説明

携帯電話機

【課題】ロッドアンテナを、自動的に、しかも曲がりや折れを生じさせることなく格納することができる携帯電話機を提供する。
【解決手段】一端部を本体部1に枢支され、本体部1の外方に張出す開状態と本体部上に重なる閉状態とに開閉回動される蓋部6に設けられたロッドアンテナ12の基端と、本体部1ケース2内に回転可能に設けられたリール部材13とをアンテナ引込みワイヤ18により連結するとともに、リール部材13に設けられたロック部材係合部15とロック部材16とからなり、蓋部6の閉回動時にリール部材13を本体部1に対して回転阻止状態にロックし、ロッドアンテナ12の突出し時にリール部材13のロックを解除するリールロック機構を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、送受信用のロッドアンテナを備えている(特許文献1、2参照)
【特許文献1】特開平9―284368号公報
【特許文献2】特開2004―94366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記携帯電話機のロッドアンテナは、従来、使用時に手で電話機外に引出され、使用後に手で電話機内に押込み格納されている。
【0004】
しかし、従来の携帯電話機は、前記ロッドアンテナを、その先端に設けられた摘み部を押して電話機内に格納しなければならないため、アンテナ格納が面倒であり、しかも、アンテナ格納の際の乱暴な押込みにより、前記ロッドアンテナが曲がったり折れたりすることがあった。
【0005】
この発明は、ロッドアンテナを、自動的に、しかも曲がりや折れを生じさせることなく格納することができる携帯電話機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の携帯電話機は、第1の薄型ケースの前面にキーボード部及びマイク部が設けられた本体部と、第2の薄型ケースの前後面の一方に表示部及びスピーカ部が設けられ、一端部を前記本体部に枢支され、前記本体部の外方に張出す開状態と前記本体部の前面上に重なる閉状態とに開閉回動される蓋部と、前記本体部または蓋部に設けられ、前記蓋部を前記本体部の外方に開回動させた状態で外部に突出され、前記蓋部を前記本体部の前面上に閉回動させたときに引込み格納されるロッドアンテナと、前記本体部と蓋部の一方のケース内に回転可能に設けられたリール部材と、前記蓋部の閉回動時に前記リール部材を前記本体部と蓋部の他方に対して回転阻止状態にロックし、前記ロッドアンテナの突出し時に前記リール部材のロックを解除するリールロック機構と、前記ロッドアンテナの基端と前記リール部材とを連結し、前記蓋部の閉回動により前記他方のケースにロックされた前記リール部材に巻取られて前記ロッドアンテナを前記本体部または蓋部内に引込むアンテナ引込みワイヤとを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明の携帯電話機においては、前記リール部材を、前記本体部の前面に対して垂直に設けられた軸部材を中心としてその軸回り方向に回転可能に設けるのが望ましい。
【0008】
この携帯電話機において、前記リールロック機構は、前記一方のケース内の前記リール部材に設けられたロック部材係合部と、前記他方のケースに設けられ、予め定めたばね力により前記リール部材のロック部材係合部に係合し、前記リール部材に前記ばね力よりも大きい回転力が加わったときに、前記ロック部材係合部から離脱して前記リール部材のロックを解除するロック部材とにより構成するのが好ましい。
【0009】
また、この携帯電話機は、アンテナ押出しばねと、前記ロッドアンテナを前記アンテナ押出しばねのばね力によりケース外に突出させるためのアンテナ突出し操作部とをさらに備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明の携帯電話機は、前記本体部と、一端部を前記本体部に枢支され、前記本体部の外方に張出す開状態と前記本体部の前面上に重なる閉状態とに開閉回動される前記蓋部とのいずれかに設けられた前記ロッドアンテナの基端と、前記本体部と蓋部の一方のケース内に回転可能に設けられたリール部材とをアンテナ引込みワイヤにより連結するとともに、前記蓋部の閉回動時に前記リール部材を他方に対して回転阻止状態にロックするリールロック機構を備え、前記蓋部を開回動させた状態で前記本体部または蓋部外に突出された前記ロッドアンテナを、前記蓋部の閉回動にともなって、前記リールロック機構によりロックされた前記リール部材に前記アンテナ引込みワイヤを巻取らせて前記本体部または蓋部内に引込むようにしたものであり、この携帯電話機によれば、前記ロッドアンテナを、前記蓋部の閉回動に連動させて自動的に、しかも曲がりや折れを生じさせることなく格納することができる。
