説明

携帯電話用カメラの調整方法

【課題】色温度参照画像を未補正カメラで撮影する回数を少なくし、効率良くシェーディング調整することができる携帯電話用カメラのシェーディング調整方法を提供する。
【解決手段】携帯電話用カメラのシェーディング調整方法において、シェーディング調整のされていない未補正携帯電話用カメラで、色温度参照画像を撮影した生画像データを得る第一ステップと、前記生画像データと予め取得した第一色温度理想画像データに基づいて、第一色温度補正値を得る第二ステップと、前記生画像データと予め取得した第二色温度理想画像データに基づいて、第二色温度補正値を得る第三ステップとを有し、前記未補正携帯電話用カメラで色温度参照画像を撮影する回数が、調整する色温度の数よりも少なくなるようにする。これにより、色温度参照画像を未補正携帯電話用カメラで撮影する回数を少なくできるため、効率良くシェーディング調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話用カメラのシェーディング調整方法に係り、特に固体撮像素子の画素ごとの特性の不均一性を補正するためのシェーディング調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラ、携帯電話用のカメラモジュールでは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の固体撮像素子が利用されている。
【0003】
デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラモジュールに用いられる固体撮像素子は、画素ごとの感度の違いに加え、撮影用レンズやカメラモジュール組み立て時の位置ズレといった製造上の誤差により、たとえ均一光を照射したとしても、各画素間に出力差が生じ、撮影した画像にシェーディング(ムラ)が生じる。
【0004】
そこでこのようなシェーディングを補正するために、シェーディング補正が行われる。一般に、シェーディング補正は、シェーディング補正前の未補正撮像素子で撮影した画像データを所定の補正値に基づいて補正することにより行われる。補正値は、固体撮像素子に均一光を照射することによって得られる撮像データに基づいて生成されている。
【0005】
また近年、デジタルカメラや携帯電話用カメラモジュールは、小型化、低背化が進んでいる。撮像素子が小型化、低背化した場合、シェーデンング特性が悪化するという問題が生じる。特に、携帯電話用カメラの場合、デジタルカメラに比べ撮像素子が比較的小さくなっており、シェーディング特性の悪化が顕著となるため、より正確なシェーディング補正が必要となっている。
【0006】
より正確にシェーディング補正するためには、色温度ごとに補正値を生成し、生成した色温度ごとの補正値に基づいて、未補正撮像素子で撮影した画像データをシェーディング補正する必要がある。特許文献1では、シェーディング補正値を生成するために用いる均一光として、所定の色温度の光を照射する液晶モニタを用い、照射する液晶モニタの色温度を変えることにより、色温度ごとにシェーディング補正値を生成し、生成した色温度ごとのシェーディング補正値に基づいて撮像データをシェーディング補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−323078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、調整する色温度の数だけ色温度参照画像を用意する必要がある。ここで、色温度参照画像とは、調整する色温度の光を出射する光源のことである。さらに、特許文献1の方法では、色温度ごとに色温度参照画像を未補正撮像素子で撮影する必要があるため、生産工程での工数が増加し、生産コストが増加するという問題が生じる。
【0009】
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の色温度で調整を行う場合であっても、調整する色温度ごとに、調整する色温度の光を出射する色温度参照画像を用意する必要をなくすとともに、色温度参照画像を未補正撮像素子で撮影する回数を少なくし、効率良くシェーディング調整することができる携帯電話用カメラのシェーディング調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
携帯電話用カメラの調整方法であって、
前記調整方法は、シェーディング調整方法であって、
未補正携帯電話用カメラで、色温度参照画像を撮影した生画像データを得る第一ステップと、
前記生画像データと予め取得した第一色温度理想画像データに基づいて、第一色温度補正値を得る第二ステップと、
前記生画像データと予め取得した第二色温度理想画像データに基づいて、第二色温度補正値を得る第三ステップとを有し、
