、信号処理部13、制御部11、表示駆動部15を通して大型液晶表示部6と小型液晶表示部9に表示される。
【0023】
また、左右ボタン10が押下されると、制御部11は、次にキー操作部4から入力される文字データ(数字データ)の入力位置を一つ左方向又は右方向へ進める。以上の動作自体は従来の携帯電話機と同様であり、本実施の形態は、下部筐体部1の背面のヒンジ部3に左右ボタン10を設けることにより、ユーザの親指と人差し指でスムーズな文字入力を可能とした点に特徴がある。
【0024】
次に、発明が解決しようとする課題の項で説明したと同様に、メール中の文字として「電話」を入力する場合の本実施の形態の動作について説明する。まず、最初にキー操作部4内の数字(文字)キー「4」を親指で4回連続して押した後、「#」キーを親指で押すことにより平仮名「で」を入力し、続いて、数字(文字)キー「0」を親指で3回連続して押すことにより平仮名「ん」を入力する。
【0025】
続いて「ん」と同じ列の「わ」を入力するために、従来は親指を数字(文字)キーから離して右ボタンを1回親指で押して入力位置を一つ進めるようにしていたが、本実施の形態では、親指はキー操作部4の数字(文字)キー上に位置させたままの状態で、人差し指で左右ボタン10のうちの右ボタンを押すことにより、入力位置を一つ進めることができる。そして、人差し指での右ボタンの押下の直後に、数字(文字)キー上方にある親指で数字(文字)キーの「0」を親指で1回押すことにより平仮名「わ」を入力することができる。
【0026】
従って、本実施の形態では、メール文字の入力の際の親指の移動量は、従来の携帯電話機に比べて少なくできる。上記の説明は一つの単語についてであるが、実際のメール文の入力に際しては多くの単語を入力しなければならないため、本実施の形態のメール文字の入力の際の親指の移動量の少なさは、入力文字数の数に反比例して有利となり、従来に比べて作業性、操作性を大幅に向上できる。
【0027】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、iモードのサイトを見る時の、”戻る”、”進む”といった操作などで左右ボタンを使う場合は、キー操作部4内の左右ボタン、または下部筐体部1の背面のヒンジ部3に設けた左右ボタン10のうち、ユーザが使用し易い方の左右ボタンを使用できる。
【0028】
また、上記の実施の形態は折畳み型携帯電話機について説明したが、上部筐体部と下部筐体部とが、互いの内側面がほぼ密接対向する全閉状態から互いの内側面が完全に露出する全開状態までの範囲内で、内側面と平行な水平方向にスライド自在に互いの一部が結合されている構造の携帯電話機についても本発明を適用できることは勿論のこと、PHS等の簡易型携帯電話機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態の背面側の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態の前面側の外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1 下部筐体部
2 上部筐体部
3 ヒンジ部
4 キー操作部
5 マイク
6 大型液晶表示部
7 スピーカ
8 アンテナ
9 小型液晶表示部
10 左右ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作部から入力したメール文を表示部に表示すると共に、該メール文を送受信する機能を備えた携帯電話機において、
前記キー操作部が設けられた筐体部の背面に、少なくとも前記メール文の文字の入力位置を一つ進めるための左右ボタンが配置されてなることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記左右ボタンは、前記キー操作部内に設けられた左右ボタンと同一の機能を有することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
内側面に各種のキーからなるキー操作部とマイクとが設けられた下部筐体部と、内側面に表示部とスピーカが設けられた上部筐体部とが、ヒンジ部により各々の一側端部を支点として回動自在に結合されており、使用時には前記下部筐体部と前記上部筐体部とが、互いの内側面が所定角度離間された開状態とされ、不使用時には前記下部筐体部と前記上部筐体部とが、互いの内側面がほぼ密接して対向配置された閉状態とされ、メール送受信機能を備えた折畳み型携帯電話機において、
前記下部筐体部の外側面に、前記キー操作部を使用して作成するメール文の文字の入力位置を一つ進めるために少なくとも使用される左右ボタンを設けたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記左右ボタンは、ユーザが前記キー操作部の任意のキーを親指で操作できるように前記下部筐体部を持ったときに、前記ユーザの人差し指で操作可能な前記ヒンジ部の位置に配置されていることを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記左右ボタンは、前記キー操作部内に設けられた左右ボタンと同一の機能を有することを特徴とする請求項3又は4記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記上部筐体部と前記下部筐体部とは、互いの内側面がほぼ密接対向する全閉状態から互いの内側面が完全に露出する全開状態までの範囲内で、内側面と平行な水平方向にスライド自在に互いの一部が結合されていることを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか一項記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2005−33595(P2005−33595A)
【公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−271684(P2003−271684)
【出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】