【0011】
また、前記リールロック機構は、前記ロッドアンテナの突出し時に前記リール部材のロックを解除するため、前記リール部材をワイヤ繰出し方向に回転させ、前記ロッドアンテナを無理なく突出させることができる。
【0012】
この発明の携帯電話機においては、前記リール部材を、前記本体部の前面に対して垂直に設けられた軸部材を中心としてその軸回り方向に回転可能に設けるのが望ましく、このようにすることにより、前記本体部と蓋部のケースのうち、前記リール部材を設けたケースを厚くすることなく前記リール部材の径を大きくし、前記アンテナ引込みワイヤの巻取り及び繰出し長さを、予め定めたアンテナ突出し及び引込みストロークに応じて充分に確保することができる。
【0013】
この携帯電話機において、前記リールロック機構は、前記一方のケース内の前記リール部材に設けられたロック部材係合部と、前記他方のケースに設けられ、予め定めたばね力により前記リール部材のロック部材係合部に係合し、前記リール部材に前記ばね力よりも大きい回転力が加わったときに、前記リール部材のロック部材係合部から離脱して前記リール部材のロックを解除するロック部材とにより構成するのが好ましく、このようにすることにより、携帯電話機を前記ロッドアンテナを突出させずに使用したときも、前記ロッドアンテナやアンテナ引込みワイヤ及びリール部材に無理な負荷をかけることなく前記蓋部を閉回動させることができる。
【0014】
また、この携帯電話機は、アンテナ押出しばねと、前記ロッドアンテナを前記アンテナ押出しばねのばね力によりケース外に突出させるためのアンテナ突出し操作部とをさらに備えているのが好ましく、このようにすることにより、前記ロッドアンテナを自動的に突出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1〜図5はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は携帯電話機の使用状態の斜視図、図2は前記携帯電話機のアンテナ突出し格納機構の斜視図、図3及び図4は前記アンテナ突出し格納機構のアンテナ突出し状態及びアンテナ格納状態の正面図、図5は図3のV−V線に沿う携帯電話機の拡大断面図である。
【0016】
この携帯電話機は、第1の薄型ケース2の前面に複数のキー4を配列したキーボード部3及びマイク部5が設けられた本体部1と、第2の薄型ケース7の前後面の一方に表示部8及びスピーカ部9とカメラレンズ部10が設けられ、一端部を前記本体部1の一端部に枢支され、前記本体部1の外方に張出す開状態と前記本体部1の前面上に重なる閉状態とに開閉回動される蓋部6とからなっている。
【0017】
この実施例の携帯電話機は、前記蓋部6を、前記本体部1の前面に対して垂直に設けられた軸部材11を中心として、前記本体部1の前面に平行な面に沿った方向に開閉回動可能に設けたものであり、前記表示部8及びスピーカ部9とカメラレンズ部10は、前記蓋部6の前後面のうち、閉回動時に前記本体部1の前面に対向する面とは反対側の面に設けられている。
【0018】
前記軸部材11は、前記蓋部6のケース(第2のケース)7の前面部に設けられた軸孔7aを通して前記本体部1のケース(第1のケース)2内に挿入され、その先端部に設けられたねじ部11aを前記本体部1のケース(以下、本体部ケースという)2の後面部の内面に設けられた軸部材固定部2aにねじ込み固定されており、前記蓋部6は、そのケース(以下、蓋部ケースという)7を前記軸部材11の後端の外周に形成された円形鍔部11bと前記本体部ケース2の前面との間に摺動可能に挟持され、前記軸部材11を中心として本体部1の前面に平行な面に沿った方向に安定に回動するように設けられている。