前記未補正携帯電話用カメラで色温度参照画像を撮影する回数が、調整する色温度の数よりも少ないことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、前記予め取得した第一色温度理想画像データとは、調整済みのリファレンスカメラで、前記色温度参照画像を、第一色温度設定で撮影することにより得た画像データであり、前記予め取得した第二色温度理想画像データとは、調整済みのリファレンスカメラで、前記色温度参照画像を、第二色温度設定で撮影することにより得た画像データであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、一台の前記リファレンスカメラで複数の色温度参照画像を撮影することにより、色温度参照画像の個体差を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、あるリファレンスカメラである色温度参照画像を撮影し、前記あるリファレンスカメラと同じ画像を撮影した際にほぼ同じ画像データを得ることができる他のリファレンスカメラで他の色温度参照画像を撮影することにより色温度参照画像の個体差を補正することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、前記リファレンスカメラで前記色温度参照画像を撮影した後、一定期間後、再度前記リファレンスカメラで前記色温度参照画像を撮影し、改めて第一色温度理想画像データを得ることにより、色温度参照画像の経時変化を補正することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区間に分割し、各区間で平均値を求め、RGB生画像セルデータを得るステップを有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区間に分割し、各区間で平均値を求め、RGB第一色温度理想画像セルデータを得るステップを有することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区間に分割し、各区間で平均値を求めることにより得たRGB生画像セルデータと第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB第一色温度理想画像セルデータに基づいて第一色温度補正値を得ることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法において、第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB第一色温度理想画像セルデータを正規化して得たRGB第一色温度理想カーブを、生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB生画像セルデータで割ることにより第一色温度補正値を得ることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の携帯電話用カメラは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法により調整されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、色温度参照画像を未補正撮像装置で撮影する回数を、調整する色温度の数よりも少なくできるため、効率良くシェーディング調整することが可能となる。さらに、生産工程での工数を減らすことができるため、コストダウンも可能となる。
また、調整する色温度の数だけ色温度参照画像を用意する必要がなくなる。つまり、複数の色温度で調整を行う場合であっても、調整する色温度ごとに、調整する色温度の光を出射する色温度参照画像を用意する必要がなくなる。そのため、調整設備の構成を簡素にすることが可能となる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、一台のリファレンスカメラで複数の色温度参照画像を撮影する。これにより、色温度参照画像の個体差を補正することが可能となる。ここで、色温度参照画像の個体差を補正するとは、色温度参照画像の違いや撮影環境の違いによる目標値のズレをなくすという意味である。目標値については後述する。一般に、生産工程では、複数の色温度参照画像を使用しているが、これら色温度参照画像は、スペクトルや色温度や輝度に固体差がある。また、異なる撮影環境でそれぞれ撮影した場合、得られる画像データには差が生じてしまう。目標値を固定しておくと、撮影対象や撮影環境が変化した場合、誤った目標値を与えてしまう可能性がある。そのために、一台のリファレンスカメラで各色温度参照画像を撮影し、目標値を求めることで、色温度参照画像と目標値の関係を正しく保たれるようにすることが可能となる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、あるリファレンスカメラである色温度参照画像を撮影し、前記あるリファレンスカメラと同じ画像を撮影した際にほぼ同じ画像データを得ることができる他のリファレンスカメラで他の色温度参照画像を撮影する。これにより、色温度参照画像の個体差を補正することが可能となる。さらに、複数のリファレンスカメラを用いて調整を行うことができるので、量産効率を向上させることが可能となる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、リファレンスカメラで色温度参照画像を撮影した後、一定期間後、再度前記リファレンスカメラで前記色温度参照画像を撮影し、改めて第一色温度理想画像データを得る。これにより、色温度参照画像の経時変化や撮影環境の変化を補正することが可能となる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求め、RGB生画像セルデータを得るステップを有する。画像データを複数区画に分割することにより、シェーディング調整が必要な画像の位置を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】補正値を生成する全体の手順を示す概略図
【図2】色温度理想カーブを生成する手順を示す図
【図3】生画像セルデータを生成する手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明するが、本願発明が以下の実施形態に限定されるべきものでないことは言うまでもない。
【0027】
図1は補正値を生成する全体の手順を示す概略図である。図2は色温度理想カーブを生成する手順を示す図である。図3は生画像セルデータを生成する手順を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本発明に係る携帯電話用カメラの調整方法は、未補正携帯電話用カメラ、リファレンスカメラ、色温度参照画像を用いて行われる。
【0029】
未補正携帯電話用カメラ(以下、未補正カメラという)とは、シェーディング調整されていない携帯電話用カメラである。リファレンスカメラとは、すでに調整されている携帯電話用カメラであり、未補正カメラを調整するときに必要な全ての色温度でシェーディング調整がなされている。また、リファレンスカメラは未補正カメラと構成が同じ同型の携帯電話用カメラであることが好ましい。
【0030】
未補正カメラ及びリファレンスカメラの固体撮像素子には、CMOSやCCDを用いることができる。本実施の形態に係る未補正カメラ及びリファレンスカメラの撮像素子は、CMOSで構成されており、その受光面には画素を構成するフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配列されている。各フォトダイオードには、所定の配列構造(たとえば、ベイヤ配列)をなすように赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが装着されている。未補正カメラの撮影レンズやリファレンスカメラの撮影レンズを通過した光は、このカラーフィルタを介して各フォトダイオードに受光される。そして、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換している。
【0031】
色温度参照画像とは、未補正カメラ及びリファレンスカメラで撮影を行う際に、基準となる被写体である。色温度参照画像には光源を用いることができる。光源としては、特に限定されないが、均一光を出射する光源であることが好ましい。例えば、光源として、蛍光灯やライトボックス、液晶モニタなどを用いることができる。また、図1に示すように、リファレンスカメラで撮影を行う色温度参照画像と、未補正カメラで撮影を行う色温度参照画像は、同一のものとなっている。
【0032】
以下に、図1から図3の図面を参照して、本発明に係る携帯電話用カメラのシェーディング調整方法の手順について説明する。
【0033】
まず、色温度理想画像データを生成する。色温度理想画像データとは、調整済みのリファレンスカメラで色温度参照画像を撮影することにより得られる画像データである。このとき、調整に用いる一つの色温度参照画像に対し、未補正カメラにおいて調整を行う全ての色温度設定で撮影を行う。例えば、第一色温度設定、第二色温度設定の二つの色温度の調整を行う場合、それぞれの色温度設定で一つの色温度参照画像をリファレンスカメラで撮影する。このように、調整を行う全ての色温度設定で撮影を行うことにより、調整に用いる色温度参照画像に対する各色温度設定の色温度理想画像データが得られる。
【0034】
なお、調整済みのリファレンスカメラで色温度参照画像を、第一色温度設定で撮影することにより得られる画像データを第一色温度理想画像データとよび、調整済みのリファレンスカメラで色温度参照画像を、第二色温度設定で撮影することにより得られる画像データを第二色温度理想画像データとよぶ。第一色温度設定としては蛍光灯設定、第二色温度設定としては白熱灯設定などを挙げることができる。
【0035】