【0019】
なお、図では省略しているが、前記本体部1に対する前記蓋部6の枢支部には、前記蓋部6の開閉回動範囲を実質的に180度の範囲に規定するストッパ手段が設けられており、前記蓋部6は、その開閉回動範囲を図1に矢線で示したように、前記本体部1の前面上に重なった閉状態から、前記本体部1の一側方向、例えば電話機の前側から見て右方向を回って前記本体部1の外方に張出す開状態に回動され、その開状態から、前記右方向を回って前記閉状態に回動される。すなわち、この実施例では、前記蓋部6を、前側から見て、左回り方向に開回動させ、右回り方向に閉回動させるようにしている。
【0020】
また、前記本体部1と蓋部6のいずれか、例えば蓋部6には、この蓋部6を前記本体部1の外方に開回動させた状態で図1〜図3のように外部に突出され、前記蓋部6を前記本体部1の前面上に閉回動させたときに図4のように蓋部6内に引込み格納されるロッドアンテナ12が設けられている。
【0021】
このロッドアンテナ12は、その先端に引出し用摘み部12aが設けられた手動引出しアンテナであり、蓋部ケース7内の一側部、例えば前記蓋部6の開閉回動範囲側とは反対側(前側から見て左側)の側部に、前記蓋部ケース7の長さ方向に沿わせて配置され、前記蓋部ケース7内の他端部、つまり前記本体部1に対する枢支側とは反対側の端部の一側部に形成されたアンテナガイド部7bに、アンテナ軸方向にスライド可能に保持されている。
【0022】
さらに、この携帯電話機は、前記本体部1と蓋部6の一方のケース、例えば蓋部ケース7内に回転可能に設けられたリール部材13と、前記蓋部6の閉回動時に前記リール部材13を前記本体部1と蓋部6の他方、つまり本体部1に対して回転阻止状態にロックし、前記ロッドアンテナ12の突出し時に前記リール部材13のロックを解除するリールロック機構14と、前記ロッドアンテナ12の基端(蓋部ケース7内側の端部)と前記リール部材13とを連結し、前記蓋部6の閉回動により前記本体部ケース2にロックされた前記リール部材13に巻取られて前記ロッドアンテナ12を前記蓋部6内に引込むアンテナ引込みワイヤ18とを備えている。
【0023】
前記リール部材13は、外周にワイヤ巻取り溝を有する円板状リールからなっており、このリール部材13は、その中心に設けられた軸受け筒13aを前記軸部材11に嵌合して、前記軸部材11にその軸回り方向に回転可能に支持されている。
【0024】
そして、前記アンテナ引込みワイヤ18は、その一端を前記ロッドアンテナ12の基端に固定され、他端側を前記リール部材13のワイヤ巻取り溝に前記ロッドアンテナ12の配置側に対応する側から巻付けられて、その巻付け端を前記リール部材13に固定されている。
【0025】
また、前記リールロック機構14は、前記蓋部ケース7内の前記リール部材13に設けられたロック部材係合部15と、前記本体部ケース2に設けられ、予め定めたばね力により前記リール部材13のロック部材係合部15に係合し、前記リール部材13に前記ばね力よりも大きい回転力が加わったときに、前記ロック部材係合部15から離脱して前記リール部材13のロックを解除するロック部材16とからなっている。
【0026】
前記リール部材13のロック部材係合部15は、前記リール部材13の軸受け筒13aの先端部の外周に形成された環状凸部13bの周面の互いに反対側の部分、つまり前記蓋部6の開閉回動角(実質的に180度)と同じ角度ずれた2つの部分にそれぞれ設けられており、これらのロック部材係合部15はそれぞれ、前記リール部材13のワイヤ繰出し回転方向、つまり前記蓋部6の閉回動方向と同じ方向(前側から見て右回り方向)に向かって前記環状凸部13bの周面から緩やかな傾斜角で外方に突出し、その終端部に、前記環状凸部13bの周面に対して急角度のロック部材当接面が設けられたラチェット状に形成されている。
【0027】
また、前記ロック部材16は、前記本体部ケース2の後面部の内面に固定されたロック部材支持枠17に摺動可能に支持されており、前記支持枠17内に設けられたロック部材ばね(図示せず)により、予め定めたばね力で前記リール部材13の環状凸部13bの周面に押付けられている。
【0028】
すなわち、前記リールロック機構14は、前記リール部材13に設けられたロック部材係合部15のロック部材当接面(リール部材13の軸受け筒13aの先端部の外周に形成された環状凸部13bの周面に対して急角度の面)を前記ロック部材16により受止めて前記リール部材13のワイヤ繰出し方向(蓋部6の閉方向)への回転を阻止するものであり、前記リール部材13に、このリール部材13を前記ロック部材押圧ばねのばね力よりも大きい力でワイヤ繰出し方向に回転させる回転力が加わったときに、前記ロック部材16が前記ばね力に抗して前記ロック部材係合部15のロック部材当接面から離脱して前記リール部材13のロックを解除し、前記リール部材13のワイヤ繰出し方向への回転を許容する。
【0029】
なお、前記リール部材13の2つのロック部材係合部15と前記ロック部材16との位置関係は、前記リール部材13が本体部ケース2に対して、前記ロッドアンテナ12の突出し長さが予め定めた値になるまでワイヤ繰出し方向に回転したときに、前記リール部材13のいずれか一方のロック部材係合部15のロック部材当接面が前記ロック部材16により受止められ、前記リール部材13が前記本体部ケース2に対して、前記アンテナ突出し状態から実質的に180度回転したとき、つまりアンテナ引込みワイヤ18が前記リール部材13に巻取られてロッドアンテナ12がその先端の引出し用摘み部12aを残して蓋部6内に格納されたときに、前記リール部材13の反対側のロック部材係合部15のロック部材当接面が前記ロック部材16により受止められるように設定されている。
【0030】
一方、前記リール部材13の中心に設けられた前記軸受け筒13aは、前記軸部材11に、前記ロック部材押圧ばねのばね力、つまり前記リール部材13の環状凸部13bの周面に対する前記ロック部材16の押付け力よりも僅かに強い摩擦力で摺動回転するように嵌合されており、したがって、前記リール部材13は、前記蓋部6の開回動時は前記リールロック機構14により拘束されることなく前記蓋部6と一体的に回転する。
【0031】
なお、図では省略しているが、前記本体部ケース2内には、マイクロフォン素子、電源部及びキー入力部と、送受信回路等を備えた制御部が設けられ、前記蓋部ケース7内には、液晶表示素子、スピーカ素子及び固体撮像素子と、これらの駆動回路が設けられている。
【0032】
また、前記アンテナ引込みワイヤ18はアンテナ接続配線を兼ねており、前記液晶表示素子及び固体撮像素子の駆動回路とアンテナ引込みワイヤ18は、例えば前記リール部材13及び軸部材11に形成された図示しないリード通し部を通して設けられたフレキシブルリードを介して前記本体部ケース2内の制御部に接続されている。
【0033】
さらに、この実施例の携帯電話機は、前記ロッドアンテナ12の格納と突出しを検知する手段を備えており、このアンテナ格納/突出し検知手段は、例えば、前記リール部材13の外周の互いに反対側の部分、つまり前記蓋部6の開閉回動角(実質的に180度)と同じ角度ずれた2つの部分にそれぞれ突設されたスイッチ作動突起19と、前記蓋部ケース7内に設けられ、前記スイッチ作動突起19の一方の当接によりオンし、他方の当接によりオフするマイクロスイッチ20とにより構成されている。
【0034】
そして、この携帯電話機では、前記制御部に、前記ロッドアンテナ12を格納した状態では受信電波が弱くて送受信エラーを生じるおそれがあるときは送受信を開始せずにその旨を表示部8に表示し、前記ロッドアンテナ12が突出されたときに送受信を開始する機能を備えさせている。
【0035】
この携帯電話機は、図1のように、蓋部6を本体部1の外方に張出す状態に開回動させ、必要に応じてロッドアンテナ12を突出させて使用されるものであり、前記蓋部6は、使用後に前記本体部1の前面上に重なる状態に閉回動される。
【0036】
そして、前記蓋部6の閉回動時は、前記蓋部ケース7内のリール部材13が前記リールロック機構14により本体部1に対して回転阻止状態にロックされているため、前記蓋部6の閉回動にともなって、前記アンテナ引込みワイヤ18が前記リール部材13に巻取られ、使用時に突出された前記ロッドアンテナ12が蓋部6内に引込み格納される。
【0037】