色温度理想画像データを生成する際、一台のリファレンスカメラで複数の色温度参照画像を撮影するようにしても良い。これにより、色温度参照画像の個体差を補正することが可能になる。ここで、色温度参照画像の個体差を補正するとは、色温度参照画像の違いや撮影環境の違いによる目標値のズレをなくすという意味である。目標値については後述する。一般に、生産工程では、複数の色温度参照画像を使用しているが、これら色温度参照画像は、スペクトルや色温度や輝度に固体差がある。また、異なる撮影環境でそれぞれ撮影した場合、得られる画像データには差が生じてしまう。目標値を固定しておくと、撮影対象や撮影環境が変化した場合、誤った目標値を与えてしまう可能性がある。そのために、一台のリファレンスカメラで各色温度参照画像を撮影し、目標値を求めることで、色温度参照画像と目標値の関係を正しく保たれるようにすることが可能となる。ここで、複数の色温度参照画像としては、同じ種類の色温度参照画像を用いても良いし、異なる種類の色温度参照画像を用いても良い。
【0036】
また、色温度理想画像データを生成する際、複数のリファレンスカメラを用いても良い。例えば、あるリファレンスカメラである色温度参照画像を撮影し、あるリファレンスカメラと同じ画像を撮影した際にほぼ同じ画像データを得ることができる他のリファレンスカメラで他の色温度参照画像を撮影しても良い。これにより、色温度参照画像の個体差を補正することが可能となる。さらに、複数のリファレンスカメラを用いて調整を行うことで、量産効率を上げることができる。
【0037】
さらに、リファレンスカメラで色温度参照画像を撮影した後、一定期間後、再度、同じリファレンスカメラで色温度参照画像を撮影し、改めて色温度理想画像データを得ても良い。これにより、色温度参照画像の経時変化や撮影環境の変化を補正することができる。
【0038】
次に、色温度理想画像データから色温度理想カーブを生成する。例えば、第一色温度設定(たとえば、蛍光灯設定)の第一色温度理想画像データから第一色温度理想カーブを求める。得られた理想カーブに基づいて未補正カメラを補正するときの目標値を算出する。
【0039】
図2を参照して、第一色温度理想カーブを生成する手順を説明する。まず、第一色温度理想画像データをRGBごとに分ける。それぞれ、R第一色温度理想画像データ、G第一色温度理想画像データ、B第一色温度理想画像データとする。
【0040】
R第一色温度理想画像データを16×12の区画(セル)に分割する。画像をセルに分割することにより、シェーディング調整が必要な画像の位置を決定することが可能になる。
【0041】
分割されたR第一色温度理想画像データのセルごとに平均値を求めたものをR第一色温度理想画像セルデータとする。R第一色温度理想画像セルデータの最大値ですべてのセルを割り、各セルを0から1の間で正規化する。正規化したものをR第一色温度理想カーブとする。
【0042】
他のG第一色温度理想画像データ、B第一色温度理想画像データでも同様に行い、G第一色温度理想カーブ、B第一色温度理想カーブを求める。第一色温度設定のRGB3つの理想カーブに基づいて、第一色温度理想カーブを生成する。
【0043】
第一色温度理想カーブと同様の方法で、リファレンスカメラの第二色温度設定(たとえば、白熱灯設定)で色温度参照画像を撮影し、第二色温度理想カーブを求める。他の色温度設定でも同様に行い、色温度理想カーブを生成する。
【0044】
次に、生画像データを生成する。生画像データとは、リファレンスカメラで撮影した色温度参照画像を未補正カメラで撮影することによって得られる画像データである。
【0045】
図3に示すように、生画像データに対しても、R第一色温度理想画像セルデータを求めた方法と同様に生画像セルデータ(R生画像セルデータ、G生画像セルデータ、B生画像セルデータ)を生成する。
【0046】
次に、補正値を算出する。以下、例として、第一色温度設定における補正値の算出方法を説明する。まず、RGB生画像セルデータの中央部の四つのセルの平均値をそれぞれ求め、この値をR中央部値、G中央部値、B中央部値とする。このRGB中央部値とRGB第一色温度理想カーブから、下記式(1)より各セルの目標値を算出する。式(1)中のijとは、i列j行のセルをあらわしており、ここではi=0〜15、j=0〜11となっている。
【0047】
R第一色温度目標値ij=R中央部値*R第一色温度理想カーブij
G第一色温度目標値ij=G中央部値*G第一色温度理想カーブij ・・・式(1)
B第一色温度目標値ij=B中央部値*B第一色温度理想カーブij
【0048】
RGB第一色温度目標値とRGB生画像セルデータより、各セルの第一色温度補正値を、下記式(2)より算出する。
【0049】
R第一色温度補正値ij=R第一色温度目標値ij /R生画像セルデータij
G第一色温度補正値ij=G第一色温度目標値ij /G生画像セルデータij ・・・式(2)
B第一色温度補正値ij=B第一色温度目標値ij /B生画像セルデータij
【0050】
第二色温度設定や他の色温度設定の場合も、第一色温度設定の場合と同様に色温度補正値を算出する。ここで、他の色温度補正値を求める場合であっても、第一色温度補正値の算出の際に使用した生画像データを用いるため、未補正カメラで生画像データを得るための撮影が一回で済み、生産工程での工数を少なくすることができる。
【0051】
以上のように算出した各セルの補正値を、未補正カメラで撮影した生画像データ(未補正値)に乗算することにより、シェーディング補正を行うことができる。
【0052】
このように、本実施の形態の携帯電話用カメラのシェーディング調整方法によれば、色温度参照画像を未補正カメラで撮影する回数を、調整する色温度の数よりも少なくできるため、効率良くシェーディング調整することが可能となる。さらに、生産工程での工数を減らすことができるため、コストダウンも可能となる。
また、複数の色温度で調整を行う場合であっても、調整する色温度ごとに、調整する色温度の光を出射する色温度参照画像を用意する必要がなくなる。そのため、調整設備の構成を簡素にすることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話用カメラの調整方法であって、
前記調整方法は、シェーディング調整方法であって、
未補正携帯電話用カメラで、色温度参照画像を撮影した生画像データを得る第一ステップと、
前記生画像データと予め取得した第一色温度理想画像データに基づいて、第一色温度補正値を得る第二ステップと、
前記生画像データと予め取得した第二色温度理想画像データに基づいて、第二色温度補正値を得る第三ステップとを有し、
前記未補正携帯電話用カメラで色温度参照画像を撮影する回数が、調整する色温度の数よりも少ないことを特徴とする携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項2】
前記予め取得した第一色温度理想画像データとは、調整済みのリファレンスカメラで、前記色温度参照画像を、第一色温度設定で撮影することにより得た画像データであり、前記予め取得した第二色温度理想画像データとは、調整済みのリファレンスカメラで、前記色温度参照画像を、第二色温度設定で撮影することにより得た画像データであることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項3】
一台の前記リファレンスカメラで複数の色温度参照画像を撮影することにより、色温度参照画像の個体差を補正することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項4】
あるリファレンスカメラである色温度参照画像を撮影し、前記あるリファレンスカメラと同じ画像を撮影した際にほぼ同じ画像データを得ることができる他のリファレンスカメラで他の色温度参照画像を撮影することにより色温度参照画像の個体差を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項5】
前記リファレンスカメラで前記色温度参照画像を撮影した後、一定期間後、再度前記リファレンスカメラで前記色温度参照画像を撮影し、改めて第一色温度理想画像データを得ることにより、色温度参照画像の経時変化を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項6】
生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求め、RGB生画像セルデータを得るステップを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項7】
第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求め、RGB第一色温度理想画像セルデータを得るステップを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項8】
生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB生画像セルデータと第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB第一色温度理想画像セルデータに基づいて第一色温度補正値を得ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項9】
第一色温度理想画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB第一色温度理想画像セルデータを正規化して得たRGB第一色温度理想カーブを、生画像データを得る第一ステップの後、生画像データをRGBに分け、各RGBデータを複数区画に分割し、各区画で平均値を求めることにより得たRGB生画像セルデータで割ることにより第一色温度補正値を得ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の携帯電話用カメラの調整方法により調整されたことを特徴とする携帯電話用カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−178025(P2010−178025A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17992(P2009−17992)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】