すなわち、この携帯電話機は、蓋部ケース7に設けられた前記ロッドアンテナ12の基端と前記蓋部ケース7内に回転可能に設けられたリール部材13とをアンテナ引込みワイヤ18により連結するとともに、前記蓋部6の閉回動時に前記リール部材13を本体部1に対して回転阻止状態にロックするリールロック機構14を備え、前記蓋部6を開回動させた状態で前記蓋部ケース7外に突出された前記ロッドアンテナ12を、前記蓋部6の閉回動にともなって、前記リールロック機構14によりロックされた前記リール部材13に前記アンテナ引込みワイヤ18を巻取らせて前記蓋部6内に引込むようにしたものであり、この携帯電話機によれば、前記ロッドアンテナ12を、前記蓋部6の閉回動に連動させて自動的に、しかも曲がりや折れを生じさせることなく格納することができる。
【0038】
なお、この携帯電話機は、前記ロッドアンテナ12を突出させずに使用されることもあり、その場合は、前記蓋部6の閉回動にともなって、前記リールロック機構14により前記本体部1に対して回転阻止状態にロックされた前記リール部材13に、さらにアンテナ引込みワイヤ18が巻取られる。
【0039】
しかし、このときは、前記ロッドアンテナ12の先端の引出し用摘み部12aが蓋部ケース7の端面で受止められているため、前記蓋部6の閉回動にともなってアンテナ引込みワイヤ18が緊張し、このアンテナ引込みワイヤ18の緊張力が、前記リール部材13に、このリール部材13を前記ロック部材押圧ばねのばね力よりも大きい力でワイヤ繰出し方向に回転させる回転力と同様に作用し、前記ロック部材16が前記ばね力に抗して前記リール部材13のロック部材係合部15のロック部材当接面から離脱して前記リール部材13のロックを解除するため、前記リール部材13が前記蓋部6の閉回動にともなって前記蓋部6と一体的に回転する。
【0040】
したがって、前記携帯電話機をロッドアンテナ12を突出させずに使用したときに、蓋部6の閉回動にともなってリール部材13にアンテナ引込みワイヤ18がさらに巻取られることはないため、前記ロッドアンテナ12やアンテナ引込みワイヤ18及びリール部材13に無理な負荷をかけることなく前記蓋部6を閉回動させることができる。
【0041】
また、前記携帯電話機の使用に際して前記蓋部6を開回動させる場合は、上述したように、前記リール部材13が、その軸受け筒13aと本体部ケース2に設けられた軸部材11との摩擦力により、前記リールロック機構14により拘束されることなく前記蓋部6と一体的に回転するため、前記蓋部6の開回動時に、前記リール部材13からアンテナ引込みワイヤ18が繰出されて弛むことはない。
【0042】
そして、前記ロッドアンテナ12を突出させる場合、前記リールロック機構14は、前記ロッドアンテナ12の突出し時に前記リール部材13のロックを解除するため、前記リール部材13をワイヤ繰出し方向に回転させ、前記ロッドアンテナ12を無理なく前記蓋部6外に突出させることができる。
【0043】
すなわち、前記ロッドアンテナ12は、その先端の引出し用摘み部12aを引張って蓋部6外に引出されるが、このロッドアンテナ12をある程度以上の力で引張ると、前記ロック部材16が前記リール部材13のロック部材係合部15から離脱して前記リール部材13のロックが解除されるため、前記ロッドアンテナ12を、前記リール部材13からアンテナ引込みワイヤ18を繰出させて無理なく引出すことができる。
【0044】
また、この実施例の携帯電話機は、前記リール部材13を、前記本体部1の前面に対して垂直に設けられた軸部材11を中心としてその軸回り方向に回転可能に設けているため、前記本体部と蓋部のケースのうち、前記リール部材13を設けた蓋部ケース7を厚くすることなく前記リール部材13の径を大きくし、前記アンテナ引込みワイヤ18の巻取り及び繰出し長さを、予め定めたアンテナ突出し及び引込みストロークに応じて充分に確保することができる。
【0045】
しかも、この携帯電話機は、前記蓋部6を前記軸部材11を中心として前記本体部1の前面に平行な面に沿った方向に開閉回動可能に設け、前記軸部材11に前記リール部材13を回転可能に支持させているため、前記蓋部6の枢支軸と前記リール部材13の回転軸とを共用し、構造を簡単にすることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図6はこの発明の第2の実施例を示す携帯電話機のアンテナ突出し格納機構のアンテナ突出し状態の正面図である。なお、この実施例において、上述した第1の実施例に対応するものには同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0047】
この実施例の携帯電話機は、アンテナ押出しばね21と、ロッドアンテナ12を前記アンテナ押出しばね21のばね力により蓋部ケース7外に突出させるためのアンテナ突出し操作部22とをさらに備えたものであり、他の構成は実質的に第1の実施例の携帯電話機と同じである。
【0048】
なお、この実施例では、第1の実施例においてロッドアンテナ12の先端に設けた引出し用摘み部12aを省略し、前記ロッドアンテナ12の全体を蓋部ケース7内に引込み格納するようにしている。
【0049】
この実施例において、前記アンテナ押出しばね21は、例えば前記ロッドアンテナ12の基端と本体部ケース2内に設けられたばね受け部22との間に挟持されたコイルばねであり、アンテナ引込みワイヤ18は、前記コイルばね21内と前記ばね受け部22に設けられた孔部を通して前記リール部材13に連結されている。
【0050】
また、この実施例では、リールロック機構14を、前記蓋部ケース7内のリール部材13に設けられた第1の実施例と同様な2つのロック部材係合部15と、本体部ケース2に設けられ、ばね力により前記リール部材13のロック部材係合部15に係合し、前記本体部ケース2に設けられたアンテナ突出し操作部22の操作により前記リール部材13のロック部材係合部15から離脱されるロック部材16aとにより構成している。
【0051】
前記ロック部材16aは、例えば、中間部を本体部ケース2の後面部の内面に枢支され、一端に前記ロック部材係合部15のロック部材当接面を受止める爪部が形成された回動部材からなっており、前記アンテナ突出し操作部22は、例えば、前記本体部ケース2の一側面部に設けられ、ケース2外から押圧操作される押しボタン23と、前記押しボタン23の復帰ばね(図では一端部を本体部ケース2の側面部に固定された板ばね)24とからなっている。
【0052】
そして、前記ロック部材16aは、その他端部を前記押しボタン23から突設されたロッド部材25の先端に回動可能に転結されており、前記復帰ばね24の予め定めたばね力により、その一端の前記爪部を前記リール部材13の前記ロック部材係合部15が形成された環状凸部13bの周面に押付けられている。
【0053】
この実施例の携帯電話機は、実質的に第1の実施例の携帯電話機と同じ構成で、且つ、アンテナ押出しばね21と、ロッドアンテナ12を前記アンテナ押出しばね21のばね力により蓋部ケース7外に突出させるためのアンテナ突出し操作部22とをさらに備えたものであるため、第1の実施例の携帯電話機と同じ効果に加えて、前記ロッドアンテナ12を、前記アンテナ突出し操作部22の操作により、前記アンテナ押出しばね21のばね力で自動的に突出させることができる。
【0054】
(他の実施形態)
なお、上述した第1及び第2の実施例では、ロッドアンテナ12を設けた蓋部6のケース7内にリール部材13を設けているが、このリール部材13は、本体部ケース2内に設けてもよく、その場合は、アンテナ引込みワイヤ18を、蓋部6の枢支部またはその付近から本体部ケース2内に導入して前記リール部材13に連結するとともに、前記蓋部6の閉回動時に前記リール部材13を前記蓋部6に対して回転阻止状態にロックし、前記ロッドアンテナの突出し時に前記リール部材のロックを解除するリールロック機構を設ければよい。
【0055】
また、上記実施例の携帯電話機は、蓋部6にロッドアンテナ12を設けたものであるが、この発明は、本体部にロッドアンテナを設けた携帯電話機にも適用することができ、その場合も、前記本体部と蓋部の一方のケース内に回転可能にリール部材を設け、前記ロッドアンテナの基端と前記リール部材とをアンテナ引込みワイヤにより連結するとともに、前記蓋部の閉回動時に前記リール部材を前記本体部と蓋部の他方に対して回転阻止状態にロックし、前記ロッドアンテナの突出し時に前記リール部材のロックを解除するリールロック機構を備えることにより、前記ロッドアンテナを、蓋部の閉回動に連動させて自動的に、しかも曲がりや折れを生じさせることなく格納し、また前記ロッドアンテナの突出し時に、前記リール部材をワイヤ繰出し方向に回転させて前記ロッドアンテナを無理なく突出させることができる。
【0056】
さらに、上記実施例の携帯電話機は、蓋部6を、本体部1の前面に平行な面に沿った方向に開閉回動可能に設けたものであるが、この発明は、蓋部を、本体部の前面に平行に設けられた軸部材を中心として前記本体部の外方に張出す開状態と前記本体部の前面上に重なる閉状態とに開閉回動に設け、前記蓋部の前後面のうち、閉回動時に前記本体部1の前面に対向する面に表示部及びスピーカ部を設けた折り重ねタイプの携帯電話機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の第1の実施例を示す携帯電話機の使用状態の斜視図。
【図2】前記携帯電話機のアンテナ突出し格納機構の斜視図。
【図3】前記アンテナ突出し格納機構のアンテナ突出し状態の正面図。
【図4】前記アンテナ突出し格納機構のアンテナ格納状態の正面図。
【図5】図3のV−V線に沿う携帯電話機の拡大断面図。
【図6】この発明の第2の実施例を示す携帯電話機のアンテナ突出し格納機構のアンテナ突出し状態の正面図。
【符号の説明】
【0058】
1…本体部、2…本体部ケース、3…キーボード部、5…マイク部、6…蓋部、7…蓋部ケース、8…表示部、9…スピーカ部、10…カメラレンズ部、11…軸部材、12…ロッドアンテナ、13…リール部材、14…リールロック機構、15…ロック部材係合部、16,16a…ロック部材、18…アンテナ引込みワイヤ、21…アンテナ押出しばね、22…アンテナ突出し操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薄型ケースの前面にキーボード部及びマイク部が設けられた本体部と、
第2の薄型ケースの前後面の一方に表示部及びスピーカ部が設けられ、一端部を前記本体部に枢支され、前記本体部の外方に張出す開状態と前記本体部の前面上に重なる閉状態とに開閉回動される蓋部と、
前記本体部または蓋部に設けられ、前記蓋部を前記本体部の外方に開回動させた状態で外部に突出され、前記蓋部を前記本体部の前面上に閉回動させたときに引込み格納されるロッドアンテナと、
前記本体部と蓋部の一方のケース内に回転可能に設けられたリール部材と、
前記蓋部の閉回動時に前記リール部材を前記本体部と蓋部の他方に対して回転阻止状態にロックし、前記ロッドアンテナの突出し時に前記リール部材のロックを解除するリールロック機構と、
前記ロッドアンテナの基端と前記リール部材とを連結し、前記蓋部の閉回動により前記他方のケースにロックされた前記リール部材に巻取られて前記ロッドアンテナを前記本体部または蓋部内に引込むアンテナ引込みワイヤとを備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
リール部材は、本体部の前面に対して垂直に設けられた軸部材を中心としてその軸回り方向に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
リールロック機構は、一方のケース内のリール部材に設けられたロック部材係合部と、他方のケースに設けられ、予め定めたばね力により前記リール部材のロック部材係合部に係合し、前記リール部材に前記ばね力よりも大きい回転力が加わったときに、前記ロック部材係合部から離脱して前記リール部材のロックを解除するロック部材とからなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
アンテナ押出しばねと、ロッドアンテナを前記アンテナ押出しばねのばね力によりケース外に突出させるためのアンテナ突出し操作部とをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−304094(P2006−304094A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125511(P2005−125511)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】